2002年(748KB) - CITIZEN シチズン時計株式会社

環 境 報 告 書 2 0 0 2
これからも社会とともに−−シチズンは社会のあるべき姿を求めて事業を進めます
あるべき社会の姿を共有する
若い頃からドイツに憧れ、駐在で4年間ドイツに
住む機会に恵まれた時にヨーロッパの文化を肌
で感じることができました。特にドイツ人は「社会
がどうあるべきかについてのイメージを皆が共有
している」という印象を受けました。例えば、日曜
日にゴミを出そうとすると、道を歩いている人か
ら「今日はゴミを出す日じゃないよ。」と注意され
ます。市民一人ひとりが社会全体の秩序を守ろう
とする風潮がきちんとあるのです。
また、
ドイツ人は自然の中に住ませてもらって
シチズン時計株式会社 代表取締役社長
いるという感覚が強いので森をとても大切にして
います。例えば、森や林の木の枝を伐採する大型
機械一つとっても、その機械で刈った枝を粉砕し
ドイツ子会社にて販売・サービス・製造を担当した後、
1993年に精機事業担当取締役に就任。1998年常務取
て木の根元に戻す循環式の構造になっています。
締役、2000年所沢事業所所長を経て2002年より現職。
けれども、当時のドイツは東西間で経済面でも
環 境 方 針
環境面でも大きな差がありました。当時、東ドイ
1.基本方針
当社社名の由来である「市民に愛され親しまれるモノ作り」の理念
ツでも化学物質の問題は深刻でしたが、お金がな
に基づき、東京/所沢の地域のみならず、地球環境と調和した永続的
な企業活動を通して、社会に貢献する。
かったために防止も改善もできませんでした。や
2.環境行動指針
はり、
「あるべき姿を保つためには、経済的な余裕
当社は、腕時計、工作機械、情報機器並びに電子部品の研究・開発・
設計・製造・営業の諸活動を進める上で、資源の有効利用と地球環境
が必要」であり、サステイナビリティをめざすため
保全に努め、以下の方針を遂行する。
1) 環境に関わるあらゆる法規、規制、協定を遵守し、地球環境に貢献
できる様に永続的な活動を行う組織作りをし、積極的な環境負荷
削減の取り組みと汚染の防止に努める。
には経済的な持続可能性が重要だと再認識した
ことを覚えています。
2) すべての事業活動において、産業廃棄物の減量に努めると共に、
環境影響の少ない製品作りの推進に努める。
3) 生産活動の効率化に伴う省資源・省エネルギ・リサイクルの実現で、
環境への効果のみならず経済効果も生みだし、社会に貢献する。
「マイクロ・ヒューマン・テック」の
追求がシチズンのビジョン
4) 環境目的、環境目標を定め、また見直しを行いながら継続的改善
2002年6月末に社長に就任し、大役を果たす
に努める。
5) この環境方針に基づいて環境管理活動を遂行する為、文書により
全従業員に周知を図る。また、日常活動の中で環境重視を基にし
た体質改善を図る。
6) この環境方針は会社案内に掲載することにより、一般の人が入手
できるようにする。
ために今までの人生で学んだことのすべてを出
し切る決意をしています。私の仕事は、社員の中
に眠っている潜在能力を呼び起こすことだと思っ
1998年12月8日策定
ています。明確なビジョンを持ち共有することで、
シチズン 環境報告書2002
「苦しみののち、歓喜に至る」経験ができると皆に
して事実を認識してもらった上で、自律的な活動
希望を与えるのが社長の役割だと考えています。
につなげていきたいと考えています。
シチズンという会社は時計からはじまりました。
環境報告に関しては、まだまだ発展途上の部分
大事に永く使われるもの、小さいもの、肌身につ
もたくさんありますが、持続可能性をめざし、積極
けるもの、にこだわり続けてきました。精巧かつ
的に情報公開を行っていきたいと考えています。
微細な技術を駆使しながら開発、設計、生産、実装
皆さまからの忌憚のないご意見、
ご感想などもお
の中でそのセンスを培ってきました。その技術と
寄せいただければ幸いです。
センスの融合を私たちは「マイクロ・ヒューマン・
テック」と名づけ、
これを通じて社会に貢献するこ
とがシチズンのビジョンでもあり、事業の核でも
あります。21世紀のシチズンの大きなテーマで
ある「マイクロ・ヒューマン・テック」実現のために、
私たちはシチズンシップ(「市民」、そして「市民
のための船」)に乗り、
嵐の中に果敢に繰り出すんだ、
ということをグループの全員に認識してもらうこ
とが私の使命なのです。
シチズンの考える環境経営
地球温暖化をはじめとする地球規模の環境問
題が年々深刻化し、企業の果たす役割も大きく
「私のエコライフは、休日に緑の中を歩くこと。
なっています。環境問題を解決し、持続可能な社
たら、体重も減りました。最近は、身近な自然
できるだけ車は使わないように散歩をはじめ
会を形成するためには、場当たり的な環境活動
を五感で味わうことが何よりも楽しみです。」
にとどまらず、事業活動の中にも環境という基軸
をしっかり据えなければなりません。
シチズンでは、
これまでは東京事業所と所沢事
業 所 を 中 心 に 保 全 活 動 を 行って きまし た が 、
2001年度からは環境保全活動を国内のグルー
プへ広げて展開をはじめています。ビジネス規模
としては、国内グループはシチズン本体の約5倍、
海外を含めたグループトータルでは約10倍にな
ります。まず、社員に環境負荷の現実を知らせ、そ
ドイツ駐在時代に私設コンサルタン
トの友人と。シュツットガルト市にある
ウィルヘルマ動植物公園のマグノリ
アの花が咲き乱れる季節に。
シチズン 環境報告書2002
社会とシチズン
これからも社会とともに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
社会とシチズン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サステイナブルに向けての技術開発・・・・・・・・・・・・
シチズンのマテリアルとエネルギーのバランス・・・
ユニバーサルデザイン&エコプロダクツ・・・・・・・・
持続可能な社会に向けて
人類の資源・エネルギーの大量消費によって、地球
環境の許容量はすでに限界に達してしまいました。地
球温暖化や有害化学物質による汚染、廃棄物など、多く
の環境問題が解決の目処も立たず、
このままでは近い
将来に資源の枯渇や、食糧危機などを招くと指摘され
省エネ活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ています。大量生産・大量消費・大量廃棄の社会から持
省資源・リサイクル活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続可能な社会へと転換するために、シチズンは地球資
廃棄物削減活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
源からモノを生み出す製造業として、大きな役割があ
有害化学物質使用量の削減・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ると認識しています。より少ない資源・エネルギーから
より価値の高い機能やサービスを生み出す、いわゆる
環境マネジメントシステム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
資源生産性の向上に取り組んでいかなければなりません。
環境会計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
従業員教育・啓発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現在、シチズンは生産拠点を国内・海外の関連会社
へと移行する中で、国内グループで省エネルギー・省
社会貢献活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
労働安全衛生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コミュニケーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第三者意見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
資源活動を推進しています。この10年間、シチズンは
究極の製造コストを実現すべくコストダウンに取り組み、
多くの省エネルギー・省資源技術を蓄積してきました。
すでにこうした技術の導入をグループ全体でも進めて
いますが、環境保全の面からもさらに強化し、資源の有
会社概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
効利用を図っていきます。そして、シチズングループと
して生産体制を再構築することで資源調達や製品出荷
編集方針
時の環境負荷を大幅に削減するとともに、廃棄物の再
今年で3回目の発行となるシチズン環境報告書は、報告対象を
資源化についても国内グループで取り組むことで無駄
国内グループ全体に広げ、2001年度の社会貢献、環境保全への
を徹底的に省き、効率化を図る計画です。また、製品の
取り組み成果、そして地球環境への考え方をお伝えすることを目
的に作成しています。読みやすい報告書をめざし、各種データは明
回収・処理や希少金属の代替化などが今後の課題と
確に数値で示し比較検証が可能となるようこころがけました。環境
なっていますが、製品の回収・処理については、時計業
報告書の発行は、
シチズンと関わるすべての方(ステークホルダー)
界全体としての検討をはじめています。現段階では再
との大切なコミュニケーションの一つとして考えています。ご意見、
資源化は技術的には可能であることがわかっていますが、
ご感想などをどんどんお寄せください。今後の社会・環境面での
