東海大学大学院工学研究科光工学専攻 画像情報工学コース 社会が求めている画像処理や画像解析技術を身に付けた人材を育成するため,2003 年度に東海大学大学院工学研究科光工学専攻に画像情報工学コースが新設されます. 1960年代初期から発展してきた画像処理技術は,コンピュータ技術の進歩と相まって急速に実用化が進 んできました.超音波画像診断やCT(コンピュータ断層法)で馴染み深い医用画像処理,製品検査・組立 工程などで多用されている産業応用,郵便番号の自動識別でよく知られている文字認識や図面・文書処理, さらに地域開発からインテリアデザインに至る景観シミュレーションなど,画像処理技術は極めて広範囲に わたって利用されており,現在では必要不可欠な技術と言えるまでに成長しています. 画像処理分野の中でも,特にその進展が著しい分野に地球観測衛星からの情報を解析する分野がありま す.全球規模で地球環境変動を観測する衛星や,航空写真に匹敵するような詳細な画像を撮影する衛星など 数多くの地球観測衛星が現在運用中あるいは計画中です.これらの地球観測衛星のデータは1日10テラバイ トにも達する膨大なデータ量であり,その処理や解析は画像処理技術がなくてはできないものです. 地球観測衛星データに対する社会のニーズが高まっている現在,これらの衛星データの処理や解析を行う ことのできる人材の供給は極めて限られており,有用な人材を緊急に育成することが社会の重要な課題と なっているといえます.同様に,画像処理の応用分野の多くで,画像処理・解析の専門知識や技術をもつ人 材が求められています. 東海大学では,1970年代前半より,地球環境の悪化の危機を予測し,科学技術により社会に貢献する体 制を整えてきました.その活動は,総合研究機構の研究の一環として,情報技 術センター(TRIC)での画像処理および地球観測に関する28年に及ぶ研究活 動や宇宙情報センター(TSIC)での16年にわたる地球観測衛星データ受信の 成果として実を結び,研究・教育活動を通じた教員の実績も蓄積されていま す.TRICの活動は地球観測分野に限らず,文化財の調査・保存・修復分野や 医学分野などにおける画像処理や解析に関して,多くの実績があります.この ようなTRIC・TSICの活動実績により,画像処理・解析,特に地球観測衛星 データの処理・解析分野での人材の育成についても,東海大学に対する社会の 期待は大きいものがあります.それに応えるため,社会が求めている画像処理 や画像解析技術を身に付けた人材を育成することを目的として,2003年度に東 海大学大学院工学研究科光工学専攻に画像情報工学コースを新設します. 東海大学大学院工学研究科光工学専攻 画像情報工学コース 教 員 ○下田陽久教授(専門:画像解析,リモートセンシング) 画像情報技術の研究・開発並びにそれら技術の応用研究 ○松前義昭教授(専門:衛星観測システム) 衛星による地球観測に関連する各種システム開発と応用技術に関する研究 ○福江潔也教授(専門:画像処理,リモートセンシング) 画像の復元・補正.変換・識別など画像処理技術全般に関する研究および各種画像処理・画像計測シ ステムの開発. ○長 幸平教授(専門:応用画像解析) 各種地球環境問題,災害などへのリモートセンシングデータの利用技術,物理計測,画像解析に関す る基礎研究および応用研究. ○松岡龍治助教授(専門:画像計測) 画像の幾何学的補正,幾何変換,画像計測に関する研究およびその処理システムの開発.画像からの 空間情報・地理情報の抽出およびその利用技術に関する研究. 