312 CHEMOHTERAPY APR,1979 急 性 白 血 病 に 合 併 した 敗 血 症 に 対 す る Cefotiam(SCE-963)治 舟田 療 の検 討 久 ・藤 田信位 ・丹 羽 和夫 ・服 部 絢 一 金沢大学医学部第三内科学教室 入 院 時 検査 成 績 で は,血 色 購4.29/dl,赤 は じ め に 血 小 板22,000,白 急 性 白 血病 に合 併 す る 敗 血 症 の原 因 菌 は,最 近 まで Pmdomonas aemgimsaが 優 位 を 占 め て い た が,現 穿 球 が55%を 血球21,000で,そ 血球144万, の分 類 において骨髄 占 め,穎 粒 球 数 は180で あ った。胸 骨骨髄 在,こ れ に代 わ っ てEscherichiacoliやKlebsiellaが で も有 核細 胞3.7万 の うち骨髄 芽 球 が88%を 占めていた 。 入 院 後DCMP療 法 と輸 血1こよ る治 療 が開始 された。 増加 す る傾 向 にあ るP2)。 この よ うな状 況 に あ って,最 10月8日,DCMP療 近 開 発 され たCefotiam(CTM,SCE-963)は,現 もに38∼ 靴9発 在市販 されて い るセ フ ァロス ポ リ ン系 抗生 剤 よ り もE.Coliや Klebsiellaに 対す る抗 菌活 性 の 優 れ て い る こ とが 知 られ て い る3)。 われ わ れ は,急 性 白血 病 に 合併 した 敗 血症 の うち,こ 法 の 第2ク ール 目が終了す るとと 熟 が み られ る よ うに なった,感 染巣が 不 明 の ま ま,Ampicillin(ABPC)29/日(経 Kanhmydn(KM)2g/日(筋 口)と 注)が 投 与 され た 。抗 白 血 病 療 法 に よ り末 梢 血 か ら骨 髄 芽 球 が 減 少 して きた もの れ らの菌 に よ る もの に対 して 本剤 の 臨床 的 検 討 を試 みた の 消 失 し な い た め,10月23日 の で報 告 す る。 療 法 が 施 行 され た 。 こ の 直 後 よ り白 血 琢 数 は500以 穎 粒 球 数 は0と 投 与 症例 な らび に投 与 方法 金 沢 大 学医 学 部 付 属病 院 第三 内科 に入 院 中の急 性 白血 病 患 者 に昭 和52年11月 か ら昭和53年1月 E.coliとKlebsiellaに まで に発 症 した よ る 敗 血 症 を 対象 と した 。 この 期 間 中,こ れ らの 菌 に よ る敗血 症 が3症 例 に 各1回 経 験 され た 。 こ こで い う敗 血 症 とは,時 期 を異 に して施 行 さ れ た2回 以 上 の 血液 培 養 で 同 一菌 を 証 明 し,こ れ に一 致 す る臨床 症 状 の 認 め られ る場合 を さ してい る。 CTMの 投 与 は,敗 血 症 の疑 わ れ た 時 点 で カ ル チ ャ ー ・ボ トル(栄 研)1号 と2号 を 用 いて2回 以 上 の 血 液 培 養 と他 の 必 要 な培 養 を 施 行 して た だ ち に開始 され た 。 投 与 方法 は,1回1gを1日3∼4回,250mlの5% (AMK)が 1日 夜,悪 い しAmikacin 例 昭 和52年8月 寒 戦 懐 と と も に 突 然41℃ に 達 す る 高熱 が出現 とGM240mg/日(80mg×3,筋 こ の 時 施 行 さ れ た4回 coliを 投 与 された。 の 血 液 培 養 か らKlebsiellaとE. 分 離 し た 。 抗 生 剤 投 与 開 始 数 時 間 後 よ り血 圧 が 60/24mmHgに ま で 低 下 した が 大 量 のhydrocoritimne と カ ル ニ ゲ ン や エ ホ チ ー ル な と の 昇 圧 剤 の 使 用 に よ り半 日 後 に 血 圧 の 回 復 を み た 。 抗 生 剤 投 与 に 加 え て 頼 粒球 輸 血 が1回 後,下 に つ き1∼10×1010個 で4回 施 行 され た 。 その 熱 な ら び に 全 身 状 態 の 改 善 は 著 し く,血 液 像 の上 で も骨 髄 芽 球 は 消 失 し,穎 粒 球 数 が400以 を 示 し て き た 。 そ れ で,抗 生 剤 投 与 を17旧 た 。 昭 和53年1月10日 も にCTMで 上 に増 加 傾向 間 で中 止 し 完 全寛 解 で退 院 した。 ≦0.20μ9/m1,Cefaiolin(CEZ)で 0.39μ9/ml,E.coliに CTMとGMの 上 旬 よ りめ まい,動 悸,息 切 れが 出現 す 当科 で急 性 骨髄 性 白 血病 と 診 断 され て入 院 した 。 入 院 時,高 度 の貧 血 と幹 躯 や 四肢 に 多数 の紫 斑 を 認 め た以 外 に著 変 なか った。 注)が 1.56μ9/mlで,GMのMICはKl8b5idlaに 性 骨 髄 性 白 血病 (Fig.1) る よ うに な り,同 年9月13日 側扁桃 皿 度 に 腫 脹 して い る の が 認 め ら れ た 。11月 し た 。 た だ ち に 敗 血 症 を 考 え てCTM49/日(1gx4) coliと 症 例1H.M.,53歳,女,急 頭 痛 を 訴 え,両 下で 原 因 菌 に 対 す る 抗 生 剤 のMICはKlebsiellaとE. 使用 され た 。 症 な る と と も に,咽 ー ル 目のDCMP ま ブ ドウ糖 液 に溶解 して2時 間 で 点 滴 静注 した 。 この 際, 併 用 薬 剤 と してGentamicin(GM)な が 発 赤 し,第 よ り 第3ク あ った 。 投 与 中,こ れ に よ る と 思 わ れ る肝,腎 機 能 障 害 を 認 め な か っ た 。Coombs試 小 括:急 対 して 対 し て0.78μ9/m1で 験 は 陰 性 で あ った。 性 骨 髄 性 白 血 病 の 寛 解 導 入 時 に み ら れ る多菌 種 敗 血 症 の 症 例 で あ る。 通 常,こ の 型 の 敗 血 症 は 白血病 の 治 療 中 で も 宿 主 の 感 染 に 対 す る抵 抗 力 が 極 端 に低 下 し た 時 に 発 症 しや す く,予 後 が 極 め て 不 良 で あ る。 この症 VOL. 27 Fig. 例 の場 合,顆 313 CHEMOTHERAPY S-3 1 Case 1 H. M. 53yr. 粒球輸 血 や白 血病 の寛 解 の発 症 後 速 や か に f. AML ∼1×1010個 で4回 投与 され た 抗 生 剤 の 有 効 性 を さ ら に 高 め る 結 果 と な っ た も の の,入 と考 え ら れ る 。 施 行 され た 後,肺 症例2F.T.,26歳,男,急 性前骨髄 球 性 白 血 病 (Fig2) 中 旬 よ り歯 肉 出 血 と 全 身 倦 怠 感 を 認 め, 同 年11月14日 当 科 外 来 を 受 診 し,急 性前 骨 髄 球 性 白血 病 の診断で即入院 した。 入 院 時,体 で 貧 血 強 く,歯 炎 の 合 併 と と も に 発 熱 は40℃ う に な った 。入 院16日 目 に 施 行 さ れ た2回 肉 出血 と四肢 に多 色 素6.39/dl,赤 血 球4,700で,そ 占 め,顆 血 球217万, の分 類 にお い て前 骨 髄 粒 球 数 は190に 骨髄 で も有 核 細 胞36.5万 す ぎ なか った 。 胸 骨 の う ち 前 骨 髄 球 が90.4%を てい た 。 血 沈48mm/1時 間,フ 占め ィ ブ リノ ー ゲ ン100mm/ dl,プ ロ トロ ン ビ ン時 間16.4秒,FDP 320∼640μg/ml 法が を越 す よ の 血 液 培 養 で, 分 離 され た。 敗血 症 発 症 顆 粒 球 数 は10に も ヘ パ リ ン が4万 す ぎ な か っ た 。DIC 単 位/日 投 与 さ れ て い た に も か か わ ら 日(1g×4)とAMKを400mg/日(100mg×4,筋 入 院 後 た だ ち にDCMP療 注 与4日 目に全 身状 態 の改 善 を み 出 血 を 併 発 して 死 亡 し た 。 CTMとAMKの 投 与 中,こ れ に よ る と 思 わ れ る 肝, 腎 機 能 障 害 の 増 悪 を 認 め な か った 。 原 因 菌 に 対 す る 抗 生 剤 のMICは,CTMで に 対 して ヘ バ リ ン1∼4万 単 位/日 が 投 与 さ れ た 。 入 院 2日 目 よ り発 熱 は39.5℃ 以 上 を 呈 す る よ うに な った。 感 染巣 を 明 確 に し え な か っ た が,敗 血 症 を 疑 っ てSulben- とGM240mg/日,さ 。 ま た,顆 らに γ-グ 粒 球 輸 血 が1回1 ≦0.20 μg/ml,CEZで3.13μg/ml,SBPCで>100μg/ml,GM あ っ た 。