No. 工学研究科国際交流たより Annual Report regarding International Exchange and Education Graduate School of Engineering, Osaka University 38 大阪大学大学院工学研究科 Graduate School of Engineering, Osaka University 教育学務国際室留学生相談部 Advisory Division for International Students Education, Student and International Affairs Board ᐔᚑ 24 ᐕᐲ ࿖㓙ᵹᆔຬળ᭴ᚑຬ ࿖㓙ᵹᆔຬળ ᳁ฬ ࡔ࡞ࠕ࠼ࠬ ౝ✢ ⠨ 㧔ᧃየߩ osaka-u.ac.jp ߪ⋭⇛㧕 ᆔຬ㐳 ℂ㧔࿖㓙ᵹᜂᒰ㧕 ᳰ ᒾ ike@see.eng. 7672 ోቇ࿖㓙ᵹᆔຬળᆔຬ ⅣႺࠛࡀ࡞ࠡᎿቇኾᢎ ᆔຬ㐳 ⇐ቇ↢⋧⺣ㇱㇱ㐳 ᚭ↰ ᐘ toda@naoe.eng. 7338 ✚วᎿቇኾᢎ ᷰㆺ ⡸ watanabe@bio.eng. 7427 ↢వ┵Ꮏቇኾᢎ 㑐 ୃᐔ seki@chem.eng. 4586 ᔕ↪ൻቇኾᢎ ═ ⑲ kasai@dyn.ap.eng. 7857 ♖ኒ⑼ቇᔕ↪‛ℂቇኾᢎ ᱞ⍹ ⾫৻㇢ takeishi@mech.eng. 7311 ᯏ᪾Ꮏቇኾᢎ ⨹ ᩕม arai@mapse.eng. 7555 ࿖㓙ᢎ⢒ᵹࡦ࠲ᢎળ ᭴ᚑຬ ࡑ࠹ࠕ࡞↢↥⑼ቇኾᢎ ᧁ ື yagi@eei.eng. 7785 㔚᳇㔚ሶᖱႎᎿቇኾᢎ ቝㇺች utsu@mat.eng. 7503 ࡑ࠹ࠕ࡞↢↥⑼ቇኾᢎ 㒳Ꮸ okunishi@fsao.eng. 8972 ⇐ቇ↢⋧⺣ㇱਥછ⻠Ꮷ 㒳Ꮸ ੩ሶ imai-k@office. 7221 ᢎോ⺖㐳 㒳Ꮸ ᴡේ ᷕ kamigawara-a@office. 7222 ᢎോ⺖㐳 㒳Ꮸ ⍫↰ ሶ yada-m@office. 3253 ᢎോ⺖⇐ቇ↢ଥ㐳 㒳Ꮸ ḡᵻ ৻ yuasa-k@office. 7225 ᢎോ⺖⇐ቇ↢ଥਥછ ᅏ ℂ ᢎ⢒ቇോ࿖㓙ቶ⇐ቇ↢⋧⺣ㇱ ᳁ฬ ㇱ㐳 ᚭ↰ ᐘ ࡔ࡞ࠕ࠼ࠬ ౝ✢ toda@naoe.eng. 7338 ⻠Ꮷ ᅏ ℂ okunishi@fsao.eng. 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ii ― 1 平成 24 年度 国際交流委員会活動報告 工学研究科長・工学部長挨拶 工学研究科・国際交流委員会/留学生相談部の さらなる活性化に向けて 昨年夏から大阪大学の執行部が変わり、大学全体としての新たな国際交流活動の取り組 みがスタートしました。特に、全学レベルにおいて、学部生の10%を留学生として受け入 れる将来構想が示されるなど、国際交流に関わる種々の問題の抽出と今後の進むべき方向 性の探索がなされています。また、国内では秋学期入学等の話題が沸き起こるなど、国際 交流を軸とした長期的な大学のあり方が問われており、益々国際交流活動の重要性が増し ています。さらに、海外からの留学生の受け入れを増加させることは少子化の問題とも絡 んで、社会全般の問題としても大きな課題のひとつとなっています。 工学研究科の国際交流委員会と留学生相談部では、この状況に鑑み、工学研究科の国際 交流活動が関わる様々な問題点を抽出して、今後取り組むべき課題を明確にすることを試 みております。以下に、これまでに行って来ました国際教育活動を簡単に紹介させていた だきます。この紹介が工学研究科の国際交流委委員会と相談部の役割の重要性を、教職員 の方々にお伝えできる一石となれば幸いです。 周知のように、工学研究科では現在500名を超える留学生が滞在しており、その数は大阪 大学全体の留学生数の約 3 割にも達しています。そのため、工学研究科は様々な国際教育 プログラムに参加するとともに新規プログラムを開発しております。例えば、学部生対象 の Global 30(国際化拠点整備事業、大学国際化のためのネットワーク形成事業)の化学・ 生物学複合メジャーコースに参画するとともに、大学院においては 4 つの英語特別コース を開講しております。さらには、アジア人材プログラムなど、特徴ある国際交流活動を展 開しています。部局間協定に関しましても、工学研究科だけで47件(平成24年 4 月現在) の協定を世界の有数な大学・研究機関等と結んでいます。また、工学英語を学ぶために特 別に企画された夏季研修を運営し、毎年 8 月から 9 月にかけて学部学生にはオーストラリ アのモナシュ大学、大学院生には米国西海岸の大学への派遣活動を行っています。前者は 平成25年度で 4 年目となり、後者は10年目を迎えます。さらに平成24年度からは、文系学 部が主催するグローニンゲン大学への春季研修に共催として参加する取り組みを始めてお ります。すなわち、異なった学部間の国際教育プログラム連携にも積極的に関わっていま す。上記したプログラム参加・展開ならびに協定の締結の他に、大学院学生には「工学英 語 I&II」の授業を提供するとともに、学部学生にも工学専門分野のコンテンツを利用した 英語 e-learning 授業の支援も行っています。これらの正規授業の支援に加えて、課外国際 教育プログラムの一つとして、毎週金曜日の夕刻吹田地区で イングリッシュカフェ吹田 を開催しております。この会には毎回50名程度の参加があり(日本人学生と留学生の割合 は、ほぼ50%程度) 、様々な交流活動を行っています。この イングリッシュカフェ吹田 ―1― の活動に対して、昨年度、工学研究科・研究科長表彰を受賞しております。 以上に、工学研究科における国際教育活動の一部ではありますが、紹介させていただき ました。 昨今、海外に出る学生数が減っていると言われていますが、上記しましたようにキャン パス内の身近なところに国際交流の場が様々な形で存在しています。一度それに触れてい ただきますと、必ず刺激を受けることになり、さらに一歩踏み込んで海外に触れてみよう という気持ちが沸き起こると思います。特に、学生諸君には、是非、上述した国際交流の 活動を今まで以上に活用されることを切に願っております。そのためにも、工学研究科に おける国際交流活動の認知度向上は非常に大切な課題であると考えています。その一助と して、この「国際交流たより」がより多くの方々の目に止まり、工学研究科の国際交流活 動のより深い理解とその協力に繋がることを強く願う次第です。 最後になりましたが、本国際交流たよりの編集・出版に携わっていただいた国際交流委 員会ならびに留学生相談部の教職員の方々に心より御礼申し上げます。 工学研究科長・工学部長 掛下 知行 ―2― 国際交流委員長挨拶 工学研究科の国際力向上のために何をすればいいのか?自問の一年 平成24年度の国際交流委員会の委員長の大役を拝命し、 「工学研究科の国際力を高めるた めにはどうすればいいのだろうか?」と自問を繰り返した一年を終えようとしています。 平成23年度までは 4 年間、留学生相談部の部長の立場で、留学生の修学・生活支援、日本 人学生の国際化支援、研究科の国際化プログラムの運営支援など、主に学生、教職員の国 際交流に関わる色々なサポートの実務に携わってきましたが、その実務の方向性を決める 戦略を練り、実現するための施策を提案していく国際交流委員会を任された形となり、少 し違った頭の使い方をさせていただいたような気がします。普段はあまり使わない部分の 脳味噌を使ったので、結構疲れたなというのが、この一年の正直な感想です。 今年度の国際交流委員会では、部局学術交流協定締結や外国人招聘研究員の受け入れの 審議、研究科に持ち込まれた国際交流プログラムの進め方の検討など、ルーチン業務を滞 りなく進めるとともに、( 1 )留学生の受け入れ促進と修学支援、 ( 2 )日本人学生の国際 力アップ・海外派遣促進、および( 3 )工学研究科の組織としての国際化・国際交流促進、 のそれぞれについて、現状の課題を挙げ、その解決に資する施策を提案することを目指し て、国際交流委員会の委員に留学生相談部、留学生係のスタッフを加えたメンバーで種々 検討を進めました。自問し、皆様に答えていただいたという形です。 ( 1 )については、真に意味のある留学生の修学・生活支援の仕方やトラブルの未然防 止・事後対応システムの構築、優秀な留学生を効率的にリクルートする仕組み作り、留学 生のニーズに対応した教育プログラムの整備などが具体の検討事項に挙げられました。( 2 ) については、体系的な英語教育プログラムの整備と教材の開発、語学力や国際対応力に資 する教育科目群の提供と履修指導の充実、海外研修や海外留学の促進策や、それに付随す る危機管理体制の整備などを議論の対象に取り上げました。また、 ( 3 )に関しては、国際 教育・交流コーディネータのような専門職の採用・育成も含め、研究科の国際推進支援部 門の機能と組織構成のあり方という大きい問題を議論しました。また、国際交流関連の事 務マニュアルや書類のひな型の体系的整備と積極活用のための広報など、手近な課題につ いても検討しました。本 たより には、そのような検討の経緯や結果についても一部盛り 込んでもらっているものと思います。 以上のように、今後とも検討を進めていくべきことは山積していますが、最も重要なこ との一つは、国際交流を推進し、積極的に関わっていただいている教職員の皆様や、国際 的な視野で勉強し、研究したいと思っている学生達の活動を、少しでも楽にし、ストレス がないようにサポートすることではと感じています。国際交流活動に携わっていただいて いる方々の多くは、特に大きな見返りを期待することもなく、労苦の多い作業を自ら引き 受けてくださっているというのが、私の個人的な認識です。その労苦を軽減し、 「また、次 ―3― (のプログラムや事業)をやってみよう」という気が起こるような仕組みを作り上げていく ことができれば、国際交流の活動は自然に活性化し、持続していくのではと考えています。 皆様方からもそのような仕組み、工夫を御提案いただければと思います。 国際交流委員会と、その実務の多くに関わっていただいている留学生相談部、教務課留 学生係を始めとする関係部署への一層の御協力を賜りますよう、また、御指導・御鞭撻を 賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。 工学研究科・国際交流委員長 池 道彦 ―4― 留学生相談部長挨拶 留学生相談部の現状 昨年度の留学生相談部長の挨拶にも述べられているように、平成23年度より留学生相談 部は、教育学務室と国際交流室両者の機能を併せ持った新たな室、教育学務国際室の下に 置かれることとなりました(教育学務室と国際交流室を廃止して統合) 。工学研究科/工学 部の国際交流に関わる諸事を審議する国際交流委員会と密に連携をとりながら、業務を進 めております。これは、教育という面では日本人学生も留学生も同じ学生であり、同じカ リキュラムを受講していることから、特別に留学生だけを分ける必要がないということ、 そして、一昨年までの 2 つの室が密接に連携する必要があるということで行われたもので す。昨年度より『国際交流室たより』が『国際交流たより』になっています。しかし、出 身国の数も人数もますます増えてきている留学生、外国人研究者が、大阪大学で目的とす る活動を支障なく行い、日常生活を快適に送るための支援はますます重要になってきてい ます。留学生相談部では500人を超える留学生と多数の外国人研究者に対する修学・生活に 関わる相談と支援を行うとともに、対応事例を収集し整理することにより、新たな問題に 対する対応力の強化も行っています。独自の日本語プログラム開発を行うなど、留学生や 外国人研究者に対する数々の国際教育プログラムを実施しています。