主な研究テーマ ○教育・研究用画像処理ソフトウエアシステムの開発 ○個人識別技術に関する研究 ○図面認識技術に関する研究 ○土地被覆分類アルゴリズムに関する研究 ○土地被覆分類テストデータセットの開発 ○ステレオペア間のマッチングアルゴリズムに関する研究 ○差分干渉SARによる長期地殻変動観測に関する研究 ○海洋現象のマイクロ波計測に関する研究 ○宇宙からのHDTV映像取得と解析に関する研究 ○地球観測衛星用小型アンテナによる追尾・受信システムの開発 ○地球観測衛星データの受信・処理・保存・伝送・記録自動一貫システムの開発 ○地球観測衛星ダウンリンクデータの高速・汎用フォーマッティングシステムの開発 ○アンテナ指向キャリブレーション手法に関する研究 ○マルチメディアデータオンライン保存システムの開発 ○海氷リモートセンシングに関する研究 ○地球観測衛星による広域・即時監視に関する研究 ○ステレオ高解像度衛星画像を用いた地形計測アルゴリズムの開発 ○ディジタルカメラ画像を用いた簡易3次元計測システムの開発 ○数値化空中写真データの非可逆画像圧縮手法の評価 教育:主な授業科目(博士課程前期) 画像情報工学特論 多岐にわたる画像情報工学の全体像を把握するために行われる授業です. 画像解析特論 画像解析の対象となるディジタル画像データについての講義です.画像処理が直接対 象とするディジタル画像データを得るための画像のディジタル化,画像にならない データから画像を再構成するための画像再生,歪みやボケなどで劣化した画像を改善 するための画像復元などの処理手法について説明します.また,画質や画像の統計 量,画像再生や画像復元の基礎となる直交変換についても講義します. 画像変換特論 撮影・記録された画像には,撮影対象に関するさまざまな情報が含まれています.こ れらの情報を抽出する際に用いられる画像情報(濃淡情報,空間情報,幾何学的情 報)の変換手法に関して講義します.また,符号化・データ圧縮手法に関する講義も 行います. 画像認識特論 撮像された対象を識別する手法について講義します.特徴選択,統計的分類法,クラ スタリング,領域分割,マッチングの各種手法について説明します.また,エキス パートシステム,ファジイ理論,ニューラルネットワーク,遺伝的アルゴリズム,な ども取り上げます. 空間情報工学特論 画像を用いた3次元計測手法には多くの種類がありますが,講義では,その代表的な手 法を取り上げて説明を行います.また,対象物の3次元情報を表示する手法についても 講義します. コンピュータビジョン この講義を通して,画像情報工学の主要な利用分野であるコンピュータビジョンを理 特論 解します.主な講義内容は,物体の検出や認識手法,および対象の移動あるいは変化 の検出や認識手法に関するものです. 画像処理特論 この講義は,画像処理システムに関する講義と,画像処理実習や画像処理プログラミ ング実習を通して,画像処理とはどのようなものであるかを理解します. リモートセンシング この講義を通して,画像情報工学の主要な利用分野であるリモートセンシングを理解 特論 します.リモートセンシングの原理(電磁波の性質,物質・電磁波相互作用,放射伝 達理論など),リモートセンシングデータの特性,解析に適するデータにするための 補正処理(放射量補正,幾何補正)について講義します. センサ特論 画像データを取得するセンサとしては,主に光学センサとマイクロ波センサが使われ ています.この講義では,光学センサとマイクロ波センサの原理から,各種センサの 概要,較正手法について取り上げます. 衛星工学特論 この講義では,リモートセンシングセンサの重要なプラットフォームである人工衛星 の軌道,位置および姿勢の決定方法について説明を行います.また,人工衛星のイン フラストラクチャである衛星バスや衛星-地上系システムについても説明します. 観測衛星システム特論 地球観測衛星に搭載されたセンサで観測されたデータが,衛星から地上局に伝送さ れ,解析に利用されるデータとなるまでの一連のシステムに関しての講義です.この 一連のシステムには,制御系,データ収集・蓄積系,処理・通信系,衛星通信方式, 地上受信系,記録系,処理系などがあります. 地球環境問題特論 地球環境問題の解明に対するリモートセンシングの役割を,大気化学,大気物理,海 洋生物,海洋物理,陸域生態系,水文,雪氷などの分野に分けて考えます. 