中空糸ろ過膜 USP クラスⅥ ヴァリデーションガイド Spectrum Japan 〒520-0105滋賀県大津市下阪本3-12-18 電話/Fax 81 (0)77 578 0166 e-mail spectrum.j@gol.com 1 目次 i. 序文 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 1. 概論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2. USP試験の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3. 標準USPクラスⅥ試験の要約 ・・・・・・・・・・・・・ 4 4. 表1:USP分類の要約 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5. 表2:標準仕様で使用されている構造材料 ・・・・・ 6 6. 技術サポート活動について ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 6 本紙で述べられている内容は正確であると信じられているものであり、お客様との信頼関 係において、その利便性のために提供されたものです。製品はお客様に想定される全ての リスクと責任を考慮して製作されていますが、販売代理店および製造業者は、これらの製 品の使用に伴って起こるいかなる損失・損害に対して直接的・間接的に関わらず、責を負う ものではありません。 Spectrum®は、Spectrum Laboratories, Inc.の登録商標です。 1 i. 序文 スペクトラム ラボラトリーズ‐その高い技術標準 スペクトラム社は、バイオプロセスや製薬工業における研究・製造プロセスでのニーズに応えるろ過 製品を生産し、ニーズに合った品質を保証し始めてから30年以上の歴史を持ちます。スペクトラム は、自ら持てる専門技術により、プロセスの構築やその最適化、生産プロセスのスケールアップお よび中空糸膜のバリデーションについて、実液操作指導も含めてお客様を支援します。スペクトラム はまた、中空糸ろ過製品のOEM製造を引き受ける唯一の製造業者として、お客様固有の特殊な要 求仕様にも可能な限り対応致します。お客様のニーズと規制遵守を満足させることは、スペクトラム を品質面で高水準に導く推進力となっています。 品質へのこだわり 品質の保証は弊社のお客様にとってはなくてはならないものであり、スペクトラムはそれを最優先 事項としています。スペクトラムはISO9001の1994年版を1999年5月に、また2000年版を2002年1月 に取得しました。その結果、弊社の品質マネージメントシステムは全ての部門別活動へ展開され、 全てのビジネス運営の側面に適用されました。アメリカ連邦規則集(CFR)21章820編と210編に提示 されている品質システム規制と現実的GMPを遵守することは、とどまることのない改善を伴い、スペ クトラムの強みとなっています。 製品保証 スペクトラムの製品は、バイオプロセスおよび製薬工業に求められる品質と諸規制の基準を満たし ており、個々の膜フィルター毎、およびまたは個々の製造ロット毎に適合証明を発行し、それを添付 しています。通常、OEM品やお客様仕様製品については、ロット毎の適合証明書を発行するだけと なりますが、要求がございましたらそれぞれの製品に適合証明書を同封することも可能です。証明 書にはそれぞれのフィルタータイプに適切なデータを載せています。例えば、証明書には以下の情 報を記載しています。 ・ 製品仕様 ・ USPクラスⅥ適合‐121℃試験あるいはメーカー証明 ・ アメリカ連邦規則集に基づいた抽出試験あるいはメーカー証明 ・ エンドトキシン発熱性試験 ・ 耐熱性 ・ 完全性試験(破壊系及び非破壊系) ・ フィルター等級(孔径)検証試験あるいはメーカー証明 実証データは最低5年間保管されます。お客様仕様またはOEM品については、要求に応じてそれ 以上の期間保管することも可能です。 バリデーション支援 スペクトラムろ過製品の使用に関して、スペクトラム社は、お客様が必要とするプロセスバリデーシ ョンをお手伝い致します。 2 1. 概論 安全性試験は、医療・製薬・生命科学分野において、スペクトラム製膜フィルターを使用することが 適切であるかどうかを判断する重要なファクターです。プロセス液が直接接する構造部の材料の安 全性は、それぞれ独立にUSPクラスⅥが要求する安全性の確保を評価されています。あるいは、ス ペクトラムにその材料を供給する業者により同等の試験が行われて確認されています。特に特殊な 試験が要求されている訳ではありませんので、USPクラスⅥは、製薬ろ過工業にあまねく採用され ている最も基本的な標準といえます。 スペクトラムは、製薬・医療器具製造あるいは生命科学分野向けに販売された製品の、流体が通 過する構造体を構成する全ての材料がUSPクラスⅥとして要求される一連の試験に適合しているこ とを保証します。これらの試験をスペクトラムあるいはスペクトラムのビジネスパートナーの資金で 行う場合、米国薬局方(USP)規定のガイドラインおよびまたは同等のISO標準およびまたは同等の 生物学的安全性試験のプロトコルを遵守することを認められた独立の研究所にて実施します。材料 の納入業者によって提示される証明書については、納入業者の情報が信頼できることを証明する ために、追加試験を行います。状況に応じてデータの見直しなどの形で確認する場合もあります。 加えて、スペクトラムは流体が通過する構造材料の供給業者に対して、アメリカ連邦規則集21章 177篇「食物と高分子との間接的な接触」基準遵守の証明を要求しています。 2. USP試験の背景 全てのin vivo生物学的反応試験(「プラスチック評価試験」として知られています)は、アメリカ薬局 方(USP)によって定義されています。