中部日本小児科学会 - 三重大学大学院医学系研究科・医学部

第49回
中部日本小児科学会
プログラム・抄録集
日 時
2013年8月25日㈰ 9:00∼
会 場
三重県医師会館
〒514 8538 三重県津市桜橋二丁目191番4
TEL:059 228 3822
駒 田 美 弘
会 長 (三重大学大学院医学系研究科小児科学教授)
《事務局》三重大学大学院医学系研究科小児科学
〒514 8507 三重県津市江戸橋2丁目174番地
TEL : 059 232 1111(内線6467) FAX : 059 231 5213
ご 挨 拶
この度、第49回中部日本小児科学会学術集会を開催させていただきますことを、教室員一同大変光栄
に存じております。
会期といたしましては、平成25年8月25日(日)に、三重県医師会館(津市)を学会会場として開催
いたします。今回は遠方での開催にも関わらず、多数の施設より58題もの一般演題の申し込みをいただ
きました。改めまして学会会員の先生方に心より御礼申し上げます。特別講演には、三重大学放射線医
学分野教授の佐久間 肇先生に、「最近のCT・MRIの進歩−診断能向上と被ばく低減を目指して」のご
講演をお願いしております。
目覚ましい画像診断技術の進歩をわかりやすく解説していただくとともに、
最近注目されています子どもへの被ばくを低減できればという観点からもお話を拝聴できるものと楽し
みにいたしております。また、ランチョンセミナーとしましては、川崎医科大学小児科教授の中野貴司
先生に「予防接種で子どもを守る∼世界の動向とわが国の展望」をお願いいたしました。わが国のワク
チン学の第一人者のお一人でもある先生ですし、up-to-dateな内容をお聞かせいただけるものと思って
おります。多数の先生方のご参加をお待ちいたしております。
恒例の野球大会は、学術集会前日の8月24日(土)に津市近隣の3つの野球場にて開催いたします。
例年のように、猛暑の中での開催になるものと思いますが、くれぐれも事故、怪我等にはご注意をして
いただき、日頃の成果を発揮していただければと思います。野球大会終了後には、会員懇親会と野球大
会表彰式を、ホテルグリーンパーク津にて予定いたしております。野球大会での健闘を讃え合い、美味
しいビールと食事を楽しんでいただければと思います。
最後に、本学術集会の開催にあたりましたご尽力、ご協力をいただきました諸先生方、ならびに、ご
支援を賜りました関係各位にこの場をお借りいたしまして、厚く御礼申し上げます。
平成25年盛夏 第49回中部日本小児科学会 会 長 駒 田
美 弘 (三重大学大学院医学系研究科小児科学)
1
第49回中部日本小児科学会のご案内
1.会場
三重県医師会館 〒514 8538 三重県津市桜橋二丁目191番4
受 付:ロビー(1階)
第1会場:大ホール(2階)
一般演題 特別講演
第2会場:健康教育室(1階)
一般演題 ランチョンセミナー
2.参加費・参加証
・学会参加費は 3,000円です。
・医学部学生および初期研修医は参加費無料とします。当日、医学部学生は学生証、初期研修医は小
児科責任者が作成した証明書(書式は自由)を持参の上、受付にてご提示ください。
・日本小児科学会専門医制度の基本単位該当研修会です。
(8単位)
・会場内では必ずネームカードをご着用下さい。
・参加受付は学会当日の8:30より行います。
3.一般演題の発表要領
・発表形式は液晶プロジェクターによる発表のみです。
・学会場にはPowerPoint2007以降を準備します。発表用ファイルをUSBメモリ−等でご持参下さい。
その他のファイルも使用可能ですが、
予めスライド受付にて動作確認をお願いします
(最終的なファ
イルの動作確認はご自身でお願いいたします)
。
・動画や特殊なフォントには対応できません。システム標準のフォントを推奨します。また、
アニメー
ション機能はご自身で動作確認をお願いします。
・Mac版には対応できません。Macで作成したPower Pointファイルは、必ずWindowsで文字ズレ等
を修正した後、Windows版ファイルとしてご持参ください。
・PCの持込には対応いたしませんので、必ずメディアでご用意ください。
・発表時の操作は演者で行ってください。
・発表30分前までに、スライド受付をお済ませ下さい。
・発表時間は7分、討論は3分以内です。時間厳守でお願いします。
・演者の方は、学会当日までに必ず二次抄録(演題名、演者名を除き、本文200字以内厳守)を事務
局(syouni@clin.medic.mie-u.ac.jp)まで提出してください。二次抄録を提出されない場合は一次
抄録を代用させていただきます。小児科学会雑誌掲載用です。
4.一般演題の座長の先生へ
・15分前までに次座長席にお着きください。
・時間厳守でお願いいたします。
5.日本小児科学会中部地区代議員会・中部日本小児科学会運営委員会
日 時:8月25日(日) 12:10∼13:00
場 所:三重県医師会館 4階代議員会室
2
6.第21 回日本小児科医会中部ブロック連絡協議会
日 時:8月24日(土)
16:30∼19:00
場 所:ホテルグリーンパーク津 6階 橘の間
〒514 0009 三重県津市羽所町700 TEL:059 213 2111
会 長:山城 武夫(第21回中部ブロック連絡協議会会長)
お問い合わせ先:山城 武夫 電話:059 256 8855 E mail:ped-8046@ztv.ne.jp
7.日本小児科学会中部地区社会保険委員会
日 時:8月24日(土)
17:00∼19:00
場 所:ホテルグリーンパーク津 6階 葵の間
〒514 0009 三重県津市羽所町700
電 話:059 213 2111(代表)
FAX:059 213 2112
8.懇親野球大会
8月24 日(土)9:00より、津市北部運動広場・芸濃グラウンド・河芸第1グラウンドにて開催い
たします。詳細は各大学担当者宛にご連絡いたします。
9.懇親会・野球大会表彰式
学会恒例の懇親野球大会の表彰式を兼ねて、懇親会を下記のとおり開催いたします。奮ってご参加
下さい。
日 時:8 月24 日(土)
受付開始 18:00 開宴 18:30 場 所:ホテルグリーンパーク津 6階 伊勢・安濃の間
〒514 0009 三重県津市羽所町700
電 話:059 213 2111(代表)
FAX:059 213 2112
会 費:3,000 円
10.託児所のご案内
8月25日(日)8時30分より学会終了まで会場内にて託児室を設けます。満2歳∼就学前までの児
を若干名受け入れ可能です。託児をご希望の方は8月15日正午までに事務局へご連絡下さい。
※ご不明の点がございましたら事務局までご連絡下さい。
【第49回中部日本小児科学会事務局】
〒514 8507 三重県津市江戸橋2丁目174番地
三重大学大学院医学系研究科小児科学
出口 隆生
taka-d@clin.medic.mie-u.ac.jp
Tel:059 232 1111(内線6467)
Fax:059 231 5213
3
会場周辺案内図
三重県医師会館 〒514 8538 三重県津市桜橋二丁目191番4
JR・近鉄津駅より東へ750m、タクシーで3分、徒歩で15分
伊勢自動車道 津インターより車で15分
詳しくは http://www.mie.med.or.jp/hp/about/access/index.html
津駅周辺図
※学会会場には駐車場がありません。公共交通機関をご利用してお越し下さい。
お車で来られる場合は、津駅周辺の駐車場をご利用下さい。 4
会場案内図
三重県医師会館 〒514 8538 三重県津市桜橋二丁目191番4
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懇親会・野球大会表彰式会場案内図
ホテルグリーンパーク津 〒514 0009 三重県津市羽所町700
6階 宴会場
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※ホテルグリーンパーク津には駐車場がありませんので、ホテル北にある市営
アスト津駐車場をご利用下さい。
(ホテル契約あります。フロントに確認して下さい)
詳しくは http://www.greens.co.jp/gptsu/
6
プログラム
PROGRAM
日 程 表
2013年8月25日
(日)
:三重県医師会館 第1会場
2階 大ホール
8:30
受付開始
8:55
開会の辞
9:00
第2会場
1階 健康教育室
4 階代議員会室
9:00
内分泌
新生児
(30-33)
(1-5)
9:40
9:50
血液腫瘍
川崎病
(34-38)
(6-9)
10:30
10:30
アレルギー・免疫
リウマチ・自己免疫
不全(10-13)
(39-42)
11:15
特別講演
12:05
12:10
12:10
ランチョンセミナー
13:00
13:05
13:30
代議員会
13:00
代議員会報告
感染症1
13:30
(14-16)
循環器・呼吸器1
14:00
(43-46)
感染症2
(17-20)
14:10
循環器・呼吸器2
(47-49)
14:40
14:40
感染症3
腎臓
(21-24)
(50-53)
15:20
15:20
神経
栄養・保健
(25-29)
(54-58)
16:10
16:10
閉会の辞
7
PROGRAM
1
第 会場(2階 大ホール)
8:55∼9:00
一般演題
開会の辞
───────────────────────────────────
(午前の部)
9:00∼9:50
新生児
座長:村松幹司(名古屋第二赤十字病院)
1.先天性サイトメガロウイルス肺炎の新生児例
伊勢赤十字病院 小児科
前山隆智,中藤大輔,間宮範人,吉野綾子,坂田佳子,山城洋樹,伊藤美津江,馬路智昭,
東川正宗
2.HPA-3a抗原不適合による新生児同種免疫性血小板減少性紫斑病(NAITP)の一例
愛知県厚生農業協同組合連合会海南病院 小児科
岩脇由希子,松永幸恵,吉兼正英,鈴木敦詞,森麻里,尾関和芳,六鹿泰弘,田中伸幸,
浜田実邦,小久保稔,一木貴
3.NICUにおける新生児敗血症の発生状況
名古屋市立西部医療センター 小児科
後藤玄夫,小林美月,吉岡モモ,永留裕佳,芦刈友佳,伊藤翠,水野賀史,福田恵子,
水野なずな,角田優子,清水正己,横井暁子,小林悟,神岡直美,濱嶋直樹,鈴木悟
同 産婦人科
柴田金光,鈴木佳克,西川尚美
同 検査課
堀隆彦,平間裕美,則武直美
4.選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)内服母体から出生し、新生児適応不
全症状をきたした21トリソミーの一例
名古屋記念病院 小児科
林咲也子,三輪田俊介,野口智靖,藤城尚純,徳永博秀,森田誠,長谷川真司
5.胎児母体間輸血症候群を契機に発見された胎盤内絨毛癌の1例
公立陶生病院 小児科
浅井貴文,加藤英子,伊藤諒一,立川雅美子,楢原翔,上田一仁,松井照明,田上和憲,
大江英之,足達武憲,森下雅史,家田訓子,山口英明
8
第49回 中部日本小児科学会
9:50∼10:30
川崎病
座長:中村常之(金沢医科大学)
6.意識障害が先行した川崎病の1例
名古屋掖済会病院 小児科
山内梢,奥村俊彦,水谷公美,宮本亮佑,船橋浩一,伊藤洋絵,伊藤早苗,松岡佐知,
武田将典,木村量子,西川和夫,長谷川正幸
7.血漿交換療法によりステロイド投与を中止できた川崎病の1例
あいち小児保健医療総合センター 感染免疫科
河邉慎司,林直史,白木真由香,中瀬古春奈,阿部直紀,岩田直美
8.免疫グロブリン療法(IVIG)不応が予測される川崎病症例におけるステロイドパ
ルス治療(IVMP)の有効性の検討
岐阜県総合医療センター 小児科
森理香子,阪下達哉,服部亜季子,星みゆき,丸田香奈子,若原敦嗣,松波邦洋,松隈英治,
松尾直樹,今村淳
9.川崎病免疫グロブリン治療前における末梢血白血球数および好中球数推移の検討
金沢医科大学 小児科
小栗真人,玉貫啓太,秋田千里,北岡千佳,岡田直樹,中村常之,犀川太
羽咋病院 小児科