地理情報システム特論 リモートセンシングで得られる情報を有力なデータソースとするシステムとして,地 理情報システム(GIS)があります.この講義では,地理情報システムで用いられる データモデル,解析手法,およびその利用について説明します. 画像情報工学研究 ゼミナールⅠ~Ⅳ 光工学特別研究 演習Ⅰ・Ⅱ 記事の見出し 2003年度大学院入試 一般入試 (選抜方法:筆記試験と面接) 第1期(春学期) 第1期(秋学期) 第2期(春学期) 第2期(秋学期) 02年 6月28日(金)~ 03年 1月 9日(木)~ 03年 1月 9日(木)~ 03年 6月27日(金)~ 出願期間 02年 7月11日(木) 03年 1月23日(木) 03年 1月23日(木) 03年 7月10日(木) 02年 8月 1日(木) 03年 2月17日(月) 03年 2月17日(月) 03年 8月 1日(金) 合格発表 02年 8月 9日(金) 03年 2月27日(木) 03年 2月27日(木) 03年 8月 8日(金) 試験日 入学手続 02年11月29日(金)~ 03年 2月27日(木)~ 03年 2月27日(木)~ 03年 8月18日(月)~ 期間 02年12月 6日(金) 03年 3月 6日(木) 03年 3月 6日(木) 03年 8月25日(月) 2003年4月 入学時期 2003年10月 2003年4月 2003年10月 第Ⅱ期(春学期) 第Ⅱ期(秋学期) 社会人特別入試(選抜方法:書類審査と面接) 第Ⅰ期(春学期) 第Ⅰ期(秋学期) 第Ⅲ期(秋学期) 出願期間 02年 6月28日(金)~ 02年 6月28日(金)~ 03年 1月 9日(木)~ 03年 1月 9日(木)~ 03年 6月27日(金)~ 02年 7月11日(木) 02年 7月11日(木) 03年 7月10日(木) 03年 1月23日(木) 03年 1月23日(木) 試験日 02年 8月 1日(木) 02年 8月 1日(木) 03年 2月17日(月) 03年 2月17日(月) 03年 8月 1日(金) 合格発表 02年 8月 9日(金) 02年 8月 9日(金) 03年 2月27日(木) 03年 2月27日(木) 03年 8月 8日(金) 入学手続 02年11月29日(金)~ 02年11月29日(金)~ 03年 2月27日(木)~ 03年 2月27日(木)~ 03年 8月18日(月)~ 02年12月 6日(金) 02年12月 6日(金) 03年 3月 6日(木) 03年 3月 6日(木) 03年 8月25日(月) 期間 2003年4月 入学時期 2003年10月 2003年4月 2003年10月 設置場所 情報技術センター(TRIC) ・宇宙情報センター (TSIC)の施設・設備等を教育,研究に利用す るため,また社会人の大学院生や研修生の勉学に 好都合なように,画像情報工学コースは東海大学 情報技術センターで授業が行われます. 東 海 大 学 代 々 木 校 舎 〒151-0063東京都渋谷区富ヶ谷2-28-4 ※最寄り駅 小田急線代々木八幡駅(徒歩10分) 小田急線代々木上原駅(徒歩15分) 千代田線代々木公園駅(徒歩10分) 東 海 大 学 情報技術センター (望星高校3F) 井の頭線駒場東大前駅(徒歩15分) お問い合わせ先 画像情報工学コースに関するお問い合わせ先は下記の通りです. 東海大学大学院工学研究科光工学専攻 代々木サテライト(情報技術センター内) 福江潔也・松岡龍治 〒151-0063東京都渋谷区富ヶ谷2-28-4 TEL:03-3481-0611,FAX:03-3481-0610 fku@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp,ryuji@yoyogi.ycc.u-tokai.ac.jp 2003年10月
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