月刊 第36巻第12号通巻424号2014年12月1日発行(毎月1回1日発行)1980年10月23日第3種郵便物認可 12 2014年 「会社」 を買っていただける広報活動を ◆第30回「企業広報賞」受賞者インタビュー ◆企業広報研究 カルビー(株)代表取締役会長兼CEO 松本 晃 「ガイアの夜明け」 の作り方 (株)テレビ東京 報道局 報道番組センター 「ガイアの夜明け」チーフ・プロデューサー 野口雄史 (株)テレビ東京 アナウンサー 塩田真弓 ◆社会広聴アンケート ◆メディアに聞く 424 December 生活者の75%が、健康維持増進や疾病予防が 自己の医療費負担軽減につながると認識 -「健康維持増進に関するアンケート」 調査結果- 産経新聞東京本社 編集局 社会部・科学部 部長 三笠博志 今 月 の 表 紙 竹中工務店の 「大工道具館」 。正門をくぐると、日本の伝 統美をちりばめた 「和」 の建築や、研ぎ澄まされた大工道 具を楽しむことができる空間となっている 第30回 「企業広報賞」 受賞者インタビュー 2014年12月号目次 「会社」を買っていただける広報活動を 2 松本 晃(カルビー(株) 代表取締役会長兼CEO) メディアに聞く 立体的な報道には社会部と科学部双方の要素が必要 5 三笠博志(産経新聞東京本社 編集局 社会部・科学部 部長) 企業広報研究 「ガイアの夜明け」 の作り方 野口雄史((株)テレビ東京 報道局 報道番組センター「ガイアの夜明け」チーフ・プロデューサー) 塩田真弓((株)テレビ東京 アナウンサー) 6 社会広聴アンケート 『経済広報』では、裏表紙に関連する写真・イラストを表紙に 掲載しています。 生活者の75%が、健康維持増進や疾病予防が 自己の医療費負担軽減につながると認識 -「健康維持増進に関するアンケート」調査結果- 8 海外メディア事情 グローバルメディアとの 「いい関係」 トムソン・ロイター・マーケッツ 12 グループ広報研究⑤ ホールディングスと事業会社が一体となった広報組織で 統一感ある社内外コミュニケーションを展開 14 (株)三菱ケミカルホールディングス ANGLE 「帝国ホテル」 のブランド向上を目指して 12 風間 淳((株)帝国ホテル 執行役員 ホテル事業統括部長) 17 広報管理職講座④ 月の動 き トップとの付き合い方 篠崎良一(PR総研 所長/広報の学校 学校長) 22 総目次 国内 5日 10月の景気動向指数速報 (内閣府) 8日 10月の国際収支速報 (財務省) 11月の景気ウォッチャー調査 (内閣府) 10日 11月の消費動向調査結果 (内閣府) 17日 11月の貿易統計 (財務省) 18 ~ 19日 日銀の金融政策決定会合 26日 11月の失業率 (総務省) 11月の有効求人倍率 (厚生労働省) 30日 大納会 (東京証券取引所など) 2014年1〜 12月号 23 連載 経済広報センター NEWS 企業広報ニュース(ウェブサイト/教育支援/広報トピックス/ Book) 企業・団体のCSR活動( (公財) 竹中大工道具館) 12月の動き 18 20 裏表紙 表紙裏 海外 4日 ECB (欧州中央銀行) 定例理事会 (ドイツ・フランクフルト) 5日 11月の米雇用統計 (米労働省) 10月の米貿易収支 (米商務省) 11日 11月の米小売売上高 (米商務省) 16日 11月の米住宅着工件数 (米商務省) 16 ~ 17日 FOMC(米連邦公開市場委員会) (米FRB(連邦準備制度理事会)) 発行/一般財団法人経済広報センター 国内広報部 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館 TEL:03-6741-0021 印刷/三葉株式会社 TEL:03-3294-4751 ※本誌掲載の記事・写真・イラスト・図版の無断掲載を禁じます。 2014年12月号〔経済広報〕 1 第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞 受賞者インタビュー 受賞者インタビュー 「会社」を買って いただける 広報活動を 思います。 なおかつ広報活動には、あまりコストがかからな ■聞き手:中山 洋 経済広報センター 常務理事・事務局長 第30回「企業広報賞」の表彰式が9月2日に開催された(本誌10月号参照)。今月号では、企業広報経営者 賞を受賞されたカルビーの松本晃代表取締役会長兼CEOのインタビューを掲載する。 すべてのステークホルダーから 愛される会社に ■創業家以外の経営者として、どのようなビジョン の下、改革をしてこられましたか。 松本 「顧客・取引先から、次に従業員とその家族 ティ」や 「社会貢献活動」の取り組み内容、その情 と言って経営すると、実際はうまくいきません。 事実をありのままに話す 報発信についてお聞かせください。 告・宣伝を通じて 「この商品」を買おうとしてくだ 松本 ダイバーシティを推進しないと会社は良く さいますが、広報活動の場合は「この会社」を買って ならない。特定の人しか使いませんという時代は、 くださいます。会社を買っていただくことは大事で とっくの昔に終わりました。例えばプロ野球やサッ す。私は片方だけをやれと言っているわけではなく カー、相撲でも、日本人だけでやる時代ではなくな て、両方大事だと思っています。それにしても広 りました。今、企業が一番活用していないのは女性 告・宣伝は高いですな(笑)。 で、次に外国人、身体の一部に障がいのある人たち、 その人たちを入れて徹底的に多様化しないと、うまく いきません。カルビーを世界で通用する会社にするに ■社内の意識共有のため、どのようなコミュニケー は、ダイバーシティを推進する必要があるんです。 ション活動をされていますか。また、どのような 私の役目は、この会社を成長させることです。成 点に気を付けていらっしゃいますか。 長して、たくさんの良い商品を作って新しいことを 松本 私個人はIT系には弱いのですが、人と直接 やらなければ、お客さまと、この会社に原料や機械 話をする、面談するというのは、結構こまめにやっ などを供給したり商品を売ったりしてくださってい ています。私は古い人間ですから、その方が効果が る取引先に喜んでいただけない。お金を稼がないと あったし、良いと思っています。 社員は困る。社員の家族も困る。次にコミュニティ カルビーに来て始めたのが、 「タウンホール・ミー が困る。コミュニティのひとつは国で、会社は利益 ■多様なお客さまとメディアを介してコミュニケー ティング」です。現在、工場、支店、開発拠点など を出して税金を払わなければいけません。そしてそ ションされている御社が、広報活動で特に重視し が全国に25カ所あります。1カ所ずつ行って、こ の後、株主さまのために、株価を上げ配当を上げる ていること、心掛けていることは何ですか。 ちらから話をして、社員からいろいろな質問を受け というのが、会社の任務です。ダイバーシティを進 から、そしてコミュニティから、最後に株主から尊 松本 今回、企業広報賞を頂きましたが、カルビー て2時間。その後に1時間半ぐらいの懇親会です。 めなければ、それが達成できるはずがないのです。 敬され、賞賛され、そして愛される会社になる」と が昔から広報を大切にしていなかったわけではあり 全拠点に年に2回ずつ行って、合計50日。合同で ■各企業の考え方も変わりつつあります。 いうカルビーグループビジョンそのものですね。会 ません。しかし広報・IR活動がこんなにも大事だ 開催することもありますから1年で最低40日は 「タ 松本 本当に変わるのか変わらないのか、日本企業 長に就任してすぐに、このビジョンをつくったので という認識が弱かったのかもしれません。以前か ウンホール・ミーティング」に出掛けています。 は今が正念場でしょう。メジャーな企業が果敢に挑 すが、まず顧客と取引先に責任を果たし、2番目は ら、一般消費者の方々に向けた広告・宣伝には注力 それから、松尾雅彦元社長と月に1回、土曜日の 戦しないといけないですよ。 「総論賛成、実際はやら 従業員と従業員の家族、3番目が広い意味でのコ してきました。広告・宣伝を否定するものではあり 朝10時から夜7時まで丸一日、塾をやっています。 ない」というのが今の問題です。皆さん、必要性は ミュニティで、株主は大事だけど4番目というもの ませんが、広報とは全く違うものです。私は広報・ 何か特定のことを教えるのではなく 「勉強すること 分かっているが、「はい、あなたの会社は?」となる です。ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の IR活動は大変重要だと思っていますし、それを実 は大事だよね」と気付いてもらう場で、もう4年以 と、できない。やれば変わると思います。それをや 社長をしていたころから、この通りに経営すれば会 行してきました。 上やっていますかね。これも各地に出掛けていくん ることは、今までの男性、特に年長者の持っている 広報活動の基本は、取材を拒否しない、メディア です。できる限り現場の人たちと直接コミュニケー 特権が失われるということです。自ら率先垂範して ただ、私が来てカルビーを立て直したように言わ を選ばない、ということです。誰に対してもオープ トするようにしています。このほかには、社員と営 捨てる勇気があるかどうかです。 れましたが、そのようなことではないですよ。もと ンマインドで、いつも正直に、事実をありのままに 業現場を回っています。 もと、良い会社です。ただ良い会社でも、やはり良 話すことが大事です。会社は全部が良いことばかり そういうことに時間をかけていますので、社内で なったり変な方向に行ってしまいます。