日米・異文化体験シリーズ(20) 暖炉のある生活(2) 谷 敦雄 暖炉に火が入ると、大人も子どもも少なからず興奮す るようだ。大人は陽気になり、会話がはずむ。子どもは はしゃいで走り回ったり、やたらに紙や木を火に投げ込 んだりする。部屋の電灯を消すと、めいめいの顔に炎の 明かりが照って別人のように見えたり、お互いのシルエ ットが壁に映ったりするのも風情がある。 暖炉の火にフォイルでくるんだジャガイモを放り込 む の も 楽 し い 。 火 か ら 取 り 出 し て は 、「 ま だ 焼 け て い な い」だの「焦げちゃった」だのと、つい興じてしまう。 暖炉用の長い長い、大きなフォークの先にビーフや野菜 を刺し、火にかざして焼いたりもする。 暖 炉 の 話 を す る と 、「 薪 は ど の よ う に し て 調 達 す る の ですか」とよく聞かれる。何のことはない、庭に落ちて くる大小の枝を、年間を通じて拾い集めるのだ。枝は自 然に、あるいは雨で濡れた重みでも落ちるが、特に嵐や 大雪のあとは大量に落ちるので、庭掃除を兼ねて丹念に 拾 い 集 め て お く 。大 き な 枝 が 折 れ た り す る と 、チ ェ ー ン ・ ソーで細かく切る。薪がどうしても足りなくなると、近 くの森や林へ拾いに行く。それでも困ると、街角で行商 がトラックに積んで売っている。 樹木はありがたいものだ。新緑の美しさが、やがて夏 の木陰となる。実をつければ食用となり、葉を落とせば 堆 肥 と な り 、枝 を 落 と せ ば 薪 と な る 。燃 え て 灰 に な れ ば 、 それが撒かれて肥料となり、次の春にはまた樹が育つ。 自然の摂理はすばらしい。 ―――――【異文化英語小事典】――――― [ ]内 の “ ひ ら が な ” の 部 分 を 強 く 読 み ま し ょ う 。 暖 炉 f i r e p l a c e [ ふ ぁ ぃ ぁ プ レ ィ ス ] . g r a t e s( 火 床 )に 大 き な 薪 を 乗 せ る 。 時 々 poker( 火 掻 き 棒 ) で 炭 火 を 整 え る 。 ク リ ス マ ス に は 、 mantelpiece( 炉 棚 ) に カ ー ド を 飾 っ た り 、h e a r t h( 炉 床 )の 周 り で c a r o l (ク リ ス マ ス の 歌 )を 歌 っ て 団 欒 の ひ と 時 を 過 ご し たりする。 (05-12-23)
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