INSIGHT 急がれる IT パフォーマンスの可視化による CIO 支援: HP IT

INSIGHT
急がれる IT パフォーマンスの可視化による CIO 支援:
HP IT Performance Suite/Executive Scorecard CIO Edition
赤城 知子
IDC Japan(株)〒 102-0073 東京都千代田区九段北 1-13-5 Tel 03-3556-4761 Fax: 03-3556-4771 www.idcjapan.co.jp
IDC の見解
曖昧になりがちな IT のパフォーマンスを可視化し、コスト削減と戦略的な投資のバ
ランスを示すことが、経営戦略に貢献する IT 投資を行う上で重要である。本調査レ
ポ ー ト で は 、 IT 投 資 の 最 適 化 と IT 部 門 / CIO の 意 思 決 定 を 支 援 す る HP IT
Performance Suite/Executive Scorecard CIO Edition の取り組みについて分析する。
 2011 年 10 月に IDC が発表した国内 IT 市場の支出額予測によると、2011 年の IT
市場規模は 12 兆 4,797 億円、前年比成長率はマイナス 1.6%となる。リーマンシ
ョックを境に縮小した IT 支出が、ピーク時の 2007 年の水準に 2015 年までに戻
ると予測しており、企業の IT 支出予算がリーマンショック以前の水準に回復す
るには時間を要すると IDC では分析している。
 2011 年の国内 CIO 調査結果によると、2010 年度(会計年)の IT 予算に占める新
規開発/新規購入および修正/拡張の合算比率は 37.3%、2007 年度と比較すると
4.9 ポイント縮小している。IT 予算に占める運用/保守、ISP/データ通信費の合
算比率は 61.9%で、2007 年度と比較すると 4.8 ポイント上昇している。すなわち、
企業の IT 支出予算は 2007 年から比べて減少したままなのに対して、IT の新規開
発/新規購入および修正/拡張に投じることができる物理的な IT 予算は縮小の
一途をたどると IDC では予測している。
 HP ソフトウェア事業は、厳しいコスト削減要求を突きつけられている IT 部門/
CIO に対して、企業全体の IT パフォーマンスを可視化するために、あらゆる企
業で標準的かつ汎用的に設定可能な KPI(Key Performance Indicator)を事前に組
み込んだ IT Performance Suite によるソフトウェアポートフォリオの拡充を行った。
IT Performance Suite を用いた CIO/IT リーダーを支援するソリューションとして
有効であると IDC では評価している。
 HP IT Performance Suite は、ダッシュボード方式の IT パフォーマンスシステムに
よって、IT 全体を体系的に管理しつつ、IT 効果、効率、価値をより具体的に示
すことで、IT コストの削減のみならず、戦略的な IT 投資を含めた IT 戦略の最適
化を支援すると IDC では分析している。
 IT コストの削減のみを実施していたのでは企業の競争力自体が弱体化する恐れ
もあり、また仮想化技術を用いたサーバーの集約などによるコスト削減は限界
にきていると IDC では分析している。このような中で、IT 部門/CIO は経営戦
略を支援する戦略的な IT の企画開発や現場の生産性向上への寄与が IT 部門の貢
献評価として重要になると IDC では分析している。
Filing Information: January 2012, IDC #J12310152, Volume: 1, Tab: Vendors, WR12:RP00: January 2012
Japan Software Infrastructure and Tools (Japanese Version): Insight
調査概要
本調査レポートは 2011 年 9 月に HP が発表したソフトウェア事業戦略のアップデー
トと HP IT Performance Suite の発表に伴い、IDC が国内企業の CIO(Chief Information
Officer:最高情報責任者)および情報システム部門を取り巻く課題と解決に向けた方
策について分析を行ったものある。
概況
厳しい経営環境と IT 支出の動向
国内経済は東日本大震災、さらなる円高、内需の冷え込み、雇用の縮小、不安定な
欧州経済、タイの洪水被害などに見舞われ混迷を極めている。リーマンショック以
降、企業はコスト削減の努力を積み重ね、事業収益の改善に注力してきた。しかし、
企業を取り巻く変化は予測不能であり、経営リスクの管理は複雑さを増す一方であ
る。このような国内企業を取り巻く環境変化は、IT 支出の抑制に対しても大きな影
響を及ぼしている。