忍耐が必要 い所とそうでもない所があります。良い所を残し ではありません。でも化粧なんかしてもすぐにばれ の会議などにはできるだけ時間をかけない。私の出 で、コツコツと進めなければいけません。私は 「カ て、そうでもない所を変えただけなんです。 てしまうわけですから、 「ばれていい、みんな正直に るべき定例会議は、経営委員会と取締役会、月に2 ルビーの女性管理職比率は現在14.3%だが、これを ■株主第一という言葉もよく聞かれますが、必ずし 言ったほうがいい」と言っています。 「このメディア 回しかありません。できるだけ会議はやるなと言っ 毎年3%ずつ上げて“にいまる・さんまる一番乗り” なら話すけど、あそこには話さない」ということも ています。社内で会議ばかりしていては現場に行け を目指せ」と言っています。一度に増やすと反動が 松本 株主を大切にしようと思ったら、この順番で ありません。もっと言えば、 「このメディアには話さ ませんよね。できる限り出掛けてお客さまや社員と 出る可能性がありますから、決めた数字で毎年増や 大切にしていかないと、うまくいきません。今は顧 ない方がいいですよ」と人が言うところにこそ、正 直接話をすることに重点を置いています。 していくことです。でも上がる角度、傾斜が小さい 客が1番というのが常識ですが、2番は株主なんだ 直にきちんと話して、味方になってもらうべきだと 社はうまくいくという信念を持っていました。 も1番ではないということでしょうか。 2 ■コミットメント項目にされている「ダイバーシ 金がかかりますが、広報活動は手間さえ厭わなけ 会議よりも現場で話す時間を大切に カルビー(株) 代表取締役会長兼CEO ダイバーシティ推進は率先垂範で いからいいですよね。広告・宣伝はどうしてもお れば、コストはあまりかからない。お客さまは、広 松 本 晃(まつもと・あきら) 第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞 〔経済広報〕2014年12月号 ダイバーシティは、急ぐと、ただの数字合わせに とダメですね。 2014年12月号〔経済広報〕 3 第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞 受賞者インタビュー メディアに聞く 社 会 貢 献 活 動、 つ ま りContributionも、 会 社 立体的な報道には社会部と 科学部双方の要素が必要 と し て は 当 た り 前 の こ と で す。 日 本 の 企 業 は、 ContributionとCharityの区別がついていない。例え ば災害への義援金はCharityで、その都度のもので、 見返りを期待してはいけないものです。 Contributionは、「必ずかどうかは分からないが、 いつか返ってくる」という、長期の投資です。会社 は、物やサービスを売って対価を頂いて、その利益 ■社会部と科学部の両部長を兼任されているが。 をどう使うかという時に、長期に投資しておくべき 三笠 産経新聞科学部の大きな特徴は、社会部と科 ことが必ずあります。そのひとつがContributionで 産経新聞東京本社 編集局 社会部・科学部 部長 す。設備投資には、はっきりした計算があります。 ン・エンド・ジョンソンですし、1982年のタイレ 学部の両部長を一人で兼任していることである。こ Contributionには何円の利益が出るという計算は立 ノール事件(頭痛薬に第三者によって毒物が混入さ れには社会部と科学部が密に連携することで特徴あ ちませんが、ずっと続ける投資です。コツコツやっ れた事件)です。ジョンソン・エンド・ジョンソン る報道を行うというねらいがある。社会部あるいは ていれば、いつか本当に返ってくると思います。 は世界で最も危機管理に優れた会社といわれていま 科学部が単独で報道する場合もあるが、立体的な報 フィックを効果的に使うことで、分かりやすい解説 道をするには、社会部と科学部の両方の要素が必要 を行っている。 広報の良し悪しはボディ・ブロー のように効いてくる ■日本の企業カルビーと、海外企業ジョンソン・エ ンド・ジョンソンの広報活動に違いをお感じにな りますか。日本企業がグローバルに情報発信する ためにはどのような工夫が必要でしょうか。 すが、その一番の基本はディスクロージャーです。 タイレノール事件への迅速な対応、情報公開が伝説 になっていて、30年たった今でも米国ではひとつ のベンチマークです。製品回収の損害よりも、お客 さまから得た信頼の方がはるかに高いのです。 広報は企業の成長に貢献できる になる。御嶽山の噴火、東日本大震災や地震の予知 最近では、見開きの真ん中に大きなグラフィック などの報道に対応するには、社会部と科学部の密な を使用して御嶽山の噴火のメカニズムや21世紀の 連携が必要になる。そのため、週1回は必ず部長と 災害を分かりやすく報道した。古文書に残っている 社会部と科学部の両方のデスクで情報共有を行うよ 古い災害から現代までの災害のマッピングも非常に うにしている。 精緻な内容であるが、大きなグラフィックで分かり やすく説明している。 松本 海外でも日本でも良い会社は、広報活動の重 ■御社の広報部門に期待することは何ですか。 ■産経新聞科学部の特徴は。 要性をトップマネジメントが理解して、良い人材を 松本 大変よくやっています。ただし、まだまだで 三笠 科学部は少人数ではあるが理系の記者が多 特に御嶽山噴火の報道においては、社会部と科学 置いて広報活動を行っています。一般的に日本の会 す。日本一、世界一になって、カルビーの広報が伝 く、読者の期待に応えられる的を絞った科学報道を 部で密に連携した。記事を書く上で、この面は社会 社はその重要さの認識が薄いのではないでしょう 説となるような部隊になってほしい。カルビーの売 か。ジョンソン・エンド・ジョンソンの時は社長室 上高は2000億円程度ですが、将来1兆円、10兆円 心掛けている。記者は得意分野で医療系、物理系、 部、この面は科学部といった分け方でなく、要素ご の隣が広報でした。広報活動は本当に大事で、ボ の会社になるかもしれません。広報は企業の成長に 化学系などに担当を分けているが、大きな記事の際 とに分けた。例えばメカニズムは科学部、被害拡大 ディ・ブローのように一番効いてくるものです。扱 本当に貢献できる部隊だと思います。 は全員で対応している。科学部が関心を寄せている については社会部と科学部共同で報道するなど、連 テーマは、災害分野やSTAP細胞、ノーベル賞など 携は非常にうまくいっている。 の学術研究分野や医療分野などである。これらの ■企業の技術広報に望むことは。 う案件は良いことばかりではありません。悪いこと もうひとつ、お客さまは広告を見て商品を買われ を悪いと言えることが大事です。例えばクレームや るのでしょうか。本当は広告じゃないものを見て買 リコール、大事件が起こる、ここが広報の出番で われるのです。広告だけでは「ただ売りつけるだけ テーマは社会部と連携した報道を展開している。例 三笠 世界で日本の技術が押され気味の感がある。 す。いかに正直に、いかにディスクローズしていく か。いいことばかり言って」となるでしょうが、例 えばノーベル賞でも社会現象的な扱いもするが、一 企業にはもっと明るいニュースを提供してほしい。 か。それによって将来必ず良い評判が返ってきま えば新聞報道やテレビの情報番組で、 「これが健康に 方で研究内容について科学的な解説もしている。医 デジタルデバイスは内部の部品などは日本製が多い す。隠したり言わなかったり、広報活動を大事にし 良いのか。カルビーが作っているのか」と、そうい 療分野ではエボラ出血熱の問題は、科学的な説明な が、アイデアは米国が多く、この分野では日本との なかったりするから、結局損をするんです。 うのを見て買ってくださる。これが短期的効果で、 しに社会部として取り上げても読者に伝わらない。 差もまだまだ大きいが日本にも成長の余地がある。 また、科学的に説明することが扇情的な記事の抑制 産経新聞としても報道で明るい技術開発、研究成果 にも繋がっている。 を取り上げて、日本を盛り上げていきたい。 カルビーの広報は、それを分かってくれています 本当に広報に期待するのは長期的な効果です。その が、私が就任したころはそうでもありませんでし 会社のブランドがついているだけで他社製品よりも た。 「ここまで言うんですか」 「そうじゃないんだ、早 いいんだと信じていただけるような、お客さまから く言え!」ということもありました。特に、食品や サポートされる企業になることが大事だと思いま ヘルスケアなどの会社は、隠すことでお客さまにど す。企業の経営者は広報に、もっと力を入れた方が れだけ迷惑をかけるかを考え、とにかく何でも速や いい。大事なのは、良いことも悪いことも全部さら かに正直に言うことです。それで物が売れなくなっ け出して、正直に伝えることです。一番いけないの で、分かりやすく、かつ正確性を失わないような記 てもしようがないのです。長い目で見ると会社は良 は嘘をつくことです。嘘は絶対にダメです。 k 事にするのが科学部の記者の腕の見せどころだと思 くなるんです。それを教えてくれたのがジョンソ 4 三笠博志(みかさ・ひろし) 〔経済広報〕2014年12月号 (文責:国内広報部主任研究員 伊藤貴範) 科学報道は理系の記者が取材し、分かりやすい報 道をするのが基本である。ただし、専門用語ばかり の文章にすると正確ではあるが伝わりづらくなるの う。