活動や経営の改善に反映させてきたいと考えています。作成に
回収・処理のコストが大きな問題となっています。決し
あたっては「環境報告書ガイドライン(2000年度版)」と国際的
てあきらめることなく、
これからも引き続き検討してい
なガイドラインの策定を行う組織であるGRI(Global Reporting
きたいと考えています。
Initiative)のガイドラインを参照しました。
対象組織:シチズン時計株式会社グループ全体(国内)の活動を掲載しています。
パフォーマンスデータ(エネルギー、廃棄物、化学物質)集計対象のシチズングループ会社名/シチズン時計株式会社 東京事業所、
シチズン時計株式会社 所沢事業所、
上尾精密株式会社、河口湖精密株式会社、狭山精密工業株式会社、
シチズン エルシーテック株式会社、
シチズン精機株式会社 、株式会社シチズン電子、
株式会社シチズン・メカトロニクス、
シチズン吉見株式会社、
シメオ精密株式会社、株式会社平和時計製作所、
ミヨタ株式会社、株式会社テイ・アイ・シイ・シチズン
対象期間:基本的にデータ部分については、2001年4月1日∼2002年3月31日のデータをまとめています。活動については一部直近のものまで含んでいます。
対象分野:環境経営に関する側面及び企業の社会貢献活動などの社会経済的な側面を掲載しています。
シチズン 環境報告書2002
■人に愛される製品と人を幸せにする社会
持続
可能な 社会
工作機械など
産業用機械
お客さま工場
手首式血圧計
携帯プリンタ
データスリム2
などの情報機器
エコ・ドライブ・サーモや
ユニバーサルデザイン
「MU」などの時計
水晶デバイス
液晶デバイス
LED
などの部品
企業市民としての幸せな社会づくり
シチズンは時計、情報機器、部品、産業機械 の4つ
社会や環境を大切にする持続可能で幸せな社会づくり
の領域で社会に製品を提供しています。これらに共通
に必要な企業であり続けたいと考えています。
するのはマイクロテクノロジーという技術力です。シ
チズンの技術は、腕時計のように身近で直接触れるこ
とのできる、
このヒューマンテクノロジーが核となって
いるのです。シチズンは、創業の原点である「市民に愛
され、親しまれる製品づくりを通して、世界の人々の暮
らしに貢献したい」というビジョンを実現するために、
「マ
イクロ・ヒューマン・テック」を通して、いつまでも人間
澄んだ水と空気が生産工場の第一条件
クリーンな環境の時計組立工場
シチズン 環境報告書2002
サステイナブルに向けての技術開発
21世紀のシチズンのキーワードは「MICRO HUMAN TECH」
「MICRO」にはシチズンが長年培った小型化・精密技術を中心とした分野で今後も貢献していくという決意が、
「HUMAN」には健康
で豊かな生活のため、人とのコミュニケーションを大切に、人と地球の共生をめざしたいという思いが、
「TECH」には精密加工、精密計測、
省電力生産といった技術が魅力的で信頼感のある製品を生み出し、人々を幸せにするという信念が込められています。シチズンは「市民
に愛され親しまれる」製品づくりとその技術開発を通じて、4つの事業分野で世界の人々の暮らしに貢献していきます。
2001年11月6日∼7日に開催した「シチズンフォーラム21」では、シチズンの先端技術から生まれた製品を4つのゾーンに分けてご紹介しました。
時 計
情 報 機 器
時計それ自身の美しさ、正確さだけを競うのではなく、環境
世界中が高速通信網で結ばれ、かつローカルで近距離の通
への配慮や使いやすさという価値を備えることが必要条件です。
信も自然に利用できる環境が整備されつつある現在、情報機
暮らしの中に真の豊かさと潤いを求める人々に、選ばれ愛さ
器分野は、多彩な可能性を持つ注目の分野です。シチズンは
れる時計をめざしています。
時計事業で培ってきた小型・精密・省エネルギー技術を、パソ
コン周辺機器や通信小型情報端末から健康機器まで幅広く応
用し、多様なインターネットソリューションに対応した携帯型情
報端末を提案しています。
エコ・ドライブ ビトロ
データスリム2
従来の「エコ・ドライブ」は、
ソーラーセルに光を届けるた
め特殊な文字板を用いなけれ
ばなりませんでした。そこでカ
バーガラス部がソーラーセル
の役割を果たす独自の「 透明
テレホンカードサイズで厚さがたった5mmという世界最小・
ソーラーセル」を開発し、
「エコ・
最軽量の情報機器。しかもリチウムコイン電池を使って通常約
ドライブ ビトロ」で採用しました。
2カ月作動する低消費電力仕様です。タッチパネルやユニバー
廃棄電池を減らすという環境
サルデザインのポインタなど、
使いやすさにもこだわっています。
配慮と、デザインの自由度を両
立しています。
Party’
s Link
(パーティーズリンク)
エコ・ドライブ サーモ
「光エネルギー」
「運動エネ
ルギー」に次ぐ、
環境に優しい「熱
エネル ギ ー 」を利用した 熱発
シチズン 環境報告書2002
電ウォッチの開発に取り組み、
小 規 模 コ ミュニ ティ向 け の 、グ ル ー プウェア 専 用 端 末
1 9 9 9 年 に「 エ コ・ド ライブ
P ar ty ’
s Linkはポケットサイズ。専門知識がない方にも、
手軽
サ ーモ」を発表しました。装着
にサーバー環境を提供しています。例えば、複数のスケジュー
した人のぬくもりを感じて外気
ルを記憶させ、ユーザーがお互いにそれをiモード対応携帯電
温とのわずかな温度差により
話で確認できるなど、小規模なグループ内でのコミュニケー
発電し、電池交換が不要です。
ションツールの中心的役割を担います(開発品)。
部 品
産 業 機 械
これからのブロードバンド時代、高速ネットワーク時代を支
工場の自動化・合理化が進む中で、精度・生産性が高く、
しか
えているのは、完成品の中に組み込まれた部品群。精密加工、
も変化に柔軟に対応できる生産システムが要求されています。
真空表面処理、実装技術、粉末射出成形など、シチズンの基盤
シチズンでは製品とサービスを通じて、機械の能力とそれを
技術を生かした各種デバイス、
コンポーネントは、
高品質と高機能、
扱う人間の知恵とが協働して付加価値の高い生産を実現する「感
さらに小型・精密・低消費電力を備えた部品として、世界の
動価値」生産をお届けします。
メーカーに信頼されています。
液晶デバイス
Cincom(シンコム)R04
通 信 機 器 部 品 、自 動 車 部 品
を はじめ O A 機 器 、医 療 機 器 、
家電製品など日頃何気なく使っ
て い る工 業 製 品 の 、高 精 度 部
品の多くを生産する精密CNC
業界随一の実績を有する低消費電力技術と高密度実装技
工作機械シンコム。なかでも「超
術を用いた液晶モジュールは、主にPDA、携帯ゲーム、携帯電
小径化」に対応したR04は、時
話向けに。独自の高画質技術であるHPS液晶を用いた小型
計はもちろん、半導体検査部品、
液晶テレビなど、液晶デバイスの応用範囲も広がっています。
光 通 信 機 器 、医 療 部 品 など直
径 1 m m 以 下 の 小 径 部 品に威
チップ型LED
力を発揮しています。
デジメトロンIPD-B505
1983年シチズンが世界に先駆けて量産化に成功したチッ
プ型LED(発光ダイオード)。表面実装を可能にしたことで、
小型・
薄型・軽量・高性能を実現し、様々な電子機器や家電製品に使
ミクロン 単 位 の 加 工 部 品 を 測 定 す るた め には 、超 高 精
われています。特に、小さく薄く軽いという特徴を生かして、モ
度な計測機器が要求されます。そ の 上、小型化というユー
バイル機器での活用が進み、バックライト用やインジケーター
ザ ー ニ ーズに応え、ボディの長さは63.8mm。多機能カウン
用として世界の携帯電話に採用されています。
ターとの組み合わせで、検査の自動化に貢献しています。
シチズン 環境報告書2002
シチズンのマテリアルとエネルギーのバランス
環境効率向上のために
有限な資源やエネルギーを無駄なく有効に使うという環境
シチズンでは1999年度から本格的に環境保全活動に取り
効率(エコ・エフィシェンシー)を向上するために、現在使用し
組んでおり、2001年度も継続して取り組んできた結果、ほぼ
ているエネルギーとしての電力、都市ガス、重油や、その他の
すべての項目で、資源やエネルギーの投入量(INPUT:イン
資源として、水、化学物質、紙、容器包装材などの量を把握して
プット)と、環境負荷となる排出量(OUTPUT:アウトプット)を
います。
削減しています。
■シチズン環境負荷マスバランス(東京+所沢事業所)
総エネルギー消費量
2000年度※1
2001年度
844,410GJ
788,890GJ
増減
(関連ページ)
CO2
(P11)
電気
6,457万kWh
ガス
2,944km
燃料
1,196kl
963kl
559km3
518km3
水
3
2000年度 ※1
2001年度
32,568t
30,513t
増減
(関連ページ)
(P11)
NOX
5.2t
5.1t
SOX
1.0t
0.8t
排水量
327km3
318km3
排出物量※3
1,218t
983t
5,850万kWh
3,289km
3※2
(P12)
(P13)
上水道
208km3
197km3
■■■
再資源化量
地下水
水の循環的利用
化学物質
351km3
321km3
43km3
43km3
993t
721t
821t
(P12)
888t
サーマル
リサイクル
0.3t
47t
ケミカル
リサイクル
118t
193t
マテリアル
リサイクル
603t
581t
297t
92t
(P14)
紙
35t
32t
焼却処理量
(P13)
容器
包装材
462t
埋立処理量
381t
199t
70t
(P13)
(P10)
3
プラスチック
356t
279t
紙
106t
102t
6.