また彼ら/彼女らが 楽しい日本での学生、研究者生活を送るための様々なイベントの企画・運営を行なってい ます。 その名称から、留学生相談部の業務内容は上記のようなものが中心であると皆様考えら れていると思いますが、実際の業務内容は多岐に渡っております。例えば日本人学生の送 り出しという面では、国際的舞台での活躍を目指す日本人学生に対して、語学教育のあり 方の検討や教育を行っており、大学院向け工学英語の授業では中心的な役割を果たしてい ます。また国際会議での発表のための学内での各種講習会開催や、学部学生・大学院学生 向けの海外研修プログラムの企画・運営を実施しています。その他にも、研究科で取り組 む国際協力・連携事業の立ち上げや実施サポートにも携わっています。このような意味か ら、留学生相談部という名称と業務内容が合わなくなってきていると考えられ、名称変更 について検討を始めています。また今後は、さらに多様化する大阪大学工学研究科での国 際教育、国際連携研究などの国際交流に対し、長期的な計画の下に教育・研究活動をさら に高度に展開するための将来構想を持ち、国際教育を長期的に十分支援できる体制を出来 るだけ早く確立させるためには、人員構成なども含めどのようにすれば良いのかを国際交 流員会等で検討していただいています。 今年度の留学生相談部の活動の詳細については、この冊子にまとめておりますが、様々 な取り組みを行っております。それらを行うに際し、例えば理工系学生のための海外研修 コースでは、学生の負担を減らすため日本学生支援機構の短期派遣プログラム及び総長裁 ―5― 量経費の支援を受けるなど、それぞれの活動に様々な支援を頂いております。ここで関係 各位に御礼申し上げます。 先に述べたことから、今後は実際の活動内容に合った名称への変更も近々行い、工学研 究科の国際交流に対する長期的展望の下に様々な取り組みに対し支援を行うことが可能な よう、徐々にではありますが、相談部スタッフとともに検討していきたいと考えております。 相談部の組織改革に対しても皆様のご支援いただけるよう、よろしくお願いいたします。 今年度、前任の池国際交流委員長より引き継いで留学生相談部の部長を拝命いたしまし たが、何も分からない状態で何もできずに、相談部スタッフにおまかせでここまで来てし まいました。これまでも、外から見ていて、相談部は留学生の相談業務のみが業務ではな くなっており、工学研究科/工学部の国際交流業務に関する業務全般を行ってきていると 感じていましたが、定例会での報告を聞いてますますその思いを強くいたしました。なん とか実態にあった名称・組織に変更していけたらいいと考えています。また相談部スタッ フも入れ替わってきていますので、工学研究科/工学部の皆さまからも、国際交流に関し て、相談部が今後どういった機能を担っていくべきなのかの御意見をいただければと考え ています。 今年度は、昨年度末付けで異動された藤田清士先生に代わって、 5 月より金子聖子先生 に助教として来ていただくことができました。また、B タイプ講師の森本健志先生が異動 され、寺井智之先生に来ていただいています。少し不慣れな部分もあったかと思いますが、 相談部の様々な業務に対して皆懸命に取り組んでいます。今後ともご支援いただきますよ う宜しくお願いいたします。 留学生相談部長 戸田 保幸 ―6― 留学生相談部員 挨拶 留学生相談部のスタッフとして勤務し、 6 年半の月日が経ちました。今年度も、留学生 から色々な話や悩みを聞くことができて、毎日が勉強の日々です。 ある留学生から聞いた話によると、とある国の政府機関による日本留学に向けた事前オ リエンテーションでは、「日本人の気質」について学ぶ場面があり、 「初日から気をつける こと」として、 日本人は、留学生から話しかけても反応は薄いが、そのことで傷ついた りはしないように と注意を受けるのだそうです。そして、頭で分かっていても、実際に 来日し、日本人学生に自己紹介をした時、名前以外のことを深くは聞いてもらえない事や その場のシーンとした空気に、がっかりしてしまうのだそうです。日本的な親切心やコミ ュニケーションの図り方は、時として留学生側には伝わらないものなのかもしれません。 留学生が、日本に留学して温かく受け入れられたと感じてもらえるようになるためには、 教育上の課題が山積みですが、今後もささやかな貢献ができるよう頑張って参りたいと思 います。 なお、私事で恐縮ですが、 3 月末日をもって大阪大学を退職し、故郷の岡山理科大学に 移籍致します。在職中お世話になりました教職員・ (留)学生の皆様に、この場を借りて心 よりお礼申し上げます。 留学生相談部 講師(主任) 奥西 有理 相談部に着任して約 1 年が経ちました。相談部内では主に KOSMOS(日韓共同理工系学 部留学生プログラム)および留学生の就職に関する業務を取り扱っておりますが、学科・ 専攻における教育や研究指導とは全く勝手が異なる業務に慣れるのにただただ必死で池先 生、戸田先生を初めとする相談部のスタッフの皆様に助けて頂くことばかりでした。 留学生の相談・指導業務に関する経験および知識がゼロの状態で相談部に加わりました が、相談部唯一の理系学部との兼任教員として、これまで研究の現場である専攻の研究室 において10名以上の留学生を受け入れている経験や、これまでの研究生活で培ってきたプ レゼンテーションスキルおよび進路指導に関する知識が、相談部内の業務の改善に少しで も役立っていることを願っております。 来年度も、引き続き KOSMOS および就職に関する業務を行いますが、相談部のチーム の一員として皆様の期待に沿えるように努力を続けていく所存です。今後とも、ご指導を 賜りますようお願い申し上げます。 留学生相談部(マテリアル生産科学専攻) 講師(兼任) 寺井 智之 ―7― 留学生相談部の業務に従事し、早くも 3 年半が経ちました。振り返れば楽しい、本当に 楽しく実り多い時間でした。工学専攻の目から見た世界は、想像をはるかに超えてボーダ レスでした。専門知識+英語が世界へのパスポートになること、なんとなくは分かってい ましたが、この現場に来てそれが確信に変わりました。この 3 年半、若きエンジニアの卵 達のエネルギーに圧倒されながらも、試行錯誤しながら英語教育・国際教育に携わること ができたことをとても誇りに思っています。英語も海外渡航も異文化接触も「アタリマエ」 の場で学んだことは、今後も大学教育に携わっていく者として何にも代えがたい宝物にな りました。最後になりましたが、留学生係、基礎工学研究科、サンフランシスコ教育研究 センター、工学部生協食堂、理工学図書館、UCDavis の皆様、学生国際交流団体 HandaiAIC の学生達、English Café のスタッフ達には、この場をお借りして特にお礼を申し上げ たいと思います。ありがとうございました! 留学生相談部 助教 出口 朋美 相談部に着任してあっという間に 2 年が経ちました。ただ模索していただけの 1 年目か ら、少しは抜け出せた 2 年目であったと思っております。今年度、新たに学部生向け夏期 英語研修を担当し、これまでの学生満足度が高いプログラムを失敗させないという、自分 に課した目標の一つを達成できたかどうかの答えは出ておりませんが、関係者皆様のご協 力のお蔭で、大過なく無事に終えられたことを喜んでおります。また今年度は、英語プレ ゼンテーションインテンシブコースを実施したり、日本人学生から留学相談を数多く受け たりと、国際力アップや国際化について考えさせられる機会が多々あったとともに、多面 的な支援の重要性を改めて認識する一年となりました。 引き続き、留学生支援や日本人学生の国際力アップなどの国際交流事業に対し何ができ るか自問自答を続けながら邁進してまいります。今後とも、ご指導、ご協力をたまわりま すようお願い申し上げます。 留学生相談部 助教 市村 真希 ―8― 5 月に相談部に着任し、あっという間に月日が流れました。着任当初は分からないこと ばかりの毎日でしたが、担当した業務のどれをとっても楽しく取り組むことができました。 具体的には、行事関係や日本語教育、奨学金、工学英語などを担当させて頂きました。特 に、工学研究科で勉強・研究している留学生、海外留学や英語学習に興味を持っている日 本人学生の皆さんに、直接的に接することができる業務に、大きなやりがいを感じたよう に思います。 私自身、大学時代に留学した時や、卒業後に就職し、 3 年間の海外駐在を経験した際に は、多くの困難に遭遇しました。数えきれない方々のサポートによって乗り越えることが できた経験から、自分も微力ながら学生さんたちのお役に立ちたいと強く願っております。 周りの先生方、スタッフの方々を拝見しておりますと、相談に来る学生たちをいつも気 にかけ、気軽に相談しやすい雰囲気を作り出していると感じます。私はまだまだそのよう な空気を醸し出せておりませんが、日々、周りの方々や学生さんから学びながら成長して いきたいと思っておりますので、引き続きご指導・ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い 申し上げます。 留学生相談部 助教 金子 聖子 平成20年 1 月より留学生相談部での勤務を始めてはや 5 年が過ぎ、月日は矢のようにす ぎていくとはまことに言いえて妙であることを強く感じております。 この 5 年間、工学研究科留学生相談部では素晴らしい経験をさせていただきました。 優秀な先生方や将来有望な留学生のみなさんと日々ふれあえたことは、わたしにとって 何よりの宝となりました。勉学や研究をされている姿を垣間見るにつれ、「継続」と「孤 独」は同じなのではないか、とふと思ったり、好きなことは「努力している」と本人は感 じていないことや、信頼できる人がいれば苦悩があっても立ち止まらず進んでいける、と いう姿にたびたび出会うことができました。 そんな中もっとも感心したのは、成長著しい人に顕著な「挑戦し続ける姿勢」です。彼 らの頑張りや日々精進しているところを褒めると、彼らも積極的にこちらに近づいてきま す。反対に知性や持ち前の賢さの部分に言及すると、失敗を恐れてか、あるいは守りに入 ってしまうのか、その人が伸び悩んでバランスを失っていくのを感じるようなできごとも ありました。 仕事に関しては関係性の中から生まれてくるものですから、良い悪いも、難しいも容易 になるかも「場」によって決まります。その「場」が意識の高いものであれば、エネルギ ーも高く、その構造は美しく、問題解決もスムーズであるように思います。私の場合、幸 運にも周りのみなさまに恵まれたおかげで「場」の雰囲気もすこぶる良く、かつ前向きに 日々の業務に従事させていただくことができました。 ―9― なにかの終わりはなにかの始まりでもあります。本年、私からはお世話になりました方々 にこころから感謝の気持ちをお送りしたいと思います。みなさまほんとうにありがとうご ざいました。 事務補佐員 吉村 裕子 相談部に勤め始め 2 年目が終わろうとしています。 1 年目は業務を覚える模索の日々だ ったのに対し、今年度はより視野広く周りを見ることができたと思います。そして、今更 ながら国際化・国際交流の機会について考えた 1 年でもありました。 相談部業務は様々な次元のものがあります。その中で私が特にアシストさせていただい たのは、前年度同様、日本語教育とリサイクル物品抽選会と留学生のための各種イベント です。業務的には表に見えない雑務が多いですが、これら全てにおいて確固たる参加者が おり、留学生のデマンドがあると確信しています。しかし、ふとグローバルな視点で考え ると、真の国際化、国際交流とは何かと自分の業務にフィードバックしてしまいます。こ れだけ多くの留学生がいて、お互いの歴史や文化、宗教、生活様式などに違いがあるなか、 日本人学生と共に学業に励んでいる。