Figure 1 は 2011 年 10 月に IDC が発表した国内 IT 市場の支出額予測と前年比成長率で
ある。2007 年をピークに 2008 年には IT 支出額の前年比成長率はマイナスに転じ、
2009 年にはリーマンショックの影響から前年比成長率がマイナス 11.5%と大きく市場
が縮小した。2010 年には 2009 年の反動から前年比成長率は 3.8%とプラス成長に戻る
ものの、2011 年には上述のさまざまな市況不安によって、IT 支出額は 12 兆 4,797 億
円、再び前年比成長率がマイナス 1.6%に転じると IDC では予測している。2012 年以
降はプラス基調になるが、前年比成長率が 3%を超えることはなく、リーマンショッ
クを境に縮小した IT 支出がピーク時の 2007 年の規模に戻ることは 2015 年までには
ないと予測している。短期的には BCP/DR(事業継続計画/災害復旧)の需要が IT
市場を牽引し、長期的には復興事業である環境未来都市(スマートシティ)への取
り組みや、「所有から利用へ」の流れに沿ったクラウドへのシフトなどが IT 市場を
牽引するが、国内 IT 市場の 2010 年~2015 年の年間平均成長率(CAGR:Compound
Annual Growth Rate)は 0.3%のプラス成長を予測している。
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FIGURE 1
国内 IT 市場 支出額予測との前年比成長率、2006 年~2015 年
IT支出額(百万円)
14,000,000
13,500,000
13,000,000
12,500,000
12,000,000
11,500,000
11,000,000
6
4
3.6
2.8
2
1.0
0.0 -0.5
0
-0.9
-1.6
-2
-4
-6
-8
-10
-11.5
-12
-14
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
3.8
前年比成長率(%)
14,500,000
Column: IT支出額
Line: 前年比成長率
Note: 『国内製品別 IT 市場 2011 年第 2 四半期の実績と 2011 年~2015 年の予測(IDC
#J11110403、2011 年 10 月発行)』より引用
Source: IDC Japan, October 2011
IT 予算の内訳と経年比較
Figure 2 は IDC が毎年実施している企業の CIO に対する調査結果に基づく、2007 年度
~2010 年度(会計年)の IT 予算の内訳に関する経年変化の比較である。2007 年度の
IT 予算に占める新規開発/新規購入および修正/拡張の合算比率は 42.2%であるの
に対し、2010 年度には同比率が 37.3%に減少している。IT 支出自体が 2007 年をピー
クに大きく削減されていることは、Figure 1 で述べた通りであるが、IT 支出が削減、
または今後も大きく回復する見込みが無い中で、IT 予算の内訳に占める運用/保守、
ISP/データ通信費の合算比率が 2007 年度には 57.1%であるのに対し、2010 年度は
61.9%と増加している。
リーマンショック以降、IT 部門はサーバーの仮想化やサーバー統合によるコスト削
減、クラウドサービス、アウトソーシングの利用による非所有型の IT 戦略を模索し
ているが、ハードウェア自体は年を追うごとに高性能化と低価格化が進行しており、
このテクノロジートレンドに沿ったハードウェア調達を行っていけば、将来に向け
たコストの最適化はさほど難しくないであろう。また、ハードウェアを中心とした
イニシャルコストの削減は短期間で効果が見えやすい一方で、ある程度の仮想化技
術の取り込みや IT リソースの利用効率の追求が一巡しつつある現在、自然減を超え
るさらなるコスト削減が限界を迎えることは容易に予測できる。
IDC ではこの運用/保守や ISP/データ通信費の大半が、ミッションクリティカルな
企業の基幹システムに費やされていると分析している。基幹システムは企業にとっ
てコアな業務を支える、なくてはならない重要なシステムである。しかし、Figure 2
に示すように、システムの運用/保守などの守りの費用に予算の多くを取られ、戦
略的な IT プロジェクトへ回す原資が減少を続けていることは、企業経営という観点
からみれば決して健全な状況とはいえない。コスト削減のみを経営戦略に据えたの
では、中長期的に競合他社との事業の差別化を失うことになりかねない。このよう
な厳しい経営環境下において、IT 支出は削減のみに注力するのではなく、IT 支出と
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IT で得る付加価値やメリットのインとアウトのバランスを図り、健全な IT 支出を行
