No.1-2002 2003年 1 月 社団法人 日本海事検定協会 安 全 技 術 室 IMDG コード改正(Amdt.31-02)概要について □ はじめに 危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)、同告示等に定める要件の基準となっている国際海上危険 物規程第 31 回改正(IMDG コード Amdt.31-02)が国際海事機関(IMO)の第 75 回海上安全委員会(2002 年 5 月開催)で採択されました。今回の改正は、危険物輸送に関する国連勧告(国連勧告)第 12 版の内 容の採入れが主体です。また、IMDG コードの改正と同時に海上人命安全条約(SOLAS 条約)第Ⅶ章 (危険物の運送)の改正も行われました。つきましては IMDG コード第 31 回改正の概要について下記のと おりお知らせします。 記 1.SOLAS 条約改正と強制 IMDG コード 今までは IMDG コードの規定は SOLAS 条約上勧告として取り扱われているため、条約の締約国はコー ドの規定全てを国内規則に採り入れる必要はなく、それぞれの締約国が国内事情を考慮の上コードの 必要な部分のみを国内規則に採り入れて実施していました。しかしながら、昨年5月の SOLAS 条約第Ⅶ 章の改正によって 2004 年 1 月 1 日からは IMDG コードの規定は同条約に基づく強制要件となります。し たがって 2004 年 1 月 1 日からは、同条約締約国は改正された IMDG コードの規定全てを国内規則に採 り入れ、実施することが強制されることになります。なお、改正 IMDG コードは 2003 年 1 月 1 日から有効 となっているので、国によっては先行して採り入れ実施する場合もあります。わが国においては平成 16 年 1 月 1 日施行を目途に現在危規則改正準備作業が進められています。IMDG コード強制化のために 改正された SOLAS 条約第Ⅶ章関連部分の抜粋(仮訳)は次のとおりです。 1 IMDG コード強制化のための SOLAS 条約第Ⅶ章の改正(抜粋)(resolution MSC.123(75)) (仮訳) 第Ⅶ章 Chapter VII 危険物の運送 Carriage of dangerous goods 第1規則:定義 Regulation 1 : Definition For the purpose of this chapter, unless expressly 1 この章の規定の適用上、別段の明文の規定がない 限り、 provided otherwise: International 1 「IMDG コード」とは機関の海上安全委員会が決 Maritime Dangerous Goods (IMDG) Code 議 MSC.122(75)において採択した国際海上危険物 adopted by the Maritime Safety Committee 規程をいい、同規程は、条約第 8 条に定める附属 of IMDG Code means the resolution 書第Ⅰ章以外の附属書に適用される改正手続きに MSC.122(75), as may be amended, provided 従って採択され、かつ、効力を生ずる同規程の改正 that such amendments shall be adopted, を含む。 the Organization by brought into force and take effect in accordance with the provisions of article VIII of the present Convention concerning the amendment procedure applicable to the annex other than chapter I. 2 Dangerous goods mean the substances, materials and articles covered by the IMDG 2 「危険物」とは IMDG コードの適用を受ける物質、 材質及び物品をいう。 Code. 3 Packaged form means the form of 3 「容器に収納された状態」とは IMDG コードによっ て規定された収納状態をいう。 containment specified in the IMDG Code. 第3規則 Regulation 3 The carriage of dangerous goods in packaged form shall comply with the relevant provisions of 容器に収納された危険物の運送は、関連する IMDG コードの規定によらなければならない。 the IMDG Code. 2.IMDG コードの構成及び非強制部分 IMDG コードの構成は、原則国連勧告と整合しており次の各 PART から構成されています。 PART 1 一般規定、定義及び教育訓練 PART 2 分類 PART 3 危険物リスト及び少量危険物 PART 4 容器及びタンク規定 PART 5 輸送手順 PART 6 小型容器、IBCs、大型容器、ポータブルタンク及び道路タンク車の構造及び試験 PART 7 輸送上の取り扱いに関する規定 前項で述べたとおり IMDG コードの規定は SOLAS 条約の規定に基づく強制要件となりますが、いくつか の理由から次に掲げる8の項目は強制化されず、勧告のまま残されることとなり、このことは IMDG コード の第 1.1.1.5 項に明確に規定されています。 2 ① 1.3 節(教育訓練) ② 2.1.0 項(火薬類に関する注) ③ 2.3.3 項(引火点の決定方法) ④ 3.2 節 危険物リスト 15 欄(非常措置指針)及び 17 欄(性質用途) ⑤ 3.5 節(放射性物質の運送規定) ⑥ 5.4.5 項(複合輸送用危険物運送書類書式) ⑦ 7.3 節(事故時の特別規定及び危険物の係る火災予防規定) ⑧ 付録B(用語解説) なお IMDG コードの出版物 注1)は、総則及び一般規定(上記 PART3 以外)が Volume 1 へ、各品名毎の 運 送 要 件 を ま と め た 危 険 物 リ ス ト ( 上 記 PART3 ) が Volume 2 へ 、 さ ら に そ の 他 関 連 コ ー ド 等 が Supplement へと合計 3 冊に取りまとめられています。 