免疫検査用常用参照標準物質候補品の作製 および値付けに関する報告書

免疫検査用常用参照標準物質候補品の作製
および値付けに関する報告書
一般社団法人HECTEF
Health Care Technology Foundation
免疫検査技術検討会
April,2010
Health Care Technology Foundation
本候補品は平成23年5月31日付でJCCLSの推奨品
となりました。名称は下記のとおりに確定しました。
JCCLS推奨
CRP・IgG・IgA・IgM 実用参照物質
(コード H-CGAM 1a)
JCCLS:特定非営利活動法人 日本臨床検査標準協議会
販
売
:
一般社団法人
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HECTEF
Health Care Technology Foundation
目
次
Ⅰ.序 文 ····························································································· 4
Ⅱ.参加者リスト ··················································································· 4
Ⅲ.パイロットスタディ ··········································································· 5
Ⅳ.標準物質候補品の作製 ········································································ 9
Ⅴ.均質性 ··························································································· 13
Ⅵ.安定性 ··························································································· 15
1.短期安定性について ········································································· 15
2.長期安定性について ········································································· 16
Ⅶ.標準値の伝達実験 ············································································· 17
1.標準値伝達プロトコル ······································································ 17
2.標準値伝達実験解析手順 ··································································· 22
3.標準値伝達実験結果 ········································································· 27
4.標準値の候補品への伝達 ··································································· 29
Ⅷ.不確かさと認証値 ············································································· 35
1.不確かさの推定 ··············································································· 35
2.認証値 ··························································································· 35
Ⅸ.計測学的トレーサビリティ ································································· 36
Ⅹ.互換性 ··························································································· 37
参考文献 ······························································································ 37
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Health Care Technology Foundation
Ⅰ.序文
わが国では、JCCLS を中心に、国内の標準物質に関わる整備計画が進行中であるが、免
疫グロブリン成分(IgG、IgA、IgM)は含まれていない。そこで、一般社団法人 HECTEF が、
実試料常用参照標準物質として、日常高頻度に測定される 免疫グロブリン系3成分(IgG、IgA、
IgM)に CRP を加えた常用参照標準物質候補品の作製を計画した。この計画の実現に向けて、
関連する体外診断薬を供給する主要検査薬メーカー各社に協力委員として参加をお願いする
一方、学識経験者に委員をお願いして、HECTEF 側の委員とともに平成 20 年 1 月 22 日に
免疫検査技術検討会第 1 回会議を開催し、その後、約 2 年間にわたり活動してきた。
検討会開催当初は、蛋白一次国際標準物質として蛋白質 15 成分を含む ERM-DA470 が
供給されていた。しかし、その在庫が乏しいことから、代替品として、IRMM から、新たな
国際標準物質を作製して供給されるという情報を得た。また、その値付けには、ERM-DA470
の標準値が伝達されることが判明していた。そこで、当検討会では、候補品への値付けは、
IRMM に よ る 値 付 け と 同 様 に 、 ERM-DA470 の 標 準 値 を 伝 達 す る こ と に し た 。 そ の 後 、
新 標 準 物 質 で あ る ERM-DA470k/IFCC お よび ERM-DA472/IFCC の 供 給 が 開 始 さ れ 、
IRMM からの報告書が発行されたことから、候補品の作製および標準値の伝達方法に関して、
可能な限り IRMM の CERTIFICATION REPORT に忠実に従って実施することとした。
な お 、 標 準 値 伝 達 実 験 に お い て 、 新 た に 供 給 開 始 さ れ た 、 ERM-DA470k/IFCC お よ び
ERM-DA472/IFCC、 さ ら に (独 )産 業 総 合 研 究 所 (産 総 研 )か ら 供 給 さ れ て い る 認 証 標 準 物 質
(NMIJ CRM 6201-a)の 3 種類の標準品を、確認試験として、候補品に対する ERM-DA470
の標準値伝達実験と同時に測定した。
本報告書では、ERM-DA470 の標準値を伝達した、免疫検査 4 成分(CRP、IgG、IgA、IgM)
の常用参照標準物質候補品の製造及び標準値の伝達(値付け)結果の詳細について報告する。
Ⅱ.参加者リスト
1.免疫検査技術検討会委員及び協力委員
(一般社団法人 HECTEF
委員長
櫻林郁之介
委
員
前川真人
(浜松医科大学
教授)
委
員
藤田清貴
(千葉科学大学
医療危機管理学科
委
員
山舘周恒
(日本大学医学部付属練馬光が丘病院
委
員
亀子光明
(長野市民病院
委
員
中
甫
理事長)
教授)
技術長)
診療技術部長)
(一般社団法人 HECTEF 専務理事)
協力委員(企業名五十音順)
佐久間誠
(栄研化学株式会社
マーケティング推進室第二部)
辨谷知道
(シーメンスメディカルソリューションズ・ダイアグノ
スティックス(株)マーケティング部)
山下義則
(株式会社シマ研究所
佐藤良克
(デンカ生研株式会社
田仁健二
(ニットーボーメディカル株式会社
村野俊夫
(三菱化学メディエンス株式会社
信頼性保証部
川口竜二
品質管理マネージャー)
CI技術課
品質保証部
部長)
診断検査事業本部
MD品証G)
(株式会社プロップジーン
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課長)
代表取締役社長)
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2.標準物質候補品の作製者
日水製薬株式会社(取得 ISO 認証:ISO9001、ISO13485、ISO14001)
3.標準値の伝達実験実施者
ニットーボーメディカル株式会社(取得 ISO 認証:ISO13485)
日本大学医学部付属練馬光が丘病院/三菱化学メディエンス株式会社(取得 ISO 認証:
ISO9001、ISO14001,ISO27001)
デンカ生研株式会社(取得 ISO 認証:ISO13485、ISO9001)
栄研化学株式会社(取得 ISO 認証:ISO13485、ISO9001)
オリエンタル酵母工業株式会社(取得 ISO9001、ISO14001)/シーメンスメディカル
ソリューションズ・ダイアグノスティックス株式会社 (取得 ISO 認証:ISO13485)
4.均質性および安定性の検討実施者
ニットーボーメディカル株式会社(取得 ISO 認証:ISO13485)
5.データ解析実施者
一般社団法人 HECTEF
マイクロメディア(昌子 勇)
Ⅲ.パイロットスタディ
1.
パイロットスタディ・プロトコル
1)目的及び方法
このプロトコルは、免疫検査 4 項目(CRP、IgG、IgA、IgM)に関する常用参照標準物質
を 開 発 す る に 当 た っ て 、 ERM-DA470 の 標 準 値 を 伝 達 す る 対 象 と な る 標 準 物 質 候 補 品 を 、
出 来 る だ け 多く の 方 法 で 測 定 す る こと に よ り 、 ど の 方 法 で測 定 し て も 健 常 人 ・ 患者 血 清 と
同じように測定されることを確認するために使用した。標準物質候補品及び共通の健常人・
患者血清の測定値を測定法・試薬間で比較するには、共通標準物質として ERM-DA470 を用
いて検量線を作成することが望ましい。しかしながら、ERM-DA470 の確保できるバイアル
数が限定されることと、測定法・試薬により ERM-DA470 で検量線作成が困難なことも考え
られる。そこで、各測定法・試薬で指定されている方法で検量線を作成して 、ERM-DA470、
確認試験試料、標準物質候補品並びに健常人・患者血清を試料として測定し、ERM-DA470
の標準値と ERM-DA470 の実測値とのバイアスを補正する方法を用いた。なお、標準物質
候 補 品 と 健 常人 ・ 患 者 血 清 と の 反 応の 一 致 性 に つ い て は 、日 本 臨 床 衛 生 検 査 技 師会 の 精 度
管理調査参加施設数が最も多い試薬を仮の基準法と定め、その試薬の補正後の測定値に対す
る各測定法・試薬による補正後の測定値の散布図を作成することにより判定した。
2)測定法・試薬
測定法(測定装置を含む)及び試薬は自社(または日常使用している測定法・試薬)の
ものを使用した。
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3)試料
①ERM-DA470:測定値補正用として各施設に 1 バイアルを検討会から送付。
②標準物質候補品:各施設に候補品 A-1(低濃度)、候補品 A-2(高濃度)及び候補品 B(1 濃
度)各 1 バイアルを検討会から送付。
・候補品 A:ERM-DA470 の製法に準じて脱脂処理を行った血清をベースにしてリコン
ビナント CRP を添加した液状品(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式
会社より提供)
・候補品 B:正常血清をベースにしてヒト精製 CRP を添加した凍結乾燥品 (日水製薬
株式会社より提供)
③健常人・混合血清:合計 11 試料を凍結状態で検討会から送付。
・ボランティアから採取した新鮮血清 3 例、検討対象 4 項目について濃度バランスを
考慮して混合作製した混合血清 8 例(うち僅かに乳びが見られるもの 2 例)(前川真人
委員より提供)
4)測定及び信頼性の保証
測 定の 信頼 性を 保 証 する ため に、 日 常使 用 して いる 検量 用 試料 ( キャ リブ レー タ ー)を
用いて通常の方法でキャリブレーションを実施し、ERM-DA470、標準物質候補品を試料と
して 3 重測定、健常人・患者血清を試料として 2 重測定した。キャリブレーションを含む
この操作を 3 日間繰り返し実施した。
5)パイロットスタディ用試料の準備
パイロットスタディに使用する以下の試料は、汚染を最小限に止めるため 3 日分に小分け
してパラフィルム等で密栓した後、必要に応じて冷蔵(2~8℃)または冷凍(-20℃以下)して
使用した。使用時には試料が均質になるよう混和に十分注意を払った。
① ERM-DA470 の準備
ERM DEA470 の溶解及び保存法については IRMM の認証書の記述に従った。
② 標準物質候補品の準備
候補品 A:液状血清
候補品 A-1(低濃度)
候補品 A-2(高濃度)
使用する前に冷蔵庫から取り出し、室温に戻してから使用。
候補品 B:凍結乾燥品
使用する前に冷蔵庫から取り出し、室温に戻してから以下の 溶解を行った。
試料の溶解方法
・バイアルの中は真空になっているのでゴムキャップは静かに持ち上げ、空気を徐々
に入れ、常圧にしてからはずす。
・検定されたピペットで正確に 1.0 mL の精製水(室温 22~28℃)を加え、約 20 分間室
温に静置したのち、ゆるやかに転倒混和して溶解する。
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③ 健常人・患者血清
凍結した血清の融解は、流水中で解凍し静かに十分転倒混和して均質であることを
確かめた上使用した。
④ コントロール血清
日常使用しているコントロール血清を、取扱い説明書に従って準備した。
6)測定とレポートフォーム#1及び#2への記入
① レポートフォーム#1
レポートフォーム#1は基礎資料である。施設番号は間違いなくデータ整理が実施
できるよう検討会において予め設定した。データ等の問い合わせに利用するため、
メールアドレスを記入していただいた。
② レポートフォーム#2(測定とデータの記入)
・各測定法・試薬の操作手順に従ってキャリブレーションを実施し、次いで ERM-DA470、
標準物質候補品 A 及び B、健常人・患者血清、コントロール血清を試料として測定
した。
・実際に得られた実測値を補正せずにレポートフォーム#2のデータシートに記入する
こととした。
・データは測定装置が打ち出した数字をそのまま記入しデータの丸めは行 わな かっ た 。
・データシートは各項目、各測定日に1ページずつ使用することになるので、各施設
4項目でデータシートは合計 12 ページ(1項目×3日間×4項目)となった。
7)測定値の補正及び散布図の作成
① 測定値の補正
各施設で得られた ERM-DA470 の実測値と標準値のバイアスから補正係数を求め、
標準物質候補品及び健常人・患者血清の濃度補正の作業は検討会で行った。
② 散布図の作成と反応の一致性の判定
