映像情報メディア学会ワードテンプレート (タイトル)

実世界指向ゲームインタラクション技術の歴史、
フィロソフィ、そして近未来
History, philosophy and near-future
in physical-oriented Game Interaction Interfaces
白井 暁彦†
Akihiko SHIRAI†
†神奈川工科大学
†Kanagawa Institute of Technology
Abstract: This lecture tells about a history, philosophy and near-future forecasting in physical-oriented game interaction
interfaces by historical science researches and actual case studies with haptic entertainment systems for infancy, massaging
exercise entertainment systems and some physical evaluation methodologies in past 14 years and more.
1. は じ め に
2.2. フィロソフィ:カイヨワとピアジェ
本講は実世界指向ゲームインタラクション技術に
お け る 著 者 の 14 年 余 の 研 究 に つ い て の ケ ー ス ス タ デ
次に,ロジェカイヨワによる「遊びの成立」を現代
ィを中心とする知見の共有である.まず,本講で扱う
語訳し,エンジニアリングにおいてとかく目を閉じが
実世界指向ゲームインタラクション技術 について,人
ちな遊戯状態の成立とその特徴について解説する.
類の映像情報メディアとの長い歴史の接点を紐解きな
がら,エンタテイメントシステムの定義とともに 本質
的な問題提起を共有する.
2. 歴 史 を ふ り か え る
2.1. 「あそび」の研 究 とその歴 史
まず,図1に挙げるような近代から脈々と続く「あ
そび」に関する研究とその歴史を 解説する.
遊びに関する研究が,現代のみではないことを理解
できるとともに,過去の命題が現在も重要な意味を持
っていることに気づかされる.
【図2:遊びの成立と遊戯状態】
続 い て ピ ア ジ ェ の 発 達 心 理 学 の 視 点 か ら ,「 遊 び の
段 階 説 」 を 引 用 す る . 感 覚 運 動 遊 び ( Sensory Motor
Play),象 徴 的 遊 び( Symbolic Play),ル ー ル 遊 び( Rule
Play) が 段 階 を お っ て 発 現 す る こ と に つ い て 具 体 的 事
例とともに解説する.
【 図 1 :「 あ そ び 」 の 研 究 と そ の 歴 史
~ 中 世 近 代 か ら 20 世 紀 末 ま で 】
【図3:遊びの成立と遊戯状態】
【 図 5 : Fantastic Phantom Slipper(1997)】
3.2. 「Tangible Playroom」
2.3. 現 代 における問 題 :遊 びの不 成 立
3 次 元 触 覚 デ ィ ス プ レ イ SPIDAR と リ ア ル タ イ ム 物
さらに最新の考察として,カイヨワ説が現在の遊び
理シミュレーション,床面ディスプレイを統合した,
のコンテンツやシステム,文化の中で成立していない
言語・文化非依存の幼児向け触覚エンタテイメントシ
現状を共有する.またピアジェの提案した「感覚運動
ス テ ム 「 Tangible Playroom」 シ リ ー ズ .
遊び」が現在非常に重要な意味を持ってい ることを指
摘する.
【 図 6 : Tangible Playroom】
3.3. 「the Labyrinth Walker」
【図4:現代における問題】
無限足踏み歩行によるエンタテイメントシステム.
3. 実 世 界 指 向 エ ン タ テ イ メ ン ト シ ス テ ム
3.1. 「Fantastic Phantom Slipper」
世界初のスリッパ型インタフェースによるリアル
タ イ ム 光 学 モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ (400FPS), 床 面 ド ー
ム型スクリーン,足裏への動的ファイントムセンセー
シ ョ ン (PhS) に よ る エ ン タ テ イ メ ン ト シ ス テ ム .
SIGGRAPH’98 Enhanced Reality に て 発 表 .
【 図 7 : the Labyrinth Walker】
3.4. 「GPU Vision & AceSpeeder2」
600fps を 実 現 し た GPU に よ る リ ア ル タ イ ム 画 像 処
理インタフェース.実際のレースゲームプロダクト
「 AceSpeeder2」に 組 み 込 ん で パ ッ ド や WiiRemote と の
比較実験を行った.
【 図 8 : GPU Vision と AceSpeeder2】
3.5. 「RoboGamer」
GPU に よ る 高 速 並 列 画 像 処 理 と 触 覚 デ ィ ス プ レ イ
を応用した「共にゲームで遊べるロボット:
RoboGamer」 シ リ ー ズ .
【 図 9 : RoboGamer mark-2】
3.6.
「LovePress++」
想像力を喚起させることによる,全身全力でマッサ
ージできるエクササイズ・エンタテイメントシステム
(EES)「 LovePress++~ 俺 の 嫁 に マ ッ サ ー ジ ~ 」.そ の 評
価関数の設計と被験者実験,非同期テレイクジスタン
ス エ ン タ テ イ メ ン ト ,ア バ タ ー 設 計 へ の 応 用( 図 10).
【 図 10: LovePress++】
4. 近 未 来 : 映 像 多 重 化 技 術
4.1. 3D 互 換 の映 像 多 重 化 技 術 「Scritter」
3D デ ィ ス プ レ イ と 互 換 の 方 法 で 情 報 を 選 択 で き る .
【 図 11: Scritter に よ る 多 言 語 字 幕 】
4.2. 隠 蔽 画 像 技 術 「ScritterH」
裸眼の視聴者と眼鏡着用視聴者に別々のコンテン
ツ を 共 有 し て 上 映 す る こ と が で き る 技 術 「 ScritterH」.
【 図 13: パ ブ リ ッ ク ス ペ ー ス に お け る
エンタテイメントシステムの設置評価】
iPhone ア プ リ を 用 い た 加 速 度 セ ン サ の 活 用 例 .