そこにはまだまだ見えていない諸問題が山積してい るのだと自分の勉強不足を痛感しています。 今後とも留学生を取り巻く環境をもっと理解し、彼ら/彼女らのニーズにもっと意識を 向け自分の情報感度を高めて参りたいと思います。そして微力ながらも真のグローバル化 に貢献できるよう努めて参りたいと思います。 事務補佐員 オドワイヤー こずえ ― 10 ― 平成24年度留学生相談部行事カレンダー 学部・大学院生に対する教育・支援 留学生に対する教育・支援 国際交流推進のための基盤づくり 4,6 日 工学英語ガイダンス工学英語Ⅰ 12日 春期新入留学生オリエンテーショ 17日 チューターガイダンス(参加人数 開講(履修登録者508名) ン・ (参加留学生16名) 18名) 10,11,13,18,20日 20日 リサイクル物品抽選会(65エント 4 月 理工系大学院生のための海外研 リー) 究発表研修コース説明会 18,19日 理工系学部生のための海外英 語研修コース説明会 11日 理工系学部生のための海外英語 研修コース説明会 24日 理工系大学院生のための海外研 究発表研修コース 5 月 第 1 回オリエンテーション 25 日 English Café 開 始( 7 月 27 日 ま で) 8 日 春学期 Survival Japanese Course 開始( 6 月 7 日まで) 10日 1 学期理工系専門日本語クラス (作文)開始( 7 月12日まで) 11日 1 学期理工系専門日本語クラス (発表)開始( 6 月22日まで) 30日 第 1 回留学生懇親会「新入生歓 迎会」(参加留学生65名、参加者 総数84名) 4 日 GLOCOL・OECD 東京センター所 25-29日 前期面談(面談学生38名) 長 海外インターンシップについての 意見交換会 5 日 理工系学部学生のための海外英 6月 語研修コース 第 1 回オリエンテーション 28日 理工系大学院生のための海外研 究発表研修コース 特別オリエンテーション 5 日 フロントスタッフミーティング (豊中) 4 日 理工系学部学生のための海外英 3 日 夏学期 Survival Japanese Course 開始( 8 月 2 日まで) 語研修コース 第 2 回オリエンテーション 11日 理工系学部学生のための海外英 語研修コース 7月 第 3 回オリエンテーション 19日 理工系大学院生のための海外研 究発表研修コース 第 2 回オリエンテーション 6 10日 英語プレゼンテーション講座 8 日 理工系大学院生のための海外研 究発表研修コース第 3 回オリエン テーション 海外留学・研修等危機管理セミナ ー(国際教育交流センター) 8月 9 日 理工系学部生のための海外英語 研修コース 第 4 回オリエンテーション 19日 理工系大学院生のための海外研 究発表研修コース UCD 出発 (参加学生38名、 9 月22日まで) 7 日 サマーパーティ 21 29日 理工系大学院生のための海外 ・留学生のための浴衣教室(参加 研究発表研修コース視察 留学生男性 3 名女性 4 名) ・流しそうめん(参加留学生33 名) 29日 第 1 回 日東電工と留学生の会 社交流・懇親会(参加留学生13 名) 26日 理工系学部学生のための海外英 語研修コース モナシュ大学 出発 (参加学生30名、 9 月24日まで) ― 11 ― 10 14日 英語プレゼンテーション講座 2 日 日韓共同理工系学部留学生事業 4 日 フロントスタッフミーティング 推進フェア(韓国国立国際教育 (吹田) 院) 5 7日 理工系学部学生のための海外英 25日 第 2 回 日東電工と留学生の会 語研修コース視察 社交流・懇親会(参加留学生 5 名) 1,2 日 工学英語 II 開講 (履修登録者69名、但し、理工系 大学院生のための海外研究発表 研修コース参加による単位認定者 を含む) 4 ,15,17,18,24日 理工系学部学生のための海外英語 10月 研修コース 事後報告会 4 日 2 学期理工系専門日本語クラス 11日 秋期チューターガイダンス(参加 (作文)開始(12月13日まで) 者 9 名) 4 日 日韓理工系学部留学生予備教育 25日 国費留学生の大学進学説明会(東 プログラム(KOSMOS)開講( 2 京) 月 8 日まで) 9 日 秋学期 Survival Japanese Course 開始(11月13日まで) 10日 秋期新入留学生オリエンテーショ ン(参加留学生34名) 12日 2 学期理工系専門日本語クラス (発表)開始(11月30日まで) 25日 学部進学留学生のための大学進 学説明会(東京外国語大学) 26日 リサイクル物品抽選会(36エントリー) 9月 11月 7 日 理工系大学院生のための海外研 1 日 外国人留学生見学会(参加学生 2 日 国費留学生の大学進学説明会(大 究発表研修コース 事後報告会 44名) 阪) 9 日 English Café 開始( 2 月 8 日まで) 2 日 学部進学留学生のための大学進 16日 ルーヴァンカトリック大学(ベル 学説明会(大阪大学箕面キャンパ ギー)訪問団受け入れ ス) 19 22日 後期面談(面談学生20名) 12月 5 日 第 2 回留学生懇親会「忘年会」 20日 フロントスタッフミーティング (豊中) (参加学生134名、参加者総数146 名) 1月 15,22,28日 工学英語 II 公開ポスター発表 2月 4 日 工学英語 II 公開ポスター発表 25日 もちつき大会(参加学生41名) 4 8日 英語プレゼンテーション講座 14日 第 3 回留学生懇親会「卒業パーテ 5 日 フロントスタッフミーティング 14,15日 2013年理工系大学院生のため ィ」 (吹田) 3月 の海外研究発表研修コース 第 1 回説明会 ― 12 ― 2 学部・大学院生に対する教育・支援 工学英語Ⅰ・Ⅱ 工学研究科の大学院博士前期課程を対象に開講されている「工学英語 I」 (第 1 学期)と 「工学英語 II」 (第 2 学期)は、今年度で11年目の授業運営となる。 「工学英語 I」はオンラ イン学習の形態で実施されており、 「工学英語 II」の授業は、CALL 教室での演習を行って いる。オンライン学習のコンテンツ作成及び対面授業は、いずれも野口ジュディー教授(非 常勤講師)の指導によるものである。 「工学英語 I」は NetAcademy 2 と WebWRS 課題提出システムによるオンライン学習で 英語のスキルアップを目指す科目である。前者では理系科目に役立つ語彙や文章の構成を 学習し、後者ではジャンル分析に基づく学術論文の書き方を中心に学習する内容となって いる。今年度は、新しいシステムの導入から 4 年目となり、安定した運営を行うことがで きた。履修定着率は安定しており、平成24年度の「工学英語 I」の履修登録者は508名で、 73.4%である373名が単位を取得した。 「工学英語 II」は、67名(「理工系大学院生のための海外研究発表研修」参加による単位 認定も含む)が履修登録をした。CALL 教室を利用し、 「工学英語 I」の学習内容を基礎と して、ジャンル分析に基づき学術論文の Title、Abstract、Introduction、Experimental Method、および Results & Discussion の組み立てとその英語表現に関する演習を行った。 受講生は専門分野の文献でコーパスを作成し、AntConc というコンコーダンスプログラム を活用して、自分の専門分野に固有な表現について分析した。さらに、各セクションで学 んだ Hint Expressions を利用しながら自分の論文執筆に取り組んだ。最終的には、これら 一連の演習成果を受講生各自が Portfolio にまとめた。 「工学英語 II」では、最終プレゼンテーションを口頭ではなく、ポスター発表という形で 実施した。模擬国際学会の形式にし、まず事前プレゼンテーションを行い、その後ポスタ ー発表を行った。理工系図書館のギャラリーで公開プレゼンテーションとして行ったため、 受講生以外にも一般の学生や教員の参加があった。また、授業前後に工学英語 Can-do 評価 を導入し、どのようなスキルが習得できたかという確認を行った。 市村 真希・金子 聖子・奥西 有理・出口 朋美 工学英語 I のガイダンスの様子 ― 13 ― 理工系学部生・大学院生のための海外研修コース 今年で10回目の「理工系大学院生のための海外研究発表研修コース」は、昨年と同様、 米国の University of California, Davis(以下 UCD とする)で開催された。 2 年間の試行 期間を経て、昨年度より本格運用が開始された学部学生を対象とした豪州での英語研修は、 Monash University English Language Centre(以下 MUELC とする)で実施した。以下、 それぞれのコースの教育目標、プログラム内容、及び効果について報告する。今年度は両 コース共に、日本学生支援機構「平成24年度留学生交流支援制度(ショートビジット)」 、 さらに平成24年度戦略的経費(総長裁量経費)から支援を受けることができた。ここに、 関係各位に謝意を表す。 UCD 研修 10周年を迎えた「理工系大学院生のための海外研究発表研修コース」は、今年度も University of California, Davis(以下、UCD とする)にて、 8 月19日(日)∼ 9 月22日 (土)に開催された。UCD での開催は今年で 4 度目になり、38名の学生が参加した。 本研修は①英語での研究発表能力(四技能)の向上、②研究活動に必要な英語でのコミ ュニケーション能力の向上、③米国の理工系大学院における研究環境を知ること、④自己 の英語コミュニケーション能力を客観的に知ることによる英語学習動機の向上、⑤ホーム ステイを通してアメリカの社会・文化を知ることを教育目標として設定している。滞在中 は、プレゼンテーションスキルの授業を始め、ディスカッション、発音とリスニング、近 隣理工系施設へのフィールドトリップなどが行われた。ディスカッションの授業では、現 地大学院生にも参加してもらい、英語で理論的に説明するスキルや相手の意見に賛成・反 論するスキルなどが訓練された。授業は A、B、C と 3 つのクラスに分けられており、UCD のインストラクター達による丁寧で熱意ある指導が行われた。インストラクターの中には 理系の博士課程出身者もいたため、参加学生達のニーズがよく把握されていた。プログラ ムの最終日にはファイナル・プレゼンテーションとして参加学生が滞在中に身につけたプ レゼンテーションスキルを披露する機会が設けられた。また、授業外活動として研究室訪 問を積極的に行うよう呼びかけられていたため、参加学生は研究分野に沿った研究室を UCD のみならず近郊の大学まで足を延ばして訪問していた。 UCD プログラム終了後は本学サンフランシスコ教育研究センターのご尽力により、サン フランシスコでの 2 泊 3 日の研修(以下 SF 研修)が実施された。SF 研修では、シリコン バレー企業訪問(Google、パロアルト研究所、ヒューレッドパッカード)、カリフォルニア 大学バークレー校 International House でのランチ交流会、同校 Nikkei Student Union の 学生(以下 NSU 学生)との交流会、スタンフォード大学見学が行われた。今年の NSU 学 生との交流会では、 「ラーニングバー」というイベントを行った。「ラーニングバー」とは、 ゲストを呼んで講演を行ってもらい、その後オーディエンスが気付いたことや疑問に思っ ― 14 ― たことについて話し合うという対話型講演会である。