∼1.ホームページの作成と効果的な情報発信∼

∼1.ホームページの作 成 と効 果 的 な情 報 発 信 ∼
1. はじめに
1990 年代半ばから爆発的にその利用が拡大したインターネットは、電話やファックスなどの他の
通信手段と同様に、企業活動や我々の生活にとってなくてはならない情報インフラに成長しました。
本稿では、インターネットにあるさまざまな情報を検索したり、また、ホームページを作成してイ
ンターネットで情報を発信する方法を紹介します。
インターネットは、企業や学校、あるいは各種団体や個人をつないでいるネットワークのネット
ワークです。ネットワークのネットワークと呼ばれる由縁は、企業や会社などで運用されているネ
ットワーク(ローカル・エリア・ネットワーク; LAN)を相互接続していることにあります。さまざ
まな場所で局所的に運用されているネットワークが相互接続されることによって、情報の流通が加
速され、さらに利便性が向上するようになりました。
日本でのインターネットの利用の進展状況は、参考文献 1∼2 に示す白書類で知ることができます。
それらによると、2000 年末の統計で、およそ 4700 万人の利用者がおり、世帯普及率は 34%に達し、
従業員 300 人以上の企業においては、普及率が 95.8%になっているという結果が報告されています
(図 1)
。また、政府系金融機関である商工中金の調査(参考文献 3)では、中小企業におけるイン
ターネットの普及率は 80%を越えたという結果が報告されています。
2. メールとウェブ
インターネットがこのように普及したのは、その便利さが多くの人々や企業に認知されたからで
すが、その便利さを認知させたアプリケーションの代表格は電子メールとウェブ(いわゆる「ホー
ムページ」
、あるいは、ワールド・ワイド・ウェブ; WWW)です。
電子メールは、パソコンなどで作った文章などのメッセージをネットワークを使って送信するア
プリケーションです。これまで使われてきた郵便に比べ、手軽であることや、文字以外にも画像や
音声などのさまざまなデータをやりとりできること、そしてコストがあまりかからないことや短時
図 1 インターネットの普及状況
間で相手に送信できることといったメリットが広く使われるようになった要因であるといえます。
ウェブはホームページと称されることもあるインターネットの代表的なアプリケーションです。
これはいってみれば、パソコンで見ることのできる「電子パンフレット」のようなものです。ウェ
ブ上では、個々の情報はページという単位で構成されており、それらがハイパーリンクという仕組
みで関連づけられています。マウスをクリックして、このリンクをたどることにより、さまざまな
情報にアクセスすることが可能です。この手軽さが多くの人々に受け入れられたのでしょう。
3. 検索エンジン
さて、インターネット上のウェブサイト(ウェブページあるいはホームページを置いてある場所)
ではさまざまな情報が公開されており、それゆえインターネットは「情報の宝庫」とも呼ばれてい
ます。しかし、個々のウェブサイトは世界中に散らばっており、いってみれば情報は無秩序に転が
っている状態にあります。
情報が乱雑に置かれているということは、情報を調べたい側からすれば知りたい情報にアクセス
しづらく、情報を提供する側からすれば知らせたい情報を伝えにくい、という状況を意味します。
情報を整理したり検索したりできるシステムがあってこそ、インターネットは情報の宝庫となりえ
ます。そのシステムが検索エンジンです。
検索エンジンは、インターネットの「目次」あるいは「索引」に相当するシステムです。これを
使うことによって、情報を受け取る側はより簡単に目的とする情報に到達することができ、情報を
発信する側もより簡単にその情報を必要とする人に情報を届けることができるようになります。
検索エンジンを大きく二つに分類すると、ディレクトリ型とロボット型に分けることができます。
前者では、情報はカテゴリーあるいはジャンル別に分類されています。目的とする情報を見つける
ときには、大分類→中分類→小分類と絞りこんで検索をかけます。インターネットを百科事典にた
とえるなら、これは目次に相当するものです。後者はさまざまなウェブサイト上の情報に対してキ
