SES E 0005-2 - 公益社団法人 日本防犯設備協会

日本防犯設備協会技術標準
SES E0005-2
防犯警報音規格
Standard for Burglar Alarm Sound
2006 年 (平成 18 年) 3 月 2 日 制定
2012 年(平成 24 年) 3 月 31 日 改定
JSSA
公益社団法人
日本防犯設備協会
SES
(公社)日本防犯設備協会技術標準
防犯警報音規格
E 0005 - 2
2006 年 3 月 2 日 制 定
2012 年 3 月 31 日改正
Standard for Burglar Alarm Sound
1 適用範囲
こ の 規 格 は 警 報 音 発 生 機 能 を 有 す る 防 犯 警 報 設 備 の 報 知 、威 嚇 等 を 目 的 と す る サ イ レ ン 音
による防犯警報音について規定する。但し、自動車盗難警報音などの他の法令などで規定
されているもの及び電子ブザー/チャイム、音声ガイドによるもの並びに監視センターに
おける防犯警報音を除く。
2 用語及び定義
この規格で用いる主な用語の定義は、次のとおりとする。
(1) サ イ レ ン 音
電子的または機械的に発生させるサイレン調の音
(2) 防 犯 警 報 音
防犯センサ等の起動による報知、威嚇等を目的とした警報音
(3) 報 知
警報の発生を近隣住民又は周辺に通知し、警戒や対応を促すことを目的とした行為
(4) 威 嚇
侵入者に犯行を断念させることを目的とした侵入者等を驚かせる行為
(5) 自 動 車 盗 難 警 報 音
自動車盗難発生警報装置から発せられる道路運送車両の保安基準の細目を定める告示
に基づく、自動車の盗難警報が発生したことを報知、威嚇等することを目的とした警
報音
(6) 電 子 ブ ザ ー / チ ャ イ ム
電子音源などから発せられるブザー音、メロディ音やチャイム音
(7) 音 声 ガ イ ド
音 声 合 成 IC な ど に よ り 発 せ ら れ る 音 声 ガ イ ダ ン ス 音
(8) 監 視 セ ン タ ー
オンラインシステムにおける基地局、ローカルシステムにおける守衛室など警報を集
中監視する場所
- 1 -
SES E 0005-2
3
要求基準
3.1 音 色
(1) 早 い ( 短 い 周 期 の ) 周 波 数 上 昇 音 と す る こ と 。
(2) 他 の 音 と 容 易 に 識 別 で き 、 緊 急 性 を 訴 え る 音 色 と す る こ と 。
3.2 基 本 波 形 、 周 波 数 及 び 周 期
(1) 基 本 波 形 は 、 矩 形 波 と す る こ と 。
(2) 周 波 数 ( 周 波 数 変 動 ) は 、 500~ 1,000Hz に 上 昇 す る こ と 。
(3) 周 期 ( 周 波 数 変 動 周 期 ) は 、 毎 秒 3~ 5 回 の 間 で 任 意 の 値 と す る こ と 。
3.3 音 圧
(1) 音 圧 は 、 防 犯 警 報 設 備 の 中 心 か ら 前 方 1m 離 れ て 70dB 以 上 で あ る こ と 。
(2) 測 定 は 、JIS C 1509[ サ ウ ン ド レ ベ ル メ ー タ( 騒 音 計 )]に よ る 騒 音 計 を 用 い て 行 う こ
と。
(3) 聴 覚 障 害 要 因 と な ら な い よ う 十 分 配 慮 し 最 高 音 圧 を 決 定 す る こ と 。
関連規格:
SES E 0001-4
防犯に関する用語
JIS C 1509
サウンドレベルメータ(騒音計)
JIS S 0013
高齢者・障害者配慮設計指針-消費生活製品の報知音
警報音の標準化に関する調査研究報告書
平成 7 年 3 月
住宅情報化推進協議会
道路運送車両法(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示)
消防法(受信機に係る技術基準を定める省令)
高圧ガス保安法(都市ガス用ガス警報器検査規程)
液化石油ガス法(液化石油ガス用ガス漏れ警報器検定規程)
解
説:
(1) 3.1 音 色 、 3.2 基 本 波 形 、 周 波 数 及 び 周 期
(a) 音 色 、基 本 波 形 、周 波 数 及 び 周 期 の 基 準 化 に あ た っ て は 、住 宅 情 報 化 推 進 協 議 会 が
調 査 研 究 し た“ 警 報 音 の 標 準 化 に 関 す る 調 査 研 究 報 告 書 ”に お け る 防 犯 警 報 音 の 要
求基準である、
・早い(短い周期の)周波数上昇音
・ 周 波 数 ( 周 波 数 変 動 ) は 、 500 か ら 1,000Hz
・周期(周波数変動周期)は、毎秒 3 回から 5 回
を基に複数のサンプル音を制作して視聴し、決定した。
※これらの要求基準は、住宅情報化推進協議会において種々の分析、評価実験によ
り決定されたものであり、以下の決定根拠を有している。
- 2 -
SES E 0005-2
①
聴 覚 特 性 を 考 慮 し た 音 響 条 件 (1)
