メディア教育論 第8回 なぜ、視聴覚教育を学ぶのか? いまさらですが

なぜ、視聴覚教育を学ぶのか?
メディア教育論 第8回
• 博物館学芸員の資格には関係ないのでは?
• もっと、博物館に関係あることをやってほしい
村上正行
それはごもっともなのですが、、、
本当にそれでいいですか?
いまさらですが
• 博物館学芸員になるためには
これだけの必修科目が
必要です
博物館学芸員の仕事
• 博物館には誰が来ますか?
– 小学生~高校生の学生たち
– 興味・関心を持っている大人たち
• 見に来た人に教育をする立場なのです
博物館と関係ない?
そんなことは
ありません!
メディア教育論(視聴覚教育)では
• 来館者にとって分かりやすい博物館を
目指して
– 見る側、見せる側の視聴能力
– メディアを用いた情報の提示
– 技術を活用した博物館や教育
について学びます
– 直接、来館者に解説する
– 物品の解説文などを提示する
– 理解しやすいように展示を考える
– ビデオなどを博物館に取り入れる
「どうなるわが町の美術館」
• クローズアップ現代 ’05 2/22
• 現代の美術館の問題点を指摘しています
• 博物館学芸員の人は、博物館の現状
教職課程の人は、地域とのかかわりのあり方
に注目して見てみてください
• この講義では、上の事柄を日常的な事柄を通
して、学問的に学ぶことを目指しています
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文化としてのメディアとメディア環境
• “メディアは人間の身体の拡張である”
M.マクルーハン(1987)
「メディア論ー人間の拡張の諸相」
• 芸術・美術の分野にもマルチメディアは
取り入れられてきている
美術館のWebサイト
• 世界各地の多くの美術館・博物館が
Webサイトを開設している
• 多くの場合は、広報活動が中心
• Webサイト上で広報活動を行うことに
よって様々なメリットがある
メリット ~経費など~
メリット ~展示品の情報~
• ポスターなどの従来の広告媒体に比べて、コ
ストがかからない
• 印刷メディアに比べて、作成時間がかからず、
リニューアルが即座にできる
• ワークショップ、講演会、上映会などのような
実施期間の短い、告知に経費をかけられな
いものも広報できる
• 興味を持ってくれる層に情報が届きやすい
• 画像の提示に適している
• パフォーマンスなどの動画像による紹介が可能
• ユーザの興味に応じた見方ができるので、画像、テ
キストなど多くの情報を提示できる
• 美術館では説明テキストを多くは提示できないが、
Webサイトにテキスト情報を置くことによって、興味
のある人は予習してから来館できる
メリット ~情報の保持~
所蔵物の情報提示
• 終了した展覧会の情報などもとどめておくこと
で、美術館の事業や考え方をよりよく伝えるこ
とができる
• リンクの活用により、他の美術館などで行わ
れる関連企画、アーティストの個人のWebサ
イトに導くことができる
• 美術館・博物館には数多くの美術品を所蔵し
ている
• 一度に見て回るのには時間もかかるし、
すべて陳列できているとは限らない
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美術館データベース
• 画家名・作品名・主題・流派・地域・年代
などで検索することで、多くの絵画を関連付
けながら画面上で鑑賞できる
デジタル・データの利点
• 作品の劣化などで、長期間展示できないもの
も、見ることができる
• 古文書などの解析などにも、デジタルデータ
が使われている
• 美術館の展示場所なども事前に
知ることができる
バーチャル・ミュージアム
展示品の配列
• 現実の建物として存在しないミュージアムを、
コンピュータ上に構築して、ユーザが作品を
閲覧できるようにしたもの
• 美術館、博物館などは、単に作品や収集品を
並べているわけではない
• 歴史的展開や展示テーマなどに基づいて
キュレーターが決定した配列に従って、展示
物を空間的にレイアウトする
• このことで、全体のストーリーができる
– Web上に置かれたもの
– CD-ROMなどのパッケージになったもの
空間的なバーチャルミュージアム
キュレーターの役割の変化
• バーチャルミュージアムでも、情報の空間的
な配置が望ましい
• リンクやクリッカブル・マップなどを駆使してう
まく配置することが必要
• マルチメディアを活用した広報活動も広がり
つつある
• このような中、キュレーター(curator)の役割
も変化しつつある
• それぞれのキュレーターの考えなど、様々な
形で個性を表出しやすくなっている
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東京大学ディジタルミュージアム
コンピュータ利用
• 600万点もの資料、標本を所蔵
• 東京大学総合研究博物館
• 1996年からデジタルミュージアムの研究
開発を行っている
http://www.um.u-tokyo.ac.jp
• MYCOM PC Web ’02 1/29 の記事より
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/01
/29/06.html
基本的な考え方
コンセプト 「オープンミュージアム」
• 誰にでもオープン
• 場所と時間にオープン
• 鑑賞方法にオープン
