3D-SSP インターフェースソフト“ iSSP " の紹介

断層映像研究会雑誌第 28巻第3 号
174・ (36)
研究報告
3D-SSP イ ンターフェ ース ソフト“ iSSP " の紹介
三 木秀哉
日本メ ジ フィ ジッ クス株式会社
製品企画部
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Bartenstein らは 1997年にはじめて SPECT で、の 応用を
報告し 5)、本邦においては、内田ら 6) により SPECT デ
Washington 大 学)の
ー タによる 3D-SSP解析の臨床応用が報告され、 3D­
Minos him a らによって開発された PET . SPECT脳機
SSP を用いた SPECT による痴呆の画像診断への 応用
能画像解析ソフト“ NEUROSTAT " に 含 まれている画
が注目されている 。
Michigan大 学( 現シアトル
像解析法である 。 被験者の脳機能画像の解剖 学 的標
3D-SSP解析は、ユーザ ー 登録 し、施設ごとの key
準化を行い、個々人の脳形態の個人 差 を解消後、灰
コードを入手後、 Michigan 大 学の FTP サーバーから
白質の機能情報を脳表へデータ抽出し、あらかじめ構
NEUROSTAT をダウンロ ード することにより実行可能
築 しておいた正常データベースとピクセル毎に統計学
であり、 NEUROSTAT は無償供給されている 。
的手法を用いた比較を行うことで、被験者の機能低下
しかし、ダウンロード後3D-SSP を 実行するために は、
部位を 三 次元定位脳表面投射画像上に表示する機能
プ ロ グラム毎に基本設定ファイルを作成すること、プ
を有する 1)。
ロ グラムの実行順序 ( プログラム名 ・ 入力画像ファイ
FDG-PET の検討では、 3D-SSP を用いることで早期
ル名 ・出 力画像ファイル名 ・ ライブラリファイル名 等)を
アルツハイマー病の検出や 2)、痴呆の鑑別診断が可能
記述したテキストファイルを作成することが必要であ
であること 3)、従来の断層画像の読影に比べ診断能が
向上し読影者間の経験の違いによる影響も少ないこ
とめが報告されている 。 また Munchen 工科大 学の
別刷 請 求先: 干 1 02-0073 東京都千代田区九段北 1 丁目 1 3番 5号
TEL
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り、また解析結果を画像表示するためには 別 途画像解
析ソフトの入手が必要で、あった 。
そこで、 3D-SSP解析をより簡便に実行するために
日本メジフイジ ッ クス株式会社
製品企画部
三 木秀哉
2001 年9 月 30 日
1
75
(
37)
NEUROSTAT のうちの 3D-SSP解析プ ロ グラムと解析
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対象データを ti任形式で画像 表示するプ ログラムおよ
び、千葉大学医学部放射線部内田 ・ 精神医学研究室
岡田らにより構築された 1231-1MP-SPECT による年
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齢階層別正常デ ー タベースをパッケージした
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ト“ iSSP " を Michigan大学 ・ 千葉大学 ・ 日本メジフイジ
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ッ クス株式会社の共同で開発した 。 以下に
ド同ト・
Macin tosh上で、動作する 3D-SSP インターフェースソフ
"iSSP"
の機能と特徴を述べる 。
図 2 :被験者 SPECTデータ
( ~.img ) の選択
iSSP の概要
一動作環境と 1'\ッ ケージー
動作環境は Power PC でも作動可能であるが、 実
用的な処理速 度 を保つため、 Macintosh
G3 , G4,
iMac(最新の OS を推奨)の使用を推奨する 。
の設定などは 一切なく 全 て 自動 的にデータ処理を行う
ことカf できる 。
解析結果は MacOS に標 準装備さ れている Pic t ure
本ソフ ト には、 3D-SSP を実行するためのプログラム、
Vlewer、または市販の写真加工ソフ トでも 表示 可能な
tiff形式画像への変換プログラム、西暦2001年6月 30 日
形式に変換されているため簡単に画像表示 ができ、ス
まで有効の k ey コード、 年齢 階層 別 1231-1MP正常デ
ライド 等 のプレゼンテー ションにも用いる ことが可能 で
ー タベ ー ス、動作確認用サンプルデ ー タが添付され
