第 54 号 平成27年10月発行 羽島市民病院の理念 「心のかよう医療を通じて地域に貢献します」 基 本 方 針 1.医療連携を進め地域の皆様の健康な生活を支援します 2.多職種協働により安全で質の高い医療を行います 3.地域における救急医療環境の向上に努めます 4.効率的な運営により健全な経営を目指します 5.明るく働きがいのある職場環境づくりに努めます 6.教育研修の充実を図り心豊かな医療人の育成に努めます 『羽島市民病院開院60周年を迎えて』 羽島市民病院 院長 大 角 幸 男 昭和30年10月に開設した当院は、平成27年10月8日に開院60周年を迎えることになりまし た。これもひとえに、関係各位のご指導とご支援はもとより、地域住民の皆様方のご支援の賜物 であり、職員一同心より感謝申し上げるしだいであります。 さて、昭和30年に羽島市国民健康保険直営羽島病院として開院した当院は、昭和61年4月よ り羽島市民病院と名称を改め今日に至っています。この間に診療科の増設や第2病棟の開設、新 しい医療機器の導入などを行いました。私は、昭和60年より当院に勤務しておりますが、医療 を取り巻く状況も以前とは様変わりしました。以前は、病気になれば病院にまず入院しその中で 完結する(従って入院期間は長くなる)というシステムでしたが、今では、DPC制度を取り入 れて地域全体でその患者を診る時代となり、急性期を乗り切り病状が安定するのを待って在宅医 療へ移行する(従って入院期間を短縮する)というのが今の医療体系です。 当院では、国が薦める地域包括ケアの一環として昨年度より地域包括ケア病棟を開設していま す。慢性期の療養病床のない当市では、この病棟に入院し在宅までの準備期間に利用することで 重宝されています。今後は、この病棟を増やす必要が出てくると思っています。 羽島市民病院は、地域の中核病院として地域住民の医療の確保、福祉の増進に寄与する事はも ちろん、自治体病院である本院は経営の安定をめざしてこれからも岐阜医療圏南部地域の急性期 病院として地域医療に貢献していきたいと考えています。 皆様方のご指導を引き続きよろしくお願い申し上げます。 (2) そよかぜ 第54号 2015.10 羽島市民病院60周年について 羽島市民病院 副院長 山 田 卓 也 羽島市民病院も創設60年となりました。皆様の数々の支援をいただいて、ここまで存続で きていることに感謝したいと思います。 病院の建物は、改修や増築を繰り返し、その姿を変えていきますが、病院に関わる医療者 の患者さんにたいする奉仕の精神は受け継がれていき、創設時と変わっていないと信じてい ます。 60年といえば、人間で言えば還暦にあたります。これからますますの円熟期にはいる羽島 市民病院にご期待ください。 羽島市民病院 副院長 大 宮 史 朗 当院は今年で開院60周年を迎えました。地域のニーズにこたえるべく歴代の先生方が努力 し築きあげてきた病院をさらに市民が求める医療の推進を目指していかなくてはいけません。 当院は公立病院であり、不採算部門の診療科も市民の要望に応えるべく頑張っています。私 が着任した20年前から比べると医師数は増えていますが、産婦人科医の引き上げによるお産 の中止や精神科病棟の閉鎖など厳しい医療環境におかれています。しかし、第2病棟の改築 や当時最新鋭のCT、MRIの増設、外来化学療法室やICUの開設、地域包括病棟の開設、地域 連携の拠点となる地域連携室の設置等地域からの要望に応えるべく努力しております。60周 年を迎え、経営的には非常に厳しい状況となっていますが、効率の良い医療、健全経営を目 指して職員が一丸となって取り組んでいます。今後ともご支援、ご助言のほどお願いいたし ます。 羽島市民病院 副院長 村 瀬 全 彦 病院開設60周年を迎えるにあたり、当院を支えていただいた市民の皆様、医師会の先生方、 羽島市関係の方々、今まで当院に勤務された職員をはじめとする多くの方々の絶え間ないご 尽力に深く感謝を申し上げます。私はまだ当院に勤務してからわずか15年ですが、この長い 歴史のある病院で仕事をさせていただいていることを大変誇りに思っています。これからも この歴史を大切に引き継いで行けるよう微力ながら努力する所存ですので、今後とも何卒よ ろしくお願いいたします。 2015.10 そよかぜ 第54号 (3) 写真で見る 60 年の歩み 堀順一初代市長による起工式の鍬入れ (昭和30年2月15日) 起工式の全景(昭和30年2月15日) 開院当時使用していた患者移送車 開院時の羽島市国民健康保険直営羽島病院を正面から望む (昭和30年10月) 患者移送車の後部状況 昭和36年8月当時の一般病棟 昭和51年8月当時の第2病棟 (4) そよかぜ 第54号 2015.10 写真で見る 過去 と 現在 平成15年当時の救急外来 救急医療センター 昭和51年当時の手術室 第2手術室 昭和51年当時の薬局 病棟薬剤部 昭和51年当時の給食室 厨房 2015.10 そよかぜ 第54号 (5) 病院祭 リハビリテーション科 浅 井 結 城 毎年恒例となっています病院祭が今年も10月8日㈭に開催しま す。