中長期ボランティア・ベトナム 事業報告書 ∼目次∼ 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 名前 : 活動期間: はじめに 事業の概要 参加者・協力者 活動期間中の日程 事業のねらい、ワーク、その成果 ワーク以外の活動 生活 アンケート結果 提案と今後の構想 終わりに 1) はじめに 今回、私は中長期ボランティアとして、プログラムに参加しました。 私は日本ではリハビリに関する仕事をしており、その仕事を通して海外の障がい者施設に興味を持つことに なりました。今回、私が参加したプログラムの内容について、報告させていただきます。 2) 事業の概要 2−1)事業名:VPV/Thuy An Centre for Handicapped Children 2−2)開催期間:平成21年3月29日∼平成21年4月23日(25日間) 2−3)開催地:ベトナム、ハタイ省 Thuy An Centre for Handicapped Children 2−4)事業目的:①子どもたちの持つ障がいに対する援助 ②子どもたちの日常生活に対する援助 ③子どもたちとのレクリエーションを通じた社会生活の向上 2−5)参加者:共に活動したボランティア:1カ国 2名 2−6)ワーク内容:①身体障がいを持つ子どもたちへの治療の援助 ②子どもたちの日常生活の援助(食事介助、洗体介助など) ③子どもたちを交えたレクリエーションの提供 2−7)他の活動:特になし 2−8)生活方法:宿泊:施設内のゲストハウス(4人部屋) 食事:3食ともに施設内で提供される 2−9)言語:英語、ベトナム語 2−10)協力:施設長(医者)、リハビリ科長(医者)、リハビリスタッフ、 看護師、サポートスタッフ、子どもたち 3) 参加者 3−1)共に期間中活動したボランティア(女2名) ・Kathrine (デンマーク、コペンハーゲン在住、19歳、学生) ・Ditte(デンマーク・コペンハーゲン在住、19歳、学生) 3−2)協力団体・協力者の方々 ・VPV(ベトナムNGO団体) ・Thuy An Centre for Handicapped Children 4)開催中の日程と出来事 4−1)大まかなスケジュール 月 活動内容 3月 4月 ・施設見学 ・周辺の村への観光 重点事項 ・施設にいる子どもたちの生 活状況を確認する ・スタッフとの協力を確認す る ・施設のこどもたちへ ・スタッフと話し合いなが の日常生活の援助、リ ら、活動を進めていく ハビリ補助 出来事 ・オリエンテーション ・観光 ・簡単なレクリエーション ・子どもたちとのふれあい ・子どもたちへの支援 4−2)基本的な週間スケジュール 曜日 予定 活動内容 月 リハビリの補助・日常生活の補助 訓練室でのリハビリ 火 リハビリの補助・日常生活の補助 訓練室でのリハビリ 水 リハビリの補助・日常生活の補助 訓練室でのリハビリ 木 リハビリの補助・日常生活の補助 訓練室でのリハビリ 金 土 リハビリの補助・日常生活の補助 ハノイに滞在 訓練室でのリハビリ ハノイの観光 日 ハノイに滞在 ハノイの観光 4−3)基本的な1日のスケジュール(平日の場合) 時間 行動 7:00 起床!! 7:30 朝食 8:00 午前のリハビリ開始。 リハビリルームにて、スタッフとリハビリの補助 昼食・休憩 11:30 13:30 午後のリハビリ開始。 リハビリルームにて、スタッフとリハビリの補助 16:30 リハビリ終了。 子どもたちと遊んだり、手があいているときに、子どもたちの食事 介助を行う。 夕食。食後は子どもたちと遊んだり、他のスタッフと話しをしたり、 自由時間。 就寝 18:30 21:00 5)事業のねらいワーク、その成果 5−1)本事業のねらいと背景 ① 子どもたちの持つ障がいに対する援助 ② 子どもたちの日常生活に対する援助 ③ 子どもたちとのレクリエーションを通じた社会生活の向上 それぞれの事業に対する背景について以下に挙げる。 ① の事業の背景 今回参加した施設では、入所者の半数近くの子どもたちに身体障がいがあり、その障がい像も様々であっ た。年齢も、3歳ぐらいから20歳ぐらいまでの子どもたちが訓練室においてリハビリを行っていた。セラ ピストは全部で7名、訓練室でリハビリを行っている。リハビリの内容は、物理療法、運動療法が中心とな って行われており、訓練室の中には、他にステッパーやエクササイズマシーンを使った自主訓練を実施して いる。当施設における運動療法の中心は、関節可動域訓練や姿勢保持訓練、歩行訓練など、運動発達の改善 を中心とした治療が行われていた。