バクテリアエンドトキシン試験プロトコルが幅広く採用されるよ うになったとはいえ、発熱性試験もまた、溶液注入の直接的結果としての発熱のリスクを明らかに するものとして、USPにより定義されています。ヨーロッパ薬局方プロトコルがISO10993として定義し た、「医療用具の生物学的評価」はUSPのプロトコルとは少しばかり異なります。連邦食品医薬品局 (FDA)は、医療用具の承認に関してはこれらの要求を調和させるべく働きかけています。 現今規定されているUSP生物学的反応試験の包括的セットには次のものが含まれています。 ・細胞毒性 ・増感性 ・刺激性 ・組織毒性 ・慢性毒性 ・亜急性毒性 ・皮内毒性 ・移植試験 ・血液適合性 ・発がん性 スペクトラムは、お客様仕様品やOEM製品についても上記試験のプロトコルに従い、お客様固有の バリデーションを支援します。概括しますと、スペクトラムは自社製品のうち最も人気のある製品群 について、その代表的部材について、生命科学分野で要求される生物学的適合性に関する全ての 試験を行い、その全てに合格しています。製 薬 ・ 医 療 ・ 生 命 科 学 分 野 に お い て の 使 用 を 意 図 さ れ た 全 て の ス ペ ク ト ラ ム 製 品 は 、組 織 毒 性 試 験 ・皮 内 毒 性 試 験 ・移 植 試 験 に つ い て 、USPク ラスⅥの要求を満たすことをスペクトラム自身、または材料供給業者により確認していま す。 3 3. 標準USPクラスⅥ試験の要約 米国薬局方(USP)の生物学的反応性については3種のin vivo試験が述べられています。 ・ 組織毒性試験 ・ 皮内毒性試験 ・ 移植試験 これらの試験は、弾性物質・プラスチック・その他高分子材料との直接的あるいは間接的な長時間 接触、あるいは試料材料から抽出された特定物質の注入、に対する動物の生物学的反応を規定し ています。 一連の試験の分類は生物学的反応に基づいて行われ、抽出物・材料・管理方法が明細に述べられ ています(表1参照)。毒性試験の手順は、一定の温度および時間処理した抽出物について規定し ています。スペクトラムは、最悪の条件を考慮して、流体が通過する構造材料の全てにおいて 121℃1時間の抽出条件での合格を要求しています。すなわち、スペクトラム製品は、USP分類3章 に述べられている試験によって安全性を確認されています。 ス ペ ク ト ラ ム の 中 空 糸 膜 フ ィ ル タ ー 製 品 に お け る 全 て の 流 体 が 通 過 す る 構 造 材 料 は 、 USP プラス チ ック クラス Ⅵ (121℃ )試 験 に 適 合 して い ま す 。 4 4. 表1:USP分類の要約 米国薬局方プラスチッククラスは、以下の表に示すように定義されています。 プラスチッククラス 試験方法 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ 動物 投与量 X X X X X X マウス 50mℓ/kg;動物あたり X X X X X X ウサギ 0.2mℓ 試験 組織内注入(静脈 注射)&皮内試験 各試験あたり10頭 試験材料 注射用生理食塩 水にてサンプル を抽出 注射用生理食塩 X X X X X マウス 同上 X X X X X X X X X X X X ウサギ X X マウス X ウサギ X ウサギ(のみ) 水にアルコール を20:1混合した 液にてサンプル を抽出 マウス X X 注射)&皮内試験 ウサギ 同上 X 組織内注入(静脈 同上 1頭あたり4 5 組織内注入(腹腔 内)&皮内試験 ポリエチレングリ コール400にてサ ンプルを抽出 組織内注入(腹腔 植物油にてサン 内)&皮内試験 プルを抽出 移植試験 試料の移植用片 5. 表2:標準仕様で使われている構造材料 以下の表には、スペクトラムプロセスろ過製品(標準仕様)において、流体が通過する構造体に使 用されている材料の要約を載せています。 フィルター構成部品 材料 中空糸膜 ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、混合セルロー スエステル 中空糸束サポートネット Basell Pro-fax PH229 ハウジング、末端接続部品&外部プラスチック構成 Udell P1700透明(CL2611)、白(WH-6417) 部品 中空糸固定糊材料(ウレタン) Caschem Polycin 940 M-4 & Vorite 689 中空糸固定糊材料(エポキシ) Epmar SS1932 パーツA & B シール材&ガスケット 白、プラチナ硬化、シリコーン、SFR混合物105364 スペクトラムは、これらの標準仕様で使われている流体が通過する構造物の材料について、USPク ラスⅥの要求が満たされていることを、実証できる情報を持っています。もし、特定のスペクトラム製 品で上表に記されている以外の材料を含んでいた場合は、スペクトラムテクニカルサービスまでご 一報ください。サポート致します。なお、お客様が特別の用途にスペクトラム製品を使用される場合 の適切性の判定は、お客様自身で行っていただく必要がございますのでご了承ください。 6. 技術サポート活動について 熟練した科学者とエンジニアのチームが、スペクトラム製品の技術的側面に関する質問に回答致し ます。部品の選び方、適切なろ過システムの組み方についてもご相談ください。また、ユーザートレ ーニングプログラムも用意致しております。 スペクトラムは要求に応じて以下の活動をサポートします。 ・ プロセスの最適化&ろ過試験 ・ 完全性テスト法、オートクレーブ滅菌法、設置通蒸滅菌法確立 ・ バリデーションプロトコル作成 ・ トラブルシューティング ・ ろ過システムの性能維持を確認するための定期点検 ・ オペレーターの教育訓練 スペクトラム製品やサポート活動についてさらなるご質問等ございます時には、お近くのスペクトラ ム販売代理人か技術サービス部門までご連絡ください。 6
© Copyright 2024 Paperzz