石田茂雄
10:30∼11:10
アレルギー・免疫不全
座長:加藤善一郎(岐阜大学)
10.養護教諭がアドレナリン自己注射器(エピペン_)を使用した食物アレルギーの2
症例
あいち小児保健医療総合センター アレルギー科
中田如音,中川朋子,松井照明,杉浦至郎,漢人直之,伊藤浩明
11.乳幼児喘息のダニアレルゲン感作と重症度についての検討
国立病院機構三重病院 臨床研究部
山下敦士,長尾みづほ,近藤真理,平山淳也,貝沼圭吾,藤澤隆夫
12.ウニアレルギー抗原解析と交差反応性の検討
藤田保健衛生大学坂文種報徳曾病院 小児科アレルギーセンター
田中健一,森雄司,平田典子,鈴木聖子,近藤康人,宇理須厚雄
藤田保健衛生大学病院 小児科
大久保悠里子,山脇一夫,犬尾千聡,中島陽一,柘植郁哉
9
PROGRAM
1
第 会場(2階 大ホール)
13.高IgE症候群にアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を合併した一例
愛知医科大学病院 小児科
山川紀世志,北川好郎,堀壽成,鬼頭敏幸,縣裕篤
愛知医科大学病院 呼吸器内科
田中博之
11:15∼12:05
特別講演
座長:駒田美弘(三重大学)
最近のCT・MRIの進歩−診断能向上と被ばく低減を目指して
三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座放射線医学分野 教授 佐久間 肇 先生
13:05∼13:30
10
代議員会報告
第49回 中部日本小児科学会
一般演題
───────────────────────────────────
(午後の部)
13:30∼14:00
感染症1
座長:一見良司(伊勢赤十字病院)
14.当院での初回尿路感染症後の精査について(The American Academy of Pediatrics
(AAP)のガイドライン(2011)と比較して)
豊橋市民病院 小児科 金原有里,中村勇治,櫻井典子,河邊宏幸,真島久和,小山智史,長柄俊祐,田中達之,
慶田喜孝,川瀬恒哉,佐々木智章,相場佳織,山田崇春,竹内幸,幸脇正典,伊藤剛,
小山典久
15.小児発熱性尿路感染症における腎尿路超音波検査の有用性に関する検討
トヨタ記念病院 小児科
加藤耕治,原紳也,五十里東,駒井円香,服部浩平,新井紗記子,山本英,北瀬悠磨,
山本ひかる,牛田肇,木戸真二,奥村直哉
16.当院における有熱性尿路感染症の起炎菌と基礎疾患の検討
社会医療法人宏潤会大同病院 小児科
山口直哉,新井友理,田村泉,安井竜志,宮野貴幸,大辻塩見,中嶋枝里子,小田明子,
後藤紀子,須田裕一郎,浅井雅美,水野美穂子
14:00∼14:40
感染症2
座長:畑崎喜芳(富山県立中央病院)
17.化膿性筋炎の一例
富山県立中央病院 小児科
谷口千尋,久保達也,藤田修平,松田裕介,猪又智実,嶋尾綾子,上野和之,東山弘幸,
二谷武,五十嵐登,畑崎喜芳
同 母子医療科
伊奈志帆美
泉小児科医院
泉紀子
18.当院で過去15年間に経験した化膿性髄膜炎40例の臨床的検討
聖隷三方原病院 小児科
吉田悟,大箸拓,大前隆志,明城和子,野村武雅,吉村歩,側島健宏,中島秀幸,木部哲也,
横地健治
11
PROGRAM
1
第 会場(2階 大ホール)
19.名古屋大学小児科関連施設で経験した細菌性髄膜炎症例の後方視的検討
名古屋大学医学部 小児科
伊藤祐史,安藤将太郎,鈴木道雄,杉山裕一朗,村松秀城,佐藤義朗,川田潤一,加藤太一,
夏目淳,小島勢二
春日井市民病院小児科
星野伸
岡崎市民病院小児科
辻健史
20.急性細菌感染症回復期におけるプロカルシトニン(PCT)とCRPとの比較検討
─抗菌剤適正使用期間に関する考察─
富山県立中央病院 小児科
松田裕介,五十嵐登,久保達哉,藤田修平,畑崎喜芳
14:40∼15:20
感染症3
座長:西村直子(江南厚生病院)
21.肺炎球菌ワクチン接種後に肺炎球菌侵襲性感染症に罹患した2例
名古屋市立大学病院 小児科
大下裕法,青山幸平,加藤沙耶香,根岸豊,鈴木一孝,伊藤孝一,遠藤剛,服部文子,
犬飼幸子,水野晴夫,伊藤哲哉,齋藤伸治
22.髄膜炎症状および髄液異常が6週間以上遷延したムンプス髄膜炎の1歳女児例
江南厚生病院 こども医療センター
後藤研誠,西村直子,川口将宏,武内俊,服部文彦,堀場千尋,伊佐治麻衣,岡井佑,
細野治樹,竹本康二,尾崎隆男
北里生命科学研究所 ウイルス感染制御
中山哲夫
23.最近2年間に経験したHHV−6関連脳症9例の検討
JA愛知厚生連豊田厚生病院 小児科
牧祐輝,田中ふみ,鬼頭真知子,沼田真一郎,梶田光春
24.成人の風疹HI抗体価保有率について
名鉄病院 予防接種センター 宮津光伸,菊池均
同 小児科
永田俊人 総合上飯田第一病院 小児科
後藤泰浩 山本ウイメンズクリニック
山本悦子
12
第49回 中部日本小児科学会
15:20∼16:10
神経
座長:夏目淳(名古屋大学)
25.MRIで発見された原因不明の大脳白質病変の検討
あいち小児保健医療総合センター 神経科
大野敦子,鈴木基正,糸見和也
26.出生直後に脳出血を起こした脳動静脈奇形の1例
信州大学 小児科
三代澤幸秀,中村千鶴子,赤澤陽平,平林佳奈枝,島庸介,古本雅宏,大日方春香,
小池涼介,小池健一
27.出生時より多発性脳出血がみられた静脈洞血栓症の1例
名古屋第二赤十字病院 小児科 森由佳,周戸優作,矢野聡子,柴田玲子,水谷優子,家田大輔,山下裕子,畔柳佳幸,
圓若かおり,笠原克明,廣岡孝子,村松幹司,横山岳彦,永井幸代,後藤芳充,石井睦夫,
岸真司,神田康司,田中太平,岩佐充二
28.軟口蓋麻痺が初発症状であったギラン・バレー症候群の1例
名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学
坂口陽子,小川千香子,城所博之,石原尚子,竹内智哉,横井摂理,山本啓之,夏目淳,
小島勢二
同 小児集中治療学
東慶輝
同 障害児(者)医療学
三浦清邦
日本福祉大学子ども発達学部
根来民子
愛知淑徳大学健康医療科学部
渡邊一功
29.生直後より経時的にamplitude-integrated EEG記録を行い新生児発作を診断する
ことができたparasagittal cerebral injuryの1例
名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学
田中亮,杉山裕一朗,鈴木俊彦,伊藤美春,齊藤明子,服部哲夫,藤巻英彦,城所博之,
一ノ橋祐子,佐藤義朗,夏目淳,早川昌弘,小島勢二
16:10
閉会の辞
13
PROGRAM
2
第 会場(1階 健康教育室)
一般演題
───────────────────────────────────
(午前の部)
9:00∼9:40
内分泌
座長:畑郁恵(福井大学)
30.頭部CTで脳内石灰化をみとめた副甲状腺機能低下症の1例
松阪中央総合病院 小児科
杉浦勝美,鎌田尚樹,池山夕起子,前川佳代子,神谷敏也,谷本康夫
31.当センターにおける卵精巣性性分化疾患の検討
あいち小児保健医療総合センター 内分泌代謝科
多田英倫,成瀬裕紀,井澤雅子,濱島 崇
32.低身長の成長ホルモン補充療法中に思春期発来の遅れと成長速度の再低下を認め
た一例
春日井市民病院 小児科
石黒智紀,尾池直子,宮地悠江,前田徹,田中真己人,星野伸,小出照子,河邊太加志
同 脳神経外科
桑山直人
あいち小児保健医療総合センター 脳神経外科
長坂昌登
33.当院の低身長診療の現況と市町村・教育現場との連携について
公立小浜病院 小児科
湯浅光織,鋸谷麻紗巳,原慶和
9:40∼10:30
血液腫瘍
座長:篠田邦大(岐阜市民病院)
34.骨融解像を伴うdermoid cystの一例
愛知医科大学 小児科
名古希実,近藤良子,掘寿成,縣裕篤
愛知医科大学 脳神経外科 上甲眞宏
35.上咽頭癌の2例
国立病院機構名古屋医療センター 小児科
服部浩佳,前田尚子,瀧田晴加,秋田直洋,市川瑞穂,後藤雅彦,堀部敬三
同 耳鼻咽喉科
横井久
同 放射線治療科
加藤恵利子
14
第49回 中部日本小児科学会
36.高血圧を呈した神経線維腫症1型の1例
刈谷豊田総合病院 小児科
長谷有紗,舟本有里,臼井芙季子,川井学,平井雅之,川口博史,山田緑
37.骨髄移植後、PRESを経て内側側頭葉てんかんを発症したAML男児例
金沢大学医薬保健研究域医学系 小児科
中川裕康,黒田文人,前馬秀昭,西村良成,谷内江昭宏
金沢医科大学病院 遺伝子医療センター
新井田要
38.乳児期早期に発見されたWilms腫瘍の1例
岐阜市民病院 小児科・小児血液疾患センター
山下達也,野田美香,豊島由佳,安江志保,横山能文,門井絵美,森真理,大西沙緒理,
篠田邦大,鷹尾明
10:30∼11:10
リウマチ・自己免疫
座長:岩田直美
(あいち小児保健医療総合センター)
39.赤色尿を主訴に受診した4歳女児
三重県立総合医療センター 小児科
鈴木尚史,浅野舞,栗原康輔,山下敦士,清馨子,小川昌宏,西森久史,足立基,太田穂高,
杉山謙二
40.木村氏病と診断した2例
三重大学医学部附属病院 小児科
平山淳也,岩佐正,木平健太郎,豊田秀実,岩本彰太郎,出口隆生,平山雅浩,堀浩樹,
東英一,駒田美弘
同 皮膚科
磯田憲一,水谷仁
41.多中心性キャッスルマン病の1女児例
岐阜市民病院 小児科小児血液疾患センター
大西沙緒理,篠田邦大,鷹尾明
同 病理部 山田鉄也
42.二重濾過血漿交換療法(DFPP)が著効した高ガンマグロブリン血症を伴う全身性
エリテマトーデスの1例
岐阜大学医学部附属病院 小児科
桑原秀次,寺本貴英,川本典生,川本美奈子,白上遊,松隈英治,大西秀典,加藤善一郎,
深尾敏幸,近藤直実
15
PROGRAM
2
第 会場(1階 健康教育室)
12:10∼13:00
ランチョンセミナー
座長:庵原俊昭(国立病院機構三重病院)
予防接種で子どもを守る∼世界の動向とわが国の展望
川崎医科大学附属川崎病院小児科 教授 中野 貴司 先生
13:30∼14:10
循環器・呼吸器1
座長:大橋直樹(中京病院)
43.右肺動脈上行大動脈起始の2例
安城更生病院 小児科
浅田英之,鈴木健史,辻元基,片岡伸介,田中雅大,山田浩之,青木史子,北村英里奈,
安藤将太郎,安藤朋子,松沢要,深沢達也,孫田みゆき,久保田哲夫,加藤有一,宮島雄二,
小川昭正,久野邦義
44.心房中隔欠損の心電図診断:
“crochetage pattern”はどこまで有用か?
あいち小児保健医療総合センター 循環器科
三井さやか,早野聡,森啓充,關圭吾,河井悟,安田和志,福見大地,馬場礼三
45.完全房室中隔欠損症で乳児期に三尖弁置換術を施行された32歳女性 挙児希望へ
の対応
社会保険中京病院中京こどもハートセンター 循環器科
大森大輔,大橋直樹,西川浩,久保田勤也,今井祐喜,江見美杉
46.新生児期に肥大型心筋症を呈し遺伝子解析で診断されたLEOPARD症候群の女児例
長野赤十字病院 小児科
内海雅史,高山雅至,天野芳郎
長野県立こども病院 循環器小児科
瀧聞浄宏,安河内聰
信州大学医学部附属病院 遺伝子診療部
鳴海洋子,古庄知己
14:10∼14:40
循環器・呼吸器2
座長:松井彦郎(長野県立こども病院)
47.当院で経験したLoeys-Dietz症候群6例の臨床像の検討
長野県立こども病院 循環器小児科
島袋篤哉,安河内聰,瀧聞浄宏,田澤星一,小田中豊,蜂谷明,大軒健彦,仁田学,
福嶋遥佑,百木恒太
16
第49回 中部日本小児科学会
48.慢性呼吸不全を伴うチアノーゼ性心疾患合併のVACTER連合に対して非侵襲的陽
圧換気療法を導入した2症例
富山大学 小児科
仲岡英幸,伊吹圭二郎,小澤綾佳,廣野恵一,足立雄一,市田蕗子
福井県立病院
石田武彦,津田英夫
49.先天性大葉性肺気腫の同胞例
福井大学医学部 小児科
杉原啓一,巨田元礼,田中奈々絵,吉川利英,奥野貴士,村井宏生,安冨素子,畑郁江,
大嶋勇成
福井循環器病院
田村知史
14:40∼15:20
腎臓
座長:牛嶌克実(市立四日市病院)
50.ネフローゼ症候群における急性腎不全は腎前性腎不全なのか?