日本における障がい児に対する訓練には、物理療法、運動療法も行われ ているが、障がい児の感覚認知の障がいに対するアプローチの一つとして、子どもに対する遊びを取り入れ ながらのリハビリが作業療法士によって取り入れられている。遊びを通じて、正常姿勢発達障がいの改善や、 正常な感覚知覚運動能力の改善が期待されている。そのため、当施設のリハビリにおいて、遊びを取り入れ た新たな治療プログラムを取り入れることにより、子どもたちの障がいに対する援助を行っていく。 ② の事業の背景 施設には、3人の看護師と、数人の介護士が働いており、身体障がいを持つ子どもたちの日常生活の介助を 行っている。特に、歩行困難、姿勢保持困難な子どもたちに対しては、排泄介助、食事介助、洗体介助など が必要になる。しかし、介助の手が不足することもあり、とくに食事介助においては、時間内に子どもたち に食事を提供することができないこともある。また、洗体介助においても、手があいた時間に、短時間でし か行えないという状況があった。そのため、適切に介助を受けられない子どもたちに、日常生活における援 助を行っていく。 ③ の事業の背景 子どもたちは、集団生活の中で、共に勉強し、遊び、職業訓練を行いながら、仲間を大切にする気持ちや、 自立心の向上にむけ、日々生活をしている。 決められた授業以外では、子どもたちはバドミントンをしたり、部屋にて個々で遊んだり、それぞれの時間 を過ごしているが、スタッフが介入し、集団でレクリエーションを行うことで、より他者を大切にする気持 ちや、毎日の生活を楽しむ気持ちを持つことが、大切と考える。そのため、スタッフで考えたレクリエーシ ョンを提供していく。 5−2)ねらい①への成果 ワーク全体を通して考えると、一部のスタッフにしか、治療内容を伝えることはできなかった。しかし、意 欲的なスタッフがいたため、そのスタッフを通じ、一部の子どもたちに、バランスボールや、輪、ボールを使 った新しい治療を提供することはできた。しかし、治療の本当の意味や問題点などをベトナム語で伝えること は難しく、課題は残った。しかし、子どもたちに、笑顔や意欲が見られるようになり、今後、スタッフ間の中 で、遊びを通じたリハビリの可能性が話し合われ、継続されることを望む。 5−3)ねらい②への成果 毎日のワークの1つとして、食事介助を実施した。難しかったのは、嚥下が困難な子どもに対して、適切 に食事を提供することであった。こぼしてしまったり、むせることもあり、時間もかかったが、子どもたち に提供することはできたと思う。洗体介助については、体をあたたかいタオルで拭く、という行為を、行っ た。今後も、継続的にボランティアの手が必要となると考えられる。 5−4)ねらい③への成果 ワークキャンパーのスタッフと一緒に、子どもたちに対してレクリエーションを行った。外でできる遊び として、輪になって、立ったり座ったりするゲーム、2列になって座り、数を言われた子どもが立ち上がり、 走って元の位置に座る、などのゲームを行った。ワークのはじめの頃にレクリエーションを実施したことに より、子どもたちが、スタッフに対して親近感を持ってくれた。 6)ワーク以外の活動 6−1)周辺村への観光!! VPVスタッフと、ボランティアスタッフ7人と私で、施設近くの村へ観光に出かけました。古いお寺が たくさんあり、中を見学し、丁寧に説明してくれました。文化遺産になるような古い建築物があり、のんび りした気分になりました。町の中心に小さな市場があり、若い女性から年をめされた女性まで、元気に働い ていて、活気に満ちていました!!値切り交渉はちょっと大変でしたけれども、でも、会話することが、と ても楽しかったです。 6−2)VPVでの滞在 週末は、VPVの中にあるゲストハウスに泊まっていました。VPVに出入りする他の地域から来たボラ ンティアスタッフとも、ご飯を食べに行ったり、ベトナム語の勉強会をしたり、一緒に映画を見たり、バド ミントンをしたり、楽しく過ごしました。 6−3)ハノイへの観光 VPVのボランティアスタッフの女の子と仲良くなり、何度か一緒にハノイを観光しました。バイクの後 ろにのせてもらって、博物館、湖、ショッピング、市場といろいろなところをめぐりました。おいしいフォ ーのお店も紹介してもらい、たくさんおいしいものを食べることができました!! 7)生活 7−1)宿泊施設 平日のワーク時には、施設内にある部屋に、他のボランティアスタッフ2人と、一緒に寝泊まりしていま した。部屋には4つのベッドがあり、布団も用意してあり、ゆっくり眠ることができます。蚊帳をつらない と、蚊がたくさんきて大変ですが。