AMKに 法 で 廾 と 感 性 で あ っ た 。 な お,倭 法 を 施 行 す る と と も にDIC ロ ブ リン製 荊 が 投 与 さ れ た る こ と な く,肺 で3.13μg/ml,で 存在 を 認 めた 。 icillin(SBPC)15g/日 時 白 血 球 数 は100で に 変 更 した 。 し か し,投 入 院 時 検 査 成 績 で は,血 血小 板8,000,白 熱傾 向 をみ た ー ル 目 のDCMP療 ず ほ と ん ど 変 化 を み な か っ た 。 抗 生 剤 は,CTMを49/ 温38.3℃ 数 の紫 斑 を 認 め た 。 とDICの 目 よ り 第2ク 倭 小 型 集 落 を 呈 す るE.coliが 昭 和52年10月 球 が86%を 院14日 施 行 さ れ た 。 一 時 ,下 revertantに 対 して は,デ ィスク 小 型 集 落 よ り生 じ た 対 す るGMのMICは0.39μg/mlで あっ た。 小括:本 例 は,急 性 前 骨 髄 球 性 白 血 病 が 基 礎 に あ り, 本 症 に 特 有 の 著 明 なDICが 強 く,し 存 在 して全 身 の 出血 傾 向 が か も入 院 期 間 を 通 して 極 め て 高 度 の 顆 粒 球 減 少 が 持 続 し た た め にE.coli敗 血 症 に 至 った と 考 え ら れ 314 CHEMOTHERAPY Fig. 2 る。 このBcoliは,発 に 誘発 され た と考 え られ る倭 小型 集 落 を 呈す る菌 で あ っ 与 中 に発 症 す る感 染症 に 芽 球 は 認 め ず,顆 有 核 細 胞6.4万 粒 球 が41%で あ っ た 。 胸 骨 骨 髄 で は, で 骨 髄 芽 球 が42.8%を 入 院 後,12月19日 れ た が,そ の 直 後 か ら38∼39℃ ろ う。 この症 例 の よ うに,急 性 白血病 に 合併 す る敗血 症 数 は500以 下 で 顆 粒 球 数 も100前 で は,寛 解 が み られず,顆 粒球 減少 が 高度 であ った り, 肛 が あ り,そ 出血 傾 向 が極 めて 強 か った り,さ らに肺 炎 を合 併 してい れ た 。12月29日 る場 合 に そ の予 後 は極 めて 不良 であ る。 な お,本 例 で抗 り,2回 法 が1ク 療 を 開 始 した 。 抗 生 剤 投 与1∼2時 30mmHgま 注)に で 低 下 し た が,大 よ る治 間 後 よ り血 圧 が60/ 量 のhydrocortisopeと カ ル ニ ゲ ン な ど の 昇 圧 剤 に よ り 回 復 し た 。 こ の 時 の血 液 培 養 か らKlebsiellaが 白 血病(Fig.3) 昭 和51年12月 下旬 よ り全身 倦 怠 感 と腹 部 膨 満 感 が 出現 当科 へ第1回 目の 入 院 を し,赤 法 を受 け,同 年5月23日 の 発 熱が あ の 血 液 培 養 終 了 後 た だ ち にCTM39/B(1 こ と は注 目す べ き こ とで あ ろ う。CTMの 白 血病 の診 断 でDCMP療 門 周 囲 農 癌 が疑 わ に 悪 寒 戦 標 と と も に39.6℃ g×3)とGM240mg/日(80mg×3.筋 した。 昭和52年3月22日 白血球 後 と な った 。 以 前 よ り裂 の 部 が 発 赤 腫 脹 し て,肛 顆 粒 球 輸血 を併 用 した時 に 一 時的 にせ よ下 熱 傾 向 を みた 日間 で あ った た め に そ の効 果 は不 明 で あ った。 ー ル施 行 さ の発 熱 が出現 い 生 剤 と と もに γ-グロ ブ リ ン製 剤 が 投与 され て い たが, 投 与期 間が4 占 め て いた 。 よ りDCMP療 あ って は,こ の よ うな耐 性 菌 の 出現 に注 意 を要 す るで あ 症 例5S.F.,51歳,女,赤 1979 Csee 2 F. T. 26 yr. m. APrL 症 に 先 駆 けて 投与 され たGM た ことが 注 目され る4)。GM投 APR. 完全 分 離 さ れ,CTMのMICは 0.20μg/ml,GMで0.39μg/mlで 生 剤 投 与5日 ≦ あ った 。 しか し,抗 目 に な って も39℃ 台 の 発 熱 が み られ るため にCTMを49/日(19×4)に 増 量 し た。 そ の4 寛解 で退 院 した。 