現代社会と科学技術 Relations between Science-Technology and Present Society 「日本の人口の減少」 第3班 岡本佳子・工藤康晴・高森和恵・ 別所慎史・松田明拓 人口の推移と将来予測 人口減少の主な原因=「少子化」 ※合計特殊出産率:15歳から49歳までの女性の年齢別出産率の合計。1人の女性 が一生の間に生む子どもの数とされる。この数が、2.08を下回ると人口を維持する ことができなくなる。 「少子化」=「出生率の低下」の主な原因は? ①出産の前提としての結婚 婚外子への強い差別 → 結婚しないと子供が産めない → でも結婚する人は減少している ②「結婚≠出産」という風潮 子供の養育費の高騰&出産年齢の高齢化 → 育てられる子供の数には限度がある 子育てにかかる費用 幼稚園(4歳)から大学(学部)卒業までのケース別の平均教育費用 (平成14年度)(試算) 子供一人を一人前にするには約3000万円かかる! これまでの政府の見解 昭和31(1956)年 少産少死型への以降が 注目され、人口の高齢化 が騒がれる 昭和44(1969)年 総人口の減少に注目 この時点ではまだ 出生率が2以下に なるとは思われて なかった 昭和55(1980)年 出生率の低下の理由として ①子供を生む年代の人口が減っている ②進学率の上昇 ③出産間隔を空けている として、低下現象に対する評価は 「期間的に減っているだけで基調そのものは 大きく変化していない」 ⇒ なんだかのほほんとしている印象 今後どうなっていくのか 有識者へのアンケートの結果 年齢三区分別人口の現状と将来予測 他にも・・・ ①国庫支出金の減額 社会保障への支給額(20%が国庫から出ている)が 減額となり、ますます労働者への負担が増える ②未払い者の増加 今の国民年金の未払い率は37%で、これからも 増加する恐れがある 所得に対する社会保障費の割合 社会保障費の割合(%) 25 20 15 10 5 0 1940 1950 1960 1970 1980 1990 西暦(年) まだまだ上がり続けそう・・・ 2000 2010 パワーポイントの補足 ①3 枚目 合計特殊出生率が 2.08 ないと人口は維持できない。2.00 でないのは、「15 歳までに なくなられる方や 50 歳以上の人がいる」ため。 ②5 枚目 婚外子とは「結婚していない男女間に生まれた子供」のこと。 ③6 枚目 仕事や学業に打ち込みたい人が増えているのは、「大学進学率アップ」「女性の社会 進出」「結婚後の再就職は経済的に損」という理由が挙げられる。また、必要と思わ ない人が増えているのは、「親に依存する人の増加」「今の生活に満足」という理由が 挙げられる。 ④8 枚目 「学費+塾代+生活費=3000 万」。4年制大学を卒業して就職する人が多いので、大学 卒業して独立と考え、学部卒までの教育費用を紹介した。 ⑤10枚目 出生率が 2 では人口は減少する。また、低推計より平均2児の方が下にあり、出生率 が 2 を下回ることが予見されていないことがわかる。 ⑥12 枚目 今回は上位2つについて考えた。 ⑦14枚目 国庫支出金の減額は、「税収の減額」「国として貧乏になっていく」などが挙げられる。 未払い者の増加は、最近話題となっている政治家の未払いにより支払いに対してマイ ナスイメージが発生した。 ⑧15枚目 老齢化が注目され始めたときから急激に増加。バブル期は、好景気だと所得が多い から傾きが寝ている。 資料:過去の厚生白書 昭和31年(1956年) 厚生白書 すなわち 第二九表 に示すとおり、わが国の将来人口の年令構造を推計すると、家族計 画思想の普及等により出生率は恒久的に逓減し、一方死亡率も衛生状態の向上等により今 後少くとも一五年間は出生率の低下を上回って縮小し(それ以後は、それまでの人口構造の 変化により逓増する)少産少死の型を形成しつつあるため、人口の絶対数が増加して行くば かりでなく、老令者の比率および絶対数が増加する傾向をたどる。この人口老令化現象は、 社会的にも経済的にも重大な問題となるものであるが、なかにも老令者福祉の必要性は、 将来に向ってますます量的にも増大して行くこととなる。 わが国の老令者福祉対策の必要性は、このように、現在以上に将来において、より切実 なものとなることが予見され、しかも一方生産年令人口の膨張による雇用問題の深刻化が、 少なくとも一時的には老令者の生活をさらに圧迫するという事情も、一応念頭に入れる必 要があるので、老人問題は、今日きわめて急迫したものになっていることを、銘記しなけ ればならない。 