学会プログラム・抄録集(平成28年10月19日付 修正版)

第31回
大阪府作業療法学会
The 31st Meeting of the Osaka Association of Occupational Therapists
30年の歴史、次の世代へ!
10月 30日
会 期
2016年
会 場
大阪国際交流センター
学会長
中川 正己
主催
一般社団法人
大阪労災病院
大阪府作業療法士会
第 31 回大阪府作業療法学会
参加受付用紙
氏 名
会員番号
所 属
お 願 い
・あらかじめご記入の上、当日受付にてご提出ください。
・下記の該当する□をチェックしてください。
・おつりのないようにご協力をお願いします。
□ 大阪府士会員 3,000 円
(平成 28 年度府士会費納入シールを提示ください )
※シールの提示がない場合は非会員扱いとし、10 , 000 円が必要です。
→ 受付①へお越しください
□ 他府県士会員、他職種 4,000 円( 日本作業療法士協会会員証を提示ください )
□ 非 会 員
10,000 円
□ 一 般
無 料( 府民公開講座 13:00 ∼ 14:30 )
□ 医 師
無 料
□ 学 生
無 料( 学生証の提示をお願いします )
※有資格者で参加する場合は、該当する受付ブースへお越しください
→ 受付②へお越しください
□ 演 者 3 ,000 円 (平成 28 年度府士会費納入シールを提示ください )
( □ ポスター演題 □ シンポジウム )
□ 座 長 3,000 円 (平成 28 年度府士会費納入シールを提示ください )
→ 受付③へお越しください
□ 府士会入会希望
□ 今年度府士会費納入
→ 受付④へお越しください
作業療法士の場合、
「一般」参加は出来ません。ご了承ください。
2016 年 10 月吉日
病 院 長 様
施 設 長 様
第 31 回大阪府作業療法学会
学会長 中川 正己
第 31 回大阪府作業療法学会出張許可について(依頼)
謹 啓
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素より一般社団法人大阪府作業療法士会の活動に格別のご理解とご協力
を賜り、厚く御礼申しあげます。
さてこの度、第 31 回大阪府作業療法学会を下記の通り開催する運びとな
りました。つきましては、貴施設の作業療法士 殿の
学会出張に際し、格別のご配慮を賜りますよう謹んでお願い申しあげます。
謹 白
記
日 時:2016 年 10 月 30 日( 日 )
9:40 ~ 17:00
会 場:大阪国際交流センター
〒 543 0001 大阪市天王寺区上本町 8 2 6
TEL:06 6772 5931
内 容:府民公開講座
日本作業療法士協会設立 50 周年記念事業 公開講座
学会シンポジウム
演題発表( ポスター発表 )
体験コーナー ほか
The 31st Meeting of
the Osaka Association of Occupational Therapists
第31回
大阪府作業療法学会
30年の歴史、次の世代へ!
主 催 ◆ 一般社団法人 大阪府作業療法士会
後 援 ◆ 大 阪 府
大 阪 市
堺 市
一般社団法人 大阪府医師会
一般社団法人 大阪府病院協会
一般社団法人 大阪府私立病院協会
公益社団法人 大阪府看護協会
公益社団法人 大阪介護支援専門員協会
大阪介護福祉士会
大阪府理学療法士会
一般社団法人 大阪府言語聴覚士会
公益社団法人
公益社団法人
特別後援 ◆
一般社団法人
日本作業療法士協会
学会長 ●
中川 正己
会 期 ●
平成 28 年 10月 30日日
会 場 ●
労働者健康安全機構 大阪労災病院
9 : 40~17 : 00
大阪国際交流センター
〒543-0001 大阪市天王寺区上本町 8‒2‒6
TEL:06-6772-5931
第31回大阪府作業療法学会 事務局
大阪労災病院 中央リハビリテーション部内
〒591-8025 堺市北区長曽根町 1179-3
TEL:072-252-3561
E-mail:otosaka31st@yahoo.co.jp
INDEX
作業療法士会 会長挨拶
1
学会長挨拶
2
祝 辞
3
交通アクセス
6
会場案内図
7
参加者へのお知らせ
8
託児サービスのご案内
9
ポスター発表要項
10
ポスター演題演者へのお知らせ
11
座長へのお知らせ
12
日 程 表
13
プログラム
14
抄 録
教育講演 1・2
23
府民公開講座
25
日本作業療法協会設立 50 周年記念公開講座
26
推進事業
27
精神科シンポジウム 1・2
28
体験コーナー
30
学会特別企画
31
学術部企画[ 学術部研究会紹介・報告会 ]
32
一般演題( ポスター)
39
歴代学会長・学会会場
52
第 31 回大阪府作業療法学会 運営組織
53
機器展示企業一覧
54
広告・協賛企業一覧
55
編集後記
56
大阪府作業療法士会 会長挨拶
一般社団法人 大阪府作業療法士会
会 長 上田 任克
本年 4 月に熊本県・大分県で大きな地震が起こりました。この地震により被災され
た皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、1 日もはやい復旧・復興をお祈り申し
上げます。
大阪府作業療法士会では、かねてより立ち上げ準備中であった大阪 JRAT の一員
として熊本・大分地震の被災地に会員有志が参加し災害支援を行っています。大阪
JRAT は 10 月 29 日(土)に大阪医科大学で設立記念式典が行われ、正式に大阪府作
業療法士会も加盟団体として活躍することとなります。今学会の中でも学会特別企画
として実際に被災地で支援を行った会員からの報告が予定されています。
この度、中川正己学会長の下、第 31 回大阪府作業療法学会が開催されます。学会
長をはじめ、学会役員の皆様、運営委員の皆様のご尽力により本学会が盛大に開催さ
れることに対し、心よりお礼申し上げます。
今年の学会は、テーマを「30 年の歴史、次の世代へ!」と掲げ、先達たちが築い
てきた「知識」や「技術」などを次の世代に繋ぐということを目指して開催されま
す。国は 2025 年に向かって地域包括ケアシステムの構築に全力をあげています。こ
の流れは、作業療法士や作業療法士会にとって激流に近い大きな潮流であると考えら
れます。私たちはこの潮流に乗っていかなければなりません。しかし、作業療法の本
質を忘れてはいけません。
中川学会長の熱い想いのもと、シンポジウムや教育講演など多くの企画が準備され
ています。また、今年は、日本作業療法士協会の設立 50 週年記念の府民公開講座も
予定されており大変盛りだくさんの内容となっています。
ベテランの皆さん、次の世代を担う皆さん、ぜひこの学会を通して多くのことを考
えたくさんのことを得ていただけることを願います。
この潮流に乗り遅れないためにもしっかり足元を固めていただくことを願って開催
にあたっての挨拶とさせていただきます。
―1―
学会長挨拶
第 31 回大阪府作業療法学会
学会長 中川 正己
1985 年に 117 名で設立した大阪府作業療法士会は 30 周年という節目を迎え、会員
数も約 2,000 人(約 500 施設)に達しました。第 31 回大阪府作業療法学会は、
『30 年
の歴史、次の世代へ!』を掲げ、2016 年 10 月 30 日(日)に、大阪国際交流センター
にて開催いたします。長きに渡って多くの先達から受け継がれた財産である「情熱」
「知識」
「技術」をさらに発展させ、若い世代へ発信したいと考えております。
昨今の社会情勢を見ると、2025 年問題である少子高齢化社会の急速な進展ととも
に、府民の健康や医療に関する関心は高まる一方ではないかと考えます。中でも、作
業療法士は「人は作業をすることで幸せになれる」をテーマに、各人が必要とする
作業に着眼・分析しながら、生活機能の維持・向上に貢献できる専門家であると期待
されています。地域包括ケアシステムにおける地域ケア会議や地域リハビリテーショ
ン活動支援事業、介護予防などへの参加要請などを含め、作業療法士に求められる職
域も拡大し、OT の専門性はさらに進むと考えられています。その一方で、他職種の
領域とオーバーラップする部分も大きくなってくるものと思われます。OT が他職種
の知識や技術を習得することは言うまでもありませんが、ともすれば、他職種が OT
の技術を習得し、OT の職域が侵食されることを危惧しておく必要があります。
本学会では、少子化問題(発達分野)に対して、大阪大学大学院の片山泰一先生に
は「発達障害の早期気づきと支援」をご講演いただき、脳科学的根拠に基づいて障
害理解やゲイズ・ファインダー等の導入による早期発見と早期支援の必要性、そして、
子どもとご家族に関わる支援者がどのような視点を持って関われば良いか、最新の知
見と支援の方向性についてご提言いただきます。一方の高齢化問題に対しては、九州
保健福祉大学の小川敬之先生に「認知症を深く理解する~死ぬまで現役を支えるリ
ハビリテーション~」と題し、OT として取り組むべき課題を提言して頂くとともに、
OT の効果などについて府民や関連団体(PT、Ns、介護支援員など)へのアピールの
場としたいと考えております。その他、身障・発達・精神分野においての教育講演や
シンポジウムなど企画しております。
会員の皆さまの一人でも多くの参加を、スタッフ一同お待ちしております。
終わりに、本学会開催にあたり、ご協力・ご支援頂きました後援団体や企業の皆様
方に深く感謝いたします。
―2―
祝 辞
大阪府知事
松井 一郎
第 31 回大阪府作業療法学会が盛大に開催されますことを、心からお慶び申し上げ
ます。
大阪府作業療法士会の皆様には、日頃から作業療法の普及発展に力を尽くされると
ともに、作業療法を通して、府民の健康と医療の向上に大きく貢献され、そのご熱意
とたゆまぬご努力に、心から敬意を表します。
我が国は、世界でも類を見ない高齢社会を迎えています。大阪は、東京や愛知より
も早く超高齢社会に突入し、2025 年には高齢者の割合が約 3 割にのぼると見込まれ
ており、府民が住み慣れた場所でその人らしく生活を送れることはますます重要にな
ります。
地域における医療や介護、とりわけ、回復期のリハビリテーションや在宅でのサー
ビスなどの需要の飛躍的な高まりによって、作業療法士が、その知識と技術を活かし、
活躍される機会が大きく広がっていくものと思われます。
このような中、作業療法士の皆様が一堂に会し、新たな知識や技能の情報を共有し、
交流を深めながらさらに作業療法を発展させることは、誠に意義深いことと存じます。
また、本学会で得られたことを実践の場を通じて、多くの府民に還元されることに
大きな期待を寄せております。
大阪府といたしましても、府民の健康寿命の延伸を図るため、地域における医療と
介護の連携の推進や、介護予防に取り組んでまいりますので、より一層のご理解とご
協力を賜りますようお願いいたします。
結びに、本学会の成功と、本日お集まりの皆様のご健勝とご活躍、大阪府作業療法
士会の益々のご発展を祈念し、お祝いの言葉といたします。
平成 28 年 10 月 30 日
―3―
祝 辞
公益社団法人 大阪府理学療法士会
会 長 山川 智之
中川 正己学会長のもと第 31 回大阪府作業療法学会の開催、誠におめでとうござい
ます。心よりお喜び申し上げます。
各役員・運営委員の皆様方のご努力によりこの日を迎えることができたことを勘案
しますと、皆様方のお喜びも一入のことと存じます。
「30 年の歴史、次の世代へ!」
という掲げられた学会のテーマは、30 年という年輪を重ねるだけでなく次の世代へ
の道しるべとなるものでありましょう。さらに、この学会では日本理学療法協会設立
50 周年記念事業の一環の公開講座も企画されており、テーマの意義がより深いもの
となっていると感じざるを得ません。大阪府理学療法士会も本年度に創立 50 周年を
迎えることとなりました。本年 11 月にはこの記念式典および祝賀会を開催する予定
であります。この学会のような次世代へつなげていける大阪府理学療法士会へと成長
をしていきたいものであります。
また、大阪府理学療法士会、大阪府作業療法士会、大阪府言語聴覚士会の三士会で
連絡協議会が立ち上がり、行政にお手伝いをいただき研修会などを開催するようにな
りました。この三士会の活動の場が広がるには、ADL、QOL の専門職である作業療
法士の皆様のお力を発揮していただかなければなりません。そのためにも 2025 年へ
の先行きを感じたこの学会が大きな研鑽の場となることを願うものであります。
最後に、大阪府作業療法士会の発展のもと、意義深き大阪府作業療法学会が今後
も大きな役割を果たしていただくことをお願いして、お祝いの言葉とさせていただ
きます。
―4―
祝 辞
大阪府言語聴覚士会
会 長 藤井 達也
第 31 回大阪府作業療法学会が本日ここに、盛大に開催されますことを皆様ととも
にお慶び申し上げます。また同時に、大阪府作業療法士会の設立から 30 周年という
重要な節目を迎えられたことを心からお祝い申し上げます。
2025 年問題である少子高齢化社会の急速な進展に伴い、介護予防事業が見直され
ることとなり、リハビリ職である言語聴覚士、作業療法士、理学療法士の活動も行政
から注目を集めています。医療・保健・福祉を取り巻く環境の多様化に伴い、リハビ
リテーションの専門職として様々な役割が課せられるようになってきました。
今回の学会のテーマ「30 年の歴史、次の世代へ!」を通して、先人の作業療法士
の方々が築かれた「情熱」
「知識」
「技術」の礎を多くの若い世代の方に発信される
という試みは、継続して学会を行われてきたからこそできる企画だと思います。2,000
名を超える会員への発信は、運営されるスタッフの方々にもご苦労があったと思いま
すが、世代間の交流こそが職能を発展させる絶好の機会ですので、この学会が成功す
ることをお祈りしております。
昨年より、大阪府理学療法士・作業療法士・言語聴覚士連絡協議会を発足させ、三
団体で、随時に会長・副会長・理事の出席のもと協議会を運営しています。今年度は、
地域医療介護総合確保基金を活用して、介護予防の推進に資する理学療法士、作業療
法士、言語聴覚士の指導者育成事業として、研修会を大阪府と三団体の合同で開催し
ます。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士それぞれの専門分野を融合して、より良
い部分を共有する機会を増やし、共に府民へのリハビリテーションの普及に努めて参
りたく存じます。
結びに当たりまして、大阪府作業療法士会のさらなるご発展と、本日お集まりの皆
さまのご健勝、ご多幸をお祈りいたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。
平成 28 年 10 月 30 日
―5―
交通アクセス
リムジンバス
千里中央
大阪伊丹空港
新 幹 線
至 神戸・広島・
福岡
至 京都
至 京都
新大阪
至 京都・名古屋・
東京
至 神戸
大日
尼崎
野田阪神
阪神線
東梅田
梅田
線
大阪城
谷町九丁目
大阪上本町
近 鉄 線
至 名古屋・奈良
鶴橋
四天王寺前
夕陽ヶ丘
南海線
南巽
天王寺
阪和線
八尾南
大阪国際
交流センター
なかもず
リムジンバス
関西国際空港
至 東梅田
道頓堀
状
日本橋
なんば
ユニバーサル
シティー
環
天満橋
南森町
至 京都
京橋
谷町線
御堂筋線
千日前線
西九条
京阪線
堺筋線
大阪
至 神戸
出口
千日前線
谷 町 九 丁 目 駅
入口
近 鉄 線
■5番出口
近鉄大阪上本町駅
10番出口■
谷 町 筋
シェラトン都ホテル●
●
●近鉄百貨店
上本町
ハイハイタウン ■14番出口
●上本町YUFURA
P入口
上汐地下駐車場
P出口
松屋町筋
上本町7
大阪国際交流センター
上 町 筋
阪神高速1号環状線
生国魂 ●
神社 生玉
公園
生玉南
●
上汐公園
谷 町 線
出口
至 天王寺
入口
天王寺郵便局
四天王寺前
夕陽ヶ丘駅
夕陽丘
上本町八丁目
バス停
●法務局
天王寺出張所
●クレオ大阪中央
六万体
至 鶴橋
至 なんば
KFC● 上本町6
千日前通
上本町9
―6―
上本町八丁目
バス停
天王寺消防署
会場案内図
1F
ポスター会場
ギャラリー
インフォメーション
センター
リハーサル室
調整室
ホワイエ
交流
スペース
レストラン
アトリウム
大ホール
倉庫
ルームG
受 付
調整室
ホテルロビー
管理事務所
入口
入口
2F
3F
講師控室
ルームE
託児室
会議室5
和室
小ホール
会場
Aさくら西
学会本部
会議室3・4
映写室
ロビー
会場
Bさくら東
アトリウム
企業展示
銀杏
ルーム
I
会場 D 会場
C
会議室 A・B
会議室 C・D
会議室
1・2
フランダースセンター
―7―
参加者へのお知らせ
1 . 学会参加費、および受付について
1)
学会参加の受付は、10 月 30 日(日)
9:00 から行います。
当日は、生涯教育手帳と今年度の OT 協会会員証(会員シール貼付、府士会会費納入
が確認できるもの)をご持参下さい。
大阪府士会員: 3,000 円
他府県士会員・他職種:4,000 円
非 会 員:10,000 円
一 般: 無 料
医 師: 無 料
学 生: 無 料
2)
日本作業療法士協会に登録されていても、府士会員ではない方は、非会員扱いとな
ります。学会当日は、府士会の入会手続きおよび会費の受付も同時に行います。
3)
本学会は、生涯教育単位認定システムに該当します。
4)
抄録集は当日 1,000 円にて販売します(一般参加の方は購入できません)
。
2.
会場入場の注意
1)
受付時にネームプレートをお渡ししますので、所属と氏名を記入し、会場内では確
認しやすいところにつけてください。
2)
会場内では携帯電話の電源を切るか、マナーモードでご利用ください。各セッショ
ンおよび講演中の携帯電話のご使用はお控えください。
3)
会場内での録音、写真・ビデオ撮影は禁止されています。但し、ポスター演題に関
しましては演者の許可が出ている場合のみ写真撮影は可能です。
3 . 会場、昼食について
1)
会場にはできる限り、公共交通機関をご利用になっておいでくださるよう、お願い
いたします。
2)
会場内は、全館禁煙です。
3)
当日のお弁当はご用意いたしておりません。各自で昼食をご持参いただくか、駅周
辺や会場周辺の飲食店等をご利用ください。
4)
飲食は、大ホール、小ホール、ギャラリー、ロビー以外可能ですが、講演・発表中
の飲食はご遠慮ください。
5)
ゴミは各自でお持ち帰りください。
―8―
託児サービスのご案内
学会開催中に福利厚生部で託児室を開室します。
1 歳(12 ヶ月)以上のお子様を対象とさせていただきます。利用を希望される方は ① 氏名
② 連絡先 ③ 託児希望人数、をご記入の上メールでお申し込みください。
その際、件名に「第 31 回大阪府作業療法学会託児室希望」とご記入し 10 月 14 日(金)ま
でにお申し込みください。申し込み確認後、改めてご連絡いたします。
なお、当日の受付は行っていませんので、必ず事前申し込みをお願いいたします。
[ 申し込み先 ]
大阪府作業療法士会事務局
TEL:06-6765-3375 E-mail:jimu@osaka-ot.jp
担当:中辻(福利厚生部 部長)
託児関連イベントのご案内
「働くセラピストママ&パパの楽しみ方 ~気がかりがすっきり~」
子育て中のセラピスト(これから子育て予定のセラピストも OK)のみなさんが集まって、
日頃の悩みを話しませんか。みんなで情報交換して、すっきり解決!(できたらいいな。
)
興味のある方は、当日、受付近くの福利厚生部員にお声かけ下さい。
―9―
ポスター発表要項
1.
