ようこそ、私たちの世界へ アスペルガー障害の理解のすすめ 広汎性発達障害(PDD)とは • 社会関係能力やコミュニケーション能力など、いくつ かの領域の発達障害 • いくつかのグループ – – – – – 自閉症 アスペルガー障害 レット障害 小児期崩壊性障害 特定不能の広汎性発達障害 • 能力の偏り(アンバランス) PDDのグループ 200人に一人 の割合(?) レット障害 アスペルガー 自閉症 スペクトラム 小児期 崩壊性障害 特定不能のPDD 自閉症 知的障害養護 学校に35% 知能指数 高 アスペルガー 学習障害 障害 ADHD 70∼75 知的障害 自閉症 低 小 能力のアンバランス 知能指数、能力のアンバランスと障害との関係 大 PDDの定義 1. 社会性の障害 2. コミュニケーション障害 3. 行動の障害 – 言語発達の遅れが見られない アスペルガー障害 アスペルガー障害のある子どもの様子 • • • • • • • 暗黙のルールがわからない 思ったことをすぐ口にする 話が一方的である みんなの誕生日や時刻表などやたら記憶力がいい ひとりで遊んでいることが多い 変化を嫌う 急に予定が変更になるとパニックを起こす 自閉症の子どもの様子 • コマーシャルなど、場に合わない独り 言を言う • 奇声を上げる • 特定のものへのこだわり • 回るもの、光るものへの関心 • 人に対する関心の欠如 • 空虚な笑い 社会性の障害とは • • • • • 視線が合わない 呼んでも振り向かない 友達が作れない(必要としない) 喜びを分かち合えない 他人の心が読めない:心の理論 コミュニケーションの障害とは • • • • • • 特異な話しことば 非言語コミュニケーションの困難さ 想像力の弱さ 文脈理解の困難さ 表現のぎこちなさ ことばの発達の遅れ、ことばが獲得できない 行動の障害とは • • • • 儀式的行動:意味のないことを繰り返す 興味関心の奇異性 活動レパートリーが狭い 常同的な反復行動 こだわり パニック PDDの子どもに対する誤解 • • • • 自分勝手、自己チュウ しつけが悪い、親の態度が悪い 礼儀知らず 養護学校教員でも正しく認識しているのは約 6割 認知の特異性によるもので、本人や 親のせいではありません 認知の特異性 • 感じ方、ものの見え方聞こえ方の特異性 – 過敏性、耳ふさぎ、偏食 • 考え方、判断の仕方の特異性 – – – – 話しことば理解が困難 見通しがもてない 言語が思考の中心ではない:イメージによる処理 時間感覚が特異である • 過剰刺激からの逃避反応:自己刺激行動 – こだわり 他にも、 知覚異常、運動障害、てんかん、多動 あえて原因を探るなら・・・ CPUに相当 補助記 憶装置 に相当 実行機能 主記憶装置 に相当 作業記憶 能力1 能力2 能力3 能力4 能力5 障害特性、一言で言えば 見えるものは理解できるが、 見えないものを理解することが困難 あるいは、 自分を守る心のバリアが非常に弱い そして、 彼らは非常に強い不安の中で 生活している ちょっとまとめ • PDDは情緒障害や病気ではありません • PDDは「認知」の障害です • 脳の器質障害といわれていますがよくわかっ ていません • 親の養育態度はPDDの原因とは関係ありま せん 対応について 問題行動や不適応に発展するメカニズム 空気が読めない 見通しがもてない 他人の気持ちが 分からない 親、教師 心理学的特性 当たり前の対応 LD、ADHD 失敗 大切なことはやる気 「できた」という体験 「自分はできる」という自信 無力感 問題行動 この子に あっていない対応 不登校 ひきこもり 大人への反抗 非行 児童生徒への支援の基本 1. 獲得させたいスキル(技能) – 生きるために役立つスキル – これらを重視したプログラムにより予後が良好 – 知的障害の程度は予後を予測しない 2. 問題行動の改善 3. 教科指導 自立につながる10の技能(スキル) コミュニケーション 身辺自立 社会的スキル 実用的な 就 労 読み書き計算 余 暇 地域活動 自己決定 家庭生活 健康と安全 幼児期の対応の基本 • ことばの表出よりことばの理解、指示理解を • 子どもと行動や注意の共有、ことばで表現し てあげる • 繰り返しによるパターンの形成 • 一対一の信頼関係、「みんなで」を強要しない • 早期対応、集中訓練 学齢期の対応 • 小学校 – 生活習慣の確立、見通し、学校適応 – 親子関係 • 中学校 – 自分について知る(長所、短所) – 友達関係 • 高等学校 – 自己認識 – 進路 精神年齢の発達が遅い アスペルガー障害への対応(1) • • • • • 障害特性の理解 できることをのばす 違いを認める 「みんなで」「同じ」を強要しない 状況理解の工夫を:視覚的手がかり – 絵カード、文字カード、ホワイトボードの活用 – 構造化 アスペルガー障害への対応(2) • 社会のルール、暗黙のルール理解の工夫 • ことばだけの説明より文章で説明 ソーシャル • 一対一で話をよく聞くこと ストーリー 視覚にうったえる 絵に描いて説明(絵カード) 文に書いて説明(文字カード) 対応(3):見て確認できる手がかり • • • • • 絵カード、文字カード しるし スケジュール表 約束カード 表情の絵カード(感情の理解) ほめるより、見て確認できるご褒美を トークン 学習の手順を示す 例)授業のルール 1準備 学習に必要なものを机の上にそろえる 2説明 先生の話を聞く を聞く 問題を読んで考える 3問題 解き方を考える を解く 答えを出す 確かめる 答えあわせを 4終了 する 使ったものをかばんに入れる 