あいち小児保健医療総合センター 腎臓科
伊藤秀和,日比野聡,田中一樹,山川聡,永井琢人,上村治
51.扁摘+ステロイドパルス療法を施行したISKDC grade IVb の紫斑病性腎炎の一例
市立四日市病院 小児科
谷村知繁,岩城利彦,樋口真知子,渡津めぐみ,小出若登,牧兼正,牛嶌克実,坂京子
52.血尿・タンパク尿がなく、高血圧を伴った血管性紫斑病の1例
市立長浜病院 小児科
橋本和幸,山根達也,笹井英雄,浅野勉,多賀俊明
53.急性巣状性細菌性腎炎に対する腹部MRI(DWI)の有用性について
岡崎市民病院 小児科 平山祐司,平野雅穏,池田麻衣子,増田野里花,細川洋輔,谷口顕信,花田優,松沢麻衣子,
渡邊由香利,辻健史,林誠司,加藤徹,長井典子,早川文雄
17
PROGRAM
2
第 会場(1階 健康教育室)
15:20∼16:10
栄養・保健
座長:豊田秀実(三重大学)
54.児のビタミンB12欠乏症から母の慢性萎縮性胃炎の発見に至った母児例
福井県立病院 小児科
林泰平,朝倉有香,吉野智美,宮越千智,石田武彦,田口律代,岩井和之,津田英夫,
野坂和彦
福井大学医学部看護学科
重松陽介
55.幼児十二指腸潰瘍性出血の1例
一宮市立市民病院 小児科
上野裕太,三宅能成,成瀬宏,佐橋剛,熊崎香織,寺澤俊一,山本和之,岩田直之,
松永英幸,前田重一,岡村淳,吉田あや,中村早希,若野泰弘
56.地域モデルをめざした小児重症患者搬送システム改善の試み
長野県立こども病院 小児集中治療科
松井彦郎,笠井正志,北村真友,黒坂了正,藤原郁子,中島発史,本間仁,松本昇
57.長良医療センター院内病児保育支援施設「にこにこルーム」の利用状況と問題点
国立病院機構長良医療センター 小児科
内田靖,宮崎久美子,下川祐子,森田秀行,舘林宏治,金子英雄
58.地域医療支援病院小児科において心理士が参画した症例の臨床的検討
大垣市民病院 小児科 藤井秀比古,福岡明日香,沼田侑也,野村羊示,伊藤貴美子,鹿野博明,岩田晶子,
中嶋義記
同 精神神経科
大場実保子,富田顕旨
18
演題抄録
COMPENDIUM REPORT
第1会場 ────────── 2階 大ホール
新生児
19
川崎病
21
アレルギー・免疫不全
23
感染症1
25
感染症2
27
感染症3
29
神経
31
第2会場 ────────── 1階 健康教育室
内分泌
33
血液腫瘍
35
リウマチ・自己免疫
38
循環器・呼吸器1
40
循環器・呼吸器2
42
腎臓
43
栄養・保健
45
第49回 中部日本小児科学会
1
新生児
先天性サイトメガロウイルス肺炎の新生児例
伊勢赤十字病院 小児科
前山隆智,中藤大輔,間宮範人,吉野綾子,坂田佳子,山城洋樹,伊藤美津江,馬路智昭,東川正宗
症例は日齢15日男児。在胎38週2日、 3149g、Ap8/9で反復帝王切開にて出生。TTNBあ
りNICU入院。日齢8に退院。日齢14から咳嗽、日齢15に鼻汁、 38.4℃の発熱、 70回/分以上の
多呼吸、陥没呼吸あり、管支炎肺炎の診断で再入院。入院当日、無呼吸発作あり、気管内挿管
し人工呼吸器管理を行った。RSV抗原陰性。インフルエンザ抗原陰性であったが、日齢19日に
気管内吸引物のPCR検査を提出後、ペラミビル、mPSLの投与を開始。日齢23にヘルペス属ウイ
ルス検出(後日、CMVと同定)の報告あり。日齢28に日齢23の尿でCMV陽性と判明。先天性
CMV肺炎と診断し、GCV点滴静注開始。開始2日目から呼吸状態の改善あり、 14日間のGCV静
注後、VGCV の内服とし、合計6週間の治療を終了した。治療後再燃なく、発育発達ともに良
好である。先天性CMV肺炎の報告は稀であり、文献的考察を加えて報告する。
2
新生児
HPA 3a抗原不適合による新生児同種免疫性血小板減少性紫
斑病(NAITP)の一例
愛知県厚生農業協同組合連合会海南病院 小児科
岩脇由希子,松永幸恵,吉兼正英,鈴木敦詞,森麻里,尾関和芳,六鹿泰弘,田中伸幸,浜田実邦,小久保稔,
一木貴
症例は日齢1の女児。近医にて39週3日2748g骨盤位のため帝王切開術で出生した。日齢1に
点状出血・紫斑があり、Plt 8,000/μlのため、精査加療目的に当院へ搬送入院となる。凝固異常・
感染徴候は認めなかった。ランダムドナーの血小板輸血を施行したが改善せず、
NAITPを疑った。
γ グロブリンを投与し、改善傾向となった。
ヒト血小板抗原(HPA)型を測定し、患児はHPA 3a/bであり、母はHPA 3b/bであった。
母体血清より抗HPA 3a抗体を検出し、父親血液とのクロスマッチも陽性(16倍)であったため、
抗HPA 3a抗体によるNAITPと診断した。
本症例は第1子であり、両親に次子希望があるため、次子妊娠時の対策についても検討中で
ある。現在確立された妊娠中の管理や初期治療法はなく、文献的考察を含め報告する。
19
演題抄録
3
新生児
NICUにおける新生児敗血症の発生状況
名古屋市立西部医療センター 小児科
後藤玄夫,小林美月,吉岡モモ,永留裕佳,芦刈友佳,伊藤翠,水野賀史,福田恵子,水野なずな,角田優子,
清水正己,横井暁子,小林悟,神岡直美,濱嶋直樹,鈴木悟
同 産婦人科
柴田金光,鈴木佳克,西川尚美
同 検査課
堀隆彦,平間裕美,則武直美
2008年∼2012年の5年間に経験した新生児敗血症62例(血液培養陽性例)について、出生体
重別に早発型(生後72時間以内)と遅発型の発生頻度、起炎菌の種類等について検討した。
出生体重1500g 以上の児(30例)では早発型と遅発型は4対6の割合にみられ、コアグラー
ゼ陰性ブ菌(CNS)
、GBSが主要な起炎菌であった。一方、 1500g未満(32例)では早発型は少
なく、大部分(32例中29例)が遅発型であり、起炎菌の75%がCNS、黄色ブ菌であった。大腸
菌(3例)は少なく、真菌はみられなかった。特に超低出生体重児(24例)おいては殆どが遅
発型(24例中23例)であり、起炎菌の79%がCNSと黄色ブ菌で占められていた。超低出生体重
児における敗血症の発生頻度は、超低出生体重児として入院した症例の41%の高頻度にみられ、
intensive care に伴う合併感染が超低出生体重児の生命予後に大きく関わっていることが示され
た。超低出生体重児における全身性感染は重症感染症であると同時に中枢神経発達障害の危険
因子でもあるので、後遺症を念頭においた早期発見、早期治療が重要であると思われた。
4
新生児
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)内服母体から
出生し、新生児適応不全症状をきたした21トリソミーの一例
名古屋記念病院 小児科
林咲也子,三輪田俊介,野口智靖,藤城尚純,徳永博秀,森田誠,長谷川真司
症例は在胎36週5日、反復帝王切開のため予定帝王切開で出生した男児。母はBasedow病と
パニック障害があり、プロピルチオウラシルとSSRIであるフルボキサミンを内服中であった。
Apger 8点/8点(1分/5分)
、出生体重は2580g。出生後、軽度の呼吸障害と21トリソミー
に特異的な顔貌、筋緊張低下、哺乳障害を認めた。血液検査やレントゲンは異常なく、心エコー
で心房中隔欠損症、肺高血圧を認めた。出生時の症状は、SSRIによる新生児適応不全症も疑い、
酸素投与や輸液管理し経過観察を行った。肺高血圧や呼吸障害、筋緊張低下、哺乳障害は、フ
ルボキサミンの血中濃度の低下とともに約1週間で軽快していった。最近、妊娠中もSSRI内服
を継続する妊婦は増えている。 SSRIの投薬を受けている母体から出生した児では、新生児適応
不全症状を認めることがあり、文献的考察を加え報告する。
20
第49回 中部日本小児科学会
5
新生児
胎児母体間輸血症候群を契機に発見された胎盤内絨毛癌の
1例
公立陶生病院 小児科
浅井貴文,加藤英子,伊藤諒一,立川雅美子,楢原翔,上田一仁,松井照明,田上和憲,大江英之,足達武憲,
森下雅史,家田訓子,山口英明
症例は在胎36週5日、出生体重2,188gの男児。前日に胎動減少に気づいて当院産婦人科を受診
され、NSTにてsinusoidal patternを認めたため、緊急帝王切開にて出生した。Apgar score1分
2点、5分3点。入院時血液検査では動脈血pH7.262, BE 10.3, Hgb3.2g/dlであった。溶血を示
唆する所見はなく、母体のHbFが1.8%であり胎児母体間輸血症候群による重症貧血と診断した。
人工換気療法、低体温療法、濃厚赤血球輸血、循環作動薬による抗心不全治療を行い、経過良
好で日齢3に抜管し日齢22に退院した。胎盤病理所見では中心に壊死を伴う異型細胞の増殖が
認められ胎盤内絨毛癌と診断された。胎盤内絨毛癌は多くは転移が発見されて初めて原発巣で
ある胎盤内病変を指摘されることが多く、胎児母体間輸血症候群を契機に発見されることは稀
であり、文献的考察を加えて報告する。
6
川崎病
意識障害が先行した川崎病の1例
名古屋掖済会病院 小児科
山内梢,奥村俊彦,水谷公美,宮本亮佑,船橋浩一,伊藤洋絵,伊藤早苗,松岡佐知,武田将典,木村量子,
西川和夫,長谷川正幸
【はじめに】神経症状を合併した川崎病の報告は散見するが、診断前に意識障害が先行した症
例報告は少ない。川崎病主要症状の出現前に意識障害が先行し、診断に難渋した1例を経験し
たので報告する。
【症例】3か月男児。発熱で発症し、第2病日に血液検査で白血球高値を認め
入院となった。来院時はやや不機嫌であった。第3病日に呻吟、顔色不良、大泉門膨隆が出現。
所見から細菌性髄膜炎を疑い加療開始した。解熱は得られたが不機嫌が続き、第8病日に川崎
病主要症状5項目を認め川崎病と診断した。治療開始後は速やかに解熱し全身状態の改善が得
られた。なお経過中の脳波、頭部MRIでは明らかな異常所見は認めなかった。
【結語】今回我々
は診断前に意識障害が先行した川崎病を経験した。意識障害を伴う発熱の患者においても川崎
病を鑑別に挙げ診察を行うことは重要である。
21
演題抄録
7
川崎病
血漿交換療法によりステロイド投与を中止できた川崎病の
1例
あいち小児保健医療総合センター 感染免疫科
河邉慎司,林直史,白木真由香,中瀬古春奈,阿部直紀,岩田直美
最近川崎病の初期治療としての免疫グロブリン静注(IVIG)とステロイドの併用の有用性
が示された。しかしステロイドは以前より死亡例との関連が指摘されており、不応例では心合
併症の促進する可能性があるという報告がある。今回血漿交換を用いてステロイド投与が中止
可能であった症例を経験したので報告する。症例は2か月女児。近医にて発熱、眼球結膜充
血、口唇発赤、発疹の4症状を認め川崎病不全型と診断、第4病日よりIVIGおよびアスピリン
内服で治療が開始された。発熱および炎症反応増加が続き第7病日IVIG追加投与、第10病日よ
りステロイド投与が施行された。ステロイド投与後より解熱したが徐々に冠動脈の拡張が進行し、
第19病日当院に紹介となった。血漿交換およびアスピリン内服で治療を開始し、ステロイド投
与は中止した。5日間血漿交換を施行した後、免疫グロブリンを再投与した。炎症反応は徐々
に陰性化し、冠動脈の拡張も進行が停止できた。
8
川崎病
免疫グロブリン療法(IVIG)不応が予測される川崎病症例
におけるステロイドパルス治療(IVMP)の有効性の検討
岐阜県総合医療センター 小児科
森理香子,阪下達哉,服部亜季子,星みゆき,丸田香奈子,若原敦嗣,松波邦洋,松隈英治,松尾直樹,
今村淳
今回2011年1月∼2013年4月に当院で加療した川崎病116症例のうち不応予測例25症例につい
て検討した。初回治療に免疫グロブリン療法を行った12症例(IVIG単独群)と免疫グロブリン
療法にステロイドパルス治療を併用した13症例(IVMP併用群)について、有効率、追加治療
率、有熱期間、治療開始から解熱するまでの期間、免疫グロブリン総使用量、冠動脈病変の有無、
有害事象の有無を比較検討した。有効率、追加治療率、有熱期間、治療開始から解熱するまで
の期間、免疫グロブリン総使用量の項目でIVMP併用群の方が優れているようにみえたが、症例
数が少ないためか統計学的有意差はみられなかった。冠動脈病変はIVIG単独群で一過性拡張を
2例認めたが、IVMP併用群では発生はなかった。若干の文献的考察を含め報告する。
22
第49回 中部日本小児科学会
9
川崎病
川崎病免疫グロブリン治療前における末梢血白血球数およ
び好中球数推移の検討
金沢医科大学 小児科
小栗真人,玉貫啓太,秋田千里,北岡千佳,岡田直樹,中村常之,犀川太
羽咋病院 小児科
石田茂雄
【仮説】川崎病急性期の末梢血(循環プール)白血球数の急激な低下は組織移動(冠動脈壁)
を反映し、その変化の違いが冠動脈障害(CAL)に関連する。
【目的】IVIG前の末梢血白血球数
(好中球数)の推移と、IVIG不応およびCALとの関連性を検討した。
【対象】平成15年から10年
間当院に入院し、IVIG投与前の複数日にわたって血液検査を実施した川崎病患児30人を対象に
した。白血球数、好中球数、好中球比率(%)を検討項目とした。
【結果】 30症例の臨床的な内
訳はIVIG反応18例、IVIG不応12例で、9症例がCAL症例だった。IVIG投与前に白血球数/好中
球数ともに低下した14例中10例がIVIG不応症例、7例がCAL症例であった。
【考察】IVIG投与
前の「白血球数/好中球数の減少」は「循環プールに存在する白血球/好中球の急激な組織移