ポスター発表方法について
〈 ポスター作成サイズ 〉
タイトル・氏名・所属:縦 20 ㎝×横 100 ㎝
ポスター:縦 160 ㎝×横 120 ㎝
※演題番号は学会事務局が準備いたします。
※
【 タイトル・氏名・所属 】と【 ポスター】は各自でご準備ください。
※文字サイズ、フォントの種類、図表、写真等の枚数は定めませんが、必ず指定し
たサイズ内に収まるように作成してください。
※ 1 m 以上離れた場所からも見やすい・読みやすいポスターとなるよう、配慮して
ください。
※撮影可否シールをお渡ししますので、ポスターの左上(演題番号の下)に貼り付
けてください。
2.
貼付・撤去スケジュール
・貼付日時:10 月 30 日(日)
9:00 ~ 10:00
・撤去日時:10 月 30 日(日)
15:00 ~ 16:00
※発表者が責任を持って撤去するようお願い致します。
※未撤去のポスターはすべて破棄いたしますので、ご注意ください。個人情報の保護
については各発表者の責任となります。学会側が破棄する場合、シュレッダー等に
かけることはできません。
3.
注意事項
発表演者の方
発表のためには、大阪府作業療法士会の会員であること、かつ、2016 年度までの会費
を全て納入済みであることが必要です。まだ今年度会費を納入されていない方は早め
に納入して下さい。会費未納の場合、原則として学会の発表はできません。
― 10 ―
ポスター演題演者へのお知らせ
1 . ポスター作成にあたってのお願い
1)
演 題名・所属・氏名は、縦 20 ㎝
100 ㎝
20 ㎝
×横 100 ㎝ 以内に収まるように
作成してください。
20 ㎝
2)
ポ スター本文は、縦 160 ㎝ ×横
演題
番号
演題名
所属・氏名
演題撮影の可否
演者
用意
演者
用意
120 ㎝以内に収まるように作成し
てください。図表、写真の貼付
枚数は自由です。A3 用紙を貼付
する場合、最大で横向きに 5 枚ず
つ 2 列に並べることができます
160 ㎝
(A3 合計 10 枚)
。
120 ㎝
3)演 題番号はあらかじめ表示され
ています。該当する演題番号の
パネルをご利用ください。
4)当 日、写真撮影可否シールを用
意致します。演題番号の下に貼
り付けてください。
2 . 受付について
30 ㎝
演者の方は、9:40 までに受付を済
ませ、ギャラリー
(1F)に設置しま
した展示ボードに設営をしてくださ
い。貼り付けに必要なテープなどは
こちらでご用意いたします。
3 . 展示について
展示時間は、10:00 ~ 15:00 です。演者の方の都合により変更がございましたら受付(事
務局長 村田郁子)にお申し出ください。
4 . 発表について
1)
開始 10 分前には展示場所に待機してください。
2)
発表時間は 1 演題につき発表 7 分、質疑応答 3 分です。時間厳守でお願いいたします。
発表終了 1 分前と時間終了時を合図いたします。質疑応答は、座長の指示に従ってく
ださい。
― 11 ―
座長へのお知らせ
1.受付で座長である旨をお申し出ください。
2.セッション開始 10 分前までに当該セッションポスター前までお越しください。
3.進行方法については、座長に一任しますが、予定時間内で進行するようにご配慮をお願
いいたします。演題発表は 1 演題につき発表 7 分、質疑応答 3 分です。
4.セッション終了後、
「大阪作業療法ジャーナル」にふさわしいと思われる演題がありま
したら、学会事務局までご推薦下さい。
― 12 ―
日 程 表
A会場
2階 さくら西
9:00
10:00
9:00 ∼ 参加受付
B会場
2階 さくら東
C会場
2階 会議室A・B
D会場
2階 会議室C・D
1階 ギャラリー
1階ロビーにて参加受付、演者受付、座長受付、府士会入会、年会費受付を行います。
9:40 ∼ 開 会 式
10:00 ∼ 15:00
10:00 ∼ 11:30
ポスター展示
教育講演 1
運動と神経機構
講師:松木
11:00
ポスター会場
明好
(四條畷学園大学)
司会:神尾 昭宏
(森之宮病院 )
10:30 ∼ 11:30
推進事業
MTDL P∼生活 行
為 向 上マネージメ
ント∼『 知って いる
MTDLP』から『活用
できるMTDLP』へ!
講師:木瀬 憲司
10:30 ∼ 11:30
10:30 ∼ 11:30
精神分野シンポジウム 1
教育講演 2
病 院、 就 労、 訪 問
で何が違うのか?
子どものセラピーに
必要な視点・始点・
支点
∼覗いてみよう!評価・
アプローチ∼
(森之宮病院)
講師:三浦
10:30 ∼ 11:30
ポスター発表
P-Ⅰ-1∼5
P-Ⅱ-1∼6
正樹
( 森之宮病院 )
11:30 ∼
相談コーナー
12:00
事 例 発 表・事 例 検
討の相談コーナー
講師:木瀬
憲司
(森之宮病院)
11:40 ∼ 12:40
11:45 ∼ 13:00
ポスター発表
体験コーナー
P-Ⅰ-6∼11
P-Ⅱ-7∼12
認知症カフェに足を
運んでみよう‼
12:30 ∼ 14:00
13:00
13:00 ∼ 14:30
府民公開講座
発達障害の
早期気づきと支援
講師:片山
泰一
(大阪大学大学院)
14:00
現場からの報告
講師:尾藤
祥子
大規模災害時の作
業 療法士の可能 性
13:00 ∼ 14:20
学術部企画
学術部研究会
紹介・報告会
13:15 ∼ 14:15
精神分野シンポジウム 2
歴 代 理事に聞いて
みよう! ∼今更聞け
ない、普段のギモン∼
∼災害派遣時の報告∼
ポ ス タ ー 展 示
学会特別企画
(藍野大学)
司会:辻
薫
( 大阪発達総合療育
センター)
14:40 ∼ 16:10
15:00
日本OT協会
設立50周年記念
公開講座
認知 症を深く理 解
する ∼死ぬまで現役
15:00 ∼ 16:00
撤 去
を支えるリハビリテー
ション∼
講師:小川 敬之
(九州保健福祉大学)
16:00
司会:中川
正己
(大阪労災病院)
16:20 ∼ 表 彰 式
16:40 ∼ 閉 会 式
17:00
― 13 ―
プログラム
府民公開講座・日本作業療法協会設立 50 周年記念公開講座
府民公開講座 13:00 ∼ 14:30
A 会場( 2 階
さくら西)
司会:辻 薫( 大阪発達総合療育センター)
発
達障がいの早期気づきと支援
片山 泰一 大阪大学大学院
現
場からの報告
尾藤 祥子 藍野大学
日本作業療法協会設立 50 周年記念公開講座 14:40 ∼ 16:10
A 会場( 2 階
さくら西)
司会:中川 正己( 大阪労災病院)
認
知症を深く理解する ~死ぬまで現役を支えるリハビリテーション~
小川 敬之 九州保健福祉大学
講演・シンポジウム
教育講演 1 10:00 ∼ 11:30
A 会場( 2 階
さくら西)
司会:神尾 昭宏( 森之宮病院)
運動と神経機構
松木 明好 四條畷学園大学
推進事業 10:30 ∼ 11:30
B 会場( 2 階
さくら東)
司会:関本 充史( 株式会社かなえるリンク)
M
TDLP ~生活行為向上マネージメント~ 『 知っている MTDLP 』から『 活用できる MTDLP 』へ!
木瀬 憲司 森之宮病院
― 14 ―
相談コーナー 11:30 ∼ 12:50
B 会場( 2 階
さくら東)
事例発表・事例検討の相談コーナー
木瀬 憲司 森之宮病院
他 推進事業部員
精神分野シンポジウム 1 10:30 ∼ 11:30
C 会場( 2 階
会議室 A・B )
司会:河合 英紀( 株式会社 Hopemillion )
病
院、就労、訪問で何が違うのか? ~覗いてみよう! 評価・アプローチ~
シンポジスト:金川 善衛 医療法人清風会就労支援センター オンワーク
西 広行 大阪府立精神医療センター
沖井 健太 株式会社 Hopemillion
希望や訪問看護ステーション
高野 隼 関西医科大学付属滝井病院
体験コーナー 11:45 ∼ 13:00
精神科デイケア
C 会場( 2 階
認知症カフェに足を運んでみよう!!
べるたうんぬくもりカフェ
小川 康裕 介護老人保健施設
ベルアルト
竹谷 厚作 ベルタウン介護相談センター
高田谷 和幸 特別養護老人ホーム ベルライブ
藤原 秀太 特別養護老人ホーム ベルライブ
津田 舞 ベルタウンヘルパーステーション
― 15 ―
会議室 A・B )
精神分野シンポジウム 2 13:15 ∼ 14:15
C 会場( 2 階
会議室 A・B )
司会:河合 英紀( 株式会社 Hopemillion )
歴
代理事に聞いてみよう! ~今更聞けない、普段のギモン~
シンポジスト:山本 芳恵 地域活動支援センター 相談支援事業所 こころッと
山口 由香里 訪問看護ステーション
こころ
巽 絵理 関西福祉科学大学
教育講演 2 10:30 ∼ 11:30
D 会場( 2 階
会議室 C・D )
司会:木村 基( 大阪発達総合療育センター)
子どものセラピーに必要な視点・始点・支点
三浦 正樹 森之宮病院
学会特別企画 12:30 ∼ 14:00
D 会場( 2 階
会議室 C・D )
司会:上田 任克( 四條畷学園大学)
大規模災害時の作業療法士の可能性 ~災害派遣時の報告~
シンポジスト:木村 基 大阪発達総合療育センター
塩屋 博史 大阪府立急性期・総合医療センター
中野 皓介 摂津市保健センター
岩吹 綾子 大阪医科大学附属病院
藤本 侑大 大阪府済生会千里病院
林 辰博 大阪医療福祉専門学校
野口 俊一 社会医療法人大道会
― 16 ―
森之宮病院
学術部企画 13:00 ∼ 14:20
B 会場( 2 階
さくら東)
司会:内藤 泰男( 大阪府立大学)
学
術部研究会紹介・報告会
1 就労と地域生活( Work and Community life:WCL )研究会
吉田 文
大阪保健医療大学
2 就労関連自己効力感尺度 Work-related self-efficacy scale WSES
日本語版の信頼性・妥当性の検討
小川 泰弘
社会医療法人北斗会 さわ病院
3 うつ病に効果的なプログラムの検討
芳賀 大輔
ワンモア豊中
4 けん玉動作が転倒予防に与える効果の検討
村橋 大輔
わかくさ竜間リハビリテーション病院
5 メイクがクライエントの生活行為を変化させる
∼メイクアップ講座の開講に向けた取り組み∼
林部 美紀
畿央大学大学院 健康科学研究科 研究員
6 精神疾患患者を対象とした、生体医工学技術を用いた客観的指標の検討
福原 啓太
医療法人美喜和会オレンジホスピタル
7 地域社会での一貫した指導・支援を可能にするために
∼児童デイサービスにおける生活行為向上マネジメントの検討∼
北山 淳
大和大学
― 17 ―
一般演題プログラム
( ポスター発表)
P-Ⅰ- 1 ∼ 5 10:30 ∼ 11:30
ポスター会場( 1 階 ギャラリー)
[ 生活行為向上マネジメント ]
P-Ⅰ-01
座長:中村 元紀( 社会医療法人 生長会 府中病院)
生活行為向上マネジメントを活用し、限られた時間の中で
家族と質の高い生活を送る支援に繋がった一例
∼写真撮影でひろがった家族とのコミュニケーション∼
尾崎 直美
P-Ⅰ-02
子どもの気持ちを感じ取れるチーム作りをスタート!!
( 生活行為向上マネジメントの視点を生かした地域支援 )
小林 英利奈
P-Ⅰ-03
社会医療法人愛仁会 高槻病院 技術部 リハビリテーション科
生活行為向上マネジメント普及についての調査
∼大阪市北ブロック研修会 1 年後の活用状況∼
榊原 康仁
P-Ⅰ-05
こどもげんきけいかく かなえる広場さくら
生活行為向上マネジメントを持ちいて本人・家族・他職種を
巻き込み介入した事で回復期へ円滑に申し送りが出来た事例
鈴木 愛理
P-Ⅰ-04
社会医療法人生長会 ベルピアノ病院
大阪医療福祉専門学校
生活行為向上マネジメントに基づく授業の終了時のアンケートの
分析結果から教育効果の検討
林 亜遊
大阪医療福祉専門学校
P-Ⅰ- 6 ∼ 11 11:40 ∼ 12:40
ポスター会場( 1 階 ギャラリー)
[ 発達 ]
P-Ⅰ-06
座長:泉谷 憲正( 四天王寺 和らぎ苑)
知的障害者の食事動作への意欲に向けた取り組み
白田 麻衣
P-Ⅰ-07
座面の支持面の変化がスプーン操作に影響したダウン症児
里原 佑果
P-Ⅰ-08
社会福祉法人藍野福祉会 藍野療育園
社会福祉法人藍野福祉会 藍野療育園
演題取り下げ
― 18 ―
P-Ⅰ-09
座位姿勢が安定したことで、上肢の探索活動が連続的に可能になり、
更衣に対するモチベーションの向上とともに協力動作が増加した
脳性麻痺児に対する介入の一例
矢野 聡子
P-Ⅰ-10
目−口−両手の協調により動作が連続し、スプーン操作向上に
つながった事例
長峰 まい香
P-Ⅰ-11
社会医療法人大道会 森之宮病院
社会福祉法人愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター
笑いを目標にする作業療法 ― 笑わせ、笑わされる暮らしの提供 ―
松本 茂樹
堺市立重症心身障害者(児)支援センター ベルデさかい
P-Ⅱ- 1 ∼ 6 10:30 ∼ 11:30
ポスター会場( 1 階 ギャラリー)
[ 身体障害 ]
P-Ⅱ-01
座長:内海 奈那子( ベルランド総合病院)
左上腕骨近位端骨折術後の洗髪動作獲得を目指した一症例
池田 翔眞
P-Ⅱ-02
長母指伸筋腱皮下断裂腱移行術後診療所より作業療法を開始した 1 例
大平 健二
P-Ⅱ-03
関西電力病院 リハビリテーション部
イラストレーターとしての復職を目指して
∼「 絵を描きたい 」の実現の為に∼
宮前 美香
P-Ⅱ-06
社会医療法人愛仁会 高槻病院 技術部 リハビリテーション科
聴覚理解が良好な失語症を呈した脳出血患者への課題指向型訓練と
動作指導が麻痺側上肢の使用頻度に有効であった一症例
久堀 佐知
P-Ⅱ-05
ねぎ整形外科・リウマチクリニック
急性期より随意運動介助型電気刺激装置を使用しながら実動作練習を行い、
上肢機能と ADL に改善を認めた脳卒中後軽度片麻痺を呈した一事例
武田 将
P-Ⅱ-04
医療法人若葉会 堺若葉会病院
社会医療法人三和会 永山病院
右手での食事動作にこだわりが強い症例
谷口 望
社会医療法人さくら会 さくら会病院
― 19 ―
P-Ⅱ- 7 ∼ 12 11:40 ∼ 12:40
[ 回復期・地域・精神 ]
P-Ⅱ-07
社会医療法人大道会 森之宮病院 リハビリテーション部
末期がんの症例が主婦という役割を持ち自宅退院に至った例
∼調理活動を通じ作業療法士が考察したこと∼
平井 楓花
P-Ⅱ-12
医療法人錦秀会 阪和第一泉北病院
一般病棟における専従・専任セラピストの取り組み
― ADL 維持向上に向けて ―
本山 絵美
P-Ⅱ-11
医療法人みどり会 中村病院
長期療養型病院おいて、馴染みのある作業を通して、
笑顔や発話が増えた 1 症例
米田 有希
P-Ⅱ-10
千里津雲台訪問看護ステーション リハビリ大阪支所
回復期リハビリテーション病棟における
人工股関節全置換術後クリニカルパスの取り組み
久保 早希子
P-Ⅱ-09
座長:村橋 大輔( わかくさ竜間リハビリテーション病院)
柳原 とも子( 阪南病院 ) C 7 頸髄損傷患者のセルフマネジメント確立に向けた訪問リハビリの関わり
仁野 寛子
P-Ⅱ-08
ポスター会場( 1 階 ギャラリー)
社会医療法人大道会 森之宮病院
統合失調症患者が「役割 」を担うことの意味
― デイケアから就労継続支援事業所への移行を目指して ―
濱口 真子
NTT 西日本大阪病院 神経科 デイケア
― 20 ―
抄 録
教育講演 1
A 会場 10:00 ∼ 11:30
司会:神尾 昭宏(森之宮病院)
運動と神経機構
松木 明好
四條畷学園大学リハビリテーション学部 理学療法学専攻
物を掴む、などの運動が実行される少し前に小脳、大脳で運動命令が生成および出力され、
脊髄運動神経を興奮させ、運動に関連する筋が収縮することによって目的動作が実行される。
把持対象物が運動しているときは、視覚によって得られる情報から物体の運動軌道を予測し、
逐次運動命令を修正するが、感覚フィードバックの時間遅れを補うために予測的な運動命令
が生成される。この状態予測に基づく予測的運動命令の生成には、運動練習によって学習さ
れた内部モデルが関与していると考えられている。
滑らかで効率的な上肢運動を実行するためには、大脳や小脳を中心とした神経機構だけで
はなく、脊髄レベルでの神経興奮性の調節や上肢運動を補償する姿勢制御も必要である。例
えば、主動作筋が収縮する時には拮抗筋は弛緩するなど相反的な制御が要求される。また感
覚入力に対する運動反応の大きさを調節するためのシナプス前抑制などは脊髄レベルにおけ
る重要な運動調節機構と考えられている。他方、立位などの姿勢制御下で(急速な肩関節屈
曲などの)上肢運動を行うと身体の各関節に強い後方回転トルクが発生するため、それを相
殺するべく上肢運動に先行した予測的姿勢制御筋収縮も求められるが、その量は姿勢の状況
に依存する課題依存性を持つ。これらの機構を修正するための運動練習は、その機構を必要
とする条件を理解しておかなければならない。
運動練習によるパフォーマンスの変化と共に、運動野、小脳皮質、小脳核、脊髄運動神経
の興奮性が可塑的に変化することから、これらが運動学習に強く関与していると考えられて
いる。これらの興奮性、および神経可塑性を可塑的に変化させる方法に反復経頭蓋磁気刺激、
経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋静磁場刺激、末梢電気刺激を用いる方法がある。さらに、運動
学習効果に運動練習の実施条件が関与することも分かっている。これらの学習に関連する知
見を理解することで、日常の運動練習をより効率的にすることが出来ると考えられる。
本教育講演では、上記のような運動実行の神経機構、運動学習の神経基盤、運動練習方法
の基礎的知見について、特に若手セラピストに理解してもらいやすいように概説する。
略 歴
2003 年 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター附属
リハビリテーション学院 卒業
2003 年 理学療法士免許
2010 年 大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
博士前期課程 修了
2013 年 大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
博士後期課程 修了( 保健学博士 )
2003 年 馬場記念病院 入職
2011 年 馬場記念病院 退職
2011 年 四條畷学園大学リハビリテーション学部 講師
2016 年 四條畷学園大学リハビリテーション学部 准教授
2013 年~ 公益社団法人大阪府理学療法士会事務局 総務部長
2014 年~ 公益社団法人日本理学療法士協会 代議員
― 23 ―
教育講演 2
D 会場 10:30 ∼ 11:30
司会:木村 基(大阪発達総合療育センター)
子どものセラピーに必要な視点・始点・支点
三浦 正樹
社会医療法人大道会 森之宮病院リハビリテーション部作業療法科 主任
時代の変化とともに子どもを対象とした作業療法のニーズが地域で年々高まっています。そ
れに伴い、従来は大人を中心としてきたセラピストが子どものセラピーを開始するケースも増
えています。しかしながら、子どものセラピーに関する卒後教育は機会が限られており、不安
を抱えたまま子どものセラピーに臨んでいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
この講演では新しく子どもに関わり始めた方や子どもの作業療法に興味のある方を対象に、
子どものセラピーに関わる 3 つの「してん」についてお話します。
①始点 評価・介入だけでなく、情報収集からフィードバックまで子どものセラピーには
一人一人の子ども・養育者に合わせた関わりが必要となります。各プロセスにつ
いて、鍵となる要素を交えつつ実際の流れを示します。どこに・どのように子ど
ものセラピーの 1 歩を踏み出せばよいのか。ハウツーではなく、目の前の子どもに
合わせてみなさんがアレンジできる基本レシピをお伝えできればと思います。
②支点 作業療法士は専門職として子どもの発達に責任を持って介入する必要があります。
また、限りある社会保障費に関わるため作業療法の効果について社会に対する説明
責任も同時に負っています。ここでは home program や goal-directed training 等
を中心に臨床で有用なセラピーのエビデンスを示します。確固たる支点を持つこと
で私たちのセラピーはより大きな一歩を踏み出すことが出来るようになります。
③視点 障害の有無や診断名に関わらず、子どもに関わる作業療法士として共有しておき
たい価値観があります。子どもを子どもとして見ること、家族の中に子どもを見
ること、そして主役は子どもであること。私たちは何を見据えて子どものセラピー
を行うのか、これらの価値観を共有することで作業療法士の関わりはより価値の
あるものになります。
私は子どものセラピーに特化したエキスパートではありません。しかし、日々の臨床で大
人・子ども双方に関わる私の立場だからこそお伝えできることがあると信じています。時代
は変わっても子どもを想う大人の気持ちに変わりはありません。地域には多くの子どもがみ
なさんの作業療法を求めています。子どもたちの笑顔を求めて、偉大な先人達からバトンを
受け継いで次世代の子どものセラピーを発展させていきましょう!
