北里大学医学部ニューズ CONTENTS 第5回医学部ニューズ写真コンテスト応募作品「梅雨」 (入江 渉さん) ■准教授就任挨拶…………………………………………………2 ■講師就任挨拶……………………………………………………3 ■平成27年度文部科学省科学研究費助成事業採択状況報告……4 ■平成27年度文部科学省科学研究費補助金交付一覧……………5 ■平成27年度医学部けやき会定期総会報告… …………………6 ■第39回日本リンパ学会総会 西賞受賞報告… ………………7 ■第112回日本内科学会総会発表報告……………………………8 ■平成27年度「オール北里チーム医療演習」に参加して………9~11 「オール北里チーム医療演習」報告 ■BLS講習会について………………………………………………12,13 BLS講習会報告 ■研究単位紹介 救命救急医学…………………………………14 ■進学相談会一覧/平成28年度入学試験学生募集要項概要……15 ■北里大学医学部教員教育セミナーへのお誘い………………16 2015.6 No.358 准教授就任挨拶 青 山 直 善 ⎛准教授・新世紀医療開発センター⎞ ⎜ 横断的医療領域開発部門⎜ ⎝ 救急内科学 ⎠ 本年2月1日より医学部附属新世紀医療開発センター横 に協力員として参加していた経緯より、2011年度改訂版の 断的医療領域開発部門(救急内科)の准教授に就任させて まとめ役となりました。改訂にほぼ2年半を費やし、非常 いただきました。この度、医学部ニューズの誌面を御借り に多くの時間を割きました。しかし、それを上回る利益を しまして、皆様に御挨拶をさせていただきます。 経験することができました。 私は、昭和63年3月に北里大学医学部を卒業(第13回生) このように振り返りますと、自分の研究に一貫性がなく、 し、 同年4月に北里大学病院循環器内科(木川田隆一教授) 基礎から臨床医学、一次予防から高度救命救急医療まで、 に入局しました。2年の研修期間を終え、平成2年に北里 ただただ機会を頂戴し、何も考えずに突き進んで来ました。 大学大学院医学研究科(内科学専攻)に入学し、刺激伝導 しかし、心原性ショックや心肺停止患者に対して体外循環 系の発生を細胞生物学教室(解剖学山科正平教授)で研究 法や補助人工心臓を導入し、再生医療を併用して補助人工 しました。当時、刺激伝導系細胞を免疫電顕法で確認した 心臓を離脱させ社会復帰を果たすという治療法が実用化す 報告はなく、免疫組織化学法による刺激伝導系細胞の同定 る世の中になりました。発生学が再生医学につながり、今 法を提唱しました。それを基に各発生過程にあるラット胎 まで別個に研究して来た事が時の流れと共に、少なからず 仔の正常心や奇形心を切片にして刺激伝導系細胞を同定し、 関連性のあるものに成りつつあると自分勝手に解釈してい 最終的にコンピュータグラフィクスを応用して三次元的に る次第です。 刺激伝導系を再構築して、心臓の内部構造と刺激伝導系の 平成26年初頭に内科系部長の腎臓内科鎌田貢壽教授よ 発生には密接な関連があることを報告しました。平成6年 り、内科外来診療を夜間勤務として担う救急内科構想の話 に大学院を修了し医学博士を取得、その後、循環器内科(和 をいただきました。循環器内科阿古潤哉教授に御相談さ 泉徹教授)に復職して病棟医、研究員を経て、平成9年に せていただき、本年の2月に新世紀医療開発センター横 救命救急医学(大和田隆教授)の講師に昇任しました。救 断的医療領域開発部門に配属され救急内科を担当するこ 命救急医学における主な研究は、ショックや心肺停止患者 とになりました。夜間内科診療の労務負担を改善するこ に対する経皮的心肺補助装置の有効性と限界を明らかにす と、さらに夜間診療においても関係各部署間の良好な連 ることでした。当時、経皮的心肺補助装置の院内運用指針 携診療体制を構築することにより、北里大学病院の内科 を立案し、現在ではその指針が日本循環器学会の急性およ を含めた診療全般の質の向上、患者サービスの向上、安 び慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン(2009年 全な医療の提供、に貢献したいと思っています。また本 改訂版)に掲載されています。平成12年11月にオランダ王 年3月8日に、北里大学で初めて日本内科学会内科救急・ 立ライデン大学メディカルセンター解剖発生学(Robert ICLS(Immediate Cardiac Life Support)講習会(JMECC: E Poelmann教授、Adriana C Gittenberger-De Groot教授) Japanese Medical Emergency Care Course)が開催され に留学し、大学院時代の研究を継続しました。平成7年の ました。心肺蘇生だけでなく、蘇生を必要とする前段階の 欧州心臓病学会がアムステルダムで開催され、刺激伝導系 病態や疾病について鑑別疾患を行い、専門医に引き継ぐま の発生について発表した際に、ライデン大学の両教授から での短い間に、如何に病態の安定化を図るか、という実臨 熱心に質問をいただいたことが御縁で実現した留学でし 床に則した講習会であり、今後、北里大学医学部および病 た。平成14年11月に帰国し、財団法人ヘルスサイエンスセ 院に浸透させたいと思っております。今後とも、何卒、皆 ンター(菊池順一郎理事長)に出向させていただきました。 様からの御支援、御協力、御指導、御鞭撻をよろしくお願 和泉徹教授と菊池順一郎理事長の御縁により、私にとって い致します。 は初めての出向となりました。今まで一次予防に全く無縁 でしたが、疾病予防には一次予防が非常に重要であること を学びました。平成16年6月に北里大学医学部循環器内科 学の講師に復職し、 「末梢動脈疾患に対する自家末梢血単 核球細胞移植による血管新生治療」を高度先進医療として 北里大学病院で実施できるように症例を重ね、平成22年2 月に厚生労働省から認可をいただきました。現在まで、下 肢切断を余儀なくされた32症例に対して同治療を実施して います。平成23年には、和泉徹教授が日本循環器学会の急 性心不全治療ガイドライン(2011年度改訂版)作成の班長 に就かれ、私が2006年度改訂版より同ガイドラインの作成 − 2 − 平成26年9月ライデン市街にて Robert E Poelmann教授、Adriana C Gittenberger-De Groot教授と撮影 講師就任挨拶 村 上 千香子 (講師・法医学) この度、平成26年12月1日付けで法医学講師を拝命いた そんな法医学の世界に足を踏み入れてから10数年が経ちま しましたので、この場をお借りしてご挨拶させていただき した。 ます。 日々の検案・解剖業務に追われる中で、DNAプロファ 私は、平成14年に北里大学医療衛生学部衛生技術学科臨 イリングと内因性急死の分子生物学的解析について研究を 床検査学専攻を卒業し、北里大学大学院医療系研究科法医 行っています。近年、DNA鑑定が話題になっていますが、 学に入学しました。臨床検査学専攻に入学したのは、たま 法医学におけるDNA鑑定は犯罪死体に関する証拠物件の たま読んだ小説に、「法医解剖に立ち会うのは医師、警察 みではなく、身元不明死体の個人識別や親子鑑定なども含 官そして臨床検査技師」という一文を目にしたからで、当 まれ、その試料は、血液や体液だけではなく筋肉、爪、骨 時はまだ法医学という言葉自体それほどメジャーではなく、 など様々な部位からDNAを抽出して鑑定を行っています。 認知度もいま一つでしたが、“死ぬ” とはどういうことな 法医学での検体は死後変化の影響をうけている検体も多く のか、“死に至る原因” はなにか、常日頃から抱いていた 含まれているため、いかに質の良いDNAを抽出できるか そんな疑問を解明したくて、法医学の道を志しました。大 が重要となります。そのための検出方法の検討や、さら 学院博士課程の半ばにさしかかったころの平成18年に機会 に個人識別に有用なDNA変異部位の検索を行っています。 に恵まれ、助手に着任し、現在に至っております。 また、内因性急死については、心筋症やQT延長症候群を 法医学に入る前の法医学に対するイメージは、ざっくり はじめとする遺伝子異常により発症する循環器疾患につい と法医解剖=司法解剖=事件です!という構図でした。と て、発病の主要な原因となった遺伝子の構造変化を解析し ころが入ってからは、毎日こんなにも多くの人が亡くなっ ています。