仮の基準法と定めた試薬の補正後の測定値に対する各測定法・試薬による補正後の測定
値の散布図の作成と、標準物質候補品の健常人・患者血清との反応の一致性の判定は
検討会で実施した。
2.パイロットスタディの結果
1)参加施設及び基礎資料
パイロットスタディ参加施設は、合計 7 施設であったが、うち 1 施設は 2 種類の試薬を用
いて実験を実施した(施設記号:6-1 及び 6-2)。表 1 は、各参加施設が使用した測定装置名、
試薬名、使用した検量用物質名を示している。表から明らかなように、施設 3 と施設 6-1、
施設4と施設 6-2 及び施設 5 と施設 7 は、測定装置は異なるが、それぞれ同一試薬であった 。
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表1
標準物質候補品パイロットスタディにおける基礎資料
CRP
施設記号
1
2
3
4
5
6-1
6-2
7
測定装置名
試薬名
日立 7180
LZテスト’栄研’CRP-HG
BNプロスペック
N-ラテックス CRPⅡ
TBA-120 FR
CRP-ラテックスX2 「生研」 NX
日立 7170
N-アッセイ LA CRP-S ニットーボー D-type
日立 7180
イアトロ CRP-EX
TBA 200R NEO
CRP-ラテックスX2「生研」
TBA 200R NEO
N-アッセイ LA CRP-S ニットーボー D-type
日立 7700 P-モジュール イアトロCRP(ラテックス免疫比濁法)
IgG
施設記号
1
2
3
4
5
6-1
6-2
7
測定装置名
試薬名
LX-2200
LX試薬‘栄研’IgG-Ⅲ
BNプロスペック
N-抗血清 IgG
TBA-120 FR
IgG-TIA X1 「生研」
日立 7170
N-アッセイ TIA IgG-SH ニットーボー E-type
日立 7180
イアトロ IgG
TBA 200R NEO
IgG-TIA X1 「生研」
TBA 200R NEO
N-アッセイ TIA IgG-SH ニットーボー
日立 7700 P-モジュール イアトロIgG(TIA法)
検量用物質
血漿蛋白キャリブレータLX‘栄研’
N-蛋白標準血清SL
マルチ標準液(T)
多点検量用 マルチⅤ-SH
ST-817MXS
マルチ標準液(T)
マルチV-SH
TIAマルチキャリブレーター
測定装置名
試薬名
LX-2200
LX試薬‘栄研’IgA-Ⅲ
BNプロスペック
N-抗血清 IgA
TBA-120 FR
IgA-TIA X1 「生研」
日立 7170
N-アッセイ TIA IgG-SH ニットーボー E-type
日立 7180
イアトロ IgA
TBA 200R NEO
IgA-TIA X1 「生研」
TBA 200R NEO
N-アッセイ TIA IgA-SH ニットーボー 日立 7700 P-モジュール イアトロIgA(TIA法)
検量用物質
血漿蛋白キャリブレータLX‘栄研’
N-蛋白標準血清SL
マルチ標準液(T)
多点検量用 マルチⅤ-SH
ST-817MXS
マルチ標準液(T)
マルチV-SH
TIAマルチキャリブレーター
測定装置名
試薬名
LX-2200
LX試薬‘栄研’IgM-Ⅲ
BNプロスペック
N-抗血清 IgM
TBA-120 FR
IgM-TIA X1 「生研」
日立 7170
N-アッセイ TIA IgM-SH ニットーボー E-type
日立 7180
イアトロ IgM
TBA 200R NEO
IgM-TIA X1 「生研」
TBA 200R NEO
N-アッセイ TIA IgM-SH ニットーボー
日立 7700 P-モジュール イアトロIgM(TIA法)
検量用物質
血漿蛋白キャリブレータLX‘栄研’
N-蛋白標準血清SL
マルチ標準液(T)
多点検量用 マルチⅤ-SH
ST-817MXS
マルチ標準液(T)
マルチV-SH
TIAマルチキャリブレーター
IgA
施設記号
1
2
3
4
5
6-1
6-2
7
IgM
施設記号
1
2
3
4
5
6-1
6-2
7
検量用物質
CRP-HG標準H6‘栄研’
N-ロイマトロジスタンダードSL
CRPX2標準液 H
多点検量用 CRP標準液[LA]<D-type>
ST-8006XS
CRPX2標準液T
CRP標準液(LA)<D-Type>
CRPキャリブレーター
2)同一試薬間の関係
① 施設 3 と施設 6-1 の関係:CRP、IgG、IgA、IgM の 4 項目ともに、散布図上で極めて
良好な一致が見られた。
② 施設 4 と施設 6-2 の関係:CRP、IgG、IgA、IgM の 4 項目ともに、散布図上で極めて
良好な一致が見られた。
③ 施設 5 と施設 7 の関係:IgG、IgA、IgM の 3 項目ともに、散布図上で極めて良好な一
致が見られた。しかし、CRP については、施設 7 で候補品 B がやや低値傾向を示した。
3)施設 4(仮の基準法)に対する各施設の関係
① CRP:施設 2、施設 6-1、施設7で候補品 B がやや低値傾向を示した。
② IgG:施設1で候補品 A-2 がわずかに低値傾向を示す以外は良好な一致がみられた。
③ IgA:・施設1で候補品 A-2 がやや低値傾向、候補品 B がやや高値傾向を示した。
・その他の施設は高値域でややばらつきが見られるが概ね一致傾向を示した。
④ IgM:・施設1で候補品 A-2 がやや高値傾向を示した。
・施設 2 で候補品 A-2 がやや高値傾向、乳び血清で高値傾向を示した。
・施設3で候補品 A-2 がやや低値傾向を示した。
・その他の施設は良好な一致が見られた。
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4)結果のまとめ
① CRP:施設4との関係において、候補品 B(平均値:3.81 mg/dL)が、施設 2、施設 6-1、
施設7でやや低値傾向を示した原因については、高濃度域で測定値にわずかに湾曲傾
向が見られたことによるものと考えられた。
② IgG:施設4との関係において、施設1で候補品 A-2 がわずかに低値傾向を示したが、
他は良好な一致が見られたことから、候補品 A-1、A-2、B ともに問題はないと考えた。
③ IgA:施設4との関係において、施設 1 で候補品 A-2 がやや低値傾向、候補品 B がや
や高値傾向がみられたが、この傾向は各施設に対する施設1の関係でも見られ、候補
品 A-1 では見られない。施設間平均値を比較すると、候補品 A-2 は 9 施設中もっとも
低値で候補品 B は9施設中もっとも高値であり、他の試料ではこの傾向は見られない
ことから、これらの試料にのみ生じている現象であると考えた。
④ IgM:施設4との関係において、候補品 A-2 が、施設1、施設 2 でやや高値傾向、
施 設 3 で や や 低 値 傾 向 が 見 ら れ た が 候 補 品 A-1 で は そ の 傾 向 は 見 ら れ な か っ た 。
なお、施設 2 は、乳び血清で高値傾向を示した。
5)パイロットスタディにおける結論
① 施設 1 の協力委員から、従来も他の測定法とかい離する場合があることを経験して
おり、特に今回が初めてではなく、測定法の原理の差が関係しているのではないか
とコメントがあった。
② 施設 2 の協力委員から、測定法は免疫比ろう法であり、測定原理からも混濁試料で
は高値となることがあり、標準物質としては透明な試料であることが必須であると
のコメントがあった。
③ 総合討論において、標準物質候補品として A も B も、各種の試薬に対する反応性に
関してとくに大きな問題は無く、予想以上に良い結果との評価が大勢を占めた。
④ パイロットスタディが成功裏に終わったことから、標準物質候補品は、当面 1 濃度
とすることと、脱脂処理を必ず実施することを条件として、標準物質候補品を A と
するか B とするかの選択については、他の諸条件を踏まえる必要があることから、
委員長に一任することになった。
Ⅳ.標準物質候補品の作製
パイロットスタディの結果を踏まえて、標準物質の候補品は、① ERM-DA470 と同様に
凍結乾燥品とすること、② 濃度は 1 濃度とし、とくに CRP 濃度は、4.0 mg/dL を越えない
ようにすること、③ IRMM による ERM-DA470k/IFCC の製造工程に可能な限り忠実に従う
ことを基本とし、脱脂処理を必ず実施することを条件として、日水製薬株式会社に製造依頼
をすることになった。以下の原材料及び製造工程は、日水製薬株式会社から報告された「特
注品製造作業報告書」の内容について一部説明を加筆して記載した。
なお、製造工程における表については、報告書の他の図表と区別するために、表番号及び
表タイトルを省略した。
1.原材料
1)ヒトプール血清
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ヒ ト プ ー ル 血 清 PooledOTC(OFF THE CLOT)Serum(Biochemed Corporation,
USA):株式会社シマ研究所から購入した。
2)CRP
ヒト精製 CRP (Advy Chemical, India):代理店を通して購入した。
2.血清の準備及び性状
1)血清の解凍
正常な OTC 血清(Pooled OTC Serum lot BC09201392) 1000mL×2本を解凍。
(2009 年 5 月 28 日 9:00~13:00)
2)検体の選別
添付された成分値表により、下記の項目が規格以下であることを確認した。
項目
総蛋白
ヘモグロビン
RF
規格
6.7~8.3 g/dL
40 mg/L 以下
30 U/mL 以下
結果
7.3 g/dL
40 mg/dL 以下
5 IU/mL
備考
吸光度測定による
1*
1*: OD577-(OD562+OD592)/2 を 計 算 し 、 0.020 以 下 で あ るこ と
3)検体の測定及び外観検査
① 外観検査
目視で観察し、乳びや黄疸を認めないことを確認した。
② 生化学項目
日立 7170 形自動分析装置で測定し、規格以下であることを確認した。
項目
中性脂肪
コレステロール
ぶどう糖
ALT
CRP
規格
150 mg/dL 以下
220 mg/dL 以下
112 mg/dL 以下
33 U/L 以下
0.5 mg/dL 以下
測定試薬
L タイプワコー TG・H
デタミナー L TCⅡ
オートセラ S・GLU
L タイプワコー GPT・J2
オート LIA CRP ニッスイ
結果
65 mg/dL
156 mg/dL
101 mg/dL
20 U/L
0.3 mg/dL
③ ウイルス試験
Product Specification から下記のウイルス項目が陰性であることを確認 した。
「anti-HIV1&2, antiHCV, HBsAg, HIV PCR, HCV PCR のいずれに関しても FDA
が認可している測定法で陰性である」。
④ 免疫電気泳動
M 蛋白、α1AT、HPの確認は省略した。
・ 融解した血清を 10000G×40 min(10℃)で遠心し、上層に析出した脂質を吸引除去
した。
血清容量: 1.97 L (工程別試料①)
・pH 調整に使用する HEPES 溶液を調整した。
溶液名
HEPES 溶液
HEPES
20.001 g
RO 水
20.0 mL 2*
2*: メ ス ア ップ せ ず、 秤 量後添 加 し 攪拌 混 合し た 。
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ロット
M8N8719
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・ 遠心済血清に HEPES 溶液を滴下し、pHを 7.2±0.1 に調整した。
pH
7.22(25.0℃)
・・・調整前 pH
7.71
・ 酢酸マグネシウムを添加・攪拌して液温を 37℃に調節後、イヌリンを添加して 2 時間攪拌した。
12:15
攪拌時間
~
14:15
37.0℃
液温
1.97L 分
原料名
リットル処方
ロット
遠心済血清
1.0 L
1.97 L
-
HEPES 溶液
(適量)
14.0 mL
-
酢酸マグネシウム
2.16 g
4.260 g
511A1091
1.96 g
3.862 g
M8K6451
4H 2 O
イヌリン
・ イヌリン処理血清にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを添加し、pH を 8.5±0.1 に調整した。
pH
8.50(25.0℃)
・ 攪拌しながら塩化ナトリウムを添加し、溶解後アエロジル 200 をゆっくり添加して pH を
確認した。
pH
8.25(24.9℃)
そのまま室温で 30 分間攪拌した。
時間
15:50
~
16:20
24.0℃
温度
1.97L 分
原料名
リットル処方
ロット
イヌリン処理血清
1.0 L
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
(適量)
11.083 g
6014727
塩化ナトリウム
50.0 g
98.504 g
6015930
アエロジル200
30.0 g
59.110 g
4168091081
1.97 L
-
・攪拌終了後 10000G×40min(10℃)で遠心し、0.45μm フィルター濾過上清を回収した。
血清容量: 1.54 L (工程別試料②)
・必要量の透析液を調製した。
溶液名
透析液
RO 水
180 L
塩化ナトリウム
1577.01 g
ロット
6015930
・アエロジル処理血清を約 200 mL ずつ透析チューブ(36/32)に封入し、1回/日×4日間
透析した。
透析時間
5月 29 日
18:10
透析温度:
20.7℃(5/29)→ 8.5℃(5/30)→ 6.0℃(6/1)→ 6.5℃(6/3)
~
6月4日
10:00
透析終了後、透析血清を回収した。
血清容量:
1.64 L
(工程別試料③)
・透析血清に HEPES 溶液を添加し、pH を 7.2±0.1 に調整した。
pH
7.20(25.3℃)
・・・ 調整前 pH
- 11 -
7.88
外液量
45L
Health Care Technology Foundation
・攪拌しながらアジ化ナトリウム、アプロチニン、ベンズアミジン塩酸塩を添加した。
原料名
リットル処方
1.64L 分
ロット
透析血清
1L
1.64 L
-
HEPES
(適量)
6.50 mL
-
アジ化ナトリウム
0.95g
1.561 g
6015738
アプロチニン (7700KIU/mL)
80000 KIU
17.04 mL
MWR9632
ベンズアミジン塩酸塩
0.157g
0.261 g
S4801222826
安定化剤添加血清の濃縮は、総蛋白量から不要と判断した。 (工程別試料④)
・安定化剤添加血清に塩化カルシウムとヒト精製 CRP を添加した。(工程別試料⑤)
原料名
リットル処方
1.64 L 分
ロット
安定化剤添加血清
1.0 L
1.64 L
-
塩化カルシウム・2H 2 O
0.184 g
0.301 g
6012818
ヒト精製 CRP(2.44mg/mL)
45 mg
30.25 mL
6015152
・添加後、25 mL メスフラスコを使用し、CRP 添加血清の比重を測定した。
比重
25.5789 g/25 mL
=
1.023 g/mL
・CRP 添加血清を 0.2μm フィルターで無菌濾過した。
・無菌濾過した血清を、AV5 バイアルに 1.05 mL ずつ分注した。
凍結乾燥品は 1.0 mL 分注しても蒸発する水分はそれよりも少ないため、1.0 mL で
溶解すると元の成分より希釈される。そのため予めその分を見越して多く分注する
ことにより、分注前の成分値を保つようにした。
<分注量記録(100 本毎)>
No.