略 歴
平成 14 年
関西学院大学 社会学部 卒業
平成 18 年独立行政法人国立病院機構東名古屋病院附属
リハビリテーション学院 作業療法科 卒業
社会医療法人大道会 森之宮病院 入職
平成 24 年~
森之宮病院回復期リハビリテーション病棟 主任
大阪府下保健所より障がい児・難病児の巡回相談事業に従事
日本ボバース研究会 AB 会員
回復期セラピストマネジャー
地域子育て支援人材養成講座修了
― 24 ―
府民公開講座
A 会場 13:00 ∼ 14:30
司会:辻 薫(大阪発達総合療育センター)
発達障がいの早期気づきと支援
片山 泰一
大阪大学大学院 連合小児発達学研究科
近年、
「発達障がい」に関する様々な問題が社会で大きく取り上げられるようになりまし
た。しかし、
「発達障がい」に関する正しい知識・理解は、まだまだ進んでいないのが現状
です。このような現状の中、今年 4 月から「障がい者差別解消法」が施行されました。この
法律は、
「障がい」をその人の持つ「機能障がい」として捉えるのではなく、
「機能障がい」
のことを考えずに作られた社会の障壁のこと(ハードル)を「障がい」とするという国際法
「障害者基本法」に基づく考え方を踏まえて作られた法律です。つまり、
「他人は、どこか
必ず自分と違う」という一見当たり前のような事実に立って考えることを求められていま
す。
「発達障がい」の人の中には、医療の力を借りなければ、生活が困難になるようなケー
スもあれば、周りの理解があれば、生活に困難さをほとんど感じずに過ごせる人たちまで
様々です。しかし、周りから見て一見「普通」に見える「発達障がい」の人は、一見「普
通」に見えるため、周囲に理解してもらうことが難しく、
「わがまま」
「変わっている」
「し
つけの問題」などと誤った周囲の理解のため傷つくことも多く、2 次・3 次障がいに発展し
てしまう方々が多いことも事実です。本市民講座では、
「発達障がい」に関する基本的なお
話しを脳科学的根拠に基づいた情報をもとに概説し、外から見てわかりにくい「発達障が
い特性」を少しでも可視化して、本人も周りもその違いを客観的に知る方法(
「かおテレビ」
(ゲイズファインダー)等の最新機器も含め)について紹介し、自己と他者の違いをお互いが
「共通の物差し」を通して、了解可能になることの重要性を知っていただきたいと考えてい
ます。そして、このような考え方の元、早期気づきと早期支援の必要性、そして、子どもと
ご家族に関わる支援者の方々にお願いしたいことを提言できればと思います。
略 歴
平成 2 年
田辺製薬 研究員
平成 12 年
大阪大学医学部 助手( 解剖学 )
平成 15 年
トロント大学医学部 博士研究員
平成 21 年~現在大阪大学大学院 大阪大・金沢大・浜松医大・千葉大・福井大
連合小児発達研究科 教授( 平成 24 年度~平成 27 年度は、研究
科長を務める )
公益社団法人 子どもの発達科学研究所 理事長
大阪府 特別参与( 発達障がい施策担当 )等
― 25 ―
府民公開講座
A 会場 13:00 ∼ 14:30
司会:辻 薫(大阪発達総合療育センター)
現場からの報告
尾藤 祥子
藍野大学 医療保健学部 作業療法学科
― 26 ―
日本作業療法協会設立 50 周年記念公開講座
A 会場 13:00 ∼ 14:30
司会:中川 正己(大阪労災病院)
認知症を深く理解する
~死ぬまで現役を支えるリハビリテーション~
小川 敬之
九州保健福祉大学 保健科学部作業療法学科
国立社会保障・人口問題研究所が出した日本の将来中位推計人口(2012)は 50 年後(平成
74 年)には全人口が約 8,500 万人まで減少し、高齢化率も 40.1%と推計しています。また、
高齢化率と関係が強い認知症の問題も大きな問題として取り上げられ、2013 年 6 月には 462
万人の認知症と 400 万人の MCI( Mild Cognitive Impairment)がいると推計されました(何
らかの認知症対策の対象となる高齢者が 4 人に一人という計算)
。
2015 年「認知症施策推進総合戦略」通称新オレンジプランが策定されました。この政策
は認知症であっても住み慣れた町で生活できるように支援する仕組みと当事者・ご家族の立
場に立った支援を作ろうというものです。現在日本では認知症が早期のうちに関わる体制が
整っておらず、多くの場合認知症が進行した後に医療や福祉につながっています。この「新
オレンジプラン」では、なるべく早期のうちに医療職や福祉職がチームで認知症やその家
族に関わりを持ちます。そして「認知症の人への生活支援」
「生活環境の整備」
「関わり方
の工夫」
「家族の認知症理解の促進」
「家族の不安感への支援」などへのアプローチを行い
ます。その取り組みにより、入院や薬物治療の頻度を減らし、認知症であっても尊厳を守り、
家族ともども住み慣れた町や土地で豊かに生活できることを目指すものです。
こうした国や自治体の取り組みに作業療法士としてどのような働きができるのか。やれる
ことは沢山あると思います。
地域ケア会議の実践、社会資源創設の取り組み、中山間地区などサービス貧困地区での工
夫などなど。
「待っていては何も始まらない。今から始める。
」これが ‘ 今 ’ の私のスローガンです。時
間は確実に過ぎていきます。焦る必要はないと思いますが、今自分が置かれている立ち位置
で(それが病院であっても)地域支援、生活を支えることに作業療法は何ができるのか。い
つも考え、そして実際に動いてみるという「時」が目の前にあるのだと思います。
The way to get starting is to quit talking and begin doing !
略 歴
労働福祉事業団九州リハビリテーション大学校作業療法学科 卒業
明星大学人文学部 卒業
九州保健福祉大学大学院 卒業( 保健科学修士 )
宮崎大学医学系研究科循環体液制御学分野 満期退学( 医学博士 )
神戸労災病院、今津赤十字病院、特別養護老人ホーム日赤豊寿園を経て、
九州保健福祉大学 保健科学部 作業慮法学科 教授( 現職 )
(社)日本作業慮法士協会 理事
宮崎県ユニバーサルデザイン推進委員会 委員長
宮崎県地域密着型サービス外部評価委員会 委員長
宮崎県福祉サービス第三者評価委員会 委員長
宮崎県県北地区 認知症の人と家族の会 世話人代表
― 27 ―
推進事業
B 会場 10:30 ∼ 11:30
司会:関本 充史(株式会社かなえるリンク)
MTDLP ~生活行為向上マネージメント~
『 知っている MTDLP 』から『活用できる MTDLP』へ!
木瀬 憲司
森之宮病院 作業療法士
一社日本作業療法士協会 生活行為向上マネジメント 熟練者
生活行為向上マネジメント 担当理事
「生活行為向上マネジメント(MTDLP)
」この言葉がいろいろな局面で出てくるワードに
なってきました。皆様の中ではどうですか?
「シートが多い!」
「なんか面倒くさそう!」
「周りで実践している人少ないし」
「基礎研修は受けたけど一回だけでは……」
「興味関心チェックシート、もっとバリエーションないかな?」などでしょうか?
皆さまのこのような声を聞きながら MTDLP は士会員のちからで磨きをかけていくマネ
ジメントではないかと思う今日この頃です。協会の動きとしても推進活動、多領域専門活動
など MTDLP のいろいろな方向性も増え研修も始まっています。
そのような MTDLP の情報にくわえ今回の学会では「今の現状」のお話を少しと、多く
の作業療法士がかかわっている「身障領域の事例」に関しての事例報告をライブ感あふれ
る設定で貴重なお時間いただき行いたいと思います。MTDLP の考え方は退院後在宅サー
ビスにつなぐ際の「リハビリテーションマネジメント加算Ⅱ」の書類の中にも今のリハビ
リテーションプログラムがどのような「活動」につながるのかを記載することや、今回の
診療報酬改定で「目標設定等支援・管理シート」の中にも「心身機能」
「活動」
「社会参加」
といった項目が反映されており、医師の説明のもと積極的な介入が求められています。
このように医療保険の中でも MTDLP で言われている「心身機能」
「活動」
「社会参加」
といった側面からのキーワードが記載されるようになってきています。
皆様もぜひとも今回の機会を活用して作業療法士の頭の中の「見える化」
「可視化」に
チャレンジしてみませんか?当日の参加お待ちしています。
略 歴
平成 2 年 3 月
京都大学医療技術短期大学部 作業療法科 卒業
平成 2 年 4 月
大道会 ボバース記念病院 勤務
平成 14 年 4 月 介護老人保健施設 グリーンライフ 勤務
平成 19 年 6 月 社会医療法人 大道会 森之宮病院 勤務
平成 20 年 6 月 大阪府作業療法士会 理事
― 28 ―
精神科シンポジウム 1
C 会場 10:30 ∼ 11:30
司会:河合 英紀(株式会社 Hopemillion )
病院、就労、訪問で何が違うのか?
~覗いてみよう!評価・アプローチ~
シンポジスト
金川 善衛
西 広行
医療法人清風会 就労支援センター オンワーク
沖井 健太
高野 隼
株式会社 Hopemillion 希望や訪問看護ステーション
大阪府立精神医療センター
関西医科大学付属滝井病院 精神科デイケア
ファシリテーター
河合 英紀
株式会社 Hopemillion
精神分野とひとくくりにされているが、病院(院内・デイケア)
、地域活動支援センター、
就労、訪問と多岐にわたる臨床現場がある。
実際の臨床でこれらの分野が違うことで評価内容やアプローチに違いがあるのかを一つの
事例を通して検証する。
事例から評価する項目一つ一つにどのような目的でどのような手段を使って行うのか、評
価の結果、どのような目標設定を行い、アプローチするのかをシンポジストが発表する。
シンポジストは普段の臨床でどのような思考で作業療法を実施しているのかを詳細に発表
することで、参加者の明日から使える臨床のヒントとしてもらいたい。
〈 一事例 〉
氏名:P 氏 性別:男性 年齢:20 代
診断名:統合失調症 内服状況:リスペリドン 1 ㎎
現病歴
高校 3 年時のセンター試験前に「盗聴・盗撮されている」との訴えにて精神科受診。妄想
性障害と診断され、少量の抗精神病薬の服薬で異常体験は軽減する。浪人され、センター試
験前に再燃するも大学は合格する。大学時は一人暮らしを開始する。服薬は中断。1 回生の
秋に再燃。12 月に休学する。実家に帰り、異常体験は軽減するも意欲減退の状態。
― 29 ―
精神科シンポジウム 2
C 会場 13:15 ∼ 14:15
司会:河合 英紀(株式会社 Hopemillion )
歴代理事に聞いてみよう!
~今更聞けない、普段のギモン~
シンポジスト
山本 芳恵
山口 由香里
地域活動支援センター こころっと
巽 絵理
関西福祉科学大学
訪問看護ステーション こころ
ファシリテーター
河合 英紀
株式会社 Hopemillion
普段の臨床現場からあがってくる疑問を通して、
「精神科作業療法とは何なのか」をあら
ためて考え直す機会を提供する。
「集団だけの作業療法には限界があるのではないか」
、
「プログラムが先か、目標が先か」
、
「精神科作業療法は本当に役に立っているのか」などなかなか聞くことのできない精神科作
業療法の問題点に向き合う。
事前に疑問・質問を募集し、歴代理事に答えてもらうことで精神科作業療法の本質を考える。
〈 疑問・質問の例 〉
・精神科の作業療法の個人活動などで手工芸などを中心に行われますが、それらがどう精神
科の治療に結びつくとお考えですか?
・長期入院の慢性期の患者さんに提供すべき作業とは、どんなものだとお考えですか?
・精神科病院の作業療法は、25 名までの集団を 2 時間実施することになっており提供できる
作業が限られるため、ひとりひとりのニーズに対応しにくいです。どのように工夫されて
いましたか?
・退院が難しいのはなぜですか?退院に向けて何をすればよいですか?
・多職種連携で方向性がバラバラになった場合の解決策を教えてください。
・セラピストとしてのモチベーションを保つ方法を教えてください。
・精神保健福祉士がとても期待されているように感じています。作業療法士の将来が不安で
す。何をすればよいですか?
・作業療法士と精神保健福祉士のそれぞれの強みは何ですか?
― 30 ―
体験コーナー
C 会場 11:45 ∼ 13:00
司会:木村 基(大阪発達総合療育センター)
認知症カフェに足を運んでみよう !!