そのひとつの手段として科学面では大型のグラ k (聞き手:国内広報部長 佐桑 徹、 文責:国内広報部主任研究員 磯部 勤) 1990年産経新聞社入社。大阪本社社会部、東京本社社会部 などを経て2009年よりコロンビア大東アジア研究所留学。 2010年産経デジタル企画部長、2011年産経デジタルメディ ア部長、2013年東京本社編集局副編集長を経て、2014年8 月から現職。 2014年12月号〔経済広報〕 5 企業広報研究 企業広報研究 「ガイアの夜明け」 の作り方 ともあると思う。一般の方なので放送による影響を 画も年に1本ぐらい実際にある。 考え、ある程度の配慮はしている。お互いの信頼関 塩田 どのようなプロセスで企画を決定するのか。 係を築いていくのが理想だ。 野口 毎週1回、企画会議があり、制作会社やディ 野 口 雄 史(のぐち・ゆうじ) レクターが提出した企画を検討する。紙に書いてあ (株) テレビ東京 報道局 報道番組センター 「ガイアの夜明け」 チーフ・プロデューサー 塩 田 真 弓(しおた・まゆみ) (株) テレビ東京 アナウンサー 秘密は厳守 る企画を映像にしたらどうなるかなどを想像しなが 塩田 プレスリリースにこんなことが書いてあると ら、議論は3~4時間ぐらい続く。 うれしい、というようなことは。 プロデューサーだけで会議を開いて、 「このテーマ 野口 「ガイアの夜明け」向けにリリースを書いてい をやった方がいい」と、ディレクターを動かすこと ただく必要はないが、私たちは、その製品・サービ もある。日本経済の問題点、社会問題、消費者が スのどこが新しくて、どこがほかと違うかに着眼す 困っていることなどを、経済活動、商品、サービス る。もし可能であれば、日本経済のこんな課題に対 経済広報センターは、10月1日、テレビ東京報道局 「ガイアの夜明け」チーフ・プロデューサー野口雄史氏 で解決・解消していく取り組み、視聴者にとって参 応するものだとか、業界全体の動き、背景、ストー とテレビ東京アナウンサー塩田真弓氏のトーク形式による企業広報講演会 「『ガイアの夜明け』の作り方」を開 考になる取り組みを取り上げ、その困難や壁を乗り リーなどの情報も頂けるとありがたい。 催した。会員企業・団体の広報担当者など約100名が参加した。 越えていく過程を見せる。好調な業界ばかりを取り プレスリリースは商品発表の時期などに合わせて 上げるという番組ではない。放送後、どの業界の方 出るものだと思うが、私たちは商品が発表になるま にも「うちも頑張ろう」と思っていただけるような内 での過程を撮りたいので、リリースの形になる前 容を目指している。一つの企業の話というよりは、 に、「こんなプロジェクトがある」とこっそり教えて 番組を通して普遍的なテーマを提示できるか、タイ もらえればと思う。機密保持契約を結びながら取材 ムリーな話題かといったことを重視している。 することもできる。そのため、行き先を明かさずに 経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」:2002年 4月14日に放送開始。テレビ東京系列で毎週火曜日22 時から、BSジャパンで毎週木曜21時から放送中。テ レビ東京ビジネスオンデマンドでも配信中。アジア16 カ国でも放送されている。 番組名が通じなかった開始当初 「ワールドビジネスサテライトならいいですよ」 と言 われたことが、私だけでも5回はある (笑) 。 そこで番組としての 「ブランド力」 をどうつけよう かと考えた。ひとつは独創性で、ほかとは違う企画 や新しい視点を大切にし、また、音楽・案内役・ナ レーションにより生み出す番組の世界観などで差別 登場人物の「本気」が魅力 出張して社内で怪しまれたこともある(笑)。 企業と共にメッセージを伝えたい 塩田 13年目を迎え放送回数630回を超えた「ガイ 化することに力を入れた。次に「この番組を見たら 塩田 番組を見ていると、魅力的な登場人物が現れ アの夜明け」は、テレビ東京報道局が中心となって こんなことが得られる」という期待値を高めていく ることが多い。どのように選んでいるのか。 塩田 広報担当者の皆さんにお願いしたいことは。 制作している。 ことを議論してきた。そして、我々のメッセージを 野口 主人公は普通の会社員で、突然取材を受ける 野口 取材対応を担当する広報の方は、長い取材の 野口 報道局には大きく分けて3つのセクション 世の中に届け、 「番組を見て勇気付けられた」 「元気に ことになった人たちだ。しかし、その人が背負った 中でブルーな気持ちになることがあると思う。企業 があり、各記者クラブに所属する記者がいる部署 なれた」 と感じていただける番組を目指してきた。 新しいプロジェクトや会社の使命や日本経済の課題 としてPRしたい点と、私たちが深掘りしていきた にチャレンジする真剣な姿、一生懸命さ、本気度 い点が異なってくることがあるからだ。広報の方と が、ものすごく魅力的となって、皆さんに共感して のやり取りになるのだが、私たちは取材先企業その 塩田 番組の制作体制について教えてほしい。 いただけているのだと思う。 ものではなく、取材先企業が持っているメッセージ 組を担当する私たち報道番組センターがある。私は 野口 常勤ディレクターが10人くらいいて、企画 塩田 主人公の方の真剣な姿を撮るためには、取材 を映し出したいと思っている。必ずしも違う方向で 他番組のスタッフと同じフロアにいて、情報交換し の提案、取材、編集などを行う。毎週交代で番組を 側の工夫も必要なのではないか。 はないと思うし、最終的には収れんさせていきた たり競い合ったりしている。 担当するプロデューサーが私を含め4人おり、企画 野口 素の表情や言葉を引き出したり、魅力的な い。いつも広報担当の方々は、取材を受ける社員の 塩田 番組開始当時で覚えていることは。 の選定、VTRのチェック、予算の管理などをして 部分を撮るために、色々なアプローチ方法がある。 方や社内の上の方と、私たち取材する側に挟まれて 野口 視聴率においても、取材先を見つけるのにも いて、私は毎週のナレーション収録に立ち会うなど 次々に質問を投げ掛けて、時には笑わせたり怒らせ 大変な思いをされている。 非常に苦労した。経済のドキュメンタリー番組とい 全体を統括している。それから年間で15社ぐらい たりして仕掛けていくようなディレクターもいる 塩田 どんなご苦労があるのか計り知れない。そう うのが当時あまりなかったし、番組名から内容の想 の制作会社が携わっていて、取材協力や企画提案を し、じっと待って自分やカメラの存在を意識させな いう意味では番組作りは広報の方と一心同体。 像もつきにくかったので、取材先にも視聴者にも認 受けたりしている。 いようにして、仕事に集中している顔や喜んでいる 野口 今の日本の世の中にどんなメッセージをどう 知されていないという感覚が1年ぐらい続いた。 塩田 実際の取材期間はどのくらいに及ぶのか。 瞬間を撮ろうと粘るディレクターもいる。自然な様 伝えるかを一緒に考えながら、ご理解、ご協力いた 負担の大きい長期取材になりそうという理由から 野口 テーマによって様々で、1~2カ月で撮るこ 子を撮れるのが一番だが、ご本人にとっては 「本音 だけるようお願いしたい。 だと思うが、最初のころは取材をかなり断られた。 ともあるし、1年以上取材することもある。取材を を出し過ぎてしまったところを撮られた」というこ と、 「ワールドビジネスサテライト」などデイリーの ニュース番組を担当する部署と、「ガイアの夜明け」 「未来世紀ジパング」 「カンブリア宮殿」などの報道番 6 していても色々な理由から途中で放送を断念する企 〔経済広報〕2014年12月号 取材期間は1年を越えることも k (文責:国内広報部主任研究員 伊藤貴範) 2014年12月号〔経済広報〕 7 社会広聴アンケート 社会広聴アンケート 生活者の75%が、健康維持増進や 疾病予防が自己の医療費負担軽減に つながると認識 2 生活者の75%が、健康維持増進や疾病予防が自己の医療費負担軽減につながると認識 自身で健康維持増進や疾病予防に努めることにより、どのようなメリットがあると思うかを聞いたところ、 「自己の医療費負担を減らすことができる」が75%と突出して高い。次いで、 「疾病の重症化を防ぐことができる」 (48%)となっている。 - 「健康維持増進に関するアンケート」調査結果- ■健康維持増進や疾病予防のメリット(全体) (4つまでの複数回答) 自己の医療費負担を減らすことができる わが国は急速な高齢化と現役世代の減少に直面している。医療保険財政の持続可能性を確保するために、 75 疾病の重症化を防ぐことができる 48 国民一人ひとりが自らの健康維持増進や疾病予防に努める「セルフメディケーション」の認識の高まりや、健 国の医療費負担抑制に貢献できる 40 康診断の受診率の向上が重要視されている。また、民間企業でも、事業主が従業員の健康管理に組織的に取 周囲 (職場や家族) に負担がかからない 39 医療機関を受診する手間が省ける り組む「健康経営」の推進が注目を集めつつある。 そこで、経済広報センターは、健康維持増進や企業の「健康経営」についての意識・実態調査を行い、結果 32 健康維持増進や疾病予防に対する知識が身に付く を取りまとめた。 22 心理的ストレスの軽減になる 調査の対象は、全国の様々な職種、世代で構成される社会広聴会員のうち、インターネットで回答可能な 21 医療機関内での他の患者からのウイルス感染などのリスクを減らせる 8 その他 3110人。1759人が回答し、回答率は56.6%だった。調査機関は7月17 ~ 28日。 