重量(容量)
No.
重量(容量)
1
1.071g(1.047 mL)
7
1.070g(1.046 mL)
2
1.070g(1.046 mL)
8
1.068g(1.044 mL)
3
1.070g(1.046 mL)
9
1.069g(1.045 mL)
4
1.070g(1.046 mL)
10
1.077g(1.046 mL)
5
1.071g(1.046 mL)
11
1.071g(1.046 mL)
6
1.070g(1.046 mL)
平均値
1.070g(1.046mL:1.044~1.046mL、CV=0.21%)
・結城工場で以下の期間凍結乾燥を行い、窒素充填をして封栓した。
凍結乾燥期間 6 月5日 13:00 ~ 6月8日 10:00 (2号機)
・W キャップ(緑)で締栓し、製造作業を終了した。
出来高
1049 本 (工程別試料⑥)
凍結保存した①~⑤の試料と凍結乾燥した⑥の試料について成分値を測定した。
- 12 -
Health Care Technology Foundation
<工程別試料成分測定結果>
工程サンプ
試料
試料
試料
試料
①
②
③
④
TP
7.11
6.81
6.02
6.06
ALB
4.50
4.32
3.93
Ca
9.38
9.72
TC
153.2
TG
ル
項目
試料⑥
試料⑤
バイアル 1
バイアル 2
平均値
5.86
5.94
5.91
5.923
3.98
3.85
3.87
3.86
3.860
0.03
0.00
5.18
5.28
5.25
5.263
0.1
0.3
0.2
0.1
0.0
0.0
0.00
61.4
0.2
0.6
0.6
1.1
0.8
0.8
0.78
CRP
0.4
0.3
0.3
0.3
4.6
3.9
3.9
3.90
IgG
1213
1247
1102
1120
1062
1079
1076
1077.5
IgA
277
271
244
252
238
241
239
239.9
IgM
91
65
60
60
58
58
58
58.1
C3 (参 考 値 )
160
132
120
120
117
117
117
117.3
C4 (参 考 値 )
33.3
20.2
18.4
18.4
17.8
18.2
17.9
18.03
添加水量
-
-
-
-
-
1.0007
1.0005
1.0006
(g)
試料⑥の水分含量は 2%、 生菌数は0(規格: 100 cfu/mL 以下)
(品質保証部測定結果)
Ⅴ.均質性
常用参照標準物質候補品の均質性は、全体の製品からランダムに取り出した 15 バイ
アルについて、CRP、IgG、IgA、IgM の 4 項目を測定することにより確認した。ただし、
CRP については、TIA 試薬と Latex 試薬の 2 種類の試薬を用いた。各項目の濃度は、
日立 7170 形自動分析装置を使用して同一ランでそれぞれ 6 回測定を行った。各項目、
各バイアル、繰り返し測定から得られた結果は、一元配置分散分析法を用いて解析を
行い、バイアル間 SD、CV%及びバイアル内 SD、CV%を求め、表 2 に示した。
表2 均質性試験分散分析結果からのバイアル間、バイアル内精密度
項目
バイアル間SD バイアル間CV% バイアル内SD バイアル内CV%
CRP(TIA)
0.0458
1.25
0.0198
0.54
CRP(Latex)
0.0679
1.85
0.0166
0.45
IgG
3.03
0.26
6.96
0.61
IgA
0.75
0.32
1.66
0.72
IgM
0.076
0.13
0.071
0.12
表から明らかなように、CRP は、TIA 試薬、Latex 試薬ともに IgG、IgA、IgM のそれ
に比較してバイアル間差が大きかった。バイアル内 SD は、いずれの項目も CV%は 1%
以内の結果であった。ERM-DA472/IFCC の報告書 3 ) では、CRP の認証については、
凍結乾燥プロセスで生じた CRP 値のバイアスのため適合しなかったので、CRP 本来の
- 13 -
Health Care Technology Foundation
5 量体の状態で存在することを保証するために、凍結乾燥の代わりに液状凍結としたと
述べている。しかし、標準値の伝達の標準として用いた ERM-DA470 も凍結乾燥品であ
ることから、当検討会の結果と同様の現象が生じている可能性がある。その理由として、
ERM-DA470 の標準合成不確かさのデータ(表 23 u cal [%]参照)からも、IgG、IgA、IgM に
比較して CRP の値が大きいことがあげられる。IRMM が言うように、凍結乾燥品では、
5 量 体 以 外 の 単 量 体 が 存 在 す る 可 能 性 に つ い て 確 認 を 行 う た め に 、 ERM-DA470 、
ERM-DA470k/IFCC、ERM-DA472/IFCC、本標準候補品の4種類の試料について、平行
して分子篩による、CRP 単量体の存在の有無のチェックを試みた。
測定は日立 7180 形自動分析装置を使用し、TIA 試薬とラテックス試薬の両方で行った。
その結果、4 種類の試料いずれも、約 27 分で溶出される 5 量体を含むフラクションとの
み反応があり、34 分近辺で溶出される単量体との反応は検出されなかった。後に述べる
相対合成標準不確かさ( u c )の計算(表 23 参照)には、バイアル間 CV%とバイアル内 CV%
のより大きな方の CV%を含めた。
ERM-DA470ゲル濾過
免疫検査用常用標準物質ゲル濾過
常 用 標 準 物 質 候 補 品 ゲル濾 過
0.7
1200
0.6
1000
0.5
800
0.4
600
0.3
400
0.2
280nm(Abs*10,000)
200
0.1
0.0
15
20
25
30
35
時間(min)
40
45
1000
800
0.4
600
0.3
400
0.2
0
0.1
-200
0.0
200
0
-200
15
50
20
1200
0.6
800
0.4
600
0.3
400
0.2
CRP測定値(mg/dl)
0.7
280nm(Abs*10,000)
CRP測定値(mg/dl)
1400
1000
0.5
200
0.1
0.0
15
20
図1
25
30
35
時間(min)
40
25
30
35
時間(min)
40
45
50
ERM-DA472ゲル濾過
CRP(mg/dl)
280nm Abs.
0.6
1200
0.5
ERM-DA470kゲル濾過
0.7
1400
CRP(mg/dl)
280nm Abs.
45
1200
1000
0.5
800
0.4
600
0.3
400
0.2
0
0.1
-200
0.0
50
1400
CRP(mg/dl)
280nm Abs.
200
0
-200
15
20
25
30
35
時間(min)
40
45
50
3種類の標準物質と標準物質候補品のゲル濾過の結果(CRP)
- 14 -
280nm(Abs*10,000)
CRP測定値(mg/dl)
0.6
1400
280nm(Abs*10,000)
CRP(mg/dl)
280nm Abs.
