通訳の仕事

政治、ビジネス、学術等
国際会議の仕事
会議通訳者
専門分野における相互交流と
国際理解の促進を支える
会議通訳者とは?
„ 会議通訳者(Conference Interpreter)
一般に「同時通訳者」とも呼ばれる
„ 同時通訳の技術を習得している
„ 主に国際会議で通訳を務める
„ 通訳技術そのものを提供することが仕事
„ 大部分はフリーで活躍している
„ エージェントによるランク分けがある
„
„
„
„
Aランク:どんな専門分野でもこなせる同時通訳者
Bランク:全分野で逐次、一般的内容の同時通訳
C(一般通訳):経験年数が浅く、同時は得意分野で
会議通訳者の仕事
„ 企業
„
記者会見、商談、記念式典、新製品発表会、
研修、VIP付き、社内会議
„ 学術関連の国際会議
„
学会、講演会、シンポジウム
„ 来日著名人の講演会
„ ビジネス関係のシンポジウム、セミナー
„ パーティー、祝賀会、懇親会
会議通訳者が扱う分野
„ 国際交流が盛んな分野
自然科学系の学会
„ 政治、ビジネス
„
„ 時代の先端を行く分野
„
移動体通信、半導体など
„ 収益をあげている分野
„
移動体通信、コンピュータ、自動車など
※需要と供給および仕事の内容は国際情勢に大きく左右される。
例:天安門事件後しばらくの中国語、体制崩壊時のロシア語、
統一時のドイツ語などなど
会議のテーマ(例)
„ 理科教育セミナー
„ バイオテクノロジーと農業の未来
„ 半導体投資セミナー
„ ポップ・ミュージックがつなぐアジア
„ 中国通信学会来日視察向けプレゼンテーション
„ 次世代移動体通信技術に関する技術説明会
„ 自動車安全技術プレゼンテーション
„ プラスチック技術懇談会
(以上のテーマは全て永田が最近受注したもの)
国際会議場
„ 大規模な国際会議場
„ ホテルなどの大会議室を使うこともある
同時通訳ブース
„ 同時通訳装置の置かれた常設ブース
ブースから会場を見る
会議通訳者になるには
„
資格制度はない
„
„
„
通訳スクールで学ぶことが会議通訳者への近道
OJTの紹介を受け、簡単な仕事から開始
„
„
„
見本市ブース付き、商談通訳、通訳コンパニオン、随行
通訳など一般通訳の仕事から開始する
主に半年以上在籍している成績優秀者を講師が推薦
最上級クラス進級
„
„
誰でもなれる。問題は仕事がとれるかどうか。
講師や先輩と一緒に会議デビュー
順調にいけば会議デビュー後5年ほどで中堅通訳者
通訳スクール
„ PCO(Professional Congress Organizer:会議の手配、
通訳者の派遣同時通訳設備のレンタルを請け負う会社)
付属の通訳者養成訓練校
„ 東京都内の代表的なスクール
„
„
„
„
アイエスエス(日・英/中/西)
„ http://www.issnet.co.jp/learn/index.html
インター・スクール(日・英/中/韓)
„ http://www.intergroup.co.jp/school/
コングレ・インスティテュート(日・英)
„ http://www.congre.ad.adv.to/_Z_4zJ0Aqk/institute/
index.html
サイマル・アカデミー(日・英/中/仏)
„ http://www.simul.co.jp/academy/academy2.html
通訳スクール受講レベル
„ 英語の例(TOEIC)
入門レベル:750点∼
„ 基礎レベル:800点∼
„ 本科レベル:900点∼
„ 同時通訳訓練:950点∼
„
„ 中国語の例(中国語検定)
入門レベル:準二級∼
„ 基礎レベル:二級∼
„ 本科レベル:一級∼
„
„ OJTは基礎レベル以上の受講者にアサイン
通訳者としてデビューする
„ 会社勤め・無職 → フリー通訳者へ
„
大学卒業と同時に通訳開業は困難
„
„
レベル、知識、マナー、通訳技術などの問題
経験者優遇
一般的に会社に勤めながら通訳スクールで勉強
„ 女性は子育ての時期に
„
„ OJTで経験を積み、いよいよ開業へ
通訳派遣エージェントに登録
„ 税務署に個人事業主開業届け出(青色申告)
„ 最初は一般通訳の仕事から徐々に会議通訳へ
„
国際会議通訳業務の流れ
資料の受け取り
エージェントから依頼
資料読み、調べ物
<事前準備>
打ち合わせ
会議本番
終了報告
会議通訳者の収入
„ 日当
„ 一日40,000∼80,000円
„ 半日20,000∼40,000円
„ 通訳者のランク、クライアント、エージェントにより異なる
„ 若手通訳者、新規参入業者のダンピングが問題
„ 年収ベースで見ると個人差が非常に大きい
„ 100万円未満∼1000万円超まで
„ 英語以外の会議通訳者では通訳の収入だけで生活でき
る人はほとんどいない。収入は非常に不安定。非英語会
議通訳者はほとんどが他の仕事と兼業。
研修、随行、交渉などの
仕事
一般通訳
産業や経済の国際交流を支える通訳者
一般通訳とは?