2 特にない 下 (61人、3.5 %)、30歳 代(216人、12.3 %)、40歳 代 (306人、17.4 %) 、50歳 代 (545人、31.0 %) 、 60 ~ 74歳(475人、27.0%)、75歳以上(156人、8.9%) 。職業別では、会社員・団体職員・公務員 (713 人、40.5%) 、会社役員・団体役員(81人、4.6%)、自営業・自由業(134人、7.6%)、パートタイム・アル バイト(239人、13.6%)、専業主婦・夫(313人、17.8%) 、学生 (19人、1.1%) 、無職・その他 (260人、 14.8%) 。医療保険別では、被用者保険の本人(910人、51.7%)、国民健康保険(431人、24.5%)、後期高 齢者医療制度(164人、9.3%)、被用者保険の被扶養者(248人、14.1%) 、その他 (6人、0.3%) 。 1 0 回答者の属性は、男女別では、男性(780人、44.3%) 、女性 (979人、55.7%) 。世代別では、29歳以 1 33 自分だけではなく、家族の健康維持増進や疾病予防にもつながる 3 10 40 50 60 70 90% 80 受けている」 加入する医療保険制度の保険者から、健康診断の通知や案内を受け取っているかを聞いたところ、 「受け取って いる」が92%に上る。一方、 「受け取っていない/分からない」 (5%/4%)は1割弱にとどまる。 また、健康診断(人間ドック等も含む)を受診する頻度は、 「毎年受けている」が77%、 「毎年ではないが、数年に 1度は受けている」が15%である。 「5年以上受けていない」 「10年以上受けていない」 はそれぞれ4%にとどまる。 ■健康診断――通知や案内(全体) 健康維持増進や疾病予防のための取り組みは「食事の管理」が74% (単一回答) ■受け取っている ■受け取っていない ■分からない 「定期的な健康診断」 (67%)、 「適度な運動・スポーツ」 (58%) となっている。 「規則正しい生活」 (47%) 、 「十分な睡 眠」 (44%)も4割を超えている。 92 0 10 20 30 40 5 50 60 70 80 90 4 100% *小数点以下第1位四捨五入のため、合計が100%とならない場合もある。 ■健康維持増進や疾病予防への取り組み(全体) (7つまでの複数回答) 食事の管理 ■健康診断――受診頻度(全体) (単一回答) 74 定期的な健康診断 ■毎年受けている ■毎年ではないが、数年に1度は受けている ■ 5 年以上受けていない ■10年以上受けていない 67 適度な運動・スポーツ 58 規則正しい生活 47 十分な睡眠 77 44 定期的な医療機関の受診 31 健康や疾病に関する情報収集 日常的な健康指標(体重・血圧・体脂肪率等)のチェック 0 30 10 20 30 40 ストレス対策 21 4 20 常備薬の管理 17 飲酒の制限 16 喫煙の制限 1 取り組んでいない 60 70 80 90 4 100% 加入する医療保険の違いなどにより、健康診断の受診頻度に差が の本人が88%と最も高い。次いで後期高齢者医療制度が79%である。一方、国民健康保険は67%、被用者保険 2 0 50 4 医療保険別に健康診断(人間ドック等も含む)を受診する頻度を聞いたところ、「毎年受けている」は被用者保険 10 その他 15 *小数点以下第1位四捨五入のため、合計が100%とならない場合もある。 27 サプリメント等、栄養補助食品の摂取 〔経済広報〕2014年12月号 30 生活者の9割以上が健康診断の通知や案内を「受け取っている」。8割が健康診断を「毎年 自身の健康維持増進や疾病予防のために現在取り組んでいることは、 「食事の管理」 が74%と最も高い。次いで 8 20 10 20 30 40 50 60 70 80 90% の被扶養者は54%と、他の医療保険と比較して低い。 2014年12月号〔経済広報〕 9 社会広聴アンケート 社会広聴アンケート ■健康診断――受診頻度(全体・医療保険別) 7 (単一回答) ■毎年受けている ■毎年ではないが、数年に1度は受けている ■ 5 年以上受けていない ■10年以上受けていない 「健康経営」に期待する取り組みは、健診の受診徹底や労務管理 事業主には従業員に対する健康診断の実施義務があるが、それに加え、従業員の健康維持増進や疾病予防に取 全体 77 15 被用者保険の本人 4 88 国民健康保険 8 67 後期高齢者医療制度 22 6 79 被用者保険の被扶養者 12 54 0 10 20 31 30 40 50 60 80 り組む「健康経営」を実施する企業が増えている。企業に期待する「健康経営」の取り組みは、 「健診や再検査の受診 2 2 の徹底」が66%と最も高い。以下、 「深夜残業や長時間労働の禁止など、労務管理」 (60%)、 「自主的に受診する検 6 診の(一部)費用負担」 (55%)と続いている。 4 8 70 4 ■健康経営――企業に期待する取り組み(全体) 4 (複数回答) 7 90 健診や再検査の受診の徹底 100% 深夜残業や長時間労働の禁止など、労務管理 *小数点以下第1位四捨五入のため、 合計が100%とならない場合もある。 5 44 スポーツジムとの提携や会費の(一部) 負担 禁煙の支援 健康に関する相談室の設置 る」 (28%)、次いで、 「多忙のため、時間がない」 (26%)、 「面倒だから」 (26%) 、 「定期的に医療機関に通っているた メタボリック症候群等、特定のターゲット層に対する重点的な健康管理指導 従業員の健康に向けた取り組みや管理職の部下に対する健康管理への 働き掛けを反映する、給与制度の整備 心理カウンセラーの常駐 ■健康診断――受診していない理由(全体) 費用が掛かる 面倒だから 26 定期的に医療機関に通っているため、必要ない 33 31 28 19 18 定期的な社内運動会やスポーツイベントの実施 28 26 34 33 従業員の許可の下、健診データの管理 (4つまでの複数回答) 多忙のため、時間がない 39 健康に関する情報の発信 「10年以上受けていない」と回答した人に、毎年受けていない理由を聞いたところ、最も多いのは「費用が掛か 11 その他 2 0 10 20 30 40 50 60 70 80% 23 頻繁に受ける必要がないと思う 8 19 健診自体にストレスや不安を感じる 16 体調が悪くなったときに、医療機関で診てもらえばよい 16 健康に不安がない 費抑制につながる」が79%と最も高く、次いで「疾病による従業員の欠勤・離職・休職が減少する」 (75%)であ 10 健診の場所が不便 る。 「 従業員のモチベーションが向上し、組織の生産性が高まる」は46%と約半数がメリットと認識している。 9 どこで受けたらよいのかが分からない 8 結果が不安なので受けたくない 8 その他 8 0 「健康経営」により「健康保険の医療費抑制につながる」が8割 「健康経営」の推進は企業にとって特にどのようなメリットがあると思うかを聞いたところ、「健康保険の医療 11 健診の通知や案内を受け取っていない k ■健康経営――企業のメリット(全体) 10 20 30 (4つまでの複数回答) 40% 健康保険の医療費抑制につながる 費用負担の軽減と健診の受付時間の拡大が、健康診断の受診率向上のために効果的 79 疾病による従業員の欠勤・離職・休職が減少する 国民の健康意識を高め、健康診断の受診率を向上させるために効果的だと思う取り組みは、 「健診の費用負担を 減らす」が61%と最も高い。次いで、 「休日・夜間など健診時間を拡大する」 が5割を超えている (51%) 。 75 従業員のモチベーションが向上し、組織の生産性が高まる 46 従業員の心理的ストレスを軽減できる 39 従業員による事故や不祥事のリスクを軽減できる 39 従業員の満足度 (ES) が向上する ■健康診断――受診率向上に向けた取り組み(全体) (5つまでの複数回答) 健診の費用負担を減らす 40 健診の受診場所を増やす (出張受診所等) 14 1 0 38 簡易健康チェック等の機会をさらに提供する 企業ブランド価値や社外に対するイメージが向上する 特にない 51 健診の受診状況や健康管理の状況に応じて健康保険料を加減する 25 その他 0 61 休日・夜間など健診時間を拡大する 10 20 30 40 50 60 70 80 90% 33 健診の通知や案内の方法を改善する 30 健診の通知や案内の頻度を上げる 26 健康に関する勉強会やセミナーを開催する 15 広告やキャンペーン等で受診の啓発活動を行う 12 その他 (文:国内広報部主任研究員 鈴木恵理) 6 0 〔経済広報〕2014年12月号 55 健康を考えた食堂メニューの設置 健康診断を受診しない理由は費用・時間・煩わしさ め、必要ない」 (23%)の4項目が2割を超える。 10 60 自主的に受診する検診の(一部)費用負担 健康診断の受診頻度(3・4)について、「毎年ではないが、数年に1度は受けている」 「5年以上受けていない」 6 66 10 20 30 40 50 60 70 80% 2014年12月号〔経済広報〕 11 海外メディア事情 海外メディア事情 グローバルメディアとの 「いい関係」 ●日本語・英語ニュースチーム間の連携 原則であり、事実確 理想的には両言語で1チームとすべき。以前は英 認に多くの時間を費 語・日本語個別の動きだったが、今は陣容の関係も やすが故に、ニュー あり、特に企業チームでは日英合同が進んでいる。 スが配信されるまで 長時間かかる場合も メディアのトレンドとロイター ある。