小規模の太陽光発電システムに関する研究 森田圭介 砂辺直也 1.はじめに 逸見次郎(崇城大学) 出力は 36.4[W]。これに対して制御点の出力は 34.2[W] 社会活動が活発化する中で豊かさを享受してきた代 と約 0.6%のずれが見られた。 償に、地球温暖化と共に化石資源の枯渇を招きつつあ 表1 適用負荷 る。このような状況の中で、エネルギーと地球環境を 解くために、環境負荷の少ない新エネルギーが期待さ 負荷 定常(始動)電流[A] 消費電力[W] れている。新エネルギーには太陽光、風力、バイオマ ノートパソコン 0,6 (1.0) 約 45~約 63 ス、小水力発電などがある。中でも太陽光発電は様々 15 型液晶テレビ 0,6 (0.6) 約 40~約 50 な場所への適用が可能であり、小規模でも簡単に設置 オーディオ 0,3 (0.6) 約 31~約 36 できるなどから普及化が進み、今後も需要の拡大が見 携帯電話 0,3 (0.6) 約 28 込まれている。しかし、補助金制度が打ち切られたこ 蛍光灯 0,3 (0.6) 約 30 とによって、導入に赤信号が点灯しつつある。太陽光 発電は温暖化防止とエネルギー確保の観点から、我々 しかし、日射量が増加するにつれて、モジュールの最 はベランダや物干し場などに広げて発電できる小規模 大出力点と制御点とのずれは 0.1%以内に抑えられて なシステム開発を行っている。今回は、小規模システ いる。 ムの回路構成と運転制御特性ついて検討したので報告 36.4W します。 2.システム構成と適用負荷 図 1 は小規模型のシステムの構成図である。太陽電 池にはフィルム状アモルファスモジュールを用い、補 助電源にメンテナンスフリーのバッテリー(12V、5Ah)、 およびインバータから構成されている。発電容量は 100[W]を 1 つのシステムとしているので、1 単位のシ ステムとして用いる場合には使用できる負荷に表1に (a) 600[w/m²] 示すように制限を設けている。 Solar Inver module ter C.C module Load 約 70[W] 15.5[V] Battery (b) 4.5[A] 800[w/m²] 4.運転特性 図1 システム構成図 3.制御特性 図2は、電圧一定制御を行なった場合の動作点の推 移を見たものである。日射量 600[w/m²]における最大 図3(a)に小規模太陽光発電システムの外観を、(b)には インバータの出力電圧波形例を示した。インバータの出力電 圧は方形波で100[V]、60[Hz]を出力している。 (c) 1000[w/m²] 図2 日射量が変化した場合の動作点 (a)蛍光灯の電流波形 (a) 外観 (b)扇風機の電流波形 図4 各負荷の出力電流波形例 では1%前後に達するが、それ以上の日射域ではほ ぼ0とみなせる。また、適用負荷に対して良好な低 電圧特性が得られた。 今回はフィルム状太陽電池を用いて軽量化と安全 性などについて検討していく予定である。 参考文献 (b)インバータの出力電圧波形例 図3 小規模太陽光発電システム 図4は各負荷の始動時および定常時における出力電 流波形を示したものである。(a)の蛍光灯負荷の場合、 (1) 森田、他「ポータブル型太陽光発電システ ムの開発」 平成19年度電気関係学会九州 渋大会No.05-2A-06(2007) (2) 森田、他「ポータブル型太陽光発電システ 放電開始の電流は 0.6[A]で 0.3 秒後に放電し、0.4[A] ムの開発(Ⅱ)」太陽/風力エネルギー学会 の定常電流に達している。また、(b)の扇風機では、始 講演論文集No.82,pp349-352(2007) 動電流のピーク値は 0.45[A]で約 1/100 秒後に定常電 問い合わせ 流に達する。 崇城大学情報学部CST学科 E-mail:itusmi@cis.sojo-u.ac.jp 5.まとめ 電圧一定制御における基準点からのずれは低日射域 逸見次郎
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