周波数が時間的に変化すること。
理由:聴覚は周波数の変化に敏感である。聴覚ニューロン(聴覚神経細胞)
の中には、周波数の上昇変化あるいは下降変化に選択的に反応する聴
覚ニューロンが多い。
注
(1)
大串“聴覚神経系の情報処理機構のモデル”
NHK 技 術 研 究 、 Vol.23, No6, pp.379-413(1971)
②
心 理 的 条 件 (2)
警報音がその役割を果たすためには、聞こえても無視されるようなのんびり
した音ではなく、緊迫感があり、人の注意を引き、危機感を予測させることの
できる音でなければならないことが挙げられる。
注 (2) 神 、 大 串 “ 音 に よ る 避 難 誘 導 に つ い て ”
火 災 、 Vol.36, No1, pp.24-29(1986)
③
警報音の評価結果
上 記 条 件 と 種 々 の 予 備 実 験 に よ り 選 択 し た 13 種 の 警 報 音 を 高 齢 者 、会 社 員 、
主 婦 、 中 高 生 等 の グ ル ー プ に 分 け 120 人 を 対 象 に 評 価 実 験 分 析 を 行 っ た 結 果 、
防 犯 警 報 音 は 、 基 本 周 波 数 の 変 化 範 囲 が 500Hz か ら 1,000Hz 付 近 、 周 波 数 変
化の頻度はほぼ毎秒 3 回から 5 回の周波数上昇音とした。
(b) 以 下 に 基 本 波 形 が 矩 形 波 で 、 周 波 数 ( 周 波 数 変 動 ) が 500 Hz か ら 始 ま り 1,000Hz
ま で 上 昇 す る 、周 期( 周 波 数 変 動 周 期 )毎 秒 5 回 の サ ン プ ル 音( 上 昇 音 繰 返 し ) の
波形を示す。
1,000ms
1,000Hz
段々音が
高くなる
500Hz
200ms
200ms
500Hz
200ms
200ms
200ms
1,000Hz
基本波形は矩形波
図 1
サンプル音(上昇音繰返し)の波形
※ サ ン プ ル 音 は (公 社 )日 本 防 犯 設 備 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ よ り 試 聴 可 能 。
- 3 -
SES E 0005-2
(2) 3.3 音 圧
音圧の基準化にあたっては、様々な環境下や高齢者にとっても聞き取りやすい音圧
であること。また、消防法で規定される火災報知音、高圧ガス保安法及び液化石油ガ
ス法で規定されるガス漏れ警報音等の音圧を参考にして、防犯警報設備の中心から前
方 1m 離 れ て 70dB 以 上 と し た 。
ま た 、上 記 70dB は 防 犯 警 報 音 と し て 機 能 を 果 た す 最 低 音 圧 を 意 味 す る も の で あ り 、
音 質 、 周 囲 の 環 境 、 使 用 者 等 を 十 分 配 慮 し た 上 で 85dB 以 上 を 推 奨 す る 。
尚 、120dB を 超 え る よ う な 異 常 に 高 い 音 圧 は 、聴 覚 障 害 の 要 因 と な る お そ れ が あ る
ことから、最高音圧の決定にあたっては十分配慮する必要がある。
(3) 防 犯 警 報 音 発 生 機 能 を 組 み 込 む 装 置 の 配 慮
(a) 聴 力 の 低 下 、報 知 す べ き 距 離 、周 囲 の 環 境 音 な ど を 考 慮 す る 必 要 が あ る 場 合 は 、音
量を変えられることが望ましい。
(b) 警 報 音 の 入 り 切 り 機 能 を 設 け る こ と が 望 ま し い 。
- 4 -
SES E 0005-2
審議委員会:技術部会
委員長
規格調査委員会
:
兼光
誠
(セコム 株式会社)
副委員長 :
阿部
工
( NEC イ ン フ ロ ン テ ィ ア 株 式 会 社 )
委
員
:
小高
晃裕
(池上通信機株式会社)
委
員
:
三池田 健治 (サクサ株式会社)
委
員
:
横田
和典
(三菱電機株式会社)
事務局
:
保里
康一
(公益社団法人 日本防犯設備協会)
平 成 24 年 3 月 15 日 現 在
- 5 -
SES E 0005-2
防 犯 警 報 音 規 格
発
行
2012 年(平成 24 年)3 月
編
集
公益社団法人 日本防犯設備協会
技術部会
規格調査委員会
この規格は、著作権法で保護対象となっている著作物です。本書に記載の内
容を転載される場合は、事前に(公社)日本防犯設備協会の承諾を得てくださ
い。
この規格についての意見又は質問は、(公社)日本防犯設備協会 技術担当にご
連絡ください。
なお、SES E 規格は、少なくとも 5 年を経過する日までに(公社)日本防犯設
備協会 技術部会の審議に付され、速やかに、確認、改正、廃止されます。
発行所
公益社団法人 日本防犯設備協会
〒105-0013 東京都港区浜松町 1-12-4(第 2 長谷川ビル)
TEL:03-3431-7301
FAX:03-3431-7304
E-mail:info@ssaj.or.jp