以 後,当 科 外 来 で経 過 観 察 を行 って い 日 後 よ り肛 門 周 囲 膿 瘍 の 自 壊 と と もに 下 熱 傾 向 が み られ た が,約 半 年 後 に骨 髄 で 骨髄 芽球 の 増加 を 認 め るよ うに た 。 こ の 時 点 で 血 液 学 的 に も 赤 白 血 病 の 完 全 寛 解 が確認 な った た め,12月8日 さ れ,白 再入 院 と な った。 入 院 時,軽 度 の貧 血,歯 肉 出血,軽 度 の 肝脾 腫 を認 め る以 外 に著 変 なか った 。 血球1,500で,そ な っ た た め,CTMを (80mg×2)に 入 院 時 検 査成 績 では,血 色 素11.49/dl,赤 血 小 板64,000,白 血 球 数 は4,000を 血球342万, の分 類 に お い て骨 髄 越 え,顆 中 止 し てGM単 減 量 し て さ ら に5日 CTMとGMの 機 能 障 害 を み ず,ま 粒 球 数 も1.590以 よ と 投 与 中,こ たCoombs試 独 を160mg/日 間 投 与 した 。 れ に よ る と思 わ:れろ肝 ・腎 験 も 陰 性 で あ った。 VOL. 27 315 CHEMOTHERAPY S-3 Fig. 3 Case 3 S. F. 51y., 小括:本 例 は赤 白血病 の 寛解 導 入期 に 肛門 周 囲 膿瘍 か f. Erythro. L. くに100以 下)の 時 に 多発 し,症 例 の 入 院 経 過 中 に2∼ ら起 こったKlebsiella敗 血 症 で あ った 。 膿 瘍 の 自 壊 と 4回 も発 症 す る こ とは まれ で ない 。原 因菌 には,宿 主 菌 白血病の完全寛解 に よ り抗 生 剤療 法 が 奏 効 した症 例 で あ 叢 由来 と考 え ら れ るE.coli, Klebsiella, P.aeruginosa る。本症例 のよ うに膿瘍 が侵 入門 戸 と な った敗 血 症 で は の3菌 種 が約70%を 排膿がないか ぎり,い か に有 効 な抗 生 剤 が充 分 量 投 与 さ 敗 血症 も約20%に み られ るた め に極 めて 難 治 性 で あ る。 れていて もなか なか下 熱 し な い の が 特 徴 で あ る。 そ れ で,本 例 でCTMを 占 め,2種 類 以 上 の菌 によ る 多菌 種 敗 血症 は無 治療 で あ れば,自 然 治 癒 を期 待 で きず,必 増 量 し た こ と に よ り下 熱 した と ず 死 に至 る疾 患で あ る。急 性 白血 病 に合 併 した もので は いうよ り,こ れ には 自然 排膿 が 大 き な役 割 を演 じた とす 適 切 な抗 生 剤 療法 を 施 行 した と して も,そ の 治癒 率 は 通 べきであろ う。 なお,原 因菌 に 対す るCEZのMICは 常50%以 下 にす ぎ ない2)5)。宿 主 の感 染 に 対 す る抵 抗 力 6.251μg/mlで あ つた 。 が 充 分 に回 復 しては じめて 抗 生 剤 療 法 の 効 果 が でて く 考 る。 そ れで,抗 生 剤 療 法 と平 行 して 穎 粒球 や血小 板 の輸 察 1969年か ら1977年 まで の8年 間 に当 科 で行 なわ れ た44 例の急性 白血病 剖検 例 の死 因 で感 染 症 が54%を 占め,敗 血症と肺炎が最 も多 か った2).出 血 に 対 す る対 策 が 整 っ 血,γ-グ ロブ リン製 剤,さ らに免 疫 賦 活 剤 の投 与が 宿 主 の抵 抗 力 の低 下 を補 うた め に行 わ れて い るが,ま だ今 後 に残 され た 問題 も多 い 。 てきた今 日・出血死 は39%で 死 因 に 占め る感 染 症 の割 合 急 性 白血 病 に合 併 す る敗 血 症 に対 す る抗生 剤 療 法 を単 が出血を上回 るよ うに な って き た こ とが注 目 され る 。 こ 剤 で行 う こ とが で きれば 理 想 的 で あ る。 しか し,こ の よ の期間中,当 科 に入 院 した92例 の急 性 白血 病 症 例 の うち うな抗 生 剤 は 現在 ない とい って よ い で あ ろ う。 富 岡 ら6) 39例(42%)に48回 は,本 症 に合併 した 敗血 症 治 療 で ア ミノ配 糖体 系 抗 生 剤 の敗 血 症 が み られ た 。 これ は,再 生 不良性貧血,悪 性 リンパ 腫 や 多発 性 骨 髄腫 な どの他 の 重 の単 剤 投 与例 で 原 因 菌 が感 性 菌 で あ って も予後 が 極 め て 症血液疾 患症 例 にお け る敗 血症 合 併 率 が5ん10%で あっ 不 良 で あ った こ とを報 告 して い る。 