動(冠動脈壁)
」を反映し、CALに関与していることが示唆された。
10 アレルギー・免疫不全
養護教諭がアドレナリン自己注射器(エピペン®)を使用し
た食物アレルギーの2症例
あいち小児保健医療総合センター アレルギー科
中田如音,中川朋子,松井照明,杉浦至郎,漢人直之,伊藤浩明
【はじめに】学校におけるアナフィラキシー対策は重要な課題である。今回当科でエピペン®
を処方した食物アレルギー児のうち、養護教諭が使用した2症例について報告する。
【症例】症
例1:魚介類アレルギーの10歳男児。給食後の外遊び中に呼吸苦、蕁麻疹が出現。症状が持続
するため養護教諭がエピペン®を使用した。症例2:鶏卵アレルギーの7歳男児。学校遠足のお
やつでゼリーを摂取し、直後から口腔内違和感が出現。症状が進行し養護教諭がエピペン®を使
用した。2症例とも症状は速やかに改善した。
【考察】食物アレルギーへの配慮と具体的な対策
の整備が緊急時の適切な対応につながっていた。食物アレルギー診療では学校など社会に対す
る啓発活動が重要性を増している。
23
演題抄録
11 アレルギー・免疫不全
乳幼児喘息のダニアレルゲン感作と重症度についての検討
国立病院機構三重病院 臨床研究部
山下敦士,長尾みづほ,近藤真理,平山淳也,貝沼圭吾,藤澤隆夫
【目的】乳幼児の喘息は、喘息の早期段階であり、適切な診断と治療が求められる。しかし、
乳幼児の喘鳴を来す病態は多様性があり予後も異なる。そこで、乳幼児期のダニ感作の視点から、
喘息の重症度と予後について検討した。
【対象と方法】対象は2歳未満の時点で乳児喘息と診断
され、その後の経過を観察しえた46例である。2歳未満でのダニ抗原の感作により、2歳未満
以降とも感作が無い群(NS群)、2歳以降に感作がある群(LS群)、2歳未満で感作がみられた
群(ES群)、の3群に分類し、喘息の重症度を経年的に評価した。
【結果と考察】NS群は3歳以
降に軽症化しやすい傾向があったが、LS群は初期にはNS群との鑑別が困難で抗体陽転後に重症
化する傾向がみられたため、早期診断、早期介入が必要な亜群と考えられた。
12 アレルギー・免疫不全
ウニアレルギー抗原解析と交差反応性の検討
藤田保健衛生大学坂文種報徳曾病院 小児科アレルギーセンター
田中健一,森雄司,平田典子,鈴木聖子,近藤康人,宇理須厚雄
藤田保健衛生大学病院 小児科
大久保悠里子,山脇一夫,犬尾千聡,中島陽一,柘植郁哉
ウニアレルギーの報告は世界的にみられ、いずれの報告もアナフィラキシーを起こすことか
らウニアレルゲンの同定は必要である。我々はウニアレルギー患者5名を収集しアレルギー解
析並びにイクラとの交差反応性について検討した。診断はウニアレルギーの病歴に加え、皮膚
試験もしくは経口負荷試験で行った。キタムラサキウニから抽出し得られたウニ抗原に対する
特異的IgE抗体をELISAで測定した。イムノブロットで複数の2名以上の患者が反応した蛋白バ
ンドを切り出し、N末端アミノ酸配列から蛋白を同定した。イムノブロットで反応がみられた12
本のバンドのうち、最も多くの患者が反応したのがMajor Yolk Protein(MY)170 kDaであった。
5名中2名でイクラアレルギーの病歴があり18kDaのegg cortical vesicle protein(ECV)に共
通に反応しており、この蛋白に対するIgE結合はイクラ抗原の添加で抑制された。ウニアレルゲ
ンの主要な蛋白はMYであった。また、ECVはイクラ抗原との共通抗原性があることが分かった。
24
第49回 中部日本小児科学会
13 アレルギー・免疫不全
高IgE症 候 群 に ア レ ル ギ ー 性 気 管 支 肺 ア ス ペ ル ギ ル ス 症
(ABPA)を合併した一例
愛知医科大学病院 小児科
山川紀世志,北川好郎,堀壽成,鬼頭敏幸,縣裕篤
愛知医科大学病院 呼吸器内科
田中博之
高IgE症候群は易感染性、慢性湿疹、高IgE血症を特徴とする原発性免疫不全症である。肺病
変としてはブドウ球菌感染や侵襲性真菌感染が有名である。今回、我々は高IgE症候群の治療中
にアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を合併した症例を経験した。
症例は14歳の女児。ST合剤およびイトラコナゾールを予防内服を行っていた。発熱および咳
嗽が持続し、胸部CTにて巨大な粘液栓を認めた。気管支鏡を施行し、吸引痰よりAspergillus
flavusを検出、ABPAと診断しステロイド、ミカファンギンにて治療を行った。ステロイド使用
後は速やかに喀痰の排泄を認め軽快し、ステロイド中止後も症状の増悪は認めなかった。
ABPAは高IgE血症、血清アスペルギルスIgEの上昇など、高IgE症候群と重複する所見が多い。
しかし、高IgE症候群にABPAを合併した報告は少なく、侵襲性感染症との鑑別として重要であ
ると考えたため、報告する。
14 感染症1
当院での初回尿路感染症後の精査について(The American
Academy of Pediatrics
(AAP)
のガイドライン
(2011)
と比較して)
豊橋市民病院 小児科 金原有里,中村勇治,櫻井典子,河邊宏幸,真島久和,小山智史,長柄俊祐,田中達之,慶田喜孝,川瀬恒哉,
佐々木智章,相場佳織,山田崇春,竹内幸,幸脇正典,伊藤剛,小山典久
尿路感染症は、小児の感染症のなかで比較的頻度が多い疾患である。また尿路感染症を起こ
した児に膀胱尿管逆流症(VUR)等の基礎疾患が隠れている頻度も少なくない。
当院では、尿路感染症と診断した症例を対象に感染2から3ヵ月後に排尿性膀胱尿道造影検
査(VCUG)
、DMSAシンチグラムを施行している。
2011年The American Academy of Pediatrics(以下AAP)のガイドラインでは、生後2ヶ月
から24ヶ月の初回の有熱性尿路感染症ではVCUGは必須ではなく、エコー等で異常所見を認め
た症例、及び有熱性尿路感染症を繰り返している症例ではVCUGを施行するとある。
今回当院で過去に行ったVCUG、DMSAの成績を報告する。また2011年AAPガイドラインを
適応したと仮定した場合のこれら検査における異常発見率についても検討を加えた。
25
演題抄録
15 感染症1
小児発熱性尿路感染症における腎尿路超音波検査の有用性
に関する検討
トヨタ記念病院 小児科
加藤耕治,原紳也,五十里東,駒井円香,服部浩平,新井紗記子,山本英,北瀬悠磨,山本ひかる,牛田肇,
木戸真二,奥村直哉
【背景】小児発熱性尿路感染症(UTI)の管理目標は、再発を起こさず腎機能障害を残さない
ことである。2011年米国小児科学会ガイドライン(GL)では初回で腎尿路超音波検査(US)異
常がなければVCUGは不要とされた。今回、
USが再発予測に有用であるか検討した。
【対象と方法】
2004年1月から2013年1月に初回発熱性UTIと診断された3歳未満の102例を対象に、US異常の
有無と再発予後の関連を後方視的に検討した。
【結果】導入基準を満たしたのはUS異常あり35例、
US異常なし37例の計72例。US異常あり群は再発12例(34%)、手術6例(17%)、US異常なし
群は再発3例(8.1%)
、手術1例(2.7%)
。US異常なし群は有意に再発が少なく(p<0.01)
、手
術も少ない傾向であった(p=0.05)
。
【結語】USはUTI後検査のファーストステップに有用であり、
GLを支持する結果であった。
16 感染症1
当院における有熱性尿路感染症の起炎菌と基礎疾患の検討
社会医療法人宏潤会大同病院 小児科
山口直哉,新井友理,田村泉,安井竜志,宮野貴幸,大辻塩見,中嶋枝里子,小田明子,後藤紀子,須田裕一郎,
浅井雅美,水野美穂子
【はじめに】有熱性尿路感染症(UTI)は乳幼児では呼吸器感染に次いで頻度の高い感染症で
あり、しばしば不明熱の原因となる。今回当院におけるUTIの起炎菌と基礎疾患について後方
視的に検討した。【対象と方法】対象は2012年4月から1年間にUTIと診断された34症例(男児
22例、女児12例)で、
診断はカテーテル採尿で104/ml以上の菌が検出された場合とした。
【結果】
年齢の中央値は5ヶ月(2ヶ月∼10歳2ヶ月)であった。検出された起炎菌は単独分離が28例
でE.coliが19例で他はE.faecalis、K.pneumoniaeなどであった。2種類分離された6例では前述
の菌のいずれかの組み合わせであった。また基礎疾患を有する症例は13例で、このうちE.coli以
外の菌が検出されたのは9例であった。【考察】UTIでE.coli以外の菌が検出された場合には基礎
疾患を考慮して経過をおっていくべきである。
26
第49回 中部日本小児科学会
17 感染症2
化膿性筋炎の一例
富山県立中央病院 小児科
谷口千尋,久保達也,藤田修平,松田裕介,猪又智実,嶋尾綾子,上野和之,東山弘幸,二谷武,五十嵐登,
畑崎喜芳
同 母子医療科
伊奈志帆美
泉小児科医院
泉紀子
症例は基礎疾患のない9歳女児。発熱、左大腿部痛を主訴に受診した。2週間前にサッカー
の練習中に左膝の擦過傷を負った。2日前にサッカー中に左大腿部に違和感を自覚し、同日夜
より39℃台の発熱が出現した。連日医療機関を受診し、保存的に経過観察されていたが疼痛が
増悪したため当院を紹介受診した。採血上炎症反応高値であり、感染症を考慮し血液培養を採
取後、抗生剤(CEZ)投与を開始した。翌日には血液培養よりS.aureusが検出された。MRIでは
左内転筋にT2強調画像で高信号、T1造影画像にてring enhancementを呈する画像を得た。化
膿性筋炎の診断で抗生剤投与を継続した。入院4日目に解熱し大腿部痛も消失した。その後は
発熱を認めず歩行ができるまで改善した。2週間の静脈投与と2週間の経口剤(CDTR PI)
投与で症状再燃を認めず治療終了とした。既往歴のない小児の化膿性筋炎は極めてまれであり、
経過や鑑別診断、画像検査に関して文献的考察を加えて報告する。
18 感染症2
当院で過去15年間に経験した化膿性髄膜炎40例の臨床的検討
聖隷三方原病院 小児科
吉田悟,大箸拓,大前隆志,明城和子,野村武雅,吉村歩,側島健宏,中島秀幸,木部哲也,横地健治
当院で過去15年間に経験した化膿性髄膜炎40症例について後方視的に臨床的検討を行った。
起因菌はインフルエンザ菌25例(63%)
、肺炎球菌6例(15%)
、GBS4例(10%)
、その他5例
(13%)(腸球菌1例、リステリア菌1例、大腸菌1例、不明2例)であった。平均年齢は1歳
8か月(0−14歳)で、34例(85%)は3歳未満であったが、3例(7%)は10歳以上であった。
耐性菌は10例でβラクタマーゼ産生インフルエンザ菌4例、BLNAR2例、PISP3例、PRSP1例
を認めた。36例(90%)は後障害なく軽快したが、死亡1例(GBS)
、後障害3例で精神運動発
達遅滞2例(GBS、インフルエンザ菌)、てんかん1例(インフルエンザ菌)であった。全症例
数を2009年以前と以降で比較すると、年平均4.3から1.4例と減少を認め、ヒブ・肺炎球菌ワクチ
ン導入の効果と思われた。若干の文献的考察を加え報告する。
27
演題抄録
19 感染症2
名古屋大学小児科関連施設で経験した細菌性髄膜炎症例の
後方視的検討
名古屋大学医学部 小児科
伊藤祐史,安藤将太郎,鈴木道雄,杉山裕一朗,村松秀城,佐藤義朗,川田潤一,加藤太一,夏目淳,
小島勢二
春日井市民病院小児科
星野伸
岡崎市民病院小児科
辻健史
インフルエンザ菌b型ワクチンと小児用7価肺炎球菌結合型ワクチンの公費助成が2010年末
から2011年にかけて各自治体で開始された。その髄膜炎予防効果を検証するため、名古屋大学
小児科及び関連施設において、 2010年から2012年までの3年間に経験した細菌性髄膜炎の61症
例につき、調査票を用いて後方視的に調べ過去の調査結果と比較した。結果は、インフルエン
ザ菌による髄膜炎は、 2008年から2010年の平均症例数が17.3例/年であったが2012年には3例に
まで減少した。3年間を通じて全例がワクチン未接種者での発症であった。肺炎球菌による髄
膜炎症例数は1∼4例/年であり、以前の調査結果と大きな変化がなかった。B群連鎖球菌に
よる髄膜炎症例は、 2005年から2009年の平均症例数は1例/年であったが、 2010年以降は増加
傾向を認め2012年は5例であった。ワクチン接種の効果を評価するには、今後も調査を継続的
に実施する意義があると考えられる。
20 感染症2
急性細菌感染症回復期におけるプロカルシトニン(PCT)と
CRPとの比較検討 ─ 抗菌剤適正使用期間に関する考察 ─
富山県立中央病院 小児科
松田裕介,五十嵐登,久保達哉,藤田修平,畑崎喜芳
【はじめに】近年、重症細菌感染症診断時におけるPCTの有用性については小児領域でも多
数の報告がある一方、治療回復期・終了時の検討は少ない。従来より本邦では髄膜炎等の抗菌
剤投与期間が欧米治療ガイドラインより長期間に及ぶ傾向が指摘されている。今回、急性細菌
感染症例の回復期のCRPとPCTを比較し、適正な抗菌剤使用期間決定の一助となるかを検討し
た。【対象と方法】 2011年11月∼2013年3月までに細菌感染症と臨床診断され入院の上抗菌剤静
注治療した小児53例においてCRP・PCT値の推移を検討した。
【結果】回復期にPCT<0.5および
