2014 Feb. vol.23 No.2 DI NEWS 熊本総合病院 医薬品情報誌 担当 藤井・市川 年末のニュースで、 右のような内容のも のがありました。 2つのワクチンの 定期接種化ですが、 随分とあわただしい 時期に発表したも のです。 いずれにせよ、い いニュースでしょう。 電子カルテ版は天然色! CONTENTS ワクチン関連の雑感 医薬品医療機器安全性情報308 • 月経困難症治療剤ヤーズの血栓症に 関するブルーレターが配信されました 1頁 2~3頁 4頁 【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.130(2013年12月27日) ◆水痘ワクチン、成人用肺炎球菌ワクチンの26年度中の定期接種化について 厚生科学審議会予防接種部会等で「広く接種することがのぞましい」と されていた水痘、おたふくかぜ、B型肝炎、成人用肺炎球菌の4つのワクチン のうち、水痘ワクチン及び成人用肺炎球菌ワクチンの2ワクチンについては、 技術的課題の検討状況や地方財政措置の状況を踏まえ、26年度中の定期接種 化に向けた準備が進められることになりました。 今後、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会での審議を経て、今秋の 実施に向けて関係法令の改正等の準備を進めていきます。 「定期接種」という言葉は、あるサイトの説明を抜き出すと「予防接種のうち、国が接種を勧奨しているもの。 対象年齢内に保健所や市区町村の契約医療機関で受ける場合、費用は公費で負担される。」となっていま す。「定期接種」と言うのは「公費負担」の意味なのでしょうか。分かりにくいですよね。 これに対し 「任意接種」は、「接種するかどうかは、接種を受ける側に任されています。健康保険は適用さ れませんので、接種費用は自己負担」ということになります。「自己責任」の部分です。 日本の予防接種について、IDSC(国立感染症研究所)は以下のような一覧表で説明しています。 左の表のうち、いわゆる子宮頸 【定期接種】 生ワクチン がんワクチンと呼ばれたものは、現 (対象者年齢 BCG、ポリオ、麻疹風疹混合(MR) 在は「強く推奨しない」もの。益と は政令で規 麻 疹(はしか)、風 疹 害の明確化が求められます。 定) 不活化ワクチン 生ワクチンは簡単に言うと、生存 DPT/DT(ジフテリア・百日せき・破傷風) している病原体を使用するので、 日本脳炎、インフルエンザ 抗体とリンパ球活性化など、液性 【任意接種】 生ワクチン 免疫+細胞性免疫の双方を活性 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 化し、不活化は、死菌などで、抗 水痘、黄熱、ロタウイルス 体産生の働きということになります。 不活化ワクチン 予防接種効果について言えば、 B型肝炎、破傷風トキソイド、成人用ジフテ 例えばHibワクチンでは、日本では、 リアトキソイド、A型肝炎、狂犬病、 重い髄膜炎に罹る子供が、2008 肺炎球菌(23価多糖体) 年から5年で半分に減ったとされ ワイル病秋やみ ていますし、以前から公的接種対 定期接種を対象年齢以外で受ける場合 象である欧米も9割減少とされて います。この表の日本の問題は 【子宮頸がん 不活化ワクチン 「ワクチンギャップ」。海外先進国 等ワクチン接 肺炎球菌(7価結合型) はとっくに公的接種対象疾患なの 種緊急促進事 b型インフルエンザ菌(Hib) に、日本は「任意」という、世界か 業】 HPV(ヒトパピローマウイルス:2価,4価) ら孤立した状態です。 任意接種=「自己責任」。しかし、結果的には「日本は麻しん(はしか)の輸出国」などと云われる始末。 (2007年米国の麻しん患者数十例に対し日本10万例)。そこで日本国内で5年間の臨時接種をやったところ、 2011年は数百例と激減しました。国民を守る「国益」と「任意=自己責任」のミスマッチの顛末。 ただし、日本のマスコミ論調は、予防接種は「悪」であり、副反応だけ報道し、利点は無視。 公的接種とは国民に対する「安全保障」問題だからこそ「公費」、そういう立場で考えて欲しいものです。 1 一部抜粋 全文は院内HPで 医療用医薬品の自動車運転等の注意等の記載に関する見直し等について 1.はじめに 医薬品を服用することにより,自動車の運転,機械の操作,高所作業等危険を伴う作業(以下 「自動車運転等」という。)に従事している最中に意識レベルの低下,意識消失,意識変容状態, 失神,突発的睡眠等の副作用が発現し事故が発生した場合は,第三者に対しても危害を及ぼす 危険性があることから,このような副作用が報告されている医薬品の使用に当たっては,特段の注 意が必要であると考えられます。 このため,医薬品の使用により意識レベルの低下,意識消失,意識変容状態,失神,突発的睡 眠等の精神神経症状等の副作用があり,かつ交通事故等の副作用報告がある医薬品や,類似 の製剤で既に注意喚起されており同様の事故等の発生が否定できない医薬品については,添付 文書に自動車運転等に関する注意等の記載がなされています。 一方,このような副作用があっても,事故の副作用報告がない場合や医薬品の服用と自動車運 転等による事故との因果関係が明確でない場合等,添付文書に自動車運転等の注意の記載が されていないものもあります。 この度,平成25年3月22日付けで,総務省より厚生労働省に対する「医薬品等の普及・安全に 関する行政評価・監視結果に基づく勧告」で,意識障害等の副作用報告がある医薬品について, 添付文書の使用上の注意における自動車運転等の禁止等の記載を検討し,記載が必要なもの について速やかに各添付文書の改訂を指示するよう所見が示されました。