この よ うに,難 治性 たのに比 べ ると極 めて 高 率 で あ り,本 症 にお け る敗 血 症 で死 亡 率 が高 い こ とを考 え る と,で き るだ け協 力 作 用 の 対策の重要性を示 唆 して い る 。 また,本 症 に合併 す る敗 期 待 で き る殺菌 性 の 抗生 剤 の 組 合 わせ で 治療 す るの が 妥 血症は,抗 白血病 剤 によ る寛 解 導 入期 の 穎 粒球 減少(と 当 と思 わ れ る 。従 来 よ りセ フ ァ ロ スポ リ ン系抗 生 剤 と ア CHEMOTHERAPY 316 APR. 1979 ミノ配糖 体 系 抗生 剤 の 併 用 が協 力 的 に 作用 す る こ とが 示 の併 用 効 果を 明 らか にす るに は,基 礎 的研 究を含めてさ 唆 されて い る7)ゆ9)。 わ れ わ れ は,現 在,E.ColiやKle- らに検 討 を加 え る必 嬰 が あろ う。 bsiellaに 対 してCEZ6∼129/日 とGM160∼240m9/ 日 の 併 用,P.aeruginosaや,Entenbacterに SBPC(あ mg/日 るい はCBPC)15∼209/日 敗血 症 シ 伊 ックが 敗 血症 の 予後 におよ ぼす影伊は極め 対 して シ 蟹 ックを 合併 し,シ 鯛 ックに よ り死亡 した18症例中15 とGM160∼240 の併 用 を 行 うと と も に 穎 粒 球 や血 小 板 の 輸 血, さ らに 必 要 に応 じて γ-グロ ブ リン製 剤 を 投与 して い る。 わ れ わ れ は,最 近,急 性 白血 病 に合 併 す る 敗血 症 の抗 生 剤療 法 に つ いてCEZを て大 壷い 。 わ れわ れ の経 験 で は,48回 中29回(60%)に 使 用 した場 合 を 対 象 と した報 例(83%)は 発症 後1週 以 内 に死 亡 して い る。富岡ら16, は,敗 血 症 発 症後 で きるだ け 早期 に適 切 な抗生剤療法を 施 行す れ ば.シ 暮 ック発 生 率 は低 下 し,予 後が良好であ る こ とを 述 ぺ て い る。 こ の こ とは,CTMが いかに優 告 を したM。 その なか で抗 生 剤 療 法が 有 効 と判断 され た れ た抗 生 剤 で あ って も,投 与 時期 が 遅れ る と効 果 を期 症例 はす べ て血 液 学 的寛 解 を 達 成 した もの で あ り,白 血 待 しえ な くな るこ とを示 す もの と して銘 記すべ きであろ 病 の寛 解 の な い症 例 で は,い か に原 因 菌 に 対 して 高 い抗 う。 菌 活 性 のあ る抗生 剤 を 充 分量 投 与 して い て も,い ず れ も 無 効 で あ った こ とを述 べ た 。 今 回,CTMを 急 性 白血 病 な お,CTMと ア ミノ配糖 体 系抗 生荊 の併用 中に,み るべ き副 作用 は 認 め られ なか った。 に 合 併 す る 敗 血 症 の 治痕 に使 用 す る にあ た って,先 の ま 報 告 の 時 と違 って 当科 に頼粒 球 輸 血 な どの 補 助療 法 が 導 入 され るよ うにな った もの の,宿 主 の感 染 に対 す る抵 抗 と め 急 性 白 血病 に合 併 したE.coliとKlebsiellaに よる敗血 力 を健 康 人 と 同 じ位 の レベ ルに も って い くこ とは不 可 能 症 の3症 例 にCefotiam(SCE-963)をGentamicinな に 近い の で,い か に優 れ た セ フ ァロ スポ リ ン系抗 生 剤 で しAmikacinな あ って も内心 ではCEZの 場 合 とほ ぼ 同様 の 結果 に な る で あ ろ う と考 えて い た 。予 想 通 り,有 効 で あ った2症 例 は 完全 寛 解 に 先駆 け て 発症 して いた し,他 の 非 寛解 の1 症 例 で は 白血病 の な か で も重 篤 な急 性 前骨 髄 球 性 白 血病 で あ った こ と もあ って投 与 中 に死亡 した 。 はCEZに な い ユ ニ ー クな 面 もい くつか み う け ら れ る。松 本1Pに よ る と,CTM 19の1時 用 した 。2例 に有 効 性が 確 め られ たが,他 の1例 では重 篤 な基 礎 疾 患 の ため に効 果 を え られ なか った。