時間のプレッ ●ブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャー 経済広報センターは、10月3日にトムソン・ロイター・マーケッツ ロイター編集局のケビン・クロリッ キ日本編集局長、ウィリアム・マラード副編集局長を招き、会員企業の広報担当者との懇談会を開催した。 参加者は約40名。 プレゼンテーション トムソン・ロイターについて 雑な内容ほど時間が ブルームバーグやロイターは速報性重視の一方、 必要だ。企業側での 対応時間が不十分と WSJは新聞であり特集や調査報道をじっくり出す イメージ。電子版の時代になり、新聞も速報に参入 ウィリアム・マラード氏 し、逆に通信社が読み物に取り組む傾向もあり、真 れば、率直に指摘してほしい。 正面の競争となっている。 ●ソースの明確化 思われるケースがあ 日本のメディアは、「……が明らかになった」の しなければ報道の言 昨年の全米の新聞広告料は160億ドルで、グーグ ようにソースが不明確な記事が多い。海外でも「A トムソン・ロイターには大きく分けて、金融情報 うがままとなり、情 ル一社がこれに並んだ。新聞がどのように生き残る person with knowledge」を主語にする書き方もある サービス部門とプロフェッショナル向けのデータ 報のコントロールを かが懸念されている。また、ブログやソーシャル が、むしろ例外的だ。ソースについて不信に思われ ベース部門、一般メディア部門があり、ロイター 失う。例えば、西海 ニュースメディアなど、直接取材しないメディアが るような記事は失敗。ロイターでは「関係筋」とする ニュースは主として金融情報部門とメディア部門の 岸のある会社で、長 拡大しており、企業の対応も難しくなっている。日 場合でも極力具体的に記述する。特に企業ニュース ネットワークを通じて世界に配信している。金融 年勤めた社長が批判 本は言語の壁から正しい情報が伝わりにくいという では、広報以外が情報ソースである場合も、必ず広 情報サービスの主力端末(EIKON)では、ニュース されるという危機が ハンディがある。特にネガティブ報道で「孫引き」で 報に事実関係を確認するようにしている。 と共に様々な金融データや分析ツールを提供してお 起 こ っ た 際、 広 報 情報が歪みがちな状況の中では、ロイターのように り、メディア部門では新聞社やテレビ局などへの 担当から我々に、何 取材がしっかりしたメディアを選ぶべきだ。 配信サービスのほか、ウェブサイトで記事や画像、 を書こうとしている 映像を提供している。世界に2600人の記者を擁し、 か、何に興味がある 新聞社1000社、テレビ局750のクライアントを持 か、発表内容についてどう考えたか、などを毎日の 読者のニーズも変化しており、国内で関心の高い だが、エネルギー調達を含め日本経済の根底を支え ち、毎日世界で10億人が何らかのロイターの報道 ように聞かれ、それにより対話が深まった。いつも テーマが海外では無関心、ということは今やあり得 る業界であり、ビジョンを積極的に紹介する方がよ に触れている。20カ国語で1日当たり200万本の記 意見が一致したとは限らないが、大変な時期にもこ ない。内容がしっかりしていれば世界のどこでも読 い。また、積極的にメディア側にアプローチしても 事を出す国際メディアだ。日本には105人おり、ほ のコミュニケーションに基づくいい関係が生かせ まれると考え、質的向上を目指している。 らえれば対話が始まり、対話するほど理解が深ま ぼ半数ずつが日本語と英語の報道に携わっている。 た、といえる。日本ではこうしたケースは稀で、質 ●日本に対する注目度 り、記事化もしやすくなる。リークもニュースバ ケビン・クロリッキ氏 問をして初めて動き出し、ファクスで返答があり、 メディアとの 「いい関係」 その後ようやく対話が始まる、というのが典型だ。 ●グローバルメディアとしてのニュース価値の判断 基準 ロイターとの「いい関係」 ●ニュースとなり得るストーリーの立て方 例えば商社の場合、基本を守秘に置いているよう 最近は経済力でいうと中国への注目度が高いが、 流動的だ。特にアベノミクス以後は日本の注目度が リューを高めるひとつの方法だ。 ●関心の高い業種やトピック 日本の場合、例えば謝罪会見のお辞儀の時間や服 「よりフリーに、よりフランクに話そう」 と提案した 上がっており、トップ記事も多い。米国の一般向け 例えば、素材や化学業界に特化した担当はいない 装など、細かい振り付けが決まっている。国内向け い。 「Not all news is bad.」 。メディアは、会社とし テレビ番組では日本が取り上げられることは比較的 が、これら業界のイノベーション面への関心は高 には重要だが、広報戦略がここにとどまっては惜し て取り組む課題や技術革新などにも関心がある。日 少ないが、例えば英『エコノミスト』は日本を深く掘 い。また、日本は高齢化のフロントランナーとして い。不祥事において会社を守るだけではなく、会社 本企業は世界的に注目されている。防衛一本槍でな り下げて取材しており、経済関係者の関心は最近さ 注目されているため、食品メーカーの「介護食」など の動向や意思を日々広報することも重要だ。PR専 く、企業側から積極的に発信してもらい、対話がで らに高まっている。 をトレンド記事にしている。大きなトレンドに関連 門家が「Tell your story, or someone else will.」と言 きるようにしたい。 ディスカッション ロイターの仕組み ●プレスリリースの取り扱いプロセス 人員減の関係もあり、正直言って全ては処理しき 12 ナル(WSJ)などとの違い ●米国のメディアの変化と日本企業側の対応策 うように、自ら発信 シャーもあるが、複 〔経済広報〕2014年12月号 ロイターのポリシー ●事実確認とフェアな報道 付けられれば記事化しやすい。地域による差は少な いが、例えば 「日本企業の東南アジアシフト」や 「今 後の投資先・経済成長地域としてのアフリカ」など、 企業に対し報道する内容をしっかり説明し、コメ トレンドに即した記事化を重視している。アフリカ れない。担当記者がいる企業の場合は、担当から編 ントやバックグラウンド情報を得ることを心掛けて の取材には人数を増やして対応している。BtoBビ 集に相談がくる。それ以外の場合は、リリースと共 いる。会社にコメントの機会を与えるという側面も ジネスでもストーリーがあれば記事化できるので、 に注目すべき点について連絡をもらえれば取り上げ あるが、一方的にならないよう当事者に深く確認 積極的にコンタクトいただきたい。 やすい。 するのが主目的だ。また、フェアな報道が社の大 k (文責:国際広報部主任研究員 田中 勲) 2014年12月号〔経済広報〕 13 グループ広報研究⑤ グループ広報研究⑤ ホールディングスと事業会社が一体となった広報組織で 統一感ある社内外コミュニケーションを展開 (株) 三菱ケミカルホールディングス メディアトレーニングを重視 グループ内でのトラブル発生など有事の際には、 ●社内コミュニケーションツール ホールディングスでは紙の社内報『ケミぱる』を毎 月発行しているほか、グループのイントラサイト 『協奏ポータル』を設けている。これに加え、各事 主に2つのルートでホールディングスに情報が連携 業会社が独自に紙・ウェブ媒体を使い、社内でのコ される。例えば、事業所でのトラブルのケースで ミュニケーションを図っている。 は、1つは、事業所の総務部門からホールディング ホールディングス報では各事業会社の事業や案件 三菱ケミカルホールディングスは傘下に6つの事業会社を有しており、基礎石化製品や合成樹脂、エレク スの広報・IR室に直接情報が上がってくるルー の詳細な部分には踏み込まず、ホールディングスの トロニクス関連製品、樹脂加工品、複合材、医薬品、産業ガスなど、事業内容も取り扱う商品も多岐にわた ト、もう1つはトラブルの起きた設備の製品を管轄 戦略やビジョンを繰り返し伝え、社員の理解を促す る。同社のグループ広報体制と、グループブランド戦略 「THE KAITEKI COMPANY」 の取り組みについて聞 する本社の事業部を通して広報・IR室に連絡がく 役割を担っている。そのほか、それぞれの事業会社 いた。 るルートだ。トラブルは事業会社で起こる確率が高 が他社の事業内容を把握できるよう、持ち回りの いが、各社の広報機能を統合しているために、一元 コーナーを設け、各社を簡単に紹介している。一 らに醸成するために、各社の拠点を一カ所に集め、 的に情報を収集することができ、有事の際にも統一 方、事業会社の社内報では社員や個別の事業にク 事業会社同士のコミュニケーションを促進すること された情報を発信できる体制となっている。 ローズアップした内容を取り上げ、ホールディング ホールディングスの成り立ちと広報組織体制 三菱ケミカルホールディングスは、三菱化学、田 に取り組んでいる。広報・IR以外にも、例えば、 平時の対応としては、各社の危機管理の基準書・ ス報と役割を分担している。 辺三菱製薬、三菱樹脂、三菱レイヨン、生命科学イ 総務・購買・知財・人事などの共通部門は、事業会 マニュアルの整備と、メディアトレーニングを実施 グループのイントラサイトは、社員がグループ全 ンスティテュート、大陽日酸の主要6事業会社から 社の垣根を超えて全て同じフロアに配置し、機能別 している。マニュアルについては、企業によって扱 体で共有するべき情報をタイムリーに得られるツー 成る。2005年10月に三菱化学と三菱ウェルファー レイアウトを採用している。 う製品や組織体制が異なるため、ホールディングス ルとして機能している。