ある 。
ている 。
issp の処理過程と出力画像標示について
-iSSPの機能一
被験者SPECT デー タの解剖学的標準化と 灰白質の
血流情報の脳 表への データ抽出を行い、添付されて
いる 1231-1MP正 常デ ー タベ ー スと比較し、被験者の
脳 表Pixel毎の Z-score を 算 出し、血流の低下/増加部
実際 の処理過程と出力画像楳示について解説する 。
1
.iSSPのインストール
iSSP の CD-ROM をハード‘ テe イスク上に保存する こと
で、プログラムの実行が可能になる 。
位を Z-score にて画像表示する 。
2. ヘ ッダーファイルの作成
-iSSPの特徴一
被験者SPECT データのヘッダーファイルを作成後、
まず再構成後の トラ ンスアキシャ lレ SPECT画像デー
被験者SPECT データとヘ ッダ ーフ ァ イルの選択、被験
タをガンマカメラの処理装置から、 iSSP をインストール
者情報の入力、出力フ ァ イル名と出力フ ォ ルダの指定、
した PC上へ転送する 。 このデータの転送にはネ ッ トワ
データベース (年 齢階層 ) の選択を行うだけで3D-SSP
ー クの構築が必要であるが、ネ ッ トワークについての 説
解析が実行できる 。 この過程でNEUROSTAT におい
明はここでは 省 略する 。
て必要で、あった基本設定フ ァ イルの作成やパラメータ
デ ー タ転送後、この SPECT デ ー タに対応するヘ ッダP
ーフ ァイ ルを作成する 。
本ソフトにはヘ ッ ダ ー フ ァ イル のフォ ー マ ッ トが 添付
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シンプルテキストにてマ トリ クス サイ ズ -ピクセルサイ
ズ ・ スライス数 ・ スライス厚 ・ 画像方向などの SPECT
データの情 報 を記載する ( 図 1 ) 。 ここに記載された 情
報を基に SPECT データの処理が行われる 。
3. 被験者データと正常データベースの選択
フ ォ ルダiSSP-NMP を聞き プ ロ ク"ラムファ イル “ iSSP "
headerfileのフォ ー マット
headerfileのI2It例
図 1 :ヘ ッダ ーファイル記載例
をダフ事 ルクリ ッ ク後、画面の指示 (①~⑤の順番) に従
っ て、フ ァ イルを選択していくと、 3D-SSP解析がスタ ー
トする 。
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図 6 :出力画像例 (一一DEC .tif)
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図 4: 出力フ ァ イル名と出力フ ォ ルダの指定
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デ ー タの出力先として指定されたフォルダに作成され
DEC.tif
一一INC.tif : 正常デ ー タベ ー スと比較して、 血流が増
加している部位を Z-score で、表示した画像 (図 7) 。
直面
K Open I
巨
図 5 : デー タベ ー ス ( 年齢階層) の 選択
正常データベ ー スと 比較して、 血流が
低下している部位を Z-score で、表示 した画像 (図 6) 。
iSSP には、 4 つの基準部位 (全脳平均 ・ 視床 ・ 小脳 ・
橋) により正規化 された正常データベ ー スが添付され
ている 。 正規化方法毎での Z-score画像が表示され、
l つの基準部位に対 して 8 方向から見た画像が表示さ
れる 。
表示さ れる Z-score画像は以下の並び、 とな っている 。
① :被験者 SPECT データ
( ~ .i m g) 選択 ( 図 2)
上段:被験者の 血流 画像を 3 次元定位脳表面上に展
② :ヘ ッ ダ ー ファイル ( ~_ hdr) 選択( 図 3)
開 した画像
③ :被験者情報の入力 (図 3)
GLB : 全脳平均カウントで正規化したデータでの Z­
④ :出力フ ァ イル名と 出力 フォルダの指定 ( 図 4)
score画像
⑤ :データベース(年齢階層 ) の選択(図 5)
THL : 視床カウントで、正規化し たデ ー タで、の Z-score画
像
4. 出力画像の表示について
プ ログラムの 実行後 、 5 つの ti妊ファイル形式画像が
CBL : 小脳 カウントで、正規化した デ ー タで、の Z-score 画
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2001 年9 月 30 日
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PNS : 橋カウントで、正規化したデータで、の Z-score 画像