(海fo由m は,Cefazolinと 比 べ て これ らの原 因 菌 に対す る抗菌活性 が 強 く,敗 血 症治 療 に おい て 優 る と も劣 らない薬剤であ ると の 印象 を 受 け た。 本剤 とア ミノ配 糖体 系抗生剤の併 しか し,敗 血症 治 療 に セ ファ ロ スポ リ ン系 抗 生 剤 を使 用 す るに際 して,CTMに 間 点 滴 静注 に お け る血 中 濃 度 はCEZに 用 に よ る と思 われ る副 作用 は認 め られず,今 後 これらの 菌 に よ る敗 血 症 に対 して本 剤 が有 力 な治 療薬剤 となると 考 え られ る。 比べ て や や 低 く,排 泄が やや 早 い とい う。 また,原 因 菌 に対 す るMIC中 い どの ア ミノ配糖 体系 抗生 剤 と併用 して使 文 献 央 値で 比 較 した血 中 濃 度 の 推 移 で み る と, グ ラム陽 性球 菌 の 場 合 にCEZと coliやKlebsiellaの 場 合 に は,CTMのMIC(中 値0.20μ9/ml)がCEZ(中 低 いの で,MICに ほ ぼ 遜 色 な いが,且 1) BODEY, G. P.; V. RODRIGUEZ,H. CHANG&G. NARBONI: Fever and infection in leukemic patients. A study of 494 consecutive patients. Cancer 41: 1610-1622, 1978 2) 舟田 央 央 値1.56μ9/m1)と 比 べて 対 す る 血 中 濃 度比 率 が 高 くな る こ とを 認 めて い る。 敗 血症 治 療 に あ って 抗生 剤 の 血 中濃 度 は原 因 菌 に 対 す るMICの 少 な く と も5∼10倍 持 す る必 要 が あ る12)-15)。この 点 でCTMは,E.coli よ る敗 血 症 に 対 してCEZに 優 る と も劣 らな い有 力 な 治療 剤 と考 え られ る。 しか も,こ れ らの 菌 に 対す るCTMのMICがGMな どの ア ミノ配 糖体 系 抗 生 剤 に匹 敵 し,そ れ よ り多量 に投 与 で き る 利 点 は 大 日本 化 学 療 法学 会 緯 第26回 血 液 癌, 日本 化学 療 法 学 会 口 演, 5) 長 谷 川 弥 人, 日本 臨床 富岡 一, nicillin Symposium 6) 小 林 芳 夫: 小 林 芳 夫: 60∼73, 第26回 Apr. 富岡 一, 会6シ ン ポ ジ ウ ム 「感 受 性 検 査 1976 日 本 化 学 療 法 学 会総 (disc法) 効 果 」4. 臨 床 面 か ら の 検 討 。b. た と も考 え られ るが,ア 他, 1978 口 演, 敗 血 症 の治療, (別 冊) 難 治 性 感 染 症 の 化 学 療 法 。Sulbe- と,有 効 だ った2症 例 は併 用 に よ り敗 血 症 治療 が 奏 効 し ミノ配 糖 体 系抗 生 剤 とCTMと 1978 新 薬 シ ン ポ 老 ウム 4) FUNADA, H.; K. HATTORI & N. KOSAKAI: Catalase-negative Escher:chia coil isolated from blood. J. Clin. Miciobiol. 7: 474-478, 1978 併 用 して 敗 血 症 治療 を 行 っ て お り,先 に述 べ た 富岡 ら6)の 報 告を 考 慮 す る 第26回 SCE-963。1978 き く,セ ファ ロ スポ リ ン系 抗 生 剤 の進 歩 で あ ろ う。 われ わ れ の 症例 で は,GMやAMKと 服 部 絢 一: 義 と そ の 対 策 」4. に維 3) やKleb5iellaに 久, 会 。 シ ン ポ ジ ゥ ム 「疾 患 者 に 合 併 す る感 染 症 の意 と臨 床 敗 血 症, その VOL.27 7)KLASTERSKY, RE: J.; gentamicin & L. of combination Am. 11) VANDENBOR- tobramycin with J. Sci. 266: 12) J.; aminosidin, B. NYAMUBEYA & combined with 13) of kana- sisomycin gentamicin carbenicillin gram-negative 三 方 一 潭, Microbiol. 