CRP測定値(mg/dl)
0.7
Health Care Technology Foundation
Ⅵ.安定性
1.短期安定性について
短期の安定性の検討は、異なる温度における輸送の影響を評価するために実施した。
標準物質候補品は-70℃で保存したことから、基準温度は-70℃とした。テスト試料は
基準温度に戻される前に、冷凍(-20℃程度)、冷蔵(4~8℃)、室温(20~25℃)、60±5℃で、
0、1、2、3、4 週間保持された。時間と温度の各組み合わせについて、それぞれ2試料
を3回繰り返し測定した。試料は日立 7170 形自動分析装置を使用して測定した。CRP
については、TIA 試薬とラテックス試薬の両方を使用し、IgG、IgA、IgM は TIA 試薬
のみを使用した。それらの結果を表 3 に示した。
各項目及び温度に対して 30 の測定、すなわち直線回帰分析用の 28 の自由度が存在する。
勾配 b をその不確かさ u b (勾配の標準偏差)で割った絶対値| b /u b |が t 0.05, 30 = 2.048 より
大きい場合、時間のファンクションにおける成分濃度の勾配は 0 から著しく異なることにな
る。表から明らかなように、勾配の有意性テスト| b / u b |で 2.048 より大きい項目は、室温
( 20~25℃ )の CRP 及び IgG を除く 60±5℃群以外には 見られなかった。しかし、60±5℃群
における IgG を除く各項目の測定値の変化が比較的大きかったことから、ERM-DA470
の報告書 1 ) の例に倣い、45±5℃で 0、1、2、3ヶ月の安定性試験を改めて実施した。
その結果、3ヶ月での変動は、ERM-DA470 において報告されている変動と同程度であ
ることが確かめられた 。 以 上の 結果 から 、こ の試 料 を 冷蔵(4~8℃) で送 付す る場 合に は、
変性による不確かさは無視できるものと結論づけた。
表3 短期安定性の検討:勾配(b )、勾配の有意性テスト|b /u b|、定義した温度及び1週間保
存後の相対標準不確かさ(u sts)
項目
CRP(TIA試薬)
CRP(ラテックス試薬)
IgG
IgA
IgM
冷凍(-20℃程度)
b
|b /u b|
[(mg/dL)/week]
-0.009
-0.002
-0.417
-0.350
-0.183
0.005
0.903
0.488
1.599
1.569
u sts
[%]
0.13
0.08
0.07
0.10
0.20
冷蔵(4~8℃)
b
|b /u b|
[(mg/dL)/week]
-0.010
-0.009
0.033
0.300
0.000
1.204
0.908
0.038
1.379
0.000
u sts
[%]
0.22
0.26
0.08
0.10
0.22
表3 続き
項目
CRP(TIA試薬)
CRP(ラテックス試薬)
IgG
IgA
IgM
室温(20~25℃)
b
|b /u b|
[(mg/dL)/week]
-0.032
-0.017
-0.767
0.233
-0.033
3.485
2.620
1.048
0.954
0.283
60±5℃
u sts
[%]
0.25
0.19
0.06
0.11
0.20
- 15 -
b
[(mg/dL)/week]
-0.198
-0.225
-2.050
1.717
1.833
|b /u b|
u sts
[%]
7.230
7.770
1.816
6.903
14.278
0.82
0.92
0.10
0.11
0.21
Health Care Technology Foundation
表3 続き
45±5℃
項目
b
[(mg/dL)/month]
|b /u b|
u sts
[%]
CRP(TIA試薬)
CRP(ラテックス試薬)
IgG
IgA
IgM
-0.124
-0.162
-0.696
0.657
0.257
14.980
14.963
0.614
2.186
2.815
0.23
0.30
0.09
0.14
0.17
2.長期安定性について
本標準物質候補品の製造は、IRMM による ERM-DA470k/IFCC の製造工程に可能な限り
忠実に従うことを基本とした。その理由の一つに、IRMM の報告 2 ) でも述べられているよう
に、ERM-DA470 により認証された全ての蛋白質が、14年以上モニターされ続けて、安定
し て い る こ と が 分 か っ た こ と か ら 、 ERM-DA470 の 製 造 法 に 準 じ て 製 造 し た
ERM-DA470k/IFCC も長期間安定であることが 期待できると述べている点があげられる。
本標準物質候補品における安定性は、短期安定性検討と同様に-70℃を基準温度とし
て 、 テ ス ト 試 料 は 基 準 温 度 に 戻 さ れ る 前 に 、 冷 凍 ( - 20℃ 程 度 ) 、 冷 蔵 (4~8℃ ) 、 室 温
(20~25℃)で、0、2、4、6か月間保持された。長期安定性試験では、時間と温度の各
組み合わせについて、それぞれ2試料を5回繰り返し測定することとした。試料は日立
7170 形自動分析装置を使用して測定した。CRP については、短期安定性試験と同様に、
TIA 試薬とラテックス試薬の両方を使用し、IgG、IgA、IgM は TIA 試薬のみを使用し
た。それらの結果を表4に示した。
各項目及び温度に対して 40 の測定、すなわち直線回帰分析用の 38 の自由度が存在する。
勾配 b をその不確かさ u b (勾配の標準偏差)で割った絶対値| b /u b |が t 0.05, 40 = 2.024 より
大きい場合、時間のファンクションにおける成分濃度の勾配は 0 から著しく異なることにな
る。表から明らかなように、CRP(ラテックス試薬)の室温(20~25℃)を除き、いずれの 項目も
成分濃度の勾配が 0 から著しく異なる結果は見られなかった。ここで長期安定性試験か
ら得られた相対標準不確かさ( u
lts )は、6ヶ月間後の測定変動で生じる不安定性による最
大不確かさに相当する。長期安定性の結果は、本標準物質候補品を冷凍(-20℃)以下で
保存することが安全であることを示している。この 表の不確かさの結果を、後に述べる
相対合成標準不確かさ( u c )の計算(表 23 参照)に加えた。
- 16 -
Health Care Technology Foundation
表7:長期間安定性検討:勾配(b )、勾配(|b /u b|)の有意性の検定、規定した温度で6か月
間保存による相対標準不確かさ(u lts)への影響
項目
CRP(TIA試薬)
CRP(ラテックス試薬)
IgG
IgA
IgM
冷凍(-20℃程度)
b
[(mg/dL)/month] |b /u b|
-0.0002
-0.0017
1.0030
0.3690
0.0165
0.047
0.408
1.813
1.751
0.208
u lts
[%]
冷蔵(4~8℃)
b
[(mg/dL)/month] |b /u b|
0.60
0.72
0.30
0.54
0.84
0.00758
0.00020
0.38250
0.22500
0.01650
1.859
0.044
0.547
1.490
0.208
u lts
[%]
0.66
0.72
0.36
0.42
0.84
表4 続き
室温(20~25℃)
b
項目
CRP(TIA試薬)
CRP(ラテックス試薬)
IgG
IgA
IgM
[(mg/dL)/month] |b /u b|
-0.0059
-0.0143
-0.6800
0.1800
0.0740
1.491
3.162
1.220
1.067
1.377
u lts
[%]
0.66
0.72
0.35
0.42
0.60
Ⅶ.標準値の伝達実験
1.標準値伝達プロトコル
1)目的
このプロトコルは、免疫検査 4 項目(CRP、IgG、IgA、IgM)を対象とする常用参照標準
物質候補品へ ERM-DA470 の標準値を伝達する目的で作成された。このプロトコルは、使用
する通常の分析装置のキャリブレーターを使用して 、ERM-DA470(X)及び候補品(Y)の 6 種
類の希釈溶液を測定することを基本としている。
候 補 品 の 蛋 白 質 濃 度 は 、 ERM-DA470(X)の 希 釈 溶 液 か ら 得 ら れ た 測 定 値 と 候 補 品 (Y)の
希釈溶液から得られた測定値の勾配の比率から求めた。
さらに確認用として ERM-DA470k/IFCC(A) の 6 種類の希釈溶液を ERM-DA470(X)及び
候補品(Y)と同時に測定し、ERM-DA470(X)の希釈溶液から得られた測定値との勾配の比率
からその一致性を確認した。
CRP については、新たに IRMM からリリースされた ERM-DA472/IFCC(B)及び産総研
か ら 供 給 さ れ て い る 認 証 標 準 物 質 (NMIJ CRM 6201-a)(C)の 6 種 類 の 希 釈 溶 液 を 、
ERM-DA470(X)及 び 候 補 品 (Y)と 同 時 に 測 定 し 、ERM-DA470(X)の 希 釈 溶 液 か ら 得 られ た
測定値との勾配の比率からその一致性を確認した。
そ れ ぞ れ の 希 釈 溶 液 の 濃 度 の 信 頼 性 は 、 そ れ ら の 溶 液 の 重 量 で 補 正 す る こ と に よ り 保証
した。
2)測定に当っての注意事項
① 値付けのための測定は、4 日間の測定が必要であり、全ての測定は 14 日以内に行うこ
と が 望 ま し い と し た 。 た だ し 、 確 認 の た め に 測 定 す る ERM-DA470 k /IFCC(A) 、
ERM-DA472/IFCC(B)、認証標準物質(NMIJ CRM 6201-a)(C)については 2 日間とした。
- 17 -
Health Care Technology Foundation
② 凍結乾燥されている物質の溶解は、測定日の前日に溶解した。溶解では 0.0001g の
精度を有する天秤で加えた純水の量を秤量し、その秤量値を報告用紙(Reconstitution
Report Sheet)に記入した。
③ 測 定 当 日 は 、 ERM-DA470(X) 、 候 補 品 (Y) 、 ERM-DA470 k /IFCC(A) 、
ERM-DA472/IFCC(B)の 6 種類の希釈溶液を作製して、全ての容量を秤量により求め、
その秤量値を希釈報告用紙(Dilutions Report Sheet)に記入した。
④ 全ての希釈溶液について同一分析ランで測定することとし 、各希釈溶液について 3 重
測定し、その測定値を結果報告用紙(Results Report Sheet)に記入した。
⑤ ERM-DA470(X)、候補品(Y)、ERM-DA470k/IFCC(A)の測定は、同一希釈カップから
採取し、カップ間の物質の混合は重量の補正ができなくなるので行ってはならない と
した。
3)希釈スキーム
測定対象となる蛋白質の組み合わせに応じて、IRMM のプロトコルにならって、2 種類の
希釈スキームを準備した。可能ならば、希釈スキーム A を使用することが望ましいとした。
その理由は、希釈スキーム A の希釈段階が 40%~100%となるからであるが、希釈溶液の量
が 200μL となる。もし希釈溶液の量が 200μL では足りない場合は、希釈溶液の量が 300
μL となるスキーム B を選択することとした。ただし、この場合は希釈段階が 33.3~80%と
なり溶解原液(100%)が含まれないことになる。本標準値伝達実験では、1 施設(表 15 施設記
号E)のみが希釈スキームBを使用した。
ERM-DA470(X) 、 候 補 品 (Y) の
4
日 間 の 測 定 、 ERM-DA470 k /IFCC(A) 、
ERM-DA472/IFCC(B)の 2 日間の測定は、すべて同じ希釈スキームを使用することとした 。
希釈スキームの表については12)、13)に示した。
4)測定施設に提供された物質
① ERM-DA470〔Reference(X)〕:4 バイアル/各施設
② 候補品〔Target(Y)〕:4バイアル/各施設
③ ERM-DA470k/IFCC〔Verification(A)〕:2バイアル/各施設
④ ERM-DA472/IFCC〔Verification(B)〕:2バイアル/各施設
⑤ 認証標準物質(NMIJ CRM 6201-a)〔Verification(C)〕:予め作製した希釈溶液シリーズ
を各施設に提供した。
5)コントロール物質
コントロール物質はとくに指定せず、使用試薬(測定装置)メーカーが推奨するコントロー
ル物質あるいは日常使用しているコントロール物質を使用した。
6)報告用紙
① 溶解報告用紙(Reconstitution Report Sheet)及び希釈報告用紙(Dilution Report Sheet)
の重量記入は必ずg単位で記入した。
② 結果報告用紙(Results Report Sheet )は、1 セットのバイアルから得られる結果を記入
できる用紙とした。すなわち、Reference(X1~X6)、Target(Y1~Y6)の 4 日間の結果及
び CRP を除く Verification(A1~A6)の 2 日間の結果、CRP の Verification(B1~B6)、
Verification(C1=C6)の 2 日間の結果がエクセルの 1 シートに記入できるようにした。
③ 各項目の測定結果を記入する単位の 選択は自由としたが、結果報告用紙に必ず使用単
位を記入することとした。
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Health Care Technology Foundation
7)提供物質の溶解または使用法
① 凍結乾燥品の溶解
ERM-DA470(X) 及 び ERM-DA470 k /IFCC(A) は 凍 結 乾 燥 品 で あ る の で 、 そ れ ぞ れ
IRMM から提供されている手順に従って溶解した。
候補品(Y)は、注1の手順に従って溶解した。
② ERM-DA472/IFCC(B)の使用法
ERM-DA472/IFCC(B)は、注2の手順に従って使用した。
8)希釈溶液作製の手順
希釈は使用する分析装置又は試薬製造業者により推奨されている希釈液を用い た。もし
推奨されていない場合は、リン酸緩衝生食水(最終濃度として 0.01%のアジ化ナトリウム
を含む)を使用した。トリスを含む緩衝液は希釈液として使用しないこととした 。
① 希釈溶液を作製する前に全ての物質を室温と平衡になるよう放置した。
② 溶解した血清のバイアルを 5 回転倒混和し、希釈溶液を作製する前に全ての物質を穏
やかな転倒により混和した。
③ 試験管又は他の容器を準備し、ERM-DA470(X)の希釈溶液(X 1 ~X 6 )、候補品(Y)の希釈溶
液(Y 1 ~Y 6 )、 ERM-DA470k/IFCC(A)の希釈溶液(A 1 ~A 6 )、ERM-DA472/IFCC(B)の希
釈溶液(B 1 ~B 6 ) のラベルを付け、コントロール物質については製造者の説明に従って作
製した。
④ 各試験管について、支持体としてスチロフォームの断片又はごく軽い試験管ラックを
用いて、風袋(又は総重量を記録)の重量を 0.0001 g のレベルまで秤量した。その重量
又は自動風袋消去天秤の場合は“0”と溶解報告用紙 (Reconstitution Report sheet)に
記入した。
⑤ 容量ピペットを使用して規定された容量を各試験管に加え た。
⑥ 試験管と支持体の総重量を秤量し記入した。
⑦ 容量ピペットを使用して規定された容量の希釈液を加えた。
⑧ 試験管と支持体の重量を再秤量した。
⑨ パラフィルムでカバーをするか又は容器の蓋をした。
⑩ 各物質の各希釈溶液について上記操作を繰り返した。
9)試料盲検
もし可能ならば、抗血清を添加する前に、試料盲検を測定することとした(とくに検出に用
いる波長が 600~650 nm 以下の場合に重要)。
10)測定の実施
① 測定日ごとに新しい溶解及び希釈を行った 。選択された蛋白質の各希釈溶液は、各測
定日ごとに同一分析ランで 3 重測定した。各物質の各希釈溶液について 4 日間で総計
12 測定となった。
② コントロールは、各測定ランで 2 重測定した(例えばランの中間と最後の位置で)。
③ 測定装置は各測定ランの稼動前に必ず再キャリブレーションを実施した 。
④ 結果報告用紙(Results Report Sheet)に全ての結果を記入した。結果は全ての有効数字
を記入し、丸めは行わなかった。
⑤ 全ての希釈溶液は、作製した同一日に使用した。
11)結果の返送
結果の返送は、e-mail により以下のアドレスに送信した。nakah-31@hectef.jp
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12)希釈スキーム A:
表5
Reference (X)に用いる希釈
Sample
Volume
Solution
Vol. iluent 1
Rel. Conc.