っていくことが求められている。
FIGURE 2
IT 予算の内訳 経年比較、2007 年度~2010 年度(会計年)
問:「年間 IT 予算」の内訳(新規開発、修正/拡張、保守/運用、ISP/データ通信費、その
他)はどのような割合になりますか。
Notes:
 『2011 年 国内 CIO 調査:IT サービス/アウトソーシング利用実態(IDC #J11260103、
2011 年 6 月発行)』より引用。
 「分からない」とした回答を除いて集計。
 有効回答の平均値。
Source: IDC Japan, June 2011
HP ソフトウェア事業戦略のアップデート
BTO/IM から HP IT Performance Suite へ、ポートフォリオの拡大
日本 HP は 2011 年 9 月に IT マネージメントソリューションとして、「HP IT
Performance Suite」を発表した。従来、HP ソフトウェアの製品ポートフォリオは、ア
プリケーションライフサイクル管理、IT 運用管理ソフトウェア領域を BTO(Business
Technology Optimization)事業と総称し、情報管理分野(データの保護、アーカイビ
ング、リカバリー)のソフトウェア群を IM(Information Management)事業と称して
提供してきた。
今回の HP ソフトウェア事業戦略のアップデートでは、これらの BTO/IM 事業に加
えて、セキュリティ分野(2010 年に買収した Fortify、ArcSight、3Com)のソフトウェ
ア群や、新たに HP が開発した KPI(Key Performance Indicator)ダッシュボード「HP
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IT Executive Scorecard」、さらにコンサルティングサービスを包括した IT マネージメ
ントソリューションを HP IT Performance Suite とし、HP ソフトウェアポートフォリオ
戦略のアップデートを行った。
HP IT Performance Suite:ソリューションの概要
HP IT Performance Suite は IT の導入効果を測定するために、きめ細かくチューニング
されたパフォーマンスシステムを提供することで CIO を中心とした IT リーダーの支
援を目的としている。自動化されたダッシュボード方式の IT パフォーマンスシステ
ムによって、IT 全体を体系的に管理しつつ、IT 効果、効率、価値をより具体的に示
すことで、IT コストの削減のみならず、戦略的な IT 投資を含めた IT 戦略の最適化を
支援する。IT パフォーマンスを定量的に計測可能な HP IT Performance Suite は業界初
の体系的なアプローチによって、IT 管理全体の把握、測定、制御をデジタル化し、1
つの統合的なビューに集約する。また、HP IT Performance Suite を基盤として、企業
が独自にカスタマイズした指標によって IT パフォーマンスの定量化と管理を実施で
きる。
 戦略、計画、ガバナンス:各種ツールとプロセスにより、ビジネス投資の観点
から IT ポートフォリオ把握、財務評価基準などのビジネス指標を監視、すぐに
利用可能な重要業績評価指標(KPI)でビジネス視点から IT を管理し IT 価値の
共有を支援する。新製品 HP IT Executive Scorecard の提供による強化が図られて
いる。
 セキュリティインテリジェンスとリスク管理:セキュリティ製品のポートフォ
リオを拡充。すべてのセキュリティ情報を統合、ビジネス情報との連携によっ
てビジネスプロセスレベルでのリスク管理を実施する。
 アプリケーションライフサイクル管理:高度な管理機能と自動化機能を統合化
することによって、アプリケーションデリバリーを自在にコントロールできる。
どこで、どのような対応が必要かを表示した上で、その対応を自動化しその結
果を管理画面にフィードバックすることで適切なアプリケーションデリバリー
を実現する。
 運用管理:エンドユーザー、アプリケーション、インフラストラクチャから、
サービス停止につながる前の潜在的問題の特定までを監視するビジネスサービ
ス管理である。各ビジネスサービスの変更とコンプライアンス対応の自動化を
行う。計画から本番運用までのライフサイクル全体(複雑なコンピューターシ
ステム/ミドルウェア/サービスの配備/設定/管理)の自動化を提供し、サ
ービスの整合性を確保する IT サービス管理である。
 情報管理:正しい情報を必要なときに、適切なユーザーに提供するツールであ
る。企業の競争力支援と同時に法規制上の弊害を回避する
 拡張性、オーケストレーション、分析:IT データモデルにより、スイート内の