8
※1 2000年度データは、集計の見直しを行って数値を変更しています。
※2 所沢事業所にて重油の都市ガス化がスタートしたため。
※3 排出物とは産業廃棄物+一般廃棄物+有価物です。
シチズン 環境報告書2002
より環境対応を極めるシチズンの工夫
シチズンでは、事業活動における環境負荷を把握し、より環
消費電力の時計や、電池が不要な光発電式や自動巻発電式の
境効率の高い生産をめざしています。それと同時に、メーカー
時計の開発を進めています。シチズンでも、一次電池を使わ
の責務として、製品がユーザーの皆さまに使われている時、そ
ず水銀や鉛などの有害物質を使っていない二次電池※2を使用
して廃棄される時に生じる環境負荷の低減をめざし、製品の
したエコ・ドライブやエコ・ドライブ サーモを開発しています。
ライフサイクル全体において様々な取り組みをしています。
現在エコ・ドライブの年間出荷数は約200万個で、
クオーツ時
時計、情報機器、部品、工作機械などシチズンの製品は社会
計の電池寿命を3年とすると、エコ・ドライブへの切り替えで3
のあらゆる場面で利用されています。それだけに、一つひとつ
年ごとに200万個ずつ酸化銀電池が節約できる計算になります。
でみると、環境負荷がそれほど大きくない製品であっても、そ
電池に含まれる水銀の量に換算すると、3年で約8kgの水銀
の負荷の低減に努めることは、社会全体の環境負荷低減のた
の使用を削減していることになります。
めに必要なことだと考えています。例えば腕時計は、そのサイ
また、お客さまに長く使っていただくことは、間接的に廃棄
ズが小さく生産時も使用時も資源やエネルギーをそれほど大
物削減につながります。ご購入時の美しさを保つ表面硬化技
量に使うものではありませんが、さらに環境への負荷が少な
術「デュラテクト」の開発や、業界初の10年保証などアフター
い時計をこれからも追求していきます。
サービスの充実を図る工夫をしています。今後は製品の回収
銀やマンガンを含む時計用一次電池 ※1は、廃棄時の環境へ
リサイクルやリユースも視野に入れながら、廃棄に伴う負荷の
の影響が懸念されています。そのため時計業界として、電池
低減を議論していかなければならないと考えています。
の回収を販売店へ要請しながら、電池交換の頻度が少ない低
※1 一次電池 放電用電池
※2 二次電池 充放電用電池
■時計でみる環境対応
●エネルギー
生 産
●資源
●省エネルギー
●水
●水
●資源の有効利用
●廃棄物
●CO2
●有害物質の削減
設 計
端材のリサイクル
●希少金属の代替化
包装・物流・販売
●容器包装材の識別表示
●光発電・熱発電
●紙製化粧箱の使用
●省電力化
●輸送距離の短縮
●デュラテクト
●集約配送
●ユニバーサルデザイン
電池回収
(再資源)
お客さまのご使用
(シチズンの配慮)
廃棄
●長期保証
●アフターサービス
シチズン 環境報告書2002
ユニバーサルデザイン&エコプロダクツ
シチズンにとってのエコプロダクツ
シチズン製品の根底にあるのは「ヒューマンウェア」の考え
方です。人が直接身につけるものだから、人に喜ばれ環境にも
福島 信人
優しい製品でありたい。そんな人と機械のよい関係を実現す
企画部 開発技術室 室長
「UDへの取り組みもエコプ
るための技術思想がベースです。エコプロダクツ=環境に配
ロダクツ展への参加も、社員
慮した製品とは、シチズンが製品を企画開発する上で、常に意
の草の根活用からはじまって
います。シチズンの遺伝子と
識し続けてきた重要テーマでもあるのです。
でも言うのでしょうか・・・。」
■シチズンブランド腕時計のエコ商品比率の推移
総出荷数
総出荷数
総出荷数
13,953,810
12,878,476
10,905,644
10.3%
13.2%
15.6%
ソーラー出荷数
ソーラー出荷数
ソーラー出荷数
1,442,374
1,704,142
1,703,960
人と機械のいい関係をめざして
例えば「The CITIZEN」。愛着を持って長く使える
時計は、自ずと環境への負荷も少ないと評価されてい
ます。また、
シチズンでは安全性や使いやすさに配慮す
ると同時に、時計としての基本性能や美観に妥協せず
経済性をも考えた製品づくりを心がけています。光発
メンテナンスフリーの電波時計
電を採用したエコ・ドライブも消費電力の低減や発電
電波時計とは、日本標準時をのせた標準電波を受信するこ
システムの改善により、多様なデザインに対応しています。
とで、自動的に正確な時刻・日付に修正し、表示する時計です。
シチズンでは1993年に日本発の電波時計を発売して以来、
エコ・ドライブ機能搭載、ユニバーサルデザインモデル、アンテ
「エコだからって我慢しない」という言葉が、
そのことを
端的に表わします。またあらゆる人が利用しやすいよう
に配慮したユニバーサルデザイン(UD)の考えも、早く
から時計に取り入れてきましたが、
これも、
もともとシチ
ナ内蔵型など次々に新しい電波時計を発売してきました。特
ズンの腕時計づくりの根底にあった、
「ヒューマンウェア」
にエコ・ドライブ搭載の電波時計は、電池交換と時刻修正がど
(人と機械がいい関係であること)
という思想と通じる
ちらも不要の「メンテナンスフリー」が魅力の一つです。最新
ところがありました。UDウォッチMU(ミュー)で採用し
の電波時計では、10万年に1秒しかない誤差、2100年まで
た見間違えにくいオリジナルフォントや、着け外しの際
日付の修正がいらないパーペチュアル機能、いつまでも美し
く肌に優しいチタン素材など、さらに高水準のメンテナンスフ
リーを実現しています。今後も、受信システムの小型化・高性
に爪を傷めにくい両プッシュ中留、軽量でメタルアレル
ギーを起こさないチタン素材なども、
そのベースがあっ
たからこそ実現しました。現在、開発者の問題点に対
する「気づき」の促進と、
よりユーザーの声を製品に反
能化や、金属外装への対応など、さらに先端技術を組み合わ
映させるためのガイドラインとも言える「ユーザビリティ・
せ「究極のメンテナンスフリー時計」の開発をめざします。
ガイドブック」を作成し、
これを活用することで、
より一層
シチズンらしい製品を生み出していきたいと考えています。
ユニバーサルデザイン 「アテッサ エコ・
ドライブ」ユニバーサル
デザインモデル
(UD)ウォッチ
「MU(ミュー)」
「2001年度グッドデザ
イン賞」
(主催(財)
日本産業デザイン振
興会)受賞
時の記念日にちなんだ
電波時計の広告写真
シチズン 環境報告書2002
U Dと電 池 交 換 不
要の光発電式「エ
コ・ドライブ」とを組
み合わせ、開 発コ
ンセプトの「人に優
しい、地球に優しい
ヒューマンウェア」
を高次元で実現
表面硬化技術「デュラテクト」
ない水ミストやエアブローのみでの加工も可能です。さらに、
シチズンが独自に開発したデュラテクトは、ステンレスやチ
加工治具部分の駆動を油圧からモータによる直接制御(フル
タンに特殊な加工処理をして表面を硬くし、小さなキズから
サーボ制御)に変更したことで、速く精密な制御と、消費電力
時計本体を守り、素材の輝きを長期間保つ技術です。従来と比
の大幅削減を実現したシンコムを開発。これは工作機械とし
べ 4∼5倍の表面硬度を実現。また鏡面仕上げやヘアライン
ては1994年にシチズンがはじめて搭載した方式です。実用性・
などの表面仕上げも可能で、デザインの自由度が高く、硬質化
環境性・経済性を兼ね備えた工作機械として需要が高まり、
フ
と幅広い表現力を両立しています。
「傷つきにくく、いつまで
ルサーボ制御搭載シンコムは、
シンコム全体の出荷台数の93
も買った時の輝きを失わない時計」として、お客さまに愛着を
%(2001年度)を占めています。
持って長く使っていただくための技術です。
■フルサーボ制御の省エネ度
(VAh)
有機溶剤を使わない静電粉体塗装
28.9
30
消費電力
51%削減
産業用工作機械では従来の溶剤塗料による塗装から、より
環境に配慮した静電粉体塗装に切り替えています。静電粉体
塗装とは、粉状にした塗料をプラスに帯電させて吹き付けた
20
14.3
10
後に、さらに焼付けを行って塗料を固める塗装方法です。塗料
を薄めたり溶かす必要がないため、有機溶剤を使わなくてす
0
L20油圧式
みます。また、未付着の塗料は回収されて再使用されるため、
L20フルサーボ
約95%の使用率(従来方法では約30%)で、廃塗料がほとん
■フルサーボ搭載シンコムの出荷台数推移
ど出ないという利点もあります。
100
(%)フルサーボ機台数/総出荷台数
90
74
80
環境負荷の少ない工作機械
94
93
78
60
加工の際に使用する切削油の使用量を低減した、環境負荷
独自技術で、10分の1以下の油使用となります。また油を使わ
41
26
の少ない工作機械「エコシンコム」を提案しています。これは
油をミスト(霧状)にして、必要な部分に必要なだけ供給する
39
40
20
0
※フルサーボ機の販売開始は、1994年です。
シチズン商事ー環境に配慮した包装材の取り組み
シチズン商事では、容器包装リサイクル法の施行
の化粧箱の共通化や、再生紙やケナフ、バガスなど
やエコ・
ドライブなど「環境や人に優しい」商品の発
の導入、異なる材料の分離を容易にする工夫などに
売に伴い、化粧箱に使用するプラスチックの全廃、
ア
取り組んでいきたいと考えています。
イテム数の削減、環境に配慮した素材の導入などを
行ってきました。プラスチックについては、塩ビから燃
やしてもダイオキシンの発生しないPET樹脂やポリプ
ロピレンに変更し、全廃をめざしてできるだけ「紙」