Final vol. 2
X1
200 L
X
0 L
100.0 %
200 L
X2
200 L
X
50 L
80.0 %
250 L
X3
140 L
X
60 L
70.0 %
200 L
X4
120 L
X
80 L
60.0 %
200 L
X5
100 L
X
100 L
50.0 %
200 L
X6
80 L
X
120 L
40.0 %
200 L
表6
Sample
Volume
Solution
Vol. Diluent 1
Rel. Conc.
Final vol. 2
Y1
200 L
Y
0 L
100.0 %
200 L
Y2
200 L
Y
50 L
80.0 %
250 L
Y3
140 L
Y
60 L
70.0 %
200 L
Y4
120 L
Y
80 L
60.0 %
200 L
Y5
100 L
Y
100 L
50.0 %
200 L
Y6
80 L
Y
120 L
40.0 %
200 L
表7
1.
Target (Y)に用いる希釈
Verification material に用いる希釈
Sample
Volume
Solution
Vol. Diluent 1
Rel. Conc.
Final vol. 2
A or B1
200 L
Z
0 L
100.0 %
200 L
A or B2
200 L
Z
50 L
80.0 %
250 L
A or B3
140 L
Z
60 L
70.0 %
200 L
A or B4
120 L
Z
80 L
60.0 %
200 L
A or B5
100 L
Z
100 L
50.0 %
200 L
A or B6
80 L
Z
120 L
40.0 %
200 L
希 釈液につ いては、 測定 装置又は試 薬製造会 社によ り推奨され ているも のを使 用 した。も し推奨さ れて
いない場合は、リン酸緩衝生食水(最終濃度として 0.01%のアジ化ナトリウムを 含む)を使用した。トリ
スを含む緩衝液は希釈液として使用しないこととした。
2.
全ての希釈溶液の最終容 量である。
この希釈スキームは、Reference(X)、Target(Y)、Verification(A or B)について共通に用いた。
全ての希釈は重量により確認した。この重量は希釈の補正に使用した。全ての重量を希釈報
告用紙(Dilution Report Sheet)に記入した。
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13)希釈スキーム B
表8
Reference (X)に用いる希釈
Sample
Volume
Solution
Vol. Diluent 1
Rel. Conc.
Final vol. 2
X1
360 L
X
90 L
80.0 %
300 L
X2
300 L
X
150 L
66.7 %
300 L
X3
180 L
X
120 L
60.0 %
300 L
X4
150 L
X
150 L
50.0 %
300 L
X5
150 L
X1
150 L
40.0 %
300 L
X6
150 L
X2
150 L
33.3 %
300 L
表9
Sample
Volume
Solution
Vol. Diluent 1
Rel. Conc.
Final vol. 2
Y1
360 L
Y
90 L
80.0 %
300 L
Y2
300 L
Y
150 L
66.7 %
300 L
Y3
180 L
Y
120 L
60.0 %
300 L
Y4
150 L
Y
150 L
50.0 %
300 L
Y5
150 L
Y1
150 L
40.0 %
300 L
Y6
150 L
Y2
150 L
33.3 %
300 L
表 10
1.
Target (Y)に用いる希釈
Verification material に用いる希釈
Sample
Volume
Solution
Vol. Diluent 1
Rel. Conc.
Final vol. 2
A or B1
360 L
Z
90 L
80.0 %
300 L
A or B2
300 L
Z
150 L
66.7 %
300 L
A or B3
180 L
Z
120 L
60.0 %
300 L
A or B4
150 L
Z
150 L
50.0 %
300 L
A or B5
150 L
Z1
150 L
40.0 %
300 L
A or B6
150 L
Z2
150 L
33.3 %
300 L
希 釈液につ いては、 測定 装置又は試 薬製造会 社によ り推奨され ているも のを使 用 した。も し推奨さ れて
いない場合は、リン酸緩衝生食水(最終濃度として 0.01%のアジ化ナトリウムを 含む)を使用した。トリ
スを含む緩衝液は希釈液として使用しないこととした。
2.
全ての希釈溶液の最終容 量である。
この希釈スキームは、Reference(X)、Target(Y)、Verification(A or B)について共通に用いた。
全ての希釈は重量により確認した。この重量は希釈の補正に使用した。全ての重量を希釈報
告用紙(Dilution Report Sheet)に記入した。 .
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注1:候補品〔Target(Y)〕の溶解
溶解の手順
・バイアルの蓋はゆっくりと開け、内容物が飛び散らないよう十分に注意する 。
・室温(20~25℃)の精製水あるいは注射用蒸留水を、検定されたピペットを用いて定めら
れた量(1.0 mL)を静かに添加する。イオン交換水には細菌が繁殖している場合もある
ので、できるだけ市販の精製水あるいは注射用蒸留水を 使用する。
・精製水あるいは注射用蒸留水を添加後、栓をして室温に 10 分間放置し、次いでバイアル
を静かに転倒混和させてから約 10 分間ローテーターにかけるか、あるいは手で転倒混和
を 20~30 回繰り返すなどして内容物を完全に溶解する (バイアルの蓋および内壁面に粉
末が残らないように注意する)。
・溶解後、冷蔵庫内(2~8℃)に 30 分間以上放置し、24 時間以内に測定する。使用前には
軽く転倒混和して使用する。
・測定項目には微量成分があり、精製水、ピペット、容器などに汚染がないよう十分注意し
てほしい。
・ 試料はヒト血液等を原料として調製されている。感染性を有するものとして、注意して
取扱うこと。
注2:ERM-DA472/IFCC(B)の使用法
使用に当たって、室温に設定したウオーターバス中でアンプルの内容を融解しなければな
らない。その間、血清が融解するまで 5 ~ 10 分ごとにアンプルの内容が十分混和されるよ
うにアンプルを穏やかに回転させる。
2. 標準値伝達実験結果解析手順
この解析手順は、IRMM からの ERM-DA470k/IFCC 及び ERM-DA472/IFCC の
CERTFICATION REPORT の解析手順に可能な限り忠実に従って作成した。さらに複数
の解析担当者が同一手順で実施できるよう計算例 (または実施例)を加えたものである。
1)凍結乾燥品の溶解における質量補正について
対象物質:Reference(X)、Target(Y)、Verification(A)
ただし、Verification(B)は液状品であるため対象外、 Verification(C)は予め希釈した希釈
溶液を配布したので対象外とした。
① Reconstitution Report Sheet の結果の質量補正
再溶解のために加えた純水の期待値の質量( m
期待値
加えられた純水の質量( m M,i )で割った値( m
/ mM,i )から補正係数( f M,I )を計算する。
期待値
)を風袋消去後の実際にバイアルに
f M,I = m 期 待 値 / mM,i
ここで m
期待値
は、加えられるはずであった期待質量(1.0000 g)であり、 m M,i は実際に
バイアルに加えられた純水の質量である。
② 計算例:Reference(X)の CRP を例として示す。
加える純水の期待値:1.0000 g
実際に加えた純粋の風袋消去後の質量:ここでは 1.0028 g と仮定した。
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f M,I =1.0000/1.0028=0.9972
注:ここでは Target(Y)の f M,I は、計算例の都合上 Reference(X)と同一の 0.9972 と
仮定した。
2)溶解物質及び液状品の希釈段階における質量補正について
質量補正対象物質:Reference(X)、Target(Y)、Verification(A)、Verification(B)
① Dilution Report Sheet の結果の質量補正
・Dilution Report Sheet の結果
標準値伝達プロトコルでは Reference(X)、Target(Y)、Verification(A)、Verification(B
の全てについて同一希釈スキームを用いることになっている。表 11 に Reference(X)
及び Target(Y)の第 1 日目の実際に測定された質量の結果を示した。
表 11
Reference(X)及び Target(Y)の第 1 日目の実際に測定された質量の結果例
Day 1
Reference(X)
Vial#
X1
X2
X3
X4
X5
X6
Tare weight ①
0.6892
0.6946
0.6965
0.7006
0.7005
0.7009 g
Wt. + X ②
0.8960
0.9015
0.8432
0.8258
0.8050
0.7846 g
Wt + X +diluent③
0.8960
0.9520
0.9039
0.9072
0.9054
0.9055 g
Target (Y)
Vial#
Y1
Y2
Y3
Y4
Y5
Y6
Tare weight ①
0.7003
0.6973
0.7009
0.6915
0.7017
0.7007 g
Wt. + Y
0.9106
0.9076
0.8446
0.8163
0.8055
0.7838 g
0.9106
0.9585
0.9054
0.8971
0.9058
0.9048 g
②
Wt + Y +diluent③
・各希釈段階における質量補正
各希釈段階について物資 i の再溶解された物質の質量( m DM,I )を再溶解された物質
質量( m DM,I )と希釈剤の質量( m DD,i )の合計で割ることにより補正係数( f D,ij )を計算する。
f D,ij = m DM,I /(m DM,I + m DD,i)
ここで m DM,I は、希釈段階 j における物質 i の再溶解された物質の質量、 m DD,i は
段階 j における希釈剤の質量である。
・補正係数計算例:Reference(X)の CRP を例として示す。
Dilution Report Sheet の表 11 に示した Reference(X)及び Target(Y)の第 1 日目の
実際に測定された質量の結果例を用いて以下の計算を行った。
A:採取した溶解液の質量;表 11 の②の質量から①の質量を差し引く。
B:採取した希釈剤の質量;表 11 の③の質量から②の質量を差し引く。
C:溶解液の質量+希釈剤の質量;A+B
f D,ij :補正係数;A/C
f M,I × fD,ij :溶解における補正を含めた全体の補正係数
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以上の計算結果を表 12 に示した。表 12 の f D,ij 及び f M,I × f D,ij の数値から明らかな
ように、表 5 及び表6の Rel.Conc.の%から僅かにずれていることが分かる。
表 12
風袋を差し引いた溶解液及び希釈剤の質量及び補正係数
X1
X2
X3
X4
X5
X6
②-①=A
0.2068
0.2069
0.1467
0.1252
0.1045
0.0837
③-②=B
0.0000
0.0505
0.0607
0.0814
0.1004
0.1209
A+B=C
0.2068
0.2574
0.2074
0.2066
0.2049
0.2046
A/C= f D ,ij
1.0000
0.8038
0.7073
0.6060
0.5100
0.4091
f M ,i× f D ,ij
0.9972
0.8015
0.7053
0.6043
0.5086
0.4080
Y1
Y2
Y3
Y4
Y5
Y6
②-①=A
0.2103
0.2103
0.1437
0.1248
0.1038
0.0831
③-②=B
0.0000
0.0509
0.0608
0.0808
0.1003
0.1210
A+B=C
0.2103
0.2612
0.2045
0.2056
0.2041
0.2041
A/C= f D ,ij
1.0000
0.8051
0.7027
0.6070