システム全体と各製品から送られてきたデータを収集および関連付ける。
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Figure 3 に HP IT Performance Suite の構成概要を示す。
FIGURE 3
HP IT Performance Suite の概要
戦略、計画、ガバナンス
HP IT Executive Scorecard CIO Edition: IT財務管理、プロジェクトポートフォリオ管理
アプリケーションポートフォリオ管理
セキュリティ
インテリジェンスと
リスク管理
セキュリティ情報とイベント管理
Software Security
Assurance
アプリケーションの
ライフサイクル管理
アプリケーション品質管理
従業員/ベンダー管理
運用管理
情報管理
データセンター自動化
アプリケーション可視化
とパフォーマンス
ITサービス管理
クライアント自動化
システム管理
資産管理
アプリケーションガバナンス
要件管理
ネットワーク管理
パフォーマンス検証
ネットワークセキュリティ
データプロテクション
情報アーカイブ
企業業績管理
構成管理システム
開発管理
アプリケーションセキュリティ検証
拡張性、オーケストレーション、分析
サービスとサポート
アセスメントサービス
マネージドサービス
コンサルティング
サポート
教育
Note: HP IT Performance Suite のソリューション概要をベースに IDC で作成。
Source: IDC Japan, December 2011
HP IT Executive Scorecard CIO Edition の特徴
日本 HP は、HP IT Performance Suite の発表と同時に、新製品として HP IT Executive
Scorecard を発表している。また、企業内の特定の利用者のニーズに合わせた HP IT
Performance Suite の エ デ ィ シ ョ ン 開 発 も 併 せ て 実 施 し て い る 。 今 回 、 HP IT
Performance Suite と共に発表された最初のエディションが HP IT Executive Scorecard
CIO Edition(以下、CIO Edition)である。このエディションは、CIO が IT 組織にお
ける財務およびポートフォリオの健全性を把握する上で欠かすことのできない 50 を
超える重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)があらかじめ収録されて
いる点が特徴である。それによって IT 価値、顧客満足、運用上の卓越性、今後の方
向性につながる情報の分析と素早い実行が可能である。
従来、IT の投資や支出に対する企業貢献度については曖昧になりがちであった。CIO
や IT 部 門 リ ー ダ ー は IT の 投 資 や 支 出 に 関 す る 投 資 回 収 率 ( ROI : Return on
Investment)を求められても、適切な数値を示すことが難しく、結果としてコスト削
減の要求に対して企業競争力上で必要な IT 予算の獲得に向けたプロアクティブな動
きをとることが難しい状況に陥っている。
分析およびデータの組込型プラットフォームの CIO Edition によって、CIO や IT 部門
のリーダーは、あらかじめ設定されたデータの抽出ならびに、コンポーネントソリ
ューションから IT データモデルへのロードが可能になる。CIO Edition は、HP IT
Performance Suite 全体で測定した結果をビジネスの測定尺度および KPI として、効率
的かつ統合的に提供するものである。CIO Edition に組み込まれている KPI の一部は、
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リアルタイム測定に対応しており、コスト削減、IT 投資の管理、IT 密着型ビジネス
戦略の調整、IT プロジェクト進行状況、資産活用状況などの測定に加えて、スタッ
フの満足度や効率性といった観点からも、有効な KPI の測定を支援する。
将来の展望
コスト削減は限界、IT 部門に求められる新たな役割
企業の IT 予算は、リーマンショックを境に年々削減される傾向にある。そのような
中で、Figure 2 に示すように、新規開発/新規購入、修正/拡張に割り当てられる IT
予算の縮小傾向が顕著である。しかし、昨今の企業を取り巻く経営環境の不確実性
が高まる中で、IT と経営戦略の密着性が求められているのも事実である。
すなわち、IT コストの削減のみを実施していたのでは、企業の競争力自体が弱体化
する恐れを否定できない。このような中で、コスト削減要求に対して受け身の対応
