国際文化フォーラム通信 no. 79 2008 年 7 月 「TJF ニュース」では、TJF の活動 報告や、TJF の事業に関連する さまざまな動きをニュースとしてま とめ、お伝えしていきます。 ■大連市小中高校日本語教育関連プログラム 大連の中学校日本語教師、初めて日本を体験 ことばの通じない人同士が出会ったときの気持ちを体験させ たりしながら、良好な人間関係をつくることにも配慮した授 TJF では、2006 年に発表された大連市の「小中高校におけ 業案でした。二つの教案とも写真を豊富に使ったパワーポイ る日本語教育奨励策」に伴い、中学校の日本語教育の奨励 ントを駆使しての授業でした。 にまず焦点をあててさまざまなプロジェクトを全面的に支援 二人の先生は 1 週間の滞在期間中にできるだけ多くの体験 しています。特に大連教育学院と共同で中学生向けの第二 をして、帰国後、生徒に自分の目で見た日本を伝えたいとい 外国語教育用の日本語教科書を制作したほか、教師研修や う強い希望をもっていました。その希望どおり、日本の中学 ワークショップを開催するなど、日本語教師へのサポートに 校を視察したほか、東京見物、富士山、温泉、日本庭園、茶 も力を注いでいます。その一環として、2007 年度には、日 道、着物、ショッピング、ディズニーランド、日本料理など 本語教育の実践例を現場の教師が共有できるようにするこ さまざまな体験をしました。また、自分たちだけで電車に乗 とと、優秀な教育実践を行っている教師を顕彰することを目 り、街を歩き、街中で迷ったとき道行く人に道を聞いたりし 的として、大連市の中学校日本語教師を対象に、教育実践 て、日本語を使う経験もしました。撮影した写真は 3GB に 例を募集しました。第一外国語の部、第二外国語の部に分 も達しました。ビデオも 8 本も撮りました。 けて募集し、最優秀賞を受賞した、張秀美先生(第一外国語の部/ 陳先生が帰国後に送ってこられた手紙のなかに次のような 大連格致中学校) と陳敏先生(第二外国語の部/大連市第三十三中学校)を ことばがありました。 「1 週間という短い間でしたが感動と達 2008 年 5 月 9 日∼ 15 日の日程で日本に招聘しました。 成感でいっぱいでした。初めて自分の目で見た日本の文化、 張先生の受賞教案は「伝統ゲーム」をテーマに取り上げた 歴史、建物、交通、食べ物、また、人々の友好的な態度、 もので、生徒が興味をもつゲームに焦点をあてながら、伝統 熱心さ、優しさなど、とてもいい印象をもちました。日本の 的なゲームにも関心をもたせ、親に昔のゲームについて聞か 学校も見学できて収穫も大変ありました。今後も日本語教師 せたり、日本の伝統ゲームを紹介して日中の伝統ゲームを比 としての能力をさらに高め、日本語教育にさらに貢献できる 較させたりするものでした。そうした生徒参加型の学習活動 ように努めます」 。張先生からの手紙にも、次のような感想 を通じて、生徒が自然に日本語を使ってみたくなるような内 が書かれていました。 「この 1 週間のことは生涯忘れられま 容を導入し、そのなかで日本語の表現や語彙を学ぶという せん、大変充実かつ興奮した毎日でした、本当にいい勉強 授業案でした。 になりました。今回自分の目で見たことを日本語の授業のな 陳先生の受賞教案は第二外国語用日本語教科書『好朋友』 かに取り入れて生徒たちに伝えます」 。 の第 1 課「であい」を使ったものです。教科書のマンガなど 帰国後、お二人ともそれぞれの学校で、教師全員や生徒 いろいろな教具をつくり、生徒に興味をもたせるとともに想 たちに訪日研修のことを話したそうです。熱っぽく日本につ 像力をかきたてる工夫が随所に見られる教案でした。また、 いて語る先生たちの話を聞いて、生徒たちはどんな感想を TJF の会議室でそれぞれの教案を発表。 12 茶道を体験する張先生(左)と陳先生(左から二人め) 。 都内の中学校を訪問。 国際文化フォーラム通信 no. 79 2008 年 7 月 もったでしょうか。両校の校長先生からは、今後日本語教 母親と一緒に韓国語を学んでいます。