0.5005
0.4072
f M ,i× f D ,ij
0.9972
0.8028
0.7007
0.6053
0.4991
0.4061
② 希釈溶液中の蛋白質の濃度の補正
・各希釈溶液中の蛋白質の濃度 c ij ( c = m/V(質量/容量)で g/L の単位を有する)は、以下
により計算される:
c ij = c 0i
x
f M,i
x
f D ij
この式は、試料 i 中の蛋白質の濃度 c 0i を有する物質 i の希釈段階 j 中の蛋白質の濃度
c ij を示している。
・希釈溶液中の蛋白質の濃度の補正計算例:Reference(X)の CRP の希釈段階 X2 を例と
して示す。
c 0i :0.0392g/L(Reference(X)の CRP の認証値)
fM,i :0.9972(Reference(X)の溶解における補正係数)
f D ij :0.8038(希釈段階 X2 の希釈における補正係数)
c ij (希釈段階 X2 の補正濃度)=0.0392×0.9972×0.8038=0.0314g/L
注:Target(Y)の濃度( c 0i )は未知であることから、計算式から直接計算することは
できない。
3)伝達ファクター(TF)の決定について
① 標準値伝達プロトコルにおける測定データの予備的解析
IRMM の標準値伝達プロトコルでは、各施設は毎日目的物質(TM)の 6 種類の希釈溶
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液(Y1-Y6)及び標準物質(RM)の 6 種類の希釈溶液(X1-X6)を 3 重測定している。TM 及
び RM の両方について個々の結果 S ijk (g/L で表現した希釈溶液 j 中の物質 i の k 番
目の測定のシグナル) について外れ値をチェックする目的で散布図〔S ijk = f( c ij )〕
としてプロットする。もし外れ値が存在した場合は、転記ミスまたは技術的 な問
題として棄却する。切片を伴う回帰直線式を、 c ij .に対する S ijk の平均値の間で求
める。
② 測定データの予備的解析の実施例:
ⅰ Reference(X) 及 び Target(Y) の CRP を 例 と し て 示 す 。 表 2 及 び 表 3 に 対 応 す る
Results Report Sheet 上の第 1 日目の CRP 測定結果を表 13 に示した。
表 13
Results Report Sheet 第 1 日目の CRP の結果(単位:g/L)
protein
R1
R2
X1
0.0395
0.0398
0.0398
X2
0.0319
0.0319
X3
0.0280
X4
CRP
R3
R1
R2
R3
Y1
0.0420
0.0426
0.0424
0.0314
Y2
0.0335
0.0341
0.0339
0.0279
0.0281
Y3
0.0290
0.0299
0.0289
0.0238
0.0241
0.0241
Y4
0.0252
0.0248
0.0251
X5
0.0201
0.0203
0.0203
Y5
0.0208
0.0211
0.0212
X6
0.0160
0.0161
0.0162
Y6
0.0155
0.0156
0.0160
Controls
Controls
R:繰り返し測定
図2 Reference(X)3重測定の散布図
0.0450
0.0400
測定値 (g/L)
0.0350
0.0300
0.0250
R1
0.0200
R2
0.0150
R3
0.0100
0.0050
0.0000
0.0000
0.2000
0.4000
0.6000
0.8000
質量補正後の希釈率
- 25 -
1.0000
1.2000
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図3 Target(Y)3重測定の散布図
0.0450
0.0400
0.0350
測定値 (g/L)
0.0300
0.0250
R1
0.0200
R2
0.0150
R3
0.0100
0.0050
0.0000
0.0000
0.2000
0.4000
0.6000
0.8000
質量補正後の希釈率
1.0000
1.2000
ⅱ Reference(X)及び Target(Y)の散布図
図 2 は質量補正後の Reference(X)の希釈係数(表 12 の f M,I × f D,ij )に対する表 13 の3
重測定の測定値(g/L)の散布図である。図からも明らかなように外れ値は見られない。
図 3 は質量補正後の Target(Y)の希釈係数(表 12 の f M,I × f D,ij )に対する表 13 の3重測
定の測定値(g/L)の散布図である。図からも明らかなように Reference(X)と同様に外
れ値は見られない。
ⅲ 回帰分析の結果
表 14 に Reference(X)及び Target(Y)の希釈係数(表 12 の f M,I × f D,ij )に対する表 13
の3重測定の平均値について回帰分析を行った結果を示した。
表 14
Reference(X)及び Target(Y)の回帰分析の結果
物質の種類
勾配(a)
切片(b)
標準誤差( s yx )
R2
Reference(X)
0.03989
-0.000132
7.542E-05
0.9999
Target(Y)
0.04431
-0.00175
0.000435
0.9983
ⅳ データのチェック
・直線性のテスト(目視によるチェック及び R 2 の評価)
・ 切片±4 syx が原点をカバーすること
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ⅴ データの評価
例として示したデータは以下の条件を満たしていることから問題のないデータ
として TF を求める手順に進む。
・ 散布図(図1及び図2)から外れ値は見られない。
・ 目視により直線性が見られており、R 2 も 0.99 以上であることから直線性に問
題はない。
・ 回帰直線の切片は切片±4標準誤差( s yx )が原点をカバーしているので問題は
ない。
ⅵ TF の計算
標準値伝達手順では、回帰直線が原点を通る直線であることを前提として候補
標準物質 Target(Y)及び標準物質 Reference(X)の回帰直線の勾配の比率として計算
される。
TF = Target(Y)の回帰直線の勾配/Reference(X)の回帰直線の勾配
4)備考
標準値伝達実験結果から得られたデータをこの解析手順を用いて解析すると、①
ERM-DA470(X)、 候補 品(Y)、ERM-DA470k /IFCC(A)の溶解 におけ る質量補 正、② 希釈 段
階における質量補正、③希釈溶液の測定値の回帰分析の実施、④TF の計算を 1 セットとす
る と 、 各 項 目 ご と に Reference(X) 、 Target(Y)に つ い て そ れ ぞ れ 4 日 間 (合 計 8 セ ッ ト )、
Verification(A) について2日間(合計2セット)、IgG、IgA、IgM3項目で合計 30 セットと
なり、CRP は、Reference(X)、Target(Y)に加えて Verification(B)及び Verification(C)につ
いて2日間(合計4セット)となるので、各施設合計 42 セットのデータ解析が必要となる。従
って実験施設5施設分で合計 210 セットのデータ解析が必要となった。
3.標準値伝達実験結果
1)標準値伝達実験参加施設及び基礎資料
- 27 -
Health Care Technology Foundation
表 15
CRP
施設記号
A
B
C
D
E
A
B
C
D
E
実験施設名
ニットーボーメディカル株式会社
日大練馬光が丘病院/三菱化学
デンカ生研株式会社
栄研化学株式会社
オリエンタル酵母/シーメンス
IgA
施設記号
A
B
C
D
E
実験施設名
ニットーボーメディカル株式会社
日大練馬光が丘病院/三菱化学
デンカ生研株式会社
栄研化学株式会社
オリエンタル酵母/シーメンス
IgM
施設記号
A
実験施設名
ニットーボーメディカル株式会社
日大練馬光が丘病院/三菱化学
デンカ生研株式会社
栄研化学株式会社
オリエンタル酵母/シーメンス
IgG
施設記号
B
C
D
E
標準値伝達実験参加施設及び基礎資料
実験施設名
ニットーボーメディカル株式会社
日大練馬光が丘病院/三菱化学
デンカ生研株式会社
栄研化学株式会社
オリエンタル酵母/シーメンス
測定装置名
日立 7170形
H7700P
TBA-120FR
JCA-BM 6050
BNプロスペック
測定装置名
日立 7170形
H7700P
TBA-120FR
JCA-BM 6050
BNプロスペック
測定装置名
日立 7170形
H7700P
TBA-120FR
JCA-BM 6050
BNプロスペック
測定装置名
日立 7170形
H7700P
TBA-120FR
JCA-BM 6050
BNプロスペック
試薬名
N-アッセイ LA CRP-S ニットー
ボー D-type
イアトロ CRP-EX
CRP-ラテックス(Ⅱ)「生研」X2
LZテスト‘栄研’CRP-HG
N-ラテックス CRPII (NR)
検量用物質
N-アッセイLA CRP-S ニットーボー用 多点
検量線用 CRP標準液[LA]<D-Type>
CRP キャリブレーター Aセット
CRP(Ⅱ)標準液Hセット
CRP-HG標準B6‘栄研’
N-ロイマトロジースタンダード SL
試薬名
N-アッセイ TIA IgG-SH ニットー
ボー E-type
イアトロ IgG
IgG-TIA「生研」X1
LX試薬‘栄研’IgG-Ⅲ
N-抗血清 IgG
検量用物質
マルチスタンダード 多点検量線用 マ
ルチⅤ-SH2
TIAマルチキャリブレーター
マルチ標準液Tセット
血漿蛋白キャリブレータBM‘栄研’
N-蛋白標準血清 SL
試薬名
N-アッセイ TIA IgA-SH ニットー
ボー E-type
イアトロ IgA
IgA-TIA「生研」X1
LX試薬‘栄研’IgA-Ⅲ
N-抗血清 IgA
検量用物質
マルチスタンダード 多点検量線用 マ
ルチⅤ-SH2
TIAマルチキャリブレーター
マルチ標準液Tセット
血漿蛋白キャリブレータBM‘栄研’
N-蛋白標準血清 SL
試薬名
N-アッセイ TIA IgM-SH ニッ
トーボー E-type
イアトロ IgM
IgM-TIA「生研」X1
LX試薬‘栄研’IgM-Ⅲ
N-抗血清 IgM
検量用物質
マルチスタンダード 多点検量線用 マ
ルチⅤ-SH2
TIAマルチキャリブレーター
マルチ標準液Tセット
血漿蛋白キャリブレータBM‘栄研’
N-蛋白標準血清 SL
2)標準値伝達実験結果の予備的解析
標準値伝達実験プロトコルに基づき、表 15 に示した5施設で実験を実施した。さらに、
ERM-DA470 の標準値伝達実験結果解析手順に従って合計 210 セットのそれぞれについて散
布図及び回帰分析データを作成した。これらの全てについて、事務局において予備的解析を
実施するとともに、各実験施設において自施設の 42 セットのデータについて詳細に予備的
解析を実施した。その結果、散布図は全体的に変動が少なく、直線性に優れた極めて良好な
結果であった。しかし回帰分析結果に関して各施設、各試料に共通する考慮すべき点が 一部
判明した。
3)R 2 について
R 2 は、伝達係数(TF)の計算に使用する回帰分析から得られた勾配の、信頼性を左右する最
も重要なファクターであるが、少数のデータを除きすべてのデータの R 2 が 0.98 以上で目視
的にも極めて良好な結果となった。したがって 0.98 未満の結果を棄却するのみで、全データ
を最終計算に利用できると判断した。
4)切片0のチェックについて
切片±4 s yx が0をカバーすることを判断規準としたが、CRP 及び免疫グロブリンの一部
でクリアー出来ないことが判明した。切片の数値は、試料濃度(mg/dL)と s yx (mg/dL)の影響
を受けるが、一部でクリアー出来なかった理由と対処法について以下に述べる 。
① 各希釈段階における3重測定のばらつきが小さいことから s yx が極めて小さくなって
おり(例えば CRP では s yx =0.02~0.04mg/dL)、切片±4 s yx をクリアー出来ない項目
及び試料が生じた。
- 28 -
Health Care Technology Foundation
② IgG のように試料濃度が高い(1000mg/dL 程度)場合は、切片の数値も相対的に大きく
なり、一方測定のばらつきが小さい場合には s yx の値が相対的に小さくなり①と同様
に切片±4 s yx をクリアー出来なくなる。従って切片±4 s yx の判断規準のみでは無理
があると考えた。
5)対処法の概要
切片の(切片±4 s yx STEYX)からのかたより(残差)の未希釈試料濃度に対する比率(%)を