見通しを持たせる:スケジュール表 授業 場所 内容 1時間目 国語 2の2 漢字の書き 取り 2時間目 体育 体育館 鉄棒 3時間目 算数 わかば学 級 10までの 数 鍵盤ハーモ ニカ パン、コ ロッケ 4時間目 音楽 音楽室 給食 2の2 5時間目 帰りの会 2の2 発表 ご褒美:○が5個でおやつにケーキ 評価 対応(4):具体的な約束を • 「だいたい」が理解できない • 「臨機応変」ができない 8:30分までに教室にはいること 学習に必要な教科書、文房具だけ持ってくること もしも担任が休んだときは、○○先生に相談すること アスペルガー障害への対応(5) • • • • わかりやすい指示 わかりやすい表現:指示は一つ 話ができることと、理解することは別 「表現形式」と「意味」とを区別する 「死にたい」 (表現形式) 「死にたいほどつらい」 (意味) ルールの理解:ソーシャルストーリー • • • • • • 私は 中学校 年 組の です。毎日元気に登校して、 勉強しています。一番好きな教科は 、苦手な教科は です。 勉強は難しいときもあるけれど、私はこの中学校が好きです。 しかし、今日イヤなことがありました。携帯電話を学校に持っていっ たところ、 先生に見つかり、叱られました。その理由を考えてみ たいと思います。 携帯電話は大変便利な道具です。たとえば、 でき ます。 できます。とても便利だと思いますし、私に とって必要なものです。 しかし、携帯電話を中学校に持ってくると、都合が悪いことがありま す。まず、学校の規則では携帯電話を持ってくることが認められてい ません。携帯電話をみんなが持ってくると、授業に身が入らず、勉強 が遅れます。また、持っていない人がうらやましがって、盗ってしまう かもしれません。 ですから、中学校に携帯電話を持って来ないこと、家庭で使うこと、 休日には持って行ってもいいことを守りたいと思います。これは社会 のルールであり、中学校のルールです。私は社会のルールを守れま すし、中学生なので中学校のルールも守れます。 社会や中学校のルールを守り、楽しい中学生活を送りたいと思い ます。 会話まなボード • 子どもと教師が対話 をしながら、上手なか かわり方を練習する ための教材 例)昼休みのトラブル 対象となる子どもの 髪飾りを見て 「うるさい」といって引っかいた 「髪にごみがついている」という 頭にきた 悲しかった ほめたいんだけど、 ほめるのが恥ずかしい 対応:昼休みのトラブル ロールプレイ 「きれいでしょう。見ていいよ」 対象となる子どもの 髪飾りを見て 「髪にごみがついている」という 悪口をいったんじゃないんだ ほめたいんだけど、 ほめるのが恥ずかしい 問題行動への対応 (アスペルガー) • 問題行動を直すことより、好ましい行動を教 える • 困難を乗り越える方法を教える • パニックのときは静かな部屋へ • 休息できる場の確保 • カウンセリング 努力の過程を評価 点数が取れないと「勝ち」ゲーム • 「100点病」へ 意図的に負けさせ、「我慢」を評価 問題行動への対応(例) 暴力は犯罪 最悪、逮捕 暴力 共通理解 ほめること それに代わる行動 でも、む しゃくしゃ する 大声を出す 教室から出る これはいいよ、認 めるよ 問題行動について • 自己肯定感が悪くなると不登校につながる • もっと悪くなると精神不安になる • もっと悪くなると精神病のようになる 教師の不適切な対応により、精神がぼろぼろに なっている生徒がたくさんいる 年齢別留意事項 対応 乳幼児期 小学校 中学校 高等学校 大人との信頼関係 基本的生活習慣 やる気 成功体験 自己肯定感 集団適応 同年齢とのかかわり 礼儀・作法 自分に関する客観的な認 識 将来の目標・適性をのば す進路指導 自己理解と長所の活用 アスペルガー障害の子どもへの告知 • • • • • • 親が障害を受容していること 子どもが他の子との違いに気づいている できないこととできることを提示すること できることをのばす人生観を提示 できないのは自分のせいでないことを強調 周囲の支援を約束すること 将来好きな鉄道関係の仕事ができるように、 お父さん、お母さんも応援するからね! ふたたびまとめ(アスペルガー) • • • • 彼らにはどうしてもできないことがある アスペルガーの特性にあった支援・指導を 「変える」だけではなく周囲が「変わる」こと 特別な支援を – 「補聴器は認めるのに、どうしてノートパソコンは認めない のか」 • アスペルガーへのより進んだ理解を:宇宙人? 研修をお手伝いします • 長澤研究室 http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/ – メールマガジン – LD学会学校教育部会新潟 COMPAS LD、ADHD、アスペルガーへの対応 研究物 チャレンジルームの様子 図書の紹介 • 「LD・ADHD<ひとりでできる力>を育てる− その指導・支援・個別教育計画作成の実際 −」:長澤正樹編・著、川島書店。 • 詳しい内容、購入方法は • http://kawashima-pb.kazekusa.co.jp/order/order.php3 現在第3刷発売! 図書の紹介 • 『特別支援教育を支える行動コンサルテー ション』:学苑社 http://www.gakuensha.co.jp/ ・『特別支援教育ハンドブック』:第一法規 http://www.daiichihoki.co.jp/dhweb/home/index.asp さらに、「こうすればできる!」:川島書店 (問題行動対応マニュアル)5月刊行!
© Copyright 2024 Paperzz