「木」
井手 京子
シチズン商事株式会社
時計事業本部 営業企画部
「異なる素材を組み合わせた新しい
「布」などを導入しています。緩衝材もウレタンから綿
ヘ切り替えました。また、化粧箱自体を共通化して、
取り組み当初の250から141までアイテム数を削減し
ました。こうした取り組みの結果、
コスト削減にもつな
化粧箱を模索しています。より分別
がりました。現在、
シチズンブランドの商品については
しやすくすることも今後の課題です。」
取り組みが完了したので、今後は、特注・OEM製品
再生紙を利用した化粧箱
素材には再生紙を、接着剤も有害物質を含まな
いものを使用しています。組み立て式のため一
度に多くの量を運ぶことができ、輸送時の環境
負荷も低減しています。
シチズン 環境報告書2002
省エネ活動の推進
省エネについての考え方と成果、目標
シチズングループでは、2001年5月よりエネルギー削減分
科会を設置し、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。
大澤 実
グループ全体で省エネルギーを進めることで、最大限の環境
省エネ分科会担当(東京)
環境管理室
効率を求めた生産革新に努めています。今後はグループ全体
「シチズンでは、一つひとつ
として、CO 2排出量2001年度比2%削減を目標に、さらに省
は細かいことでも、社員のみ
んなが無駄に気づいてまと
エネルギーを進めていきます。
まって取り組むことで、大き
な効果をあげています。」
■シチズングループのCO2排出量
きめの細かい省エネ対策を積極的に実施
( t-CO2)
計画値
1085
, 34
1011
, 20
1097
, 70
974
, 47
930
, 41
1036
, 72
993
, 64
870
, 81
956
, 02
957
, 35
100,000
784
, 41
903
, 54
821
, 80
80,000 721
, 19
120,000
東京・所沢事業所では、省エネ分科会のメンバーを
中心に省エネルギーを推進しています。2001年度は事
業所ごと一斉に無駄な照明を間引いたり、照明スイッチ
に終日オフの表示をしたりした結果、蛍光灯の本数が
60,000
約1,700本、金額にして年間約370万円を節減しました。
40,000
また付帯効果として、事業所全体で実施したことで、社員
の省エネルギーに対する姿勢がより積極的になってきま
20,000
した。さらに今後は生産状況にあわせ、最低限必要なエ
ネルギーだけを使用するように、
エネルギー使用状況を計
0
測して分析しようと思います。現在、計測可能なのはまだ
一部の変電所が供給する部分だけですが、電力量監視
システムを整備してより詳細なデータを収集し、
きめ細か
い省エネルギー対策につなげていきたいと考えています。
■東京事業所のエネルギー使用量とCO2排出量
電力 万kWh
都市ガス km3
CO2排出量
電力・都市ガス・重油 t-CO2
重油 kl
5,
000
, 35
, 15 45
, 44 43
, 98 42
, 88
22,93640
39
, 85 39
, 22 38
, 30 39
, 26 40
, 51 37
, 89 39
4,
000
36
, 28
3,
000
2,
000
1,
000
0
19,704
19,379
19,263
19,990
31
, 32
29
, 44
18,552 18,487 16
, 83 16
, 67 18,376
18
, 70 18
, 24
, 23
19
, 57 21
16
, 77 17
, 3818,007
17
, 33
17,623
199
176
145
142
138
13
12
12
12
20,937
28
, 18
19,018
計画値
25,
000
冷凍機冷却水ポンプのインバータ設置、
プラ成形機用冷却水のフリークーリング化、
照明の電力使用量削減など、省エネルギー
35
, 55 34
, 84
へ の 取り組 み を 強 化し 、使 用 電 力 量 を
27
, 72 27
, 56
18,661 18,346
20,
000
2000年度比11%と大きく削減しています。
さらに、都市ガスの使用量削減の対策とし
ては、ボイラー運転方法変更による運転
13
12
10
10
15,
000
台数の適正管理を2000年度に引き続き
行っています。
■所沢事業所のエネルギー使用量とCO2排出量
電力 万kWh
都市ガス km3
CO2排出量
電力・都市ガス・重油 t-CO2
重油 kl
計画値
2,
447 2,
459 2,
369
2,
500
028 2,
044
040 2,
2,
222
2,
188 2,
160
1,
655 1,
743 1,
880 1,
954 2,
2
,
0
4
4
1,
952
2,
296
1,
877 1,
2,
000
8
1
2
1
,
7
9
1
1,
742
1,
730
12,
716
1,
318 1,
12,
512
13,
448
212
1,
472
1,
500
1,
184 953
11,
643
12,
267
11,
510
785 785
12,
026
11,
077
1,
000
500
10,
937
11,
631 11,
495
9,
928
0
シチズン 環境報告書2002
471
15,
000
風機の付帯設備更新にともなう省エネ型
設備導入など、積極的に省エネルギーを
12,
000
実施しています。また、都市ガスが周辺地
域に敷設されたのを受けてSOX排出量削
11,
048 10,
948
580
所沢事業所では、
定時内空調停止タイム、
定時外空調停止デイの設定、ポンプや送
減のため、2001年度は重油から都市ガ
580
9,
000
スへの切り替えを開始しました。
省資源・リサイクル活動の推進
省資源・リサイクル活動について
シチズンでは、廃棄物は本来有効に利用されるはずの資源
を無駄にしていることだと考え、資源生産性の向上に努めて
久志本 政宏
います。より少ない資源でより多くの利益を生み出すと同時に、
産業廃棄物分科会担当(所沢)
精機事業部 品質保証部
環境への負荷低減につながるという観点から、水の有効利用、
「廃棄物の量に応じて部門単
廃棄物の減量・再資源化などにも積極的に取り組んでいます。
位で処理費用を負担するシ
ステムにしたら、廃棄量が急
に減りました。
(笑)」
再資源化への取り組み
石原 武
省資源分科会水部会担当(東京)
事業を営む過程で排出される様々な廃棄物を資源
拠点業務部 施設管理課
として有効に活用するためには、品目ごとに細かく分類し、
係長
有価物(有償で引き取られる排出物)
としての用途を広
「バルブの調節など、ちょっ
げることと、活用先の開拓が欠かせません。担当者が
とした工夫で節約効果が出
ます。水の使い方はまだまだ
研究しながら利用先を増やすと同時に、社員の再資源
見直す余地があるなと思っ
化への意識を高める工夫をしています。東京事業所構
ています。」
内の再資源化コーナーでは、RDF(減容固形燃料)や
溶けたプラスチック塊などを展示し、自分たちが分別し
水使用量の低減対策
たものがどのように再資源化されるのか、実感できるよ
東京事業所では、生産工程で使用した水を浄化し
うにしました。また各部門からの廃棄物の排出量や費
て再び生産工程で中水として利用するなど、従来から
用の掲示も、分別の必要性の周知に効果がありました。
水の有効利用を行っています。2001年度は、生産工
程で発生する酸やアルカリの排ガスを水に溶かして清
浄化処理するスクラバーの補給水や、冷却塔の補給
水の適量化などの施策によって、合計31,000m3の水
再資源化についての情報収集
を節約しました。
シチズンでは、産業廃棄物分科会のメンバーを中心に13ヵ
また、東京・所沢の両事業所とともに構内の水バラ
所の廃棄物処分場の実態調査、
再資源化業者の見学を実施して、
ンスを示す「水マップ」を作成し、水の最適利用を図っ
ています。精密機械の生産に必要な純水は、水を逆
再資源化技術のインフラの情報を収集しています。また近隣
浸透膜に通過させて精製しますが、その際約50%が
他社との交流会を実施して、情報交換しています。
不透過水として排水されています。全体の水使用量に
大きくかかわるため、純水の使用量削減にさらに取り
再資源化率の推移
組みたいと考えています。
2001年度の再資源化率は84%に達しました。今後も再
資源化率100%をめざし継続して取り組みます。
■東京+所沢事業所の水使用量の推移
所沢市水
所沢井水
東京市水
東京井水
計画値
( km3 )
575
600
482
500
460
400
162 11 166 18
300
100
265
518
177 15 182
12 175
22
26
20
22
200
559
278
361
339
312
9
22
505
159
12
505
159
22
312
■東京+所沢事業所の再資源化物と再資源化率の推移
再資源化量
12
22
312
0
※1999年度は東京事業所で新棟が竣工したために使用量の増加となっています。
再資源化率
( t)
900
652
600
579
608
400
721
40
41
821
84
59
200
0
(%)
計画値
1,000
90
92
834
795
100
80
60
43
40
シチズン 環境報告書2002
廃棄物削減活動の推進
廃棄物削減に向けて
シチズングループでは廃棄物について、2001年度から連
齋藤 茂
結管理を実施しています。グループ全体の排出物総量、費用、
