10/01 - 極寒の気候での運航 / Operations in extremely cold

損害防止サーキュラー No. 10-01
極寒の気候での運航
はじめに
極寒の環境での運航は船舶と乗組員が経験する最も辛くまた
忍耐を要するものでしょう。極寒は乗組員の作業能率を著しく低
下させます。その上、甲板に搭載された感度の高い機器やパイ
プラインが、予防措置を施していないと損傷を起こす危険があり
ます。また、氷が船舶を傷つけオイルスピルを引き起こす危険も
あります。
極寒の気候と氷海の航行に関連する被害は毎年発生します。
寒い季節の初期により多く発生し、滅多にそのような海域に入
らない船舶ほど他の船舶に比べて被害が発生しています。極寒
の気候は貨物、船舶の機器を損傷し、乗組員に傷害を負わせ
る一方、氷海の航行は船体、プロペラ及び/または舵に損傷をお
こします。
ガード・ニュース127号中の記事iは船舶とその機器の被害を予防するガイドラインを概説しました。ガード・サーヴィス
はまた、極寒の環境で運航することの多い船主の方々から経験に根ざした情報の入手に勤めました。次のリストは、
これで万全というわけではありませんが、北半球の気温が非常に低下しているので、ひとつの手がかりとして頂けたら
と思います。
甲板搭載の機器
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パイプラインの凍結が最も多い被害のようです。パイプラインは余裕を持って早めにドレイン抜きしておいてく
ださい。消火ホースと継ぎ手も忘れないで下さい。十分ドレイン抜きしておかないと使用不能になることがよくあ
ります。剥き出しの配管は凍結を防ぐため、必要個所を防寒剤で覆ってください。
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甲板の空気管は、水の凝結を除くため定期的に通管してください。
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真水の配管は特に凍結する危険があります。真水の配管内の水を循環させるよう気を配ってください。
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甲板搭載のウィンチその他高性能の機器は冷たい飛沫による着氷を避けるため覆いをかけてください。油圧
機器も使用数時間前に始動して、油圧ホースが高圧に晒される前に適温に達するようにしてください。時によ
っては機器を常時作動させておくことをお勧めします。
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係留索やパイロットラダーは、凍結や着氷を避けるため甲板下に収納してください。
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できればバラスト・タンクには塩分の高い(従って凍結点の低い)水を入れてください。更に、空気管の凍結を防
ぐためバラスト・レヴェルを下げて下さい。パイプが凍結すると、タンクの構造にも、ポンプにも深刻な被害を起
こすことがあります。
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補助用電力をすべて使って氷と寒気に直接接する居住区とタンク室(船首水槽など)を暖房し、暖気を逃さない
ようドアを閉めておいてください。
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機関室内の感度の高い機器の凍結を避けるため、場合によっては機関の換気は止めて(しかし開いたままに
して)おいてください。
For more information regarding the Gard loss prevention products, please contact:
Vice President Harald Fotland, ph: +47 55 17 40 67 or email harald.fotland@gard.no , or
Loss Prevention Manager Trygve C Nøkleby, ph.: +47 55 17 41 11 or email trygve.nokleby@gard.no.
© Gard AS, November 2001
gardyourship
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船体のペンキ塗装を傷めないよう、甲板上の氷はなるべく木製の氷用木槌で除去してください。積氷を避ける
ため、十分な糖分と塩の備蓄を保ってください。
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安全設備は、もし装備されていれば安全手綱を含めて、頻繁に点検してください。
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錨は周期的に動かし、チェーンやウィンチの凍結を防いでください。
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飛沫の凍結による影響を減少なくするため、速度及び/あるいは進路の変更を検討してください。
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甲板上の灯火と航海灯は寒気と氷で損傷を受けやすいので、しばしば点検して適切な点灯状態であることを
確かめてください。
貨物倉
貨物の種類によっては水や低温で損傷するものもあり、時によっては凝縮(コンデンセーション)を引き起こすこともあ
ります。
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貨物倉の換気扇(設置されていれば)を使用すると雪や湿った冷気が凝縮を引き起こすので、貨物倉には外
気が吹き込まないようにしてください。
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船倉を清掃するときは、水の使用を必ず最小限に抑えてください。水を使用する前に船倉を十分掃き清めてく
ださい。できる限り温水を使ってください。凍結が起こりそうな場所からは余分な水を除き、ダーティーウォータ
ーが溜まって凍結しないようにしてください。
乗組員
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低温は乗組員の体力、効率を低下させ、判断力を鈍らせることもあります。従って適切な着衣が乗組員の安全
と注意力を保つのに不可欠です。
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極寒の区域で任務に当たる乗組員の当直ローテーションを見直し、外気にさらされる時間を最小に保ってくだ
さい。
氷海の航行
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氷の状態と氷海の航行に関しては多くの情報がインターネットで得られます。例えば:
¾
http://www.natice.noaa.gov/home.htmでは米国国立氷センターからの世界的及び、地域的双方の海氷分析と
予報を提供し
ています。
¾ http://www.cis.ec.gc.caではカナダの氷の状態に関する情報を提供し、
¾ http://fram.nrsc.no/CEO
Training/Present.htmではバルチック海域の氷の状態に関する情報一般を提供しています。
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各地の気象台に連絡すると重要な情報を快く提供してくれます。氷の分布図も通信衛星のファックスで受け取
ることができます。
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砕氷船や各地の当局からの指示には慎重に従ってください。近道をして氷に閉ざされれば、直ちに救援を得る
のが困難なことがあります。
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潮流の流氷への影響を過小評価してはなりません。もし氷に閉ざされ、潮流の方向が不利であれば、船舶は
衝突、座礁その他の接触災害にさらされることになります。
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gardyourship
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氷海でプロペラを逆転させるときは、舵やプロペラへの損傷を避けるため注意深く制御して行わなければなり
ません。後退しようとするときは、まず機関を前進させてプロペラと舵の周辺の氷を押し離して下さい。後退も最
小限にし、舵やプロペラが硬い氷に接触しないようにしてください。
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特にバラストの状態では、冷却水の取り入れ口が氷で詰まることがあります。これは冷却水の不足を生じます
。このような状況を回避するため、機関部員には適切に概要を説明し、注意を促してください。
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水面上高さの大きい船舶や索具装置が外にある船舶は、着氷が船舶の安定性に影響を及ぼします。従って、
船舶を停止させ、槌その他適切な道具で氷を除去する必要があります。
造船所
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本船が修理造船所またはドックに入っているのであれば、寒冷被害にあう恐れのあるすべての機器・部品は
本船乗組員が検分するようにし、造船所や下請け業者に任せないで下さい。
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本船が何らかの被害を受けた結果造船所に入っており、その造船所に入っている間に極寒のため追加被害が
発生した場合は、その追加被害は別途のクレームとなり、多くの場合適用される控除額を下回ります。これは
船体・機器と休航の両方に当てはまります。
本船用燃料
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本船が修理造船所に入っているのであれば、本船用の重質燃料油はすべて摂氏20゜以上に加熱保持し、適
切な粘度を保つようにしてください。
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極寒の気候の港あるいは修理造船所にいる間は、本船用の重質燃料油を必ず常時適切に加熱保持し、給排
作業・使用に可能なだけの粘度を保つようにしてください。燃料油が適切な温度に保持されないと、十分使用
可能になるまで加熱するには何日もかかることがあり、したがって本船の出港を遅らせることになります。
氷中の航海 - 寒冷気候対策
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