CRP2.0≦群はn=9に対して、PCT0.5≦およびCRP<2.0群はn=3に留まった。
【考察】急性細
菌感染症の回復期ではPCTがCRPよりも鋭敏かつ早期に低下する傾向があり、適正な抗菌剤使
用期間・中止時期決定の参考となる可能性が示唆された。
28
第49回 中部日本小児科学会
21 感染症3
肺炎球菌ワクチン接種後に肺炎球菌侵襲性感染症に罹患し
た2例
名古屋市立大学病院 小児科
大下裕法,青山幸平,加藤沙耶香,根岸豊,鈴木一孝,伊藤孝一,遠藤剛,服部文子,犬飼幸子,水野晴夫,
伊藤哲哉,齋藤伸治
1例目は10か月女児、完全型房室中隔欠損症、完全房室ブロック、内蔵錯位、十二指腸閉鎖
で7肺炎球菌ワクチン(PCV7)2回接種、3回目は手術のため未接種だった。発熱で受診し
同日呼吸停止、血液から肺炎球菌が検出され敗血症性ショックと診断した。抗生剤への反応は
良好であったが虚血性脳症となり後遺症を残した。2例目は7歳男児、両側難聴で人工内耳埋
め込み術後、PCV7は4回接種済みだった。発熱と鼻汁、痙攣で受診、髄液から肺炎球菌が検
出され髄膜炎と診断した。抗生剤の反応は良好で後遺症を残さなかったが、髄膜炎改善後も鼻
汁が続き髄液鼻漏の診断で内耳閉鎖術後を行った。ニューモキャッチ研究事業部で莢膜血清型
を検査し、症例1は15A、症例Bは特定不能型でいずれの血清型もPCV7でカバーされていな
い型であった。PCV7でカバーできない感染が問題となっており更に広い血清型をカバーする
ワクチンや血清型に左右されないワクチンの開発が望まれる。
22 感染症3
髄膜炎症状および髄液異常が6週間以上遷延したムンプス
髄膜炎の1歳女児例
江南厚生病院 こども医療センター
後藤研誠,西村直子,川口将宏,武内俊,服部文彦,堀場千尋,伊佐治麻衣,岡井佑,細野治樹,竹本康二,
尾崎隆男
北里生命科学研究所 ウイルス感染制御
中山哲夫
ムンプスワクチン歴/既往歴のない健常児。耳下腺腫脹/発熱で発症し、不機嫌/項部硬直
を認めたため第7病日に入院。髄液細胞増多172/μLを認め、補液と安静による治療を開始した。
高熱/項部硬直は持続し、入院3日目には、血液炎症反応の亢進、髄液細胞数の増加3,880/μL
を認めた。他病原体を検出せず、血清ムンプスIgM抗体陽性および髄液ウイルスRNA陽性から
ムンプス髄膜炎と確定診断した。症状/所見は改善せず入院16日目からPSLを開始したが、効果
は限定的であった。高熱は断続的に続き、入院42日目に解熱した。入院52日目の髄液細胞数は
75/μLまで改善し、後遺症や再発を認めていない。血清および髄液中IL 6/IL 12/IFN γ/
G CSFなどが高値を示した。髄液バイオマーカーは長期間にわたり高値を示し、病勢を反映し
ていた。ムンプスワクチン接種の必要性を改めて考えさせられた。
29
演題抄録
23 感染症3
最近2年間に経験したHHV 6関連脳症9例の検討
JA愛知厚生連豊田厚生病院 小児科
牧祐輝,田中ふみ,鬼頭真知子,沼田真一郎,梶田光春
ヒトヘルペスウイルス6型(以下、HHV 6)は、小児の急性脳症の原因ウイルスの一つとし
て知られている。
当院では、 2011年4月から2013年3月までの2年間に計14例の急性脳症を経験し、うち9例
がHHV 6関連であった。男女比は2:7で女児に多く、平均発症月齢は19.4ヵ月(0歳9ヵ月∼
3歳6ヵ月)
。早川らの画像所見に基づくABC分類では、B型脳症が5例、C型脳症が3例、分
類不能が1例。基礎疾患を認めたのは3例で、うち1例はコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素
(SSADH)欠損症であった。後遺症を残したのは2例であった。発症時の痙攣持続時間は10秒
程度から120分であり、 10回以上群発する例もみられた。これらの症例の臨床症状や検査所見、
後遺症の有無などの関連について検討し、若干の文献的考察を加えて報告する。
24 感染症3
成人の風疹HI抗体価保有率について
名鉄病院 予防接種センター 宮津光伸,菊池均
同 小児科
永田俊人 総合上飯田第一病院 小児科
後藤泰浩 山本ウイメンズクリニック
山本悦子
全国的な風疹の流行に際して接種希望者が急増しているが、無駄なワクチン接種を避けるた
めに、麻疹・風疹・おたふく・(水痘)の3−4種類の抗体検査を施行して、陰性者に対しての
み追加接種している。2013年1月から5月10日までの241人(25∼75歳:M;113人/平均年齢36歳、
F;128人/同34歳)の集計で、男性16倍未満、女性32倍未満を陰性者として男性は23.0%、女性
は22.7%、全体で22.8%陰性であった。検査しないで接種すると77.2%は無駄な接種になる。ま
た風疹ワクチンの陽転率は、乳児で90.3%
(風疹)∼92.7%
(MR)であり、接種後6週間後には確
認検査しないと安心はできない。今回、名古屋市ではきちんと検査して陰性者のみにMRワクチ
ンを無料で接種することとなった。後日再検して陰性なら無料で追加接種も対応できる。より
有効で安心な対応である。麻疹は12.0%、おたふくは58.9%、水痘は2.6%で陰性であった。
30
第49回 中部日本小児科学会
25 神経
MRIで発見された原因不明の大脳白質病変の検討
あいち小児保健医療総合センター 神経科
大野敦子,鈴木基正,糸見和也
【はじめに】頭部MRIで偶発的に点状・斑状の白質病変が発見されることがある。その臨床的
意義を検討した。
【対象・方法】 2006年1月∼2013年3月に頭部MRIで偶発的に点状・斑状の白
質病変を認めた正常発達の児を対象とし、診療録を基に後方視的に検討した。
【結果】対象は10
例(男4例、女6例)で、検査理由は、頭痛4例、痙攣性疾患2例、その他4例であった。白質
病変の大きさは、点状(5mm未満)6例、斑状(5mm以上)1例、点状+斑状3例で、9例
で病変を複数認めた。部位は、両側9例、片側1例で、皮質下白質4例、深部白質4例、皮質
下+深部白質2例であった。全例とも臨床症状と画像病変は対応せず、明確な原因疾患も特定
できなかった。全例で後にMRIを再検したが、病変の増悪はなかった。
【考察】偶発的に白質病
変を認めた症例において、明確な原因疾患を認めず、臨床症状の悪化もない例では、MRIの再
検の有用性は乏しいと考えた。
26 神経
出生直後に脳出血を起こした脳動静脈奇形の1例
信州大学 小児科
三代澤幸秀,中村千鶴子,赤澤陽平,平林佳奈枝,島庸介,古本雅宏,大日方春香,小池涼介,小池健一
在胎39週4日、 2882g経腟分娩で出生した女児。Apgar scoreは8/9。出生後SpO2モニター
を装着し、カンガルーケアを行っていたが、出生1時間後に突然呼吸停止、徐脈を認めたため、
NICU入室し、人工呼吸管理とした。入院時の頭部超音波検査にて右大脳に広範囲の出血と異常
血流を認めた。同日頭部MRI施行。右前頭葉に脳動静脈奇形を確認。脳動静脈奇形破綻による
脳出血と考えた。血管内治療を検討したが、日齢0より両側瞳孔散大、対光反射消失。日齢7
の頭部MRIでは両側大脳が広範に壊死しており、脳外科的治療の適応なしと判断した。日齢36
に再出血に伴う脳ヘルニアにより死亡された。家族歴では、母、母方祖母に肺動静脈奇形があり、
また母方祖母に脳梗塞の既往があった。経過、家族歴からオスラー病(遺伝性出血性末梢血管
拡張症)が疑われた。新生児期に出血をきたしたオスラー病の報告は極めて稀であるため報告
する。
31
演題抄録
27 神経
出生時より多発性脳出血がみられた静脈洞血栓症の1例
名古屋第二赤十字病院 小児科 森由佳,周戸優作,矢野聡子,柴田玲子,水谷優子,家田大輔,山下裕子,畔柳佳幸,圓若かおり,笠原克明,
廣岡孝子,村松幹司,横山岳彦,永井幸代,後藤芳充,石井睦夫,岸真司,神田康司,田中太平,岩佐充二
症例は、特記すべき周産期異常なく、 41週2日、 3628g、Apgar8 9 10で経膣分娩にて出生
した男児。出生時+2.6SDの頭囲拡大が認められた。日齢3で頭部MRIを施行したところ、両側
側脳室内出血、左上衣下出血、右前頭葉皮質下出血、拡散強調像で両側の前頭葉から頭頂葉の
皮質下に多発する高信号、左側頭部の脳静脈拡張を認めた。臨床症状としては、易刺激性、過
敏性が目立ち、両足クローヌス持続時間の延長がみられた。その後の画像フォローで、上矢状
洞静脈血栓症の診断に至った。静脈洞血栓症の大半は基礎疾患や明らかな原因を認めるが、本
症例ではプロテインS、プロテインCも正常範囲内で、現時点では基礎疾患を疑う所見は認めず、
原因についてははっきりしていない。新生児期の静脈洞血栓症はまれであり、本症例での画像
的考察を含めて報告する。
28 神経
軟口蓋麻痺が初発症状であったギラン・バレー症候群の1例
名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学
坂口陽子,小川千香子,城所博之,石原尚子,竹内智哉,横井摂理,山本啓之,夏目淳,小島勢二
同 小児集中治療学
東慶輝
同 障害児(者)医療学
三浦清邦
日本福祉大学子ども発達学部
根来民子
愛知淑徳大学健康医療科学部
渡邊一功
9歳女児。下痢症状の2週間後から開鼻声、水分が鼻にあがる飲水困難がみられた。さらに
10日後から大腿背面の痛みと複視が出現した。四肢の筋力低下や失調はみられなかったが下肢
の深部反射が消失していた。髄液の蛋白細胞乖離、
末梢神経伝導速度検査でH波の消失がみられた。
頭部、脊髄MRIには異常はみられなかった。ギラン・バレー症候群(GBS)と診断しIVIG療法
を行い症状は軽快した。抗ガングリオシド抗体は抗GalNAc-GD1a IgM抗体が陽性で、
フォスファ
チジン酸(PA)添加抗原に対するIgG抗体はGM1、GD1a、GQ1b、Gal-Cが陽性だった。便から
C.jejuniが検出された。GBS関連疾患にはフィッシャー症候群、咽頭頚部上腕型GBSなどの亜型
があるが、本症例のように様々な型の特徴を有する患者も存在する。GBSは必ずしも明確な亜
型に分類できない広いスペクトラムを持った症候群と考えられる。
32
第49回 中部日本小児科学会
29 神経
生直後より経時的にamplitude integrated EEG記録を行い新生児
発作を診断することができたparasagittal cerebral injuryの1例
名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学
田中亮,杉山裕一朗,鈴木俊彦,伊藤美春,齊藤明子,服部哲夫,藤巻英彦,城所博之,一ノ橋祐子,佐藤義朗,
夏目淳,早川昌弘,小島勢二
Parasagittal cerebral injury(PSI)は、正期産児における大脳動脈分水域の脳障害で、出生前・
直後の異常は軽微だが、遅発性進行性の症状を呈することがある。今回経過を通じamplitude
integrated EEG(aEEG)を記録できた症例を報告する。在胎期間40週3日、出生体重5160gの
男児で、アプガースコアは6点(1分)、9点(5分)であったが、筋緊張低下などから新生児
仮死と考えられ当院へ搬送された。来院時には低酸素性虚血性脳症の兆候なく、低体温療法は
行わず、呼吸循環補助も要しなかった。aEEGでは初め周期性を認めたが、生後4時間より発作
時脳波活動が頻回に出現、 12時間より間代性痙攣を伴い新生児発作と診断、早期から抗痙攣薬
治療を行えた。MRIの拡散強調像で大脳動脈分水域に高信号病変を認めPSIと診断した。PSIの
早期発見治療にaEEGは有用と考える。
30 内分泌
頭部CTで脳内石灰化をみとめた副甲状腺機能低下症の1例
松阪中央総合病院 小児科
杉浦勝美,鎌田尚樹,池山夕起子,前川佳代子,神谷敏也,谷本康夫
症例は9歳女児。5月上旬より全身強直発作をみとめるようになり近医受診。血液検査にて
低Ca血症(Ca:5.7mg/dL)
、高P血症(P:10.5mg/dL)みとめ、精査目的に当院紹介受診。
家族内に内分泌疾患はみられなかった。頭部CTで脳内石灰化を認めた。精査にてPTHは低下し
ており、副甲状腺機能低下症と診断した。甲状腺エコーでは副甲状腺に異常をみとめず、骨年
齢は年齢相当でレントゲン上異常石灰化像は認めなかった。カルシトニン、1,
25(OH)ビタ
ミンD、 25(OH)ビタミンDは異常みとめず、他のホルモン異常を認めなかった。活性型ビタ
ミンD製剤、乳酸カルシウム内服にて治療開始し、現在外来にて治療継続中である。副甲状腺機
能低下症は稀な疾患であり、文献的考察を加え報告する。
33
演題抄録
31 内分泌
当センターにおける卵精巣性性分化疾患の検討
あいち小児保健医療総合センター 内分泌代謝科
多田英倫,成瀬裕紀,井澤雅子,濱島 崇
卵精巣性性分化疾患(ovotesticular DSD、かつての真性半陰陽と同義)は、同一個体におい
て精巣と卵巣の組織が共存するまれな性分化疾患であり、性別判定困難な外性器から完全男性
型や完全女性型まで多様な表現型をとるとされている。当センターで経験した4例中、社会的
性は男3例、女1例。核型は46,
XX/46,
XY 2例、46,
XX 2例。性腺は両側卵精巣2例、卵精
巣と卵巣が2例であった。全例新生児期に外性器異常を指摘され、性腺の病理組織で診断された。
我々の症例に文献的考察を加え報告する。
32 内分泌
低身長の成長ホルモン補充療法中に思春期発来の遅れと成
長速度の再低下を認めた一例
春日井市民病院 小児科