„ 同時通訳は原則として行わない(まれにウィスパリングが
„
„
„
„
„
求められる程度)
求められるのは通訳技術の提供だけではない
会議通訳者と異なり一人で働くことが多い
業務の内容は多岐にわたるが、主に研修通訳や随行、
簡単なビジネス・ミーティングを行う
通訳内容は専門性の低いものが多い
特に研修通訳は政府の外郭団体である国際交流協力セ
ンターが長期間にわたって主催することが多く、非英語
一般通訳者の業務を多く提供している
一般通訳の仕事
„ 日常レベルでのコミュニケーションを主とする
„ 一般通訳のレベル分け
あいさつ、日程説明、会食、買い物の世話、会場
案内、エスコート、国際見本市など → 駆け出し
„ 専門性・技術性の低い商談、交渉、随行、宴会、
工場見学など → 経験2年程度∼
„ 技術研修通訳、視察団随行、一般的な講演、複
雑な企業ミーティング → 経験5年程度∼
„
„ 一般通訳の仕事が順調なら会議通訳者は目指
さない人がほとんど。
一般通訳の収入
„ 日当 (およそ会議通訳者の半分)
一日20,000∼40,000円 半日10,000∼20,000円
„ 通訳内容、クライアント、エージェントにより差がある。
„ 若手通訳者、新規参入業者のダンピングが問題
„ 年収ベース(個人差が非常に大きいが上限が低い)
„ 100万円未満∼500万円程度
„ 英語以外は通訳の収入だけで生活できる人はほとんどいな
い。翻訳と兼業の場合が多い。長期の出張業務が継続的に
入れば生活は安定。途中から社内通訳者など専属の仕事を
手に入れる人も多い。
„ JICE、AOTSなどへの登録は収入安定につながる
„
JICE 日本国際協力センター
„ 「研修監理員」という名称で募集
„ http://www.jice.org/cdn/index.html
„
„
„
JICA(国際協力事業団)が国内で実施する研修コースにおいて、通訳
や各種調整業務を担当。研修コースの開始から終了まで、研修員を支
え、研修の円滑な実施に向けたコーディネーションを行う重要な業務。
随時登録試験を実施している言語
ヴィエトナム語(ベトナム語)、インドネシア語、タイ語、マレイ語(マレー
語)、カンボディア語(カンボジア語)、ラオス語、ペルシア語(ペルシャ
語)、トルコ語、ミャンマー語
定期募集のみ行っている言語:英語 、中国語 、スペイン語 、フランス
語 、ロシア語 、ポルトガル語 、ネパール語 、シンハリ語 、ディベヒ語 、
セルボ・クロアチア語 、ポーランド語 、ブルガリア語 、ルーマニア語 、イ
タリア語 、チェコ語 、スロヴァキア語 、アラビア語 、 モンゴル語 、韓国
語 、スワヒリ語 、イタリア語
JICEに登録するには
„ 選考方法 : 語学試験(筆記、ヒアリング等)及び面接試験
„ 英語は、語学試験の免除基準あり
英検1級、ビジネス英検130点以上、国連英検A級以上、TOEFL560点以
上、TOEIC790点以上、通訳検定2級以上、通訳案内業資格
※免除されるのは、筆記試験のみ。面接口頭通訳試験は実施
問合わせ先:
〒163-0489 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号 新宿三井ビル内
私書箱300号(15階)
財団法人 日本国際協力センター 研修監理部 研修監理業務課
担当:土屋 (ツチヤ) TEL 03-5322-2686 / FAX 03-5322-2680 /
E-mail boshu@jice.org
AOTS 海外技術者研修協会
„ http://www.aots.or.jp/
„ 海外技術者受入研修事業
発展途上国の技術者や経営管理者を日本に受入れ、固有技術や経
営管理に関する研修
„ 貿易投資円滑化等協力研修生受入事業
APEC域内の貿易や投資の自由化・円滑化を進めるため、工業所有
権、標準化、計量等に関する研修を日本で行う
„ APO受入研修事業
APO(アジア生産性機構)の要請に基づき、日本政府の委託を受け
てAPO加盟国の参加者を対象に、生産部門問題解決研修コースと
生産管理情報システム研修コースを実施
テレビ二カ国語放送の仕事