講 師
べるたうんぬくもりカフェ
小川 康裕
竹谷 厚作
介護老人保健施設 ベルアルト 作業療法士
高田谷 和幸
藤原 秀太
津田 舞
特別養護老人ホーム ベルライブ 社会福祉士
ベルタウン介護相談センター 介護支援専門員
特別養護老人ホーム ベルライブ 介護福祉士
ベルタウンヘルパーステーション 介護福祉士
現在、日本では軽度認知障害を含めた認知症の人数は 800 万人とも 1,000 万人とも言われ
ています。今後、高齢化が進む中で、認知症の人がさらに増加することが懸念されます。
厚生労働省は新オレンジプランで認知症の人と家族、各専門家や地域住民が集う場として、
「認知症カフェ」の設置を挙げています。お互いに交流したり、情報交換をしたりすること
を目的として、近年急増してきています。2018 年(平成 30 年)には、すべての市町村で地域
の実情に合わせて実施することを掲げています。
「認知症カフェ」では、作業療法士の参加が期待されています。今後、地域で活躍できる
作業療法士が増えていけるチャンスと思っています。
今回、体験形式にて「認知症カフェ」をオープンします。
「認知症カフェ」を少しでも
知って頂き、自分の住んでいる地域の「認知症カフェ」にぜひとも足を運んで頂けたら、
本当にうれしく思います。
実際に、カフェ形式で行いますので、定員を 30 名とさせて頂きます。
当日、9:15 ∼ 学会受付付近で「整理券 」を配布致します。実際の認知症カフェと同じく
ドリンク代として 100 円頂きますので、
「 整理券 」と引き換えで宜しくお願い致します。
∼タイムスケジュール∼
・はじめに
・小講義(10 分)
・チーム対抗認知症カフェクイズ(40 分)
・全体で、認知症予防の体操(15 分)
「堺コッカラ体操」
・まとめ
*認知症カフェクイズの間に、ドリンクを提供
致します。
― 31 ―
学会特別企画
D 会場 12:30 ∼ 14:00
司会:上田 任克(四條畷学園大学)
大規模災害時の作業療法士の可能性
~災害派遣時の報告~
シンポジスト
木村 基
塩屋 博史
大阪発達総合療育センター
中野 皓介
岩吹 彩子
藤本 侑大
林 辰博
摂津市保健センター
野口 俊一
社会医療法人大道会 森之宮病院
大阪府立急性期・総合医療センター
大阪医科大学附属病院
大阪府済生会千里病院
大阪医療福祉専門学校
このたびの平成 28 年熊本地震により被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げると共
に、被災地の一日も早い復興を心から祈念申し上げます。
大阪府作業療法士会は、このたびの熊本地震発災に伴い、大阪府作業療法士会 大規模災
害時支援活動基本指針(案)に基づき、平成 28 年 4 月 15 日災害対策本部を立ち上げました。
翌々日の 17 日には、大阪 JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)代表
の医師からの現地派遣チーム登録の依頼に対し、会員 10 名から参加希望の申し出がありま
した。最終的には、5 月 5 日から計 4 チーム 5 名の作業療法士が被災された方々への現地支
援に参加しました。
実際に現地で何をしてきたのか、作業療法士に何ができるのか、実際の活動を報告から学
んでみませんか。そして、今後大阪でも起こる可能性がある南海トラフに備え、作業療法士
の可能性を探っていきましょう。
では、会場でお待ちしています。
― 32 ―
学術部企画[ 学術部研究会紹介・報告会 ]
B 会場 13:00 ∼ 14:20
司会:内藤 泰男(大阪府立大学)
平成 28 年度(一社 )大阪府作業療法士会学術部
研究会報告会の開催について
内藤 泰男
学術部 運営部長
この度、第 31 回大阪府作業療法学会のご協力により、
「平成 28 年度(一社)大阪府作業療法
士会学術部 研究会報告会」を開催させていただきます。
本報告会の目的は、研究会活動の目的・経過を広く会員の皆様にお伝えし、活動へのご理
解をいただくことです。内容は、各研究会活動の「研究経緯」
「研究内容」
「活動経過」
「今
後の展開」を各 10 分程度で報告いただきます。
学術部研究会は、大阪府下に勤務する作業療法士によってテーマを設定し実施された臨床
研究が中心の研究活動です。皆様の日々の臨床を研究する視点と実践に関する情報が、たく
さん盛り込まれています。同じ大阪府の作業療法士の活動に、関心をいただき、ふるってご参
加ください。
― 33 ―
学術部企画[ 学術部研究会紹介・報告会 ]
B 会場 13:00 ∼ 14:20
1
2
就労と地域生活( Work and Community life:
WCL )研究会
就労関連自己効力感尺度 Work-related selfefficacy scale WSES 日本語版の
信頼性・妥当性の検討
〇吉田 文 1)、足立 一 1 )、藤原 耕志 2 )、中宇地 堅大 3)、
大路 賢太 4)、田中 希枝 5 )
1 )大阪保健医療大学、2 )七山病院、3 )府中病院、
4 )大手前病院、5 )さわ病院
大阪府作業療法士会学術部 統合失調症セルフエフィカシー研究会
○小川 泰弘 1)4)、梅田 錬 1)、長池 将太 2)、福原 啓太 3)4)
1 )社会医療法人北斗会 さわ病院
2 )医療法人遊心会 にじクリニック
3 )医療法人美喜和会 オレンジホスピタル
4 )大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科
(メンバー多数のため氏名のみ記載)
冨田 詩織、赤坂 美保、永田 作馬、中川 幸太郎、橋本 博史、
吉田 篤史、南 勝也、小林 哲理、細田 勝世、奥森 篤志
【 研究目的 】本研究会は、平成 26 年 5 月の大阪府作業療法
【 研究経緯 】精神疾患患者に対する評価では、客観的指標
士会総会を経て 3 年間の活動が認められた。本研究会は、
だけでなく、
「患者自身がどのように感じているか」とい
就労している障害がある方の余暇活動の状況を調査し、余
う主観的側面の指標が重要視されている。それは治療を組
暇活動を通し地域生活支援を行うことによって就労状況と
み立てる上で重要な情報であり、医学的 / 客観的な指標
生活にどのような影響があるのかについて検討することを
と主観的な指標の両側面があることは、その人を中心とし
目的とする。
た治療へとつながる。主観的側面における評価指標のひと
【 研究内容および経過 】初年度である平成 26 年度は、文献
つとしてセルフエフィカシー
(自己効力感)がある。統合
による情報収集と余暇活動としてのサッカースクールへの
失調症において、セルフエフィカシーは認知機能など測定
参加・観察を行った。具体的には、大阪保健医療大学が中
可能な機能と実世界での行動を媒介する重要な変数として
心となって 3 年前から実施している障がい者サッカース
注目されている。
クール(現在は NPO 法人障害がい者スポーツ Friendly
しかし実際に精神疾患を対象とした課題特異的なセルフ
Action として活動、平成 25 年度まで文部科学省委託事業
エフィカシー尺度は、国内において「地域生活に対する自己
障害者サッカー振興事業 Friendly Action として活動)へ
効力感尺度 SECL」のみあり、就労など社会参加に関連す
参加し、そこでの運営や企画を行っている作業療法士と共
る尺度はない。そこで本研究会では諸外国で用いられている
に参加者のサッカー支援や運営に携わった。
(NPO 法人
「就 労 関 連 自 己 効 力 感 尺 度 Work-related self-efficacy
障害がい者スポーツ Friendly Action の詳細は HP を参照
scale」
(以下 WSES)の原著者に許可を得て、日本語版を作
https://sites.google.com/site/npofriendlyaction/)
。
成し、その信頼性・妥当性を検討したので報告する。
平成 27 年度は NPO 法人障害者スポーツ Friendly Ac-
【 研究内容 】
tion と精神障害者施設の協力を得て、精神障害者施設にお
対象者:精神科外来 / 入院患者 100 名(予定)
いてプロサッカーコーチの指導によるサッカースクールを 1
使用尺度:就労関連自己効力感尺度 日本語版 WSES、一
回実施した。サッカースクール参加希望者の方の中から就
般性セルフエフィカシー尺度 GSES
労している方または就労を希望している方に研究の説明を
統計解析:GSES との相関により、基準関連妥当性を検討
し、同意を得た方を研究対象者とした(男性 4 名:30 歳代
する。クロンバックα係数の算出により内的整合性を検討
~ 40 歳代、統合失調症、知的障害)
。余暇活動であるサッ
する。再テスト法を用い級内相関係数により信頼性を検討
カーが対象者の日常生活に与える影響や就労状況とどう結
する。
びつくのかについて調べるために、サッカースクールの前
【 活動経過 】
後で生活の質、リカバリーの状態、仕事の状況、対象者の
1. WSES の原著者へ日本語版作成の認可取得
サッカーについての気持ち等を評価した。評価には The
2. WSES 日本語版の作成
Schizophrenia Quality of Life Scale 日本 語 版(JSQLS)
、
3. 精神科外来 / 入院患に対して試行
Recovery Assessment Scale( RAS)等を用い、施設スタッ
4. 集積したデータ解析、妥当性、信頼性等を検証
フが随時生活や仕事、余暇(サッカー)について観察・情報
【 今後の展望 】WSES は就労についての患者の主観的な側
面を評価できることから、治療計画立案のための指標とし
収集を行い記録した。
【 今後の展開 】平成 28 年度には 2 回目のサッカースクール
てだけではなく、介入の効果指標としても有効であると思
を実施し、対象者へのインタビューを行う予定である。ま
われる。WSES の信頼性 / 妥当性が示されれば、今後は
た、サッカースクール前後での評価結果を比較し分析する。
臨床現場での有効性について検討したいと考えている。
― 34 ―
学術部企画[ 学術部研究会紹介・報告会 ]
B 会場 13:00 ∼ 14:20
3
4
うつ病に効果的なプログラムの検討
けん玉動作が転倒予防に与える効果の検討
一般社団法人大阪府作業療法士会学術部 大阪うつ病研究会
1)
2)
3)
OT けん玉研究会
4)
〇芳賀 大輔 、吉田 文 、田中 宏明 、正村 優子 、
稲富 宏之 3)
○村橋 大輔 1)、徳永 里佳子 1)、田丸 佳希 2)、
鎌田 大啓 3)、内藤 泰男 4)
1 )ワンモア豊中、2 )大阪保健医療大学、3 )大阪府立大学、
4 )さわ病院
1 )わかくさ竜間リハビリテーション病院、2 )四條畷学園大学、
3 )さつき地域事業センター、4 )大阪府立大学
【 研究経緯 】2011 年、厚生労働省は、国として取り組むべ
【 研究経緯 】転倒を引き起こす要因として下肢筋力の低下、
き疾患として、従来の 4 疾患に精神疾患を加え、五大疾患
関節可動性の低下、注意機能の低下などが挙げられており、
を 定 め た。 そ の 背 景 に は、 寿 命・ 健 康 喪 失 の 大 き さ
筋力強化やバランス訓練による報告が散見されている。そ
(DALY 値)を尺度に疾患を比較すると、うつ病が全疾患
こで本研究では、娯楽性と馴染みのある活動で習慣化され
の 1 位であったことが挙げられる。一方、精神医療では、
DSM の改定による診断基準の変化や、新型うつ病と呼ば
れる病態の出現、薬物療法の効果に対して疑問を呈する報
告がなされるなど、うつ病の概念とそのアプローチについ
ては再検討が続いている状況である。
このような状況の中で、作業療法士は、入院治療(急性
期)に関わるだけでなく、訪問支援、地域連携体制作り、
職場のメンタルヘルス対策・職場復帰支援、普及啓発活動
など様々な支援を担う必要があると考えられるが、その現
状については明らかではない。
そこで、本研究会は、うつ病に対する作業療法の現状把
握と効果的なプログラムの検証を目的に結成した。
【 研究内容 】この研究会では以下 1 ~ 3 に示す内容を研究
している。
①大
阪府府下のうつ病に対する作業療法等の現状調査(ア
ンケート調査)
やく、さらに動作特徴としても全身運動、特に膝関節の屈
曲・伸展をいうスクワット動作を含めた活動であるけん玉
動作が、転倒予防として有効ではないかと考えた。
【 研究内容 】本研究の目的はけん玉動作が高齢者転倒予防
として有効であるかの検討である。対象は 65 歳以上の健
常高齢者とし、けん玉実施群とスクワット実施群 10 名ず
つに分ける。初日に転倒を予測する指標として一般的に用
い ら れ て い る Functional Reach Test( FRT)や Timed
Up and Go Test( TUGT)
、 足 圧 中 心(Center of Pressure)の総軌跡長・前後方向軌跡長・左右方向軌跡長、認
知機能を測定する日本語版 Mini-Mental State Examination(MMSE)
、注意機能を測定する Trail making test
(TMT-A/B)やかな拾いテストを実施する。対象者は自
宅で 3 ヶ月間けん玉動作もしくはスクワット動作をそれぞ
れ一日 50 回実施し、最終日に再度評価一式を実施し、け
ん玉動作の介入効果を比較検討する。
②うつ病の対する効果的なプログラムの検証
③収
集した情報から大阪府士会うつ病パンフレット「ご
存知ですか?うつ病」を改定する
【 活動経過 】平成 27 年 4 月にわかくさ竜間リハビリテー
ション病院倫理委員会に書類を提出。並行して対象者への
【 活動経過 】①現状把握については、昨年度アンケートを
研究依頼を進めたが、この年は予定していた対象者が集め
実施し、報告済みである。
ることができなかった。平成 28 年 4 月には一般高齢者 20
府下精神科に従事している作業療法士 101 名に送付し、
名に対し予定の評価一式を実施でき、さらに 7 月には 3 ヶ
47 名(回答率 46.5%)から回答を得た。
② については現在、大学の倫理審査委員会に研究計画
書を提出済みである。倫理審査委員会の許可がでれば研究
実施予定である。実施期間は、8 月~ 11 月を予定している。
月の変化を見るための再評価も実施できた。
【 今後の展開 】評価結果を分析し、平成 28 年 12 月までに
論文化する。
【 今後の展開 】②については、単独施設での実施前後の効
果判定、効果持続を検討する。結果が良好なら他施設研究
に発展させる。これらうつ病の作業療法の効果を示すこと
で、病院だけでなく精神科クリニックや就労施設など作業
療法士の職域の拡大につながる可能性がある。また、スト
レスチェックなどの企業のメンタルヘルスの予防に関わる
こともできれば作業療法士が企業内で予防に関わる業務を
担う可能性もあると考えている。そのため、まずはうつ病
などの作業療法の効果を示す必要があると考えている。
― 35 ―
学術部企画[ 学術部研究会紹介・報告会 ]
B 会場 13:00 ∼ 14:20
5
6
メイクがクライエントの生活行為を変化させる
精神疾患患者を対象とした、生体医工学技術を
用いた客観的指標の検討
∼メイクアップ講座の開講に向けた取り組み∼
精神科生体医工学的指標・生活研究会
障がい者メイクアップ講座研究会
〇林部 美紀 1)、足立 一 2 )、井口 知也 2 )、川口 梨恵 3)、
北埜 春香 4)、三原 美歩 5 )、日高 愛 6 )、清水 美咲 7)、
岡 朝子 8)
1 )畿央大学大学院 健康科学研究科 研究員、
2 )大阪保健医療大学、3 )北大阪けいさつ病院、
4 )青葉丘病院、5 )大阪リハビリテーション専門学校、
6 )訪問看護ステーション帝塚山すみれ、
7 )藍の都脳神経外科病院、8 )角谷リハビリテーション病院
〇福原 啓太 1)2)、小川 泰弘 2)3)、森 泰祐 1)2)
1 )医療法人美喜和会 オレンジホスピタル、
2 )大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科
博士課程、
3 )社会医療法人北斗会 さわ病院
【 研究経緯 】メイクをすることは、身体構造上の効果や外
見的評価を高めるだけでなく、心理的・生理的・社会的な
効果が示されている。しかし、認知機能や運動機能に障害
を抱えるクライエントに対して、現在の流行やライフサイ
クル、趣味嗜好に合わせたメイクまでリハビリテーション
を行うことは少なく、系統化されたプログラムが提供され
ていない。そこで、多角的な効果が期待できる化粧療法
(メイクセラピー)を作業療法士が企画・運営することに
より、障害を抱える女性の作業参加と健康を支援するため
に研究会を立ち上げた。
【 研究内容 】認知機能と運動機能に障害のあるクライエン
トを対象に、障害特性に合わせたプログラムの構成内容の
検討や演習のサポートを作業療法士が担う「メイクアッ
プ講座」を開講する。メイク実施者は対象者自身とし、
メイクアップ講座に参加することで対象の生活行為の変化
を検証する。さらに、対象者の身体的・心理的・社会的背
景等の個別性を考慮しつつ、作業参加と健康を支援できる
系統立てたプログラムを構築する。
【 活動経過 】今年度は発達障害を持つクライエント(高等
支援学校の学生)を対象とした「メイクアップ講座」を計
3 回実施する予定であり、開講に向けた準備・調整とプロ
グラム内容の検討を重ねている。
【 今後の展開 】研究の目的が系統化されたプログラムの構
築とその効果の検証であることから、今年度の活動成果を
振り返り、対象の作業参加と健康を支援できる「メイク
アップ講座」のプログラム作りを行う。また、研究は 3 年
間で計画しており、発達障害のみではなく、身体障害と精
神障害を持つクライエントを対象にした「メイクアップ
講座」の開講に向けた準備とプログラムの検証を実施する。
【 研究経緯 】2013 年に公表された DSM-5 のうち統合失調症
の診断基準では DSM- Ⅳ -TR で “affective flattening” とあっ
た記載が、DSM-5 では、“diminished emotional expression”
と変更された。これは必ずしも統合失調症患者の感情体験に
障害があるわけではなく、むしろ表出にのみ障害が生じる場
合があることを示したものある。統合失調症の感情表出の障
害(減少)は、臨床的にも多くみうけられ、それは主に表情
の変化や声の抑揚(prosody)の減少から客観的に判断され
る。また、これらの陰性症状は精神症状の枠に収まり得ず、
社会性に強く影響を及ぼす。社会的な支援が要求される精神
科医療には、このような精神症状と社会性にまたがる症状を
明確に評価することは重要である。作業療法士には、精神科
医療において、患者の精神症状の把握だけではなく、社会性
の評価とその適応のためのリハビリテーションを担うことが
求められる。
一方で、精神科における作業療法士の臨床的な評価方法の
多くは評価者の主観を含む観察評価や患者のパフォーマンス
ベースの評価が多く、完全な客観的指標はほとんど使用され
ていない。
本研究会の目標は、慢性期統合失調症患者の精神症状・社
会性において、生体医工学的指標を用いて評価し、その客観
的な指標が、精神症状や生活レベルとどのような関連が認め
られるかを調査することである。また、本研究会では、近年
開発されたナチュラルスピーチのコンピュータ評価プロトコ
ルを利用した prosody の評価方法を生体医工学的指標として
採用している。本評価法では、デジタル録音した被験者の音
声を音声分析ソフトウェア(マルチスピーチ 3700)により分
析する。prosody は inflection(抑揚;発声の基本振動数の標
準偏差として計算)
、intensity(強さ;発声の音量の平均とし
て計算)
、emphasis( 強調;発声の音量の標準偏差として計
算)の 3 側面から評価され、それぞれの変数を Z-score に変
換して合計した数値が prosody の値となる。
【 研究内容 】
(1)対
象 DSM-5 により統合失調症と診断された入院患者
20 名、対照群として年齢と性別をマッチさせた健常者
20 名を対象とする。
(2)評
価方法 ①ナチュラルスピーチのコンピュータ評価プ
ロトコルを利用した prosody の評価(患者群・健常群)
、
② 精 神 症 状 評 価 尺 度(SANS・SAPS)
(患 者 群)
、③
REHAB の評価(患者群)
【 活動経過 】
・月に 1 度、研究の進行についての会議を開催している。
・患者群に対しての評価を実施しデータを集積中である。
【 今後の展開】患者群のデータが集まり次第、健常群のデータ
を収集していく。データ収集後は統計学的な分析を実施する。
― 36 ―
学術部企画[ 学術部研究会紹介・報告会 ]
B 会場 13:00 ∼ 14:20
7
地域社会での一貫した指導・支援を可能に
するために
∼児童デイサービスにおける
生活行為向上マネジメントの検討∼
北摂発達生活行為研究会
〇北山 淳 1)、菅沼 一平 1 )、南 征吾 1 )、石山 満夫 2)、
深田 裕美 3)、角倉 稔基 4 )
1 )大和大学、2 )千里津雲台訪問看護ステーション、
3 )児童デイサービスあおい鳥、4 )協和会病院
【 研究経緯 】児童デイサービスを利用している子どもの作
業療法ニーズの結果から、他機関連携の必要性を筆頭に効
果的な個別支援と集団活動計画、個々の発達レベルや障害
特性を考慮した早期対応、就学支援、保護者支援などが挙
げられた。
つまり地域で療育を受けている児童においては、病院や
普通小学校、デイサービスもしくは保育所、幼稚園、特別
支援学校など医療・教育・福祉など領域が違う施設を重複
して利用していることが多く、両親としても各機関での統
一した関わりの必要性を感じている結果となった。
【 研究内容 】他機関連携の統一されたシステムがなく、地
域社会での一貫した指導・支援を可能にするために、生活
行為に焦点をあて、その課題解決のために生活行為向上マ
ネージメントの手法を使って検討していく。
【 活動の経過 】対象をあきらかな知的な遅れのない就学前
の子ども 5 名に設定し生活行為向上マネージメント小児モ
デルの構築を行う。同時に事例検討の提供者に本研究に関
する説明を行い、自由意思による同意が得られたことを書
面にて確認する。
現在は 1 症例についての検討を行ない。また作業療法を
実践していくために、生活行為向上マネージメント様式
(作業聞き取りシート・興味・関心チェックリスト・生活
確認表・作業遂行アセスメント表・生活行為向上プラン