石黒智紀,尾池直子,宮地悠江,前田徹,田中真己人,星野伸,小出照子,河邊太加志
同 脳神経外科
桑山直人
あいち小児保健医療総合センター 脳神経外科
長坂昌登
成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長の原因には頭蓋咽頭腫や胚細胞腫等の器質性病変も含
まれ、診断時の頭部MRIの施行が推奨されている。今回我々は診断時に頭部MRIが施行されて
おらず、GH投与中に思春期発来の遅れと成長速度の再低下を契機に下垂体の器質性病変が見つ
かった一例を経験したため報告する。
症例は現在16歳男児。6歳時身長が102.5cm
(−3.2SD)
、
GH分泌刺激試験で低反応を示したため、
GH分泌不全性低身長と診断し、GH補充療法を開始した。10歳時に129.3cm(−1.8SD)まで
catch upしたが、 14歳以降で急激な成長速度の再低下を認めた。15歳時の骨年齢は13歳、思春
期徴候はTanner分類Ⅱ度から進行がなかった。15歳時に初めて実施した頭部MRIで頭蓋底脳瘤
を認めた。
GH補充療法を要する症例では頭部MRIを施行すべきことを改めて認識した。
34
第49回 中部日本小児科学会
33 内分泌
当院の低身長診療の現況と市町村・教育現場との連携につ
いて
公立小浜病院 小児科
湯浅光織,鋸谷麻紗巳,原慶和
当院は福井県小浜市(年少人口 4254人)に立地し、近隣町村を含めた嶺南地域西部(若狭地
方)の中核病院であると同時に、地域に根差した診療を担う施設である。今回、現在当科で治療・
経過観察を行っている低身長症例を、成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症を中
心にまとめた。両疾患ににおいて、初診のきっかけは、
「健診で指摘された」が12人中5人、
「別
疾患のフォロー中に指摘された」が2人、
「風邪などで受診した際に指摘された」が2人、
「不明」
が3人であった。低身長症のこどもたちのために、地域密着型の診療を行う立場から、市町村
や教育現場とどう連携していくかについて考察した。
34 血液腫瘍
骨融解像を伴うdermoid cystの一例
愛知医科大学 小児科
名古希実,近藤良子,掘寿成,縣裕篤
愛知医科大学 脳神経外科
上甲眞宏
症例は1歳女児。入院約4ヶ月前に左側頭部の腫脹が出現。近医皮膚科を受診し、粉瘤と診
断され経過観察していたが、徐々に増大した。入院の約半月前から抗生剤を内服したが改善な
く近医小児科を受診、当院を紹介受診となった。精査の結果、腫瘍マーカーの上昇なく、骨・
Gaシンチでは左側頭部以外の病変は認めなかったが、頭部CTで腫瘤の直下に骨融解像と膿瘍を
認めた。ランゲルハンス細胞組織球症(以下LCH)を最も疑い、生検・膿瘍除去目的で手術を
施行した。術後の病理診断では、好中球・好酸球・組織球・リンパ球・形質細胞浸潤を伴う肉
芽組織、異型に乏しい扁平上皮成分、keratinous material、少数の毛髪が見られ、免疫染色にて
CD1a 、S 100 であったため、epidermoid cystまたはdermoid cystと診断した。小児の骨融解像
を呈す疾患の鑑別についての文献的考察を加え報告する。
35
演題抄録
35 血液腫瘍
上咽頭癌の2例
国立病院機構名古屋医療センター 小児科
服部浩佳,前田尚子,瀧田晴加,秋田直洋,市川瑞穂,後藤雅彦,堀部敬三
同 耳鼻咽喉科
横井久
同 放射線治療科
加藤恵利子
上咽頭癌は比較的稀な疾患で、本邦では年間約500例の新規発症があるとされる。男女比は3:
1で男性に多く、40∼70歳代に好発する。病理組織型はほとんどが低分化型扁平上皮癌で、鼻閉、
鼻出血の他、リンパ節転移に伴う頚部腫瘤を初発症状とする例も多い。当科で10代の2症例の
治療を経験した。症例1は16歳女性、T2,
N1,
M0 stageⅡ、症例2は14歳男性、T3,
N2,
M0
stageⅢであり、2例ともシスプラチン(CDDP)
+フルオロウラシル(5 FU)の2剤による化
学療法3コースと、全頚部36Gy、局所60Gyの放射線照射を施行し治療終了とした。照射による
口内痛と口腔内乾燥感がみられた以外は、重篤な合併症なく治療を遂行でき、現在ともに寛解
生存中である。文献的考察を加えて報告する。
36 血液腫瘍
高血圧を呈した神経線維腫症1型の1例
刈谷豊田総合病院 小児科
長谷有紗,舟本有里,臼井芙季子,川井学,平井雅之,川口博史,山田緑
神経線維腫症1型の合併症として高血圧が知られている。原因としては本態性高血圧、褐色
細胞腫、腎血管性高血圧などがある。今回、高血圧を呈した神経線維腫症1型の1例を経験した。
症例は10歳男児。3歳時に脳梗塞を発症し、皮膚症状、家族歴より神経線維腫症1型と診断さ
れた。頭部MRI検査で類もやもや病と診断され、血行再建術を施行した。2007年2月以降、通
院を自己中断していたが、 2012年5月に繰り返す頭痛を主訴に近医を受診し、著明な高血圧を
認めた。類もやもや病のフォローも含めて当院脳神経外科に転院となり、高血圧については当
科に紹介受診した。血液検査、腹部超音波検査、腹部3D CT検査を行い、腎血管性高血圧と診
断した。塩分制限を行い、Ca拮抗薬内服で経過をみているが、比較的血圧は落ち着いてきている。
神経線維腫症1型に合併した腎血管性高血圧に対する治療選択を中心に過去の文献なども交え
て報告する。
36
第49回 中部日本小児科学会
37 血液腫瘍
骨髄移植後、PRESを経て内側側頭葉てんかんを発症した
AML男児例
金沢大学医薬保健研究域医学系 小児科
中川裕康,黒田文人,前馬秀昭,西村良成,谷内江昭宏
金沢医科大学病院 遺伝子医療センター
新井田要
3歳時に発症したAML(MLL AF9陽性、FLT ITD陽性、CNS1)の男児。UR BMT(前
処置:BU+L PAM、GVHD予防:FK 506+sMTX)の施行1ヵ月後にPRESを発症した。視力
障害など一過性の神経症状を呈したが、頭部MRI上、後頭部に不可逆的な病変を一部残して治
癒した。
AML発症から2年後に、口部自動運動の後にせん妄状態となって嘔吐や異常言動をきたす
エピソードを頻回に繰り返すようになった。脳波検査にて左側頭部に限局する棘波、棘徐波複
合がみられ、頭部MRIでは左海馬の萎縮像を認めたことから、左内側側頭葉てんかんと診断し、
抗てんかん薬の内服を開始した。免疫抑制剤(CyA)との薬物相互作用に注意しながら慎重に
薬物治療を行っているが、発作コントロールに難渋し、現在てんかん外科の適応を考慮している。
移植治療に合併した難治てんかんの管理の難しさや問題点について考察する。
38 血液腫瘍
乳児期早期に発見されたWilms腫瘍の1例
岐阜市民病院 小児科・小児血液疾患センター
山下達也,野田美香,豊島由佳,安江志保,横山能文,門井絵美,森真理,大西沙緒理,篠田邦大,鷹尾明
【緒言】小児腎腫瘍の約90%はWilms腫瘍であるが、乳児期早期に発見される腎腫瘍の多くは
先天性間葉芽腎腫(congenital mesoblastic nephroma以下CMN)と報告されている。今回生後
2か月で発見されたWilms腫瘍の1例を経験したので報告する。
【症例】2か月女児。在胎41週1日、体重3412gで出生した。生後1か月時に発熱を認め近医
受診した際に腹部膨満を指摘された。その後も腹部膨満が改善せず前医に入院した。画像検査
にて左腎発生と考えられる131×98×67mmの境界明瞭で多結節が癒合した左腹部腫瘤を認め、
明らかな転移巣は認めなかった。Wilms腫瘍やCMNを疑い左腎腫瘍全摘術が破綻なく施行された。
病理検査にてWilms腫瘍が疑われたため、化学療法目的に当院紹介入院した。中央病理診断にて
Wilms腫瘍stage2、favorable histologyと確定し、現在著名な合併症を認めることなく化学療法
施行中である。
【結語】乳児期早期の腎腫瘍では頻度は少ないものの、Wilms腫瘍も念頭に置く必要がある。
37
演題抄録
39 リウマチ・自己免疫
赤色尿を主訴に受診した4歳女児
三重県立総合医療センター 小児科
鈴木尚史,浅野舞,栗原康輔,山下敦士,清馨子,小川昌宏,西森久史,足立基,太田穂高,杉山謙二
症例は4歳女児、赤色尿を主訴に当院を受診した。既往歴に特記事項は無いが、受診2日前
に近医で尿潜血とタンパク尿を指摘されている。受診時には頻脈を認めたが、理学所見に有意
なものはなかった。採血で貧血と溶血所見を認めたため、精査を行い自己免疫性溶血性貧血と
診断した。さらに鑑別を進めるためにDonath Landsteiner試験(DL試験)を行ったところ、直
接・間接DL試験ともに陽性であり、発作性寒冷ヘモグロビン尿症と診断した。
発作性寒冷ヘモグロビン尿症は冷式自己免疫性溶血性貧血のまれなタイプの疾患である。そ
の原因やDonath landsteiner抗体について、また治療法に関して、若干の文献的考察を加えて報
告する。
40 リウマチ・自己免疫
木村氏病と診断した2例
三重大学医学部附属病院 小児科
平山淳也,岩佐正,木平健太郎,豊田秀実,岩本彰太郎,出口隆生,平山雅浩,堀浩樹,東英一,駒田美弘
同 皮膚科
磯田憲一,水谷仁
木村氏病は10歳台に好発する、頚部や頭部の腫瘤、末梢血好酸球数増加、高IgE血症を三徴と
する良性疾患である。慢性経過をとり再発率が高く、約10%にネフローゼ症候群を合併するた
め、早期診断とフォローが必要である。今回木村氏病の2例を経験したので報告する。症例1
は9歳男児。受診半年前に右頬部の腫瘤に気付き、1か月後の血液検査で好酸球数増加と高IgE
血症を認め、トシル酸スプラタスト内服を開始された。その後ロラタジン追加されたが改善な
く紹介となった。腫瘤切除生検で強い好酸球浸潤を認め木村氏病と診断した。症例2は9歳男児。
4歳時から両側耳介後部と後頭部に腫瘤を認めていた。受診1年前より両上下肢に皮膚炎の出
現ありエピナスチン内服、ステロイド軟膏塗布されたが寛解と増悪を繰り返した。腫瘤と皮膚
の生検で共に強い好酸球浸潤を認め木村氏病と診断した。木村氏病や類縁疾患につき文献的考
察を加え報告する。
38
第49回 中部日本小児科学会
41 リウマチ・自己免疫
多中心性キャッスルマン病の1女児例
岐阜市民病院 小児科小児血液疾患センター
大西沙緒理,篠田邦大,鷹尾明
同 病理部
山田鉄也
キャッスルマン病はリンパ濾胞の過形成と血管増生を特徴とした、良性のリンパ増殖性疾患
である。症例は11歳の女児。両側頚部に2、3cmの腫瘤を自覚し受診。胸部Xpにて縦隔の拡大
を認め、CTにて全身のリンパ節腫大、PETにて同部位に集積を認めた。頚部のリンパ節生検を
施行し、多中心性キャッスルマン病と診断した。患児が無症状であることから無治療経過観察
としているが、炎症反応の高値や貧血等は遷延しており、tocilizumab開始のタイミングなどに
つき検討している。本疾患は、多クローン性の高γ glb血症を呈することから、IgG4関連疾患
などとの鑑別に苦慮される。悪性疾患が否定されるリンパ増殖性疾患が疑われる症例において
は、治療方法や予後、合併症が異なる事から、画像、臨床所見、病理診断の組み合わせによって、
その確実な鑑別診断が重要である。
42 リウマチ・自己免疫
二重濾過血漿交換療法(DFPP)が著効した高ガンマグロ
ブリン血症を伴う全身性エリテマトーデスの1例
岐阜大学医学部附属病院 小児科
桑原秀次,寺本貴英,川本典生,川本美奈子,白上遊,松隈英治,大西秀典,加藤善一郎,深尾敏幸,
近藤直実
症例は13歳女児。発熱、顔面の紅斑、凍瘡様皮疹を主訴に当院紹介となった。抗Sm抗体、抗
ds DNA抗体、抗リボソームP抗体がそれぞれ著増しておりSLEの診断基準をみたした。腎生検
でループス腎炎(Class Ⅲa)で、SLEDAI は32であり活動性が極めて高い状態であった。また、
血清IgG値が5399mg/dLと著明な高ガンマグロブリン血症を合併していたが、腫瘍性病変は認
められなかった。ステロイドパルス療法は、過粘稠症候群のリスクが高いと考え、DFPPを3クー
ル施行した後に、ステロイドパルス療法による寛解導入を行った。DFPP直後の著明な改善によ
り迅速な寛解導入が可能であった。重症SLEの治療選択、特に高ガンマグロブリン血症を伴う
SLEに対して、アフェレーシス療法は考慮すべき治療法と考えられた。
39
演題抄録
43 循環器・呼吸器1
右肺動脈上行大動脈起始の2例
安城更生病院 小児科
浅田英之,鈴木健史,辻元基,片岡伸介,田中雅大,山田浩之,青木史子,北村英里奈,安藤将太郎,安藤朋子,
松沢要,深沢達也,孫田みゆき,久保田哲夫,加藤有一,宮島雄二,小川昭正,久野邦義
症例1は在胎35週6日、1272gの男児。入院後、心エコー、造影3DCTにて右肺動脈上行大動
脈起始と診断し、治療目的にて日齢8に専門病院へ転院搬送となった。
症例2は在胎35週5日、1690gの男児。入院時の心エコーにて右肺動脈上行大動脈起始と診断
した。徐々に心不全が進行し日齢10に専門病院へ転院搬送となった。
右肺動脈上行大動脈起始は比較的まれな疾患であるが、エコー、造影CTなどで診断が可能で
ある。本症例は、低出生体重児であり手術に向けて時間がかかることが考えられ、予後因子に
も影響を与えうる。
44 循環器・呼吸器1
心房中隔欠損の心電図診断:
“crochetage pattern”はどこ
まで有用か?