イントラサイトはパソコン マ (現・田辺三菱製薬)が共同持株会社として三菱ケ ●広報・IR室の組織体制 で統一することは難しいが、グループとして同じ基 の立ち上げ画面となっているため、社員はその日の 準で対応できるような体制を整えている。 ニュースや株価など、必要な情報を一覧で分かりや ミカルホールディングスを設立。その後、三菱化学 ホールディングスの広報・IR室は事業会社4社 のグループ会社であった三菱樹脂をホールディング からの出向者で構成されており、7名の報道グルー メディアトレーニングは、主要事業会社における すく把握することができる。経営トップのメッセー スの直下とし、また公開買い付けの方法により三菱 プ、5名のIRグループ、社内報やホームページ 新任の社長や安全管理担当の役員、事業所長を対象 ジや直近の社外発表、取り上げられた記事なども掲 レイヨンをグループに加えた。今年4月には、グ などの制作物を担当する17名のグループコミュニ に、毎年実施している。同グループでは、事業所な 載されている。また、ページに限りがないという利 ループ内のヘルスケア関連事業を集約して生命科学 ケーショングループがある。田辺三菱製薬の広報・ どでの事故のリスクを最も懸念しているが、主要事 点を生かし、事業会社の部署や社員の紹介なども積 インスティテュートを発足させ、さらに11月に大 IR部門とは、日ごろから密にコミュニケーション 業会社以外でも、危険物を扱うことが多いなど事業 極的に行っているという。各社ホームページのリン 陽日酸への株式公開買い付けを行い、同社を連結子 を取っている。特に、決算発表やホールディングス の性質上特にリスクが高いと思われるグループ会社 クも張られているため、必要に応じてすぐに他社の 会社とした。 全体の戦略や業績に関わるような案件をプレスリ には、ホールディングスからも積極的に声を掛けて 情報を調べることもできる。 ホールディングスには、田辺三菱製薬、大陽日酸 リースする際には、事前にホールディングスに情報 いる。また、事業所長をサポートする立場の環境安 海外の社員に向けては、英語のグローバルイント を除く4社の広報部門を集約した広報・IR室を設 を連携することとなっている。そのほか、上半期・ 全部長や管理安全部長に対してもトレーニングを実 ラネットを設けている。社長メッセージや 『ケミぱ 置している。田辺三菱製薬および大陽日酸は上場会 下半期に1回ずつ全体ミーティングを実施してい 施している。 る』の特集記事の英訳、グローバルに共有するべき 社のため、それぞれで広報・IR機能を有してい る。上半期には今後1年間の広報活動スケジュール る。以前は、広報機能は事業会社に分散していた の確認、下半期は各社の上半期の振り返りと、各社 が、社外への情報発信の際の基準や一貫性、プレス の広報活動に関する情報を共有している。11月に 広報・IR室内のグループコミュニケーショング リリース内容やスケジュール調整など、横串の情報 グループ入りした大陽日酸の広報部門とも同様に連 ループでは、ホールディングスと各社の社内報・イ 連携が必要と判断し、2012年4月より各社の広報・ 携を図る予定である。 ントラネットをはじめ、社外向けのホームページ、 IR機能を統合した。 14 ど、必要に応じサポートできる体制をとっている。 グループコミュニケーショングループの役割 情報を掲載している。また、「フロム ザ グループカ ンパニー」というコーナーでは、各地からの情報を 収集して現地の様子を紹介しており、双方向のコ ミュニケーションも図っている。 海外向けイントラネットの特徴は、ページをイン 主要事業会社の傘下にも多くのグループ会社があ パンフレットや統合報告書など、社内外へのコミュ ターネット上に設けており、IPアドレスを登録す 広報・IR機能の統合をよりスムーズにしたの るが、これら子会社は、社外に向けたプレスリリー ニケーションツールを一元的に制作している。広 ることで閲覧できる点だ。社内ネットワーク内に は、2012年4月より各社の本社オフィスを集約し スの頻度がそれほど高くなく、また専門の広報組織 報・IR室のグループコミュニケーショングループ ページを設けると、ネットワークに参加していない たことである。それまでは、ホールディングス・三 を設置していない会社も多い。従って、情報を発信 で一括して制作されているため、テーマやアイデア グループ会社の社員が利用できないためだ。イン 菱化学は田町、三菱樹脂は日本橋、三菱レイヨンは する際には、方法・タイミングなどホールディング の共有、媒体の役割分担などがスムーズに行われて ターネット上に設けることで、より多くの社員が閲 品川と、別の場所に本社組織を設けていた。しか ス広報・IR室と事前に調整し、場合によっては いるという。 覧できるようにしている。 し、ホールディングスグループとしての一体感をさ ホールディングスと当該会社の連名で発表するな 〔経済広報〕2014年12月号 そのほかのコミュニケーションツールとして、社 2014年12月号〔経済広報〕 15 グループ広報研究⑤ ANGLE 内SNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービ レートブランドを推進する役割を担っているのが、 ス)の活用も検討しているが、現時点では、部門や ホールディングスに設置されたブランディング委員 プロジェクトごとなど、小規模での社内コミュニ 会だ。この委員会は三菱ケミカルホールディングス ケーションツールとして試験的に導入している段階 の広報・IR室、グループ基盤強化室、経営戦略室 だ。社員からは、事業会社の垣根を超えて、自由な KAITEKIグループ、総務室などの関連部署と、各事 発想でアイデアやソリューションを広く求める時な 業会社の広報部、マーケティング部などのメンバー どに活用できるのではないか、という意見も出てお で構成されている。ブランディング委員会で決定し り、情報漏洩などのリスクも含めて今後活用を検討 た施策や方針は、各事業会社が社内および傘下のグ していくという。 ループ会社に連携し、ブランドを浸透させていく仕 ●社外コミュニケーションツール 組みとなっている。 ホールディングスと三菱化学、三菱樹脂、三菱レ ブランディング委員会では、ロゴのガイドライン イヨンのホームページも、グループコミュニケー やマニュアルの整備、広告・宣伝やホームページと ショングループが管理している。ホールディングス の連動など、KAITEKIの概念を社内外に浸透させる サイトの作成には、全事業会社が関わっており、情 企画を立案している。 帝 国ホテルは1890年11月3日に さまにご満足いただいたとしても、 開業し、来年は開業125周年 チェックアウトの際に会計係に不手 を迎えます。開業当時の明治政府 際があれば、それまでの全体の評価 は、欧米列強と締結した不平等条約 がたちまち100点から“0”点になっ を是正するために欧化政策を推し進 てしまうという意味の数式です。 めていました。その中で、海外から つまり、お客さまの私どもに対す の賓客の宿泊施設が足りなかったた 報の齟齬が起こらない体制を整えている。海外のス 例えば、社内にブランドを浸透させ、社員を活性 る評価は100点か0点の2つだけだ め、井上馨外務大臣の提唱により、 ということです。お褒めをいただく テークホルダー向けには英語版と、7月から中国語 化するために、イントラネットでは 「カイテキの芽」 初の本格的な西洋式ホテルとして、 時は 「さすが帝国ホテル」と言ってい 版のホームページを設けている。英語版は日本語と というコーナーを設けている。このコーナーでは、 実業家・渋沢栄一らの手により鹿鳴 ただけますが、お叱りをいただく時 ほぼ同じ内容で、充実した内容を提供できている 現場で働くオペレーターや若手を紹介しながら、一 館の隣接地、東京・日比谷に開業し が、中国語版は必要な情報に絞って翻訳、それ以外 人ひとりがKAITEKIを実現するためにどのようなこ ました。 は英語で提供している。 とに取り組んでいるかを紹介している。 そ ご 国の要請で 「日本の迎賓館」として 社内報 『ケミぱる』では、 「KAITEKI SCOPE」という 誕生した当社は、その原点を大切に コーナーを設けており、テーマに沿ってグループが して長い間ブランドを守り続けて 目指す「KAITEKI実現」の具体的取り組みを分かりや きましたが、開業125年目を迎える ブ ラ ン ド「THE KAITEKI COMPANY」を 制 定 し た。 すく紹介している。例えば、企業市民活動をテーマ 今、従業員全員がブランドの維持、 「KAITEKI」とは、同グループ独自のコンセプトで、 とした回では、グループが取り組む自然環境保全活 「時を越え、世代を超え、人と社会、そして地球の 動や科学実験教室などを紹介している。 「KAITEKI」の浸透を目指すブランディング戦略 同 グ ル ー プ で は2013年11月 に、 コ ー ポ レ ー ト 心地よさが続く状態」を表しており、「暮らし」「情 社外に向けては 「THE KAITEKI COMPANY」のロゴ 報・電子」 「健康・医療」 「環境」 「エネルギー」などの を統一して制作物に用いることで、一貫したイメー 分野が抱える様々な環境・社会課題の解決に貢献 ジの発信と概念の浸透を図っている。例えば、事業 し、KAITEKIを実現することを同グループの目指す 会社の子会社も含め、社員の名刺にロゴを入れるよ 姿としている。 う規定している。