秦家便り第二号 2012.07発行

◎秦家の活動が、京信地域の絆
走りもとから
②お祭りのハレのお料理
﹁聖徳太子、知恵のお守りはこれより出ま
鯖寿司 今回は町家が
す。ご信心の御方さまはうけてお帰りなさ
づくり保存・活用・再生賞を受賞。
テーマの公募
の中から選ばれ
数は60件。そ
物人も子どものころの太子山の宵山を想え
ゆらめくロウソクの炎。お出ましになる見
歩く人々のざわめき、下駄の音、献灯台で
れましょう。ろうそく一丁献じられましょ
た10の個人・
ば、近年は随分賑わうようになりました。
で、保存・再生・
団体の一つとし
祇園囃子を背景に華やかな巨体を構えた鉾
う。﹂太子山町の表通り、宵山見物にそぞろ
て、秦家が選
町の居並ぶ界隈にくらべると、いちばん西の端に位置する太子山の周
活用部門の応募
ばれました。
まつりごと
辺は山町ばかりが集まっているところで、宵山といってもそれはひっ
そりとしていました。
それでもお祭りを迎えた家は、家族総出で祭事のために立ち働くこ
町家の保存・活用・再生については、生活観や
︽応募内容全文︾
た。鯖寿司はお祭りに欠かせないハレの料理として当時と変わりなく
戚、ご近所へ配る二十本あまりの鯖寿司作りに余念がありませんでし
すそわけ﹂のできることはありがたいこと。と言いながら、お寺や親
とに徹していて、走りもとに立った祖母と母は、こうしてお祭りの﹁お
精神性の伝承に至らない実情に問題があります。
今年もまた何本も手作りしています。
カ
1 ップ、三温糖
g、塩小さじ
200
2
分ほど浸ける。②1の鯖の肋骨
40
てのせ身幅の狭い尾の部分には削いだ身の部分を置いて形を整える。鯖
した5のすし飯を置く。その上に2のしめ鯖を背のほうをまっすぐにし
端をしっかりとめる。⑥水に漬けておいた竹の皮の両面を酢で拭き棒状に
を広げ、4の半量をのせる。少しこねて粘りを出し棒状に形を整え、両
る。全体に広げて団扇であおいで手早く冷ます。⑤かたく絞ったぬれ布巾
えて炊く。
④3を飯台に移し、すし酢を回しかけ、手早く切るように混ぜ
炊く 時
1 間前にといでざるに上げる。少しかための水加減をし昆布を加
削いだ部分は身の細い尾のほうを補うときに使う。③すし飯を作る。米は
をすき取り小骨を抜く。身の厚さを一定にするために厚い部分を削ぐ。
い流し、あらためて酢に昆布と一緒に
①鯖の切り身の両面に塩をして冷蔵庫に入れてひと晩置き、酢で塩を洗
作り方
㎝大さじ4*すし酢酢
塩
鯖寿司レシピ○ 材料︵二本分︶しめ鯖︵鯖の 枚
3 おろし 尾
1 分︶
・酢 ∼
15g
1 カ
2 ップ・だし昆布、すし飯 米 合
2 ・だし昆布 10×5
日本人の求める豊かさの価値観が﹁量﹂から﹁質﹂
の時代へ関心が高まっている今こそ、町家空間に
内包された生活文化を生かして世代を超えてその
住み心地を体感し、町家の普遍的な価値観を共有
する保存・活用・再生活動を進めることが大切。
継承された暮らしの知恵を現代と未来に生かすこ
とが必要です。生きた暮らしのある町家には知恵
と工夫があります。家を住み継ぐためにも、先人
達の知恵から未来に継承できるものを選び取る工
夫が必要です。
■書籍案内
﹄
﹃京町家 SUIKO BOOKS
新谷 昭夫 著
神崎 順一 写真
光村推古書院 定価1050円︵税込︶
﹃京の町家
おりおりの季節ごはん﹄
秦めぐみ 著 扶桑社 定価 1680円︵税込︶
﹃秦家住宅 京町家の暮らし﹄
新建新聞社
定価2800円︵税込︶
■秦家からのご案内
●見学︵前日までに要予約︶
・九時半∼十六時半まで
・見料 一人 一般 1000円
高校生 800円
