「そ・れ・か・ら」 あのアーティストの 山口広在 Hiroi Yamaguchi 1999年10月6日から12月26日の約3ヶ月間、芸術村に滞在、 創作活動をされた東京在住の写真家の山口広在(やまぐちひろい)さんに、 その後の活動や芸術村での思い出について尋ねてみました。山口さんから 頂いたお手紙を紹介します。 「 写真を通して」 秋芳町での三ヶ月の滞在を経て、早くも一年が過ぎようとしています。 私は、「赤い土」のある場所で、人々の日常の営みを撮影させて頂いてい ます。それは1996年に、カンボジアという土地に出会ったことから始りま した。 私の生まれは1 9 6 3 年(昭和3 8 年)ですが、日本の高度経済成長期に育ち、 物資的な物の向上や豊富さの中で、ある程度、上手く生きていました。 ました。これからも、その経験を糧に、写真を通して、世の中と接してい 食べることに慣れ、都会での便利な生活と、自由な自分の時間を手に入れ ていました。それに対し、自戒を持って行動を起こした(写真へ移行した) わけでは勿論ありませんが、いまになると、どこかで既に破綻していた生 活だったと、改めて考えさせられます。しかし、私の場合、もしその(ビ ジネスの)修行なくして、初めから写真の世界に入っていたとしても、きっ と同じような行程を辿っただろうと思います。 現在、「児童館」という子どもが集まる場所で非常勤で働いています。 2 0 0 0 年1 2 月 山口広在 [展覧会のご案内 ] 新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 アートと暮す新世紀 2− わたしの20世紀 − 個展作家30名によるグループ展 2001年2月12日( 月) まで。10: 00∼19: 30 味しい海苔巻を作ってくれました。 レジデンス活動支援事業 招聘アーティストリポート(前期) ZaGal l er y有明 東京都江東区有明3 1( TFTビル) ワンザ有明ベイモール 2F TEL: 0 3 5 5 3 0 5 7 1 1 ●山口さんからのお願い 1 9 9 6 年にカンボジアを訪れた時、様々な人たちとの出会いがありました。そこでは地 雷のために、足や手が不自由になった人がたくさんいました。今日も、地雷で被害を 受けている人が、アフガニスタンにはいます。小さな善意が未来の大きな希望になり ます。関心のある方は、下記までご連絡ください。 特定非営利活動法人「難民を助ける会」 A s s o c i a t i o nf o rA i da n dR e l i e f ( A A R ) , J A P A N 会長:相馬行雪香 〒1 4 1 0 0 2 1東京都品川区上大崎4 5 2 6 , 2 1 0 1 T E L : 0 3 3 4 9 1 4 2 0 0 / F A X : 0 3 3 4 9 1 4 1 9 2 E m a i l : a a r @ a a r j a p a n . g r . j p h t t p : / / w w w . a a r j a p a n . g r . j p たからです。だからと言って、何が出来るわけでもありませんが、今思う のは、子供たちは確実に賢くなってしまって、そこで行き場がなくなって いるということです。私が転機に感じていたことを、子供たちは既に直感 しているのかもしれません。子ども一人一人と、一人間として尊び、真摯 に接することが、私の唯一できることだと思っています。それは、写真に ついても同じです。 秋芳町を中心とした山口県での経験も、私に多くのことを学ばせてくれ 芸術村だけでなく地元のバス停や郵便局で積極的に作品展示が行われました。 フレンズネット掲示板 ここでは会員の皆さまからの情報案内、ご意見ご感想「ちょっと一言」などな どを掲示しますので、ぜひお便りをお寄せください。 SWICHI-vol.2原井輝明展―無常刻刻 早いもので、芸術村に滞在していた前期レジデントアーティスト達も、 になったのも束の間、もう後期レジデ ントアーティストが続々芸術村入りし ストが創作活動をするだけでなく生活も共にするということもあり、作品 ています。