表・申し送り表)の再検討を行っている。
【 今後の展開】ケース研究が終了したのちは、再構成した様
式を用い生活行為向上マネージメントの一連の流れを実施
し事例を通じて検証する。生活行為向上マネージメント自
体の構造を質的研究の手法を使って明らかにしていきたい。
― 37 ―
― 38 ―
一 般 演 題
ポスター発表
P-Ⅰ-01
P-Ⅰ-02
生活行為向上マネジメントを活用し、
限られた時間の中で家族と質の高い生活を
送る支援に繋がった一例 ∼写真撮影で
子どもの気持ちを感じ取れるチーム作りを
スタート!!(生活行為向上マネジメントの
視点を生かした地域支援)
ひろがった家族とのコミュニケーション∼
○小林 英利奈、伊藤 直子、瀬川 朋子、関本 充史、
野坂 美和、森田 綾子
○尾崎 直美
社会医療法人生長会 ベルピアノ病院
こどもげんきけいかく かなえる広場さくら
Key word:生活行為向上マネジメント、意味のある作業、終末期
Key word:人と作業と環境、作業とルーテイン、地域連携
【 はじめに 】運動性失語症と S 状結腸がんを呈した 70 歳
代の男性に生活行為向上マネジメント(以下 MTDLP)を
実施。写真が家族と一緒に外出するきっかけとなり、退院
後も継続に至った為、以下に報告する。なお、発表にあた
り症例に同意を得た。
【 症例紹介 】脳梗塞発症 3 ヵ月後に S 状結腸がん(余命半
年、家族希望で未告知)を認め、1 ヶ月後に当院地域包括
ケア病棟入院。心身機能は、右 BRS-T 上肢Ⅳ・手指Ⅱ・
下肢Ⅴ。杖歩行 15m が近位見守り。聴理解、読解共に短
文~ 3 語レベル。表出は、うなずき、手振りや一部書字可
能。統合失調症で長期入院歴あり。職歴は写真家。主訴は、
「早く元の施設へ帰り、一人で自由に過ごしたい」
。家族
は協力的だが遠方に在住。
【 介入方針 】限られた期間で目標共有を図る為、MTDLP
を活用。ST 協力の下興味・関心チェックリストを実施、
写真・旅行に興味を示した写真は馴染みの活動であり、ア
ルバム作りは思い出として残る作業で、写真を見ながら家
族や他の職員とのコミュニケーションの架け橋になるので
はと考えた。外出の希望もあり、
「家族と一緒に外出し写
真撮影をする」を合意目標とした。強みを生かしたアプ
ローチとし、移動の持久力と動的立位バランスの向上、失
語症に対しては、ストレスなくコミュニケーションがとれ
る工夫を考察した。実行度 1/10・満足度 1/10。
【 経過 】
Ⅰ期:身辺動作の介助量は軽減したが、病棟では部屋に引
きこもり、自由に過ごせないと暴力行為がみられた。移動
の制限によりリハビリが外出の機会とし提供した。
Ⅱ期:院内で写真撮影し、アルバムに貼る作業を行った。
本氏が自主的に職員にアルバムを見せてコミュニケーショ
ンを図ったり、笑顔がみられたりした。
Ⅲ期:家族との外出が実現し写真を介し、他の患者に身振
り、手振りで施設の良さを伝えたり、共有スペースで新聞
を読んだりと活動範囲が拡大。実行度 8/10・満足度 8/10
に向上。
「近隣の公園に桜を見に行く」という新たな目標
を家族と立てる事ができ施設職員に申し送りを行った。
【 考察 】本氏は失語症があり自己表現が難しく、閉じこも
りがちな生活を送っていた。MTDLP を活用し、クロー
ズドクエスチョンを実施する事で、本氏や家族、他職種と
目標共有と方向性の明確化を図る事ができ、
「家族と一緒
に何かをしたい」という本氏の気持ちを引き出す事がで
きたと考える。写真という馴染みの活動により、自主的に
コミュニケーションを取る機会が増え、精神状態も落ち着
き、本氏の自己表現の場と家族との思い出作りとなったと
考える。今後の家族との触れ合いに繋がる、質の高い生活
を継続して送る事の支援を行い、活動の継続の申し送りを
行うことができた。
【 はじめに 】日本作業療法協会は生活行為向上マネジメン
ト(以下、MTDLP)を通じて、人の生活と人生を支援す
る作業療法士(以下 OT)が、地域に貢献することを推進
している。今回、訪問看護を主とする事業体が、
「地域で
暮らす子ども達が、その子らしく主体的に自己実現し、健
康で幸福に生きていけるよう生涯を通じて支援する」を
目的に児童発達支援・保育所等訪問支援・障がい児相談支
援の事業を開始した。子ども達が生活する保育所等と直接
連携を図りながら活動参加支援を行い、継続的に地域環境
で子ども達を支えるチーム作りが開始されたので報告する。
今回の学会発表に際し、本児・保護者より同意を得ている。
【 症例 】4 歳の双胎第二子男児、生後 10 か月に痙攣重積型
急性脳症を発症。後遺症による失調型の四肢麻痺。壁伝い
歩きや PCW 歩行が可能。姿勢保持や両手動作時には振戦
様の震えが目立ち、微細操作は困難。身辺動作は全動作で
要介入。1 歳で保育所入園、今年度 4 月より年中クラスへ
進級。同月より障がい児相談支援、翌月より保育所等訪問
支援・児童発達支援のサービス利用開始。
【 支援計画 】母より「進級後、出来ていた事が出来なく
なった」
、
「小学校就学までにできる事を増やしたい」と
相談があり具体的に聞き取りを実施。
「着替え・見守りで
移動・トイレを一人で出来るようになってほしい」との
意見が聞かれ、まずは、着替えやトイレ動作の獲得を目標
とした。
【 経過 】保育所で出来ている動作をまとめた文書を基に情
報収集し、児童発達支援及び保育所等訪問支援で実場面の
確認を実施。保育所の中で頻度の高い下衣着脱は、本児の
「出来る能力」と介助量に相違があった。また、本児の強
みの一つとして「出来る部分は努力して頑張ること」が
挙げられ、介助方法の不一致・過介助が本児の動作意欲に
も繋がり阻害因子となっていることが考えられた。その為、
児童発達支援での介助方法を動画で保育所に情報提供し、
その結果、動作の自立度が向上したとの報告を受けた。母
からも「連携を図ってくれて嬉しい」等の声が聞かれた。
【 考察 】今回、様々な機関・職種が協働して、直接生活場
面に介入し環境調整することで、身辺動作の自立度が向上
し介助量が軽減した。しかし、相談支援によるモニタリン
グを実施した際に、関わる人によって本児に多面性がある
事、各職種が感じる本児の想いや問題点に差が生じている
事が明らかとなった。今後も各所での方針やアプローチ方
法を擦り合わす必要がある。継続して MTDLP の視点を
持った連携を図ることにより介助方法の統一、本児の強み
を引き出すことが可能となり、その子らしく住み慣れた地
域で生活が出来ると考える。
― 41 ―
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P-Ⅰ-04
生活行為向上マネジメントを持ちいて
本人・家族・他職種を巻き込み介入した事で
回復期へ円滑に申し送りが出来た事例
生活行為向上マネジメント普及についての調査
∼大阪市北ブロック研修会 1 年後の活用状況∼
○榊原 康仁 1)、林 亜遊 1)、木瀬 憲司 2)
○鈴木 愛理
1 )大阪医療福祉専門学校、2 )社会医療法人大道会 森之宮病院
社会医療法人愛仁会 高槻病院 技術部 リハビリテーション科
Key word:生活行為向上マネジメント、主体性、連携
Key word:生活行為向上マネジメント、作業療法教育
【 はじめに 】
「何もできない自分」に対して悲観的な発言
が多い患者に対し、生活行為向上マネジメントを用いて、
本人・家族・他職種を巻き込んでリハビリテーションを
行った。結果、回復期へと円滑に申し送り出来た為、以下
に報告する。尚、本報告は本人、家族から同意を得ている。
【 事例 】A 氏は 80 代女性で、X-1 年パニック障害と診断
され精神科病院に医療保護入院していた。その後両変形性
股関節症と診断され X 年 Y 月 Z 日当院入院。Z+1 日左股
関節人工骨頭置換術施行し、Z+7 日作業療法開始となる。
早くに夫と死別した後、看護師として働きながら娘を育て
ており、性格は努力家で真面目。人に迷惑を掛けたくない
という思いが強い。以前は自宅で家事をして過ごしていた
が、最近は日中寝ている事が多かった。精神症状は落ち着
いてきており、今回退院後は娘と同居予定。日中娘は仕事
をしており、デイサービスを利用する方針。
【 初期評価 】Communication は理解・表出共に長文レベル。
疼痛の訴えなし。不安の訴えが強く、悲観的な発言が多い。
ROM は 股 関 節 屈 曲 85/70、 伸 展 -5/-10 の 制 限 あ り。
GMT は上肢 4、下肢 3。ADL は下衣上げ下ろしに軽介助
を受けている。Demand は「排泄・更衣の自立と、日中
起きて楽しく過ごせるようになりたい」であった。
【 経過 】介入当初、日中臥床傾向で「このまま何も出来な
いままなのでは」と涙する事が多かった。そこで生活行
為向上マネジメントを用いて「身の回りの動作が出来る
ようになった上で、家に帰っても続けられる息抜きとなる
活動を見つける」を合意目標に設定した。作業療法での
実動作練習と、余暇活動の開発に加えて、Ns. や PT、家
族にもマネジメントシートを配布した。目標達成に向けて、
介入する時間帯を調整して日中離床を促す事や、こまめに
プラスのフィードバックを行う事などのプランを共有した。
次第に ADL 自立度は向上し、
「やる事が出来て嬉しいで
す。
」と笑顔で話すようになった。
【 最終評価 】排泄・更衣は見守りレベルとなる。手芸は A
氏の楽しみとなり、病室でも自ら行う姿が見られた。転院
前に予め回復期スタッフと目標や当院入院中の様子につい
て申し送りを行った。転院に伴い不安が見られたが急性期
で行っていた活動を継続した事で穏やかに過ごせるように
なり、2 ヶ月後に自宅退院の運びとなる。
【 考察 】A 氏は ADL に介助を要し、日中臥床傾向で自己
実現の機会が失われており、不安を募らせていた。今回生
活行為向上マネジメントを用いた事で A 氏・スタッフ共
に、目標に向けたプランが視覚的に確認できた。他職種と
共に 24 時間の生活を意識して関わり、継続して回復期に
申し送ることができた事で、円滑にリハビリテーションが
継続できたと考える。
【 はじめに 】日本作業療法士協会(以下、協会)では、生
活行為向上マネジメント(以下、MTDLP)普及を重点項
目としている。協会では MTDLP の研修制度も確立しつ
つある。しかし、最初の研修である基礎研修は概論 90 分
と演習 330 分で構成されており、作業療法士(以下、OT)
によっては長い時間への躊躇もあると考える。大阪市北ブ
ロックでは MTDLP 啓発を目的に小規模の MTDLP 研修
会(以下、研修)を実施している。今回、研修会受講者が
1 年後、MTDLP を活用しているかを調査し、研修会の効
果を検討したので報告する。
【 方法 】対象は大阪市北ブロックで開催された MTDLP 研
修会に参加した OT64 名中、同意が得られた 22 名。研修
会 は 協 会 MTDLP 指 導 者 を 講 師 と し て 2014 年 12 月 と
2015 年 1 月に開催され、前者は MTDLP の概要とシート
説明、前者は事例を通しての演習であった。時間はどちら
も 90 分であった。今回の調査は、研修が終了した約 1 年
後(2016 年 1 月)
、どちらかの研修に参加した OT64 名に
返信封筒入りのアンケートを郵送した。アンケート内容は、
MTDLP の活用の有無、それぞれの理由の自由記述、活
用している場合は研修会が活用のきっかけになったかの有
無であった。データは研修会の一方を受講した群と両方を
受講した群に分け、MTDLP を活用しているか非活用で
あるかを比較した。データは 2 サンプルカイ 2 乗検定を用
いて、統計処理の有意水準は 5% 未満として、統計ソフト
は統計解析 Excel2010 を用いた。自由記述は、MTDLP
の活用群と非活用群に分け類似性のあるものをまとめカテ
ゴリーを生成し検討した。アンケート郵送には説明文も同
封し、返信をもって同意とすることも通達した。本調査は、
本学倫理委員会より承認を得ている。
【 結果 】一方を受講した群 10 名の内、活用は 1 名で非活用
は 9 名、両方を受講した群 12 名の内、活用は 6 名、非活用
は 6 名であった(P < 0.05)
。活用している 7 名中、7 名が
研修会は MTDLP 活用のきっかけになったと回答した。
質的調査からは活用した群からは「興味・関心チェック
リストの活用」
、
「対象者との目標設定の共有」
、
「評価介
入の内容が整理しやすい」
、
「多職種との協業」など、活
用していない群からは「必要性は感じつつ活用できてい
ない」
、
「時間的な余裕がない」
、
「リハビリテーション実
施計画書など代用がある」などのカテゴリーが生成された。
【 考察 】両方の研修を受講した群が MTDLP 活用に効果が
あった。一方を受講した群は、MTDLP を活用していな
い OT が多い。両方を受講した群は、MTDLP が必要と
なった経緯を理解し、生活行為を聞き取り目標を設定し、
OT の評価や介入の思考過程を整理し、他職集と連携する
重要性の理解に効果があったと考える。
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生活行為向上マネジメントに基づく授業の
終了時のアンケートの分析結果から
教育効果の検討
知的障害者の食事動作への意欲に向けた
取り組み
○林 亜遊、林 辰博、本岡 健太郎、榊原 康仁、
岸村 厚志
○白田 麻衣
社会福祉法人藍野福祉会 藍野療育園
大阪医療福祉専門学校
Key word:生活行為向上マネジメント、作業療法教育、
Clinical Reasoning
Key word:食事、環境、チームアプローチ
【 はじめに 】日本作業療法士協会は、わかりやすく作業療
法(以下、OT)の形を示すために生活行為向上マネジメン
ト(以下、MTDLP)を開発した。今後 MTDLP を基盤と
した実践が急務となるが、養成校で MTDLP を教授して
いるという報告例は見られない。本学科では入学直後から
MTDLP に基づく授業を実践している。本報告の目的は
MTDLP に基づき計画された授業について授業終了時の
アンケートの分析結果から授業効果について検討すること
である。
【 方法 】対象:作業療法士学科 3 年制課程 1 年生 45 名の内、
研究同意が得られたもの。MTDLP に基づく授業:1 年次
前期に 90 分の授業を 1 名の講師で 15 回実施した。授業目
的は、MTDLP のプロセスに基づき OT の理解を促し、
OT 概念への帰属を高めることである。事例を利用し、
MTDLP の生活行為聞き取りシート・生活行為アセスメ
ントシート・生活行為向上プランシートの 3 つの基本シー
トに沿ってストーリー性を持って学べるようにシートごと
に授業を 3 分割した。アンケート:本授業の効果を検討す
るために 13 項目のアンケートを作成し、4 件法のリッカー
ト法で回答を求めた。統計処理:回答を集計し、各質問項
目に対する回答傾向をみた。倫理的配慮:対象には研究目
的と方法など説明し、自由意志による参加を求めた。尚、
本研究は本学倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【 結果 】欠損値などを除き 43 名の回答を分析対象とした
(女性 38 名、男性 5 名。平均年齢±標準偏差 18.74 ± 1.90
歳)
。13 項目の質問に対する回答の割合を以下()内に「と
てもそう思う」
・
「そう思う」を選んだ肯定的意見、
「そう
思わない」
・
「全くそう思わない」を選んだ否定的意見の
順に標記する。OT の魅力(97.7%・2.3%)
、OT の理解
(97.7%・2.3%)
、知識習得(93%・7%)
、技術習得(86%・
14%)
、態度習得(97.7%・2.3%)
、クリニカルリーズニン
グ能力の高まり(83.7%・16.3%)
、記録作成能力の高まり
(69.8%・30.2%)
、MTDLP の 考 え 方 の 理 解(90.7%・
9.3%)
、MTDLP のプロセスの理解(83.7%・16.3%)
、生
活行為聞き取りシートの活用(93%・7%)
、生活行為アセ
スメントシートの活用(69.8%・30.2%)
、生活行為向上プ
ラン表の活用(60.5%・39.5%)
、MTDLP の重要性(95.3%・
4.7%)であった。
【 考察 】肯定的意見を選んだ回答割合が多かった項目は、
OT の魅力、OT の理解、態度習得、MTDLP の重要性で
あり、MTDLP のプロセスに基づき OT の理解を促し、
OT 概念への帰属を高めるという授業目的は達成したと言
える。否定的意見の回答割合が多かったの」は、生活行
為向上プラン表の活用が最も多く、次いで記録作成能力の
高まり、生活行為アセスメントシートの活用であり、技術
的習熟を伴う学習に困難を感じた学生が多かったと言える。
【 はじめに 】食事全介助であった最重度の知的障害者が、
環境の工夫や介護スタッフとの取り組みにより、動作の成
功経験から意欲が向上し自らの動作に繋がった。また日常
の中でも自発的な探索が増えたため報告する。本報告は保
護者の了承を得ている。
【 症例紹介 】18 歳男性。症候性てんかん、精神運動発達遅
滞。DSM-5 最重度。生活介護事業所に週 3 回通所。移動
は主に膝歩き、四つ這い。歩行はふらつくため要介助。興
味のある物は取って指をこすりあて刺激を楽しむが、それ
以外は活動性が低く、手掌は過敏で触られる事や物を持た
される事を嫌がる。人が関わると笑顔になり、物を払いの
け相手を探す事が可能である。
【 食事評価 】食事中の座位姿勢は骨盤後傾、体幹屈曲、股
関節外転・外旋位で、前方へずり落ちる。上部体幹屈曲に
よって頸部過伸展が強まり手元が見えず、また周囲が気に
なり、すくう動作に注意が向かない。肘を机上に着き、グ
リップ付きスプーンを回内握りで口まで運ぶ事はできるが、
手関節掌屈位の為スプーンの回転や落下があり、把持の介
助が必要である。頸部屈曲させ口に取り込んだ後、上肢が
後方に引けて次の動作に繋がらない。
【 目標 】①スプーンを一人で持続的に把持して落とさず口
まで運ぶ。②動作に注意を向け見る。
【 問題点 】低緊張による姿勢の崩れや注意の問題から、上
肢の空間保持、持続的な把持、動作に注意を向ける事がで
きない。そのため介助が多く依存的である。
【 介入と結果 】①座奥と座幅、机の高さを調整して骨盤中
間位、体幹伸展を促し、また手関節背屈位保持のスプリン
トと三角柱の柄で把持を安定させた。当初はスプリントを
嫌がり、またスプーンの柄が重く、落下は増えたが、3 ヶ
月後には把持が安定し一人で口へ運ぶ事ができた。しかし
すくう動作に繋がらず、介助を待っていたため ②声かけ
と見やすい高さへの皿の調整により、動作への注意が向く
ように促した。また手づかみ食べを導入し、皿内に食物を
一つ置き、手を誘導した。介助量を徐々に減らし、4 ヶ月
後には動作への注意が増え、食物がのったスプーンを取り
に行く事や手づかみ食べが見られるようになった。
【 考察 】把持の工夫による手掌への固有受容感覚と高い皿
の位置による視覚が、持続的な注意に繋がったと考える。
また失敗経験から介助に依存的であったが、達成感が得ら
れるように自らの動作を待つ事を介護スタッフと共有した
事により、意欲が向上した。加えて手づかみ食べの導入が
自発的な探索を促し、日常の中でも人や物を自ら触る機会
が増えた。成人期の重度知的障害がある方においても、介
護スタッフとの取り組みから意欲を引き出し、機能の改善
に繋がる事が確認できた。
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P-Ⅰ-08
座面の支持面の変化がスプーン操作に
影響したダウン症児
演題取り下げ
○里原 佑果
社会福祉法人藍野福祉会 藍野療育園
Key word:食事、道具操作、姿勢
【 はじめに 】ダウン症児は低緊張で姿勢運動発達の未熟さ
があり、口腔機能や上肢・手操作に影響を及ぼす。なお加
藤は、体幹の安定が得にくいため上肢の機能的使用が妨げ
られ、協調運動が難しくなる事があると述べている。当園
ではダウン症児の OT を現在 40 名近く実施しており、椅
子座位を後・側面のマットや股パッドで安定させ、スプー
ンを T 字型(ピストル型)にする等の食事環境の工夫をし
ている。今回は座面の支持面にも工夫をし、姿勢の安定と
スプーン操作の関連を検証したので報告する。なお、今回
の発表にあたり保護者から同意を得ている。
【 症例紹介 】4 歳 0 ヶ月女児。ダウン症候群(21 トリソミー
標準型)
。定頚 4 ヶ月、座位 10 ヶ月、ずり這い・四つ這い
1 歳、独歩 2 歳 1 ヶ月。手関節尺側の不安定性(2 歳レベル)
のための T 字型スプーン・バネ箸使用。簡単な上下衣と
大きなボタンは自立。新版 K 式発達検査 2001( CA3:
10)
:姿勢・運動 52、認知・適応 59、言語・社会 52、全
領域 54
【 検証方法 】食事時使用している上記工夫済みの椅子と
ボール部を手前に曲げた T 字型スプーン使用。カップを
左手で把持しヨーグルトを食べる場面で①座面工夫無し、
②座面工夫ありを VTR に記録し比較検証した。座面には、
殿部の側面と後面、骨盤の後面にウレタンスポンジで三角
ウェッジを入れた。
【 結果 】①骨盤後傾、上部体幹屈曲し左後方へもたれ、下
肢は股関節外転・外旋し引き込んでいる。上肢は両肩関節
外転位で、左手でカップを下顎に押し付け保持し、右手で
スプーンを握りこみ、前腕回外の動きのみで操作していた。
取り込み時、頭頚部やや右回旋し歯でそぎ取る(1 歳半~
2 歳レベル)
。② 骨盤後傾、股関節外転・外旋が減少し、
足底接地と上部体幹の伸展がみられた。肩関節外転が減少
し、カップは空間で保持していた。右手は握りこみが減少
し手関節と前腕の協調運動で操作可能となった。取り込み
時、頭頚部右回旋が減少し、口唇閉鎖とスプーンを引き抜
く動きが同時に行えるようになった(2 ~ 3 歳レベル)
。体
幹の左へのもたれは変化しなかった。
【 考察 】殿部を包み込むような座面の形状にしたことで、
骨盤の中間位保持が可能となり支持面(両坐骨や大腿骨)
から固有受容感覚が入りやすくなった。その結果、上部体
幹の伸展が得やすくなった。そのため両肩甲骨が安定し、
左上肢の空間保持と右手の手関節の動きが向上し、口とス
プーン操作の協調運動に繋がったと考えられる。今回の症
例を通して、座面の支持面の工夫が姿勢の安定やスプーン
操作の向上にとって重要であると確認できた。
【 参考文献 】加藤早苗・小畑恵子:ダウン症の子どもと OT と
のかかわり,小児看護,第 36 巻 10 号,2013.