さらに、法医学で扱う突然死症例の中には事前 ているのかという事実に衝撃を受けたことを今でも覚えて に医療情報が得られない場合や、死因となりうるような明 います。事件性はなく死因を究明するためにご家族の承諾 らかな病変が認められない場合もあり、そのようなときに をとって行われる「承諾解剖」という言葉を知ったのも入っ は遺伝子異常に基づく突然死も考慮しなければいけません。 てからでした。死亡の原因が分からなければ死亡診断書が そこで、死因究明のために心臓性突然死症例を中心に原因 書けない。そもそも法医学では死亡診断書ではなく死体検 遺伝子の検索も行っており、これらの研究の構築が予防医 案書を発行する。事件性がなくても自宅で死亡したら警察 学の発展につながることを目指しています。これからも法 が介在する。ご家族の承諾がなければ解剖ができない…な 医実務だけでなく、医学教育・研究に全力を尽くし、努力 どなど、あまりにも自分の知らない世界についていくのが していく所存です。今後ともご指導の程よろしくお願いい やっとで、漠然としていた “人の死” に対して少しずつ形 たします。 が見えはじめてきたのは何年もしてからだったと思います。 2015.6 No.358 − 3 − 平成27年度文部科学省科学研究費 助成事業採択状況報告 宮 下 俊 之 (教授・分子遺伝学) 本年も4月1日付けで文部科学省より、平成27年度文部 事前に各単位で申請課題について、単位の研究基盤・実績 科学省科学研究費助成事業(以下、科研費)の採択結果が の特徴を生かした戦略的な検討を加え、夏期休暇の時期を 発表されました(次頁交付一覧参照)。 利用して研究計画書作成の準備を進めてもらうことを提案 医学部研究委員会では、年額約2億円の研究費を各研究 します。また、質の高い申請には、必要に応じ複数単位で 単位および附置研究施設、センター、系に配分しています 連携をはかることも提案しております。自分の書いた申請 が、例年、文部科学省からの1億円を超える科研費が医学 書は是非同僚に見てもらってください。上司が望ましいも 部所属の研究者の努力により獲得され、研究遂行のために のの、信頼できる後輩でもきっと本人が気付かない修正点 使われています。昨今、科研費以外にも多くの競争的研究 を指摘してくれるはずです。そして本人もしばらくしてか 資金が配分されているものの、学術研究における科研費の ら新鮮な目で読み直してみてください。書いた時点ではベ 果たす役割は極めて大きいのも事実です。政府より本邦の ストと思っていても意外と不十分な点が見つかるはずです。 大学等の研究者に対し助成される研究費総額のうち、文部 そのためにも早い時期から十分に時間をかけて準備を始め 科学省の科研費が約半分を占めており、最も獲得に対する ることが重要です。 努力が報われる研究費です。 今後は更に申請の質を上げる方策を進めていく必要があ 今年は、北里大学全体としては、ほぼ例年並みの5億 ります。研究委員会では、特に申請書の書き方を指導する 7千万円を超える科研費を獲得しました。医学部の獲得額 チューターを斡旋しております。申請を考える研究者は、 は、例年全学部中でもトップを占めております。今年度の 気軽に研究委員会(窓口;医学部研究振興係)に相談して 獲得額は新規課題と継続課題を合わせて約1億6千8百万 いただきたいと思います。惜しくも採択に至らなかった開 円であり、昨年度より約9百万円の増加でした。新規課題 示評価「A」の申請をした研究者が所属する研究単位には、 では基盤研究(C)、挑戦的萌芽研究、若手研究(A) 、 (B) ある一定額の研究委員会予算を配分することも行っており において昨年度を上回る獲得件数でした。一方で基盤研究 ます。 (A)以上の研究費の新規獲得に成功していないため、来 研究費を獲得できれば研究成果もあがり、それが研究業 年度への課題として検討すべきと思われます。 績となって次の研究費獲得に繋がります。この前向きの連 ここ数年にわたり、医学部研究委員会ではいくつかの科 鎖が各研究者、研究グループに生まれることを期待します。 研費の取得増加対策を行ってきましたので紹介します。ま この連鎖の引き金を引くのはやはり業績です。若手の研究 ず、科研費を取得するためのフォーラムを開催し、取得に 者は自分の研究成果を是非論文にしていただきたいと思い たけた研究者に自己の申請の仕方を披露していただき、参 ます。論文数を増やすのには積極的な共同研究を行うこと 加された教員からの多くの質問に答えていただきました。 も重要であることも強調したいと思います。 また、新規採択者の同意を得て計画調書を閲覧できるよう 文部科学省の申請資格に規制緩和がかかり、学外出向者、 にした点も、申請を予定する者には参考になると大変好評 非常勤講師でも十分に研究環境が整えば申請が可能になっ でした。本年度も多くの研究者のご参加をお願いします。 ています。不明な方は、医学部研究振興係に確認していた 科研費取得を増やすためには、いかに質の高い申請を多く だきたいと思います。 するかがポイントと考えられます。科研費取得増加のため、 − 4 − 平成27年度文部科学省科学研究費補助金交付一覧 研究種目 研究代表者 基盤研究(A) 辻 尚利 堤 明純 基盤研究(B) 村雲 芳樹 阪上 洋行 馬嶋 正隆 高相 晶士 基盤研究(C) 山森 早織 細野加奈子 吉田 功 蒋 世旭 高橋 博之 原 敦子 宮崎 翔平 廣畑 俊成 加藤 弘 内山 勝文 松本 和将 石井 大輔 高山 陽子 長沼 英明 宮本 俊輔 永井 浩巳 神谷 和孝 武田 啓 北村 律 竹内恵美子 中山 明仁 岡田 大助 豊島 公栄 岩渕 和也 阪口 義彦 五艘 行信 佐藤 俊哉 山下 継史 伊藤 義也 塩見 和 深谷 昌弘 江島 耕二 大久保 直 柳澤 信之 三枝 信 堀江 良一 木村 琢磨 庭野 慎一 河原 克雅 花島 律子 竹内 康雄 宮下 俊之 早川 和重 宮地 鑑 天野 英樹 小沼 賢治 山崎 安晴 挑戦的萌芽研究 馬嶋 正隆 堀口 兵剛 梶田咲美乃 藤村 響男 辻 尚利 若手研究(A) 覚張 隆史 若手研究(B) 櫻井 靖高 中森 智啓 長尾 和右 前田 一輔 村上千香子 内藤 正吉 堤 涼介 緒方 昌平 秋山 和政 内田健太郎 宮城 正行 小橋 英長 三井 純雪 板谷 慶一 小坂 康晴 佐藤 雅 松本 俊英 谷 祐至 本田 崇 斎藤 亘 井上 玄 津村 秀康 千葉 宏毅 特別研究員奨励費 覚張 隆史 中森 智啓 教育研究単位 寄生虫学 公衆衛生学 病理学 解剖学 薬理学 整形外科学 生化学 生理学 病理学 病理学 病理学 病理学 寄附講座「血流解析学」 膠原病・感染内科学 外科学 整形外科学 泌尿器科学 泌尿器科学 新世紀医療開発センター・横断的医療領域開発部門 新世紀医療開発センター・先端医療領域開発部門 耳鼻咽喉科・頭頚外科学 耳鼻咽喉科・頭頚外科学 眼科学 形成外科・美容外科学 心臓血管外科学 免疫学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 生化学 寄附講座(再生医療形成外科学) 免疫学 微生物学 生化学 実験動物学 外科学 外科学 呼吸器外科学 解剖学 免疫学 実験動物学 病理学 病理学 血液内科学 総合診療医学 循環器内科学 生理学 神経内科学 腎臓内科学 分子遺伝学 放射線科学(放射線腫瘍学) 心臓血管外科学 薬理学 整形外科学 形成外科・美容外科学 薬理学 衛生学 病理学 皮膚科学 寄生虫学 解剖学 病理学 解剖学 分子遺伝学 法医学 法医学 腎臓内科学 神経内科学 小児科学 小児科学 整形外科学 整形外科学 眼科学 皮膚科学 寄附講座(血流解析学) 麻酔科学 免疫学 病理学 臨床検査診断学 小児科学 整形外科学 整形外科学 泌尿器科学 医学教育研究部門 解剖学 解剖学 職 位 教 授 教 授 教 授 教 授 教 授 教 授 講 師 助 教 准 教 授 准 教 授 講 師 講 師 特任助教 教 授 助 教 准 教 授 講 師 講 師 准 教 授 教 授 講 師 講 師 准 教 授 教 授 准 教 授 講 師 講 師 講 師 特任講師 教 授 助 教 准 教 授 教 授 講 師 非常勤講師 講 師 講 師 准 教 授 准 教 授 講 師 教 授 准 教 授 准 教 授 准 教 授 教 授 講 師 准 教 授 教 授 教 授 教 授 講 師 講 師 講 師 教 授 教 授 講 師 講 師 教 授 特別研究員 助 教 特別研究員 助 