このように、 校 2 年生は、 育をさらに発展させるためにぜひ日本の中学校と交流したい 授業で学んでいる高校生とは違った動機や関心で韓国語を という要望が TJF に届きました。新鮮かつ鋭敏な感性で日本 学ぶ高校生たちが目立った第 1 回大会でした。 を観察し、夜も興奮して眠れないと口々にいっていた両先生 第 2 回からは「話してみよう韓国語」の各地方大会のスキッ の日本研修旅行は、招聘側にとっても嬉しい試みでした。 ト部門で最も優秀だった高校生がクムホ・アシアナ杯の本選 (楊鳳秋) に出場できるようにし、二つのコンテストを連携させています。 第 1 回大会の詳細は、本誌第 80 号(10月発行)の特集で取り ■国内の高校韓国朝鮮語教育関連プログラム さまざまな動機で韓国語を学ぶ高校生たち 2008 年度に始まった「クムホ・アシアナ杯高校生大会」は、 上げます。 (小栗章) ■中高校生の交流ウェブサイト「つながーる」 クムホ・アシアナ文化財団、駐日韓国大使館韓国文化院、日 オーストラリアとニュージーランドで「つながーる」を紹介 中韓文化交流フォーラム、TJF の 4 者が共催しています。TJF 3 月下旬から 4 月中旬 は学校教育の調査や教師研修事業で培った情報とネットワ にかけて、オーストラ ークを土台に、その事務局を担当しています。 リアとニュージーラン 大会は、韓国語スキット、韓国語スピーチ、日本語エッセ ドで中高校の日本語の イの 3 部門からなり、高校生が韓国語と韓国文化に対する関 先生方や日本語を学ぶ 心を高め、韓国語と日本語による表現力と伝達力を向上する 中高校生向けに、 「つな ことを目的としています。韓国語を学んでいない高校生も参 がーる」を紹介しました。オーストラリア・ニューサウスウェ 加できることが、大会のユニークさの一つです。 ールズ州シドニーでは、同州教育省主催の研修会において、 第 1 回クムホ・アシアナ杯高校生大会は、全国の高等学校 キララ高校のパメラ・カーペンター先生といっしょに発表を 等 140 校から 494 名の応募がありました(韓国語スキット部門115組 行いました。カーペンター先生は、日本にオーストラリア料 230名、 韓国語スピーチ部門65名、 日本語エッセイ部門199名) 。最も応募者 理のレストランをつくるという想定で、生徒に「つながーる」 が多かったスキット部門は、2003 年から駐日韓国文化院や 各地の関連団体等が実施してきた「話してみよう韓国語」大 会の高校生部門を引き継ぐかたちでスタートしました。 6 月 14 日に開催された第 1 回本選において、韓国語スキッ ト部門で最優秀賞を獲得したのは高校 2 年生のペア。その ひとりは中学時代から興味を抱いて独学で学び、もうひとり は親戚の韓国人から学んでいます。韓国語スピーチ部門の 最優秀賞を獲得した高校 1 年生は、ほぼバイリンガルといえ る語学力を駆使し、 韓国人被爆者の問 題について訴えまし た。日本語エッセイ 部門の応募者の多 くは韓国語を学んで いませんが、最 優 秀賞を受賞した高 韓国語スキット部門の特別賞を受賞したペアの演技。 オーストラリア・ニュージーランドでの「つながーる」紹介 3 月 27日 チャーチランド高校(生徒向け)/西オーストラリア州チャー チランド 3 月29日 西オーストラリア州日本語教師会主催研修会で発表/西オー ストラリア州マンジュラ 3 月31日 セント・メリーズ・アングリカン・ガールズ・スクール(生徒向 け)/西オーストラリア州カリンユップ 4 月5日 ニューサウスウェールズ州教育省主催日本語教師研修会で発 表/ ニューサウスウェールズ州シドニー 4 月8日 クイーンズランド州日本語教師向け「つながーる」紹介 /協 力:クイーンズランド州私立学校協会/クイーンズランド州ブ リスベン 4 月10日 クライストチャーチ地区日本語教師向け「つながーる」紹介/ 協力:カンタベリー日本語教師会、セイラ・パーキンス(カン タベリー地区言語教育アドバイザー)/クライストチャーチ 4 月12日 オークランド地区日本語教師向け「つながーる」紹介/協力: オークランド日本語教師会/オークランド 4 月15日 ウェリントン地区日本語教師向け「つながーる」紹介/協力: ウェリントン日本語教師会、ニュージーランド・アオテアロア 外国語教育(ILANZ)/ウェリントン 4 月19日 ビクトリア州日本語教師会主催研修会で発表/ビクトリア州 ムーラッビン 13 国際文化フォーラム通信 no. 79 2008 年 7 月 を使って「つながーる」のメンバーがオーストラリア料理にど どの地域でも、生徒に学んだ日本語を使ってリアルなコミ んなイメージをもっているか、どんな料理を食べたいかリサ ュニケーションを楽しんでほしい、いろんな国や地域の生徒 ーチし、最後にメニューを作成するというタスクを与えるな と交流することで自分の世界を広げてほしいと考えていらっ ど、 「つながーる」を利用したいくつかのプロジェクトを紹介 しゃる先生方にたくさんお会いしました。 「つながーる」を、 * してくださいました。 生徒にそのような機会を提供する場として使いたいと考えて 「つながーる」をのぞいてみよう[http://tsunagaaru.com/] 「つながーる」には、9 ヵ国から 500 名以上の中高校生が参加しています。彼らの書き込みの一部を紹介します。 Kitty のエッセイ:自己紹介 ゆうのエッセイ:ひな祭り Osaka Lovers のコミュニティ:大阪弁について 指定されたメンバーのみ閲覧や書き込 みができる「非公開コミュニティ」の機 能が加わりました。姉妹校交流などに ご活用ください。 お問い合わせ:tsunagaaru@tjf.or.jp 14 国際文化フォーラム通信 no. 79 2008 年 7 月 くださった先生方も多くいらしたようです。その後、オース トラリアとニュージーランドからの「つながーる」への参加申 込みが増えています。 (室中直美) * パメラ・カーペンター先生のタスク・アイデアの一部は、国際交流基金シド ニー日本文化センターの下記ウェブページに掲載されています。ぜひご覧く ださい。+http://sensei.jpf-sydney.org/autumn08/sensei_01.htm ■理事会・評議員会 2008 年度第 1 回通常理事会・評議員会報告 去る 5 月 19 日、TJF 会議室で午前に理事会、午後に評議 員会を開催し、2007 年度事業報告ならびに収支決算承認の 件について審議し、承認されました。また、評議員の小宮 秀之氏から鈴木仁氏への交代が承認されました。 財団設立 20 周年に当たる 2007 年度は、①高校生の撮影 交流プログラム「Focus on Japan 2007」の実施、②中高校 ■「高校生のフォトメッセージコンテスト」 大阪のギャラリーで作品展を開催 生の交流ウェブサイト「つながーる」の開設、③ 20 年史『こ TJF が 1997 年度から 2006 年度ま とばと文化Ⅱ』の刊行、④記念式典の開催という四つの記念 事業を行いましたが、これらも含め事業全体を順調に進展さ で開催した「高校生のフォトメッセ せることができました。 ージコンテスト」の作品展「あるがま また、この 12 月に公益法人制度改革の法律が施行される まの私たち∼高校生のフォトメッセ ことに伴い、去る 3 月 28 日の理事会・評議員会で「早期に公 ージコンテストより∼」が、5 月 26 日 益財団法人への移行をめざす」ことが確認されたのに続き、 ( 月)から 6 月 15 日(日)まで、大 今回は、公益財団法人移行認定後の新定款案および最初の 阪淀川区のギャラリー “I HAVE A DREAM”(http://b-c-p.net/dream/ihave_index.html)で開催されまし た(TJFは協力)。 10 年間に寄せられた 2,600 点余りのコンテスト応募作品の なかから、ギャラリーが選んだ 10 作品が展示され、高校生 の学校や家での普段の様子、部活や勉強に頑張る姿、将来 への夢や不安など、その等身大の姿を多くの方々に見ていた だきました。 