7: 増 田剛 太, 富岡 Vitroで 10) 465•`472, J. 舟田 久, J. 64: ofbacte117•`425, 長 谷 川 弥 人: 細 菌 性 心 内 膜 炎 。南 江 堂, 1965 BLOUNT, J. G.: 38: Bacterial 909•`922, endocarditis. Am. J. 1965 1974 服 部 絢 一: 350∼356, 1921∼1926, 15) 中心 長 谷 川 弥 人, 富岡 臨 床 と 研 究45: 1974 重症 血 液 疾 患 に 合 併 し た感 染 症 に対 す る抗 生 剤 療 法, CEZを と して 。 臨 床 と 研 究55: therapy Heart Med. 一: 抗 生 剤 併 用 療 法 に 関 す るin の 検 討 。感 染 症 学 雑 誌48: 藤 田 信 一, Am. or rods. Med 9) P. A.: Antibiotic endocarditis. 東 京, 14) against 呼 吸 器 感染 症 を 対象 と した の 基 礎 的 臨 床 的 研 究 。Che- 1962 L. VAN- effectiveness BB-K8, tobramycin cephalothin TUMMULTY, rial Antimicrobial 宇 塚 良 夫: (SCE-963) motherapy27(S-3):373∼392,1979 cephalo- Med. 松 本 慶 蔵, Cefotiam and 1973 DENBORRE: and in carbenicillin. KLASTERSKY, mycin, HENRI activity used and 13•`21, 8) A. Antimicrobial thin 317 CHEMOTHERAPY S-3 16) 富岡 細 菌3: 一, 一: 小 林 芳 夫: 47∼55, 細 菌 性 心 内 膜 炎 の治 療 。 1478∼1484, 1968 敗血 症 の化 学 療 法。 臨 床 と 1976 1978 CEFOTIAM (SCE-963) THERAPY IN SEPTICEMIA COMPLICATING ACUTE LEUKEMIA HISASHI FUNADA, SHINICH FUJITA, KAZUONIWA and The Third Department of Internal KEN-ICHI HATTORI Medicine,Kanazawa University, School of Medicine Three patients with acute leukemia developed septicemia due to E. coli or Klebsiella or both during remission-inductiontherapy. They were promptly placed on cefotiam (SCE-963) (1 gram 4 times a day by 2-hourintravenous infusion) in combination with gentamicin or amikacin. The 2 patients who achieved completeremission of acute leukemia made a rapid recovery from septicemia, while the other one with E. coli septicemia died on the 4th day of such therapy because of the severity of the underlying disease. Cefotiam proved to be more active against the causative organisms isolated from the blood than cefazolin. It was suggestedthat in E. coli and Klebsiella septicemia associated with acute leukemia the therapeutic efficacy of cefotiammay compare favorably with that of cefazolin.
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