【 図 11: ScritterH と そ の 応 用 例 】
5. 評 価 :「 面 白 さ 」 を 物 理 的 に 測 定 す る
こ こ ま で の 研 究 成 果 の 根 底 に 流 れ る 視 点 と し て ,,エ
ンタテイメントシステムを定義し非言語・多文化の環
境において,その効果や機能を物理的に測定できる可
能性がある.当初は触覚の効果について測定を行って
い た が ,現 在 で は ,集 中 力 や ,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 場 ,
抽象的な映像作品における作品向上に役立てている.
【 図 12:エ ン タ テ イ メ ン ト シ ス テ ム と コ ミ ュ ニ ケ ー
ション場の構成例】
6. 近 未 来 : KINECT 以 降 の 研 究 開 発
【 図 14: 抽 象 的 動 画 作 品 に 対 す る
スマートフォンの高精度加速度センサを用いた
非言語作品分析】
田 一 乘;“GPU の 先 駆 的 利 用 の 研 究 動 向 と 将 来 像 ”,
芸 術 科 学 会 論 文 誌 ,6 巻 3 号 ,pp.167-178(Aug.2007)
[8] 岩 楯 翔 仁 , 荒 原 一 成 Zhou Li, 白 井 暁 彦 ;“ ResBe:
エンタテイメントシステム周囲のコミュニケー
シ ョ ン 場 に 対 す る 遠 隔 評 価 手 法 の 提 案 ”, 日 本 バ
ー チ ャ ル リ ア リ テ ィ 学 会 大 会 , (Sep. 2010)
[9] 加 藤 匠 , 白 井 暁 彦 , 田 中 健 司 , 早 川 貴 泰 , 服 部
元 史 :“ 抽 象 的 な ア ニ メ ー シ ョ ン 作 品 視 聴 に 対 す
る加速度センサを用いた自然なユーザ解析手法
の 提 案 ”, IT を 活 用 し た 教 育 シ ン ポ ジ ウ ム 講 演 論
文 集 ,神 奈 川 工 科 大 学 ,Vol.5, pp.53-56 (Mar 2011)
[10] 山 田 英 樹 , 白 井 暁 彦 , 河 北 真 宏 , 三 ツ 峰 秀 樹 ,
中 嶋 正 之 ;”Axi-Vision を 用 い た 三 次 元 モ デ リ ン グ ”,
情 報 処 理 学 会 第 67 回 全 国 大 会 (2005-03)
[11] 白 井 暁 彦 , 小 林 希 一 , 河 北 真 宏 , 斉 藤 豪 ,中 嶋 正 之 ;
“ Axi-Vision カ メ ラ に よ る モ デ リ ン グ と シ ャ ド
ウ イ ン グ ”, 映 像 情 報 メ デ ィ ア 学 会 技 術 報 告 , 映
像 情 報 メ デ ィ ア 学 会 pp.9-12(june 2004)
[12] Hajime MISUMI, Wataru FUJIMURA, Takayuki
KOSAKA, Motofumi HATTORI, Akihiko SHIRAI;
“Development of serious game which use full body
interaction and accumulated motion”, NICOGRAPH
2011 International Posters (June 2011)
[13] Hajime MISUMI, Wataru FUJIMURA, Takayuki
KOSAKA, Motofumi HATTORI, Akihiko SHIRAI ;
“GAMIC: Exaggerated real time character animation
control method for full-body gesture interaction
systems”, SIGGRAPH 2011 Posters, Aug 2011
†神奈川工科大学
【 図 15: KINECT で の 評 価 関 数 と GAMIC
(Game Action Motion Interaction Controller );
誇張モーションの適正タイミング再生ツール】
文
献
[1] 白 井 暁 彦:“ 実 世 界 指 向 ゲ ー ム イ ン タ フ ェ ー ス に
よ る イ ン タ ラ ク シ ョ ン 技 術 の 基 盤 研 究 力 強 化 ”,
映 像 情 報 メ デ ィ ア 学 会 誌 . 63(10) , pp.1394-1399
(Oct. 2009)
[2] 白 井 暁 彦 , 長 谷 川 晶 一 , 小 池 康 晴 , 佐 藤 誠 :
“ タ ン ジ ブ ル・プ レ イ ル ー ム : 「 ペ ン ギ ン ホ ッ ケ
ー 」”, 日 本 バ ー チ ャ ル リ ア リ テ ィ 学 会 論 文 誌 , 7
巻 4 号 , pp. 435-444 (Dec. 2002)
[3] 白 井 暁 彦 :“ エ ン タ テ イ メ ン ト シ ス テ ム ”, 芸 術
科 学 会 論 文 誌 , Vol.3, No. 1, pp. 22-34, (Jan. 2004)
[4] Yuichiro Kume, et. Al.:“ Foot interface: fantastic
phantom slipper” , ACM SIGGRAPH 98 Conference
abstracts and applications,pp. 114 (Jul. 1998)
[5] Akihiko Shirai, Lionel Dominjon, and Masafumi
Takahashi:“ RoboGamer: a robotic tv game player”,
ACM SIGCHI International Conference on Advances
in computer entertainment technology ( 2005)
[6] Akihiko
SHIRAI,
Erik
GESLIN,
Simon
RICHIR;“WiiMedia: : motion analysis methods and
applications using a consumer video game
controller”, Sandbox '07 Proceedings of the 2007
ACM SIGGRAPH symposium on Video games (2007)
[7] 新 庄 貞 昭 , 高 橋 誠 史 , 木 村 秀 敬 , 白 井 暁 彦 , 宮
〒 243-0292
情報学部
情報メディア学科
神 奈 川 県 厚 木 市 下 荻 野 1030
TEL 046-291-3201 E-mail: shirai@ic.kanagawa -it.ac.jp