このギャラリーは、大阪府立大手前高等学校定時制課程 の写真部顧問としてコンテストにもご協力いただいていた野 村訓氏が、若い人たちに無料で作品発表の機会を提供する ために退職後に開館に尽力され、本年 5 月 6 日にオープンし たものです。 (辻本京子) 評議員の選任方法について審議し、 承認されました。併せて、 現行の寄附行為の付属規程についても承認を得ました。新 制度への移行や公益法人認定取得の取り組みは、多岐にわ たる複雑な作業ですが、歩一歩着実に進めていきたいと考 えております。今年度も皆様のご支援、ご協力をよろしくお 願い申し上げます。 (田所宏之) 実施事業一覧(2008 年 4 月・5 月・6 月) ■中高校生の交流ウェブサイト「つながーる」の紹介(4 月/オーストラ リア、ニュージーランド、5 ∼ 6 月/米国、カナダ) ■『国際文化フォーラム通信』第 78 号発行(4 月) ■『小渓』No.36 発行(4 月) ■大連市中学校優秀日本語教師招聘(5 月/東京、横浜、千葉ほか) ■第 1 回「漢語橋」世界中高生中国語コンテスト西日本地区予選大会後 援(5 月/京都) ■「高校生のフォトメッセージコンテスト」作品展「あるがままの私たち」 開催協力(5 ∼ 6 月/大阪) ■第 1 回「漢語橋」世界中高生中国語コンテスト東日本地区予選大会後 援(6 月/東京) ■クムホ・アシアナ杯「話してみよう韓国語」高校生大会共催(6 月/東 京) ■ 2008 年高等学校中国語教育全国大会後援(6 月/熊本) ■『Takarabako』No.16 発行(6 月) ■『ひだまり』第 35 号発行(6 月) 15 お知らせ 平成 20 年度高等学校中国語担当教員研修を開催します 平成 16 年度から始まった高等学校中国語担当教員研修の最終回を以下のと おり実施します。 ■期間: 2008 年 7 月 27 日(日)∼ 8 月17 日(日) ■会場: 吉林大学(中国吉林省長春市) ■対象: 高等学校において中国語の授業を行っている教諭または講師(非 常勤も含む) 、あるいは現在は他教科を担当しているが中国語の学 習経験があり、今後行う可能性のある教諭 ■定員: 20 名 ■主催: 文部科学省、中国教育部、中国国家漢語国際推進指導グループ弁 公室、TJF 2008 年夏の高校中国語教員研修を開催します 2008 年度近畿地区高校中国語教員研修 ■期間: 2008 年 8 月 4 日(月)∼ 6 日(水) ■会場: 関西大学 ■定員: 30 名 ■講師: 日下恒夫(関西大学教授) 、 胡玉華(立命館大学常勤講師) 、 張黎(大 坂産業大学教授)、山崎直樹(関西大学教授) ■主催: TJF 2008 年度札幌大学孔子学院高校中国語教員研修 ■期間: 2008 年 8 月 6 日(水)∼ 8 日(金) ■会場: 札幌大学サテライトキャンパス ■定員: 10 名 ■講師: 植村麻紀子(神田外語大学専任講師) 、金昌吉(北海道大学外国人 教師) 、張秀強(札幌大学孔子学院講師) ■主催: 札幌大学孔子学院、TJF 編集後記 2008 年度桜美林大学孔子学院高校中国語教員研修 ■期間: 2008 年 8 月13 日(水)∼ 15 日(金) ■会場: 桜美林大学 PFC ■定員: 30 名 ■講師: 安海生(日中学院専任講師) 、 植村麻紀子(神田外語大学専任講師) 、 胡玉華 ( 立命館大学常勤講師 )、楊光俊(桜美林大学教授) 、李貞 愛(桜美林大学専任講師) ■主催: 桜美林大学孔子学院、TJF 韓国語教師研修 2008 を開催します ■期間: 2008 年 8 月11日(月)∼ 16 日(土) ■会場: 大阪国際交流センター ■定員: 高校と大学ほかの韓国語教師 80 名 ■講師: 21 名 [五十音順]※主任講師 伊藤英人(東京外国語大学大学院准教授) 、内山政春(法政大学 准教授) 、生越直樹(東京大学大学院教授) 、金恩愛(明治学院大 学専任講師) 、金鍾徳(東京外国語大学客員准教授) 、金珍娥(明 治学院大学専任講師) 、金善美(同志社大学専任講師) 、斉藤信浩 (名古屋学院大学留学生別科特別講師) 、塩田今日子(二松学舎大 学教授) 、須賀井義教(近畿大学専任講師) 