本イベントでは本学の External Leader が事前アポイントを取り、現在シリコンバレーで働いている Junichi Iihara 氏と西海岸で ジャズバーを経営している Shotaro Kamio 氏に来ていただいた。米国で成功を収め、グロ ーバルに活躍している日本人の先輩方に学生達は多いに刺激を受けた様子であった。 「ラー ニングバー」は大成功を収め、バークレー学生、本学学生合わせて80名近くが参加した。 研修後の成果として、TOEIC の事前・事後調査では受講学生29名の上昇スコア平均は 46.3点で、100点以上スコアが大幅に上がった学生も数名いる。また昨年同様、11月 3 日に 学内で開催された「理系大学院生の英語によるプレゼンテーションコンテスト」 (主催 大 阪大学外国語学部英語専攻・日本英語検定協会・Japan Times)に本研修参加学生がチャ レンジし、見事優勝を獲得した。その他、English Café Suita のスタッフとしてボランテ ィア参加をする学生や長期留学を計画する学生、さらに基礎工学部出身の参加学生の中に は、新たに同学部で English Café を立ち上げるなど、帰国後の活躍には目を見張るものが あった。本研修で実践を通して学び、視野が広がった学生達の今後の活躍に期待したい。 MUELC 研修 学部生を対象とした豪州での英語研修は、海外留学のスタートアップという位置付けで、 平成21年度に試行を開始したコースである。平成21年度は Queensland University of Technology(QUT)International College で実施し、平成22年度から MUELC を研修先と して実施している。今年度も夏期休業中の約 4 週間に多国籍クラスでの一般英語パートと、 本研修コース専用に用意した理工系分野に関するカスタマイズパートの双方をバランス良 く配置した構成を踏襲し実施した。MUELC でのプログラムに加えて、滞在期間を通じた 27泊のホームステイをあわせ、単に英語力の向上だけではなく、国際性や、理工系学部の 学生として将来重要となるであろう英語を母国語としない者同士によるコミュニケーショ ン力の向上、および理工系専門知識の学習意欲の向上と、将来の自らのキャリアに対する 英語力の重要性を認識することによるモチベーションアップを図ることを目的としている。 一般英語パートは、参加者それぞれの英語力に合わせて、他国の生徒と混成する15名程 度の国際クラスで、MUELC に既存のスピーキング、リスニング、リーディング、ライテ ィングを統合した学習法を実践した。カスタマイズパートは、モナシュ大学工学部の研究 室や研究施設、大規模な炭鉱と発電所からなる Loy Yang Power Station を見学すると共 に、見学の前後には理解を深めるために見学先に関連した特別講義や、英語教員による補 足説明・指導も行った。理工系の最先端または専門的な知識を得るというよりは、既に知 っている知識を英語で正しく表現することや大学や企業の現場で将来必要となる英語力を 体感することなどを特徴とした内容である。土日を除く 1 週間あたり 5 日のうち、 3 日が 一般英語パート、 2 日がカスタマイズパートとなっている。プログラム最終日には、自ら 設定した理工系分野に関するトピックスでプレゼンテーションを行った。この課題は、オ ーストラリア到着直後に与えられており、各学生は滞在期間中に、日々の講義で修得した 知識や表現方法等を取り入れながら準備した。授業等の空き時間には、MUELC が企画運 ― 15 ― 営している自由参加型アクティビティ(スピーキング、ライティング等)への参加、コン ピュータルームでの自習や宿題を行うと共に、現地で知り合った各国の友人らとの交流な どを行った。滞在期間中を通じたオーストラリア人家庭でのホームステイ体験と共に、英 語や異国文化体験を存分に実践している。 研修後、MUELC からの報告によると、研修開始時のクラス分けテストにより 4 レベル のクラスで実施した一般英語パートで、所属するクラスのレベルに対して、 6 名の学生が Exceeds Requirements(ER) 、24名の学生が Meets Requirements(MR)の評価を受けて いる。 2 レベルで実施したカスタマイズパートは、上位クラスの16名中 9 名、下位クラス の14名全員が ER の評価を受け、クラスに積極的に参加する姿勢も評価されている。また、 クラス外においても、ホームステイ先や授業の休み時間等で、ホストファミリーや他国か らの参加者らとのコミュニケーションを盛んに行い、英会話のスキルを総合的に実践し続 ける貴重な機会を得るとともに、異文化に触れて自らの視野を広げ、さらに自国文化の発 信など、有益な体験をした。 参加学生からは、総じて有意義な研修であったとの感想を得ており、好評であった。特 にモナシュ大学工学部の研究室や研究施設見学では、現地で理工系学生のプレゼンテーシ ョンを聞き、現地学生と交流することによって大いに刺激を受けたとの感想が多く聞かれ た。さらに、モナシュ大学日本語学科の学生と日本語で交流を行ったことによって、母語 である日本語でノンネイティブに伝える事の難しさを体感し、英語学習の意欲が向上に繋 がる体験となった。参加学生らは、 4 週間の研修参加を通じて、自らの英語力のなさを痛 感した場面もあれば、予想以上にコミュニケーションが取れる経験もしたものと思われる。 また、レベルに応じた教育を受けることで、不足している能力、必要な学習方法などを実 感・体験することができた。様々な国からそれぞれの目的を持って同プログラムに参加し ている学生との交流から刺激を受け、学生自身の英語および学部専門科目双方への学習意 欲の向上が期待される。現実に、さらに本格的な長期研究留学を目指すようになった学生 や、帰国後自ら英語学習に出発前以上に熱心に取り組んでいる学生がいる。現地で知り合 った他国の学生やホームステイホストらと、電子メール等により連絡を取り合っている学 生も多数おり、休暇を利用してメルボルンを再び訪問することを決めた学生もいる。帰国 後、学内で行っている英語力アッププログラムや国際交流科目(英語授業科目)に、本研 修コース参加者が進んで参加していることは、本研修コースの大成功を示すために十分な 例であると考えている。 平成24年度は、参加者が30名と過去 3 年間(平成21年度:12名、平成22年度:10名、平 成23年度:28名)で一番多い人数となった。昨年度より、本研修コースは国際交流科目と して単位化が実現している。MUELC での実施も 3 年目となり、さらなる円滑な研修運営 が可能となり、今後、本コースの定着を目指すとともに、より効果的なものになるよう、 これまでの成果を存分に活用しながら次年度以降の研修コースの準備を進めている。 ― 16 ― 平成24年度理工系学部生・大学院生のための海外研修コース実施概要 研修コース 研修日程 参加者内訳 募集形態 UCD 研修 工 学 研 究 科:26名 8 月19日∼ 9 月22日 基礎工学研究科:11名 情報科学研究科: 1 名(全て M 1 ) MUELC 研修 工 学 部:18名 (B 1 : 4 名、B 2 : 3 名、B 3 : 8 名、B 4 : 3 名) 自由応募による 8 月26日∼ 9 月24日 基礎工学部:10名(B 2 : 5 名、B 3 : 3 名、B 4 : 2 名) 理 学 部: 2 名(B 2 : 2 名) 自由応募による 出口 朋美・市村 真希 UCD 研修 授業風景 ラーニングバー Monash 研修 モナシュ大学工学部の研究室見学 モナシュ大学のカフェテリアでランチ ― 17 ― English Café Suita English Café Suita が高度人材育成センターとの共同開催となって、今年度で 4 年目を 迎える。今年度も、工学部生協食堂「ファミール」にご協力頂き、前期は 5 月25日から 7 月27日まで、後期は11月 9 日から 2 月 8 日まで合計21回のセッションを行った。今年度は 毎回の平均参加人数が56.1名になり、12月21日の時点で延べ参加人数が837名に達した。カ フェの参加人数は過去 4 年間で毎年増加傾向にあり、英語で気軽に話せる場へのニーズが 明らかになった。この場をお借りして、工学部生協食堂ファミールとカフェの学生ボラン ティアスタッフにお礼を申し上げたい。 出口 朋美 ― 18 ― 工学系学生のための英語プレゼンテーションインテンシブコース 今後ますますグローバル化が予測される工学分野で、国際社会に研究成果等を発信する ための英語能力は不可欠であり、英語をコミュニケーションのための道具として身に付け、 完成度の高いプレゼンテーションを行うことができるようになる能力育成はその必要性を 増している。本講座は平成23年度「山本脩一郎・志郎教育改革基金」の助成を受け、大阪 学工学系学生の実践的なプレゼンテーション能力向上を目的とした短期集中講座で下記 4 項目を目指している。 説得力を持ったプレゼンテーションができるためのポイントを学ぶ 聴衆と繋がりを持ったプレゼンテーションを理解し構成できる能力を身に付ける 英語学習そして英語で発信することへの積極性を養う 自らのプレゼンテーション能力を客観的に評価できる視座を養う 全 4 回開講予定のうち、これまでに 3 回開講され、第 4 回目(最終回)は平成25年 3 月 に開講予定である。(第 1 回目:平成24年 2 月27日∼ 3 月 2 日、第 2 回目: 8 月 6 日∼ 8 月 10日、第 3 回目: 9 月10日∼ 9 月14日)講座の応募資格は工学部及び工学研究科に在学す る学生で、英語で研究内容など勉学に関する事項の発表予定がある学生に限っている。定 員は講座の学習効果を最優先に考え 5 6 名としている。すでに開講された 3 回の受講者は 合計17名であり、その内訳は学部生 1 名、博士前期課程10名、博士後期課程 6 名であった。 授業は日本人講師によりすべて日本語で行われた。受講生は初日に発表予定のプレゼン テーションを実際に行い、 5 日間を通して、 「効果的なプレゼンテーション方法」等の講義 を受けながら、継続的に実践練習を行った。また、発表時に使用するプレゼンテーション スライドに対しても 5 日間を通して改善を加え、講座終了後にネイティブの文法指導を受 けた。講座終了後に行ったアンケート調査では、学生の講座に対する満足度は高く、英語 プレゼンテーションのコツを学ぶだけでなく、論文英語(書き言葉)と発表英語(話し言 葉)の違いが学べたことや、参加予定の国際学会発表への自信がついたことや、日本語で の発表の勉強になったことなど、期待以上の効果が確認できた。希望受講生には講座終了 後も相談部教員による発音指導、原稿文法指導、実践練習指導を行った。一部受講生から の継続して開講を要望する声は、英語をコミュニケーションのための道具として身に付け る能力育成が急務であることを示唆するものである。また、講座終了後、実際に国際学会 で発表を行った学生から、発表がうまくいったとの報告も受け、本講座の教育効果を確認で きた。 市村 真希 ― 19 ― 3 留学生に対する教育・支援 新入留学生オリエンテーション 新入留学生のためのオリエンテーションは年 2 回、 4 月及び10月に留学生相談部によっ て開催された。例年通り、日本語と英語の 2 部屋を用意した。 平成24年度は、第 1 回目のオリエンテーションを 4 月12日、第 2 回目のオリエンテーシ ョンを10月10日に実施し、それぞれ16名( 4 月)、21名(10月)の留学生が参加した。 留学生相談部がオリエンテーションにおいて重視している内容は以下である。 ( 1 )在留資格など身分に関すること ( 2 )保健・危機管理に関すること ( 3 )住居に関すること ( 4 )経済に関すること 今年は特に在留管理制度が改定されたため、新制度の説明と必要な手続きについて説明 を行った。