また、ホールディングスだけでは このKAITEKIの概念を社内外に浸透させ、コーポ ブランディング委員会 (各事業会社メンバー+MCHC関連部署) MCHC 広報・IR室 MCHC グループ基盤強化室 広報活動 ロゴ管理 ・ブランディング担当 ・知的財産担当 MCC マーケティング室 MCC 及び子会社 MTPC 広報部 MTPC 及び子会社 ※今後、大陽日酸も参加予定 〔経済広報〕2014年12月号 なく、各社のホームページのヘッダーには統一的に ロゴが配置されている。 現在のブランディング委員会 体制 16 「帝国ホテル」 のブランド向上 を目指して MCHC 経営戦略室 KAITEKIグループ KAITEKI推進 社内浸透 MPI セールス& マーケティング部 MPI 及び子会社 また、 「KAITEKI SQUARE」 という、同グループの取 り組み、目指す姿を紹介する交流の場として、グ MCHC 総務室 ループ各社が力を入れている製品を一カ所にまとめ 各総務関連部署 への連絡 MRC LSII 経営企画室 経営企画部 MRC 及び子会社 LSII 及び子会社 向上を意識しておもてなしをするこ 風間 淳 は 「帝国ホテルともあろうものが」と (かざま・じゅん) 言われてしまいます。従業員は、皆 (株)帝国ホテル 執行役員 ホテル事業統括部長 その評価の大切さを知っています。 1986年 3 月 帝 国 ホ テ ル 入 社。 宿 泊 部、経理部、人事部、営業部を経て、 2011年より広報、営業企画、顧客管 理を束ねるホテル事業統括部部長。 とがとても大切だとあらためて感じ ています。 ホテルを運営する上で大切な要素が3つありま 現在は、お客さまから「さすが帝 国ホテル」と評価していただける従 業員になるための行動指針として、 「挨拶」 「清潔」 「身だしなみ」 「感謝」 「気配り」 「謙虚」 「知識」 「創意」 「挑戦」 という9つのテーマを設定して、そ れらのテーマに沿っているか自問しながら、従業員 一同、日々の業務に当たっています。 す。それは、ハードウェア (設備、機能) 、ソフト 当社では、来年11月3日の開業125周年にちなん ウェア(サービスの仕組み、組織)、ヒューマンウェ で、本年11月より2016年3月末までを開業125周年 ア(従業員)です。 記念期間とし、帝国ホテル東京を中心として各種イ これら3つの要素が高品位にバランスよく整って ベントの開催や記念商品の発売などを行い、お客さ 機能してこそ、初めてお客さまの評価をいただくこ まへのサービスとブランドの向上に全力を注いでま とができるホテルになると考えています。しかし、 いります。 中でも特に大事な要素であり、最後の決め手となる のはヒューマンウェア、つまり“人”です。 また、拡大が見込まれるアジア市場での営業力強 化のため、この10月にシンガポール営業所を開設 当社では、どのような場所でも、どの従業員が応 しました。メイドインジャパンのホテルとして誇り たショールームを、本社オフィスに設置している。 対しても、同じようにお客さまにご満足いただくこ を強く持ち、ひとりでも多くの国内外からのお客さ 今後も、ホールディングスと傘下のグループ会社が とを目標にしています。そのため、従業員はみな まをお迎えしていきたいと願っています。そして 連携してより多くのステークホルダーにKAITEKIの 100−1=0という数式を肝に銘じています。 ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアの 概念を浸透させるために、様々な施策を実施する方 例えば、お客さまがチェックインされて館内で食 総力を結集し、国際的ベストホテルを目指し、全員 k 事を召し上がり、チェックアウトしてお帰りになる で社業に邁進する所存です。今後とも弊社にご愛顧 場合、たとえベルマンやレストランの対応がお客 を賜りますようお願い申し上げます。 針だ。 (文:国内広報部主任研究員 鈴木恵理) k 2014年12月号〔経済広報〕 17 7月21日~9月5日 5月17日~6月15日 NEWS Keizai Koho Center News 7 / 22 7 / 30 社会広聴会員を対象に 実施したアンケートの結 理念~期末試験」、講師:中村 清 社会科教育関係者招聘プログラム 果をとりまとめた 『東京オリン 早稲田大学 国際教養学部教授) の実施など9件について報告し ピック・パラリンピックを契機 た。 とした観光立国に関する意識調 7 / 23 「第28回中国勉強会」を 平東京支局長が「日本人が知らな 7 / 29 い中国メディアの事情」と題し講 での発言の仕方などを学んでもら 演した。 うため「広報セクション幹部向け 開催し、新浪財経の蔡 成 マスコミ報道により危 機が拡大しない記者会見 メディアトレーニング」を大阪市 1983年から実施してい 8 / 7 日本経済新聞に 「企業広 報大賞に森ビル」と題する 「意見広告」 を掲載した。 査報告書』を発行した。 ( 詳細は、 8 / 20 http://www.kkc.or.jp/data/ 社と有識者5名に実施したヒアリ question/00000095.pdfを参 ング調査をとりまとめた『CC時 照) 代のインナーコミュニケーショ 9 / 3 ン』 を発行した。 樹氏を講師とする 「広報セクショ Keizai Koho Center News 8 / 7 インナーコミュニケー ションについて、企業6 7 / 24「企業人派遣講座」を実施 スの江良俊郎氏と平野日出木氏。 文京区)で開催し、社会広聴会員 9 / 1 実施した。 した。 ( テーマ:「科学と技術~世 参加者は10名。 27名が参加した。 ンマー研究者招聘プログラム」を 本 研 修 は、 小・ 中・ 高 等 学 校 界同時不況後の成長戦略~まと などの教員に、企業活動の考え め」、講師:谷村 智輝 同志社大 方、企業の人材育成や環境問題へ 学 経済学部准教授) 会」を印刷博物館(東京都 1~5日の日程で 「カ ン ボ ジ ア・ ラ オ ス・ ミ ャ 7 / 29 のプシュパナタン・サン 8 / 7 将来の日中経済活動の 推進役の育成を目的とし 者懇談会」を開催し、社会広聴会 員など生活者25名が参加した。k SEANへの理解を深めることを をアサヒビール神奈川工場で実施 た。参加者は60名。 の体験を子どもたちへ伝えるとと 当センターが後援する 7 / 26「第39回産業教育シンポジ 目的に講演会 「ASEAN経済統 した。参加者は44名。 もに、今後の学校運営などにも生 ウム」が静岡市で開催され、50名 合と日本企業への影響」を開催し かしてもらうことを目的としてい の教員が参加した。 た。参加者は約80名。 7 / 28 「第104回事業企画委員 会」(委員長:内田章 東レ 7 / 29 小 冊 子( ポ ケ ッ ト・ エ デ ィ シ ョ ン・ シ リ ー ズ 常務取締役)を開催し、第17回英 No.134) 『我が国のサイバーセ 国ジャーナリスト招聘プログラム キュリティ戦略』を発行した。4 の実施など3件について検討し、 月に開催した講演会の要旨をまと 実施した。 ( テーマ: 「日本企業論 了承された。また、第30回 「企業 めたもの。 ~日本企業の国際戦略とその経営 広報賞」の選考結果や第35回北米 7 / 23 早稲田大学国際教養学 部で 「企業人派遣講座」を PR・IR・危機管理 1月号 定価:1300円 (税込) 編集・発行 株式会社宣伝会議 購読申込 月刊「広報会議」読者サービスセンター TEL:03-6418-3328 インターネットからもお申し込みいただけます。 http://sendenkaigi.com/ 18 〔経済広報〕2014年12月号 (国内広報部 岡本清美) る。今年度の参加教員数は過去最 社だった。 た。参加者は15名。 場 (北海道恵庭市)で 「企業と生活 て、 「在日中国留学生企業見学会」 多の1149名、受け入れ企業は105 グ」を当センター会議室で開催し オス・ミャンマー発展の可能性」 と題するシンポジウムを開催し めてもらい、さらに、企業研修で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン・ コンサルタントの川村秀 チェーンから見たカンボジア・ラ ドラム氏の来日の機会を捉え、A の取り組みなどについて理解を深 (詳細は、本誌10月号を参照) サッポロビールの博物館 9 / 5(北海道札幌市)、北海道工 実 施 し、 最 終 日 に は「 サ プ ラ イ 元ASEAN事務次長 道関係者など約200名が参加した。 ン幹部向けメディアトレーニン 「生活者の企業施設見学 を7月22日~8月22日の日程で 同志社大学経済学部で パ ー テ ィ ー」を 開 催 し、 受 賞企 業・受賞者のほか、会員企業や報 で開催した。講師は、エイレック る「教員の民間企業研修」 経 団 連 会 館 で「 第30回 9 / 2『 企 業 広 報 賞 』表 彰 式・ [巻頭特集]2014年の危機管理対応から学ぶ 広報リスクの備え方 [シリーズ] デジタル広報再入門 ソーシャルリスク・炎上対策 の基本 [特集]2014年 「PRで売れた」 ヒット事例を総ざらい 商品広報のノウハウ 2014年12月号〔経済広報〕 19 企業広報ニュース ウェブ サイト 佐川急便は、この4月より先進的ロジスティクス・ プロジェクトチーム「GOAL(GO Advanced Logistics) 」 を始動した。今見えている課題だけではなく、ビジネ スに潜在する課題までをも見極め、物流全体の最適化 を提案する。当社の強みである「提案力」 「課題解決力」 の訴求と、お客さまの利便性向上のため、ウェブサイ トのリニューアルを実施。