教 助 教 講 師 助 教 助 教 講 師 助 教 助 教 助 教 助 教 講 師 准 教 授 講 師 助 教 助 教 助 教 助 教 助 教 准 教 授 講 師 助 教 特別研究員 特別研究員 研究課題名 マダニの低酸素応答機構の解明と抗マダニ薬の創出 労働者1万人の多目的パネル追跡による職業性ストレスの健康影響の包括的な解明 紫外線誘発皮膚癌発生における損傷乗り越えDNA複製の関与とそのメカニズムの解明 低分子量G蛋白質Arf6経路に着目した網膜リボンシナプスの分子解剖学 病態時のリンパ管・リンパ組織の可塑性を制御する生理活性脂質の解析と治療への応用 成長因子アンカーリング型運動器再生シーズの顕在化・育成研究 SNAP-25のリン酸化とストレス障害の関係性の解明 炎症時のリンパ管新生を増強する細胞特異的トロンボキサン受容体シグナルの解析 炎症性腸疾患バイオマーカーシグナルの二相性と収斂から見た発症機序解明と治療戦略 微小乳頭成分を有する肺腺癌の高悪性度生物学的特性に寄与する因子の解明 進行期直腸癌のβ-カテニン/EMT誘導癌幹細胞化による化学・放射線療法の耐性機構 「病理診断の客観化=数値化モデル」構築と「ITによる病理診断支援システム」開発 血流解析を組み込んだ循環器診断システムの開発と次世代の予測医療の樹立 中枢神経ループスにおける脳血液関門障害の機序の解析 臨床応用を目指した直腸癌術前放射線化学療法感受性における骨髄由来抑制細胞の意義 感染人工関節におけるPCRラテラルフロー法を用いた迅速遺伝子細菌検査法の確立 膀胱癌における血清蛋白質の網羅的解析と診断スクリーニング法の確立 マウス腎移植モデルによる抗体関連型拒絶反応と抗CD20モノクローナル B群溶血性連鎖球菌新規検出方法の確立と妊婦検診への実用化に向けた症例集積研究 ストレスによるIP3受容体を介した内耳障害発生のメカニズムの解明 5-アミノレブリン酸による蛍光ナビゲーションは頭頸部癌の切除精度を向上させるか? 喉頭麻痺に対する線維芽細胞増殖因子を徐放させた自家筋膜移植術の検討 SMILE手術のエネルギー設定の最適化と角膜、眼表面、視機能に及ぼす影響の検討 知覚異常や疼痛が皮膚の創傷治癒におよぼす影響 手術室映像配信システムを用いた医学教育に関する研究 正常骨髄細胞移植で制御できるSLE自己反応性細胞と是正できない異常及びその治療 喉頭機能温存手術SCL-CHEP:音声・嚥下機能改善に向けた基礎研究と臨床応用 NMDA受容体の構成的活性の検出と解析 毛の種類を決定する制御機構の解析 MAIT細胞を用いた新しい動脈硬化症進展抑制法の開発 C型とD型ボツリヌス毒素変換ファージの尾部吸着タンパク質と宿主菌レセプターの解析 胃粘膜恒常性維持におけるムチン糖鎖の役割の解明 人工制限酵素による内在性TDP-43遺伝子改変と筋萎縮性側索硬化症モデルへの応用 癌における epigenetic 治療の可能性と p53経路の関係 脂質メディエーターによる肝再生・修復機構の解明 中皮腫における胸腔内治療法の構築及び新規バイオマーカーの探索 精神遅滞原因遺伝子BRAG1による興奮性シナプス調節機構の解明 骨髄由来抑制性細胞の分化におけるNF-kB-inducing kinaseの役割 舌咽神経の発生を統御する分子基盤と咽頭弓分節の連関 胆汁ショットガン・プロテオミクス解析による慢性胆嚢炎からの胆嚢発癌経路の解明 子宮癌肉腫由来の癌幹細胞の分子制御機構の解明:病理組織での可視化とその臨床応用 ホジキンリンパ腫におけるCD30によるHSP90誘導を介したシグナル伝達制御 超高齢社会・医師不足時代の総合診療医の質と数の確保に関する研究 Kv1.3移入線維芽細胞による障害心筋の電気的再生と逆リモデリング誘導の研究 水電解質輸送調節における腎集合管β間在細胞の役割 ヒト神経可塑性への神経治療薬の影響:神経変性疾患の新しい視点の病態生理解明の基盤 p40phox siRNAによる好中球NET放出抑制がSLEに与える治療効果 CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子治療に向けた基礎的研究 肺癌個別最適化医療に資するバイオマーカーと標準的放射線療法の確立に関る臨床的研究 冠動脈血行再建戦略の最適化のための生理学的血流動態シミュレーションシステムの構築 縦隔リンパ節転移巣を制御するプロスタグランジンE2-EP3シグナリングの解析 成長因子固相化技術を応用した革新的骨軟骨移植法の確立 臨床に向けて顎骨欠損への適切な再生代替骨の選択 腫瘍リンパ節転移を抑制する新治療戦略:生理活性脂質による前転移ニッチェ形成の制御 カドミウム中毒発症機序における銅欠乏の関与 HNF-1βによる卵巣明細胞腺癌の早期血清診断法確立と新規分子標的薬開発への展開 らい菌の鼻粘膜上皮細胞への侵入に係る分子機構を標的とした感染防御ワクチンの開発 腸管寄生性コクシジウム原虫のシゾント形成機構の解明 新規データに基づく東アジアにおける家畜化および家畜利用に関する総合的研究 DNA損傷トレランス機構をターゲットとした新規がん分子標的治療の展開基盤 幼少期における学習の臨界期終了を制御する新規遺伝子の発見 新規遺伝子編集ツールを用いた遺伝病患者由来細胞がん細胞の作製 心筋症および心肥大を伴った心臓性突然死の原因遺伝子解析 心臓性突然死におけるSCN5A遺伝子の変異解析とその応用 ネフリン障害性巣状糸球体硬化症マウスモデルにおけるボーマン嚢前駆細胞の解析 ヒトにおける小脳の学習機能の障害の検出と神経疾患への臨床応用 川崎病病因解明のための多施設共同研究:川崎病における自然免疫制御機構の解析 疾患保因者は移植ドナーとなりえるか?ハンター病の早期治療による予後改善を目指して 細菌分子によるマトリックスアンカー機構を応用した骨折治癒促進シーズの実用化研究 高齢者運動器不安定症由来腰痛を惹起する神経侵入制御因子同定と新規治療シーズ探索 正常眼・眼疾患における高次収差と前方・後方散乱が視機能に及ぼす影響の検討 末梢神経障害回復におけるネスチン陽性毛包幹細胞の役割及び新しい治療法の確立 遠隔期心機能予後を向上させる心臓血管手術を行うための、血流解析システムの構築 虚血再灌流性急性腎傷害におけるロイコトリエンB4/BLT1シグナリングの役割 脂肪細胞とNKT細胞の相互作用の解明とメタボリック症候群への応用 子宮内膜症関連卵巣発癌機構の新規バイオマーカーの探索と早期血清診断法への臨床応用 (プロ)レニン受容体を介した下垂体前葉ホルモン調節機構の解明 単心室循環確立に伴う遺伝子発現変化:マイクロアレイ法による遺伝子プロファイル解析 経皮的脊椎圧迫骨折治癒促進シーズの探索 高密度コラーゲン材料と多血小板血漿を併用した新たな椎体固定法の開発 前立腺癌高精度放射線照射別における血中循環腫瘍細胞に関する研究 末期がん患者の家族介護者へ対する説明と在宅療養継続に関する研究 新たな生物考古学的手法による遺跡出土動物遺存体の生活史復元文理融合解釈への試み 学習の臨界期を調節する分子の探索と、臨界期を制御可能なモデル動物の解発 区分 継続 継続 新規 新規 継続 継続 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 新規 新規 継続 継続 継続 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 新規 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 継続 (平成27年5月1日現在) − 5 − 平成27年度医学部けやき会定期総会報告 けやき会事務局 平成27年度けやき会定期総会を5月17日(日)午後1時 のもと、学生指導委員長の栗原克由先生より、各学年主任・ より、相模原キャンパスにおいて開催いたしました。当 クラス主任の紹介が行われ、けやき会理事の田中克巳先生 日は天気にも恵まれ、240名余のご父母の皆様をお迎えし、 のご挨拶と乾杯のご発声により懇親会が開始いたしました。 東原正明医学部長をはじめとする34名の先生方にご出席い ご出席されたご父母と医学部の先生方により、しばし和や ただきました。 かな歓談が続きました。最後に吉田一成新会長より各教職 本定期総会は、けやき会会則に基づき毎年5月に行われ、 員ならびに会員への謝辞の後、盛会のうちに終了しました。 役員の決定、事業計画及び予算・決算などについて、審議 なお、ご出席された各学年主任、クラス主任等の先生方 を行う重要な役割を担っています。