あいち小児保健医療総合センター 循環器科
三井さやか,早野聡,森啓充,關圭吾,河井悟,安田和志,福見大地,馬場礼三
心房中隔欠損(ASD)の心電図所見は①右脚ブロック(RBBB)
、②QRS電気軸異常、③T波
不連続性、④crochetage pattern等が知られている。過去2年間に当院で心内修復術を施行した
ASD29例、及び学校心臓検診780例の心電図を比較検討した。男女比は男:女=8:21、年齢は
中央値6歳。①の陽性率は20/29例(69%)
、②は20/29例(69%)
、③は20/29例(69%)、④は
25/29例(86%)で、全例で①∼④のいずれかを、26/29例で①∼④の2つ以上の所見を認めた。
①∼③の所見をいずれも有さないのが1例、1つのみが8例でみられ、④を加えることによっ
て検出感度を高められた。一方検診心電図での陽性率は①0.9%、②0.8%、③2.3%、④は15%と
高値であった。ASDの有病率を0.45/1000とすると、④の特異度は低いと考えられる。この所見
は感度を高めるのには有用である。
40
第49回 中部日本小児科学会
45 循環器・呼吸器1
完全房室中隔欠損症で乳児期に三尖弁置換術を施行された
32歳女性 挙児希望への対応
社会保険中京病院中京こどもハートセンター 循環器科
大森大輔,大橋直樹,西川浩,久保田勤也,今井祐喜,江見美杉
先天性心疾患患者のイベントフリー生存率は向上し、普通に社会生活を送り成人に達する患
者が増加している。小児循環器領域での成人へのキャリーオーバーに関する状況は、大きく様
変わりしている。特に女性は、小児期から妊娠出産を目指した治療計画が求められる。今回、
当科で長期フォローを続けていたが、状態悪化と挙児希望が重なり、早急な対応を迫られるこ
とになった一例を経験したので報告する。
症例は32歳女性。完全房室中隔欠損症で1歳半に根治術を行い、三尖弁置換。その後外来エ
コーで生体弁入れ替えの時期をはかりフォローしていた。近年、両下肢の浮腫・うっ滞性皮膚
炎が進み、ビリルビン軽度上昇も認められていた。今年になり不妊治療の希望があり精査に至っ
た。経過中、悪心や胸部苦悶感も出現している。心臓カテーテル・MRI・CTで再評価をし、現
在は不妊治療を保留し生体弁交換術を待機中である。
46 循環器・呼吸器 1
新生児期に肥大型心筋症を呈し遺伝子解析で診断された
LEOPARD症候群の女児例
長野赤十字病院 小児科
内海雅史,高山雅至,天野芳郎
長野県立こども病院 循環器小児科
瀧聞浄宏,安河内聰
信州大学医学部附属病院 遺伝子診療部
鳴海洋子,古庄知己
LEOPARD症候群は多発性黒子、肥大型心筋症(HCM)
、肺動脈狭窄(PS)、顔貌異常、難聴、
発達遅滞を特徴とする症候群で、Noonan症候群と類似した臨床症状を呈する。今回、出生後早
期にHCM、高度PS(圧格差 50mmHg)
、難聴、顔貌異常を認め、遺伝子解析でLEOPARD症候
群と診断した症例を経験したので報告する。
症例は、当院で出生し日齢9で黄疸、哺乳不良で入院となった女児。入院時の心エコーで両
心室壁肥厚とPSを認めた。出生時の聴力検査で両側難聴が疑われ、母にも特異顔貌、翼状頚を
認めたため、当初はNoonan症候群と考えた。月齢4に信州大学医学部附属病院遺伝子診療部で
本人および両親の遺伝子解析を実施し、本人にPTPN11遺伝子の変異を認めLEOPARD症候群と
診断した。両親からは同様の変異は検出されなかったため新生突然変異と考えられた。月齢5
からβblocker内服開始した。現在は3歳5か月で高容量βblockerを内服し、流出路狭窄は改善
傾向である。
41
演題抄録
47 循環器・呼吸器2
当院で経験したLoeys Dietz症候群6例の臨床像の検討
長野県立こども病院 循環器小児科
島袋篤哉,安河内聰,瀧聞浄宏,田澤星一,小田中豊,蜂谷明,大軒健彦,仁田学,福嶋遥佑,百木恒太
[背景]Loeys Dietz症候群
(LDS)
はTGFBR遺伝子の変異によって生じるMarfan症候群
(MFS)
類似の疾患群として確立され、MFSと比較し、大動脈病変が小児期より進行、予後もより不良
であることが知られてきた。
[対象と方法]当院で遺伝子確定診断した6症例((男/女=3/3)
、年齢2−16歳(中央値
12歳))の臨床的特徴および大動脈拡張の経時的変化を診療録より後方視的に検討した。
[結果]診断時年齢は中央値6.5歳(胎児期∼9歳)。初診時より全症例でLDSに特徴的な大
動脈の蛇行、両眼解離、二分口蓋垂等を認めた。Valsalva洞径の拡大も著明(134−172% of
Normal;中央値148%)であり、経時的にも拡大傾向はMFSの症例より強く見られた。全例で
アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ロサルタン)の内服治療を開始、その効果は限定的である。
[結語]LDSは特徴的所見より早期診断が可能である。基部から上行大動脈拡大は若年発症で
進行が早いため、内科および外科的処置を含めた早期治療介入が必要である。
48 循環器・呼吸器2
慢性呼吸不全を伴うチアノーゼ性心疾患合併のVACTERに
対して非侵襲的陽圧換気療法を導入した2症例
富山大学 小児科
仲岡英幸,伊吹圭二郎,小澤綾佳,廣野恵一,足立雄一,市田蕗子
福井県立病院
石田武彦,津田英夫
下気道狭窄に伴う慢性呼吸不全のチアノーゼ性心疾患合併VACTER連合2症例に対して非侵
襲的陽圧換気療法(NIPPV)を導入した。
症例1(1歳3か月、体重7.4kg)は両大血管右室起始、肺動脈狭窄、central shunt後で、心
拡大により左気管支狭窄を認めた。誤嚥性肺炎を繰り返し、試験外泊ごとに症状の増悪を繰り
返すため退院困難な状態であった。
症例2(1歳3か月、 4.6kg)は大動脈縮窄症複合、僧帽弁狭窄、Norwood術後で、両側気管
支狭窄と高度側弯による慢性呼吸不全、反復する喘鳴と高二酸化炭素血症を認めた。2症例に
NIPPV(スマートベンチレーターViVO40)を導入し、鼻マスクを細工しフィットさせることに
より十分陽圧を保つ事で呼吸症状の改善が得られ、2症例とも自宅療養可能となった。
慢性呼吸不全を伴う先天性心疾患児において、NIPPVは自宅での呼吸状態を安定させること
に有用であった。
42
第49回 中部日本小児科学会
49 循環器・呼吸器 2
先天性大葉性肺気腫の同胞例
福井大学医学部 小児科
杉原啓一,巨田元礼,田中奈々絵,吉川利英,奥野貴士,村井宏生,安冨素子,畑郁江,大嶋勇成
福井循環器病院
田村知史
先天性大葉性肺気腫は様々な機序による気管支の閉塞により、生後早期からの呼吸器症状を
呈する疾患である。心奇形の合併がしばしば認められ、家族内発症はまれとされている。
症例1は3歳女児。新生児期に喘鳴と心雑音、多呼吸を認め、動脈管開存・心房中隔欠損・
肺高血圧症を指摘された。動脈管結紮術、心房中隔欠損閉鎖術を受けたが、感冒を契機に気管
支喘息発作様の呼吸器症状を認めている。胸部CTで右中葉過膨脹を認め、先天性大葉性肺気腫
と診断された。
症例2は11か月女児。乳児期に哺乳量低下を認め、動脈管開存・肺高血圧症を指摘されて動
脈管結紮術を受けた。術前から左主気管支の狭窄が認められていた。感冒を契機に喘鳴と呼吸
音の左右差を認め、胸部CTで右中葉および左肺の過膨張あり、先天性大葉性肺気腫と考えられた。
本疾患に対する治療や管理に関しては統一的な見解がない。文献的考察を加え報告する。
50 腎臓
ネフローゼ症候群における急性腎不全は腎前性腎不全なの
か?