血圧や身長・体重などの測定機器の他、血管年齢や肺年齢を 測定できる機器もあり、無料で行っていただけます。普段運動さ れている方、食生活に気をつけている方は、その成果を見極める 良い機会になるかと思います。その他、「ありがたもち」や「串 カツ」など食事が出来るお店の出店や、ちょっとしたゲームの催 しもあります。今年は以前に好評だったバザーも開催しますので、 より多くの方々に来ていたければと思います。是非、近所の方も 誘ってきてください。 羽島市民病院 市民公開セミナー 市民病院では、地域の保健・医療・福祉へ貢献することを目的として、毎月 第2水曜日に市民向け公開セミナーを開催しています。病院の各部門が分担して 医療等における最新情報を市民の皆様にお知らせします。ぜひご参加ください。 日 程 担当診療科等 講 演 テ ー マ 第84回 平成27年10月14日 整形外科 部 長 川井 豪 「大腿骨頚部骨折について」 ~寝たきりにならないための 自分でできること~ 第85回 平成27年11月11日 感染管理 認定看護師 野原里江子 「冬の流行性感染症と感染対策」 第86回 平成27年12月 9日 総合内科 医 長 田口皓一郎 「総合内科について」 日 時:毎月第2水曜日 14:00~15:30 (原則) 会 場:羽島市民病院 診療棟3階 講義室 参加無料 予約不要 (6) そよかぜ 第54号 2015.10 ふれあい看護体験・中学生職場体験 看護部 井 上 孝 子 平成27年8月5日(水)9時00分~15時00 分にふれあいプロジェクト委員会が中心とな って中学生職場体験・ふれあい看護体験を開 催しました。 目的はいろいろな医療職・看護職の仕事を よく知っていただくことと、実際の職場を知 っていただくことで進路選択の一助となるこ とです。 体験に参加した学生は、羽島市内の中学生 15名・岐阜県下の高校生25名です。 中学生の職場体験は、整形外科で指に包帯を巻く、薬 剤部でラムネを使用した調剤・分包、中央材料室では 減菌物の梱包をしました。その他にリハビリテーショ ン科・臨床検査科などの各部署で仕事の内容を体験し て頂きました。 ふれあい看護体験では、白衣に着替えて、車いす操 作や体温・脈拍・血圧測定・清潔ケア等を体験しまし た。学生さんは初め緊張気味でしたが、患者さんの手 足をお湯で洗い「ありがとう、気持ちいい」と言う 言葉を聞くと笑顔がこぼれました。 手術センターの看護体験では、手袋・キャップ・ガ ウンを着用した上での患者体験と手術器械の説明を 受け手に取ってみました。 昼食は管理栄養士により病院食の説明を受け、試 食をしました。 看護体験後の感想では、『一人一人その患者様に合 った対応をされていて、あこがれの気持ちでいっぱ いです。』『ただ看護するだけでなく、その人に合った対応や、気遣いをすることも大切だと 学びました。ハキハキした言動、さらには力 も必要とわかりました。体験していく中で大 変なことも多々あるけれど、もっと看護師に なりたいという思いが強まり、貴重な体験が できてよかった。』と、実際の現場を体験し たからこそ得られる「大切なことを」一人一 人感じ取っていただけたようで、短い時間で したが大変充実した体験となりました。 2015.10 そよかぜ 第54号 くも膜下出血について 知っておきたいこと (7) 脳神経外科部長 今 尾 幸 則 くも膜下出血は皆さんもご存じのように死亡率の高い怖い病気です。しかし、診断から治療までが順 調に推移すれば完治する可能性のある病気でもあります。今回はこの病気について知っておきたいこと を解説したいと思います。 原因 原因のほとんどは脳動脈瘤の破裂です。まれに血管壁が裂けて出血する脳動脈解離や出血源不明の場 合があります。 症状 突然に発症する頭痛が特徴的です。従来からくも膜下出血に特徴的と言われている『頭を突然バット で殴られたようなひどい頭痛』や『後頭部に雷が落ちたような頭痛』は、くも膜下出血全体の80%程 度といわれており、残りの20%は比較的軽度の頭痛です。重要なのは頭痛の程度ではなく、突然発症 かどうかということになります。 診断 初診時にはCTで診断することがほとんどです。ただしCTによる診断には限界があり発症から時間 が経過するにつれて正しく診断されない可能性が高くなります。CTで100%診断できるのは発症から 6時間以内に検査が行われた場合と言われていますので、くも膜下出血かも知れないと思ったら一刻も 早く病院へ行ってCT検査を受けてください。 治療 患者さんが昏睡状態でなければ再出血防止のために根治手術を計画します。手術には開頭クリッピン グ術とコイル塞栓術(カテーテル治療)の2つの方法があり、患者さんごとにどちらが適切であるかを 判断します。なお開頭手術は全身麻酔が必須ですが、コイル塞栓術は局所麻酔でも手術可能というメリ ットがあります。 死亡率 2000年に米国からくも膜下出血の死亡率は42%であると報告されました。当院に脳神経外科が開設 されてから現在までの29年間でくも膜下出血と診断された患者さんは400人であり、このうち170人が 亡くなられているので死亡率は42.5%となり米国からの報告とほぼ同じ結果でした。 