またこれから3月半ば頃ま のみならず日常生活の中に意外な個性を発見することもありました。 で滞在しますので、皆さんどうぞ宜しくお願いいたします。 “様々な場所に滞在したけれど、こんなに落ち着いて集中出来る施設は滅 創作作品の公開を下記の日程、内容でそれぞれ行いました。 多にない”と芸術村をとても気に入っていたステファンの演劇は、水の上 ■ステファン・ ルドミラ・ ヴィースナー ( St e f a nLu d mi l l aWi e s z n e r ) に浮かぶ野外劇場を舞台としたものでした。巨大な壁に映し出された映像 2 0 0 0 . 1 1 . 2 3 ( 木) 「 演劇作品公開 『 道行きか・ ・ ・ 、慈しみか・ ・ ・ 』 」 と時折流れる三味線の音がいっそう幻想的な空間を創り出していました。 日本の伝統芸能である文楽の要素を取り入れた現代劇の創作・公演を行い ました。稽古日数は約1週間という短い時間でしたが、多くの地元の子ど をあてながら寒さの中、稽古を行い、その熱意には大変胸を打たれました。 もたちやメインキャストの皆様、また、大学生を中心とする多くのボラン 帰国前には、よく頑張った自分へのプレゼントと ティアの協力のもと、約2時間に渡る作品を仕上 して、着物を購入。着物のたたみ方まで練習し、 げることが出来ました。 お正月は着物を着て迎えたいと言っていました。 ■ローラ・ ホレリ ( La u r aHo r e l l i ) 幼い頃からアフリカのケニヤ、イギリス、ドイ 2 0 0 0 . 1 1 . 2 5 ( 土) ―1 1 . 2 8 ( 火) 「 創作作品展示」 ツなど様々な国で生活してきたというローラは、 化粧品やお菓子、日用雑貨などの日本製品のパッ ボーダレスで柔軟性に富んだ不思議な?女性。“お ケージに記載されている外国語の宣伝文句を組み 世話になったお礼に”と、クリスマスにフィンラ 合わせてユーモラスなドラマ仕立てのビデオ作品 ンドのお菓子を色々贈ってくれました。芸者の絵 を制作しました。 が描かれた「GEISHA」というチョコレートや見る ■アンニバルベ・ カウ ( An n e b a r b eKa u ) からにグロテスクな様相にお世辞にも“おいしい” 2 0 0 0 . 1 1 . 1 8 ( 土) ―1 1 . 2 4 ( 金) 「 サウンド・ ワークス」 とは言い難いものもあり、「何これ∼」とスタッ スピーカーやネットを使用したインスタレーショ フの叫ぶ声を期待して送ってくれたのかも(?)知れません。 ン作品を制作。スピーカーからは芸術村周辺で録音された鳥のさえずりや アンニバルベは、都会で育った為か大の虫嫌い。何故かそんなアンニバ 虫の声、工事の騒音、人の声などの環境音を編集した音を流しました。同 ルベの部屋だけに、亀虫が大量発生。普段はどっしりと構えて動じないア 時にひも等を使用したドローイング作品を展示しました。 ンニバルベが少女の様に怖がる姿が妙に懐かしいです。部屋には故郷で彼 ■山根 秀信 ( やまね ひでのぶ) 女の帰りを待つ一人娘のMeretちゃんが描いて送ってきた絵や写真が飾っ 2 0 0 0 . 1 1 . 2 1 ( 火) ―1 1 . 2 6 ( 日) 「 アトリエ公開」 てあり、母親の一面も見せてくれました。 サブタイトル「無常刻刻」とは“ゆっくりではあるが絶えず変化し続ける” と云う意味で、1991年∼2000年の油彩作品の中から選びました。また最近 興味を持った陶芸も出品します。 油彩 (13点、シリーズ2点) 陶器のインスタレーション 1点 陶器 数点 演劇公演出演者、スタッフ決起( ?) パーティー 夜公演ともあり、連日子どもたちをはじめキャストの皆さんも温熱カイロ 創作活動・イベント実施の詳細は、追って連絡いたします。 お近くにお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。 