第2判断規準とした。
例:IgM(Y)
R2
0.0.9979
切片
2.53 mg/dl
勾配
59.6336
s yx
未希釈試料濃度
0.57 mg/dL
63.0 mg/dL
切片-4 s yx =2.53-2.28=0.25(残差)
残渣×100/未希釈試料濃度=0.25×100/63.0=0.40%
結果が 1%以内であれば問題なしとする。
ただし、CRP のように未希釈試料濃度が低い場合、またばらつきが小さく s yx が極めて
小さい場合(例えば報告単位以下)は、2~3%程度までは良しとした。
6)切片の勾配への影響
回帰分析において直線性が保証されている場合には、切片は相加誤差(一定系統誤差)を意
味し、伝達係数(TF)の基礎となる勾配には影響しないと考えることができる。今回の実験で
は、ほとんどすべてのデータが目視的にも R 2 からも直線性が極めて良好であることが確認
されているので、切片については実験のばらつきが極めて小さく s yx が小さいことから、こ
の程度の判断規準で十分と考えた。
7)データ棄却の有無
予備的解析において、R 2 が 0.98 以下であるため棄却されたデータは、施設 E の IgA
Verification A の Day2 のデータ及び IgM 候補品(Y)の Day2 の2データのみであった。また、
切片の判断規準で棄却されたデータは存在しなかった。その他の理由として、施設 C の CRP
における Verification B の Day2 のアンプルに液漏れがあったため除外された。最終的に合
計 207 データが伝達係数(TF)の計算に用いられた。
4.標準値の候補品への伝達
1)伝達係数(TF)の計算
解析手順3)②ⅵの TF の計算に基づいて、施設別、試料別、実施日別に TF の計算を実
施し、施設別、試料別の平均値及び標準偏差を計算した。さらに施設別平均値の総平均値及
び標準偏差を計算し表 16~表 19 に示した。TF 値欄で N/A となっている部分は、測定を実
施しなかった、液漏れ、棄却データ等で、データが利用できなかったことを示している。ま
た、標準偏差欄で N/A となっている部分は、2日間のデータのみのため標準偏差を計算しな
かったことによりデータが利用できなかったことを示している。
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Health Care Technology Foundation
表16 CRP の施設別、試料別、実施日別、TF値
施設A
Y/X
B/X
C/X
施設B
Y/X
B/X
C/X
施設C
Y/X
B/X
C/X
施設D
Y/X
B/X
C/X
施設E
Y/X
B/X
C/X
Day1
0.9172
1.0908
1.1642
Day1
0.9758
1.1234
1.1148
Day1
0.9229
1.0675
1.1163
Day1
0.9570
1.0178
1.0966
Day1
0.9337
1.0597
1.1252
Day2
0.9010
1.0649
1.1263
Day2
0.9746
1.0972
1.0790
Day2
0.9409
N/A
1.0955
Day2
0.9235
1.0263
1.1041
Day2
0.8116
1.0476
1.1880
TF
Day3
0.9267
N/A
N/A
Day3
0.9697
N/A
N/A
Day3
0.9937
N/A
N/A
Day3
0.9053
N/A
N/A
Day3
0.9470
N/A
N/A
Day4
0.9120
N/A
N/A
Day4
0.9904
N/A
N/A
Day4
0.9625
N/A
N/A
Day4
0.9289
N/A
N/A
Day4
0.9060
N/A
N/A
CRP
Y/X
B/X
C/X
平均値
0.9142
1.0779
1.1453
平均値
0.9776
1.1103
1.0969
平均値
0.9550
1.0675
1.1059
平均値
0.9287
1.0220
1.1004
平均値
0.8996
1.0537
1.1566
総平均値
0.9350
1.0663
1.1210
標準偏差
0.0107
N/A
N/A
標準偏差
0.0089
N/A
N/A
標準偏差
0.0305
N/A
N/A
標準偏差
0.0214
N/A
N/A
標準偏差
0.0611
N/A
N/A
標準偏差
0.0314
0.0324
0.0278
表17 IgG の施設別、試料別、実施日別、TF値
施設A
Y/X
A/X
施設B
Y/X
A/X
施設C
Y/X
A/X
施設D
Y/X
A/X
施設E
Y/X
A/X
Day1
1.1824
0.9345
Day1
1.2014
0.9615
Day1
1.1828
0.9399
Day1
1.2044
0.9428
Day1
1.1675
0.9372
Day2
1.1927
0.9297
Day2
1.2152
0.9759
Day2
1.2222
0.9737
Day2
1.1890
0.9125
Day2
1.1855
0.9577
TF
Day3
1.1917
N/A
Day3
1.1696
N/A
Day3
1.1605
N/A
Day3
1.1850
N/A
Day3
1.1731
N/A
- 30 -
Day4
1.1860
N/A
Day4
1.1771
N/A
Day4
1.1489
N/A
Day4
1.1927
N/A
Day4
1.1769
N/A
IgG
Y/X
A/X
平均値
1.1882
0.9321
平均値
1.1908
0.9687
平均値
1.1786
0.9568
平均値
1.1928
0.9276
平均値
1.1758
0.9475
総平均値
1.1852
0.9465
標準偏差
0.0049
N/A
標準偏差
0.0212
N/A
標準偏差
0.0323
N/A
標準偏差
0.0084
N/A
標準偏差
0.0076
N/A
標準偏差
0.0076
0.0171
Health Care Technology Foundation
表18 IgAの施設別、試料別、実施日別、TF値
施設A
Y/X
A/X
施設B
Y/X
A/X
施設C
Y/X
A/X
施設D
Y/X
A/X
施設E
Y/X
A/X
Day1
1.1921
0.9056
Day1
1.1888
0.8982
Day1
1.1401
0.9203
Day1
1.2014
0.9183
Day1
1.1749
0.8973
Day2
1.1622
0.9154
Day2
1.1677
0.9247
Day2
1.2148
0.9407
Day2
1.1770
0.8856
Day2
1.2031
N/A
TF値
Day3
1.1804
N/A
Day3
1.1730
N/A
Day3
1.1902
N/A
Day3
1.1949
N/A
Day3
1.1707
N/A
Day4
1.1914
N/A
Day4
1.1815
N/A
Day4
1.2088
N/A
Day4
1.1977
N/A
Day4
1.1683
N/A
IgA
Y/X
A/X
平均値
1.1815
0.9105
平均値
1.1777
0.9114
平均値
1.1885
0.9305
平均値
1.1927
0.9020
平均値
1.1793
0.8973
総平均値
1.1839
0.9103
標準偏差
0.0139
N/A
標準偏差
0.0093
N/A
標準偏差
0.0339
N/A
標準偏差
0.0108
N/A
標準偏差
0.0162
N/A
標準偏差
0.0064
0.0127
表19 IgM の施設別、試料別、実施日別、TF値
施設A
Y/X
A/X
施設B
Y/X
A/X
施設C
Y/X
A/X
施設D
Y/X
A/X
施設E
Y/X
A/X
Day1
0.7156
0.8829
Day1
0.7225
0.8796
Day1
0.7150
0.9221
Day1
0.7769
0.9178
Day1
0.7580
0.9042
Day2
0.7278
0.8718
Day2
0.7411
0.9024
Day2
0.7434
0.9111
Day2
0.7370
0.8801
Day2
N/A
0.8586
TF
Day3
0.7540
N/A
Day3
0.7231
N/A
Day3
0.7268
N/A
Day3
0.7318
N/A
Day3
0.7666
N/A
Day4
0.7270
N/A
Day4
0.7262
N/A
Day4
0.7466
N/A
Day4
0.7622
N/A
Day4
0.7076
N/A
IgM
Y/X
A/X
平均値
0.7311
0.8774
平均値
0.7282
0.8910
平均値
0.7329
0.9166
平均値
0.7520
0.8990
平均値
0.7441
0.8814
総平均値
0.7377
0.8931
標準偏差
0.0162
N/A
標準偏差
0.0087
N/A
標準偏差
0.0148
N/A
標準偏差
0.0213
N/A
標準偏差
0.0319
N/A
標準偏差
0.0100
0.0156
2)標準値伝達実験の信頼性
① 確認用試験の結果
今回の実験で確認用試験として測定した、ERM-DA470k/IFCC(Verification A)及び
ERM-DA472/IFCC(Verification B)から求めた伝達係数(TF)を ERM-DA470(X)の標準
値に乗じた値を、ERM-DA470k/IFCC 及び ERM-DA472/IFCC の標準値と比較し、そ
の一致率を求めて、表 20 に示した。
- 31 -
Health Care Technology Foundation
表20 確認用試料の平均伝達係数から計算された計算値と標準値*の比較及び一致率
項目 ERM470標準値(mg/dL) 平均伝達係数 計算値(mg/dL) 標準値*1(mg/dL) 一致率(%)
CRP(B)
3.92
1.0663
4.18
4.18
100.0
CRP(C)
3.92
1.1210
4.39
3.66
120.1
IgG(A)
968
0.9465
916
917
99.9
IgA(A)
196
0.9103
178
180
99.1
IgM(A)
79.7
0.8931
71.2
72.3
98.5
*2
不確かさ (%)
2.82
ー
0.98
1.3
1.83
*1: CRP(B) Verification(B):ERM-DA472/IFCC
CRP(C)Verification(C):認証標準物質(NMIJ CRM6201-a)
IgG(A)、IgA(A)、IgM(A) Verification(A):ERM-DA470k/IFCC
*2: 相対合成標準不確かさ(IRMMの報告書による)、CRP(C)は、測定前に希釈を行ったので記入しなかった。
ⅰCRP(B)
:標準値伝達実験で得られた平均伝達係数 1.0663 を乗じた計算値 4.18 mg/dL
は、ERM-DA472/IFCC の標準値に対して一致率 100.0%であった。
ⅱCRP(C):標準値伝達実験で得られた平均伝達係数 1.1210 を乗じた計算値は、認証標
準物質(NMIJ CRM 6201-a)予備希釈後の計算値 3.66 mg/mL に対し 20%高値となった。
この点については、今回の ERM-DA470 の標準値の候補品への伝達の目的から外れる
ので、事実のみを表現することにした。
ⅲ IgG(A):標準値伝達実験で得られた平均伝達係数 0.9465 を乗じた計算値は、ERMDA470k/IFCC の標準値に対して一致率 99.9%であった。
ⅳ IgA:標準値伝達実験で得られた平均伝達係数 0.9103 を乗じた計算値は、ERMDA470k/IFCC の標準値に対して一致率 99.1%であった。
ⅴ IgM:標準値伝達実験で得られた平均伝達係数 0.8931 を乗じた計算値は、ERMDA470k/IFCC の標準値に対して一致率 98.5%であった。
② IRMM による実験結果と HECTEF による確認用試験結果との比較
ERM-DA472/IFCC 及び ERM-DA470k/IFCC について、IRMM が実施した標準値伝
達実験の平均伝達係数及び変動係数を、HECTEF が実施した平均伝達係数及び変動係
数を比較して表 21 に示した。
表21 確認用試料の平均伝達係数(TF)と変動係数の比較
平均伝達係数(IRMM) 変動係数IRMM(%)
CRP
IgG
IgA
IgM
1.0670
0.9477
0.9183
0.9076
4.32
1.38
2.36
2.11
平均伝達係数(HECTEF) 変動係数HECTEF(%)
1.0663
0.9465
0.9103
0.8931
3.03
1.81
1.40
1.75
表 21 の結果からも明らかなように、平均伝達係数は、極めて良好な一致を示してい
る。また平均伝達係数の変動係数は HECTEF の IgG が IRMM に比較して僅かに大き