昭和41年(1966年) 厚生白書 いずれにしても、かように出生の抑制が一般的なものとなつてきたため、39 年には 1 人 の女子が一生涯の間に生む子どもの数は平均して 2.04 人で、このような子どもの生み方で は死亡のことも考えると、現在の人口を維持することができず、人口基調はいわゆる縮小 再生産となり、将来人口が減り出す可能性がある。もし現在の子どもの生み方で、総人口 が現状維持となるためには、1 人の女子が平均して 2.15 人の子どもを生まなければならな い。この 2.15 人程度の出生であると将来の総人口はふえも減りもしない、いわゆる静止人 口となる。静止人口が実現するための出生率よりも実際の出生率がやや低い状態になつた のは、31 年以来のことである。このような状態が 10 年も続いたことは欧米諸国にも近年に おいてはみられない事実であり、今後さらに 5 年 10 年と続いていくとすれば、それは明ら かに異常現象とみなければなるまい。ひのえうまの年にあたつた昭和 41 年の異常な出生率 の低下は別として、最近出生率は、やや反騰を示しており、いまだわが国の人口動向が、 決定的に人口の縮小再生産過程にはいつたと即断すべきではないが、出生率の今後の動向 には、注視を要するものがあると考えられる。 昭和49年(1974年) 厚生白書 第 1-28 表 は,そのうちのいくつかについて昭和 100 年までの人口増加(減少)のパターン とその時点における人口動態をまとめたものである。 まず,出生力を置換えレベルとし,人口の静止を目標とする試算(合計特殊出生率 2.105,純 再生産率 1.000)があるが,この場合においても,ただちに静止状態が達成されるのではなく, 人口の惰性状態が働らき人口は増加傾向をたどり,実際に人口が静止するのは昭和 90 年以 降であり,それまでの人口増加数は 2,500 万人を超えることに注意する必要がある。なお,こ の増加パターンは,人口問題研究所のメデイアム推計より多少低い程度である。 しかし,人口増加を急速に抑制しようとすると,「2 児までに抑える」欄(合計特殊出生率 1.745,純再生産率 0.831)から明らかなように,人口規模が膨張しないかわりに,年少人口が激 減し,0∼14 歳の人口は,昭和 100 年時点で 1,793 万 1,000 人にすぎず,年齢構成は極端に老齢 化する。またこの傾向を延長させると人口の減少が続くので昭和 120 年には人口規模が 1 億人を割り,昭和 200 年には大正末並みの 5,859 万人に縮小する。この試算において,昭和 100 年の人口動態をみると,出生数は昭和 47 年における 203 万 8,000 人の 6 割程度に減少 するのに,死亡数は 2.5 倍の約 180 万にのぼり,年々50 万人からの自然減がある。いわば出生 の喜びには恵まれず,死亡の悲しみに多く直面するわけであり,そのような社会がいかに暗 いムードをただよわせるか,想像に難くない。 昭和55年(1980年) 厚生白書 純再生産率(1 人の女子が一生涯に生む女児のうち,成長して妊娠可能な年齢を過ぎるま で生き残るものの数)は,世代間における人口変動の基調を示す指標として広く使用される が,これをみると,ベビーブームのときには 1.7 であったのが,その後昭和 30 年代初めま で急激に低下し,以後昭和 48 年まで約 20 年間にわたり人口の置換水準(純再生産率が 1) の近傍で推移してきた。ところが,昭和 49 年には 1 を割って 0.97 となり,以後低下を続 け 54 年には 0.84 まで低下した( 第 1-3 表(次ページ) )。 国際的にみても 1970 年代においては,先進各国においておしなべて顕著な出生力の低下 がみられ,大きな問題となっている。このため人口問題審議会では昭和 54 年 7 月に出生力 動向に関する特別委員会を設置して,最近の出生力低下を検討し,55 年 8 月に厚生大臣に 対し「最近の出生力の動向」について報告書を提出した。この報告書の中では,昭和 49 年 以降の低下の原因を,「1)ベビーブーム後の急激な出生力減少がこの時期になって結婚,出 産適齢期人口の減少となってあらわれたこと,2)進学率の上昇による若年層の有配偶率の低 下,3)スペーシング(出産間隔の調整)によると思われる有配偶出生率の低下などの要因によ ってもたらされた」としている。また,この低下現象に対する評価については,「昭和 49 年以降の出生力は期間出生力でみると極めて大幅に低下しているが,出生力の基調そのも のはそれほど大きくは変化していないとみられる」として,過大評価を排しつつ,一方で は,たとえ一時的な傾向としても,将来の人口構造への大きな影響を与える可能性があり, 今後の注意深い検討の必要性を示唆している。
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