な事がありましたが、どれも今は懐か ここでの活動を無事終え、芸術村を後にしました。芸術村では、アーティ 空シリーズ:「月をみた」 ■カルロ・フォッリベシCa r l oFor l i v es i (作曲)イタリア人男性 28歳 ■ベアテ・ダニエルBea t eDa ni el (美術) ドイツ人女性 34歳 ■クリスチャン・ウッツChr i s t i a nUt z (作曲) ドイツ人男性 34歳 ■守 章 もりあきら(美術) 守喜章と守雅章の兄弟 33歳 毎日アーティストと顔を合わせ、様々 しい思い出です。少し感傷的な気持ち した。ショックというのは、どうしてなんだろうという不可解な驚きがあっ 1月13日から3月13日の2ヶ月間、国内外から招へいされたアーティストたち が芸術村に滞在し、創作活動を行います。創作や日常生活を通じての周辺地 域の人々との交流も期待していますので、活動に関わってみたい方、イベント 実施のサポートを体験してみたい方は是非ご連絡ください。 〒754-0511 山口県美祢郡秋芳町秋吉中山田50Tel: 0837-63-0020Fax:0837-63-0021 http://www.artnet.or.jp E-mail info@artnet.or.jp にしています。 神戸での少年犯罪が起こった時、ひどくショックを受けたのがきっかけで 2000年度レジデンス活動支援事業 後期招聘アーティスト紹介 企画・編集・発行 秋吉台国際芸術村 第10号2001年1月10日発行 きます。お会いした皆さんと、またいつか縁側でお茶が飲めるのを楽しみ 私は、以前、「ビジネスマン」でした。会社の仕事が最優先の生活です。 欲望を満たすための生活は、ある意味、心地よいもので、美味しいものを AKIYOSHIDAI FRIENDS NET 県内各地の、ドラマチックでもなく印象的でもなく、取り立てて美しくも 山口県出身且つ在住の山根さんは、3年 ない風景を取材し、絵画作品を仕上げました。日常の生活の中では目に留 間フランスのサン・ヴィゴール・ド・ミュー まることなく見過ごされてしまうこれらの風景を、作品を通じて意識化す 礼拝堂再生プロジェクトに参加していたと る作品の制作を行いました。滞在中はアトリエ公開を行って、自作の紹介 いうだけあって、他のアーティストとはフ と説明を行いました。 ランス語でコミュニケー ■ショーン・ スナイダー ( Se a nSn y d e r ) ション。山根さんの作 2 0 0 0 . 1 1 . 2 5 ( 土) ―1 2 . 0 1 ( 金)「 オープンスタジオ」 品は絵画だけでなく、 ビデオ、写真、旅行パンフレット、漫画など、山口県内外で撮影/収集し 山口市内に ある「ジュマペール」 た都市に関するイメージ(写真や広告、ビデオ映像など)を、一冊の本に という居酒 屋の椅子やテーブル、 まとめています。その本は作 内装までも が山根さんの作品と 家の選択した1 5 の視点に基づ 2001年1月7日(日)∼21日(日) 9:00∼17:00(入場は16:30まで) 火曜休館 一般300円 防府市地域交流センター(アスピラート) か・・・。 是非一度足を運んでみ 原井輝明/1965年山口県宇部市生まれ。東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。 同大学大学院美術研究科油画専攻修了。同大学大学院後期博士課程美術専攻満期退学。 ては。 いて分類され、都市の形成の 過程を様々な表象の分析を通 ショーンは、電化ショップとカラオケボックスにすかっり魅了された様 じて明らかにします。滞在中 子。日本の都市を扱ったゲームソフトに興味をもち、時にはソフトの使い はスタジオ公開、レクチャー 方を大学生にコーチしてもらったりと様々なものに積極的にチャレンジし を開催し、自作の紹介と説明 ていました。また料理通のショーンは、パーティーの時には腕を揮って美 を行いました。
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