また、留学生相談部が実施している留学生対象のイベント告知なども行った。 オリエンテーション終了後には留学生相談部でティーパーティを開催し、新入留学生の交 流の場を設けた。今後も、家族と離れて暮らす留学生が安心して日本での生活を送れるよ うに、オリエンテーションを通じた情報提供をしっかりと行っていきたい。 出口 朋美 4 月オリエンテーション終了後のティーパ ーティ ― 21 ― 10月オリエンテーションの様子 日本語教育クラス 留学生相談部では、今年度も例年通り、工学研究科の留学生が日本語で研究活動及び日 常生活を送るための日本語教育クラスを 3 コース開講した。研究活動サポートを目的とし た理工系専門日本語クラスとして「理工系専門日本語クラス(発表) 」及び「理工系専門日 本語クラス(作文)」の 2 コースを開講した。また、日常生活のサポートを目指した初歩の 日本語を学ぶ「Survival Japanese Course」を開講した。各クラスの詳細は以下の通りで ある。 理工系専門日本語クラス 理工系専門日本語クラス(発表)Scientific/Engineering Japanese for presentations (金曜 5 限 前期 6 回・後期 6 回)担当講師:安田正枝 理工系専門日本語クラス(作文)Scientific/Engineering Japanese for writing research papers (木曜 5 限・ 6 限 前期10回・後期10回)担当講師:米田由喜代 Survival Japanese Course 担当講師:川村由紀子 Spring session ( 5 月 8 日∼ 6 月 7 日の火曜・木曜 全10回) Summer session ( 7 月 3 日∼ 8 月 2 日の火曜・木曜 全10回) Fall session (10月 9 日∼11月13日の火曜・木曜 全10回) 上記「理工系専門日本語クラス」の 2 クラスは、理工系専門日本語能力を育成し、留学 生が日本語で研究活動、論文執筆、研究発表が行えることを目的としている。また、Survival Japanese Course は、研究・学習上は日本語能力を必要としないが、日本で生活する上で の日本語能力が必要である留学生を対象に開講しており、春、夏、秋の 3 セッション行っ た。受講生には渡日後間もない留学生が多く、そのため短期間集中学習が効果的であると 考え、週に 2 回ほぼ 5 週間で10回のカリキュラムを終えられる構成となっている。文字学 習は時間的制限から「ひらがな・カタカナ練習帳」という教材で、事前に自主学習をする 形式をとっている。受講生からは、日常生活のための日本語能力が習得できただけでなく、 将来的に日本語学習を進めていく上で重要な基礎ができたとの声や、ひらがな・カタカナ だけでなく、漢字も勉強したかったとの意見が寄せられた。 今後も工学部・工学研究科の留学生のニーズに合わせ、効率的かつ柔軟な授業運営を行 っていきたい。 金子 聖子・オドワイヤー こずえ ― 22 ― 日韓共同理工系学部留学生受入事業 日韓共同理工系学部留学生事業推進フェアが平成24年 9 月 2 日にソウルの国立国際教育 院で開催された。本年度は日本から29大学が参加し、本事業の筆記試験に合格した第 2 次 第 4 期生留学生(120名)及びその保護者を対象にした説明会が開催された。午前中には日 本の各大学の一分間スピーチが、午後には日本から参加した大学による説明会が行われた。 大阪大学からは、理学部、工学部、基礎工学部の教員および国際部学生交流推進課職員と 通訳アルバイトとして本学部留学生が参加し、大阪大学のブースを開設して説明を行った。 また、本プログラムの OB および第 2 次第 3 期生進学予定者もボランティアとして参加し た。大阪大学のブースは例年どおり大変盛況であり、説明会開始時は進学希望者が行列を 作り、その後も来訪者が絶える事はなかった。 大阪大学における平成24年度の日韓共同理工系学部留学生受け入れとしては、10月に第 2 次第 3 期生として 7 名の学生を迎えた。大阪大学では、この予備教育を KOSMOS(Korean Students of Science Major at Osaka University)プログラムと名付けており、日本語、 数学、物理、化学、英語の予備教育(各13コマ)を行っている。各教科には、総括的に教 育方針を決定するアドバイザー、授業をデザインするコーディネーター、および授業を行 う講師が配置されており、各科目の指導を行うと共に国際教育交流センター教職員と連携 して生活指導等も行っている。工学部からは田中敏宏教授が物理のアドバイザー、留学生 相談部から寺井、出口がそれぞれ物理、英語のコーディネーターを務めており、寺井は物 理の講師も兼任する。 また、本年度は男子学生の兵役による休学に関するルール整備を行い、KOSMOS プログ ラム中の兵役休学は認めないことになった。KOSMOS 第 2 次第 3 期生は 3 月に予備教育課 程を修了し、 4 月に入学して学部 4 年間の勉学に励む予定である。 寺井 智之・出口 朋美 推進フェアの大阪大学ブース 【写真提供:国際交流オフィス鐘ヶ江様】 ― 23 ― ソウル大学交換交流生受け入れ 大阪大学とソウル大学間に平成12年、大学間交流協定が締結された。そして平成19年 2 月にはソウル大学校工学部と大阪大学工学部・工学研究科との間に部局間学生交流の制度 が結ばれた。以降、留学生相談部ではソウル大学生の受け入れを支援するための体制を整 えている。 平成24年度は 4 月から 2 名(男女 1 名ずつ)のソウル大学生が、工学部で学業を開始し た。今回この 2 名は、ソウル大学同窓会の Global Leadership Program の奨学金の受給を 受けての来日であり、特別聴講生としてそれぞれの希望学科である環境・エネルギー工学 科に 1 名、応用化学学科に 1 名所属し、各専攻の授業を受け、また指導教員の研究室にお いて研究指導を受けた。 本プログラムは部局間学生交流の一部として開設されているが、政府の主導する短期交 流促進プログラムなどの趣旨と一致する。留学終了後には、このプログラムを日本で経験 したことにより、日本と韓国のみならず大きな世界へのつながりや将来のビジョンが見え てきたという意見が聞かれた。また、研究室に在籍したことから得たものも多く、学生に とって大変意義深いプログラムとなっている。 吉村 裕子・オドワイヤー こずえ・奥西 有理 ― 24 ― 留学生のためのキャリア支援 近年、留学生数の増加とともに日本において就職を希望する留学生が増えている。一方、 企業も外国人留学生を海外現地法人における現地採用の対象としてみるだけではなく、グ ローバルな企業活動のキーパーソンとして、日本人学生と同様に日本の本社において幹部 候補生として一括もしくは別枠で採用する動きが広がっている。しかしながら、現状は留 学生の日本国内における就職数は、不況により横ばいかむしろ減っている(平成20年11,040 名、平成22年7,831名:法務省 HP より)のが現状である。留学生相談部では、このギャッ プを埋めるために以下のような活動を行っている。 企業との交流会 留学生が日本企業への就職を希望する場合に最初に問題になるのが、日本におけるビジ ネススタイル(商習慣)や独特の企業文化への理解不足である。そこで留学生採用に積極 的でかつ大阪大学内にラボを持っており、大阪大学内部の事情や学生気質に精通している 日東電工と共同して、日本の企業、特にメーカーがどのように業務を行っているか、また その採用事情について学生と情報を交換して意見を交わす交流会を開いた。その結果、 2 回の交流会( 8 月29日、 9 月25日)に合わせて約20名が参加し、いずれも予定時間をオー バーするほどの活気のある交流が行われた。 就職対策講座への協力 日本企業へ新卒で就職するのに必要な知識を習得するため、希望する留学生を対象に、 日本のビジネス文化、自己分析、情報収集、面接対策などの講義を行う講座を大阪大学国 際教育交流センターサポートオフィス・留学生交流情報室(IRIS)が中心になって開催し た(全15回)。留学生相談部では、工学部の留学生への告知・広報活動および参加の取り纏 めなどの協力を行った。 留学生および企業への情報提供・相談 日本国内の教育・研究機関および企業への就職を希望する留学生に対する相談業務を行 った。また、本学部の留学生の採用を希望する企業に対してアドバイスおよび情報提供活 動を行った。さらには海外留学・就職を希望する日本人学生に対しても相談業務・アドバ イスを行った。 寺井 智之 第 2 回日東電工企業交流会( 9 月25日)の様子 ― 25 ― 留学生懇親会(新入留学生歓迎会・忘年会) 新入生歓迎会 5 月30日(水)に工学部生協食堂「ファミール」にて開催した。留学生とその家族65名 とボランティア、スタッフ19名、合わせて84名の参加があった。工学研究科長からは、新 入生を歓迎する旨の温かいお言葉をいただいた。歓談中は学生国際交流団体 Handai-AIC が参加留学生・日本人を交えたゲームやインタビューを行い、場を盛り上げた。 留学生忘年会 12月 5 日(水)に工学部生協食堂「ファミール」にて開催した。留学生と家族、教職員 合わせて146名の参加があった。工学研究科長の開会の挨拶、国際交流委員長の乾杯の辞に 引き続いて歓談が行われた。後半には毎年恒例のビンゴゲームを開催した。学生国際交流 団体 Handai-AIC がゲームの進行を行い、学生たちは豪華賞品の獲得を目指し、会は大い に盛り上がった。 金子 聖子・オドワイヤー こずえ ゲームでお互いを知ろう 今年 1 年お疲れ様でした ビンゴゲームで 1 等賞が出ました! 次に当たりが出るのは誰かな? ― 26 ― サマーパーティ (留学生のための浴衣着付け教室・流しそうめんの会) 8 月 7 日(火)に留学生のための浴衣着付け教室ならびに流しそうめんの会を開催した。 例年、夏休みで留学生が一時帰国する前に行うようにしているが、今回はラマダン期間と いうこともあり参加者数は33名と例年より少なかった。午前中に浴衣着付け教室を男女分 かれて行い、午後に流しそうめんの会を行った。 留学生のための浴衣着付け教室 今年は、女性 4 名、男性 3 名が参加した。中には 2 度目の参加者もおり、慣れた感じで 着こなす姿も見られた。参加人数が少ない分、女性たちは着物と帯をゆっくりと選ぶこと ができた。また、ボランティアの着物インストラクターから、着付けについて個別にじっ くり教わることもできた。 参加者たち ― 27 ― 流しそうめんの会 今年は、秋竹を使った丈夫で組み立てやすい竹道具に一新した。当日は曇り空でそれほ ど暑くはならず、 「流しそうめん」は盛況であった。初めは流れてくるそうめんを遠慮がち にすくっていた留学生たちだが、慣れてくるにつれ自分から流す係を志願する者もいた。 その後は相談部内でランチパーティを行った。期末試験後すぐということもあってみんな 晴々した笑顔を見せていた。 オドワイヤー こずえ・金子 聖子 流しそうめんの様子 ランチパーティ ― 28 ― 留学生のための見学会 平成24年度は11月 1 日(木)に留学生見学旅行を開催し、留学生44名が参加した。滋賀 県立琵琶湖博物館を訪問し、関西で生活する留学生たちにとって大切な水がめである琵琶 湖について学んだ。学芸員の講義や博物館の見学を通じて、琵琶湖の生態系や環境問題、 周辺の人々の暮らしと水との関わりなどについて理解を深めることができた。博物館から 眺める琵琶湖に感動の声が挙がったが、もっと時間を取って湖畔を散策したかったという 声が多く聞かれた。 