放送通訳者
海外のニュースをいち早く伝える
放送通訳の方法
„ 時差通訳
„
外国語ニュースを事前に翻訳し、放送時にはオリ
ジナルの音声と同時に翻訳原稿を読み上げる(ボ
イス・オーバー)
„ 半生(セミ)同通
„
翻訳する時間がなく、一回か二回、ビデオに録画
したニュースを見てすぐにオンエアー
„ 生同通
„
突発的な事故など速報性を要求されるニュースで
はぶっつけ本番で同時通訳をおこなう
放送通訳の言語的特徴
„ テレビの視聴者という不特定多数に向けて発信
するマスメディアの仕事である
„
耳で聞いてわかりやすい日本語
„
„
„
„
„
„
誤解を招く語彙は使わない(同音異義語など)
難しい漢語はさけて和語を使う
なじみのない略語には補足説明
複雑な構文はさけて短い文で
映像にあわせて日本語訳を編集
アナウンサー並みの明瞭な発音、発声
放送通訳者の資質
„ ジャーナリスト
„
世界の出来事に関心があり、時事問題に敏感
„ アナウンサー
„
聞きやすい発音、発声、速度、正しいアクセント、
抑揚
„ 通訳者
„
同時通訳にも対応できる通訳技術
„ 翻訳者
„
時差通訳における読み原稿作成
スポーツ、エンターテイメント
の仕事
スポーツ、芸能通訳
歌手、俳優、スポーツ選手の
コミュニケーションを助ける通訳者
仕事の内容
„ 芸能通訳
„
来日したアーティストの記者会見、インタビュー、テレビ出
演およびその打ち合わせ、日常生活の世話、スケジュール
管理、芝居の稽古やリハーサルの通訳など多岐にわたる
„ スポーツの通訳
„
„
国内外で開催されるスポーツ大会などイベントでの通訳
(選手団付き、事務局付き、VIP付き、プレス、インフォメー
ション、連絡など)
プロスポーツ(野球、サッカー、格闘技など)の選手付き、イ
ンタビュー、練習、スタッフ、他の選手とのコミュニケーショ
ン、生活全般の世話
仕事の始め方と収入
„ 芸能関係
„
„
„
一般通訳や会議通訳とは異なり通訳エージェントからの派遣はき
わめて少ない
音楽プロモーター、映画配給会社に直接連絡して自分でルートを
作ること。
実際には芸能関連の会社に勤務していた人、字幕翻訳家、もと俳
優・演出家・脚本家などが多い
„ スポーツ・イベント
„
通訳エージェント経由で募集、一般通訳と同じルート
„ プロスポーツ選手付き
„ 口コミ、コネによる紹介がほとんど
„ 収入
„
一般通訳と会議通訳のあいだくらい。一日20,000∼80,000円
芸能・スポーツ通訳者の資質
„ 自分が通訳を行うジャンルに関する幅広く深い
知識が必要
„
„
映画、演劇、音楽などに関する知識
スポーツのルール、周辺的情報(選手、記録、チームの勝
敗などなど)
„ 舞台度胸が必要
„
テレビ出演や記者会見など人前に出て通訳する
„ ホスピタリティーが必要
„
アーティストやスポーツ選手と長時間ともに行動するため、
世話好きな性格が望ましい
通訳の仕事に関する参考図書
『一度はやってみたい こんな仕事 通訳・翻訳』 すばる舎
『通訳者・翻訳者になる本』 イカロス出版
『通訳事典』 アルク
『映像翻訳・放送通訳 完全ガイド』 イカロス出版
通訳の仕事に関する参考図書
『通訳席から世界が見える A message after 22 years』 筑摩書房
『入門 通訳を仕事にしたい人の本』 中経出版
『マスコミの通訳者・翻訳者になる本 』
『通訳の現場から』 朝日出版社
イカロス出版
政府機関、地方自治体
„ 職員として団体や財団法人あるいは都道府県庁
の国際課などに勤務し、国際交流業務を行う。
„ 通訳業務は本来業務の付帯的なものとして扱わ
れる場合が多い。
„ 仕事の内容
海外との連絡(翻訳業務を含む)
„ 外国訪問の手配、随行、通訳
„ 来日訪問団の受け入れ、接待、見学や訪問のア
レンジ、随行通訳など
„
ボランティア通訳
„ 各地の国際交流協会
„ 仕事の内容
地域で開催される国際交流イベント
„ 病院での医療通訳
„ 外国人向け市民相談窓口業務 など
„
„ 問題点
無償奉仕であるため責任感が薄い
„ 語学の勉強のために参加する人がいる
„ レベルの低い「使えない通訳者」が少なくない
„