処理単価を把握し、各社の廃棄物処理に関する情報・ノウハウ
産業廃棄物分科会担当(東京)
を共有化したことで、各社の取り組みがレベルアップし、排出
「全員に細かい分別ル ール
環境管理室 担当課長
物総量、費用とも減少しています。2002年度は、再資源化率
を徹底するのは大変でしたが、
74%、排出物総量・費用ともに2001年度比10%減をグル
資源に戻すためにきちんと分
最近は社員の意識が『ゴミを
別しなければ・・・』に変わっ
ープ目標として、廃棄物削減と再資源化を推進します。
てきたという手応えが感じら
れます。」
※
■シチズングループ排出物量 と再資源化率の推移
焼却処理量
(t)
8,000
埋立処理量
7,707
1,758
6,000
55
1,734
再資源化量
6,658
69
1,081
74
再資源化率
計画値
6,190
(%)
79
5,770
廃棄物削減活動について
60
2001年度の東京事業所は、産業廃棄物の排出量
1,006
を2000年度比で24%削減し、再資源化率は82%とな
4,000
2,000
80
40
4,215
4,571
4,559
4,538
りました。焼却・埋立処分していた廃プラスチックの再
資源化が可能になったことが主な要因ですが、
そのた
20
めにきめ細かい分別ルールを実行しています。現在で
0
0
は24種類の再資源化物に分別するルールを徹底させ
るため、
イントラネット上に「分別ナビゲーター」を開設し、
※)排出物=産業廃棄物+一般廃棄物+有価物
また、各職場に一人以上の「排出物キーパーソン」を
定めました。構内では「排出物分別・再資源化コーナー」
焼却・埋立量の削減
を設けて啓発の場にしています。今後は「リユースコー
様々なプラスチックは、ガス化溶融炉を活用して精製ガス・
ナー」を充実させて不用品の再利用を促し、廃棄物量
水や、セメント用助燃材として再資源化し、焼却・埋立量を削
の削減につなげたいと考えています。
減しています。再資源化の推進過程で「排出物の分別の徹底
東京事業所では1999年から分科会が中心になって、
が不可欠」との認識が社内に浸透し、分別ルールの見直しや、
本格的に廃棄物削減に着手しましたが、2000年から
廃棄物処理にかかる費用を各部門の負担にしたこと
掲示板の更新など排出場所の整備を進めています。
により、廃棄物にかかるコスト意識が高まってきました。
最近では、プレス抜き工程で油をエアブロー除去して
■排出物の再資源化フロー
から洗浄することで廃液を削減するなど、各部門による
自発的な取り組みも増加しています。今後も全員で廃
再資源化処理
主な利用方法
排出物
プラスチック
●酸・アルカリ
●油
●汚泥
●金属
●ガラス
●電池
●紙
●一般廃棄物など
●
金属切り粉 →金属材料
(鉄・ステンレス・真鍮等)
貴金属メッキ液 →貴金属
回路基板 →貴金属
溶剤 →再生溶剤
ボタン電池 →銀
上質紙 →再生紙
ダンボール →ダンボール
プラスチック →プラスチック原材料、助燃材、RDF
酸・アルカリ →路盤材、セメント原料
油 →重油、再生シンナー、アルコール
汚泥 →セメント原料、路盤材
ガラス →ガラス、グラスファイバー、路盤材
乾電池 →亜鉛、鉄
蛍光灯 →水銀、タイル、鉄、覆土材
ミックス紙 →トイレットペーパー、ティッシュ、板紙
■東京+所沢事業所排出物量の推移
焼却処理量
焼却・埋立処理
埋立処理量
再資源化量
計画値
(t)
2,000
1,618
1,500
1,411
1,429
601
616
231
579
1,218
714
1,000
252
297
983
920
863
206
92
199 70
608
721
821
834
795
500
652
ティッシュ、吸殻、茶殻、草木など →焼却後、焼却灰を埋立
シチズン 環境報告書2002
棄物削減に取り組み、東京事業所は2005年度のゼ
ロエミッション達成をめざします。
0
有害化学物質使用量の削減
有害化学物質の削減に向けて
シチズングループでは、グループ各社の化学物質使用量を
福島 瑞惠
調査し、環境への影響の大きさ、使用量、使用会社数を考慮し、
有害化学物質分科会担当(所沢)
トリクロロエチレン、ジクロロメタン、HCFC-141b、イソプロ
技術研究所 第二研究室
ピルアルコール、
トルエン、キシレンの6物質を、対象化学物質
専門課長
「所沢事業所の試作ライン
として使用量削減に向けて共同で取り組んでいます。
で有害物質の削減手法を生
み出 すことができれ ば、す
■シチズングループ有害化学物質削減計画
トリクロロエチレン
ジクロロメタン
イソプロピルアルコール
トルエン
取扱量(t/年)
産拠点で結果として現れてく
キシレン
るので、この仕事は責任重大
計画値
400
68
です。」
9.4
8.3
300
53
200
ぐにシチズングル ープの生
HCFC-141b
97
65
9.3
8.0
92
100
145
有害化学物質削減の取り組み
43
134
0
9.1
63 8.0
8
55
57
シチズンの事業所で使用される化学物質の管理は、
有害化学物質分科会を中心に行っています。開発部
門が集中する東京及び所沢事業所では、使用量が少
ないものでも様々な化学物質の取り扱い方法を定め
ています。新たな化学物質を使用する際には、分科会
で事前審査を実施し、使用の可否や取り扱い方法を
PRTR法※ への対応
化学物質データベースの開発と導入
シチズンでは、事業所で使用の化学物質を管理するデータ
ベ ー スを 開 発 、導 入しています。このシステムを 活 用して
PRTR法及び東京都環境確保条例に対応し、各部門の毎月の
使用量、排出量、移動量などを把握して記録しています。
規定しています。また、
より環境負荷の少ない代替物
質の検討や使用量の削減に取り組んでいます。例えば、
金属部品の洗浄には、人体に有害なベンゼン、
トルエ
ンが含まれているゴム揮発油を多く使っていましたが、
代替物質を探索してテストを繰り返し、
ゴム揮発油を
全廃しました。発ガン性のある洗浄溶剤セロソルブア
セテートについても代替を進め、2001年度は1,366kg
にまで60%以上減らしました。
環境関係法令の遵守
企業の当然の責務として、環境に関わる法律や事業所を管
轄する自治体の条例を遵守しています。例えば、東京都で生
■シチズングループ2001年度PRTR実績
物質名
(t/年)
水域への
排出量
事業所外への
移動量
142.6
42.9
0.0
93.2
ジクロロメタン
96.0
78.6
0.0
17.6
対応と報告が求められます。指定の化学物質を年間100kg
ニッケル化合物
30.6
0.0
2.5
13.5
以上使用する企業は、PRTR法が規定する排出量・移動量の
N,N-ジメチルホルムアミド
5.1
4.0
0.0
1.1
ほかに使用量・製造量・製品としての出荷量について報告が求
キシレン
4.3
1.3
0.0
3.0
められます。また埼玉県では生活環境保全条例が2002年4
HCFC-141b
2.5
1.7
0.0
0.9
産活動を行う企業は、PRTR法に加えて環境確保条例に則った
トリクロロエチレン
取扱量
大気への
排出量
月より施行、
特定化学物質の適正な管理を義務づけられました。
PRTR法に加えて県独自の指定化学物質を年間500kg以上
取り扱う事業者には取扱量の把握、適性管理手順書の作成と
提出を義務づけています。シチズンもそれに従って準備、対応
しています。
なお、環境に関わる法律及び条例に対して違反はありませ
んでした。また環境関連の訴訟もありません。
※PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)
法
「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」
シチズン 環境報告書2002
環境マネジメントシステム
■環境管理組織と委員会活動
シチズンでは環境マネジメントシステムを構築し、環境方針
及びそれぞれの環境管理活動の実施計画を実現するため、責
社 長
任と役割を明確にした上で効果的な取り組みを行っています。
環境担当役員
環境管理室
また、内部監査と外部監査の二重の監査を、各々年2回実施す
ることで、システムの適切な運営と継続的な改善を図ってい
シチズン関連環境管理事務局会議(2回/年)
関連会社 12社を含む
ます。2001年度の監査において、重大な指摘はありません
でした。
エネルギー削減分科会
●廃棄物削減分科会
●有害物質削減分科会
(各1回/3ヵ月)
●
■シチズングループのISO14001認証取得状況
会社名
東京事業所(1,278名)
東京事業所環境管理責任者(所長)
所沢事業所(408名)
所沢事業所環境管理責任者(所長)
東京事業所環境管理委員会
委員長:所長(1回/月)
所沢事業所環境管理委員会
委員長:所長(1回/月)
省エネ分科会
●省資源分科会水部会
●産業廃棄物分科会
●有害化学物質分科会
(1回/月)
省エネ分科会
●省資源分科会水部会
●産業廃棄物分科会
●有害化学物質分科会
(1回/月)
●
●
東京事業所24部門
取得年月
株式会社平和時計製作所
1998年10月
シチズン時計株式会社
1999年 8月
シチズン精機株式会社
1999年 9月
ミヨタ株式会社
1999年10月
シメオ精密株式会社
1999年11月
株式会社シチズン電子
1999年12月
株式会社シチズン・メカトロニクス
2001年 4月
シチズン エルシーテック株式会社
2002年 4月
所沢事業所8部門
■環境目標と実績
2001年度
事業所名
年度目標
1.