その他、京友禅体験工房丸益西村屋にて、友禅染の体験を行った。T シャツに伝統的な 柄の染付を行い、お土産として持ち帰れたことが好評であった。古くから続く織物産業の 生産地に建つ京町屋造りの建物も魅力的であった。 金子 聖子・オドワイヤー こずえ 友禅染体験 琵琶湖畔の岩石はいつ作られたのかな どんな淡水魚が住んでいるんだろう ?? 湖の環境汚染について勉強 ― 29 ― 留学生面談の実施 留学生相談部では、工学部 1 ∼ 3 年生を対象に前期後期の 2 回に分けて留学生面談を実 施している。まだ研究室配属前の留学生ひとりひとりと顔を合わせ、故郷や家族と離れて 異なる文化生活習慣の中で暮らす留学生たちが日々どのようなことを考えているのか、経 済的或いは精神的にどんな問題をかかえているかなどを聞きとり、様々なアドバイスをす ると同時に、特に学業面での問題の発生を未然に防ぐことに努めている。 またこの面談記録は入学から卒業時まで保管し、継続的な留学生支援に役立てていくこ とができるシステムになっている。 前期は平成24年 6 月25日から 6 月29日の間に、後期は11月19日から11月22日の間に面談 を開催する旨、工学部掲示板でポスター掲示、及び各留学生へのメール、電話での連絡を 試みた。 1 年生は豊中キャンパス A 棟講義室において 2 名∼ 5 名のグループごとに、2,3 年生は吹田キャンパス留学生相談部において 1 名∼ 3 名の少人数で面談を実施した。以下 に面談者数を表に示す。 平成24年度 留学生面談者数 学 年 人 数 面談者数 未面談者数 1 年 生 20 20 0 2 年 生 18 17 1 3 年 生 21 21 0 計 59 58 1 面談では、まず在留資格やパスポートの有効期限などに留意するように促している。そ して学業面での問題があると分かった場合の対処方法について、これまでに蓄積されてい る情報をもとにスムーズに研究室配属、あるいは進学できるように将来を見据えたアドバ イスを行っている。 面談内容に関して特に問題が起きそうな留学生の担任には、文書で結果報告し、今後も 更なる協力のもと密なる連携をお願いした。 留学生面談開始から 5 年を迎えた本年、その方向性がはっきりと定まり、一定の結果が 見えるようになってきた。留学生相談部ではこれからも留学生の将来のため、できる限り のサポートを行っていきたい。 吉村 裕子・奥西 有理 ― 30 ― 私費留学生奨学金 大阪大学工学研究科・工学部では、平成25年 1 月現在、約500名の留学生が学んでいる が、うち約200名が日本政府や外国政府から授業料や生活費の支給を受けている国費/政府 派遣留学生であり、残りの300名は私費留学生である。私費留学生は、民間の奨学財団等が 提供する奨学金に応募資格を持つ。私費留学生が個人ベースで直接、これらの財団に応募 することができる場合もあれば、大学が予め候補者を選定し、推薦された場合に応募する ことができるものもある。留学生相談部では、後者のケースにつき、候補者の選定を担当 している。私費留学生にとって公平な審査となるよう、プロフィールや指導教員からの推 薦文を記載した個人調書に加え、成績表、研究業績一覧、研究計画書の提出を求めた上で、 複数の教員が書類審査と面接審査を行うという厳格な審査体制を採用している。 各財団の求める留学生像はそれぞれ異なっているが、財団の奨学生採用にまつわる意図 をよく理解した上で、そのカラーに合った留学生を選出することができれば、採択率はよ り高まると考えられる。工学研究科からより多くの私費留学生が経済的サポートを受ける ことができるように、今後も公平で的確な候補者の選定を行っていきたい。なお、今年度 の奨学金採択状況及び受給状況については、本たより「6. 資料」を参照されたい。 奥西 有理・金子 聖子 ― 31 ― 4 国際交流推進のための基盤づくり フロントスタッフネットワークミーティング フロントスタッフネットワークミーティングは大阪大学の留学生相談室等における留学 生相談・指導・交流にかかわる諸問題について、現場の担当者同士での意見交換と問題解 決のために話し合うことを目的に、 3 ヵ月に一度開催されている。毎回のミーティングで は各部局の相談室等で開催した行事についての報告や案内、発生した事件、相談業務につ いての報告と情報交換を行っている。 今年度は、ビザ・在留資格に関するルールや諸手続き、学業成績が順調でない学生への 対応、奨学金候補者の選定方法、学籍や学生の連絡先等にまつわる手続きや管理、交流イ ベントの企画・運営などについて、各部局の担当者と情報共有を行い、工学研究科におけ る留学生サポート業務に活かすことができた。なお、開催スケジュールは以下のとおりで あった。 【平成24年度フロントスタッフミーティング開催状況】 平成24年 6 月 5 日(火) 豊中キャンパス 大学会館 2 階セミナー室 2 平成24年 9 月 4 日(火) 吹田キャンパス IC ホール 4 階会議室 平成24年12月20日(木) 豊中キャンパス 大学会館 2 階セミナー室 2 平成25年 3 月 5 日(火) 吹田キャンパス IC ホール 4 階会議室 奥西 有理・吉村 裕子 ― 33 ― チューターガイダンス 留学生相談部では、留学生支援活動の一環として、主に初めて留学生のチューターを担 当する学生を対象としたチューターガイダンスを実施している。平成24年度は、春と秋の 新学期にそれぞれガイダンスを開催し、春期ガイダンス( 4 月17日に開催)には18名が、 秋期ガイダンス(10月11日に開催)には 9 名のチューターが参加した。内容は、 「チュータ ー制度の概要」、「チューターの役割」、 「チューター活動の留意点」等で構成された。 チューターによる留学生のサポートは、履修登録等手続き関係のサポートなどハード面 から、積極的にコミュニケーションを図りながら日常生活上の相談にのり、留学生が研究 室環境になじめるよう導くといったソフト面のサポートまであり、どこまでがチューター としての仕事の範囲で、どのようなサポートを行うべきなのかが、曖昧になりやすいとい う問題点がある。ガイダンスでは、まずは実施可能なあらゆるサポートについて明確に示 し、核になるサポートから付加価値的なものまで、チューターが自分で優先順位付けでき るよう説明を行った。また、留学生を取り巻く支援については、研究室教員、留学生相談 部教員など、より広範囲なネットワークが存在するため、チューターが留学生からの相談 を一人で抱え込むことなく、周囲のサポートネットワークにアクセスすることが重要であ る旨説明を行った。 留学生の出身国、年齢など多様化しており、自律的に活動している者もいれば、日本語 がほとんど出来ず、日本人学生からの支援を多く必要とする者もおり、それぞれの個性に 合わせたより良いサポートについて考えていく必要がある。 留学生を支援するチュータ ーを支援する という形で、効果的な留学生サポートのお手伝いができればと思う。 奥西 有理 ― 34 ― 5 国際交流委員会アクションプラン報告 日本人学生の国際力アップ・ 海外派遣促進に関する課題と対応策の検討 武石 賢一郎・荒井 栄司・関 修平・市村 真希・出口 朋美 【目的】 日本人学生の国際力アップ WG では海外派遣が促進されるよう、現時点での課題と対応 策を検討することを目的とする。 【平成24年度の活動】 本 WG は上記の目的のため、 2 回に渡り検討会を開催し、以下の内容について議論した。 開催日 議 題 7 月23日 ①体系的英語教育プログラムの整備と教材開発 ②英語および国際力アップに資する教育科目の履修システムの確立 12月11日 G-30プログラム日本人学生受講のための諸手続き 【検討会の総括】 現在、工学研究科の学生の留学形態として、短期海外研修や部局間協定留学(長期)が ある。また、IAESTE などの海外インターンに参加する学生も多い。これらの留学は所謂 「語学留学」ではなく、研究発表能力や工学の専門性を伸ばすことが目的である。つまり、 本研究科の学生は渡航前に個々の努力で英語力を伸ばし、現地ではそれぞれの留学目的に 沿った専門性を伸ばすことに集中しなければならない(つまり、英語力は前提とされてい る)。 しかし、多忙を極める学生達にとって、英語の勉強を確保することは困難であるこ とが現状であり、何の事前英語教育も実施されないまま渡航していくケースも多い。 そこで、本 WG では、対策案として現在学内で実施されている G-30プログラムの授業を、 留学を予定している日本人学生や留学・英語に興味がある日本人学生にも受講可能にする ことを提案する。G-30プログラムでは、留学生を対象に授業が全て英語で行われており、 工学を中心に人文科学など様々な内容の授業が展開されている。渡航前にこれらの授業を 留学生と共に受講することによって、英語での発言を訓練する機会を与える。現在、制度 的には日本人学生が本プログラムの授業を受講することは可能であるが、より多くの学生 に周知、受講してもらうためには、選択科目として設定する可能性、人数制限、専門の偏 りなど議論が必要な点も多い。次年度も提案実現のために引き続き検討を行っていく。 ― 35 ― 留学生の受け入れ促進と修学支援に関する課題と対策案の検討 笠井 秀明・八木 哲也・渡邉 肇・金子 聖子・奥西 有理 本 WG では、 ( 1 )有効な留学生リクルートシステム、 ( 2 )留学生の修学・生活支援施 策、 ( 3 )留学生トラブルの未然防止および事後対応体制、 ( 4 )留学生の使用言語に対応 した教育システムの整備、の 4 点に関し、課題と対応策の検討を行った。さらに、対応策 の一環として、留学生相談部でこれまで蓄積されている留学生受け入れに関するトラブル 事例を洗い出し、事例集の草案を作成した。 下記に課題と対応策の検討結果を記す。 課題 対応策の検討 ( 1 )有効な留学生リクルートシステム 文部科学省の国費留学生に関して、ネットワークのあ る海外の教員からの紹介ではなく、インターネット上 で自由に応募してくる学生の選択が非常に困難である。 各国・各大学で成績判定判断が異なっている。統一し た留学生選考基準を作るのが困難である。 出張の機会と合わせて現地面接を実施したり、スカイ プで面接を行うケースもある。 大がかりかもしれないが、留学フェア(事務方や他学 部からも参加)が一番望ましい。 インドネシア大使館には、大阪大学のパンフレットが 置かれていたことがあった。大阪大学あるいは工学研 究科として、受け入れ目標人数を勘案しつつ、コンス タントに色々な大使館にパンフレットを送ることを、シ ステマティックに実施できると良い。 海外の大学にコネクションのある工学研究科の教員に 関して、事務方が情報を整備し、共有できる体制を整 える。全教員に対してではなく、留学生名簿を元に、留 学生指導教官にアンケートを行い、出張先の国やコネ クションの有無について調査を行うことができるであ ろう。 リクルートのための予算が戦略的につけば、コネクシ ョンを持つ教員が現地へ赴いて宣伝活動を行う。 ( 2 )留学生の修学・生活支援施策 宿舎の不足が問題である。 留学が決まった時に、一元化した情報を提供してくれる 窓口がない、もしくはあっても情報共有されていない 大阪大学におけるサポート面での充実が、うまくアピ ールができていない。 大阪大学に行きたいと考える留学生向けのパンフレッ トに、研究面の情報だけではなく、生活面の情報も盛 り込むべきである。 実際には、GCN-OSAKA などのオンラインコミュニテ ィや、サポートオフィスの冊子など、生活面の情報も 充実しているが、集約されていない・周知されていな いことが問題か。 ( 3 )留学生トラブルの未然防止および事後対応体制(事例集、対策マニュアル等) 日本と他国との常識の違いを扱ったようなガイダンス が不足している。