今年度の総会につきま は以下の通りです。 して、以下の通りご報告させていただきます。 〔第1学年〕 M6号館合同講義室で行われました総会第1部では、尾 村雲芳樹 学年主任 崎眞副会長のご挨拶から始まり、次の議事が審議のうえ承 角田正史、一戸昌明、竹内恵美子 各クラス主任 認されました。 〔第2学年〕 ⑴平成26年度事業報告並びに決算報告について 堤 明純 学年主任 ⑵役員改選について 大久保直、猪又孝元、笹原武志、河野俊之 各クラス主任 〔第3学年〕 ⑶平成27年度事業計画(案)並びに予算(案)について なお、役員に関しましては、今回、大場正二先生が会長 職を辞任されたため、新会長に本学医学部新世紀医療開発 センター先端医療領域開発部門の吉田一成教授が承認され 坂本尚登 学年主任 松本和将、松永敬二、岩崎俊之 各クラス主任 〔第4学年〕 ました。また、新役員の選出に関しまして、1年生のご父 髙相晶士 学年主任 母4名を選出することが承認されましたので、今後、父母 加藤里絵、井上 玄、佐藤武郎、日高 央 各クラス主任 〔第5学年〕 面談などを通じて選考を進めることといたしました。 第2部では、医学部の先生方からのご挨拶を賜りました。 恩田貴志 学年主任 はじめに、東原正明医学部長より以下のことについて、 谷野裕一、岩瀬春子、塩見 和、宮本俊輔 各クラス主任 〔第6学年〕 各々ご報告がありました。 1)志願者・入学者確保へ向けた取り組み 宮地 鑑 学年主任 2)国家試験合格率向上への取り組み 竹内康雄、北村 律、戸田雅也、竹内一郎 各クラス主任 【敬称略】 3)医学教育研究開発センター教育研究部門について 4)新医学部棟及び全学臨床教育センターの建設計画 5)考える力を育む教育の推進について 続いて、北里大学病院長の海野信也先生、北里大学東病 院長の菊池史郎先生より、それぞれの病院の近況と今後の 展望についてお話いただきました。さらに、教育委員長の 三枝信先生より「留年に注意を要する学生たち」について、 学生指導委員長の栗原克由先生より学生指導の実情をお話 しいただき、両委員長より、学生生活(学業や課外活動) における留意事項についての説明等が行われました。次に、 国試・CBT対策委員長の小川元之先生より第109回医師国 けやき会定期総会 家試験結果とその分析について、及び本年度における国家 【けやき会懇談会について】 試験対策等が報告されました。 以上、 当初の予定通り14時40分に総会は閉会を迎えました。 平成27年度けやき会懇談会は、下記により開催されます 引き続いて、M1号館の各講義室において、例年のとお ので予めお知らせいたします。 り学年別懇談会が行われました。各学年主任・クラス主任 なお、会員各位へのご案内状は本年9月頃に送付いたし による個別相談では、ご子女の成績や出席状況について熱 ますので、よろしくお願いいたします。 心にお話をされていました。 日時:平成27年10月24日(土)午後13時00分より 最後に、M5号館2階学生ラウンジにて懇親会が行われ 場所:京王プラザホテル(新宿) ました。懇親会では、医学部の岩本孝一事務長の司会進行 東京都新宿区西新宿2-2-1 − 6 − 第39回日本リンパ学会総会 西賞受賞報告 藏 重 千 絵 (助教・麻酔科学) 平成27年3月27日、第39回日本リンパ学会総会において しました。以上の結果から、CGRPシグナルによる血管新 西賞をいただきましたのでご報告いたします。 生・リンパ管新生の増強は、VEGF-AおよびVEGF-Cを介 日本リンパ学会は、リンパ系の発生、形態と機能、病態 したものと考えられました。 時の変化、リンパ管新生の分子機構などの基礎的検討から、 さらに外科的に除神経を行い、神経末端からのCGRP放 がんとその転移機構、リンパ浮腫の病態・診断・治療、リ 出を阻害するモデルにおいて創傷部の脈管新生を評価して ハビリテーションなどの臨床的な側面にいたるまで、多彩 みますと、sham群と比較して除神経群では血管新生・リ な分野に対し議論を尽くす学会です。西賞とは、故・西満 ンパ管新生が抑制されました。このことから、知覚神経由 正先生のリンパ学分野における顕著な業績を記念して設け 来の内因性CGRPが血管新生・リンパ管新生を促進するこ られた学会奨励賞であり、この度はこのような名誉ある賞 とが明らかとなりました。 をいただき大変光栄に存じます。 また、RAMP1は新生血管・新生リンパ管には発現して 受賞の対象となりました演題名は、“Roles of a sensory おらず、肉芽組織の主要構成細胞であるマクロファージの nerve-derived neuropeptide, CGRP in enhancement of 表面に発現が認められました。そこで培養マクロファー lymphangiogenesis” です。 ジをCGRPアゴニストで刺激してみますと、VEGF-Aと 知覚神経終末から炎症などの侵害刺激が加わりますと、 -Cの発現が用量依存的に増加しました。以上の結果か 軸索反射とよばれる逆行性の刺激が伝わり、別の知覚神経 ら、マクロファージ上のRAMP1がCGRPの刺激を受けて、 末端から神経ペプチドが放出されます。神経ペプチドの VEGF-Aと-Cの産生を促進し、血管新生・リンパ管新生を 一つであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、 誘導していることが強く示唆されました。 この軸索反射を介して知覚神経終末より放出され、血管拡 リンパ管は、血管とともに生体の恒常性の維持や免疫応 張をはじめとする様々な生理作用をもたらすことが知られ 答など生理的に重要な役割を担っているだけでなく、炎症 ています。 や悪性腫瘍の転移などの病的状態にも関与している重要な これまでに薬理学研究室では、CGRPが血管新生を増強 器官です。がんのリンパ行性転移やがん治療時のリンパ節 し、胃粘膜修復や腫瘍増殖に関与することを報告してきま 廓清に伴うリンパ浮腫は極めて治療に抵抗性であることが した。そこで本研究では、リンパ管新生と神経系との関 知られてきましたが、現在でもこれらの病態の本質的な治 わりに焦点を当て、創傷治癒時のリンパ管新生における 療方策は乏しく、病態時のリンパ管の制御機構を解明する CGRPシグナルの役割について検討を行いました。 ことは、それらの治療への応用に極めて重要であると考え マウスの背部に全層皮膚創傷を作成し、その治癒経過を ます。 検討しました。CGRPの受容体を構成する、受容体活性調 最後に、研究する機会を与えてくださいました麻酔科学 節蛋白(RAMP1)のノックアウトマウスでは、wild type 岡本浩嗣教授、研究のご指導をいただきました薬理学馬嶋 マウスに比べて創閉鎖が遅延し、肉芽組織内の血管新生・ 正隆教授、実験にご協力いただきました研究室の皆様に深 リンパ管新生が抑制され、血管新生増殖因子(VEGF-A) く感謝し、御礼を申し上げます。 およびリンパ管新生増殖因子(VEGF-C)の発現量が減弱 − 7 − 第112回日本内科学会総会発表報告 -医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2015京都- 第6学年 大井田 知彌、潮 雄 介 この度、平成27年4月に京都で開かれました日本内科学 も悔やまれます。終わった後は大きな達成感を得て、挑戦 会総会「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ」にて して良かったと心から思うことができました。 ポスター発表(症例報告)を致しましたので、報告させて 頂きます。学会での発表はもちろん、学会に参加すること 潮 雄介 も初めてでしたので、準備から発表まで全てが私達にとっ 私たちが発表したのは、全身性エリテマトーデス(SLE) て貴重な体験になりました。以下、感想を述べます。 における免 疫 抑制薬の多剤併用療法による効果でした。 SLEは膠原病の一つで、女性に多く、全国に約6万人の患 大井田知彌 者がいるといわれています。SLEの治療はアメリカリウマ 今回このような貴重な機会を与えて頂くことになったの チ学会(ACR)のガイドラインに沿って行われます。実験 は、突然のことでした。私が年末に医学図書館で勉強し 的論文や大規模臨床試験の結果から、副腎皮質ステロイド ていると、そこにクラス担任である竹内康雄先生がおいで 薬(PSL)やシクロフォスファミド、ミコフェノールモフェ になり「来年の4月、日本内科学会で大井田君に発表して チルによる治療が推奨度レベルAとされています。