働く世代の禁煙を考える

「禁煙のすすめ」
シリーズ No.5
一般社団法人 日本動脈硬化学会
働く世代の禁煙を考える
喫煙による生産性損失時間
喫煙者のプレゼンティーズム(出勤はしているが
仕事が通常通りにできない)による損失時間は
年間76.5時間! 非喫煙者、元喫煙者と比べ最も
多くなっています。アブセンティーズム(欠勤)
も、喫煙者は非喫煙者に比べ年間で18時間も
生産性損失時間が多くなっています。
喫煙による生産性損失時間
喫煙は年130時間のムダ!
140
120
プレゼンティーズム
(出勤はしているが業務遂行障害)
による1年あたりの損失時間
1年あたりの総損失時間
95.2
100
時 間
80
60
40
129.7
アブセンティーズム
(欠勤)
による1年あたりの損失時間
78.0
42.8
35.2
76.5
56.0
53.2
39.2
20
0
非喫煙者
元喫煙者
現在喫煙者
米国ヘルス&プロダクティビティ
・マネージメント研究所
(IHPM)
所長兼CEO ショーン・サリバン氏による
禁煙でお金や時間がこんなに節約
まずお金が節約できます。
1日一箱(20本)なら年間約15万円、二箱(40本)なら、
約30万円の節約が出来ます。
また時間も節約できます。一本吸うために職場等
を離れる時間が5分としても、禁煙すれば一箱吸う人は一年間で約25日間、二箱
吸う人は約50日間の時間を得ることができます。
禁煙で得るもの
お金の節約
1日20 本:410円×365日=1 4 9 , 6
時間の節約
50円!
1日40 本:820円×365日= 2 9 9 , 3
5分×20 本×365日≒608 時間≒ 2 5日間!
00円!
5分×40 本×365日≒1,216 時間≒5 0日間!
メタボのリスクは喫煙で倍増
喫煙者は心血管疾患につながりやすいメタボリックシンドロームのリスクが非喫
煙者に比べて 2 倍となっています。
タバコを吸うことで内臓脂肪が蓄積しやすく、HDL コレステロール(善玉コレ
ステロール)
も低下するといわれています。
(三井記念病院法定健診受診者)
30
メタボリックシンドローム罹患率%
女性
男性
26
20
22
10
13
13
吸う
吸わない
9
6
0
吸わない
止めた
止めた
吸う
Ishizaka N et al. Association between cigarette smoking, metabolic syndrome,
and carotid arteriosclerosis in Japanese individuals. Atherosclerosis 181: 381-388, 2005.
「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」
報告書
(平成 22 年 5 月 26 日 厚生労働省労働基準局安全衛生部)
会社(事業者)は受動喫煙防止対策が必要
労働者の健康障害
防 止という観 点 か
ら取り組むべき
一般の事務所や工場
においては、全面禁煙
又は喫煙室の設置に
よる空間分煙とするこ
とが必要
事業者の努力義務
ではなく、義務と
すべき
厚生労働省においては、本報告書の内容等を踏まえ、今後、制度改正について法
案の提出等を予定しています。
但し、動脈硬化学会などが参加する
「禁煙推進学術ネットワーク」では、あくまで
建物内の全面禁煙実施が必要と考えており要望書を提出しています。
こんなに怖い受動喫煙
(同居者や同僚の喫煙で心筋
塞のリスクが上昇)
受動喫煙で心筋 塞や狭心症などの危険性が高くなることが分かっています。
また、
タバコ煙をあびればあびるほどその危険性が高まります。
2
1.44*
受動喫煙による
心筋 塞リスク
吸い込んでしまう
ことをいいます。
1.00
0
受動喫煙なし
自分が喫煙したのではないのに
他の人のタバコの煙を
1.16*
1
受動喫煙とは
低∼中程度曝露
1∼14本程度まで
中∼高程度曝露
15∼20本程度まで
同居者・同僚喫煙本数/日
(米国公衆衛生長官報告2006年版)
は有意に高いことを示します。
*
ニコチン依存症のスクリーニングテスト
はい
1点
設問内容
問1
自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことが
ありましたか。
問2
禁煙や本数を減らそうと試みて、
できなかったことがありましたか。
問3
禁煙したり本数を減らそうとしたときに、
タバコがほしくてほしくて
たまらなくなることがありましたか。
いいえ
0点
禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか。
問 4 (イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、
胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
問5
問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めること
がありましたか。
問6
重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに
吸うことがありましたか。
問7
タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、
吸うことがありましたか。
問8
タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、
吸うことがありましたか。
問9
自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
問10
タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度か
ありましたか。
合計が5点以上で
ニコチン依存症と診断されます。
条件が えば、
健康保険で
治療もできます。
合 計
3種類の禁煙治療
ニコチン置換療法
1 ニコチンガム
薬局で購入
非ニコチン製剤(飲み薬)
2 ニコチンパッチ
3 バレニクリン
禁煙外来で保険治療
健康保険で治療できる条件は、患者自らが禁煙を望むこと、
ニコチン依存症診断用のスクリーニングテスト
(上記)
を行いニコチン依存症と診断された者、
1日の喫煙本数と喫煙年数を掛けた値が200以上であること、治療方法に関しての説明を受けて治療に関する承諾書を記述すること。
http://www.j-athero.org/guide/index.html
発行:一般社団法人 日本動脈硬化学会 禁煙推進部会
問い合わせ先:日本動脈硬化学会事務局
(jas@j-athero.or.jp)