注1) 購入方法はIMOホームページを参照して下さい。ホームページアドレスはwww.imo.orgです。 3. IMDG コードの主な規定の改正点 (1) 教育訓練(IMDG コード:パラグラフ 1.3.1.4∼1.3.1.6) 危険物海上運送に係わる全ての陸上関係者に対する職能別教育訓練規定が導入され、推奨され る教育訓練要件、関連規定、関連コード等が具体的に規定されています。 (2) 無外装の危険物(IMDG コード:パラグラフ 4.1.3.8) クラス1火薬類以外の無外装の危険物物品(empty, uncleaned and unpackaged)の輸送に対する 規定が新設されました。同輸送に対する主管庁による許可の際に考慮すべき事項等が記述されて います。 (3) 包装要件 P200 ガス容器の詳細規定の導入(IMDG コード:パラグラフ 4.1.4.1) 包装要件 P200 中に圧力容器として「cylinders」、「pressure drums」、「bundles of cylinders」、 「tubes」、「MEGCs」及び「cryogenic receptacles」の使用が認められることになります。 これらの圧力容器については、IMDG コード 1.2.1(定義)に次のように定義されています。 ① cylinders:シリンダーとは、可搬式の圧力容器であって内容積が 150 リットル以下のものをいう。 ② pressure drums:圧力ドラムとは、溶接された可搬式の圧力容器であって、内容積が 150 リット ルを超え 1,000 リットル以下のものをいう。(例:輪状のタガつきのシリンダー状容器、枕木付球 体容器) ③ bundles of cylinders:シリンダー束とは、マニホールドによって結合され、一つのユニットとして運 送されるシリンダー集合体をいう。合計内容積は 3,000 リットル(クラス 2.3 の物質を運送するシリ ンダー集合体にあっては 1,000 リットル)を超えてはならない。 ④ tubes:管(チューブ)とは、継ぎ目のない可搬式の圧力容器であって内容積が 150 リットルを超 え 3,000 リットル以下のものをいう。 3 ⑤ cryogenic receptacles:極低温ガス容器とは、深冷液化ガス用の可搬式断熱容器であって、内 容積が 1,000 リットル以下のものをいう。 (4) 集合ガス容器(MEGCs: Multiple-element Gas Containers)の導入(IMDG コード:パラグラフ 1.2.1、 4.2.4、6.7.5) IMDG コード 1.2.1(定義)に次のように定義されています。 「集合ガス容器(MEGCs)とは、各輸送モード共通の、マニホールドで結合され、枠組みでまとめられ たシリンダー集合体をいう。MEGCs には、ガスの運送に必要な附属設備を含む。」 (5) 少量危険物の表示方法の変更 次のとおり少量危険物及びそれのみを収納するコンテナに係わる表示方法、表示場所等が明確に規定 されました。 ① IMDG コード・パラグラフ 3.4.5.1.1: 危険物の正式品名を表示する必要はないが、菱形内に危険物の国連番号(UN の文字に続けて)を表 示しなければならない。菱形のラインの太さは、2 ミリメートル以上とし、国連番号の高さは 6 ミリメートル 以上でなければならない。国連番号が異なる 2 以上の危険物が同一輸送物内に収納されている場合に は、菱形は、それぞれの国連番号を表示するのに十分な大きさでなければならない。 ② IMDG コード・パラグラフ 3.4.5.2: 貨物輸送ユニットに収納されている危険物が少量危険物のみの場合には、そのユニットにコンテナ用標 札を貼付する必要はない。しかしながら、そのユニットには、パラグラフ 5.3.2.4 に従って外表面に高さ 65 ミリメートル以上の文字で“LIMITED QUANTITIES”又は"LTD QTY"と適切に表示をしなければならな い。 ③ IMDG コード・パラグラフ 5.3.2.4: 貨物輸送ユニットに収納されている危険物が少量危険物のみの場合には、そのユニットにコンテナ用標 札を貼付する必要はない。しかしながら、そのユニットには、パラグラフ 5.3.1.1.4.1 に規定された位置に高 さ 65 ミリメートル以上の文字で“LIMITED QUANTITIES”又は"LTD QTY"と表示をしなければならない。 ④ IMDG コード・パラグラフ 5.3.1.1.4.1: .1 貨物輸送ユニットは、当該ユニットの各側面に1個所及び前後面に各 1 個所 4. 危険物リスト(3.2 節)の主な改正点 (1) 新規危険物エントリー(19 エントリー) ① UN2030 ② UN2030 ③ ④ ⑤ UN3361 UN3362 UN3364 HYDRAZINE, AQUEOUS SOLUTION with more than 37% hydrazine, by mass (Packing group I) HYDRAZINE, AQUEOUS SOLUTION with more than 37% hydrazine, by mass (Packing group III) CHLOROSILANES, TOXIC, CORROSIVE, N.O.S. CHLOROSILANES, TOXIC, CORROSIVE, FLAMMABLE, N.O.S. TRINITROPHENOL (PICRIC ACID), WETTED with not less than 10 % water, by mass 4 ⑥ UN3365 ⑦ UN3366 ⑧ ⑨ ⑩ UN3367 UN3368 UN3369 ⑪ ⑫ ⑬ UN3370 UN3371 UN3372 ⑭ UN3372 ⑮ UN3372 ⑯ ⑰ ⑱ UN3373 UN3374 UN3375 ⑲ UN3376 TRINITROCHLOROBENZENE (PICRYL CHLORIDE), WETTED with not less than 10 % water, by mass TRINITROTOLUENE (TNT), WETTED with not less than 10 % water, by mass TRINITROBENZENE, WETTED