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座位姿勢が安定したことで、上肢の探索活動
が連続的に可能になり、更衣に対する
モチベーションの向上とともに協力動作が
増加した脳性麻痺児に対する介入の一例
目−口−両手の協調により動作が連続し、
スプーン操作向上につながった事例
○長峰 まい香
社会福祉法人愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター
○矢野 聡子、吉田 律子、砂古口 雅子
社会医療法人大道会 森之宮病院
Key word:脳性麻痺、更衣、探索
Key word:手掌での識別能力、目と口と両手の協調、スプーン動作
【 はじめに 】今回、下肢の手術目的に入院した症例を担当
した。上肢操作時の座位姿勢の安定と上肢の探索活動を連
続的に行えるよう促した結果、全介助であった更衣に対す
る協力動作が増えて介助量が軽減したので考察を加えて報
告する。尚、発表に際し当院の倫理委員会並びに保護者の
同意を得ている。
【 症例紹介と初期評価 】6 歳女児、脳性麻痺(PVL・痙直
型両麻痺)
。在胎 30 週 4 日 1,168g で出生。GMFCS レベ
ルⅣ。割り坐は可能で移動はバニーホッピング。介助立位
では右下肢内転を強めた伸展パターンを呈し、独立位不可
(右股関節亜脱臼あり)
。ベンチ端坐位では下肢伸展パター
ンで骨盤後傾し、体幹は円背となり上肢支持出来ず座位保
持困難であった。上肢は内転内旋方向の緊張が高く、屈曲
方向に引き寄せて使用するので、運動方向を調整しながら
使うことや対象物の操作は不十分であった。ADL は全介
助。脱衣場面では声掛けで両手を挙げて協力可能だが、着
衣の袖通しでは上肢の運動方向が定まりにくく、姿勢を保
つ介助と上肢の伸展を促す介助が必要であった。脱衣に興
味を示すものの、着衣には興味を示さず注意も持続しな
かった。遊びは 10 〜 13 ヶ月レベル。流涎著明で発話での
コミュニケーションは難しく、Yes/No で答えられる質問
全てに「はい~」と答えていた。
【 目標 】座位保持装置を利用しながら、全介助のかぶり
シャツの着衣場面で、頭を介助者が通した後に、袖通しに
協力動作が得られるようになることを目標とした。
【 経過および結果 】
1 期:股関節周囲筋群の軟部組織解離術の術後、体幹・下
肢がギプス固定されている期間から OT も関わった。背
臥位及び立位の中で上部体幹の伸展と肩関節の外旋外転方
向の運動等、上肢の多様な方向への運動を促した。また、
背臥位の多い術後の生活の中では腹臥位になる時間を設け、
上肢支持を促しながら腹筋群の伸張を促した。
2 期:座位での姿勢コントロールを促しながら、遊びの中
で手への感覚入力と道具操作の中で形や大きさ・向きに合
わせて保持や操作する練習を行った。
3 期:更衣の実践場面に治療的介入を行った。上肢・手が
袖に触れていることが分かりやすいよう服に張りを作って
抵抗感が出るよう援助しながら着脱練習を行った。
結果:全介助であったかぶりシャツの着衣場面の介助量が
軽減した。
【 考察 】座位姿勢が安定したこと、上肢を体幹から離れた多
様な方向に伸展していくことが可能になったこと、上肢操
作時の手指からの感覚情報が連続的に得られやすくなった
こと、自分で出来ることが増えたことで児の更衣に対する
モチベーションが向上したことが、全介助だったかぶりシャ
ツの着衣で、介助に協力出来るようになった要因と考える。
【 はじめに 】食事が全介助の重度知的障害を伴う女児に目
-手-口の協調を促した結果、ほぼ 1 人で食べられるよう
になった。経過から考察し報告する。本報告はご家族の了
承を得ている。
【 事例 】点頭癲癇、脳性運動発達遅滞と診断された 9 歳女
児。在胎 40 週、3,628g で出生。GMFCS レベルⅢ、日中
は車椅子と低緊張由来の側彎に対する動的体幹装具、コン
タクトレンズを使用し、弱視と眼振、先天性白内障の手術
歴があった。発語はないが日常の指示理解は可能で発声や
クレーン動作はみられ、ADL 全てに介助が必要だった。
今回、9 週間の集中リハ目的で入園し、OT・PT 週 5 回、
ST 週 3 回実施した。入園時の母親のニーズはおもちゃや
スプーンを投げずに置けることであった。
【 評価 】児は指先で物を持ち、目元で動かして最後は側方
に投げていた。弱視のため、目の近くで触覚や光の変化を
楽しんでいると考えた。食事は意欲が高いが、スプーンを
側腹でつまみ、口に取り込んだ後側方へ投げた。これは手
掌で対象を識別しにくく、アーチの形成と上肢の選択的運
動が誘導されにくいためスプーンの向きを調整できず、す
くい上げにくい。しかし、すくう介助には適応できず、取
り込んでも口腔の感覚処理の難しさから把持感覚と同時処
理できずスプーンを手放したと考えた。
【 方針と目標 】手掌での対象識別が可能になると手の構え
を調整しやすくなり、目と口の感覚情報処理の難しさを補
え、動作が連続すると考え、目標はスプーンですくい続け、
放しにくくなることとした。
【 経過および結果 】容器から物を取り出す際に手掌から抵
抗を感じて把持し続けるよう両手動作に取り組んだ。そし
て、手掌で持ちやすいピストル型スプーンと見やすい色皿
を用いると、左非利き手で皿を抑え始めた。次に、チェー
ンを両手で引っ張りながら目印を探す遊びを行い、目と両
手間の協調を促した。食事では軽く肩の安定を援助さえす
れば、皿を見てすくい続けやすくなったが、すくい上げて
こぼしていた。そこで、棒で打つ力や向きを調整してラウ
ンドベルを回す活動に取り組んだ。食事ではスプーンの柄
から介助して皿に沿わせてすくう方向を調整するよう誘導
した。結果、スプーンで続けてすくえないと投げることは
あるものの、ほぼ 1 人で食べられるようになった。
【 考察 】肩の安定を援助したことと、手掌面に広く接する
ピストル型スプーンを用いたことで固有感覚をフィード
バックしやすくなった。手掌からの感覚に応じて両上肢の
動きを調整し、対象を目的的に扱うことを繰り返せたこと
で識別能力が向上した。そのことが口と手だけでなく、目
と両手の協調も促し自ら上肢を対象に向け、能動的にすく
い続けるようになったと考える。
― 45 ―
P-Ⅰ-11
笑いを目標にする作業療法
― 笑わせ、笑わされる暮らしの提供 ―
○松本 茂樹
堺市立重症心身障害者(児)支援センター ベルデさかい
Key word:作業療法、役割、楽しみ
【 はじめに 】作業療法は「治らない自分・家族」という慢
性疾患状態を示す方々を対象とすることが多い。作業療法
士は慢性疾患状態を抱えられ「こんなはずではなかった」
と思われている人生を「これでいいのだ」と思っていた
だけるように作業と暮らし方を提案する専門職と考える。
生まれもっての運動障害と知的障害を併せ持つ重症心身
障害者(児)の方(以下:重症者児)はある意味で究極の慢
性疾患状態を示す方々とも言える。重症者児に実施した作
業療法内容を振り返り、今後の作業療法士の役割について
考察する。
【 ベルデさかいの紹介 】設立 5 年目の重症心身障害者(児)
施設。入所利用定員は 50 名。療養介護事業(18 歳以上の
方)
、医療型障害児入所支援事業(18 歳未満の方)を実施。
短期入所、通所(生活介護事業)
、重症心身障害者(児)へ
の相談支援も実施。
【 実施した作業 】①ADL 改善:食事、排泄、更衣、呼吸、
車椅子・ベッドのポジショニング他 ②行動理解支援:常
同運動、自傷運動等の生活障害につながる特徴的行動様式
の理解と支援 ③環境整備:居室、病棟環境整備。リハ実
施のための器具作成 ④日中活動提供:他職種協業で活動
提供。部屋別リハ(町内会活動)の実施 ⑤施設行事協力:
重度心身障害者(児)が楽しめる行事企画提案 ⑥ 機器開
発・作成:自助具、姿勢保持具、活動道具の開発と作成 ⑦家族支援活動:個別リハ、町内会活動を通じた家族との
連携強化 ⑧地域支援活動:地域生活介護事業所との連携。
交流会・研修会(通称:堺ミーティング)の運営
【 結果 】年々入所者、ご家族からの要望書ではリハビリ
テーション部(OT4 名、PT6 名、ST2 名、臨床発達心理
士 1 名)は高い信頼を得てきている。
【 考察 】作業療法内容を振り返り考察する。
・安定した日常の提供:ADL の遂行は安定した日常生活
を送る上で重要な位置づけである。重症者児の方々は加齢
や状態の変化に伴い機能低下をきたしやすい。ADL への
継続した取り組は必須である。
・変化のある毎日の提供:障害が重い方ほど自ら変化を生
み出すことが難しく生活が固定化しやすい。日中活動提供
や行事協力は「昨日と違う今日」を提供し、暮らしに変
化を生み出す取り組みになった。暮らしの変化は「笑い」
につながる。重症者児、家族、施設職員にとって「笑え
る暮らし」への潜在的なニードは予想以上に大きかった。
そして、変化に伴う笑いの提供には知識と技術と、作業療
法士自身が色々な意味で自らを既成概念から解き放つ
(UNLEASH)意思も必要であった。
今後も作業療法士の働き方は変化する。従来の枠組を解
き放ち「変化の提供」
「楽しさの提供」が作業療法目標に
なる時代がきていると感じる。尚、発表に際しては施設の
同意を得ています。
― 46 ―
P-Ⅱ-01
P-Ⅱ-02
左上腕骨近位端骨折術後の洗髪動作獲得を
目指した一症例
長母指伸筋腱皮下断裂腱移行術後診療所より
作業療法を開始した 1 例
○池田 翔眞、桂 大輔、増井 健二
○大平 健二
医療法人若葉会 堺若葉会病院
ねぎ整形外科・リウマチクリニック
Key word:上腕骨近位端骨折、洗髪動作、COPM
Key word:長母指伸筋腱皮下断裂、腱移行術、スプリント固定期間
【 はじめに 】今回、左上腕骨近位端骨折術後に肩関節可動
域制限の改善に難渋する症例を経験した。COPM を用い
症例の Needs と動作の遂行度や満足度を把握しながら作
業療法を進めることで、可動域制限が残存した状態でも満
足度が得られた症例を経験したので報告する。
【 倫理規約 】本発表に症例の同意を得た。
【 症例紹介 】バイクで転倒し左上腕骨近位端骨折(Neer 分
類 3-part)を呈した 70 歳代女性。受傷 7 日後、観血的骨
接合術施行。
【 経過 】術後、振り子運動開始。術後 14 日、関節可動域運
動を開始し退院。術後 16 日より外来作業療法週 3 回実施。
COPM を用い聴取した重要度の高い項目は洗髪、洗体動
作、掃除であった。
【 初期評価 】
(術後 16 日)
姿勢は頸部伸展、肩甲骨外転、上方回旋、翼状肩甲。左
上腕骨頭は内旋位で前方偏移。洗髪動作は後頭部の洗髪時、
左肩関節屈曲、外転、外旋制限により胸椎屈曲、頚部伸展
で代償。関節可動域は左肩関節屈曲 65°
、外転 60°
。筋力
は左肩関節屈曲 2、外転 2、外旋 2。疼痛は左肩関節外転、
外旋時 NRS8/10。COPM の洗髪、洗体動作、掃除におけ
る遂行度平均 5.0、満足度平均 5.3。
【 治療内容 】関節可動域制限が残存する中で制限因子を把
握し、洗髪、洗体、掃除の構成要素である体幹抗重力伸展、
肩甲帯安定、選択的手指前腕運動を各方向へタオルワイピ
ングとハンドリングを用いて介入。
【 最終評価 】
(術後 133 日)
FIM126/126( 上衣着脱可能)
。姿勢は頸部前方突出、
肩甲骨は外転、上方回旋、翼状肩甲は軽減。左上腕骨頭の
前方偏移軽減。洗髪動作は円滑な後頭部洗髪が可能となっ
た。関節可動域は左肩関節屈曲 120°
、外転 105°
、水平内
転 115°
。筋力は左肩関節屈曲 4、外転 4、外旋 4。疼痛は
外旋時 NRS2/10。COPM の洗髪、洗体動作、掃除におけ
る遂行度平均 8.7、満足度平均 9.0。
【 考察 】機能的問題点は一部残存したが可動域制限の改善
に固執せず、COPM より聴取された重要事項を把握、療
法士と患者で問題点を共有し、共通した構成要素を考えて
家事動作を中心に治療介入した結果、遂行度・満足度に改
善が得られたものと考える。
【 まとめ 】可動域、筋力が改善し洗髪肢位の保持が可能と
なっても円滑に動作を遂行するには良好な姿勢が必要で、
それが一連の動作に関与していた。可動域制限等が残存し
ても COPM などを用いて Needs に直結した介入の重要性
を感じた。
【 はじめに 】長母指伸筋腱(以下 EPL 腱)修復術後の作業
療法(以下 OT)は、3 週間固定法や動的スプリントを用い
た早期運動療法が行われることが多い。今回、EPL 腱皮
下断裂後に腱移行術を施行された症例に対し、術後 2 週よ
り OT を開始し、スプリントの装着期間・時間を吟味し
た結果、良好な結果を得ることができたので報告する。尚、
本発表に際して症例の同意は得ている。
【 症例 】70 代女性、右利き。庭仕事後、右母指が自動伸展
不能となったため当院を受診。右 EPL 腱皮下断裂の診断
を受け、手術目的で急性期病院を紹介。2 ヵ月後、示指固
有伸筋腱を用いた腱移行術が施行された。
リハビリ目的で当院再受診となった。当初、症例は静的
スプリントにて手関節中間位、母指外転位、母指 MP・IP
関節伸展位で固定されていた。手術医からは自動運動から
開始し、OT 時以外はスプリントにて母指を保護するよう
に指示があった。OT は術後 2 週より動的腱固定効果を利
用した肢位での母指単関節における他動伸展運動および手
関節の自動掌背屈運動、母指他動伸展位保持運動、示指自
動・他動運動から開始した。術後 6 週で総自動運動(以下
TAM)は母指 90°
、示指 240°と改善を示した。また、ス
プリントは完全除去し、箸操作などの負荷の極軽い ADL
動作を許可した。また、動的腱固定効果を利用した肢位で
の他動運動を開始した。術後 8 週からは修復腱に大きな負
荷がかかると予測された動作以外の動作は許可。術後 12
週ですべての ADL 制限を解除すると同時に積極的な握
力・ピンチ力強化訓練を開始した。
【 結果 】術後 14 週の最終評価では、TAM は母指 108°
(健
側比 96.4%)
、示指 244°
( 健側比 101.1%)
。手関節 ROM
は背屈 70°
、掌屈 50°と掌屈のみ健側と比較してわずかに
制限が残存した。握力は 12.0 ㎏(健側比 75%)
、ピンチ力
は 2.5 ㎏(健側比 83.3%)であった。日本語版上肢障害評価
表(DASH)は 2.6 点、Lemmen の評価基準は優(100 点)
となった。
【 結語 】報告では EPL 腱術後セラピィの成績で優を示し
たのは、早期運動療法で約 92%、3 週間固定法で約 58%
であった(池本ら、2012;谷野ら、2010)
。これらの報告
では少なくとも夜間はギプスやスプリントで固定しており、
術後 6 ~ 8 週で固定を完全除去することが共通している。
3 週間固定法は手指の伸展拘縮が起こりやすいため、敬遠
される場合もある。しかし EPL 腱損傷は屈筋腱と比較し
て癒着が少ないことから、縫合部が編み込み縫合などで強
固に固定されている条件下であれば、縫合部のギャップ形
成を最小限にする意味合いでも、今回のようにリハビリ時
以外は長期間スプリントにて固定する方法があってもよい
のではないかと考える。
― 47 ―
P-Ⅱ-03
P-Ⅱ-04
急性期より随意運動介助型電気刺激装置を
使用しながら実動作練習を行い、上肢機能と
ADL に改善を認めた脳卒中後軽度片麻痺を
呈した一事例
聴覚理解が良好な失語症を呈した
脳出血患者への課題指向型訓練と動作指導が
麻痺側上肢の使用頻度に有効であった一症例
○久堀 佐知、飯山 幸治、小猿 純一、恵飛須 俊彦
○武田 将 1)、西田 明日香 1 )、松下 浩尚 1 )、欅 篤 2)
関西電力病院 リハビリテーション部
1 )社会医療法人愛仁会 高槻病院 技術部 リハビリテーション科、
2 )社会医療法人愛仁会 高槻病院 診療部 リハビリテーション科
Key word:脳卒中、電気刺激、MAL
【 はじめに 】近年、随意運動介助型電気刺激装置(以下
IVES)を使用した上肢運動麻痺に対する治療効果が数多
く報告されている。しかし、報告は回復期~慢性期にかけ
て多く、急性期での使用報告は少ない。今回、脳出血後軽
度右片麻痺を呈した事例に、段階的に上肢機能訓練と
Motor Activity Log(以下 MAL)での評価に基づいた実
動作練習を IVES 装着下で行い、上肢機能と ADL への麻
痺手の参加が向上した事例を経験したため報告する。なお、
発表に際して症例の同意を得ている。
【 症例紹介 】70 歳代男性。診断名:左視床出血。X 月 Y 日
発症。Y+1日理学、作業、言語療法開始。GCS:E4V5M6。
コミュニケーション:受け答え可能もぼんやりしている。
BRS:右上肢Ⅳ・手指Ⅲ・下肢Ⅱ。表在・深部感覚:軽度
鈍麻。RCPM:19/36( 年齢平均 26.9)
。FIM46/126。ベッ
ド上安静のため食事以外の ADL ベッド上全介助。
【 介入経過 】Y+3 日より離床開始。血圧安定し、トイレ動
作下衣操作一部介助にて可能。左手使用し食事自己摂取可
能であった。Y+5 日、簡易上肢機能検査(以下 STEF)を
実施。右 36 点、左 81 点で動作時の右上肢に過剰な緊張亢
進を認めた。Y+6 日より手指の分離改善、脱力の学習を
目的に IVES を使用した機能訓練開始。電極は手関節背
屈・手指伸筋群に貼付した。使用は週 6 日間、通常訓練後
15 分程度 IVES を使用した訓練を実施した。また自助具
箸を利用した食事などの実動作練習も実施。徐々に手指の
分離向上し、上肢近位部の代償動作軽減した。STEF は
右 61 点に改善。MAL の Amount of Use( 以下 AOU)は
2.57。本や新聞を読む際は麻痺側を使用しておらず、歯ブ
ラシ、ボタン留めの際に麻痺側使用頻度低下認めた。難易
度を調整しながら上肢機能訓練は継続、歯磨き動作や更衣
練習、新聞を読む練習など MAL で見つかった課題に対し、
IVES を装着しながら実動作練習を行った。
「右手で歯磨
きするようにしている」や「段々やりやすくなってきた」
など発言を認めるようになり、病棟でも積極的に麻痺側を
