工学系研究科 SHIOMI 機械システム工学専攻 NORIMASA 塩見 憲 正 准教授 「斜流式送風機の性能と内部流れに関する研究」 「プロペラファンの設計と性能改善に関する研究」 「潮流発電システム用集流加速装置に関する研究」 [キーワード] 空気機械,斜流送風機,プロペラファン,排気,冷却,海洋エネルギー 進 化 し 続 け る フ ァ ン 技 術 の ビ ジ ネ ス 展 開 研究紹介 ◆研究概要 現在使用されている流体機械の原型は産業革命の時代 まで遡ることができます.この技術は永年にわたり常に 性能改善が図られてきており,現在では発電・送水・圧 縮などの機能により電気・水道・ガスといったインフラ を支える重要な役割を果たしています.また流体機械の 利用は産業用だけではありません.私達の身の回りでも 多く使用されており,扇風機や換気扇だけでなくエアコ ン・ファンヒーター・ドライヤー・電子機器内部・自動 車内部などで必須の製品です.当研究室では社会を支え る流体機械,特に空気を媒体とする空気流体機械の性能 向上を目指し,設計法の検討や性能の検証,また性能に 大きな影響を及ぼす羽根車まわりの流れ場の実験的解明 を主に行っています. ◆斜流送風機について ターボ形空気機械は,主に風量確保に優れた軸流式と 圧縮能力に優れた遠心式に分類され,これらの研究は 200 年以上の歴史があります.この技術進化の過程 で,進化軸流式と遠心式の中間的な性能を持つ斜流式が 開発されました.斜流式は出口の形状を変化させること で前記の2方式に対応が可能な優れた送風機です.しか し後発である斜流式は,設計法が確立してから 30 年程 度であるため,一般にはあまり普及していません. 当研究室では,本来は不適切な領域で使用されている 軸流式や遠心式に代わり最適な性能を有する斜流送風機 の提供を行うため,様々な形状の羽根車について設計か ら性能評価・性能改善まで研究を行っています. ◆プロペラファンについて 家庭内で使用される比較的サイズが小さく,低圧の軸流 ファンをプロペラファンといいます.代表的なものは扇風 機ですが,同様のファンは様々な家電製品や自動車などの 乗物でも使用されています.これらの小型軸流ファンの中 でも特に当研究室が着目しているのは,携帯型電子機器で 使用可能な超小型冷却ファンの開発です.携帯型電子機器 は小型化が進み,その性能は向上し続けています.基本的 に,性能の向上には使用電力量の増加を伴い,その結果発 熱量も増加します.電子部品は熱に弱いため,発生熱の放 置は故障の原因となり,熱対策は必須です.例えば,一昔 前のデスクトップパソコンでは内部に小型のファンが組 み込まれ CPU を冷却していました.このシステムを携帯 型電子機器へ導入することは大変有効であると考えてい ますが,極めて狭い内部空間においては,既存のファンで は十分な冷却効果を得ることはできません.そこで,狭い 空間で性能を保証できる小さなプロペラファンの開発を 目指しています.設計・製作・検証,そして得られた結果 を設計にフィードバックすることでさらなる性能改善を 行う研究を行っています. ◆潮流発電用システムについて 日本は周囲を海に囲まれ,数多くの島を有する島嶼国家 です.鳴門の渦潮に代表される島嶼(海峡)部では潮の干 満に伴い潮流と呼ばれる流れが発生します.この潮の流れ を利用してタービン(流体機械)を回し発電しようとする のが潮流発電です.潮流発電の基本コンセプトは陸上にお ける風車と同じものですが,海中であるために考慮すべき 事項が多々有ります.当研究室では,風車のように羽根車 がむき出しの状態ではなく,うまく流れを集め潮流発電を 行うシステムの開発に着手しています. 掲載情報 2016 年8月現在 ファンを内包する製品を 開発されている関係者へ 一言アピール 様々な機械製品・家電機器の内部に組み込まれている排気・送風・冷却用 ファンの開発を行っています. 産学・地域連携機構より ファン技術に関わる分野は,長い歴史を持つことから,すでに完成さてれいるものと思われ がちです.しかしながら,目的や用途によって,まだまだ開発・改良を求められています. ファンを用いたビジネス展開をお考えの方は気軽にお声掛けください. 佐賀大学研究室訪問記 2016 佐賀大学 産学・地域連携機構 (佐賀県佐賀市本庄町1番地) (お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課 TEL:0952-28-8416 E-mail:rdcenter@ml.cc.saga-u.ac.jp
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