いことを除き、他の 3 項目は、HECTEF の変動係数がいずれも IRMM のそれに比較
して小さいことが分かる。
- 32 -
Health Care Technology Foundation
③ 確認用試験の評価
今回の ERM-DA470 の標準値の伝達実験の信頼性を評価するため、確認用試験を同時
並行して 2 日間実施したが、実験から得られた計算値及び平均伝達係数は極めて良好
な一致が見られ、HECTEF の実験の変動係数も、極めて良好な結果が得られたことか
ら、今回の実験の信頼性は極めて高いと言える。したがって、この実験で得られた
ERM-DA470 から候補品(X)への伝達係数の信頼性も極めて高いと判断した。
3)候補品(X)の伝達係数(TF)
① 伝達係数の総平均値の計算と図示
表 16~表 19
に示した各施設の実験結果から得られた ERM-DA470 から候補品(X)へ
の伝達係数(TF:Y/X)を、IRMM の報告書にならって各施設の平均値を求め、さらにそ
れらの平均値の平均値(総平均値)を求めてその平均値を最終伝達係数(Final TF)とした。
各項目について以下に図示した。
標準値伝達実験におけるTFの結果(CRP)
伝達係数(TF±SD)
1.00
0.95
平均値
0.90
0.85
0.80
総平均 施設A 施設B 施設C 施設D 施設E 総平均
図4
CRP の TF の結果
● と縦の棒線はその施設の平均
TF 値±SD を示し、図の左右の ●
と縦の棒線は総平均値(Final TF)±SD を、破線は総平均値(Final TF)を示している。
伝達係数(TF±SD)
標準値伝達実験におけるTFの結果(IgG)
1.22
1.20
平均値
1.18
1.16
1.14
総平均 施設A 施設B 施設C 施設D 施設E 総平均
図5
IgG の TF の結果
● と縦の棒線はその施設の平均
- 33 -
TF 値±SD を示し、図の左右の ●
Health Care Technology Foundation
と縦の棒線は総平均値(Final TF)±SD を、破線は総平均値(Final TF)を示している
伝達係数(TF±SD)
標準値伝達実験におけるTFの結果(IgA)
1.23
1.22
1.21
1.20
1.19
1.18
1.17
1.16
1.15
1.14
平均値
総平均 施設A 施設B 施設C 施設D 施設E 総平均
図6
IgA の TF の結果
● と縦の棒線はその施設の平均
TF 値±SD を示し、図の左右の ●
と縦の棒線は総平均値(Final TF)±SD を、破線は総平均値(Final TF)を示している。
標準値伝達実験におけるTFの結果(IgM)
伝達係数(TF±SD)
0.78
0.77
0.76
0.75
平均値
0.74
0.73
0.72
0.71
総平均 施設A 施設B 施設C 施設D 施設E 総平均
図7
IgM の TF の結果
● と縦の棒線はその施設の平均
TF 値±SD を示し、図の左右の ●
と縦の棒線は総平均値(Final TF)±SD を、破線は総平均値(Final TF)を示している。
4)TF の総平均値(Final TF)の不確かさ
各項目について標準値伝達実験で得られた TF の総平均値(Final TF)及び標準偏差から
TF の不確かさを計算し、表 22 に示した。
項目
CRP
IgG
IgA
IgM
表22標準値伝達実験で得られたTFの不確かさ
TF
TFの不確かさ(%)
平均値の平均
相対標準偏差(%)
0.9350
3.358
1.502
1.1852
0.641
0.287
1.1839
0.541
0.242
0.7377
1.356
0.606
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注:以下の標準誤差の計算式の s を相対標準偏差(%)として相対標準誤差(%)の計算を行い、
TF の不確かさ(%)すなわち相対標準不確かさ( u char )を求めた。
標準誤差 (SE) =
s
n
ただし、 s ;標準偏差、 n :有効なデータ・セット数(ここでは5)
Ⅷ.不確かさと認証値
1.不確かさの推定
認証された不確かさは、値付けと関係する相対標準不確かさ( u char )、検量用物質(標準物質)
に関係する相対標準不確かさ( u cal )、不均質性の相対標準不確かさ( u bb )、長期保存中の変性と
関係する相対標準不確かさ( u lts )からなる。
ただし、
u char :検査室 TF の平均値の平均の相対標準誤差として推定し た(Ⅶ.4.4)を参照)。
u cal:標準物質として使用した ERM-DA470 の拡張不確かさの 1/2、すなわち ERM-DA4670
の合成標準不確かさとして推定した(Ⅷ.表 23 u bb [%]を参照)。
u bb:均質性試験から求めたバイアル間相対標準偏差およびバイアル内相対標準偏差を比較
し、この二つの値のより大きいものを不均質性による相対標準不確かさとして推定した
(Ⅴ.表2参照)。
u lts:長期安定性試験から求めた6ヶ月間の安定性試験の結果から推定した(Ⅵ.2.表4参
照)。
2.相対合成標準不確かさの推定
相対合成標準不確かさ( u c )は、次の計算式により個々の寄与分の2乗の合計の平方根とし
て計算した。
uc = (
u 2char + u 2cal + u 2 bb + u 2 lts ) 1/2
種々の不確かさの寄与分および相対合成標準不確かさを表 23 に示した
表 23
項目
CRP
IgG
IgA
IgM
常用参照標準物質候補品のための不確かさの計算値
u char[%]
1.502
0.287
0.242
0.606
u cal[%]
2.42
0.516
1.02
1.44
u bb[%]
1.85
0.61
0.72
0.13
u lts[%]
0.72
0.3
0.54
0.84
u c[%]
3.47
0.90
1.38
1.78
2.認証値
1)認証値の計算
表 16~表 19 に示した ERM-DA470 から候補品(X)への伝達係数(TF:Y/X)の総平均値(Final
TF)を、ERM-DA470 の標準値に乗じて求めた候補品(X)の標準値を表 24 に示した。
表 24
候補品の標準値の決定
候補品の標準値
項目
標準値(mg/dL)
伝達係数(Final TF)
GRP
3.92
0.9350
3.67
IgG
968
1.1852
1147
IgA
196
1.1839
232
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(mg/dL)
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gM
79.7
0.7377
58.8
2)拡張不確かさの計算
相対拡張不確かさは、相対合成標準不確かさ( u c )(Ⅷ.1.表 23 参照)から包含係数 k を
乗じることにより計算した。なお、この包含係数は k =2として計算した。濃度値 (mg/dL)
を求めるために、この相対拡張不確かさ( u c [%])に、標準値(mg/dL)を乗じた。その最終結果
を表 25 に示した。
表 25
拡張不確かさの計算
項 目
認証値[mg/dL]
拡張不確かさ(k =2)[mg/dL]
CRP
IgG
IgA
IgM
3.67
1147
232
58.8
0.25
21
6.4
2.1
この 常用参照標準物質 候補品から計算された拡張不確かさを、IRMM から新たに供給
された ERM-DA470k/IFCC 及び ERM-DA472/IFCC の認証書に記載されている拡張不確
かさと比較するために、 常用参照標準物質 候補品の拡張不確かさを、IRMM の認証値の
濃度に換算して表 26 に示した。表から明らかなように、CRP は、ERM-DA472/IFCC
が液状血清であり、常用参照標準物質 候補品が凍結乾燥品であることから、僅かに大きい
値となっている。しかし、免疫グロブリンは、IgA が同じ 5 mg/dL であり、IgG、IgM
は 常用参照標準物質 候補品の拡張不確かさが、IRMM の値に比較して僅かに小さいこと
が分かる。
表 26
常用参照標準物質 候補品の拡張不確かさの IRMM 認証値への換算値
項 目
IRMM 認証値
IRMM 拡張不確かさ
IRMM 認証値への換算値
CRP
4.18 mg/dL
0.25 mg/dL
0.28 mg/dL
IgG
917 mg/dL
18 mg/dL
17 mg/dL
IgA
180 mg/dL
5 mg/dL
5 mg/dL
IgM
72.3 mg/dL
2.7 mg/dL
2.6 mg/dL
Ⅸ.計測学的トレーサビリティ
CRP、IgG、IgA、IgM の測定は、この報告書に述べられているような、標準値伝達プロ
トコルを使用して、ERM-DA470 の標準値を伝達した。標準値伝達測定は、実験実施施設が、
標準値伝達プロトコルを忠実に順守し、かつ厳密にコントロールされた測定装置および試薬
を使用し、免疫比濁法、ラテックス免疫比濁法、免疫比ろう法で実施した。 ここでは、異な
る組み合わせの試薬と測定装置を使用して、一貫した結果が得られたことから、その結果は、
個々の測定法に左右されないと考えることが出来る。標準として用いた ERM-DA470 の標準
値は、表 27 に示した検量用物質を使用して、共同実験により値付けされたものである。従
って、この報告書、IRMM の報告書(参考文献 1)~3))に述べられた手順および免疫化学的測
定法を使用して得られたこの常用参照標準物質候補品の測定値は、国際単位系 (SI)にトレー
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サブルである。
表 27
項 目
ERM-DA470 の検量用物質、認証値、拡張不確かさ
認証値[mg/dL]
拡張不確かさ[mg/dL]
検量用物質
CRP
3.92
0.19
IgG
968
10
USNRP 12-0575C * 2
IgA
196
4
USNRP 12-0575C * 2
IgM
79.7
2.3
USNRP 12-0575C * 2
1st Intl.CRP 85/506 * 1
*1:1st International Standard CRP 85/506
*2:USNRP(United States National Reference Preparation) 12 -0575C
Ⅹ.互換性
この常用参照標準物質候補品への ERM-DA470 の標準値伝達実験を実施に先立ち、候補品 A、
候補品 B および健常人・混合血清合計 11 試料を試料として用いて、表 1 に示した試薬およ
び測定装置の組み合わせでパイロットスタディを実施した。結果として脱脂処理により混濁
を除くことにより、各種の試薬および測定装置に対する反応性に関してとくに大きな問題は
なく、予想以上に良い結果が得られたことから、今回の常用参照標準物質候補品( CRP・IgG・
IgA・IgM 実用参照物質)を作製し、表 15 に示した 5 種類の試薬を使用して標準値伝達実験
を実施した。質量補正を実施した標準物質、候補品、確認用試料の希釈溶液から得られた回
帰直線式が、極めて良好な直線性を示したことから、国内における比較的使用比率の高い、
5 種類の試薬に関して、互換可能であることを期待することが出来る。
参考文献
1) CERTIFICATION REPORT
The certification of a matrix reference material for
Immunochemical measurement of 15 Serum Proteins Certified Reference Materials
ERM-DA470, 1993
2) CERTIFICATION REPORT Certification of proteins in the human serum Certified
Reference Material ERM®- DA470k/IFCC, 2009
3) CERTIFICATION REPORT Certification of C-reactive protein in reference material
ERM®-DA472/IFCC Certified Reference Material ERM®-DA472/IFCC, 2009
4) T. P. Linsinger, J. Pauwels, A. Lamberty, H. G. Schimmel, A. M. van der Veen , L.
Siekmann Estimating the uncertainty of stability for matrix CRMs. Fresenius J . Anal.
Chem. 370 (2001); 370:183-188.
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