ーワード検索を行うもので、こちらも百科事典にたとえるなら索引に相当します。現在、インター
ネット上で公開されている検索エンジンは、厳密にこれらの二つに分類できるというよりも、両者
の長所をより活かした形態である複合型になってきたといった方がいいかもしれません。
検索エンジンには、図 2 のサイトを始めとしていろいろなものがあります。図 3 にディレクトリ
型の代表といえる Yahoo! JAPAN を、図 4 にロボット型の代表といえる Google のウェブページを示
します。
・ディレクトリ型
- Yahoo! Japan <http://www.yahoo.co.jp/>
・ロボット型
- Google 日本語 <http://www.google.com/intl/ja/>
- goo <http://www.goo.ne.jp/>
- infoseek <http://www.infoseek.co.jp/>
- exite <http://www.excite.co.jp/>
- LYCOS <http://www.lycos.co.jp/>
図 2 検索エンジンの例
これ以外にもさまざまな検索エンジンがあります。
なお、ディレクトリ型とロボット型の分類は厳密なものではありません。
検索エンジンを利用する場合のポイントとしては、上手に検索エンジンを使い分けることがあげ
られます。検索エンジンには得手不得手があり、同じ情報を調べた場合でも、検索エンジンによっ
て検索結果が微妙に異なることがあるのがその理由です。また、検索に利用するキーワードの選択
や、情報を絞りこむときのジャンルの選択も重要です。
検索エンジンの使いこなしについては、参考文献 4 のような解説本も出ています。
4. ホームページの作成と公開
さて、ここまでに書いたように、検索エンジンなどをうまく使うとインターネット上の多くの情
報に素早くアクセスできるようになりますが、インターネットの利便性は情報の入手に限ったもの
ではありません。自らホームページを作成、公開することによって、多くの人々に手軽に情報を発
図 3 Yahoo! JAPAN
図 4 Google
信することができるようになります。
ホームページを公開するには、そのホームページに載せる情報(コンテンツ)を作成し、それを
ホームページを格納しておくサーバと呼ばれるコンピュータに転送するという手順を踏みます。ホ
ームページ用のサーバは自社で用意することもできますが、最近ではインターネットとの接続サー
ビスを提供しているインターネット・サービス・プロバイダ(ISP、あるいは単にプロバイダ)のサ
ーバを利用するほうが手軽で人的なコストもかかりません。
ホームページに載せるコンテンツの作成においては、以前はホームページを作るときの細かな決
まりごとを覚えている必要がありました。しかし、最近では、そのような細かな約束事ことをあま
り覚えなくても簡単にページを作成できるソフトが増えてきました。もっとも単純なアプローチと
しては、ワープロソフトを使うという方法もありますし、もう少し本格的なものとしては、ホーム
ページ作成ソフトがあります。ホームページの作成は、従来は「どうやって作るか」が注目されが
ちでしたが、最近ではその方法よりも「何をつくるか」が重要になっています。ホームページの作
成は、何か難しい操作が必要かと思われることもありますが、ワープロで文書を作成したり、パワ
ーポイントなどのプレゼンテーションソフトを使った経験があれば誰にでも簡単にできるといって
いいでしょう。
ワープロソフトでページを作る場合は、紙に印刷するときと同様に文書を作成し、最後に「ホー
ムページの形式で保存」してそれをホームページのサーバに転送するという操作を行います。図 5
にワードを使ったホームページの作成例を示します。ファイルを保存するときに「HTML 形式(ホー
ムページの形式)」を選択するところがポイントです。
ホームページをもっと効率的に作成するには、ホームページ作成ソフトを用いればいいでしょう。
これには無償配布されているものや有償で販売されているものがあります。図 6 に無償配布されて
図 5 ワードを使ったページの作成例
図6
Netscape Composer を使ったページの作成例