(英語コース在籍の留学生の場合、同 国人の先輩やチューターが生活面での指導をするため、 意外に問題はない場合もある) 国際免許証が使えない場合などの事例を集めた事例集 を作り、受け入れ教員が共有できればトラブル防止に なる。また、大学として自動車の任意保険加入を推進 するべきである。 「郷に入っては郷に従え」を促進するため、留学生向 けの日本生活の心得を作成する。 ― 36 ― ( 4 )留学生の使用言語に対応した教育システムの整備(日本語教育、英語による講義等) 日本語を勉強するインセンティブが明確でない。日本 語教育はオプションとすべきという考え方もある。 大学院教育の英語化を目指し、将来的には日本人大学 院生を英語コースに入れていく方向を目指すこともで きる。その場合、なぜ欧米ではなく日本で英語による 教育なのか、アピールしていく必要がある。日本語英 語を広める、留学生にとって馴染みやすい大阪の文化 を広める、日本での就職をアピールする、など。 課題と対応策の検討結果に基づき、本 WG ではこれまでに留学生相談部に蓄積したトラ ブル事例を洗い出し、事例集の原案を作成した。同作業によれば、留学生が遭遇するトラ ブルは、大きく学業面と生活面に分けることができる。学業面の中では、学力不足、人間 関係、精神面の問題などが、生活面では自動車・バイク事故、病気、経済問題、生活習慣 の違いなどが、それぞれ洗い出された。 将来的には、この事例集をベースとして、留学生受け入れマニュアルを作成していくこ とが提案できる。さらにマニュアルは、国際的な教育研究空間である理工系研究室におけ る留学生受け入れという、独特かつ大学の国際化にとって重要なケースを扱うものである。 このため、多文化人材マネジメント手法の確立と、国際研究室運営のモデル構築といった 実証研究につなげていくことが、今後の留学生相談部の役割として期待されている。 ― 37 ― 工学研究科の組織としての国際化促進、国際交流支援に 関する課題と対策案の検討 池 道彦・戸田 保幸・寺井 智之・奥西 有理 本 WG では、 1 .今後の国際化推進支援部門(留学生相談部・留学生係等)の機能・組 織の在り方の検討、 2 .国際交流関連事務マニュアルの整備と普及(学内広報・関連書類 アーカイブ化等) 、 3 .教職員の国際力アップに資する取組(FD、評価、インセンティブ 等) 、 4 .国際教育・交流コーディネーター(第 3 の職種の専門職)の採用・育成・配置 等、の 4 点に関し、課題と対応策の検討を行った。具体的な検討内容について以下に示す 通りである。 ( 1 )大阪大学工学部における部局間協定の事務手続き等の問題点について 大学間協定に関する事務的手続きを専任の事務スタッフが担当する海外の大学とは異な り、大阪大学では協定の事務的な手続きをほとんど教員が行う必要があり、負担が大きい。 このため、現在締結されている協定の継続および新規の協定締結にある種の支障をきたし たり、消極的になる可能性があるとの指摘があった。この点について議論し、現時点の対 応として 各専攻の事務や、協定を結んだことのある教員(研究室)等が死蔵している事務書 類および作成のノウハウ類を共有化する 協定の手続きについて一貫して窓口となる人(職)を設けて、教員の事務手続きに 関する負担を最小化する。理想は教員が事務から送られてきた書類の空欄を埋めるだ けでよい状態にする の 2 点が挙げられた。また、この問題に関連して、対応策を具現化していくためには、IR (Institutional Research)が重要かつ必要性であることが指摘された。 ( 2 )留学生受け入れに関する業務について 留学生の受け入れに関して、文化的な相違による障害・施設の整備・事務手続きの煩雑 さ・受け入れ教員との連携などの問題点が指摘され、現時点の対応として、 部局間協定と同様に必要な事務手続きの情報を共有化する 留学生へのインタビューなどによる問題点の洗い出しを行う の 2 点が挙げられた。 ( 3 )組織の改編について 国際交流に関する部局が現在行っている業務範囲や、組織の再編について議論があった。 この議論に関して、以下のような意見が出された。 ― 38 ― 例えば、留学生係と留学生相談部のように国際交流に関わっている事務や支援部門 を将来的に統合して、国際関連の業務を一括して行う専門部署を設ける スペシャリストを育成する上では短期間に無為な配置転換せず、国際交流支援のス キルが高い専門職員とその補佐をする若手の 2 名以上を配置して効率的に業務を遂行 すると同時に、若手を育成できる体制を構築することが望ましい 国際業務関連のスペシャリストの養成に関しては、リサーチ・アドミニストレータ ー(URA)の活用も考えられる 相談部では、現在は本来の業務ともいえる留学生の学業・生活支援に加えて、日本 人学生への外国語教育(工学英語)や短期留学事業の企画・運営などを行っており、 スタッフの負担が重くなっている。国際交流に関する部局は、交流協定の締結、留学 生受け入れなどの業務に集中すべきであり、上記の業務等は精査し、外部委託などを 含めた分業分担・軽減を図ることも考えられる 新規に立ち上げたプログラムについては運営が軌道に乗り次第、マニュアル・シス テム化して適宜担当部署へ引き継いでいく等工夫することで、国際交流委員会・相談 部は新たなルーチン業務を担う主体となるのではなく、必要なプログラムの立案や企 画の立ち上げに注力できる仕組みを構築することが望ましい 工学部の 5 学科にアドバイザリースタッフを配置し、相談部の業務を、専門性を踏 まえて側面サポートする仕組みを構築してはどうか 上記( 1 )∼( 3 )の議論に関して、比較的すぐに実施が可能であると思われる( 1 ) (ⅰ)および( 2 )(ⅰ)の文書(リソース)の共有化については、実情把握のため現在の 工学部/工学研究科内における国際交流事業・学部間協定などの情報の整備を行うととも に、まとまった情報をホームページへアップロードするなどの実務を順次行っている。ま た、( 3 )についても、将来の組織の在り方について具体的な検討に入っている。 ― 39 ― 6 資 料 平成24年度奨学金採択状況(留学生相談部での面接選考を経た分) No 推薦決定 財団採択 決定通知 奨学金名 金額/月 (万円) 条件 1 2011/ 9 /29 2011/11/16 藤井国際奨学財団2012年度 アジア諸国出身者 奨学生 3(学部生) 5(大学院生) 2 2011/11/17 2012/ 1 /13 堀田育英財団平成24年度奨 欧州の文化と産業の発展に 学生 貢献しようとする者 3 2011/ 8 / 3 工学研究科 工学研究科 財団 申請者数 推薦者数 採択者数 13 2 0 8 4 1 0 2012/ 1 /23 KDDI 財団2011年度助成・ 情報通信またはこれと関連 12 援助 する事項を研究している者 6 2 0 4 2011/ 9 /29 2012/ 2 / 3 異文化理解に関心を持ち、 2012学年度ロータリー米山 学部 3 ・ 4 年次/博士前期 14 記念奨学生 課程 1 ・ 2 年次/博士後期 課程 2 ・ 3 年次に進学する者 25 1 1 5 2011/10/11 2012/ 2 /17 平和中島財団2012年度外国 国際理解や他国との親善に 10 人留学生奨学生 関心のある私費留学生 23 1 1 6 2012/ 1 /16 2012/ 2 /17 佐藤陽国際奨学財団(平成 アジア諸国出身者、国際理 12(学部生) 24年 4 月期生) 解と親善に関心を持つ者 18(大学院生) 2 1 0 7 2011/11/24 2012/ 2 /28 学部 3 ・ 4 年次、博士前期 川嶋章司記念スカラーシッ 課程または博士後期課程在 10 プ基金 籍者 27 1 0 8 2012/ 1 /23 2012/ 2 /28 2012年度川口静記念奨学生 6(学部・修士) 7(博士) 10 1 0 9 2011/11/24 2012/ 3 / 6 7 10 1 1 10 5 2 2 11 2012/ 1 /17 2012/ 4 / 5 2012年度豊田通商留学生奨 学部 3 年次生、優先地域有 10 学金 1 1 0 12 2012/ 1 /12 2012/ 4 / 5 2012年度 JT アジア奨学金 アジア諸国出身者、日本語 15 運用能力を有する者 29 1 1 13 2012/ 2 / 2 2012/ 4 / 5 学部2,3,4年生 / 博士前期 2012年度三菱商事留学生奨 10(学部生) 課程1,2年生 / 博士後期課 学金 15(大学院生) 程 1 年生 10 1 1 14 2012/ 3 / 7 2012/ 5 / 2 小林国際奨学財団 アジア諸国出身者、日本語 12(学部生) 運用能力を有する者 15(大学院生) 16 1 0 服部国際奨学財団平成24年 私費留学生(国籍調整有り) 10 度奨学生 28 1 0 ヒロセ国際奨学財団(酒井 アジア諸国出身者、日本語 2012/ 5 /15 秀樹メモリアル・スカラシ 20 運用能力を有する者 ップ) 9 1 0 1 1 0 10 2012/ 2 / 6 2012/ 3 /15 15 2012/ 2 /24 2012/ 5 /15 16 2012/ 3 / 6 アジア諸国出身者、日本語 運用能力を有する者 大遊協国際交流・援助・研 博士前期・後期課程 1 年生 究協会 松田與三七記念留学生奨学 東南アジア出身者 基金 17 2012/ 3 /19 2012年 5 月中旬 18 2012/ 4 / 5 2012/ 5 /22 東南アジア出身者、学部 3 佐川留学生奨学財団2012年 年・博士前期課程 1 年・博 10 度奨学生 士後期課程 2 年への進学者 1 1 0 19 2012/ 3 /12 2012/ 5 /28 旭硝子奨学会2012年度留学 アジア諸国出身者、大学院 10 生奨学生 正規課程在籍者 15 1 1 20 2012/ 4 /17 2012/ 6 / 4 橋谷奨学会2012年度奨学生 インドネシア国籍 10 1 0 0 21 2012/ 4 /27 2012/ 6 / 4 ナインティナイン・アジア アジア諸国出身者 留学生奨学基金 5 32 2 2 吉田育英会ドクター21 博士後期課程進学者 ― 41 ― 20(250万円まで の学校納付金有) No 推薦決定 財団採択 決定通知 奨学金名 金額/月 (万円) 条件 博 士 前 期 課 程 1 年 生、電 住友電工グループ社会貢献 気・機械・化学・物理を専 22 2012/ 4 /11 2012/ 6 /13 10 基金 攻の者、日本語運用能力を 有する者 工学研究科 工学研究科 財団 申請者数 推薦者数 採択者数 1 1 1 8 12 1 0 山岡育英会平成24年度奨学 東アジア・東南アジア諸国 10 生 出身者 17 1 1 2 3 1 1 アジア諸国出身者、日本語 10 運用能力を有する者 25 1 1 5 4 4 3 1 1 10 1 1 4 1 1 0 31 2012/ 4 /26 2012/ 8 / 3 アジア諸国出身者、日本語 2012年度ドコモ留学生奨学 運用能力を有する者、通信 12 金 技術分野 3 1 0 32 2012/ 8 /10 2012/11/ 1 佐藤陽国際奨学財団(平成 アジア諸国出身者、日本語 12(学部生) 24年10月入学&平成25年 4 運用能力を有する者 18(大学院生) 月入学) 1 1 1 33 2012/ 8 /10 2012/11/ 1 日揮・実吉奨学会第二種給 アジア諸国出身者、日本語 25 与奨学金 運用能力を有する者 15 2 2 アジア・アフリカ・中近東・ ソーシャル・イノベーショ 中南米出身者、大学院正規 34 2012/ 8 /24 2012/11/29 20 ン奨励金 