しかし、 貰いたいんだけど」とおっしゃいました。最初、一体何の 妊娠年齢の女性に長期使用するには副作用が懸念される治 話をしているのか分からずポリクリの班員達に相談すると、 療です。そこで免疫反応に対し異なる作用機序を有する薬 班員と先生の話でそう決まったことを知り、かなり戸惑い 物を併用し、効果をあげつつ副作用は減らすことを目標に と不安もありましたが、班員達の後押しもあり潮君と共に した治療を行った2症例について紹介しました。PSL単独 発表することに決めました。 で治療開始し、PSL副作用のために同薬減量を余儀なくさ 準備の段階で困ったのが、詳しく話すと1時間以上かかっ れ、CD4陽性T細胞を抑制するタクロリムス、骨髄細胞の てしまうような内容を4分という短い時間にまとめることで 分化増殖抑制作用を持つミゾリビンを併用しました。結果 した。発表を聞いて頂く相手は現役の医師の方なので、あ は2例共に寛解維持され、PSL中止が可能となり副作用も まり基礎的な説明をせず、図など使って要所を拾って説 見られていません。今回提示した治療選択はACRガイドラ 明するようにしました。また、発表の際は原稿を読むので インではまだ推奨度レベルCですが、症例の集積により推 はなく、手で図を示すなどの手振りを加えながら、出来る 奨度が改善されることが期待されます。今回、患者さんに だけ参加者の方々を見ながら発表することを心掛けました。 有益な治療を確立するために、このような症例の集積が必 これはポリクリでの発表の際にも常に心掛けていた事なの 要であることを実感しました。 であまり無理なく実践でき、日頃の訓練の賜物でもありま 会場には全国から医学生、研修医が集っていました。そ した。準備の仕上げとして、一度も入ったことのなかった のうちの一人として参加してみて、将来自分自身が医師 学部長室で予演会を行ったことは今でも良い思い出です。 となった時の姿を想像でき、とても良い刺激になりました。 本番当日は、私がポスターをホテルに忘れて来たことを また、発表にむけての準備は大変勉強になりますので、学 会場到着直前に気づくということから始まりました。潮君 生の皆さんに積極的に参加してほしいと思います。来年私 や先生には迷惑をかけてしまう形になってしまいましたが、 は医師となり、研修医として忙しいかもしれませんが、来 何とか決まった時間内に発表の準備を終え、あとは出番を 年もぜひ参加したいと思いました。今回の経験を生かし、 待つのみになりました。待ち時間に会場内を見て回ってい これからも勉学に励んでいきたいと思います。 ると大きな講演がいくつも行われており、自分もいつかこ 最後になりましたが、今回学会発表という貴重な体験を んな大きな舞台で講演を行ってみたいという気持ちになり させて頂き、指導、引率してくださった東原正明先生、竹 ました。本番は思いの外、落ち着いて発表することが出来 内康雄先生に御礼を申し上げます。本当にありがとうござ ましたが、最後の質問に上手く答えることが出来ず、竹内 いました。 康雄先生の助け舟を借りる形になってしまったことが今で − 8 − 平成27年度 「オール北里チーム医療演習」に参加して 横 山 薫 (講師・消化器内科学) 平成27年4月30日、 5月1日の2日間にわたり相模原キャ ら見守っていたが、最終的に自分達で軌道修正し、皆が納 ンパスにおいて第10回「オール北里チーム医療演習」が開 得できる内容にまとめたのを見て安堵した。ディスカッショ 催され、ファシリテーターとして、初めて参加させて頂い ン中、ホワイトボードのスペースが足りなくなるとスマー た。とは言え、当初は演習内容が分かっておらず、レジデ トフォンで撮影し、それを見ながらパワーポイントを作成 ント達にどんなことするの?と聞いていた状態であった。 し、初日終了時には作成途中のパワーポイントをメールで 改めて概要を説明すると、医療系4学部(薬学部・医学 皆に宿題として送り、懇親会での記念撮影はその場でLINE 部・看護学部・医療衛生学部)と北里大学保健衛生専門学 で送り合い、と今どきの学生生活を垣間見せてもらった。 院、北里大学看護専門学校より参加した計1,154名の学生 最初はおずおずと話していた学生達も懇親会の頃には が各グループ10~11名、計105グループに分かれ、そこに すっかり打ち解け、お互いの学生生活や将来について語っ 私達ファシリテーターが配属される。がんや高齢者医療等 ていた。学部、学科の枠を外した本演習を経験したメディ のテーマについて、初日と2日目の午前中はグループで話 カルスタッフが増えることにより、本学のチーム医療がさ し合い、パワーポイントにまとめ、2日目午後に発表を行 らに充実し、かつ柔軟性を持ち広がっていくことを期待し い、優秀グループは表彰される。 たい。 学生達のディスカッションは試行錯誤の連続で、方向性 最後に、この壮大な演習を企画、開催されている教育委 を見失ったり、横道にどんどんそれたりとハラハラしなが 員会の先生方と事務の方々に御礼を申し上げる。 − 9 − 平成27年度 「オール北里チーム医療演習」に参加して 内 藤 正 吉 (助教・腎臓内科学) 学生の皆さん、連休の谷間にも関わらず、2日間の演習 多くの患者さんは、医師に対し遠慮をし、ちょっとした お疲れ様でした。また、チーム医療演習実行委員会の先生 変化や思いを伝えてくれません。しかし、 そうした “ちょっ 方もお疲れ様でした。演習で使われた課題は、毎年のアン としたこと” の中に難問のヒントが隠れているものです。 ケートを基にブラッシュアップしているものです。本年度 こうした変化を見つけ出すことが医師としての腕の見せ所 は私もその作業に参加しましたが、演習で皆さんが楽しそ であり、そのためには風通しの良い職場を作る努力も大切 うに話し合う姿をみていて、その疲れも吹き飛びました。 です。そして、風通しの良い職場を作る近道は、皆が患者 さて、言い古された言葉ですが、現在の医療は高度化し さん本人や医療チームのメンバーから話を聞く姿勢を持ち ています。また、日頃診察する患者さんも私の研修医時代 続けることです。そういう点で、同世代の様々な学部の人 とは激変し、高齢者や生活習慣病の患者さんが急増してい と2日間議論を交わしたこの実習の大切さは、皆さんが社 ます。こうした方々に共通していることは、一人の患者さ 会に出たときに身に染みて感じると思います。 んがいくつもの病気を持っており、加齢変化や合併症によ どんな仕事も人と人がつながっています。お互いを人と りADLが低下し、社会的支援が必要になる可能性が高い して、専門家として尊重し、風通しの良い職場で気持ち良 ことがあげられます。このため、個々の患者さんのすべて く生活できるよう、今回の演習の経験を生かしてもらえれ の問題に対応するには、何人もの専門家がチームを組む必 ば幸いです。2日間お疲れ様でした。 要があります。 − 10 − 「オール北里チーム医療演習」報告 金 光 弥 加 第5学年 桑 鶴 良 季 第5学年 4月30日、5月1日に北里大学相模原キャンパスにて行 今回自分は、医学部の5年生としてオール北里チーム医 われたオール北里チーム医療演習について報告したいと思 療演習に参加させていただきました。この実習は10人程度 います。 の様々な専攻の学生が集まってチームを作り、一つのテー オール北里チーム医療演習では、医学部の学生がグルー マについて考えるといった内容で、 今回自分のチームは 「大 プに一人しかいないため、とても緊張しました。部屋に向 災害時の医療」というテーマについて考えました。 かうと数人座っていて、みんな緊張していてあまり話して このテーマについて話し合う上で難しかったのが問題点 いませんでした。先生が来てから自己紹介を行い、チーム の抽出でした。様々な専攻の学生が集まってそれぞれの考 全体の緊張が少しだけ解けた様子でした。 える問題点を挙げていったので、自分が考えていた問題点 その後、課題の「高齢者医療」について話し合いを始め とは大きく違った視点での意見が数多くあり、はっとする ましたが、グループの中にオール北里チーム医療演習に去 と同時に、これらをどうまとめて自分のチームの意見とし 年も参加した人がいたため、比較的スムーズに課題の抽出 て限られた時間の中で発表していくのかが非常に難しく、 などを行うことができました。