おすすめ本リスト - 慶應義塾大学日吉メディアセンター

慶應義塾大学(法学部)
佐藤元状先生のお薦め本
―― 大学に入ったら読みたい本―――
【文学】
1.カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』(ハヤカワ epi 文庫、2006 年)
人間とは孤独な生き物である。寂しくて眠れない夜だってあるだろう。そういうときには、
この一冊を手にとってほしい。幼い頃に両親が失踪してしまったことから探偵になる決心
をする人物が主人公の探偵小説だ。
「わたしたち」はみな孤児なのだから、寂しくはないん
だよ、と励まされている気がしてくる不思議な一冊だ。
日吉 L@933@Is1@3
2.ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』(集英社文庫、2007 年)
僕はこの小説と出会わなかったら、英文学者にはならなかったと思う。人生とはこんなに
美しく、生きるに値するものだったのか! あまりの衝撃に僕の人生の目標は変わってし
まった。今すぐロンドンに行かなければいけない。そして、主人公たちの歩いたロンドン
の美しい街並みを追体験しなければ。みなさんも、この本を読んで、ロンドンに行きませ
んか?
日吉 L@933@Wo1@2
3.J・M・クッツェー『恥辱』
(ハヤカワ epi 文庫、2007 年)
クッツェーは、口元がなんともセクシーな、ちょっとスケベな老紳士である。いやちょっ
とではないかもしれない。この小説にもそうしたレオン的な人物が登場する。しかし、こ
の親父、ジローラモとは違って(ジローラモさんすみません!)、なかなかたくましい。た
だのエロ親父ではないのだ! アパルトヘイト後の南アフリカの歴史を見事に描ききった
ノーベル賞作家の渾身の一作!
日吉 L@933@Co4@3
4.ピーター・ケアリー『ケリー・ギャングの真実の歴史』(早川書房、2003 年)
アイルランド出身の罪人の子供が強盗となり、警察に果敢に勝負を挑むが、逮捕され、絞
首刑にされてしまう。この物語が、なぜ今でもオーストラリアの人々の心に残り続けるの
だろうか? コアラもウォンバットもかわいいけど、オーストラリアの人々を理解するた
めには、まずこの小説を読んでみましょう。
日吉 B@933@Ca7@2
5.川端康成『山の音』
(新潮文庫、1957 年)
みなさんは小説の音を聞いたことがありますか? 小説は目で読むだけではなく、耳で聞
くものでもあるんですよ。ゆっくりと文章を声に出して、日本語の独特のリズムに身をゆ
だねてください。
「山の音」が聞こえてきますから。
日吉 L@913.6@Ka9@3
【映画】
6.藤井仁子編『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院、2008 年)
僕は現代のハリウッド映画が大好きである。
『スパイダーマン』も『バットマン』も大好物
だ。というか、将来彼らに近づきたいとさえ考えている。でももちろん、その道は果てし
なく険しい。では、せめて彼らについて語るにはどうすればよいのか? 現代のハリウッ
ド映画を魅力的に語るこの論文集を読んで、平成のヨドチョーさんを目指しましょう!
日吉 B@778@Fu19@1
【歴史】
7.トニー・ジャット『ヨーロッパ戦後史』
(みすず書房、2008 年)
大学生になって、こんな素晴らしい歴史書を読めるならば、君たちの受験勉強は無駄では
なかった、と胸を張って言えるはずだ。暗記のための歴史から、人生を学ぶための歴史へ
の転換をこの一冊で!
日吉 B@230.7@Ju1@1-1
日吉 B@230.7@Ju1@1-2
【思想】
8.カール・マルクス『資本論』
(国民文庫、2000 年)
大学生の 2 年生のときにずっと読みたかった
『資本論』
の 1 巻を読む教養ゼミに参加した。
毎回数十ページをじっくりと読み、熱く議論を交わし、そして授業が終ると、近くの定食
屋さんでビールを飲みながら議論を続けた。そのときの親しいクラスメートの二人は現在、
ばりばりの弁護士と銀行マンとなって活躍中だ。教養としてのマルクス。彼らも仕事の傍
ら、ジョージアを飲みながら、あのひげのおじさんを思い出すのだろうか?
日吉 L@331.6@Ma2@6-1
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9. ジークムント・フロイト『エロス論集』(ちくま学芸文庫、1997 年)
10.ジークムント・フロイト『自我論集』
(ちくま学芸文庫、1996 年)
フロイトは変態のように見える。お母さんとヤリたいなんてバカじゃない。リビドー、何
それ? というのが正常な反応だ。でも一度でいいから、この本のどちらかを手にとって
ほしい。そして、ゆっくりとページをめくって、フロイトの思考の流れに身を任せてほし
い。そうすると、このもう一人のひげのおじさんが賢者に見えてくる瞬間が必ずやってく
る。それは君たちの世界観が決定的に揺さぶられる素敵な一瞬となるだろう。
『エロス論集』
日吉 L@146@Fr1@1
『自我論集』
日吉 L@146@Fr1@2
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慶應義塾大学日吉メディアセンター
( IA(ラウンジ)展示 2008.12).