中学生 500円
●料理 秦家︵4、5日前に要予約︶
・昼︵十二時∼十五時︶
・夜︵十八時 二十一時︶
料金 昼 5000円
夜 8000円
10000円
献
※立は当方で用意しています。
●秦家 料理の会
予約制︵5名以内のグループ︶
参加費 3000円︵基本料︶
●秦家 親子会
毎月開催。案内の詳細は
ホームページにUPしています。
●利用︵勉強会、講座、句会など︶
利用に際してはお問合せください。
烏丸通
油小路通
醒ヶ井通
堀川通
とってはあまりにもかけ離れた世界。参加
者はこの日の句組で、平家軍が、謀反を起
こした後白河法皇の子、以仁王と源頼政の
待機する宇治橋に押し寄せる場面﹃橋合戦﹄
と、一の谷で生け捕りになった平重衡が源
頼朝の詮議を受けるため東海道を下る心情
を語った﹃海道下﹄について、鈴木さんの
丁寧な解説に導かれながら、古の人々が親
しんだ耳で読む文学を体験しました。
伝者に。平家物語と言えば誰もが知るとこ
小学6年生から始めて、前田流平家詞曲相
は、200あまりもある平家詞曲の語りを
む文学だったんです。﹂ 鈴木まどかさん
﹃橋合戦﹄の聴きど
せて選ばれた詞曲
始まることにあわ
ちょうど祇園祭が
開催日7月1日。
として企画されました。
の薄皮を頭のほうから剥ぎ竹の皮で包む。
京都
秦家
耳で読む文学 平家物語
鈴木まどかさんの解説に導かれて
﹁平家物語は、今日のようなこじんまり
ろの、∼祇園精舎の鐘の音∼は数ある詞曲
ころ、筒井の浄妙
﹃橋合戦﹄勇猛果敢な浄妙房
祇園祭の山鉾﹁浄妙山﹂に再現 の終盤で教わるのだとか。平家琵琶の修行
房・明秀が宇治川に架けた橋の上で勇まし
の復興支援の義援金を募る催し
雅楽の合奏に用いる
・楽琵琶
☆平家琵琶
平家物語を語るもの
地神経を唱える
・盲僧琵琶
・薩摩琵琶
薩摩武士の音楽
三味線音楽をとりいれたもの
祇園祭 浄妙山
とした空間を少人数で共有しながら耳で読
は、かなり性根を据えて取り組まなければ
く戦うくだりは祇園祭の山鉾のひとつ﹁浄
鈴木まどかさんが東日本大震災
﹁琵琶﹂いろいろ
相伝者として認められない厳しいものだと
今回は、前田龍平家詞曲相伝者
4
●
妙山﹂に再現されていることも紹介されま
ィー興行。
1
高辻通
● 秦家住宅
仏光寺通
地下鉄
四条駅
綾小路通
[ 交通 ]
■地下鉄「四条」下車、徒歩 13 分
■バス「四条堀川」下車、徒歩5分
バス「西洞院仏光寺」下車、徒歩3分
京都市下京区油小路通仏光寺下ル太子山町 594
TEL/FAX:075(351)2565
E-mail:mail2565@hata-ke.jp
URL:http://www.hata-ke.jp
Facebook:http://www.facebook.com/hata.house
市バス
いうことがわかります。
相伝者に許されていたチャリテ
第二号
2012年7月発行
会場になった秦家の奥座敷
● 四条堀川
した。
勧進平家は中世から平家琵琶の
はた け
秦家の夏座敷で「平家琵琶」
四条通
琵琶の音の調子も、﹁語り﹂の口調も、
またその意味も、現代に生きる私たちに
☆勧進平家とは☆
秦家便り
雨上がりの奥庭を背景に
【連絡先】
京都 秦家
・筑前琵琶
平家琵琶
平家琵琶相伝 鈴木まどか氏主催 2012.7.1(日)
◆ 催し物
とな!
」
『地球の祈り 二〇一一』 開催
茂山千五郎家 お豆腐狂言
奏者:田島和枝 / 雲龍 呈茶:岡崎・好日居 四畳半の舞台に引き込まれる子どもたち ﹁祈り﹂をテーマに
法華守護神﹁鬼子母神﹂を祀って ともなり
笙と笛が共鳴り
山伏さんの迫力が
四畳半いっぱいにみなぎった!