はじめはお互いに遠慮がち 最後の最後までこの部分に苦しみました。 で活発な話し合いや意見交換があまりできませんでしたが、 また、いろいろと意見を出し合い、2日という短い時間 お昼の時間になってお互いの学部の将来のことや就活の話 内で発表に向けて動く中で、チーム内でも役割分担をする などをしていくうちに、だんだんとチームの雰囲気もよく 場面がいくつかあったのですが、その際に自分がやって欲 なってきました。午後の話し合いからは分からないことを しいこと、考えていることを具体的に提示しないと、お互 お互いの知識で補いあって話し合いも活発になりました。 いが思ったような結果にならず、かえってひとつの仕事に 自然に役割分担も決まり、スムーズに発表の準備も行うこ 多くの時間がかかってしまうということも学びました。こ とができました。発表準備をしていく中で優秀賞をとりた のことについては途中で気づき、チームが今どの方向に向 いとみんなで一致団結して、楽しく発表準備をすることが かっているのかを全員で意識しながら動けるようになった できました。そして、優秀賞を獲得することができました。 のでよかったと考えています。 チームみんなでとても楽しく終わることができました。 そして、昼休みなどにお互いの学部の実情や、面白い実 2日間を終えてみると、あんなに緊張していたのにあっ 習のことについて話したり、チームのメンバーと仲良くな という間に終わってしまって、はじめは大変でしたが楽し れたこと、発表の後の懇親会などでみんなと話せてよかっ い思い出もできました。将来的にどのように他の医療従事 た、医学部の人が意外と怖くなくてよかった、などの言葉 者と関わっていけば良いのか、どんな雰囲気で話し合いを をもらったりしたことが、オール北里チーム医療演習を通 することが大切かなど身をもって経験することができまし じて個人的に嬉しく思いました。 た。将来、今回の経験を臨床の場で思い出していかせると いいなと思いました。 − 11 − BLS講習会について 齋 藤 有紀子 ⎛准教授・医学教育研究開発センター⎞ ⎝ 医学原論研究部門 ⎠ 5月9日(土)、医学原論の第一講として、BLS(一次 象を残したことと思う。 救命処置)講習が行われた。救命救急医によるレクチャー また、実習をサポートして下さる学生団体(QQ〈救急〉 と、上級生の指導による救命措置体験は、大学生活に慣れ クラブ、KALTE)のきびきびした姿は毎年頼もしい。最 始め、ともすると医学部に入学した自覚が薄れ始めるこの 初は不安そうな顔をしていた一年生が、最後は照れながら 時期に、1年生にぴりっとした緊張感を呼び覚ます。 も自信の交じった笑顔で帰っていく。教員の介入がない、 今年は講師として、樫見文枝先生と服部潤先生のお二人 学生同士の学び合い/教え合いには、他に代え難い魅力と のドクターをお招きし、例年以上に充実した実習となった。 効用がある。 医学的データに基づくていねいな説明と、分かりやすい実 1年生には、これから何度でも講習を重ね、市民として、 演(熱演)は、将来のロールモデルとして、学生に強く印 医学生として、頼れる存在になっていってほしい。 BLS 講 習 会 報 告 坪 田 梨 央 第1学年 (医学部) の命を救うことができる医師の仕事に憧れを抱いたのだと 思う。目の前で人が倒れ、自分は何もできず呆然として、 その人が死ぬのを見守るということだけは避けたいと心か ら思った。この時、父と一緒にいなかったら、と思うと怖 今回の講習によって、BLSの大切さを再認識できた。自 くてたまらない。 分が心肺蘇生法(CPR)をできるか否かで、心停止した人 この体験を胸に、私は今回の講習に臨んだので、救急医 が生きるか死ぬかが変わってくる。 の方のお話の一つひとつが、本当にためになった。 私がこの事実を初めて認識したのは小学5年生の時だ。 実際に胸骨圧迫をやってみると、強く、速く、絶え間な 家の前で父とキャッチボールをしていた時、配達に来た男 い胸骨圧迫というのは、想像していた以上に体力を使うも 性がいきなり目の前で崩れ落ちた。父がかけ寄り声をかけ のであった。長時間やっていると、胸骨を押す力がどんど たが応答が無く、とても静かに道に横たわっているように ん弱くなり、1分間あたりの回数も減っていってしまう。こ も見えた。男性の意識がないことを確認した父は、私に家 れでは、効果のある圧迫ができていない。途中で周りの人 に戻って救急車を呼べと叫び、手にしていたグローブを男 に替わってもらった。この交替をする時にも、胸骨圧迫は 性の肩の下にはさんで胸骨圧迫を始めた。講習を受けた今、 絶え間なく行わなければいけない。 「1・2・3(交替) 」と あのグローブは、気道確保した状態を保ったままにするた いうようにかけ声をかけることが大事なのだと気がついた。 めにはさんでいたのだとわかる。父の臨機応変な態度に尊 そして、今後いつ、どこでBLSが必要になるか分からな 敬の念を持った。 いということから、周囲の安全の確認、CPRの手順の理解、 その後、救急車が到着し、その場で実際にAEDを使う AEDの使い方などを、しっかり自分の頭にたたき込んで のを見た。電気ショックをかけられた男性の身体が、ビク おかなければならないという危機感も持った。また、忘れ ンと大きく跳ねたときの映像が、今でも目に焼きついてい てはいけないのは、 「この人は自分が助けるぞ」という強 る。数日後、警察の方から、男性が助かったという連絡を い意思だと感じた。強い意思を持ち、今後、現場に立ち合 もらい、父と共に喜んだ。この体験があったから、私は人 うことがあれば、率先して臨機応変に行動したいと思う。 − 12 − KALTE 矢 嶋 文 第4学年 (医学部) QQ〈救急〉クラブ 越 後 柚 子 第2学年 (医療衛生学部) 新入生対象のBLS講習会に、教える側として参加し始め QQ〈救急〉クラブでは、一次救命処置であるAEDを含 てからもう3年が経ちました。今回の講習会の感想ととも む心肺蘇生法、気道異物除去法をはじめとし、応急手当で に、現在所属しているKALTE(Kitasato Advanced Life ある三角巾を用いての固定法、回復体位などの技術習得だ support study Team for Emergency)の活動について述 けでなく、学内・学外でも、学生や一般の方に知識を普及 べさせていただきたいと思います。 していくことを目的として、日々活動に励んでいます。 現在、BLS(一次救命処置)は、自動車教習所や消防署 常に命と接することになる医療現場では、迅速な対応が での講習会などで一般市民向けに教えられており、誰もが 求められます。その点で、日常救命の知識を習得すること 一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。実際 は必要不可欠になります。今回の医学部第1学年実習補助 に今年の1年生の中にも、運転免許証を持っている学生 では、指導員として参加させていただき、その日常救命の や自動車教習所に通っている人がおり、BLSを知っている、 知識を医学部学生の皆さんに教えることが出来ました。毎 BLS講習を受けたことがある、といった声が聞かれました。 年、この機会を部員一同大切にしています。実習前には、 今回の講習会では、胸骨圧迫(心臓マッサージ)の方法、 一次救命処置、応急手当の知識を部員全員で確認し合い、 AEDの使用方法だけでなく、窒息解除や回復体位も勉強 それぞれの知識、そして指導にばらつきがないようにしま しました。1年生は皆、積極的に参加していました。BLS した。 のアルゴリズムをお互いに教えあったり、疑問点があれば 今回の実習では、成人の心肺蘇生法、乳児・小児の心肺 すぐに質問をしたりなど、楽しみながら学習してもらえた 蘇生法、AEDの使用法、回復体位、気道異物除去法を行 のではないかと思います。 いました。今まで、先輩方にこのような知識や実技を教わ 医学部に入りたい、医師になりたい、と思った理由は人 る立場であった私たちが、今回初めて教える立場となり、 それぞれだと思いますが、少なくとも「人を救いたい、役 指導者としての責任の重さを実感しました。また、部活動 に立ちたい」という思いが心のどこかにあるからこそ、私 では展示説明の練習を何度も行いましたが、すべてがその たちはこの学部に入学したのではないでしょうか。目の前 マニュアル通りではなく、初めての人に合わせた教え方や、 で人が倒れ、心肺停止状態になったとき、私たちにできる 受講生一人ひとりにあった説明を行うことの大切さを実感 ことはBLSです。