ガス使用量削減
3.
水の使用量削減
5.
6.
評価
東京
4,007万kWh
3,628万kWh
3,484万kWh
▲23%
所沢
2,334万kWh
2,222万kWh
2,160万kWh
▲12%
東京
2,886km 3
2,818km3
2,770km3
▲12%
東京
32.1万t
31.2万t
維持管理項目
所沢
16.8万t
17.5万t
15.9万t
▲10%
東京
435t
348t
282t
▲44%
▲30%
電力量削減
2.
4.
結果
中期目標(2003年度)
(2002.4.25改訂)※1
削減率※2
※3
産業廃棄物の削減
リサイクル活動の推進
(再資源化率)
有害化学物質使用量
の削減
※4
所沢
146t
164t
141t
東京
70%確保
82%
92%確保
所沢
70% 確保
86%
90%確保
東京
削減対象の明確化
5物質を設定
5,509kg
▲10%
所沢
削減対象の明確化
6物質削減
3,150kg
▲45%
※1 目標値は2003年度の目標値を絶対値で表示。 ※2 数値は1999年度基準2003年度の削減率。 ※3 純水使用量の増加と削減施設導入見送りのため。 ※4 目標に期末除却を含めず、2001年度より含めたため。
シチズン 環境報告書2002
環境会計
環境会計
1999年度より環境会計を導入し、企業活動のうち環境保全に関わるコストとその効果を定量的に把握しています。結果は下表の通り
です。2000年度と比べて、投資額、費用額とも減少しましたが、経済的効果は増加しています。
■2001年度環境会計の集計結果(環境省環境会計ガイドライン2002年版に準拠)集計範囲:シチズン時計 対象期間:2001年4月1日∼2002年3月31日
単位:百万円
環 境 保 全 コ スト
分 類
主な取り組みの内容
投資額
費用額
31.6
278.1
8.3
198.3
(1)事業エリア内コスト
①公害防止コスト
大気汚染、水質汚濁、騒音防止
②地球環境保全コスト
省エネルギー・地球温暖化防止
23.4
5.3
③資源循環コスト
廃棄物減量化・リサイクル、水の有効利用と削減
0.0
74.5
(2)上・下流コスト
容器包装リサイクル、エコマーク使用
0.0
0.4
(3)管理活動コスト
環境教育、環境マネジメントシステムの運用、社内緑化・美化
0.0
102.7
(4)研究開発コスト
ソーラー発電時計、時計基礎技術の研究開発等
8.0
186.7
(5)社会活動コスト
社会貢献活動
0.0
0.0
(6)環境損傷対応コスト
大気汚染負荷量賦課金
―
0.2
39.7
568.1
合 計
「公害防止コスト(環境保全設備の維持運営費)」と「研究開発コスト」の割合が高くなっています。
「上・下流コスト」と「社会活動コスト」の占める割合を増やすことが今後の課題です。なお「減
価償却費」は法定耐用年数の定率法により「費用額」に含めています。当該期のシチズン時計の投資総額は8,651百万円、研究開発費は6,893百万円です。
環境保全効果
効果の内容
(1)事業エリア内コストに
対応する効果
①事業活動に投入する
資源に関する効果
指標の分類
2000年度
2001年度
エネルギー使用量
GJ
844,410
788,890
△ 55,520
P7、11
水利用量
km3
559
518
△ 41
P7、12
化学物質使用量
②事業活動から排出する
環境負荷および廃棄物
に関する効果
993
888
△ 105
P7、14
32,568
30,513
△ 2,055
P7、11
t
CO2排出量
t-CO2
増減量
関連ページ
単 位
3
327
318
△9
P7、12
t
1,218
983
△ 235
P7、13
再資源化物量
t
721
821
100
P7、12
再資源化率
%
59
84
25
排水量
km
排出物総量
P12
(2)上・下流コストに
対応する効果
③事業活動から産出する
財・サービスに関する効果
プラスチックの容器包装使用量
t
356
279
△ 77
P7、10
紙の容器包装使用量
t
106
102
△4
P7、10
(3)その他の環境保全効果
④輸送その他に関する効果
指標検討中
2000年度と比較して「プラスチックの容器包装使用量」が22%、
「排出物総量」が19%、
「化学物質使用量」が11%削減し、
なかでも2000年度の課題であった「プラスチックの容器包装使用量」
は77t削減できました。
また、
「再資源化物量」
「再資源化率」とも増加しています。
単位:百万円
単位:百万円
環 境 保 全 対 策 に 伴う経 済 効 果 ─ 実 質 的 効 果 ─
効果の内容
収益
費用削減
金額
費用・効果の推移
関連ページ
年度
投資額
費用額
事業活動で生じた有価物の売却による事業収入
52.6
P13
41.8
428.9
省エネルギー活動によるエネルギー費の節減
66.7
P11
1999年度
(試算)
省資源活動による用水費、排水処理費の節減
24.9
P12
2000年度
86.4
645.5※
111.0
7.2
P13
2001年度
39.7
568.1
151.5
省資源またはリサイクルに伴う廃棄物処理費の節減
合 計
151.5
算定は事業活動から生じる環境負荷が減少した場合の実質的効果のみを対象とし、推定的効果は含
経済的効果
93.3
※2000年度費用は集計の見直しにより数値を変更しました。
みません。2001年度の主な経済効果は、省エネルギー活動によるエネルギー費節減と、排出物のリサイ
クルによる有価物(金属切り粉、貴金属メッキ液、上質紙など)の売却益です。
シチズン 環境報告書2002
従業員教育・啓発
環境情報の共有化
排出物分別・再資源化コーナー
環境活動の情報を全従業
排出物の削減と再資源化を進めるために、分別方法の説明
員が共有し活用するために、
や再資源化されたプラスチックなどのサンプルを展示した「排
電子掲示板(COMET)で様々
出物分別・再資源化コーナー」
な情報を提供しています。環
を設けています。また、再使
境報告書、環境マニュアル 、
用可能な事務用品をストック
各種規定類などが閲覧でき
して利用する「リユースコー
社内の電子掲示板(COMET)に掲示
された「環境情報通知票」
ます。また、
エネルギー使用量、
ナー」もはじめました。
用水使用量、排出物量などの環境パフォーマンスデータ、分科
排出物分別サンプルコーナー
会の活動状況や廃棄物排出方法の違反事例を記載した「環境
情報通知票」などの情報は毎月更新しています。
■環境関連公的資格所有者
(2002年3月時点)
資格名
所有者数
前年比
ナチュラル・ステップによる講習受講
公害防止管理者(大気)
9名
−1名
ナチュラル・ステップ・ジャパン の高見幸子氏をお招きし、
公害防止管理者(水質)
13名
+1名
公害防止管理者(騒音)
7名
+3名
公害防止管理者(振動)
7名
+4名
エネルギー管理士(電気)
2名
−1名
エネルギー管理士(熱)
2名
+1名
作業環境測定士
3名
0名
衛生管理士(一種)
9名
+1名
衛生工学衛生管理者
4名
0名
※
持続可能な社会に向けた企業の戦略をテーマにセミナーを開
催しました。社内の技術者、環境担当者などが参加し、活発な
質問や議論が交わされました。
※ナチュラル・ステップはスウェーデン
で発足し、
日本をはじめ9ヵ国で活動
している国際団体。持続可能な社会
の指針を提供し、
企業や自治体へ啓発・
コンサルティング活動を行っています。
グリーン購入/調達の促進
私たちの生活や経済を支えているすべての活動は
■事務用品の2001年度グリーン購入実績
環境に対して何らかの負荷を与えています。このこと
を十分に認識して環境負荷の低減に努めることが必
要です。商品を購入する場合にも価格・品質・機能・
デザインなどを考慮するとともに、環境負荷の少ない
ものを優先的に選択する「グリーン購入/調達」が重
要です。
江原 潔
資材部 資材二課
「グリーン購入/調達は、お取
引先やメーカーなども巻き
込む活動なので、影響力が大
きい取り組みです。さらに加
速させていきたいと思って
います。」
シチズンでは各事業部と資材部が連携しながら、
環境に配慮した部材の調達を進め、取引先の選定
基準にも環境への取り組みを盛り込んでいます。また、
事務用品のグリーン購入については、社内の電子掲
示板(COMET)で各部門のグリーン購入実績を毎
月紹介し、
グリーン購入の啓蒙を図っています。開始
当初に比べてグリーン購入率は大きく向上しました。
今後は、
グリーン購入/調達のガイドラインを策定し、
さらに積極的に拡大していきます。
シチズン 環境報告書2002
総購入件数
4,410
グリーン商品
購入件数
2,024
グリーン購入率
46%
社会貢献活動
良き市民に贈る「シチズン・オブ・ザ・イヤー」