いるソフトの一つである Netscape Composer を使ったページ作成の様子を示します。
ホームページ作成ソフトのうち、特に有償のソフトウェアは、ホームページに使える画像集など
の素材が充実していたり、ホームページのテンプレート(ひな型)がついていたりするので、より
短時間で見栄えのよいページを作成することができます。
ページを作成したときに注意する点としては、見る人の環境によって、できあがったページの見
ためが必ずしも作者の意図したとおりにならないことがあるという点があげられます。つまり、使
っているパソコンや、ページを見るためのブラウザソフトが異なっていると、画面での表示のされ
かたや印刷したときの結果が微妙に違ってくるということです。ホームページを作成したときは、
複数のパソコン(たとえば Windows と Macintosh)、複数のブラウザソフト(たとえば Internet
Explorer と Netscape Navigator)で見え方を検証しておくといいでしょう。
5. ホームページの検索エンジンへの登録
情報を入手する場合に検索エンジンが重要であるということは、視点を変えれば、情報を公開あ
るいは発信する場合にも検索エンジンが役立つということです。これは、検索エンジンが情報の発
信者と受信者を結びつける仲介者となっているからです。
多くの人に作成したページを見てもらうためには、検索エンジンに登録するという方法が有効で
す。多くの検索エンジンでは、
「サイトの推薦」あるいは「ページの登録」といったメニューが用意
されており、ここからページの登録を行います。これらのメニューの例として、図 7 と図 8 にそれ
ぞれ Yahoo! JAPAN と Infoseek の登録ページを示します。
図 7 Yahoo! JAPAN の「サイトの推薦」
図 8 Infoseek の「サイト登録」
検索エンジンの検索結果に作成したページがうまく表示されるようにするには、各ページに適切
なタイトルやキーワードを付けたり、簡潔な説明文をつけておくことが重要です。ホームページ作
成ソフトを使うと、簡単にこれらのタイトルや説明文をページに付けることができます。先に紹介
図 9 ページの表題(タイトル)とキーワードを設定
した Netscape Composer の場合だと、
「書式」→「ページの配色とプロパティ」からこれらの情報を
入力します。この例を図 9 に示します。他のページ作成ソフトでもメニューの名称は若干違います
が、同じような入力画面が用意されています。
6. 最後に
本稿では、インターネットを使った情報の入手と発信のために、検索エンジンの活用方法を説明
しました。そして、最近はホームページを作成するためのソフトが充実してきて、非常に手軽にペ
ージを作成できることを紹介しました。
インターネットは情報を調べる場合にも発信する場合にも非常に便利な情報インフラとして定着
しました。みなさんが情報を検索したりホームページを公開するときに本稿がお役に立てればと思
います。
また、インターネットを利用する場合には、コンピュータウィルスや不正アクセスなどのセキュ
リティ面での対応が求められるようになっていますが、このセキュリティについては次号で紹介し
たいと思います。
参考文献
1. 総務省編; 平成 13 年度版情報通信白書, (ぎょうせい, 2001/07), ISBN4-324-06565-9.
2. インターネット協会監修; インターネット白書 2001, (インプレス, 2001/07),
ISBN4-8443-1527-7.
3. 商工中金調査部; 中小企業のインターネット利用等に関する調査, (商工中金, 2001/11),
http://www.shokochukin.go.jp/pdf/cb2001jyoho.pdf.
4. 関 裕司; インターネット最強の検索術,(リブロス, 2000), ISBN4-7952-5087-1
(2002.6.19 (社)西日本プラスチック製品工業協会での講演内容)
お問合せ先(大阪府立産業技術総合研究所 システム技術部 情報通信グループ
石島 悌 氏、
電話番号: 0725-51-2525 (代表)、FAX 番号: 0725-51-2509 (代表)、
メールアドレス: ishijima@tri.pref.osaka.jp)