with not less than 10 % water, by mass TRINITROBENZOIC ACID, WETTED with not less than 10 % water, by mass SODIUM DINITRO-o-CRESOLATE, WETTED with not less than 10 % water, by mass UREA NITRATE, WETTED with not less than 10 % water, by mass 2-METHYLBUTANAL ORGANOMETALLIC COMPOUND, SOLID, WATER-REACTIVE, FLAMMABLE, N.O.S. (Packing Group I) ORGANOMETALLIC COMPOUND, SOLID, WATER-REACTIVE, FLAMMABLE, N.O.S. (Packing Group II) ORGANOMETALLIC COMPOUND, SOLID, WATER-REACTIVE, FLAMMABLE, N.O.S. (Packing Group III) DIAGNOSTIC SPECIMENS ACETYLENE, SOLVENT FREE AMMONIUM NITRATE EMULSION or SUSPENSION or GEL intermediate for blasting explosive 4-NITROPHENYL HYDRAZINE with not less than 30 % water, by mass (2) 削除された危険物エントリー(10 エントリー) 注2) ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ UN0223 UN2068 UN2069 UN2070 UN2071 UN2072 UN2072 UN2072 UN2812 UN3353 AMMONIUM NITRATE FERTILIZER AMMONIUM NITRATE FERTILIZER AMMONIUM NITRATE FERTILIZER AMMONIUM NITRATE FERTILIZER AMMONIUM NITRATE FERTILIZER AMMONIUM NITRATE FERTILIZER(Packing Group I) AMMONIUM NITRATE FERTILIZER(Packing Group II) AMMONIUM NITRATE FERTILIZER(Packing Group III) SODIUM ALUMINATE, SOLID AIR BAG INFLATORS, COMPRESSED GAS or AIR BAG MODULES, COMPRESSED GAS or SEAT-BELT PRETENSIONERS, COMPRESSED GAS 注2) (1) 硝酸アンモニウム(硝安)エントリー: 硝酸アンモニウム関連のエントリーが整理・統合されたため上記エントリー(UN 0223、UN 2068、 UN 2069、UN 2070、UN 2071、UN 2072(PGⅠ∼Ⅲ)が削除されました。 (2) アルミン酸ナトリウム(固体)(UN2812): 航空輸送時にのみ危険物に該当します。 (3) エアバックインフレーター(UN3353): クラス2のエアーバッグインフレーター等は削除され、クラス1又は9に分類されました。 (3) エントリーの一部要件が変更されました。 エアゾール(UN1950)、リチウム電池(UN3090)等、約 200 の危険物エントリーの一部要件(Special Provisions、容器包装等)が変更されました。詳細については、IMDG コード第 31 回改正の危険物リス トをご確認下さい。 5 5.IMDG コードの別冊付録(Supplement)の収録内容 (1) Emergency Response Procedures for Ships Carrying Dangerous Goods (The EmS Guide) 「 危 険 物 を 運 送 す る 船 舶 の 非 常 措 置 指 針 」 が 「 EMS ガ イ ド 」 と し て 全 面 的 に 改 訂 さ れ ま し た 。 (MSC/Circ.1027, 17 July 2002 承認) 従来、危険物リストの第 15 欄の EmS については、危険物のクラスとその対応する非常措置との組合 せ(例:3-07、*等)で記載されていましたが、今回の改正で火災(Fire)時の措置と漏洩(Spillage)時の 措置とにそれぞれ分けて記載されることになりました。(例:F-E, S-E、F-B, S-X 等) (2) Medical First Aid Guide for Use in Accidents Involving Dangerous Goods (MFAG) (3) Reporting Procedures (General Principles for Ship Reporting Systems and Ship Reporting Requirements including Guidelines for Reporting Incidents Involving Dangerous Goods, Harmful Substances and/or Marine Pollutants) (4) IMO/ILO/UN ECE Guidelines for Packing Cargo Transport Units (5) International Code for the Safe Carriage of Packaged Irradiated Nuclear Fuel, Plutonium and High-Level Radioactive Wastes on board Ships (6) Recommendations on the Safe Use of Pesticides in Ships (7) Appendix:Resolutions and Circulars referred to in the IMDG Code and supplement 以上 6
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