社名に“CITIZEN(市民)”を掲げる当社が、1990年に創
設した顕彰制度で、日本人及び在日外国人の中から、市民に感
動を与えた人、市民社会の発展や幸せ・魅力づくりに貢献した
市民を選んで毎年1月に発表しています。市民主役の時代と
いわれる中で広い視野から無名の市民を顕彰する賞として、
これまでに36組の方が受賞されました。
受賞風景
■2001年度シチズン・オブ・ザ・イヤー受賞者紹介
受賞者
伊藤 明彦さん
(東京都 ジャーナリスト)
大島 誠人さん
(岐阜県 高校2年生)
菅谷 昭さん
(長野県 医師)
経歴
コメント
長崎放送局勤務時代から被爆者の生の声を記録。退職
後も肉体労働などで生活費を稼ぎながら、8年間かけて
全国をまわり、独力で広島、長崎の被爆者1,003名の証
言を収録。そのテープ951巻を2003年度に開館する「国
立原爆死没者追悼平和祈念館」に寄贈。
「広島、長崎の被爆は人類にとって決して忘れてはなら
ない歴史的な体験です。被爆者が存命のうちに生の証
言を記録し、後世に残すというということは、ジャーナ
リストとして歴史に対する責任だと思い、こつこつ活動
してきました。」
自宅の望遠鏡で小学生のころから天体観測を続け、変光
星「WZ」の増光現象を世界で最初に発見。このことは
インターネットで国際組織にも通報され、その後海外で
も確認が相次ぐ。
「1世紀に何度あるかという瞬間をと
らえた歴史的な快挙。今回の発見で天体の爆発メカニ
ズムの解明が飛躍的に進むと思う」と専門家も評価。
「父が以前使っていた天体望遠鏡を譲り受け、小学生
のころから晴れた日には毎日2∼3時間天体観測を続
けてきました。この賞は、連絡を取り合っている多くの
観測仲間の方々のおかげでもらえたと思っています。」
単身でベラルーシに赴任し、チェルノブイリ原発事故の
後遺症に苦しむ被爆者の治療に5年半近く携わる。現地
では、
日々の診療や750回に及ぶ手術に携わるかたわら、
現地の若い医師たちに医療技術を伝授。現在も国内で
活動中。
「言葉も通じない不自由な生活でしたが、
『患者に国境
はない』との思いで治療を続けてきました。この賞は、
今も現地で支援活動を続けている仲間にとってもたい
へん励みになると思います。」
「環境フォト・コンテスト」への協賛
チャリティ・ジャズコンサート
シチズン商事(株)は、
写真を通して地球との共生をめざす「環
シチズン時計(株)、狭山精密工業(株)は狭山ビックバンド・
境フォト・コンテスト」
(主催・後援:プレジデント社、環境省、環
ピラミッドによる第4回チャリティ・ジャズコンサートに協賛し
境文明研究所、
富士写真フィ
ました。このバンドはシチズンの仲間が中心となって発足した
ルム(株))に協賛していま
こともあり、現在も多くの仲間が手伝っています。近隣7市の
す。2002年は「作品を通
障害者の方やボランティアの方などが招待され、約1,000名
してホッと休まる気持ちを
にコンサートを楽しんでいただきました。収益金の一部は埼玉
伝えたい」との思いからシ
県の狭山市社会福祉協議会に寄付をしました。
チズン賞の新テーマを「癒
しの 時 」に決定し、応募総
数1,528点の中から優秀
賞1点と佳作2点を表彰し
ました。
シチズン賞優秀賞受賞作品「砂風呂」
従業員もバンドのメンバーとして参加
シチズン 環境報告書2002
労働安全衛生
高橋 富士夫
東京事業所
拠点業務部 安全管理課
しかし、2001年度後半の社内の構造改革に伴い、
職場の安全衛生担当者や設備安全審査委員、各種
作業の有資格者の交替が相次ぎ、特に製造現場の
「『雰囲気』が人を育てると
新任担当者の育成が課題になっています。そこで、職
思います。安全衛生につい
長教育(RST教育)の受講や新任者の設備審査員を
て皆が関心を持って行動し
対象とした設備審査員講習会を年度はじめに実施し、
てもらえるような『雰囲気』
をつくるのが私たちの仕事
各職場においても従来のテーマに加え、その職場の
だと考えています。」
状況にあった独自のテーマを追加し活動をはじめました。
また、関係部門と連携してPRTR法の該当物質である
安全衛生管理活動について
ゴム揮発油についても全廃することができました。
シチズンの安全衛生活動はわかりやすさをモットーに、
シチズンは安全で誰もが健康的に働くことができる
例えば「安全とはけがをしないこと」
「衛生とは病気に
職場をめざして、職場単位で安全衛生活動に取り組み、
ならないこと」と理解してもらえるように考えています。
安全衛生委員会や分科会・専門委員会などの活動を
会社でやること、職場でやることに加えて、
「安全と衛
通じて、
この10年間で休業・不休業災害を大きく減少
生は自分で守っていくこと」により、
さらに安全で快適
させてきました。
な職場をめざしていきます。
安全衛生管理活動の方針
2001年度は休業・不休業災害ともに0件でした。2002年
この目標を達成するため、以下の3つを重点項目として取り
度はそれをさらに継続していくことに加えて、現在は以下の目
組んでいます。
標を掲げて取り組んでいます。
●第一種無災害記録(700万時間:平成15年3月達成見込み)
に向けて今年も「休業災害ゼロ」を全員参加の活動で展開
しよう。
●会社でやること、職場でやることに加え、安全と衛生は自分
(1)マンネリでなく「メリハリのある安全衛生」に変える
(職場/個人で取り組む)
(2)
「KYK(危険予知活動)を活かし」ヒューマンエラー
をなくす(減らす)
(3)定期健康診断結果に関心を持ち自分のための「健康
で守る。そして、ヒューマンエラー(うっかり、ぼんやり)を
づくりにチャレンジ」する
半減しよう。
(目標 : 定期健康診断の受診率100% 産業医による
アドバイスを実施)
リスクマネジメントについて
シチズンでは、生産活動に伴う事故や環境汚染などの未然防止と万
かに対応しています。2001年度、東京事業所では騒音について5件の
が一の緊急時に対応するために、瞬時に異常を感知するシステムや
苦情がありました。そのうち2件は空調設備のベアリングやベルトなどの
CO2消火装置、危険性ガスの緊急遮断弁などを設置しています。
部品の劣化が原因とわかり直ちに部品を交換しました。また、再発を防
危険物や高圧ガスの取り扱いについては、6月の危険物安全週間に
止するために、設備から発生する音を定期的に測定して異常の早期検
あわせて開催される外部講習会に参加する他、
それぞれ年1回社内講
出を行うとともに、部品の定期点検を導入しました。その他の2件は所
習会を開催しています。自衛消防隊の消火訓練は月1∼2回行っています。
内工事による騒音だったため直ちに対策を行い、1件はごく軽微な内容
また、地域の環境にも配慮し、近隣の住民の方の苦情などにも速や
でした。所沢事業所では苦情などはありませんでした。
シチズン 環境報告書2002
コミュニケーション
エコ交流会の開催
シチズンは、企業が地球環境や地域社会に貢献するにはど
岩坂 直夫
環境管理室 室長
「社外の方からいただくご意
見やメッセージはとても貴重
なものです。これからもコミュ
ニケーションを大切にしなが
ら、環境活動を進めていきた
んなことができるか、その答えを市民やNPOなどの方々とと
もに考え、ご意見をいただきながら取り組みを進めていきた
いと考えています。そこで、昨年受け入れを行った工場見学の
参加者の方や環境報告書のアンケートにお答えいただいた方、
NPOの方などにお集まりいただき、
エコ交流会を開催しました。
いと考えています。」
環境コミュニケーションについて
シチズンの環境への取り組みを多くの方に知ってい
ただき、
コミュニケーションを図りながら活動を進めてい
きたいと考えています。2001年度環境報告書ではシチ
ズングループの活動を紹介させていただきました。また、
グループ会社のシチズン電子(株)
も2001年度より環
境報告書の発行をはじめました。今後も環境報告書
やインターネットを通じて積極的に情報発信を行いた
いと考えています。
参加メンバー全員で意見交換を実施
シチズンの環境への取り組みを紹介し、実際にシチズン時
計(株)の東京事業所のゴミ分別・リサイクル活動や廃棄物対
策、省エネルギー対策、製品づくりなどをご見学いただいて、
活発な意見交換を行いました。
参加された方々からは「昨年に比べて活動が前進し、規模
シチズン環境報告書2001
シチズン電子サイトレポート
も大きくなった」
「廃棄物がしっかり管理されている」などの
ご感想をいただきました。また、
「ぜひ時計の回収をしてほしい」
「お金とエネルギーをかけて再資源化するのではなく、知恵を
イベント出展
シチズンフォーラム21 エコプロダクツ2001
「シチズンフォーラム21」を開催し、多くのお客さまや関係
者の方々にシチズングループの技術・製品を紹介しました。また、
