頭蓋底髄膜腫と神経鞘腫の鑑別診断におけるASL潅流MRI

臨床研究に関する情報公開
福井大学医学附属病院放射線科では,倫理審査委員会の承認を得て,下記の臨床研究を実施します。
関係各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。なお 2009 年 4 月から 2011 年 9 月の間, 当院脳
神経外科で手術を受けられて髄膜腫および神経鞘腫と診断された患者さんで,この期間に撮像され
た MRI 画像および手術標本を本研究の試料として使用されることを拒否される方は下記問い合わせ
先へご連絡ください。研究期間にご連絡頂いた時点より集計対象から除外することを保証致します。
平成 25 年 2 月
福井大学医学部附属病院 放射線科
【研究課題名】
頭蓋底髄膜腫と神経鞘腫の鑑別診断における ASL 灌流 MRI 画像の有用性評価
【研究期間】 承認日 から
平成 25 年 12 月 31 日
【研究の意義・目的】
ASLはMR灌流画像の一つで,血液中のスピンをラジオ波で磁化を与えること(ラベリング)によ
って,血液そのものを内因性トレーサとして観測領域の灌流を評価する手法である。ASLは撮像時
間が長いことが欠点であったが,3テスラ以上の高磁場MRI装置を用いることで信号雑音比の向上,
血液のT1緩和時間の延長により感度が上昇するため,比較的短時間に撮像できるようになり,日常
臨床へ普及しつつある。従来のASLシーケンスは,画像収集の基本としてEcho plannar imagingが
用いられたため,特に3テスラ装置で,強い磁化率アーチファクトによる歪みのために頭蓋底で病変
を評価することが難しかった。現在,ASLの撮像は3D-fast spin echo収集を基本シーケンスとして
全脳を対象とする画像が得られるようになってきた。この撮像では,頭蓋底部でも磁化率アーチフ
ァクトの影響を受けないため,造影剤なしでASL画像は頭蓋底脳腫瘍を評価する能力があると考え
られる。
一方,一般的な頭蓋底脳腫瘍で髄膜腫と神経鞘腫が鑑別で問題となる。これらの脳腫瘍は,治療方
法や手術のアプローチが異なるため,正確な術前診断がこれら2つの腫瘍を区別するために必要とな
る。神経鞘腫では神経温存が要求され,髄膜腫では,再発を防ぐためにも硬膜を含めた摘出が必要
とされ,正確な術前診断は予後に影響する可能性がある。現在まで,造影剤を用いてこれら2つの腫
瘍を鑑別する方法は報告されているが,非造影検査での報告は見られず,ASL画像が鑑別診断のキ
ー画像となりうる可能性がある。
【研究の方法】
同意が得られた頭蓋底髄膜腫および神経鞘腫の患者の ASL-MRI 画像から腫瘍血流量を計測す
る。手術標本から腫瘍の微小血管領域を調べるために,CD-34 染色陽性域を計測する。それぞれの
腫瘍の血流量の有意差、腫瘍血流量と腫瘍の微小血管領域との関連があるかどうかを統計的な手法
を用いて検討する。
【研究組織】 実施責任者
山元龍哉 放射線科
助教
研究分担者
木村浩彦 放射線科
教授
〃
竹内浩明 脳神経外科
准教授
〃
小寺俊昭 脳神経外科
講師
【本研究に関する問い合わせ先】
本研究は,検体を匿名化して取り扱い,個人情報を厳重に保護して行います。なお、本研究や
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○問い合わせ窓口
〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月 23-3
福井大学医学部附属病院
電話:0776-61-8371
放射線科
山元龍哉
Fax:0776-61-8137
E-mail:yamagen@u-fukui.ac.jp
○苦情の窓口
〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月 23-3
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