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第 60 回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集(2013 春 神奈川工科大学)
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薬物放出システムにおけるグルコース駆動式減圧ユニットの高出力化 Performance advances of glucose driven decompression unit
in autonomous drug release system
東 医 歯 大 , ○ 佐 藤 怜 , ム ン フ ジ ャ ル ガ ル ム ン フ バ ヤ ル , 畑 山 宏 大 , 松浦佑樹,荒川貴博,工藤寛之,三林浩二
Tokyo Medical and Dental Univ. , ○Rei Sato, Munkhjargal Munkhbayar, Kohdai Hatayama,
Yuki Matsuura, Takahiro Arakawa, Hiroyuki Kudo, Kohji Mitsubayashi
E-mail: m.bdi@tmd.ac.jp
【はじめに】
筆者らは血糖成分であるグルコースの化学エネルギーを力学エネルギーへ直接変換する有機エ
ンジン(減圧ユニット)をグルコース酸化酵素(glucose oxidase, GOD)を用いて開発し、この機能を用
いることで、新規な人工すい臓モデルとして、グルコース濃度を自律的に調節する薬物放出シス
テムを考案した(Fig.1)。しかし既報の系では、薬物放出の動作に血糖値の 10 倍程度である 100
mmol/l 程度のグルコース濃度が必要であった。本研究では、有機エンジンの形状を改良し高出力
化を図ることで、血糖相当のグルコース濃度にて作動が可能な減圧ユニットの開発を試みた。
【実験方法】
薬物放出システムを駆動する減圧ユニットは、酵素膜を隔膜とする気相セルと液相セルから構
成され、その出力(減圧速度)は、①酵素膜での触媒反応により消費される酸素の量と②気相セルの
容積に基づく。そこで減圧システムの形状を、①酵素膜の反応面積を増加し、②気相セルを小容
量化するように改良し、
「単位容積あたりの酵素膜面積」を増加させ、高出力化を図った。改良型
減圧ユニットの評価では、本ユニットの気相セルに微差圧計を接続し、各濃度のグルコース溶液
を液相セルへ送液し、気相セル内の圧力変化を調べ、減圧性能を調べた。
【結果及び考察】
減圧ユニットの改良では、①酵素膜面積を増加(2.84→11.35 cm2)し、②気相セルの容量を低減(セ
ル深さ:6→1 mm)することで、「単位容積あたりの酵素膜面積」を従来型に比して約 4 倍(0.73→
3.0 cm2)増加させた。改良した減圧ユニットの特性を調べたところ、25 mmol/l のグルコース濃度
において、従来システム(100 mmol/l)と同等の性能が得られ、約 3 倍の減圧能力の向上が確認され
た。今後さらに改良を加え、減圧ユニットの高出力化を図り、血糖値レベルで駆動可能な薬物放
出システムの開発を進める。
Fig.1 Schematic diagram of drug-release system driven by glucose solution
Ⓒ 2013 年 応用物理学会
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