使用するようになった。
【 結果 】BRS:右上肢・手指Ⅴ・下肢Ⅳ。表在・深部感覚:
軽度鈍麻。STEF:右 74 点、左 93 点。FIM:99/126。歩
行は見守り。その他 ADL 修正自立。MAL の AOU は 3.71。
歯磨き、ボタン留めの際の麻痺側の使用頻度向上。Y+25
日に回復期病院転院となった。
【 考察 】症例は脳卒中発症後、軽度麻痺が残存していた。
発症早期より IVES を使用することで、急性期の意識清明
でない状態でも過剰収縮を抑制しながら、代償の少ない上
肢運動を誘導できた。結果、症例の上肢機能の改善に繋がっ
たと考える。また MAL を使用したことで、早期より麻痺
側の未使用に気づいた上で意識づけをすることができたと
考える。また実際の生活場面でパフォーマンス向上を実感
でき、症例の意欲の向上にも繋げることができたと考える。
Key word:脳卒中、失語、上肢機能
【 はじめに 】課題指向型訓練は脳卒中患者の麻痺側上肢の
機能改善に有効であり、Transfer Package( TP)を併用
することで日常生活の使用頻度は向上する(竹林 2011)
。
しかし失語症患者には適応されない。今回、脳出血により
聴覚理解は良好な失語を呈した片麻痺患者に、課題指向型
訓練および麻痺側上肢の使用方法の指導を工夫する事で、
使用頻度の向上を認めたため報告する。
【 症例紹介 】50 歳代女性、右利き。左前頭葉から頭頂葉の
脳出血を発症。発症 27 日目に回復期病棟に入棟。病前
ADL は自立、ニーズはセルフケア自立であった。尚、発
表に際し書面にて患者から同意を得た。
【 作業療法評価 】FMA(麻痺側上肢)運動機能 51/66 点、
感覚機能 4/12、母指さがしテスト2 度、Action Research
Arm Test( ARAT)15/57。麻痺側上肢参加度評価(PPM)
7/45 点、Motor Activity Log(MAL)の AOU(使用頻度)
は 0 点で麻痺側上肢の使用が乏しかった。失語症は聴覚理
解が良好であったが、自発語は単語レベル、錯語が出現、
呼称・書字障害は重度であった。FIM は 66/126 点、セル
フケアの麻痺側参加はみられなかった。
【 介入方法 】課題指向型訓練と動作指導は発症後 35 日から
開始し、4 週間、週 5 日実施した。課題指向型訓練は、1
日 120 分、肩関節屈曲を伴うリーチ動作や、対立動作での
つまみ動作などを実施しさらに洗濯物をたたむ、財布から
小銭を取り出すなど日常生活に即した課題も追加した。こ
れらは、写真を掲示し自己で課題を管理できるようにした。
動作指導は食事、入浴、洗濯、買い物など麻痺側の使用場
面を直接指導し、理解度を二者択一で答えられる質問で確
認した。また継続的使用をチェックシートで確認した。
【 結果 】介入 4 週間後、FMA(麻痺側上肢)の運動機能は
55 点、感覚機能は 5 点、母指さがしテストは 2 度と機能低
下 は 残 存 し て い た が、ARAT は 44 点、PPM は 33 点、
MAL の AOU は 16 点、FIM は 104 点と向上を認め、セ
ルフケアでも麻痺側上肢の参加を認めた。
【 考察 】本症例は聴覚理解や読解力に留意し、写真を併用
した課題提示など課題指向型訓練を工夫して実施した。一
方、TP は患者との筆談や会話により解決方法を考察する
方法(竹林 2011)であるため、書字、発話が困難な本症例
では TP の活用は困難であった。そのため、実際の生活場
面に介入し麻痺側上肢の使用方法を指導し、チェックシー
トを症例の言語理解度、発話能力に合わせ継続性の確認方
法として工夫した。その結果、TP と同様に麻痺側上肢の
運動学習の基づく行動変容をもたらし日常生活での使用頻
度向上を認めたと考えられた。以上より、失語症患者でも
聴覚理解や自発語の能力を把握し、日常生活での麻痺側上
肢の使用方法を理解し反復できる環境を設定できれば、使
用頻度を向上できる可能性がある。
― 48 ―
P-Ⅱ-05
P-Ⅱ-06
イラストレーターとしての復職を目指して
右手での食事動作にこだわりが強い症例
∼「絵を描きたい」の実現の為に∼
○宮前 美香
○谷口 望、田中 敦子
社会医療法人三和会 永山病院
社会医療法人さくら会 さくら会病院
Key word:職場復帰、作業遂行技能
【はじめに 】イラストレーターである本症例は、ラクナ梗塞
発症後右手指巧緻性低下により鉛筆操作困難となったが仕
事復帰を果たせた。その経過を以下に報告する。尚、本人
に発表の趣旨を説明し同意を得ている。
【 症例紹介 】40 代男性。診断名ラクナ梗塞(右片麻痺)
。
平成 X 年 Y 月 Z 日仕事中鉛筆が持なくなり当院受診する。
【 作業療法評価 】
(発症 3 日目)
BRST-t 上 肢 Ⅵ、 手 指 Ⅴ、 下 肢 Ⅵ FIM126STEF90/
100SIAS74/76 書字・絵画動作示指・中指 DIP・PIP 屈曲、
母指 IP 屈曲・内転が乏しい事に加えて、環・小指 MP・
PIP 伸展傾向である為握り込みが弱く、手関節軽度尺屈・
背屈位で手関節固定性を強めてペンを安定させるも、肩関
節優位の鉛筆操作となる。筆圧が増すと肩関節外転・肩甲
骨挙上による代償を認めた。書字・絵画動作共に指先が滑
り何度も持ち直す場面や手指の震えを認めた。
「ペンが滑
る、震える、絵を描きたい」との発言を認めた。
【 問題点 】小指外転筋、小指対立筋の筋緊張低下により手
関節固定性を強め、示指~小指の深指・浅指屈筋、長母指
屈筋、母指対立筋、掌側骨間筋の筋緊張低下によりペン固
定性低下を認めた。以上より筆圧が低下し、書字・絵画の
正確性・実用性の低下に繋がっていると考えた。
【 方法 】課題遂行訓練による知覚 ―運動統合で動作学習か
ら神経筋再教育を中心に施行した。書字動作ではペンの種
類を変更し絵画に必要な文字を選択した。その後絵画動作
では簡単なイラストから開始した。
【 結果 】
(発症約 2 か月後)
BRST-t 上肢Ⅵ、手指Ⅵ、下肢Ⅵ STEF97/100SIAS76
/76 手関節固定性が減少し、手関節の分離を認め、肩関節
周囲の代償が消失した。持ち直す事なく筆圧向上を認め、
絵の表現性が増した。
「ペンが持ちやすくなり、細かく書
ける様になった」と発言を認めた。しかし、ペン操作持
続性が乏しく震えが残存した。その為、物差しを使用した
絵画動作や作業工程を変更し介入した。
【 考察 】今回ラクナ梗塞を発症し、手指中心に運動麻痺を
認めた。運動麻痺は軽度であった為 ADL は自立できてい
たが、仕事としての実用性は低下していた。40 代の本症
例においてイラストレーターとして働ける事は重要な役割
であり、大切な作業であった。初期は手指筋緊張低下・巧
緻性低下によりペン固定性低下や手関節固定位の書字・絵
画動作であった。課題遂行訓練を中心に行う事で知覚-運
動経験から動作学習を行った。結果、手指巧緻性が向上し、
前腕と手関節の分離・ペン安定性向上を認め、書字・絵画
可能となった。残存した持久性低下や震えに対しては方法
や作業工程の変更により絵の正確性が増し、仕事復帰に繋
げる事ができた。今後は持久性を高め、精度の高い書字・
絵画が可能となる様介入が必要であると考える。
Key word:ニーズ、ADL 訓練、脳血管障害
【 はじめに 】デマンドは個人の背景や性格により変化し、
それを満たすことでその人らしい生活を送ることができる。
今回、食事動作に強いこだわりを持つ右片麻痺症例の希望
に寄り添い作業療法を実施した経過を本人の同意を得て報
告する。
【 症例】80 歳代女性。左放線冠梗塞にて入院。右上肢の筋
力は Manual Muscle Test( 以下 MMT)2レベル、ブルン
ストロームステージは上肢 stage Ⅲ、手指 stage Ⅳ、Action
Research Arm Test( 以下 ARAT)0 点。肺癌疑いのため、
当院で 2 ヶ月程度リハビリテーションを行った後に転院予
定。発症早期より右手での食事摂取を希望していた。
【 作業療法経過 】自己評価が低く右上肢で実施可能である
動作でも出来ないと感じ日常では不使用となっていた。介
入当初は手指屈筋の随意性や上肢各関節の協調性が低下し
ており右手での食事摂取は不可能であった。手指屈筋群を
中心とする筋力増強訓練や協調性を促す練習を反復し、口
元へのリーチ動作を獲得した後、饅頭を右上肢で把持し摂
取する練習へと進めた。並行して、前腕回内外や肘屈曲の
協調性訓練と模擬的なスプーン操作訓練を実施し、実動作
場面でスプーン操作訓練を開始した。粥などのすくいやす
いものは概ねすくうことが可能になり、日常生活において
も右上肢の使用が広がった。
【 結果 】右上肢の筋力は MMT3 レベル、ブルンストロー
ムステージは上肢 stage Ⅳ、手指 stage Ⅳ、ARAT26 点
となり、物品把持時の安定性向上し、口元へのリーチが容
易に可能となった。これにより日常生活では粥を右手にて
スプーンを使用し摂取出来るようになり、バナナやお菓子
を進んで右手で持ち摂取するなど右上肢を自ら生活で使う
ことも増えた。右上肢機能が向上するにつれ、正しい機能
の認識に繋がり自己評価も上昇した。
【 考察 】症例の希望に寄り添い短期間で 1 つの活動獲得に
向けて取り組んだ。右手で饅頭を把持し食べる活動から始
め、スプーンを操作し食事を摂る活動へと進める段階付け
を行うことで実動作でも早期より右上肢を食事に参加させ
ることができ、満足感が得られた。患者は右上肢機能に対
し自己評価が低かったが機能改善とともに、適切な自己評
価へと繋がった。昼食や間食時に右上肢使用の習慣が身に
ついたことに加え、正しい自己評価が可能になったことで
不使用傾向になっていた右上肢も日常で使用することが増
加した。
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C7 頸髄損傷患者のセルフマネジメント確立に
回復期リハビリテーション病棟における
人工股関節全置換術後クリニカルパスの
取り組み
向けた訪問リハビリの関わり
○仁野 寛子、石山 満夫、細本 愛子、肥塚 二美子
千里津雲台訪問看護ステーション リハビリ大阪支所
○久保 早希子、久岡 香、岩本 結花、山本 香、
羽田 崇
Key word:頸髄損傷、生きがい、ピアカウンセリング
医療法人みどり会 中村病院
【 はじめに 】今回、障害受容・セルフケア自立・役割獲得
が不十分のまま、受傷 8 か月後に在宅復帰した頸髄損傷者
を担当した。訪問開始後 1 年間は目標設定に難渋したが、
最終的に生活全般を含めたセルフマネジメントが確立し、
訪問終了に至った経過を報告する。本人・家族の同意は口
頭・文章で得ている。
【 事例紹介 】48 歳男性、妻と子供の 4 人家族。事故で C7
頸髄完全損傷、C7-Th1 後方固定術施行。5 か月後、回復
期病棟転棟。8 か月後、退院・訪問開始。
【 在宅での初期評価 】Zancolii:C8A, Frankel:A、起居:
自立、セルフケア:食事・整容・排尿のみ環境設定にて自立。
【 経過 】
①閉
じこもり期:自宅出入りに介助が必要な事もあり、
閉じこもり傾向に。活動性低下に伴い、起立性低血圧
頻発、夜間不眠・痛みの訴えが多く、徒手療法実施。
②機
能訓練に積極的な時期:バリアフリー環境への転居
を機に活動性向上したが、全介助に慣れ、セルフケア
自立への意欲がなかった。症例の強い希望である立位
訓練を中心に関わる中で、障害の理解を促した。自己
理解が深まった頃、言動に変化が見られた。
③居
場所・仲間・目標を見つけ、セルフケア自立が図れ
た時期:舞洲障害者スポーツセンターへ外出訓練実施。
頸髄損傷者と出会い、共に車椅子マラソンに挑戦する
目標を持つまで意欲的になる。この機に、更なる自立
を図る為、カンファレンス開催を相談支援専門員に依
頼。妻同席のもと、役割分担と目標達成時期を明確に
共有し、頸髄損傷者も ADL 自立は十分可能である事を
伝えた。ヘルパーには更衣と入浴場面で、訪問 Ns には
排便管理の協力が不可欠な事を理解頂いた。その後は
随時、実際の介助・看護場面にて、訓練での成果をも
とに自立可能な動作方法を提案し指導した。会議より
約半年でセルフケア、車移乗や運転も可能となった。
④セ
ルフマネジメントが確立出来た時期:車椅子マラソ
ンに挑戦する中、痛みや褥瘡など様々な問題が出現し
たが、意欲的に対処し解決した。経験を積み自信がつき、
訪問終了に至った。
【 考察 】訪問当初、症例のペースやこだわりを尊重した事
がラポール形成や障害受容を促した。その結果、外出訓練
への興味を引き出す事ができ、ピアカウンセリングにつな
がった。また、これらから波及する変化を見逃さずカン
ファレンスを開催した事、看護介助場面へ直接介入した事
も重要であったと考える。その後、症例も一緒に様々な生
活における問題点を考察し、自立に向けた試行錯誤を繰り
返した。この経験が、更に症例の障害受容・自己理解を深
め、最終的にセルフマネジメント確立・訪問終了へと結び
ついたのではないかと考える。
Key word:人工股関節置換術、クリニカルパス、作業療法
【 はじめに 】回復期リハビリテーション病棟における人工
股関節全置換術後クリニカルパス(以下 CP)に対して、作
業療法(以下 OT)の専門性を発揮でき、円滑な退院に向
けて、より細分化した CP を作成する取り組みを行ったの
で報告する。
【 目的 】当院では、同一術式のセメント人工股関節置換術
を施行し、CP に沿ってリハビリテーションを実施してい
る。当院の術式は、骨切りを併用する Dall アプローチを
用いて行っているため、骨癒合が得られるまで期間は、行
動制限が厳しいことが特徴である。そのため、行動制限の
期間はリハビリ内容が単一化する傾向にあり、応用動作の
指導介入の時期が様々であった。今回、整形外科医と OT,
PT で検討し、特に応用動作の中でも床上動作に着目し、
より細分化して CP の見直しを行ったので一部経過を報告
する。
【 従来のパスと問題点 】術前評価、術後 2 日目より離床し、
平行棒、歩行器と患者の状態に合わせた歩行訓練を行い、
22 日目より杖歩行、2 足 1 段の階段昇降、50 日目より独歩、
筋力強化を開始とし、応用動作などについては明確にされ
ていなかった。
【 新しく作成したパスと改善点 】術前評価、術後 1 日目よ
り離床し、2 日目より平行棒、歩行器歩行、8 日目より患
者の状態に合わせ、股関節の回旋を伴わない正座、長座位、
四つ這い動作を開始する。22 日目より杖歩行、2 足 1 段の
階段昇降、36 日目より股関節の屈曲を伴う蹲踞、足組み
動作を開始する。43 日目より筋力強化、独歩、股関節の
屈曲回旋を伴う複合動作である開排、あぐら、横座りを開
始とした。以上、早期から自宅内で想定される床上動作を
段階的に導入した。さらに、起居動作、立ち上がり、入浴
動作、更衣動作など、時期に合わせた具体的な動作方法と
自助具の使用期間についても明確にした。なお、本研究は
倫理的観点から病院の承認と患者への十分な説明と同意を
行った上で施行した。
【 まとめ 】平成 28 年 4 月より、今回の CP を導入し、早期
より応用動作の経験が豊富となり、患者とセラピストが
CP を共有してすすめるようになっている。患者側も、各
動作の経験が時期に応じて明確となり、より目的意識を
持って主体的にリハビリへ取り組むことを期待している。
現在、新たに身体・精神・心理機能面についての動作
チェックシートを作成し、効果判定や退院後の不安など情
報を整理している。より患者主体の CP が運用できるよう
順次報告していきたい。
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P-Ⅱ-10
長期療養型病院おいて、馴染みのある作業を
通して、笑顔や発話が増えた 1 症例
一般病棟における専従・専任セラピストの
取り組み ― ADL 維持向上に向けて ―
○米田 有希
○本山 絵美、木瀬 憲司、吉本 優也、吉田 裕輔、
藤田 雅己、中西 香澄
医療法人錦秀会 阪和第一泉北病院
社会医療法人大道会 森之宮病院 リハビリテーション部
Key word:療養型、余暇活動
Key word:ADL
【 はじめに 】長期療養型病院における当院では、身体機能
の著しい変化は少なく、機能訓練に着眼しがちであると、
患者様の満足度は得られにくい。そこで、今回は余暇活動
に着目し、アプローチを行った結果、本人様の身体的、精
神的な変化や家族様の満足を得たため、報告する。なお、
発表については、家族様からの同意済。
【 事例紹介 】A 氏、90 代、女性、アルツハイマー型認知症、
夫と 2 人暮らし。6 年前から当院デイケアに通所。X 年 Y
月、夜間に嘔吐、黒色便みられ、救急搬送。その後、身体
的に機能回復するが、夫と 2 人暮らしで、在宅生活には家
族様の不安が残るため、当院に入院し、現在に至る。
家族様の主訴:穏やかに過ごしてほしい。
【 作業療法評価 】MMSE:7/30 点 FIM:47/126 点(運動
項目 33/91 点 認知項目 14/35 点)NPI:24/120 点(負担度
3/50)うつ、無関心の得点が高い。歩行は軽介助にて可能
である。
介護士より:日中は臥床傾向で、ADL は介助が必要であ
る。介護への抵抗はないが、無気力、無関心が強く、表情
に喜怒哀楽がみられない。
家族様より:10 年前から無口になり、他者からの意思疎
通や本人の意思表示が困難になってきた。以前は会話も可
能で、元気だった。家族は本人にどのような関わりが適切
なのかを悩んでいる。
【 介入】A 氏が昔にバレーボールの経験があることを家族様
より聴取できた。そこで、本人に興味や関心を示して頂く
ことを目的に、風船バレーを提供した。治療場面において
は活動の機会や活気向上の為に風船バレーや患者様同士の
対戦を行った。また、病棟レクを行う時は、参加を促した。
【 経過・結果 】当初は覚醒低下や活気さがみられなかった
が、1 ヶ月経過した頃から表情の緩やかさや笑顔、集中し
て活動に取り組めるようになった。家族様より「笑顔が
増え、表情の変化がみられるようになった。
」とのことで