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解析の対象とな っ た SPECT画像の ACPC座標への
変換が正しく行われているかを確認するための画像で
ある 。 尚、この画像は標準脳への変換前の画像なの
で、脳の大きさや局所脳解制は標準脳 ( アトラス ) と異
な っ ている ( 図 8 ) 。
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!拝析の対象とな っ たオリジナルの横断断層画像であ
る ( 図 8) 。
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解析の対象とな ったオ リ ジナルの横断断層画像の
図 8: 出力画像例
AC-PC 線平行になるように切直しを行った闘像
上段 し_AP . tif ) 下段 し
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25mm スライス数 60枚に変換) で、脳の大きさの
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通常SPECT画像の解析では、非定量画像を対象と
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5. 画像解析結果の解釈 に ついて
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線に相 当 する ( 図 9 ) 。
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価 できる 。 この画像の 33番目のスライスが常に AC-PC
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層画像を 比較するとき、常に 一 定方 向のスライスで評
噂
@@@@。
を用いることで、異なる被験者のオリジナルの横断断
@@@@。
変形等 (標準脳への変換) は行 っ ていない 。 この画像
,ーーー~
した場合、画像 ( ピクセル値) を正規化し た上で、それ
~.
ぞれの対応するデータベースと比較する必要がある 。
しかし、 実 際の症例から得られた画像では、正規化 の
図 9 :出力画像例 し_STR.tif )
ための基準部位が、必ずしも正常であるとは限らない
上、それが画像を解析する以前にはわからない場合
向上させることができる 。 ただし Z-score だけに頼らず、
が多いという問題点がある 。
常に、オリジナルの断層像との対比を行い、最終的に
そこで、 iSSP では、自動的に 4 通りの異なる正規化
所見を断層像で確認することも必要である 。
を行 っ た仁で、それぞれの Z-score 画像を表示するこ
結語
とによ っ て、仮に、いずれかの基準部位に異常があ っ
ても、それ以外の基準部位による Z-score画像から、基
アルツハイマー病治療薬の上市に伴い、アルツハイ
準部位の異常、およびその 他の血流 異常部位が推 察
マー病の初期診断や治療効果の判定など脳核医学に
できるようにな っ ている 。
対する期待と 重要性は一段と増してきており 、より精
例えば、ある 症例では、橋と前頭葉の 血流が、その
他 の部位に比較して著しく低下している場合 、 橋で正
度 ・ 客観性の高い解析を行うため、統計学的画像診断
法が注目されている 。
規イじ した Z-score の画像は、前頭葉の血流低下を過小
そこで 3D-SSP による SPECT データの解析をより簡
評価する結果となる ( つまり、 Z-score 画像で、あまり
便に実行するためのインターフェ ー スソフ ト “ iSSP" を
異常が検出されない) 。 その場合、その 他 の基準部位
Michigan大 学 ・千 葉大学 ・ 日本メジフィ ジ、ツ クス株式
(全脳 、 視床 、小脳 ) での Z-score 画像は、いずれも
会社の共同で開発した 。
前頭葉の 血 流低下を検出し得るため、これら 4 つの異
なる正規化 による Z-score 画像を 比 較することに よ っ
て、 ~ I= 定 量 画像での、脳 血 流異常部位の検出精度を
SPECT データを対象にした 3D-SSPì法による解析を
行う際に“ iSSP" がその 一助となればと考えます。
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6 内田佳孝、岡田 真 一 、 蓑 島聡、他. 脳血流
SPECT の 3D-SSP による診断能向上について.
核医 学 ;
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