、趙義成(東京外国語 大学専任講師) 、中島仁(東海大学専任講師) 、南潤珍(東京外国 語大学大学院准教授) 、野間秀樹(東京外国語大学大学院教授) 、 長谷川由起子 (九州産業大学准教授) 、 韓成求 (明治学院大学講師) 、 前田真彦(白頭学院建国中高等学校教諭) 、三ツ井崇(同志社大学 専任講師) 、村田寛(福岡大学准教授) 、山下誠(神奈川県立鶴見 総合高校教諭) 、油谷幸利(同志社大学教授)※ ■主催: 駐日韓国大使館韓国文化院、韓国国際交流財団、TJF http://www.tjf.or.jp/newsletter/kouki/kouki_j.htm 今号では、ウェブサイトによる海外の若い世 心の高さを再確認したのが日本のハイテクでし 代向けの日本文化に関する情報の発信をテーマ た。多彩な商品を取りそろえた自販機や、至れ に、その需要と供給の状況の一端を探ってみま り尽くせりの機能を備えたウォシュレットなど、 した。海外 5 ヵ国 9 校の中高校生に日本のどん 彼らの興味はつきません。細かい部分にまで神 なところに関心があるか聞いてみたところ、ほ 経を使った商品に日本らしさを感じているのか ぼ予想どおりの回答が返ってきましたが、改め もしれません。 て発見したこともいくつかありました。一方、 TJF はこうした若者たちの日本文化に対する 海外の小中高校生向けに、ウェブサイトを通じ 関心を日本語や日本理解の学習への動機づけに て、継続的かつ体系的に日本関連の情報を外 つなげるとともに、日本人に対する関心、とり 国語で発信しているサイトはというと、ごく限 わけ日本の同世代への関心につなげたいと考え られてきます。今回は外務省発信のものをいく てきました。海外の小中高校生自身、特に関心 つか取り上げ、実際にどのように日本の姿が伝 のあるものとして日本の同世代のことや日常生 えられているかをみてみました。 活を挙げることが多く、ニーズが実際にあるこ 日本のポップカルチャーに対する海外の若者 とも実感してきました。共通する関心事を通じ たちの熱い眼差しについてはよく報道されてい て若い人たちの感性がふれあい、心の交流が生 ますが、今回のアンケートからも、国を問わず、 まれることも期待してきました。そのために、文 アニメ・マンガ、デジタルゲーム、映画・ドラ 化事象を提示する場合もなるべく人々の生活場 マ、現代音楽(J-POP、J-ROCK 等)といったジャン 面のなかで提示したり、人々の気持ちや考えが ルへの注目度が高く、彼らが驚くほど詳細な知 わかるような文脈のなかで提示したりすること 国際文化フォーラム通信 79 号 2008 年 7 月発行 発行人・編集人 中野佳代子 デザイン・DTP オペレーション 飯野典子 識を得ていることがうかがえます。予想を上回 を心がけてきました。 フォーマット設定 鈴木一誌 る人気を集めているのが寿司、天ぷらといった 若い世代が関心を寄せている日本のさまざ 出力・印刷・製本 凸版印刷(株) 日本料理でした。北米、大洋州地域をはじめ、 まな文化を継承し、創造し、また享受している 校閲(有)天山舎 各国で「寿司」が普及し、ショッピングセンタ 人々、そしてそれらの人々が住む日本の社会、 ーやデパートに寿司バーがあったり、普通のス 自然風土をトータルに伝える努力を今後も続け ーパーでもプラスティック容器に入ったのり巻 ていきたいと考えています。日本がこうした彼 きなどをよく見かけるようになりました。伝統 らの関心を引き続けていける魅力ある社会であ 的なもの、現代的なものを含めて人気があるの ってほしいと思っています。 が、ファッション、スポーツ。そして改めて関 中野佳代子 財団法人 国際文化フォーラム 〒 163-0726 東京都新宿区西新宿 2-7-1 新宿第一生命ビル 26 階 TEL 03-5322-5211 FAX 03-5322-5215 E-mail: forum@tjf.or.jp http://www.tjf.or.jp/
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