「迅速な119番通報」「質の高い心肺蘇生」 することができました。医学部の学生さん方は、私達の説 「AEDによる除細動」を適切に行うことによって、救命率 明を熱心に聞いて下さり、分からないことがあれば積極的 も後遺症の重さも大きく変わってきます。まだライセンス に質問して下さるなど、とても意識が高く、将来の医療人 もスキルもない私たちですが、知識は今すぐにでも手に入 としてとても頼もしく感じました。私達自身も、より多く れることができます。BLSは、そばに居合わせた人で行え の知識を身に付けられるよう、より一層今後の活動に力を る一次救命処置です。しかしどんなにがんばっても、知ら 入れていこうと、とても良い刺激になり、教えるだけでな なければ行うことはできません。その知識が、目の前の人 く、教えられることも多くありました。練習する回数を重 を救うきっかけになるかもしれません。今回講習を受けた ねていくうちに、始めはぎこちなかった手技が、流れをつ ことで、自分もいざというときにはBLSを行うことができ かみ、スムーズに出来るようになっていく医学部の学生さ る、と自信を持ってもらえたらと思っています。 ん方の姿を見て、私達もとても嬉しく思いました。 また、今年、KALTEでは、ACLS(二次救命処置)や 今回の医学部第1学年実習補助につきましては、私の至 外傷などをメインに、さまざまなワークショップや勉強会 らぬ点も多々あったかと思います。樫見文枝先生をはじ を学内で開催したいと考えております(昨年は、他大学と め、服部潤先生、医学部事務室の方々、お手伝いのお声掛 合同でワークショップを開催していました)。二次救命処 けをして下さったすべての方々にお礼を申し上げます。あ 置とは、院内で医師等の専門職により行われる心肺停止に りがとうございました。この機会を通し、一人でも多くの 対する処置のことです。一般教養ばかりで「自分は何学部 方が日常救命を身近に感じていただくことが出来たらと に入ったのだろうか・・・」と感じている1年生もいるか 思います。 も知れません。BLS講習会をきっかけに、さらにもうワン ランク進んだことを勉強したい!と思った1年生、ぜひ一 度、ワークショップや勉強会に参加していただければと思 います。医学部だからこそ勉強できることがあります。一 緒に勉強していきましょう! − 13 − 研究単位紹介 救命救急医学 浅 利 靖 (教授・救命救急医学) 救命救急医学は、昭和61年に独立した単位として設置さ 救急集中治療室(EICU) (20床) 、救急病棟(18床)を運 れ、大和田隆先生が初代教授に就任されました。北里大学 営しています。平成26年度の受け入れ患者数は2,475名で、 病院には同時に救命救急センターが開設され、どちらも今 EICU入院が913名、救急病棟入院が304名でした。厚生労 年、30周年を迎えます。平成15年9月には相馬一亥先生が 働省の救命救急センター充実度評価の基準で重症患者は 二代目主任教授に就任され、救急医をコアとした金城鉄壁 1,879件(病院外心停止604件、重症脳血管障害261件、重 な救命救急センターを設立されました。平成26年2月には、 症外傷166件、重症敗血症 146件、重症急性冠症候群122件、 昭和61年に救命救急医学の一期生として大和田門下に入門 重症急性中毒118件、重症急性心不全68件、重症大動脈疾 した浅利靖が三代目教授に就任いたしました。「三代続け 患60例、上記以外での意識障害73件、緊急内視鏡を実施し ば末代続く」 「名家三代続かず」と三代目が家運を傾かせ た消化管出血51件、重症熱傷25件など)でした。 ると言いますが、逆に三代目が堅実にしっかりとやれば後 また、当センターでは平成23年より地域の消防本部と協 は末長く栄えるということでもあり、兜の緒を締めながら 定を結び、ドクターカーの積極的な運用を行っています。 30年の歴史をさらに前進させたいと思います。 年間約100~120件の現場出動があります。ドクターカーは 救命救急医学は、医学部の一単位として教育、研究、診 救助に時間を要する重症外傷や多数傷病者発生事故で有効 療の3つの役割を担っています。 とされていますが、当院では救急隊が心筋梗塞を強く疑う 教育については、医学部学生や研修医などへの救急医学 場合にも出動し、循環器内科の協力のもと心臓カテーテル 教育が主となります。救急とは単に時間外診療であると 治療(PCI)までの時間を有意に短縮することができてい 思っている学生もいますので、救急医療とは突然発生した ます。さらに14階建ての本館の屋上には中型ヘリまで着陸 最悪の事態に最善の医療を行うことであり、尊い命を救う 可能な夜間照明付きのヘリポートがあり、遠方からの患者 ことができる「遣り甲斐のある」救命救急医療を教育した 搬送も受け入れています。 いと考えています。 平成26年度からは、病棟での診療体制をチーム制に変更 研究については、重症患者の救命を大きなテーマに、過 しました。これにより初期研修医の研修効率は改善し、当 大なストレス(侵襲)下の生体反応の研究、外傷、蘇生、 直の翌日は休める労働環境も確保できつつあります。 中毒、集中治療、栄養管理などの臨床研究、さらにプレホ 救命救急医学では、active & aggressiveをmottoに、救 スピタルを含めた救急医療体制や救急医療の質評価のため 急対応ができる医師の育成と救急医学の進歩に貢献できる の指標についての検討、多数傷病者や特殊災害への効果的 研究を行い、さらに地域の救急医療の最後の砦の役割を担 な対応などのテーマに各医師が取り組んでいます。 うために更なる努力をしていくつもりです。救急医療を学 診療は、北里大学病院救命救急・災害医療センターを臨 びたい、実践したい方はいつでも歓迎します。 床実践の場としています。救命救急 センターは、新病院開設にむけて平 成25年10月に名称が救命救急・災害 医療センターに変更されました。こ れは、30年以内に70%の確率で発生 すると言われている都心南部地震な どの大規模災害時にも地域に貢献す るという北里大学病院の覚悟を表し ていると思います。 救命救急・災害医療センターは、 救命救急医学所属の12名の救急医を コアに、各診療科からの専従指導医 13名、さらに病棟医、初期研修医 など計35名ほどの医師と、約100名 の看護師、放射線技師、事務職員 などが24時間365日救急車を受入れ、 集合写真 − 14 − 平成27年度 北里大学進学相談会一覧 開催日 2015/8/1㈯ 8/2㈰ 8/23㈰ 10/4㈰ 11/7㈯ 11/8㈰ 2016/3/20㈰ 名 称 北里大学進学説明会(第2回オープンキャンパス) 北里大学進学説明会(第3回オープンキャンパス) 北里大学第1回進学相談会 北里大学第2回進学相談会 ※北里祭同時開催 北里大学説明会(第1回オープンキャンパス) 開催地 8/1 10:00~16:00 8/2 10:00~16:00 10:00~16:00 10:00~16:00 10:00~16:00 相 模 原 相 模 原 相 模 原 相 模 原 10:00~16:00 相 模 原 平成27年度 予備校等主催進学相談会一覧 ◎は全学で参加 開催日 2015/7/4 ㈯ 7/11 ㈯ 7/11 ㈯ 7/16 ㈭ 7/19 ㈰ 7/19 ㈰ 7/25 ㈯ 8/3 ㈪ 8/4 ㈫ 8/7 ㈮ 8/8 ㈯ 8/12 ㈬ 8/16 ㈰ 8/22 ㈯ 8/29 ㈯ 9/6 ㈰ 9/12 ㈯ 9/23 ㈬ 10/11 ㈰ 資料参加 開催日 2015/8/1 ㈯ 8/23 ㈰ 9/12 ㈯ 9/13 ㈰ 名 称(主 催) 医療系大学合同入試説明会(北里・昭和・帝京・東邦 合同開催) ◎夢ナビライブ 2015(フロムページ) 医療系大学合同入試説明会(北里・昭和・帝京・東邦 合同開催) 医学部入試大学説明会(YMS) 医学部進学フェスタ 2015(日経 BP) 医学部入試説明会(メディカルラボさいたま校) 私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会) 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 茨城県修学資金貸与制度説明会 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会) 