あいち小児保健医療総合センター 腎臓科
伊藤秀和,日比野聡,田中一樹,山川聡,永井琢人,上村治
[はじめに]基本的にネフローゼ症候群(NS)の有効循環血漿量は減少気味であるが、有効循
環血漿量を保とうとする腎のホメオスタシスは保たれていることが多い。しかし、NSに伴う急
性腎不全(ARF)では、有効循環血漿量が増加している場合もある。
[症例]4歳男児。体重19.05kg(病前16.5kg)
。紹介医にてNSと診断されて入院となり、 25%
アルブミン静注と利尿剤で加療するも、第5病日にARFとなり当センターへ転院となった。来
院時、乏尿でFENaが低値であるのにも関わらずBNPは高値で有効循環血漿量は増加してお
り、腎臓の浮腫による腎虚血と溢水を考え血圧に注意しながら25%アルブミン持続静注を行った。
FENaの上昇とともに尿量が増加し、腎臓の浮腫は改善しゆっくりARFから離脱した。
[考察]本症例は有効循環血漿量の増加と腎虚血が併存するNSによる特発性急性腎不全
(NSARF)の状態と考えられ、腎臓の浮腫を改善させることが重要であった。
43
演題抄録
51 腎臓
扁摘+ステロイドパルス療法を施行したISKDC grade IVb
の紫斑病性腎炎の一例
市立四日市病院 小児科
谷村知繁,岩城利彦,樋口真知子,渡津めぐみ,小出若登,牧兼正,牛嶌克実,坂京子
症例は10才、女児。アレルギー性紫斑病および紫斑病性腎炎(HSPN)のため当科に紹介入院。
入院時尿蛋白3+(尿蛋白定量7.49g/日)
、尿潜血3+、血清Alb 1.87g/dlでネフローゼ症候群
を呈しており、BUN31.6mg/dl、Cr0.6mg/dlと軽度腎機能障害もみられた。血圧125/95。腎
生検では約半数の糸球体に細胞性半月体を認め、ISKDC grade IVbと診断した。血漿交換、ス
テロイドパルス、後療法としてカクテル療法を行い、尿蛋白は改善傾向となった。しかし、そ
の後感冒症状に伴い血尿発作がみられ尿蛋白は増悪し、扁摘+ステロイドパルス(扁摘パルス)
療法を施行した。その後尿蛋白は漸減し、現在は尿蛋白±、尿潜血2+で腎機能も正常である。
扁摘パルス療法は、IgA腎症に対する有効性が多数報告されているが、HSPNに対する有効例の
報告も散見される。本例について文献的考察も含め報告する。
52 腎臓
血尿・タンパク尿がなく、高血圧を伴った血管性紫斑病の
1例
市立長浜病院 小児科
橋本和幸,山根達也,笹井英雄,浅野勉,多賀俊明
症例は5歳男児。腫張を伴う足関節痛が出現し、その後両下肢に紫斑出現。嘔吐、腹痛も認
め当院救急外来受診、
血管性紫斑病と診断。安静、
補液、
水溶性プレドニン投与にて治療開始。徐々
に紫斑消退し、腹部症状の改善みられたが、入院6日目に突然嘔吐を伴う頭痛出現。右側頭部、
右下肢の浮腫が急激に出現し、血圧上昇を認めた。頭部CTにて右側頭部に皮下浮腫を認める以
外異常なし。腹部MRA、レノグラムにて異常を認めず。血漿レニン活性、血清アルドステロン
値は正常。その後浮腫、血圧は徐々に改善し降圧薬中止。紫斑も徐々に消退し、腹部症状も改善、
退院となる。入院経過中、血尿、蛋白尿は認めなかった。当院で経験した他の血管性紫斑病症
例の腎病変合併の有無、高血圧症との関連について考察を加えたい。
44
第49回 中部日本小児科学会
53 腎臓
急性巣状性細菌性腎炎に対する腹部MRI(DWI)の有用性
について
岡崎市民病院 小児科 平山祐司,平野雅穏,池田麻衣子,増田野里花,細川洋輔,谷口顕信,花田優,松沢麻衣子,渡邊由香利,辻健史,
林誠司,加藤徹,長井典子,早川文雄
急性巣状性細菌性腎炎(AFBN)は急性腎盂腎炎のスペクトラムの中の一つして捉えられて
いるが、尿検査で異常を認めない例の報告もある。従来は造影CTでの楔状の造影不良域の存在
によるが、最近、腹部MRI(DWI)の有用性の報告が有り、当院の入院患者についても検討を
行なった。
2012年12月1日から2013年5月31日の間に、当院小児科へ入院し急性腎盂腎炎と診断した6
例と、急性腎盂腎炎とは確定診断できなかった熱源不明の7例(うち1例は膿尿無)に対し腹
部MRIを撮像し検討した。13例中9例にDWIで楔状の高信号域を認めAFBNと診断した。こ
れら9例では全例が入院・抗生剤開始3日目以降に解熱したが、残りの4例は全例が入院翌日
までに解熱していた。この4例中2例は腎盂腎炎と確定診断されていたが、この結果と合わせ
AFBNは否定できた。また、異常を認めた9例のうち5例では尿路感染症の診断基準を満たさ
なかった。
腹部MRI(DWI)は急性腎盂腎炎の重症度評価及び不明熱の鑑別に有用であった。
54 栄養・保健
児のビタミンB12欠乏症から母の慢性萎縮性胃炎の発見に
至った母児例
福井県立病院 小児科
林泰平,朝倉有香,吉野智美,宮越千智,石田武彦,田口律代,岩井和之,津田英夫,野坂和彦
福井大学医学部看護学科
重松陽介
今回、発育発達障害を契機に発見されたビタミンB12欠乏症の乳児例を経験した。症例は10ヵ
月男児。主訴は哺乳障害、
活気不良。生後4−5ヵ月ころから哺乳障害、
体重増加不良が出現した。
人工乳や離乳食を受けつけず、受診時まで完全母乳栄養が継続されていた。診察ではフロッピー
インファントの所見を有し、血液検査では貧血を認め、頭部MRIではびまん性の脳萎縮を認めた。
血清・尿中有機酸分析でメチオニン低下、メチルマロン酸の上昇を認めた。ビタミンB12欠乏症
と診断し、入院でのビタミンB12の連日筋注を開始した。症状、検査結果は速やかに改善を認め
た。ビタミンB12欠乏症の原因検索を行ったところ、母にもビタミンB12欠乏を認め、内視鏡検
査で慢性萎縮性胃炎を認め治療が開始されている。児のその後の発達経過を含め報告する。
45
演題抄録
55 栄養・保健
幼児十二指腸潰瘍性出血の1例
一宮市立市民病院 小児科
上野裕太,三宅能成,成瀬宏,佐橋剛,熊崎香織,寺澤俊一,山本和之,岩田直之,松永英幸,前田重一,岡村淳,
吉田あや,中村早希,若野泰弘
【症例】2歳6ヶ月健康男児。
【現病歴】嘔吐症状が1週間続き、当院受診時に高度貧血を指摘された。排便なく血便の確認
ができず、胃管挿入後に胃内褐色内容物を確認した。緊急輸血、上部消化管内視鏡施行した。
【検査結果】Meckelシンチ異常なし。WBC 43500、RBC 176、Hb 4.9、Hct 13.7、Plt 49.7、Fe
16、UIBC 351、BUN 22.4、Na 117、Cl 89、pH 7.284、HCO3 8.2、ハプトグロビン60、ガスト
リン46.5。
【経過】内視鏡で十二指腸球部前壁に潰瘍を伴う動脈性出血を認めクリッピング3本実施、
HSE局所注射、トロンビン散布した。ガスター開始、食事再開後も再出血なし。後日、内視鏡
再度施行し粘膜生検にてH.pylori陰性、治癒過程の十二指腸粘膜であった。食道、胃粘膜病変なし。
【まとめ】受診時に明らかな吐血下血を認めなかった。今症例は特発性十二指腸潰瘍性出血と
診断された。幼児症例について当院の過去経験症例と文献的考察を交えて報告する。
56 栄養・保健
地域モデルをめざした小児重症患者搬送システム改善の試み
長野県立こども病院 小児集中治療科
松井彦郎,笠井正志,北村真友,黒坂了正,藤原郁子,中島発史,本間仁,松本昇
(背景)地方において重症小児救急症例には高次医療施設への迅速かつ安全な搬送体制の構築
と継続的な改善が重要である。
(目的)長野県立こども病院における救急搬送体制の現状と課題について検討する。
(方法) 2011年4月から地域連携強化・ドクターヘリとの関係強化、ドクターカー搬送システ
ムの抜本的改良を経時的に試み、搬送時間・件数等の効果を観察した。
(結果)現場からのドクターヘリ搬送が増加し、ドクターカー搬送件数は2010年以前に比べ優
位に増加した。ドクターカー搬送出発までの平均時間は優位に減少した。システム改善に人員
の増加は必要とせず、物品の整備費用は約50万円であった。
(考察)地域の中核病院や搬送システムとの綿密な連携及び簡素化した搬送システムにより、
重症患者に対するより早期医療介入が安価に可能であった。
(結語)地域連携と搬送システムの継時的改善により、迅速かつ安全な小児救急搬送事業の一
般化が可能と考えられた。
46
第49回 中部日本小児科学会
57 栄養・保健
長良医療センター院内病児保育支援施設「にこにこルーム」
の利用状況と問題点
国立病院機構長良医療センター 小児科
内田靖,宮崎久美子,下川祐子,森田秀行,舘林宏治,金子英雄
(はじめに)当院の既設の院内保育所では病児保育に対応ができなかったため、各部署の協力
のもと、 2011年5月に全職員の子どもを対象とした院内病児保育支援施設「にこにこルーム」
を開設した。開設後2年が経過した現在までの利用状況・問題点を報告する。
(結果)のべ利用
回数は272回(平均11.3回/月)。利用者の職種は看護師・助産師が96%を占め、複数回利用す
る職員が大半であった。利用後のアンケートによる評価は概ね良好であった。
(考察)院内病児
保育支援施設は家族支援として有効であり、職員確保の面で病院側にもメリットがある。しか
し、今回の検討では流行性の感染症の場合、他の病気の子どもと同時に受け入れることができ
ない、保育士が交代で行っているが、専任ではないため入院患者の支援や療育活動に支障をき
たす、公的補助は受けておらず、システムとしての安定性が弱い、等の問題点も明らかとなり、
今後の検討が必要である。
58 栄養・保健
地域医療支援病院小児科において心理士が参画した症例の
臨床的検討
大垣市民病院 小児科 藤井秀比古,福岡明日香,沼田侑也,野村羊示,伊藤貴美子,鹿野博明,岩田晶子,中嶋義記
同 精神神経科
大場実保子,富田顕旨
地域の医療連携および急性期医療を担う病院小児科においても、多職種連携による医療が必
須となってきている。当科では、心理発達のアセスメントが必要な症例において、心理士が成
育歴の聴取、各種心理検査、カウンセリングなどに参画している。
2012年4月より2013年3月までに、当科外来において心理士が関与した症例について臨床的
に検討した。
総数107例(男児72例、女児35例)
、平均年齢は7.9歳。診断名は、自閉症スペクトラム障害、
AD/HDおよび学習障害などが51%と過半数を占め、身体表現性障害、適応障害および摂食障
害が24%、精神発達遅滞および境界知能が21%であった。小児科領域における心理士に期待さ
れる役割として、1)各種心理発達検査の実施と評価、2)心身症の心理アセスメントとカウ
ンセリング、3)院内外の関係職種(看護、福祉、教育など)との連携、などが考えられた。
47
中部日本小児科学会会則
(名 称)
第1条 本会は、中部日本小児科学会と称する。
(目 的)
第2条 本会は、構成する各地方会と連携協力のもとに、小児科学に関する研究及び知識の交換を図り中部地区の小
児医療の発展に寄与するとともに、合わせて会員の親睦を図ることを目的とする。
(事 業)
第3条 本会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行なう。
1.学術集会
2.その他本会の目的を達成するために必要な事業
(構 成)
第4条 本会は、社団法人日本小児科学会定款施行細則第40条により設置された東海地方会、北陸地方会及び長野地
方会(以下、各地方会という)の会員で構成される。
(役 員)
第5条 本会に会長1名と運営委員を置く。
1.会長は、本会運営の責任者であって、社団法人日本小児科学会定款施行細則第26条に定める中部地区
内に設置されている大学の医学部小児科学教室教授またはそれに準ずる者から選出する。会長の任期は、
前学術集会の翌日から主催学術集会の当日までとする。
2.運営委員は、日本小児科学会中部地区代議員とし、会の運営にあたる。
(運 営)
第6条 本会の運営のため、運営委員会を年1回開催する。
1.運営委員会での議決は、出席者の過半数の同意を得なければならない。
2.本会の運営に充てるため、各地方会は、次の計算式により算出された額を拠出する。
会員数×各地方会年会費同額×10%
(事 務 局)
第7条 本会の事務局は、会長の所属する大学小児科学教室内に置くものとする。
(会則の変更)
第8条 本会則の変更は、運営委員会において議決を要する。
付 則 本会則は、平成12年8月27日から施行する。
2 平成7年8月20日発効の中部日本小児科学会会則は廃止する。
中部地区代議員会会則
(名 称)
第1条 本会は、日本小児科学会中部地区代議員会と称する。
(目 的)
第2条 本会は、日本小児科学会定款施行細則(以下、細則という。)第38条の規定に基づき設置する。
(事 業)
第3条 本会は、細則第39条の業務を行う。
(構 成)
第4条 本会は、細則第26条に定める中部地区内各県において、日本小児科学会定款(以下、定款という。第19条に
定める代議員として選出された者をもって構成する。
(議 長)
第5条 本会に議長および副議長各1名を置く。
2 議長は、中部日本小児科学会会長とし、本代議員会の業務を統括する。
3 副議長は、中部日本小児科学会次期会長とし、議長を補佐するとともに、議長に事故あるときは議長の業務
を代行する。
(会 議)
第6条 本会は、年1回開催する。ただし、必要に応じ臨時に開催することができる。
(事 務 局)
第7条 本会の事務局は、議長の属する大学小児科学教室内に置く。
(会則の変更)
第8条 本会の変更は、代議員会において議決を要する
(準 用)
第9条 本会の成立、議決に関しては,定款第33条及び第34条を準用する。
附 則 本会則は、平成12年8月27日から施行する。
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中部日本小児科学会開催記録
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