トイレは部屋の中にあります。水道は使用可能です。 週末は、VPVのゲストハウスに宿泊していました。スタッフから鍵を借り、一人で一部屋を使うことが できました。ゲストハウスには、他の施設へ行くボランティアもいて、一緒に生活していました。二段ベッ ドとハンガーが部屋には用意されています。トイレは各階にあり、自由に使えます。 7−2)食事 施設では、3食用意してもらえました。朝食は、パンとフルーツを用意してもらい、部屋の中で食べてい ました。昼食・夕食は施設のスタッフと一緒に、ごはんやおかず、フルーツを食べていました。料理は、と てもおいしく、たくさん用意していただけるので、いつもおなかがいっぱいでした。 週末は、VPVでご飯を用意してもらったり、自分で食べに出かけたりしていました。 7−3)シャワー 施設では、部屋の中にトイレと一緒にシャワールームがありましたが、時折お湯が出ないこともあり、シ ャワーを使えないことがありました。そのときには、タオルで体を拭いたりしていました。 VPVでは、シャワーを自由に使うことができます。お湯もでます。 7−4)洗濯 施設では、部屋の中に洗濯機があり、自由に使えます。部屋の外にはりがねがひっぱってあり、そこにハ ンガーをかけて、服をほしていました。 VPVでは、少量のお金を払えば洗濯機を使うことができます。部屋の中か廊下で、服を干すことができま す。 8)自分自身の変化 8−1)モチベーションの変遷 ワーク開始 1週目 2週目 3週目 ワーク終了 8−2) モチベーション変化の分析 ワーク開始当初は、自分が施設で何ができるのか、本当にわからないまま、でも、テンションは高いよう な状態でした。施設の見学を終え、自分に何ができるのかを考え、自分でできる仕事を見つけていこう、と 意欲に燃えていました。まずは、コミュニケーションの問題があったため、ベトナム語を単語帳に書きこん で、教わりながら、子どもたちやスタッフとコミュニケーションをとるよう、努力しました。途中から、だ んだんコミュニケーションのとり方がわかってきたのですが、でも、自分が行っているワークが、本当に正 しいのか、何ができているのか、悩む日々にはいりました。他のボランティアスタッフとの間でも、うまく いかない、というマイナスな意見が多くでたりしていました。 その中で、自分なりにできることを考え、おもちゃを自分で作ったり、レクリエーションを企画、実行す ることで、自分なりにワークにやりがいを見出せるようになりました。 8−3)活動を通じて得たことや気づき 活動をするにあたり、自分が現場で仕事を見つけなければいけない、ということに、まず気付かされまし た。施設側のスタッフも、ボランティアには手伝ってほしい、という意志はあっても、実際に何をしてほし い、などと命令することはありません。なので、とにかく、自分ができる仕事を、自分で見つけていかなく ては、という状況でした。実際、施設の運営も、国からの補助を受け、必要最低限の経費で運営されている ような状況で、私から見ると、十分な介護スタッフの不足は目につきました。また、リハビリにおいても、 日本とはまったく違うやり方で行われており、違和感を感じました。そして、どのように伝えるべきか、本 当に悩みました。介護のスタッフに対しても、食事の与え方や洗体の仕方について、気になる部分が多くあ りました。しかし、それを伝えることができず、どうしたらいいのか、悩んでいました。 しかし、とにかく自分でできることを見つけなければ!という思いで活動を続けてきました。その中で気 づいたことは、ボランティア同士で、きちんと話をすることの大切さです。他のボランティアが、何を考え ているのか、違う国なので、価値観が異なるのは当然です。また、レクリエーションを企画するにも、話を しなければ、うまくことは進みません。時には、不満を言いあったり、成功を喜んだりすることも、とても 大切なことでした。そして、現地の人たちの文化、習慣への理解は、とても必要だと思いました。一方的に、 自分の意見や考えを言っても、とても聞き入れてもらえません。まずは相手の文化や習慣を理解している態 度を示し、その中で、自分が主張したいことを、少しずつ相手にわかってもらうようにすることが大切なの だと思いました。私は、積極的にベトナム語を勉強し、小さなノートに、教わった単語を書きこんで、いつ もポケットにいれては、話をしていました。また、リハビリのスタッフとの輪にも積極的に関わり、会話は ほとんどできませんが、自分が覚えた単語を伝えたりするなど、理解する姿勢を示しました。 正直、自分が直接スタッフに思いをぶつけることはできませんでした。