くも膜下出血を起こす危険因子として高血圧、喫煙習慣、過度の飲酒が指摘されています。とくに過 度の飲酒は最も危険な因子と言われていますのでくれぐれもご注意ください。 (8) そよかぜ 第54号 2015.10 薬の話 病院運営改革チーム “たまご” インフルエンザ インフルエンザは、流行が始まると短期間に多く の人へ感染が拡がります。日本では例年12月~3月 に流行します。現在ある抗インフルエンザ薬は、ウ イルスの増殖を抑える薬です。体の中に入ったウイ ルスは猛烈な勢いで増え続け、症状が出てから2~ 3日後に数が最も多くなります。ウイルスの量が最 大になる前(症状が出てから48時間以内)に抗イ ンフルエンザ薬を使い増殖を抑えれば、症状の悪化 を防ぐことができる可能性があります。ウイルスの 数が少ないほど効果が大きくなるので、早めの治療 ほど効果が期待できます。排出されるウイルス量は 解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排 出するといわれています。学校保健安全法では「発 症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児 は3日)を経過するまで」をインフルエンザによる出 席停止期間としています。インフルエンザにかかる と、薬を服用していなくても急に走り出すなどの異 常行動が現れることが報告されています。自宅で療 養する場合には、小児・未成年者が一人にならない よう保護者の方は配慮してください。 〈鈴木 瑛子〉 病院の渡り廊下に 展示してある作品、 外来受付に貼ってあ る医師の顔写真、ペ ットボトルキャップ 回収容器、「あいさつ しましょう」のポスター、総合受付等にある杖掛け を見たことはありますか? これらは、羽島市民病院 運営改革チーム“たまご”の活動です。 2011年11月、みんなから愛される病院にしたい という思いから、病院運営改革チーム“たまご”が 立ち上がりました。患者さんの目線に立って病院を 見つめ直すことは市民に優しく愛される病院経営に つながり、職場環境を整えることは職員のモチベー ション向上につながり、モチベーション向上は医療 の質の向上につながり、やがて患者さんの信頼につ ながっていく・・そんな願いを込めて始めました。 あれから4年・・。“たまご”の参加メンバーも 活動も少しずつ減り、ここ最近は細々と活動してい る状況です。“たまご”での活動の限界を感じつつ、 今後は今年3月に立ち上がった羽島市民病院職員労 働組合に願いを託そうと思っています。 絵や写真の展示や医師の顔写真は、しばらく継続 していきますので、ご協力をお願い致します。 〈舟木 一夫〉 ご意見箱は、正面玄関、南玄関廊下西、及び各病棟に設置してあります。お気づき の点は、どんな些細なことでも結構です。なお、連絡先を記入された方には、必ずご 意見に対するご回答をさせて頂きます。 ◆数年前ある病院に行って診察を受けた時、診察を してくださった先生から「君はうそをついているだ ろう」と言われ、すぐ診察が終わり、薬を出してい ただきましたが悲しくて不安な気持ちで家に帰った 出来事がありました。この様な事があったので、自 宅からは遠いのですが、信頼できる先生に手術をお 願いしたかったので、A先生のみえる羽島市民病院 に来ました。手術の前にはA先生、麻酔を担当して くださるB先生、ICUの担当の方から説明があり、 分からないこと、不安なことを聞いてくださって、 手術に対しての不安はありませんでした。手術も終 わり食事が出来て自分の力で立てた時は涙が出まし た。入院中も看護師さんから「不安なことはありま せんか」と声をかけてくださったり、話を聞いてい ただいたりして安心して入院生活を送ることができ ました。相手の気持ちに立ってその気持ちに添って くださる診察・治療そして看護。その気持ちがある かないかで病気に対する不安な気持ち、病気と向き 合う気持ちは変わっていきます。 最後になってしまいましたが、羽島市民病院様に は手術の件で私の気持ちを汲んでいただき、本当に ありがとうございました。 ◆お褒めの言葉に対して、感謝申し上げます。病院 にお越しいただく患者様は、何事に関しても「不 安」をお持ちです。その不安を少しでも軽減し、安 心して治療看護を受けていただくことが私たちの役 割だと考えます。頂いた感謝の言葉を関連部署に伝 えさせていただきます。 今後も、患者様・ご家族様に寄り添い、患者様・ ご家族様が安心して医療・看護を受けることができ ますよう精進してまいります。有難うございました。 ◆編集後記◆ 10月8日で羽島市民病院が開設されてから60年目を 迎えます。60周年を記念して今回のそよかぜは増頁さ せて頂きました。 今年も病院祭を10月8日に行いますので、お時間あ る方は寄ってみて下さい。 引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたし ます。 (M)
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