あった。介護士より:スタッフとの会話でも以前は本人様
の興味ない話や冗談にも無関心だったが、最近は本人様か
ら聞き返す機会が増えたとのこと。表情も穏やかなになっ
たとのこと。MMSE:7/30 点 FIM:50/126 点(運動項目
36/91 点 認知項目14/35 点)NPI:3/120 点(負担度 0/50)
【 考察 】介入前は A 氏の介護を受ける生活が続き、受身的
な生活が続いていた。今回、活動の機会や活気・表情の変
化を目的に、2 ヵ月間、A 氏の経験のある風船バレーを
行った。石合は自発性低下が目立つ場合は、日課や趣味と
して続けてきた習慣的活動を続けることが、精神活動の維
持、向上に有用だと述べている。今回、A 氏の馴染みの
ある風船バレーに取り組み、活気が向上したことで、表情
の変化や活動性に影響したと考えられる。
【 はじめに 】日常生活動作の維持・向上に向けた取り組み
を行う専従セラピストの配置を評価する ADL 維持向上等
体制加算が開始となり、当院でも平成 26 年度から取り組
みを行なっていた。平成 28 年 4 月の改定を受けて専従、専
任セラピストの増員、実働時間の拡大、取り組み内容の変
更を行った。今回は変更前と変更後の比較・検討を報告す
る。尚、発表に際し、当院の倫理委員会の承認を得ている。
【 病棟の特徴 】取り組みを行った病棟は病床数 40 床の一般
病棟で、入院患者の半数以上が城東区や東成区などの周辺
地域からの入院である。平成 28 年月 1 日~ 5 月 31 日にお
ける平均入院患者数は 72 人。平均年齢は 70.1 歳。診療科
目は内科 42%、循環器内科 25%、歯科 14%、外科 14%、
整形外科 4%、他 1% であった。入院時 Barthel Index(以
下 BI)の得点は 56.7 ± 80.8 点。
【 取り組み 】平成 28 年 2 月 1 日~ 3 月 31 日は専任 1 名体制。
専任業務時間は 3 時間 / 日。病棟業務は① 環境整備、②
ADL 評価、③ 余暇活動(40 分程度)を実施した。看護師
間で、BI の採点にばらつきがあったことから、3 月に看護
師を対象に BI の採点方法の確認を実施した。
平成 28 年 4 月 1 日~ 5 月 31 日は専従 1 名と専任 4 名体制。
業務時間は専従 6 時間 / 日、専任 3 時間 / 日。病棟業務は
①情報収集、②環境整備、③自主練習(20 分程度)
、④余
暇活動(40 分程度)
、⑤家族指導を実施した。
【 結果 】ADL 低下率は 2 月 4.8%、3 月 0%、4 月1.2%、5 月
1.8% であった。在院日数は変更前(2, 3 月)が平均 14.2 日
に対し、変更後(4、5 月)は平均 12.7 日。疾患別リハビリ
オーダー件数は変更前が平均 18.1 人 / 月に対し、変更後
は 15.4 人 / 月。
【 考察 】ADL 低下率は 2 月が高く、変更前の取り組みでは
ADL の低下を防ぐことが困難であった。BI の採点方法を
再確認したのちは、ADL 低下率が低下した。採点時のポ
イントが明確となり採点間違いが減少したことが要因と考
えられる。また 4, 5 月は業務時間の延長やセラピストの増
員により個別に応じた関わりを持てる機会が増えたことで、
ADL 低下率を 3% 未満で維持することが可能となったと
考える。疾患別リハビリオーダー件数が減少した点では、
病棟勤務時間が増え、ナースステーションで過ごす時間も
増えたことにより、医師とのやり取りが増え、専従セラピ
ストの認識が向上したことが影響したと考えられる。
今後は、疾患別リハビリと専従セラピストが介入する対
象者との線引きをどのように決めていくのかという点を明
確にしていくことが課題と考える。
― 51 ―
P-Ⅱ-11
P-Ⅱ-12
末期がんの症例が主婦という役割を持ち
自宅退院に至った例 統合失調症患者が「役割」を担うことの意味
∼調理活動を通じ作業療法士が考察したこと∼
― デイケアから就労継続支援事業所への
移行を目指して ―
○平井 楓花、木瀬 憲司、本山 絵美
○濱口 真子
社会医療法人大道会 森之宮病院
NTT 西日本大阪病院 神経科 デイケア
Key word:末期がん、役割、退院支援
Key word:役割
【 はじめに 】退院後の生活に対する不安が強い末期がんの
症例に対し、主婦という役割が担えると再認識したことで
安心して自宅退院できたので報告する。
尚、発表に際し、本人及び当院の倫理委員会の承認を得
ている。
【 症例紹介 】50 代女性。左乳がんステージⅣ期。
現病歴:全身の倦怠感を主訴に当院入院。入院の半年前か
ら腰痛・下肢の痛みを自覚。入院半月前までは ADL 自立。
入院 1 週間前から臥床傾向。今回の入院で初めて予後 2 ~
3 ヶ月の末期がんと告知を受け、治療開始。
家族歴:夫、娘達の 4 人暮らし。夫・娘は就労している。
【 経過 】1 期:入院~ 39 日後 左胸部潰瘍と腫瘍より出血
と悪臭、仙骨部に褥瘡を認め、腰背部と右下肢に強い疼痛。
ADL は全介助~中等度介助。
入院 13 日後。伝い歩きでの自宅生活を目標に、リハビ
リ開始。腰痛や嘔気に合わせて離床を促した。
2 期:入院 40 ~ 90 日後 抗がん剤の効果が現れてからは、
車椅子で ADL 可能となり、活動への意欲も高まっていた
為、歩行練習や入浴動作を行った。
3 期:入院 91 ~ 104 日後 入院 91 日後。レントゲン撮影
の結果、骨転移による骨盤、股関節の病的骨折のリスクが
高く、目標を車椅子レベル生活へ変更。このとき、本人の
落ち込みが強く、
「家族の負担になる」等の発言が多く見
られた。このため、車椅子でも家族のために出来る事とし
て調理活動に取り組んだ。作業量や工程を娘と分担し、軽
い包丁を使用するなど疲労度の工夫を行った。また、役割
を担う事に重点を置き、にらたまやお好み焼き等のメ
ニューを選択し、本人に味付けを行ってもらった。この時、
本人より「家でもできるかな」という発言が見られた。
4 期:入院 105 日後~退院 入院 105 日後。退院前カンファ
レンスを実施し、福祉用具のレンタルと訪問看護、訪問介
護、訪問リハビリの導入を決定。外泊を実施した後に入院
128 日後自宅退院となった。
【 考察 】3 期の本症例は、心身機能面においては抗がん剤
が効いたことで状態が安定し外泊や退院の話が出るまでに
なっていた。また、活動面においても環境調整を行うこと
で ADL が自立していた。
しかし、参加面において主婦という役割が担えず焦りや
不安が強くなる傾向が見られた。
このため、何か役割が担えることで本人の焦燥感や不安
が軽減出来るのではと考え、調理活動を選択した。車椅子
レベルでの作業環境や負荷量の調整することで疲労度の調
整を行った。調理活動が実施できたことで、今の自分にも
できることがあると認識でき、退院後も家族のために主婦
という役割が担えるという自信につながった。このことが、
不安の軽減につながり安心して自宅退院ができた一因に
なったと考える。
【 はじめに 】
「働きたい」と希望するが、デイケアプログ
ラムに参加できず他者との交流も取れなかった統合失調症
患者(以下、A 氏)に対し、集団プログラムにて役割を持
てるよう関わった。その結果、プログラムに参加でき対人
交流が広がった。その関わりを通して役割を持つ意義につ
いて考察する。なお、対象者には文章で同意を得た。
【 事例紹介 】A 氏、男性、統合失調症、40 歳代。10 歳代
後半に初診。短大を数か月で退学し、仕事も長続きせず
徐々に幻聴に支配されるようになり、両親が受診させ当院
へ通院。その後入退院を繰り返すが、基本的には自宅で閉
じこもりの生活を送っていた。
1 年前にデイケア(以下、DC)通所開始となるが、プロ
グラムの参加意欲は低く、煙草の為に頻回に退出したり無
断帰宅したり、他者の話しかけにも返答できずにいた。A
氏の生活範囲は自宅と DC のみであった。DC 利用方法に
ついて面接をしたところ「作業所に行きたい」という希
望が出された。GAF 得点 51 点。
【 介入方法 】就労継続支援事業所(以下、作業所)を目指
すために① 個別プログラムに参加する② 他者との交流が
できることを目標とし、①小皿作りを OTR と行い千羽鶴
折りの反復作業を取り入れた、次に② 集団プログラムで
は、準備の際に机を運ぶなどの役割遂行を通して他者交流
を促進した。その時にスタッフは正のフィードバックを心
掛けた。DC 利用頻度を週 1 回から徐々に増やし、毎日の
通所を目標とした。
【 結果 】当初は集中力が低く、作業出来ずにいたが、個別
介入により徐々に着席時間が長くなり、毎回作業に取り掛
かるようになった。5 か月後には鶴折りの工程を覚え、一
人での完成が可能になり、巧緻性も向上した。集団プログ
ラムの準備では、OTR からの声掛けにより行え、賞賛に
は感情表出が増加した。他者交流はないが、会話中で一緒
に笑うなどの感情共有ができた。8 か月後は出席カードの
導入により毎日の通所が可能となった。作業準備を自ら行
い、他者に話しかけるなど積極的に交流が取れるように
なった。作業所への見学に行った際には、自ら挨拶し熱心
に見学していた。GAF 得点 67 点。
【 考察 】統合失調症患者は対人交流が苦手で集団適応が難
しいといわれている。DC という集団に適応するには、ま
ずはスタッフとの個別の関係性構築が重要である。今回
OTR との反復作業が関係性構築に寄与し、加えてプログ
ラムの準備という役割が集団内への参加の手段となったと
考えられる。役割を担うことは、対人交流の糸口となり集
団への参加を可能にすることが示唆された。また、DC へ
の参加を再確認し「作業所に行く」という目的が共有化
できたこともその一助となったと考える。
― 52 ―
― 53 ―
歴代学会長・学会会場
第1回
1985 年
長辻 永喜 ( 大阪市身体障害者スポーツセンター)
第2回
1986 年
中川 良裕 ( 大阪市身体障害者スポーツセンター)
第3回
1987 年
中江ツユ子 ( 大阪府立労働センター)
第4回
1988 年
岡 正治 ( 大阪府立労働センター)
第5回
1989 年
上田 任克 ( 近畿中央病院リハビリテーション学院 )
第6回
1990 年
藤原 康治 ( 大阪府立労働センター)
第7回
1991 年
大西 和孝 ( 大阪府立労働センター)
第8回
1992 年
福井 信佳 ( 大阪労災病院 )
第9回
1993 年
古志 康則 ( 豊中市立障害者福祉センター)
第 10 回
1994 年
姜 石川 ( 近畿中央病院リハビリテーション学院 )
第 11 回
1995 年
茂原 直子 ( 社会福祉会館 )
第 12 回
1996 年
銀山 章代 ( さくらホール )
第 13 回
1997 年
井上 英治 ( さくらホール )
第 14 回
1998 年
加藤 敏一 ( 大阪府立介護実習・普及センター)
第 15 回
1999 年
日垣 一男 ( 国際交流センター)
第 16 回
2000 年
鈴木 三央 ( 安田生命大阪アカデミア )
第 17 回
2001 年
石山 満夫 ( さんくすホール )
第 18 回
2002 年
辻 薫 ( ドーンセンター)
第 19 回
2003 年
山田 剛 ( さくらホール )
第 20 回
2004 年
櫛辺 勇 ( 大阪医科大学 )
第 21 回
2005 年
山本 芳恵 ( 堺市立西文化会館 )
第 22 回
2006 年
馬屋原 学 ( さくらホール )
第 23 回
2007 年
横井賀津志 ( 関西福祉科学大学 )
第 24 回
2008 年
上田 卓司 ( 八尾市文化会館 )
第 25 回
2009 年
福井 幸恵 ( 池田市アゼリアホール )
第 26 回
2010 年
小室 幸芳 ( クレオ大阪南 )
第 27 回
2011 年
嶋谷 和之 ( クレオ大阪南 )
第 28 回
2012 年
松下 太 ( 四條畷学園大学 )
第 29 回
2014 年
吉田 文 ( 大阪保健医療大学 )
第 30 回
2015 年
木瀬 憲司 ( 大阪国際交流センター)
第 31 回
2016 年
中川 正己 ( 大阪国際交流センター)
― 54 ―
第 31 回大阪府作業療法学会
運 営 組 織
学 会 長
中川 正己
独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院
実行委員長
出口 恵
介護老人保健施設 ベルアルト
事務局長
村田 郁子
独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院
副事務局長
松下 卓也
独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院
会 計
小川 真里
独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院
濵田茉里奈
独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院
小川 康裕
介護老人保健施設 ベルアルト
藤井 和正
ベルピアノ病院
松元 一世
ペガサスリハビリテーション病院
染谷 裕也
馬場記念病院
浦久保 博
阪南病院
河合 英紀
希望や
木村 基
大阪発達総合療育センター
戸松 好恵
堺市健康福祉局健康部
実行委員
運営委員
市成 翠
猪村 恭子
上原 尚之
上原有唯子
牛尾 純也
内田嘉央理
海尻 考昭
大屋 拓
尾崎 直美
沖野 友紀
河合 和美
木瀬 憲司
後神 美里
小出 利香
志賀 康彦
重田 寛人
篠浦 泰幾
下川 貴大
鈴木 亜衣
関口 佑
関本 充史
高田谷和幸
竹谷 厚作
竹中 温子
田中 歩
田中 千尋
塚原 一子
津田 舞
辻 陽平
辻元 佐織
坪井 純子
長峰まい香
中村 愛子
中村 元紀
中山 靖子
西山 英克
西村 昭宣
野崎 千佳
林 辰博
林 優子
東川 佳世
平山 公章
平見 明子
藤井 春日
藤原 秀太
藤原 佳美
藤原 耕志
福井由香里
細本 愛子
前田 太輝
水谷 清美
南 百合子
村田 修悟
森 貴大
山本 卓央
和田さつき
― 55 ―
企 業 展 示
― 56 ―
広告・協賛企業一覧
広告企業一覧( 敬称略 )
医療法人 杏和会 阪南病院
株式会社 ホープミリオン 希望や訪問看護ステーション
株式会社 和ごころ 和泉リハビリ訪問看護ステーション
社会医療法人 生長会
社会福祉法人 悠人会
広告・協賛企業一覧( 敬称略 )
株式会社 ハーティケア 訪問看護ステーション こころ
株式会社 メディケア・リハビリ メディケア・リハビリ訪問看護ステーション
企業展示一覧( 敬省略 )
クロバー株式会社
パシフィックサプライ株式会社
株式会社神陵文庫
― 57 ―
編 集 後 記
私が作業療法士になった 25 年前、もちろん大阪府作業療法学会は開催されてい
ました。その頃は会員数も少なく(府士会の資料によると 211 名)
、本当に小さな
会でした。それが現在は会員数も 1,995 名!
(2016 年 3 月 31 日時点)と 9 倍以上の
大所帯となり、学会の構成も、一般演題の発表はもちろん、講演やシンポジウムな
ど盛りだくさんな企画をたてることが出来るまでになりました。
31 年という歴史が、大きな力となっていることを感じます。私たち実行委員は、
中川学会長のもと、この歴史を更に大きな力とすべく、次の世代へ引継いでいくこ
とが出来るようにという思いをこめて、今回の学会の準備を行ってまいりました。
少しでも多くの会員の方に参加して頂き、明日からの作業療法の力としていただき
たいと思います。
今回の学会の開催にあたりましては、各方面の方々から一方ならぬご支援、ご協
力をいただいております。事務局を勤めました私の至らなさから、ご迷惑をおかけ
したことも多々ありました。そのたびに暖かく受け入れて頂きました関係者の皆様
には、本当に感謝しております。この場を借りまして、厚くお礼申し上げます。
第 31 回大阪府作業療法学会 事務局長 村田 郁子
第 31 回大阪府作業療法学会
学会長:中川 正己
事務局:大阪労災病院 中央リハビリテーション部内
〒 591-8025 堺市北区長曽根町 1179-3
TEL:072-252-3561 FAX:072-255-3349
E-mail:otosaka31st@yahoo.co.jp
出 版:株式会社セカンド
〒
862-0950 熊本市中央区水前寺 4-39-11 ヤマウチビル 1F
TEL:096-382-7793 FAX:096-386-2025
http://www.secand.jp/
精神科・心療内科・児童精神科・内科
歯科・小児科・放射線科 神経内科
当院は総合精神科病院として、様々な疾患に
即応できる体制を整え、身体、精神両面での
リハビリテーション活動を展開しています
【関連事業】
【特 色】
ストレスケア
認知症疾患医療センター
リワーク(復職支援)プログラム
グループホーム あんずの郷
児童思春期精神科
訪問看護ステーション ふれあい
睡眠障害治療
精神科救急
地域生活支援センター ゆい
合併症治療
認知症治療
堺市発達障害者支援センター
アプリコット堺
身体リハビリテーション
作業療法室
デイケア
〒599-8263 堺市中区八田南之町 277 番地
tel 072-278-0381 fax 072-277-2261
URL http://www.hannan.or.jp
訪問看護ステーション
私たちは精神科に特化した訪問看護を展開しています。
こころでは、
病や障がいを持ちながら
〒566-0011
大阪府摂津市千里丘東 4 丁目 9-14
地域で暮らす方々の健康、回復、
TEL:06-6319-9674
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FAX:06-6319-9675
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〒591-8025 堺市北区長曽根町1179-3
TEL:072-252-3561
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