厚生労働省及び独立 行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)では,この所見に対応するため,添 付文書の意識障害等の副作用の記載ないしは症例報告のある医薬品について,添付文書の改 訂が必要か検討しているところです。 2.自動車運転等の注意等の検討方法について 上述の総務省の勧告を踏まえ,PMDAにおいて,添付文書に意識障害等(意識レベルの低下, 意識消失,意識変容状態,失神,突発的睡眠)の記載のある医療用医薬品で,自動車運転等の 注意喚起がなされていない医薬品を抽出し,注意喚起の必要性について検討を行いました。 具体的な整理としては,意識障害等の副作用報告があり,自動車運転等への注意喚起がないも のについて,以下の検討を行いました。 1)小児のみの適用,入院下のみでの使用や,重篤な疾患への使用等,自動車運転等が想定で きない医薬品については,記載不要と判断。 2)上記1)を除いた医薬品の中で因果関係が否定できない重大事故が複数報告されているもの 及び重大な事故事例の報告がなくても,報告された症例,類薬での事故状況等に鑑み,重大な 事故に至る可能性が高いものについて,自動車運転等を禁止するべきと判断。 3)重大な事故に至る可能性は高くないと判断されたもののうち,意識障害等の副作用症例が多 いもの,類薬や海外での記載状況,薬理作用等から自動車運転等に注意が必要なものについて, 自動車運転等を注意するべきと判断。 このような検討の結果,以下の医薬品については,新たに注意喚起を行う必要があると判断さ れたことから,厚生労働省から製造販売業者に対して11月26日付けで使用上の注意の改訂指 示を行ったところです。 2 一部抜粋 全文は院内HPで ドネペジル塩酸塩(アリセプト) 「アルツハイマー型認知症では,自動車の運転等の機 械操作能力が低下する可能性がある。また,本剤により, 意識障害,めまい,眠気等があらわれることがあるので, 自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しない よう患者等に十分に説明すること。」 ・レボフロキサシン(クラビット) ・ベラプロストナトリウム(プロサイリン) ・アジスロマイシン(ジスロマック) ・オフロキサシン(タリビット) ・ガレノキサシン(ジェニナック) ・テラプレビル(テラビック) ・ファムシクロビル(ファムビル) 「意識障害等があらわれることがあるので,自動車の運 転等,危険を伴う機械の操作に従事する際には注意す るよう患者に十分に説明すること。」 ・ピルシカイニド(サンリズム) ・プロパフェノン(プロノン) ・ベプリジル(ベプリコール) 「めまい等があらわれることがあるので,自動車の運転等, 危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう 患者に十分に説明すること。」 3.今後の予定について 現在,糖尿病薬について自動車運転等の注意等の添付文書への記載状況を整理しており,追 記が必要なものについて改訂の指示を通知する予定です。 また,既に自動車運転の禁止又は注意を記載している医薬品については,安全に使用できる新 たな知見等が得られれば,その記載内容を検討し,必要に応じて見直しを行う予定です。 4.おわりに 今回の総務省の勧告では,厚生労働省に対し,添付文書の見直しとともに,自動車運転等の禁 止等の記載がある医薬品を処方又は調剤する際は,医師又は薬剤師からの患者に対する注意 喚起の説明を徹底させることとされています。 本勧告を受けて,厚生労働省は,都道府県等に対して,医薬品服用中の自動車運転等の禁止 等に関する患者への説明について(平成25年5月29日付け薬食総発0529第2号・薬食安発 0529第2号,医薬食品局総務課長,安全対策課長通知)を通知し,医師又は薬剤師からの患 者への説明について適切に行うよう周知しております。 医薬関係者におかれては,今後とも患者への適正使用についての情報提供を御願いします。 通達等の資料 総務省「医薬品等の普及・安全に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」 http://www.soumu.go.jp/main_content/000213386.pdf 厚生労働省法令等データベースサービス 平成25年5月29日付け薬食総発0529第2号・薬食安発0529第2号 医薬食品局総務課長,安全対策課長通知 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi? MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE= NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=6313 3 ヤーズのブルーレター配信 ヤーズなどの月経困難症治療剤・低用量ピルなどによる 血栓症の発症は、よく知られた副作用であり、昨年6月にも、 カナダでの「ヤーズ(Yaz)」と「ヤスミン(Yasmin)」による死 亡に関するニュースも流されていました。血栓症関連の症 例については、これらの服用歴も注意ください。 4
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