2001年12月には「エコプロダクツ2001」に出展し、エコ・ド
出してリユースの具体化をしてほしい」
「子どもたちに、環境
だけでなくモノづくりの楽しさ、誇りを伝えてほしい」などのご
意見をいただきました。これからも定期的にこうした機会を設け、
今後の環境活動に生かしていきたいと考えています。
ライブなどの環境に配慮した製品を中心にシチズングループの
環境対策を紹介しました。開発や製造、環境管理など直接の
担当者がご来場者に説明して、
ご好評をいただきました。
発泡スチロールの排出場所を見学
シチズンフォーラム21
廃棄物は分別を徹底して管理
エコプロダクツ2001
シチズン 環境報告書2002
第三者意見
シチズンの環境活動を拝見して
貴社は3年前に省資源、廃棄物削減活動の取り組みをはじめられ、東京事
業所では2001年には年間で再資源化率23%アップの成果を得ておられ
ます。今回は、その工場の活動現場を見学させていただきました。貴社は、
徹底的な分別ルールをつくられているだけでなく、従業員の方々に環境知
識をしっかり提供され、行動することの重要性をわかりやすく展示をして、
説明されておられます。また、対策の責任もそれぞれの課に持たされるな
ど行動の動機づけをいろいろ工夫されておりすばらしいと思いました。
「資
NPO
ナチュラル・ステップ・ジャパン
理事長
高見 幸子氏
源の効率的な利用」は、環境に優しいと同時にコスト削減にもつながります
ので最初の対策として賢明な対策だと思います。
環境対策には、さらに「物質の切り替え」という対策があります。つまり、
環境に負荷のある物質からそうでない物質へ切り替えをするという対策です。
例えば、再生可能なエネルギーへの切り替え、自然に異質で難分解な物質
から、生分解ができ自然に蓄積しない安全な物質に切り替えるなどです。し
かしながら、
これらの対策は、投資コストも研究コストもかかりますので、長
期的なプランが必要になります。そこで、今後貴社が、今の取り組みのさら
なる発展として、持続可能性の観点から再度現状分析をされ、ビジョンを
描かれ、ステップバイステップでそのあるべき姿に到達するべく戦略とアク
ションプランを立てられることを期待いたしたいと思います。
冷水熱源発生システムについての
説明を受ける高見氏
工場の環境対策を視察
再資源化プラスチックの回収を視察
ご意見をいただいて
この度ナチュラル・ステップのご講義をいただき、
「シチズンが50年後、100年後の地球環境にど
のような製品が提案できるのか」に取り組む必要性を感じました。
そのためにはまず、数年先に提案する予定の製品に対して、
「どれだけ環境に優しいと言われるた
めの開発ができるか」を、
しっかりとした基礎づくりを行って、
実現しなければならないと考えています。
地球の将来に、私たちがどのような貢献ができるか、中・長期的な戦略の中に具体化し、その目標
達成のための計画を立て、確実に実現できるように取り組みたいと思います。
シチズン時計 環境管理室
シチズン 環境報告書2002
会社概要
会
社
概
要
環境活動の沿革
社 名 シチズン時計株式会社
創 立 1930年 5月28日
1976年
本社所在地 〒188-8511 東京都西東京市田無町6-1-12
世界初のアナログ式太陽電池ウォッチ「ソーラーセル」発
売(8月)
TEL
(0424)66-1231(代表) FAX(0424)66-1280
東京事業所 〒188-8511 東京都西東京市田無町6-1-12
1983年
薬品管理委員会発足〈所沢〉
(4月)
1984年
薬品管理委員会を薬品専門委員会に変更、及びガス専
TEL(0424)61-1211(代表) FAX(0424)68-4756
門委員会発足〈所沢〉
(4月)
所沢事業所 〒359-8511 埼玉県所沢市下富840
1987年
公害防止管理者委員会発足〈東京〉
(1月)
1989年 フロン削減委員会発足(1月)
TEL(042)942-6271(代表) FAX(042)943-5131
1991年
代 表 者 代表取締役社長 梅原 誠
一般廃棄物分別収集開始〈東京〉
(3月)
資 本 金 326億4,800万円[2002年3月31日現在]
新たにグループ12社を加えフロン対策プロジェクト発足(7月)
上 場 東京/大阪証券取引所第一部
環境保全に本格的に取り組むため環境保全委員会及び
分科会(廃棄物、省エネ省資源、意識高揚、塩ビ)発足〈東
事 業 領 域 腕時計事業/情報・ 電子機器事業/
京〉
(12月)
産業用機械事業/ファッション関連事業
売 上 実 積 [2002年3月期]
売上高
1993年
特定フロン全廃(7月)
1995年
10年間無償保証生涯修理対応「ザ・シチズン」ウォッチ発
(単位:百万円未満切り捨て)
営業利益
1.1.1-トリクロロエタン全廃(11月)
経常利益
単独決算
146,943
△ 2,167
△ 91
連結決算
327,555
7,205
10,168
売(5月)
光発電エコ・
ドライブ搭載ウォッチ発売(11月)
延 床 面 積 99,333m2
1996年
敷 地 面 積 72,992m2
光発電エコ・
ドライブ搭載ウォッチではじめて「エコマーク」
取得(4月)
従 業 員 数 1,686名[2002年3月31日現在]
1997年
ホームページ http://www.citizen.co.jp
公害防止管理委員会と化学物質事前審査会が統合、有
害化学物質管理委員会が発足〈東京〉
(9月)
ISO14001準備委員会発足(11月)
■部門別売上高(単独)
(百万円)
250,
000
時計及び部分品
産業用機械及び機器
1998年
環境管理推進事務局及び環境管理委員会発足(9月)
情報・電子機器
及び部分品
その他
1999年
ISO14001認証取得(8月)
環境管理室設置(9月)
200,
000
196,357
185,912
環境管理委員会及び分科会(省エネ、
省資源、
産業廃棄物、
有害化学物質)発足(10月)
150,
000
146,943
93,313
100,974
21,705
3,562
0
■売上高(単独)
31,554
2,969
42,449
250,
000
250,
000
150,
000
100,
000
146,943
150,
000
100,
000
■経常利益(単独)
■従業員数(単独)
(百万円)
215,318
200,
000
(エネルギー、廃棄物、有害物質)
をスタート
(5月)
16,558
2,377
■総資産額(単独)
(百万円)
196,357
社外向け環境報告書の発行(10月)
「シチズン関連環境管理事務局会議」及び、分科会
(百万円)
185,912
2001年
68,519
59,673
50,
000
環境会計の試行(12月)
社内向け環境報告書発行(12月)
85,557
100,
000
200,
000
2000年
(名)
12,
000
224,545
10,
000
175,087
2,
500
10,865
9,250
2,297 2,259
2,
000
1,686
8,
000
1,
500
6,
000
4,
000
1,
000
2,
000
50,
000
50,
000
500
0
△ 91
0
0
-2,
000
0
シチズン 環境報告書2002
お問い合わせ先
シチズン時計株式会社 環境管理室
〒188-8511
東京都西東京市田無町6-1-12
TEL
0424-68-4755
FAX
0424-68-4640
E-mail kankyou@citizen.co.jp
環境URL http://www.citizen.co.jp/company/kankyo/
2002年8月31日発行
次回発行予定:2003年8月末
表紙メッセージ
時計の歴史は、太陽光と植物などを利用した日時計にはじまります。以来、時
の発明は社会を大きく変えてきましたが、時間を大切と考える意識は時を経て
も変わらないようです。2001年4月、シチズン時計では時の記念日(6月10日)
にちなんで、小学校高学年の子どもたちの「時間に対する感覚や生活時間の
使い方」について調査を行いました。時間の大切さについて尋ねてみたところ、
1981年の調査結果と同様に約9割が「大切」と感じています。シチズンはこ
れからも「時の原点」である自然環境を大切にし、未来を担う子どもたちや地
球の幸せとつながる時を刻み続けたいと願っています。
Printed on 100% recycled paper
この報告書はエコマーク認定の再生紙・古紙の利用100%(白色度85%)の再生紙OKマットコートグリーン100を使用しています。
また、印刷には大豆インキを使用しています。大豆インキは生分解性や脱墨性に優れ、印刷物のリサイクルが容易です。
企画制作協力 株式会社クレアン