講義名 科学論 教科書 科目区分 教養一般 .使用しない. 担当教員 開講期・曜日・時限 大谷 昭仁 後期 木曜日 3時限 2016年度 科/ 2016年度 2016年度 2015年度 履修開始年次 1年生 人間社会学部 人間健康学科/2016年度 人間社会学部 観光学科/2016年度 人間社会学部 人間社会学 経済学部 経済情報学科/2016年度 経済学部 経済学科/2016年度 商学部 マーケティング学科/ 商学部 経営学科/2015年度 人間社会学部 人間健康学科/2015年度 人間社会学部 観光学科/ 人間社会学部 人間社会学科/2015年度 経済学部 経済情報学科/2015年度 経済学部 経済学科/ 単位数 2 講義コード 43066 主題と概要 一世紀ほど前に「技術」は「科学」の手法と知識を取り入れて、科学化された技術「科学技術」となりました。ま さに、この技術の不断の革新によって、文明社会の維持と発展はなりたっています。私達の生活やビジネスは、革新 技術によってつくり出されるモノやエネルギー、情報に深く依存して、一時もその影響から離れることはできません 。 それにもかかわらず、私達は「科学技術」の応用や効用に目を奪われて、「科学」や「技術」が本来異なることすら 意識しません。とくに、「技術」を底辺でささえる「科学」の性格については無知といっていいかもしれません。つ まり、「科学」の成り立ちや方法について、ほとんど注意を払うこともなく、「科学」なるものを無批判に受け入れ て来たようです。 この講義では、個々の科学的法則や知識を理解するのではなく、法則や知識を生み出す「科学」の実践的方法に着目 し、この「科学的方法」という特異な「知」の様式が歴史的にどのように誕生し形成されて来たかを学びます。具体的 には、当時の先進地域であったアラビア学の圧倒的影響下で、古代ギリシアの自然学をユダヤ・キリスト教世界がど の様に克服し、新しいヨーロッパ科学を誕生させていったかを解明します。 さらに、「科学」と「技術」の本質の違いを知り、近代ヨーロッパの形成と国家間競争の下で、「科学」の役割が大 きく変化し、その影響下で「科学」の社会との関わりや文化的機能が大きく変容していく事実を理解します。 最後に、「科学」の方法とそのプロセスをガリレオ、ベーコン、ポーパー、クーンなどの先哲の業績を参考にして 、「科学」の本質的性格を明らかにしてみようと思います。 到達目標 ①受講者の科学に対する思い込みや誤解を確認する。 科学に対する思い込みや偏見を自覚して、科学の本質に関心が持てるようになる。 ②近代思想と科学との関係を理解する。 近代のものの見方や考え方が、実は科学の方法と密接に関係していることを理解する。 ③科学の誕生の文化的・歴史的背景を理解する。 「科学」が、唯一、中世・ヨーロッパにおいて形成された理由を考える。 ④科学と技術の違いとその関係性を理解する。 中世においてまったく異なる立場におかれていた「科学」と「技術」が全く異なる別々の作業プロセスをもつこと を理解し、お互いの関係性を考える。 ⑤科学の時代的な変容を理解する。 誕生した頃の科学、大衆の啓蒙を意図した科学、産業技術の関わり合いをもつ科学、国家の制度に組み込まれた科 提出課題 ①法則のもつ科学の普遍性が近代思想とどのように関係しているかを考える。 ②ギリシア自然学と自然科学との相違と関連性を考える。 ③近代科学の先駆者の業績を例に、キリスト教信仰と科学の関係をまとめる。 ④落下運動の法則を例にガリレオの研究方法を理解する。 ⑤中世から近代にかけての国家と科学の関係を考える。 ⑥近代以降の科学と技術の関係をまとめる。 評価の基準 課題レポート(中間試験を含む)と期末試験を実施します。期末試験は下記のいずれかの方法で評価します。 ①期末試験が筆記試験の場合 期末試験はマークシート方式と記述式で点数化します。 ②期末試験がレポート試験の場合 レポート試験は事前に配布するレポートの書式ならびに書き方に従って作成し提出してもらいます。評価項目は、 形式・構成・持論・資料・総合の5項目とし点数化します。 単位認定は、平生の課題レポート(中間試験を含む)50点満点と期末試験点50点満点とし合計100点で60点以上を合 格とします。 プリント資料及び参考文献 全課程の資料集を配布し、必要に応じてレジュメや改訂資料を配布します。ビデオと配布資料を参考に、主にプロジェクタ ーを使用して授業を進めます。 参考文献は必要があれば授業の中に紹介します。 授業計画 1 サイエンス理解の準備 ①「サイエンス」の語源 ②「サイエンス」はどこでも同じか ③「サイエンス」は変わるのか ④「サイエンス」の基本構造 2 科学の構造 ①「科学すること」の近代的構造…subject & object ②「対象となる自然」に内在する原理…法則の普遍性 3 科学の性格 ①「科学」の近代的性格 ②「科学」の専門・分科性 4 科学の歴史性…ギリシア自然学からヨーロッパ科学へ ①ギリシア自然学…アリストテレス・プトレマイオス体系 ②アラビアの学問…錬金術と占星術 ③キリスト教信仰…一神教的自然観の果たした役割 5 科学の誕生/ガリレオの戦略…自然の新しい研究方法 ①ギリシア自然学への挑戦 ②ガリレオのリサーチプログラム ④典型的な科学の手法 6 サイエンスの展開と変容 ①「科学」の自立…純粋科学から啓蒙科学へ ③「科学」の変容…制度科学 7 科学と技術…そして科学技術へ ①技術と科学…出自の異なる二大系譜 ②技術の変貌…産業革命を押し進めたもの ③近代国家と工学の誕生…技術の科学化 ④プロジェクト科学…科学と技術の融合 8 科学論Ⅰ/帰納主義−ベーコン ①真理を見抜く直感 ②世界を理解する知恵 ③方法論上の致命的な欠陥 9 科学論Ⅱ/反証主義−ボパー ①仮説−反証主義はなぜ生まれたか ②反証可能性と理論の進化 ③理論は反証されない 10 科学論Ⅲ/革命主義−クーン ①「パラダイム」の転換 ②科学者共同体と理論 ③時代社会と底通する「科学」 ④「科学」は一つの文化なのか 予習・復習 予習/事前に配布してある資料集と授業予定のテーマを講義のテーマを理解する 復習/講義ごとに課せられるテーマレポートを作成して提出する 履修にあたっての注意・助言他 ①教員によって、授業の前に講義の要点や考え方が説明されます。これらをもとに、講義内容を資料や参考文献を使 って講義を聴き、各自の理解したことや考えたことを文章化してノートを作成してください。 ②授業内容の重要なポイントを課題レポートとして書くことによって、理解を一層深めます。思考の過程で出てきた 疑問があれば、レポートにはっきりと書いてください。できる限り対応します。 ③抽象度の高い講義内容や誤解の可能性が高い場合は、授業中にアンケートを書いてもらうことがあります。積極的 に対応してください。 ④個別的な対応についてはオフィスアワーとEメール(大学Ryuka Portal mailのakihito_otani@red.umds.ac.jp/umds -ohtani@mte.biglobe.ne.jp)を利用して下さい。授業計画は受講生の数に応じて、内容の一部変更あるいは割愛する 場合があるので、あらかじめ了解して下さい。 備考 − 793 −
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