二宮金次郎と40年 読書会会員 林 明 私は40年に亘り二宮金次郎と共に歩んで参りました。楽しい時も辛い時も常に一緒に行 動を共に歩んで来ました。永いようで短い40年でした。これからも金次郎と歩んでいき たいと思っています。何故にそのような考えになったかを皆様は知りたいとお思いになる でしょう。ではお話を続けたいと思います。 さて、40年前とはなんと昔の話でしょう。今この文章をお読みになっている人は30代 40代では無いでしょうか。私は30歳の時です。人生これからと思って希望に満ち溢れ て何事にも果敢に攻めていた時代です。その時早くも危機が私を襲いかかって来ました。 入社7年目にして掴んだ栄転が1年目にして奈落の底に転落したのです。詳しい事はさて おき、人生の危機的状況に陥りました。その時何かのきっかけを掴もうと本屋に出這入り をした事を今でも覚えています。ちょうど我が社の裏通りに古本屋が有りました。その古 本屋に入り、ふと眼に着いたのが二宮尊徳と言う本でした。ぱらぱらと頁をめくって行く うちに一家離散の話に出会いそして苦労の末に大地主になったと言う話にこれだと思い直 ぐに購入しました。家に帰り早速読み始めました。私はその時は結婚していましたが女房 にどう話したかは覚えていません。幼年時代、少年時代、青年時代、壮年時代、と苦労の 連続の二宮金次郎の一生を読み終えると今の私の苦労など苦労の内に入らない事が良く分 かりました。それ以上に感心した事が有りました。人は努力すれば誰でも己の描く素晴ら しい人生を手に入れる事が出来ると言う考えになるほどと納得したことです。二宮金次郎 はその本によると、仏教に関心が有ったと言う事、特に禅宗に関心が有り、また大学、中 庸、論語、孟子、易、書、詩、礼、春秋も読破したと書いてありました。二宮金次郎を知 るにはこれらの事を全て読破しなければその考えに近づく事が出来ないと思いました。そ れからというものは仏教書、禅宗物、4書5教を読む事にしました。10年掛かりました が一応読破しました。特に論語は筆で全てを書きました。それほどに自分が悩んでいたと は思いませんが行動からは相当に精神的にまいっていたのでしょう。救われていたために 悩みが薄れていたのかもしれません。その時並行して二宮金次郎の本も買い漁っていまし た。二宮金次郎の本は神田の古本屋街で買いました。一時は神田の古本屋に二宮金次郎の 本は無くなったと言われました。それは私が出ると直ぐ買ったからかもしれません。紀伊 国屋の本棚が拡張された事が有りました。禅の本を全て買いました。100冊蔵書が有り ます。といった具合に二宮金次郎に全てを捧げて自分の境遇の惨めさを忘れさせる効果が 働いていたのかもしれません。二宮金次郎の教えの中で一番印象的なのが、積小為大、至 誠、勤労、分度、推譲の言葉と、飯と汁木綿着物ぞ身を助く其の余は我をせむるのみ の 道歌です。二宮金次郎の教えを要約するとこれだけです。極めてわかりやすく当たり前の事 です。しかしこの教えを20年~30年守ることは大変困難な事です。二宮仕法の根本の考え と教え導く人が揃わないと実行することは不可能なことです。それゆえ二宮金次郎が此の仕 法を実行する時は、時期、位置、場所を重要視した。この3点が焦点に集まった時に初めて 実行したのです。次は、またの機会にお話しします。 二宮金次郎(尊徳)について興味のある方は林明さんまで直接メールしてくださいとのこ とでした。 林明 slc@jcom.home.ne.jp
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