だけをとるのではなく、適切なコストの削減と IT の投資を実行し、経営戦略を支援
する戦略的 IT の企画開発や現場の生産性向上への寄与が IT 部門に求められている。
Figure 4 は IT 部門のビジネス貢献評価の変化を表した図である。縦軸は IT 部門のビ
ジネスへの貢献評価とし、横軸は IT 部門のビジネスプロセスとして表している。従
来、IT 部門は堅牢なシステムの管理を行うことでビジネスの貢献が評価されてきた。
ユーザー部門から高可用性や早期開発と改善、全面的な現場要求の受諾など後方支
援的な役割を担ってきた。年々、システム管理自体は複雑化が進んでいるが、シス
テム管理自体をアウトソーシングしたり、運用フリーなクラウドサービスの活用領
域も広がっている。また前述したような後方支援に対する貢献評価の価値が低下し
ているために、コスト削減のみを求められがちな傾向を否めない。これからの IT 部
門が、経営戦略に密着した IT を企業の武器として装備していくためには、IT による
経営戦略の実現や現場の生産性向上への寄与など、求められる貢献評価が変化して
いくと IDC では分析している。
FIGURE 4
IT 部門のビジネス貢献評価の変化
これまでのIT部門
これからのIT部門
システム
管理
貢
献
評
価
貢
献
評
価
経営戦略
の実現
現場の
生産性
経営戦略
の実現
現場の
生産性
システム
管理
プロセス
プロセス
Source: IDC Japan, December 2011
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IT 部門の価値向上に向けたアクション
IT 部門は求められる価値の向上に向けて、以下のアクションを起こすことが重要で
あると IDC ではみている。
 コスト削減だけでは限界、しかし聖域があってはならない
 ビジネスに直接貢献する新たな役割として、データウェアハウスや帳票レポー
トの管理のみに留まらず、情報分析力を持つ
 KPI を定めることで、曖昧な「IT 部門のビジネス貢献度」を明らかにする
 戦略的 IT プロジェクトを仕掛ける
 絶好のタイミングを逃さない(新役員就任、規制遵守、M&A、事業成長など)
IT 部門/CIO が戦略的 IT プロジェクトによって経営戦略の実現を目指すためには、
必要な IT 投資の原資を確保することが求められる。HP IT Performance Suite および
HP IT Executive Scorecard による IT 部門/CIO 支援ソリューションは、「顧客評価の
向上」など、具体的な IT の貢献を可視化することによって、その価値は明らかにな
っていくであろう。
従来、曖昧になっていた「IT の投資対効果」を明らかにしていくことは、コスト削
減のみに集中しがちな IT 部門に対して、企業が競争優位な経営戦略を実現するため
に、本来必要とする IT の戦略的な投資の意思決定を支援するものである。
CIO にとっては、「IT の投資対効果」を経営層に明確な KPI の数値をもって説得す
るための武器になる。そのためには、複雑化する IT 全体像の把握と実際のパフォー
マンスを計測するためのツールが必要となり、HP IT Performance Suite はその 1 つの
選択肢となるであろう。企業自らが IT の投資対効果を測定するために KPI を「無」
から 1 つずつ設定していくことは困難を伴うが、HP IT Performance Suite ならびに HP
IT Executive Scorecard は HP がグローバルに手掛けた数々の CIO 支援の実績から、あ
らかじめベストプラクティスとなる標準的かつ網羅的な KPI を事前に設定している
点も、IDC ではその有効性について評価している。KPI の設定に支払うコンサルテー
ション費用を最小限に留める上でも、その有効性は高いと IDC では考える。
スピード経営といわれて久しいが、ビジネススピードの加速と、市場変化への対応は
IT 管理にも当然求められる要素である。より柔軟かつ標準的な IT の全体管理と、それ
による効果を計測するための KPI が事前設定されている HP IT Performance Suite は、採
用時点から素早いパフォーマンスの可視化が実現可能であり、IT によるビジネス成果
の最大化に向けた改善策をスピーディに実現し、企業の将来投資へ向けた戦略的 IT の
投資を適切に支援することにつながる。このような HP ソフトウェアの取り組みは、IT
ソリューションベンダーにとっても、重要な商材になると IDC では考える。
Copyright Notice
本レポートは、IDC の年間情報提供サービスの製品として提供されています。本レポ
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