わーー、はっ、 はっ、はっ、はっ、はっ、
﹁狂言﹂を体験
イメージして大きな声 大きなしぐさ
重な体験になりました。 店舗棟、玄関
き込まれて、息を呑み、笑い、それは貴
とき。舞台との一体感に子供も大人も引
目の前に観る本物の伝統芸にふれたひと
間に磨かれた狂言師の声がとおりました。
供たちも舞台を注視。四畳半ほどの小空
小道具として
者の持つ扇も
きました。演
をしていただ
ついてのお話
所作、狂言に
﹁笑い﹂の
棟を会場に建具を取り外してしつらいを
使うことも。
・・・。一瞬、小さな子
はっ、はっ、 はっ、はっ
整えると普段の家の中とは違った舞台、
観客は演者の
秦家の親子会らしく、最後は子どもだ
いつくかの質問も飛び出して
子どもたち お礼の挨拶
で豊かに表現できました。
を食べている気分でおいしそうな表情ま
かったのか3歳の小さな子どもたちも柿
木に登って食べる仕草はイメージしやす
ほどに簡単ではなかったようですが、柿
して﹁すり足﹂で前に進むのは見ている
メージしながら楽しむのです。腰を落と
身振りから物語のさまざまな状況をイ
客席になりました。
とび
﹁鳶なら 飛んで見せよ﹂
千五郎さんの鍛錬した声が響く 舞台と最前列に座った子供たちとの間
に距離はなく、目の前で茂山千五郎さん
の演ずる畑主と柿を盗み食いする山伏と
のやりとりが展開。山伏の大きな所作。
柿木に見立てた葛桶に登り柿をむさぼり
食べる場面など食い入るように見る子供
たち。舞台と客席がひとつになっていき
裃の千五郎さ
け座敷に移動。全員
ます。長袴の
んの透きと
正座でお迎えし、お
法華の守護神であり、子どもの守り神で
く張り替えて、床の間には秦家に伝わる
空気になるよう家じゅうの障子を真新し
り﹂とすることになりました。清々しい
開催にあたってのテーマは迷いなく﹁祈
東北で起きた大きな悲しみ事。今回、
されたのが印象的でした。
に鳴いたり。﹂と静かに話
ことなんです。鹿も一緒
は、﹁山の中でもよくある
訪ねる人たちに雲龍さん
来場者が体験。演奏のあとで興奮気味に
という不思議な場面に居合わせた複数の
けが激しく揺れるのを目の当たりにする
語られて、お互いにとって有意義なひとときを過
けるところなど、秦家と同じようだと興奮気味に
写真から古城の住まいを手に、庭から庭へ風が抜
と。という話で意気投合しました。アイフォンの
たちの本当の文化的暮らしをすることが美しいこ
させていただき、観光目的の整備ではなく、自分
ていた話題を発端に、わが家での取り組みを紹介
続けている母娘からこれからの活用の相談を受け
た。彼女が日本に出発する前に、古城の中で住み
しているかについての熱心な問いかけを受けまし
ンさんが、翌日秦家を訪問。どうして、家を維持
江で観光整備が仕事のヤ
会った、世界遺産中国麗
学でのシンポジウムで出
7月4日、京都女子大
今後の活用、相談を受けて
古城の中で住み続ける住人
理の会をしていた良かったと思える出来事です。
らしの歳時記が少しずつ広がっていることは、料
しい声が上がるようになってきました。秦家の暮
も、﹁また、今年も白味噌を作りたいです。﹂と嬉
ると、3年、4年目になる料理の会の皆さんから
味噌漬けになります。近年は年の瀬が近づいてく
噌に漬けた魚や肉は、麹の風味の生きた美味しい
だけでなく、この白味
るだけ。お雑煮に使う
米麹と塩を加えて和え
これを搗いてつぶし、
大豆を柔らかく煮る。
から水に浸けておいた
大豆と米麹と塩。前日
シンプルです。材料は、
白味噌の作りはとても
早い! 臼と杵は、優れた道具
大豆と麹の香ばしい匂い
体験になりました。
だいたことも貴重な
も丁寧に答えていた
ですか。など質問に
嫌なときはなかった
礼のご挨拶。稽古が
おった声色。
朗々と鳶なら
飛んで見せよ。
と囃された声
の調子の美し
さに魅了され
ました。
庭の紅葉の木もざわめいて・・
田島さんの笙と芋︵う︶
、雲龍さんの
笛の音は、聴衆の心をはるか宇宙へ導く
ようでした。お二人の呼吸がひとつに
なったとき、笙と笛の音が共鳴りしまし
もある鬼子母神の厨子を祀りました。厨
ただいて、来場者にふるまいました。
据えて香りのよい中国茶を入れてい
日居の横山さんに店の間には火鉢を
そして前年と同じくこの日にも好
岡崎・好日居 横山さん
ウェルカムティーは
子の両側に置いた燭台に灯したお灯明。
た瞬間に風もないのに奥庭の紅葉の枝だ
また、雲龍さんが自然石の笛を吹かれ
た。 長袴姿の千五郎さんの登場
ごすことができました。
狂言の仕草を教わる子どもたち
座敷でお話を聞く
臼に豆を入れて杵で搗く 2
3
年の瀬、手作りの白味噌作り やわらかく煮た大豆
することが美しいこと 中国 麗江
ヤンさん
恒例『白味噌作り』
、えい
やっ
その前で静かに祈りを捧げて演奏に向う
料理の会で好評
自分たちの本当の文化的暮らしを
、えい
「えい
お二人でした。
雲龍さんの笛
店の間、火鉢の上でシュンシュンと
お湯の煮えたぎる音
一人、二人と繋がる縁による小会、
2011.12 初旬
2012.07.04
『柿山伏』山伏の格好をした演者を食い入るようにして見る子どもたち
続けていきたいと思います。
雲龍さん(右)、田島さん(左)
笙と笛の演奏は、ほぼ即興で
行なわれました
◆ 料理の会
中国・麗江 ヤンさん来訪
◆ 小さな交流
漆塗りの厨子に複数の神様の
中央には柘榴の実を手に
鬼子母神が佇みます
親子で伝統芸能にふれる
四畳半狂言『柿山伏』 2012.3.4(日)
◆ 親子会
『笙と笛を聴く』 2011.12.4(日)
◆ 催し物