課程で社会問題分野を研究 する者 11 1 0 23 2012/ 3 / 8 2012/ 6 /14 第60回帝人久村奨学生 24 2012/ 4 / 5 2012/ 6 /14 25 2012/ 5 /30 2012/ 6 /20 26 2012/ 2 / 2 修士課程進学者 建築系の専攻で日本国内の 日本建設業連合会留学生奨 建設業に従事する意志のあ 学金 る者 2012/ 6 /28 加藤朝雄国際奨学財団 27 2012/ 4 /23 2012/ 7 / 2 滝崎記念アジア留学生奨学 アジア諸国出身者、学部 1 基金 年在籍生 28 2012/ 5 /25 2012/ 7 / 6 村田海外留学奨学会 29 2012/ 4 /13 2012/ 7 /20 日本語運用能力を有する者 12.5 朝鮮奨学会2012年度大学・ 正規課程に在学中の韓国・ 大学院奨学生 朝鮮人学生 30 2012/ 6 /13 2012/ 7 /31 岡畑清風奨学会 5 学部 1 年次在籍者 ※2013年 2 月 5 日現在 ― 42 ― 2.5(学部生) 4(修士) 7(博士) 工学部・工学研究科奨学金受給状況(平成25年 2 月現在) 奨学金名称 私費外国人留学生学習奨励費 (日本学生支援機構) 現在の受給者数 学 部 研究生 博士前期 博士後期 5 7 13 計 25 月額* 1 48,000(学 部 生) 65,000(大学院生) ロータリー米山記念奨学生 1 1 140,000 西村留学生奨学財団 1 1 120,000 大遊協国際交流・援助・研究協会 1 1 市川国際奨学金 1 伊藤忠奨学金 1 50,000(学 部 生) 70,000(大学院生) 1 100,000 1 125,000 松田與三七記念留学生奨学基金 5 5 100,000 加藤朝雄国際奨学財団 2 2 100,000 2 150,000 1 50,000 1 200,000 1 30,000 吉田育英会・吉田育英会アジア100給与奨学生 SEIHO Scholarship 2 1 ヒロセ国際奨学財団(酒井秀樹メモリアル・スカラシップ) 1 JEES 奨学金・一般奨学金 1 双日国際交流財団 1 フジシールパッケージング教育振興財団 1 1 70,000(学 部 生) 100,000(大学院生) 1 100,000 三菱商事留学生奨学金 1 1 150,000 山岡育英会 2 2 100,000 1 2 180,000 2 100,000 佐藤陽国際奨学財団 1 住友電気工業奨学生 2 帝人久村奨学生 1 滝崎記念アジア留学生奨学基金 100,000 11 50,000 3 5 50,000 三菱 UFJ 信託奨学財団 1 1 100,000 日揮・実吉奨学会 2 2 180,000/ 一括金 250,000 村田海外留学奨学会 1 1 一括金150,000 旭硝子奨学会 1 1 100,000 JT アジア 1 1 150,000 朝鮮奨学会 1 1 25,000(学 部) 40,000(博士前期) 70,000(博士後期) 1 20,000 ナインティ・ナインアジア留学生奨学基金 11 1 1 1 日本建設業連合会 1 平和中島財団 1 1 100,000 ロッテ国際奨学財団 1 11 180,000 34 78 合 計 20 0 24 * 1 (一括)(一時金)の記載のあるものは、月額の限りではありません。 ― 43 ― 留学生情報(平成25年 1 月現在) 表 1 国・地域ごとの人数・構成比 国・地域名 人 数(名) 構成率(%) 中華人民共和国 170 32.9 大 国 100 19.3 インドネシア 39 7.5 タ イ 34 6.6 ム 32 6.2 マ レ ー シ ア 32 6.2 台 湾 21 4.1 フ ィ リ ピ ン 9 1.7 バ ン グ ラ デ シュ 8 1.5 イ ラ ン 6 1.2 ド イ ツ 6 1.2 イ ン ド 5 1.0 その他(37ヶ国) 55 10.6 全 体 517 100.0 ベ 韓 民 ト ナ その他の内訳 4名 アメリカ合衆国 3名 エジプト、トルコ、メキシコ、モンゴル 2名 アフガニスタン、サウジアラビア、スウェーデン、スリランカ、バーレーン、フランス、ミャンマー 1名 アルゼンチン、ウガンダ、エクアドル、オマーン、ケニア、シリア、スーダン、チュニジア、パキス タン、パナマ、ハンガリー、フィンランド、ブータン、ペルー、ポルトガル、マカオ、マケドニア、 マダガスカル、モロッコ、ラオス、リトアニア、ルーマニア、レバノン、ロシア、南アフリカ 表 2 男女構成比 男女構成 人数(名) 構成比(%) 男 373 72.1 女 144 27.9 表 3 経費区分 経費区分 人数(名) 構成率(%) 私 費 326 63.1 国 費 161 31.1 政 府 30 5.8 全 体 517 100.0 ― 44 ― 表 4 学生身分の別 学生身分 人数(名) 構成率(%) 院 345 66.7 部 100 19.3 生 42 8.1 特別研究学生 9 1.7 特別聴講学生 21 4.1 全 体 517 100.0 大 学 学 研 究 表 5 学部・大学院生の所属 学部生の所属学科 人数(名) 構成率(%) 科 32 21.6 科 31 20.9 環 境 ・ エ ネ ル ギー 工 学 科 7 4.7 地 球 総 合 工 学 科 8 5.4 電 子 情 報 工 学 科 22 14.9 研 究 生・特 別 聴 講 学 生 48 32.4 全 体 148 99.9 院生の所属専攻 人数(名) 構成率(%) ビジネスエンジニアリング専攻 17 5 マテリアル生産科学専攻 22 6 応 攻 22 6 環 境 ・ エ ネ ル ギー 工 学 専 攻 34 9 機 攻 23 6 生 命 先 端 工 学 専 攻 65 18 精 密 科 学・応 用 物 理 学 専 攻 45 12 知 能・機 能 創 成 工 学 専 攻 18 5 地 球 総 合 工 学 専 攻 54 15 電 気 電 子 情 報 工 学 専 攻 45 12 研 生 10 3 応 応 用 自 用 用 械 然 理 科 工 化 学 工 学 学 学 専 専 究 特 別 研 究 学 生 9 2 特 別 聴 講 学 生 5 1 全 体 369 ― 45 ― 100.0 平成24年度 国内外視察・訪問等 記録 日 程 8 月21日∼ 8 月29日 視察・訪問先(国名) 夏期研修視察、 English Language Program, University of California, Davis(USA) 出張者 出口朋美 9 月 1 日∼ 9 月 3 日 日韓共同理工系学部留学生事業推進フェア、国立国際教育院(Korea) 寺 井 智 之 9 月 5 日∼ 9 月 7 日 夏期研修視察、Monash University(Australia) 市村真希 10月25日 寺井智之 学部進学留学生のための大学進学説明会(東京外国語大学) ― 46 ― 平成24年度 教育研究業績 【学術論文】 奥西有理(2012) .中国人留学生との対人交流における日本人ホストの異文化性認知 留学 生教育 17,99 105. Kaneko, Seiko(2012) . Entrepreneurship Education for Resolving Inequalities: A Case Study of Indonesia (Online Publication) 奥西有理・田中共子(2013) .地域国際交流の場におけるホストファミリーの異文化接触対 応スタイル ─ 自然発生的な文化学習類型の探索 質的心理学研究 12,7-24. 奥西有理・出口朋美・市村真希・池道彦(2013) .理工系学生の国際力はどのように向上す るのか? ─ 潜在的グローバル人材の育成に関する実証研究 大阪大学国際教育交流 センター研究論集 多文化社会と留学生交流 16,印刷中. 【国際学会・シンポジウム発表等】 Kaneko, Seiko ( 2012 ) . Role of Higher Education Institutes in Sustainable Regional Development: Case Study of Brawijaya University, Indonesia The 8th Biennial Conference of the Comparative Education Society of Asia (July 8-11, Bangkok, Chulalongkorn University) Deguchi, Tomomi( 2012 ). International Volunteer Experiencing Project: Intercultural English, Contact Intercultural through Understanding an and Collaborative Work The Tenth Asia TEFL International Conference (Oct. 4-6, Gurgaon, The Leela Kempinski) 【国内学会発表・講演等】 奥西有理(2012)中国系ニューカマーの留学と就労体験を通した心理的葛藤と行動変容 ─ 日中文化差の調整過程をめぐる分析 異文化間教育学会第33回大会 立命館アジア太 平洋学会( 6 月10日) 田中共子・奥西有理(2012)日本人大学生による日本的ソーシャルスキルの実施と適応 ─ 在日留学生の対人行動における文化間距離の対比的集団として 日本心理学会第76回 大会( 9 月12日) 奥西有理・田中共子(2012)中国人祖父母の育児滞在をめぐる日中異文化葛藤と心理的変 容 ─ 国際家族の家庭内規範に関する微視的分析 多文化関係学会第11回大会 関西 学院大学(10月21日) 出口朋美(2012)教育の現場で活かす研究科の学び 関西大学大学院外国語教育学研究科 創立10周年記念シンポジウム(11月24日) ― 47 ― 金子聖子(2012)持続的な地域開発に高等教育機関が果たす役割 ─ インドネシア・ Brawijaya University の事例から ─ 国際開発学会第23回全国大会(12月 1 日) 【学内競争的資金等 獲得状況】 平成24年度戦略的経費(総長裁量経費・教育研究等重点推進経費) 「国際交流推進のための基盤プログラムの整備」 【外部競争的資金等 獲得状況】 平成24年度留学生交流支援制度(ショートビジット)プログラム 「理工系大学院生のための海外研究発表研修コース」 (代表者 池 道彦) 「理工系学部学生のための海外英語研修コース」 (代表者 池 道彦) 奥西有理 科学研究費補助金 若手研究(B) 「日中異文化交流における葛藤発生メカニズ ムの解明と介入教育手法の開発」(課題番号22720214,研究代表者 奥西有理) ― 48 ― ⇐ቇ↢⋧⺣ㇱߩ⒖ォߦߟߡ ⇐ቇ↢⋧⺣ㇱߪᐔᚑ 25 ᐕ 5 ਛᣨ㗃㧔੍ቯ㧕ࠫࡠࡁࠢ࠹ࠝࠗࡃޔ࿖㓙ᵹ 1F ߳⒖ォߒ ߹ߔޕ ࡃࠗࠝ࠹ࠢࡁࡠࠫ࿖㓙ᵹ Ꮏቇ⎇ⓥ⑼࿖㓙ᵹߚࠃࠅ No.38 (㕖ᄁຠ) 㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩㧩 ⊒ⴕᣣ 2013 ᐕ 2 ✬㓸⊒ⴕ ᄢ㒋ᄢቇᄢቇ㒮Ꮏቇ⎇ⓥ⑼ᢎ⢒ቇോ࿖㓙ቶ⇐ቇ↢⋧⺣ㇱ ޥ565-0871 ᄢ㒋ᐭ็↰Ꮢጊ↰ਐ 2-1 TEL 06-6879-8972/4122 GSE ࠦࡕࡦ࠙ࠛࠬ࠻ U1w-111 FAX 06-6879-8973 Email: contact@fsao.eng.osaka-u.ac.jp URL: http://www.fsao.eng.osaka-u.ac.jp Osaka University
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