場所と時間にオープン
• 博物館に出かけていく距離や時間を解消
• 過去の展示などを見ることが可能
実際にすべて展示するのは不可能
• 2つから構成される
– 実際の展示(リアル展示)の強化
– バーチャルミュージアムの展開
(バーチャル展示)
誰にでもオープン
• 利用者の年齢や言語を問わず、それぞれの
見学者に対して適切な情報を提供
• 身体障害者などのバリアを解消
例えば、視覚障害者に対して
– 音声データによる解説
– 3次元データからレプリカを自動作成し、
触れることができる展示を行う
鑑賞方法にオープン
• レプリカに触る
• 3次元画面で普段見られない位置から
鑑賞できる
• MUDにより資料に関連した仮想空間に
入っていくことが可能
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実空間での展示の強化
• カプセルショーケース
– 直径1.4m
– 展示物の温度や湿度を管理
– 免震構造
– 見学者が近づいたときのみ照明をあて、
展示物の温度上昇及び劣化を減らす
PDMA
• 外国語にも対応
• 音声情報も発信でき、
目の不自由な人への
ガイドの役割も果たす
PDMA
• Personal Digital Museum Assistant
• 小型の携帯端末を見学者が携帯
• 展示物に近づくと、画面上に情報を表示
• 従来、解説のためのスペースをとれなかった
が、この設備によって改善
DSの活用 時雨殿
• 時雨殿(京都嵐山)
http://www.shigureden.com/
– http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/04/02/sh
igurede/
– http://arena.nikkeibp.co.jp/news/20060612/1171
11/
• ソフトも販売
– 「タッチで楽しむ百人一首 DS時雨殿」
電子ブック
3次元MUDシステム
• 展示品が本の場合、開いているページしか見
られない
• 版面をデジタル化し、電子ブックとして
自由にめくれるようにした
• MUD(Multi-User Dungeon/Dimension)
コンピュータ上に築かれた仮想世界のこと
• 最近では“Final Fantasy XXI”のような
ネットワークゲームで普及しています
• 3次元での仮想空間上でのバーチャルミュージアム
作成を試みている
• http://www.um.u-tokyo.ac.jp/dm2kumdb/publish_db/books/dm2000/japanese/01/01
-11.html
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現物保存
体験型博物館
• フランス南部のアルデーシュ峡谷のバロン・
ポンダルク洞窟の約3万年前の壁画(1994年
に発見)
• 米サンフランシスコのエクスプロラトリウム
(Sanfrancisco Exploratorium)は、実空間で
体験型の科学博物館
• WWWでも様々な試みが行われている
• 1940年に発見されたラスコーの壁画が
見学者によって傷ついしまった経験から
当分の間、一般公開されずにWWWで公開さ
れている
デジタルミュージアムの展望
デジタルミュージアムの展望
• コンピュータは博物館を大きく変えようとして
いる
• 言うまでもなく、実物の物の重要性は高く、
バーチャル展示と実物展示の優劣を論じるこ
とは意味がない
• だが、ミュージアムは「資料保管所」ではなく、
「知識伝達のための機能を持った場所」と考
えるならば、そのための最善の手法が求めら
れる
参考URL
参考URL
• 文化遺産オンライン
http://bunka.nii.ac.jp/Index.do
• ルーブル美術館
http://www.louvre.or.jp/
• 兵庫文学館
http://www.bungaku.pref.hyogo.jp/
• MOMA(ニューヨーク現代美術館)
http://www.moma.org/
• サンフランシスコ美術館
http://www.thinker.org/
• バロン・ポンダルクの洞窟
http://www.culture.gouv.fr/culture/arcnat/chau
vet/en/
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レポート
レポート
1.下記のレポートを6月29日の授業時に持参し、
授業終了後提出すること
2.最終授業終了後、下記の内容をメールで送る
こと
– 教職課程
メディアを活用した授業案を作成
– 博物館学芸員課程
興味のある分野で美術館の1フロアを設計
– ともにA4数枚程度
– 最終授業でのディスカッションを踏まえて、
自己評価・他者評価
– この授業に関する評価・来年に向けての改善点
– 感想(自由)
宛先はmet@murakami-lab.org
メールの題目は「学籍番号 名前」
例 文05-0000 村上正行
レポート
• 〆切は7月20日(金)
• 問い合わせは
masayuki@murakami-lab.org
にメールすること
• 6月29日欠席のものは、1.のレポートを
7月6日の授業時に持参のこと
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