言葉では伝えることができません し、やり方が違うのでは?というジェスチャーを見せたりもしましたが、うまく伝わっていないようでした。 施設長は英語ができますので、少し意見ができる機会はありましたが、自分は自分の意見を伝えることが、 できなかった、という思いは残りました。 もどかしい思いはたくさんありましたが、コミュニケーションをとるには、まず相手への理解、共感の思 いを大切にすることが重要なのだと思いました。 そして、相手への配慮のもと、自分でも自ら意見を主張していくことも、大切なのだと思いました。 8−4)今後どのようにこの経験を生かしていくか 海外でリハビリの現場を見学し、少しでも携われたことは、私にとって、大きな経験になりました。何よ り、リハビリとは何か、コミュニケーションとは何か、など、日本では普段考えることのない、根底の部分 について、深く考えさせられました。 今回の経験は、決していいことばかりではありませんでした。自分が反省すべき点もたくさんありました。 しかし、これらの経験をふまえ、価値観が違う他者に対して、どのようにコミュニケーションを構築してい くか、ということを、これからはもっと深く考えていきたいと思います。また、海外の国で、違う文化や生 活習慣にふれ、さらにベトナムや他のアジアの地域のために、自分が何かできることがしたい、と思うよう になりました。今後も、日本で仕事をしながら、自分ができる範囲で、ベトナムはじめアジアの方々に対し て、自分ができることをしていきたいと思います。 9)提言と今後の構想 他国でのボランティアという経験は、普段日本に住んでいる私たちにとって、本当に刺激的で、素晴らし い体験であることは間違いありません。意欲があり、好奇心があり、誰かのために何かがしたい、楽しみた い!という思いを持ち、多くの人たちが海外に出ていくのだと思います。 私は今回、ボランティアを経験してみて、決して旅行では味わうことのできない、ベトナムという国の文化、 習慣、価値観に触れることができました。これからボランティアに出かける方に伝えておきたいことがあり ます。それは、行く前に、自分が具体的に何ができるか、自分の強みはなにか、をできるだけ考えておくこ とだと思います。もちろん、実際行ってみたら、想像と違うことはあります。でも、そこでひるまないため にも、日本にいる間に、自分の特技や強み、自分が何をしたいのか、という「思い」を強く持っておくこと をおすすめします。そして、行く国について、できるだけ理解を深めておくことです。少しでも言葉を勉強 していれば、実際に行ったときに、相手の国の方々は、とても喜んでくれます。コミュニケーションを得る 機会になります。 また、現地では、他の国からもボランティアが多く来ています。ぜひその方々とも、多くの楽しい時間を共 有してください。私は英語ができなくて、はじめはどうしようかと戸惑っていましたが、積極的に誘ってく れるボランティアのスタッフに助けられ、楽しい経験をすることができました。英語ができなくても、伝え たいという思いがあれば、相手は必ずわかってくれます。そして、何より、行った先で、思う存分、楽しむ ことです。ワークに関しても、うまくいかないこと、たくさんあると思います。でも、私は、子どもたちの 笑顔に、本当に助けられました。子どもたちもまた、さびしいこと、つらいことがあっても、みんなで助け 合って生きている。毎日を一生懸命、でも楽しく生きている子どもたちを肌で感じ、子どもたちから「生き る」とは何か、を私は教わりました。「生きる」ことは、今を楽しむこと。ボランティアができる、その経験 が何より楽しい、素晴らしいことです。ボランティアを楽しいものにするために、日本でできる準備をして いって、あとは熱い思いを持って、素晴らしい経験をしてきてほしいです。 10)おわりに 今回、私はベトナムという国をワーク地に選んで、本当によかったと思っています。なぜなら、VPVス タッフをはじめ、多くの方に本当にお世話になりました。こんなに優しい人がいる国があるのか!?と思う ぐらい、つらいときも、楽しいときも、常に感謝の気持ちでいっぱいでした。何より「ようこそきてくれま したね」という思いに充ち溢れていました。 自分が経験できたことを、今後も自分の仕事に生かしていきたいと思います。そして、ベトナムの方々へ の感謝を忘れずに、ずっとベトナムを好きでいようと思います。ベトナムの方々の思いは、本当に忘れませ ん。ありがとうございました。Com on!!
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