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 医系大学フェア(進学塾ビッグバン) 医系大学フェア(進学塾ビッグバン) 私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会) 医学部進学フェア 2015(学研) 私立医科系大学進学相談会(教育広報社) 医系大入試相談会(東京医進学院) 医学部まるごと相談会(レクサス教育センター) 名 称(主 催) 全国医学部進学相談会(北九州予備校) 医系大学フェア(進学塾ビッグバン) 私立医科大学合同説明会(私立医科大学協会) 医学部まるごと相談会(レクサス教育センター) 10:30 ~ 17:00 13:30 ~ 16:00 10:30 ~ 17:00 14:00 ~ 16:00 11:30 ~ 16:00 12:00 ~ 18:00 12:00 ~ 18:00 10:00 ~ 16:00 12:00 ~ 18:00 13:00 ~ 16:00 13:00 ~ 16:00 11:30 ~ 16:00 13:00 ~ 17:00 11:00 ~ 17:00 12:00 ~ 18:00 13:00 ~ 16:00 11:30 ~ 16:00 開催地 福 岡 東 京 大 阪 代 々 木 秋 葉 原 さいたま 相模原(北 里 大 学) 仙 台 水 戸 福 岡 板 橋(帝 京 大 学) 名 古 屋 大 阪 御茶ノ水 兵 庫(兵庫医科大学) 五 反 田 青 海 市 ヶ 谷 渋 谷 開催地 北 九 州 御茶ノ水 久留米(久 留 米 大 学) 渋 谷 平成28年度 入学試験学生募集要項概要 指定校推薦入試 募 集 人 員 出 願 期 間 試 験 日 合 格 発 表 日 入学手続締切日 選 抜 方 法 一般入試・学士入試 募 出 集 願 試 人 期 験 員 間 日 合 格 発 表 日 入学手続締切日 選 抜 方 法 辞 退 締 切 日 地 域 枠 ・ 修 学 資 金 枠 に つ い て 35名 平成27年11月2日㈪~11月9日㈪ 平成27年11月15日㈰ 平成27年11月18日㈬ 15:00 平成27年11月27日㈮ 論文、適性検査、面接、健康診断 1次 2次 一般入試 84名(地域枠・修学資金枠10名を含む) ・ 学士入試 若干名 平成27年12月17日㈭~平成28年1月25日㈪ 試験日選択 平成28年2月6日㈯ 平成28年1月30日㈯ 平成28年2月7日㈰ 平成28年2月4日㈭ 15:00 平成28年2月10日㈬ 15:00 平成28年2月18日㈭ 【一般入試】 数学、英語、理科(生物・物理・化学の中から2科 目選択) 【学士入試】 論文、適性検査、面接、健康診断 数学、英語、理科(生物・化学) *数学は一般入試問題の一部、英語・理科は一般入 試問題と同じ。 平成28年3月31日㈭ 17:00 ※締切日必着(郵送または持参) ①山梨県地域枠 2名 第2次試験の通常の面接に加えて、山梨県の奨学金制度の適用を受けるための面接を実施し ます。(出願時に選択) ②茨城県地域枠 2名 出願前に茨城県による修学資金貸与のための面接が実施されます。(出願時に選択) ③相模原市修学資金枠 1名 第2次試験の通常の面接に加えて、相模原市の奨学金制度の適用を受けるための面 接を実施します。(出願時に選択) ※神奈川県地域枠 5名 入学者(指定校推薦入学を含み、学士入学を除く)の中から入学後に募集・選考を行います。 − 15 − テトラヒメナ ゾウリムシの仲間であるテトラヒメナは、水たまりや池など身近な場所に生息してい る単細胞真核生物で、細胞内に二種類の細胞核(小核と大核)を持つのが特徴です。小 核にはゲノムDNAが保持されていて、細胞の生殖や遺伝情報の伝達に機能します。一方、 大核では代謝に必要なゲノムDNAが増幅されていて、通常はこの核の情報により細胞は 活動します。そのため、小核と大核はそれぞれ生殖細胞と体細胞の起源と考えられてい ます。このような遺伝情報のバックアップと効率的利用を両立する、素晴らしい生命シ ステムを備えたテトラヒメナは、とても魅力的な生物だと思います。あまり馴染みのない 生物かもしれませんが、リボザイムやテロメアなど、ノーベル賞の受賞対象の研究に用 いられてきたモデル生物です。学生さんからテロメアについて質問された際にふと思い出 しましたので、ご紹介させていただきました。 (Y・S) 北里大学医学部教員教育セミナーへのお誘い 医学部の夏の恒例イベントのひとつ、教員教育セミナーに参加してみませんか? “教員になったけれど、どのように講義をしたら良いのかわからない” “学生に「理解するのが難しい」といわれる分野 をわかりやすく講義するにはどうしたらよいのか” “学生が自分の講義や実習をどのくらい理解しているのか、適切に評 価するにはどうすればよいのか” などの教育に関する疑問を解消するヒントが、教員教育セミナーにはあります。 今年のテーマは下記の通り。基本に戻って“魅力ある講義の組み立て方と話し方”や適切な評価方法などを学びます。 「マ イクロティーチング」では、小グループの中でお互いにミニレクチャーを行ってビデオ撮影し、自らを振り返るとともに、 グループ内でお互いにアドバイスを行い、講義の改善に役立てます。 このセミナーに参加することで、普段は交流の少ない教員同士も知り合いになることができます。懇親会、 ベストティー チャー賞受賞者講演も毎年大変好評です。一昨年から対象者以外にも希望者は参加することができるようになりました。 参加ご希望の方は、教務課(m-kyomu@med.kitasato-u.ac.jp)までご連絡ください。皆様のご参加をお待ちしております。 (FD実行委員会委員長:医学教育研究開発センター医学教育研究部門 守屋利佳) 1.日 時:平成27年8月7日(金)~8日(土) 2.場 所:オンワード総合研究所人財開発センター(横浜市都筑区) 3.内 容:1)北里大学医学部の教育について/学生に魅力ある教育とは(マイクロティーチングを含む) 2)学習者の適切な評価とは 、4病院教育担当者、学生・ 4.参加対象者:医学部教員(新規着任教員*、昇任教員*、学生教育担当者、興味のある方等) 研修医 *昨年度未参加の教員を含む 5.タスクフォース:実行委員(教育委員会委員)、富士研研修者、外部講師 編 集 後 記 今月号の北里大学医学部ニューズには、「オール北里チー ム医療演習」報告と、「BLS講習会」についての報告が掲載 されています。「オール北里チーム医療演習」はちょうど 10年前から始まったチーム医療教育プログラムですが、今 では北里大学を象徴するイベントとして知れ渡っています。 医学部、薬学部、看護学部、医療衛生学部と保健衛生専門 学院、看護専門学校の約1,200名の学生が一堂に集まり、丸 2日間かけて職種間の相互理解と連携を深めるという大規 模な演習プログラムは、他大学ではあまり聞いたことがあ りません。学生の時から他学部の学生との交流を行い、相 互に理解を深める教育を行うことにより、チーム医療の意 識が形成され、それが北里大学病院での医療を支えている のだと改めて感じました。また、医学部1年生に対するプ ログラムであるBLS講習会を、他の学年の学生がサポート しているということも、まさに北里大学らしいと感じまし た。先輩から後輩へ知識と技術が伝達される、まさに屋根 瓦方式の教育が実践されていると思います。 北里大学ではその他にもいろいろな機会で、学生が他学 年との交流や教員との交流を行う場が設けられています。 学生生活の間にいろいろな方との交流を経験し、広い視野 を持つ良識ある医療人を育てていく、「人間を育てる」 「医 師を育てる」という北里大学医学部の教育理念が活かされ ているプログラムであると思いました。(Y・M) 医学部ニューズ〔第358号〕 http://www.med.kitasato-u.ac.jp/ - 未 来 科 学 の 創 造- 2012年北里大学創立50周年 ●発行責任者 東 原 正 明 2014年北里研究所創立100周年 ●編集責任者 村 雲 芳 樹 〒252-0374 相模原市南区北里1-15-1 北里大学医学部内 医学部ニューズ編集委員会 TEL.042-778-8704 (直通) FAX.042-778-9262 E-mail m-news@kitasato-u.ac.jp ●発 行 日 平成27年 6 月30日発行
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