公開済みの第1フェーズで は、トップページを訪れたユーザーが目的にいち早く たどり着けるよう、またレスポンシブウェブデザイン (様々な種類の機器や画面サイズに単一のファイルで 運用するデザイン手法)対応のため、構成要素を可能 な限り絞り込み、シンプルで迷いの少ないデザインに 改善した。メインビジュアルの下には、パネル状に 「法人のお客さま」 「再配達のご依頼」 「貨物追跡サービ ス」など、使用頻度の高い導線を存在感のあるデザイ ンで配置。ユーザビリティの確保と同時に、本ページ内デザインのアクセントとなっている。 「GOAL」の紹介や「調達物流」「館内物流」といったソリューション事例などを集約した 「法人の お客さま」向けコンテンツへの導線を分かりやすくした。 来年3月上旬に公開する第2フェーズでは、当社のビジネススキームをさらに深くご理解い ただくためのロジスティクス・ソリューションコンテンツの新設をはじめ、営業所検索の機能 拡充、採用ページの情報充実、中国語サイトの公開、パソコンからの閲覧性向上およびスマー トフォン・タブレット端末を含む全ての画面表示の最適化を実施する。 k (佐川急便 (株) 広報部課長 松村 哲) トピックス 三井倉庫が10月から持株会社制へ移行し、三井倉 庫ホールディングスとして新たなスタートを切った。 持株会社は、グループ全体最適・中長期視点からの戦 略立案・資源配分を行うとともに、共通機能を集約し て受け持つなど、自立・自律で成長を追求する事業会 社を支援する。事業会社は、自由にスピーディーな意 思決定を行い、持株会社の支援を活用しつつ、自らの 事業領域において徹底的に成長機会を追求する。 同社グループの事業のうち、倉庫事業と港湾運送事 業は 「 (新)三井倉庫」が担い、またBPO (ビジネスプ ロセスアウトソーシング)事業については新設分割会 社「三井倉庫ビジネストラスト」を設立した。そのほか の事業会社としては、 「MITSUI-SOKO INTERNATIONAL」 (シンガポール)、 「三井倉庫ロジスティクス」 「三井倉庫 エクスプレス」がある。 移行に際し、新ロゴマークを制定し、各種パンフ レットなどを刷新した。従来グループ各社で運営され ていたウェブサイトも三井倉庫グループとして統一 (www.mitsui-soko.com)し、必要なサービスの情報を 瞬時に見つけられる設計になっている。 同社は、100年の歴史を持つ倉庫会社からグローバルな総合物流企業への進化を目指して、 各事業の成長を一層加速し、事業規模の拡大と企業価値の持続的向上を図るとしている。 k (国内広報部主任研究員 伊藤貴範) 経済広報センターは、少子高齢化を迎える日本が今後も発展していくためには、人材育成の 同書は、広報・PRを体系的に学ぶことができるようまとめ 充実・強化が重要と認識しており、明日の日本を担う子どもたちの職業意識や勤労意識の醸成 られている。広報・PR全般に関する基礎知識から、実務にお を図るための「教員の民間企業研修」を1983年度から実施している。 え方や実務内容、人材育成や環境問題への取り組みなどについての趣向を凝らした研修プログ ラムを体験し、企業活動への理解を深めてもらう。そして、研修での体験を子どもたちに伝え るとともに、今後の学校運営に活用してもらうことを目的としている。 32年目を迎えた2014年度は、初任者や10年目研修者などの研修対象となる教員数が増加し たことから、過去最多1149名の教員が、105の企業・団体の研修に参加した。 受け入れ企業からは、 「当社の経営理念の理解を通じて、教育に対する姿勢を振り返っていた だく貴重な機会になった」 「研修に臨む真摯な姿勢や実習を行う際の瞬発力・積極性など、当社 も学ぶところがあった」、また参加教員からは、 「良きものを伝えつつ、新たな一歩を踏み出し ながら新しい世界を開拓しようとする姿勢に感銘を受けた」「組織・チームとしてのコミュニ ケーション能力や臨機応変に動く力・判断力・やりがいを見いだす力など、バランスよく様々 な力を養っておく必要があることを学んだ」 など、双方から多数の前向きな声が寄せられた。k 〔経済広報〕2014年12月号 (国内広報部主任研究員 金子雄太) Book 『 広 報・ P R 論 パ ブ リ ッ ク・ リレーションズの理論と実際』 企業活動への理解を深める 「教員の民間企業研修」 この研修では、小・中・高等学校などの教員に、夏休み期間中に様々な企業で企業活動の考 20 広 報 三井倉庫ホールディングス がスタート 佐川急便がウェブサイトを リニューアル 教育支援 企業広報ニュース ける参考事例まで、幅広い領域について網羅的に解説してい る。 第Ⅰ部「広報・PRの基本」では、組織とステークホルダーの 関係、組織におけるレピュテーションの重要性、広報・PR戦 略がどのように立案されているかなど、広報・PRの全体像に ついて分かりやすく説明している。 第Ⅱ部「ステークホルダーと広報・PR」では、ステークホル ダーごとの広報・PRの考え方を整理している。メディア・リ レーションズ、マーケティングPR、インベスター・リレー ションズ、インターナル・リレーションズなど、それぞれの概 伊吹勇亮・川北眞紀子 北見幸一・関谷直也 を挙げて解説している。 薗部靖史 著、有斐閣ブックス 第Ⅲ部「現代の広報・PRの課題」では、スポンサーシップや 2014年9月発行、2400円 コーズ・リレーテッド・マーケティングなどの社会貢献、危機 (税別) 要を説明した上で、効果的なコミュニケーションについて事例 管理広報、風評被害対策を含めた災害時広報など、現代の企業 が抱える課題について論じている。 広報の世界に初めて触れる人から、実務家、研究者に至るまで、幅広い層に参考になる一冊 だ。 k (国内広報部主任研究員 大野祥子) 2014年12月号〔経済広報〕 21 広報管理職講座4 2 総 目 次 2014年 (1〜 12月号 ) トップとの 付き合い方 (月号) 新春特集 2014年を迎えて 夢と希望に溢れた日本の将来に向けて 岩沙弘道(経済広報センター/三井不動産) 持続可能な経済成長に向けて 川村 隆(経済広報センター/日立製作所) 1 1 第30回企業広報賞 篠崎良一(しのざき・りょういち) PR総研 所長/広報の学校 学校長 前だが、会うだけでなく社長に信頼されているこ と、相互の深い信頼が不可欠である。トップから広 報権限の一部が広報責任者に委任されていないと、 トップの 「分身」 「クローン」 とはいえない。例えば、 広報責任者はトップの 「情報参謀」 企業トップは昔から「最強のPRマン」「最強のメ トップ不在時のメディアからのコメント要望に対し て、社長のコメントを書くことが許されているこ と、さらに、トップインタビューの依頼に対して、 ディア」といわれるように、広報活動における「最強 重要度に応じて、社長のスケジュールに独断で介入 の武器」 、今風にいえば「最強のオウンドメディア」 できれば言うことはない。インタビューのテーマや である。社員はもちろん、株主や取引先、顧客な ヒントをそっと記者に耳打ちするのも仕事である。 ど、主要なステークホルダーは、変化の激しい予測 困難な先の見えない時代にあってトップが何を考え 一挙手一投足を注視している。記者も同じで、経済 「情報参謀」としての役割のひとつが変化を予知 記者の最大の仕事はトップに会うことであり、最重 し、来るべきイシューを予測し、準備することであ 要ターゲットはトップである。その発言は重みが違 る。この面で必要な能力が、メディアとの幅広い う。トップのイメージが会社のイメージをつくり、 ネットワークを生かした広聴力である。トップの目 社長の存在感、イメージがコーポレートブランドに となり、耳となり、五感となるセンサー能力がなく 寄与する比率は格段に強まっている。 ては、広報の最大の戦場となる危機管理での役目も 一方、トップとの関係性でいうと、広報責任者は どのようなポジションが最も望ましいのだろうか。 果たせない。 こうした局面でトップに率直に直言できるかどう 社長が会社の顔なら、広報責任者はトップの「情報 かも広報責任者の重要な能力である。トップと一体 参謀」 「クローン」 「分身」である。経営トップの考え となりながら冷静で客観的な判断が下せ、それを直 方はもちろん、企業の経営方針、戦略の理解にとど 言できる人物こそが最も優れた広報責任者であろ まらず、これがなぜどのように決定されたのか、そ う。 のプロセスも含めての深い理解がないと役目は果た こんな広報責任者はざらにいないのは事実だが、 せない。広報責任者は役員であることが望ましい。 一歩でも近づくように努力はできる。さて、ここま 少なくとも役員会への出席は必須である。 でトップと一体化している (そう見える) と、社内か 広報責任者の条件は何よりもトップと直結したポ らトップにすり寄るために広報責任者に近づく人物 ジションにあり、実際に直結していることである。 や、逆に煙ったい存在として見られることも往々に いつでも社長と会える、秘書の次に社長と会う頻度 して出てくる。広報責任者は危険なポジションでも と時間が長いのが広報責任者であるべきだ。当たり ある。 k 早稲田大学卒。出版社を経て、共同ピーアール入社、取締役、常務取締役、取締役副社長を経て現職。企業・団体の広報・危機管理 早稲田大学卒。出版社を経て、共同ピーアール入社、取締役、常務取締役、取締役副社長を経て現職。企業・団体の広報・危機管理 コンサルティング、広報・危機管理研修担当。2003年5月「広報の学校」 コンサルティング、広報・危機管理研修担当。2003年5月 「広報の学校」 を開校。2013年1月 を開校。2013年1月 「PR総研」 「PR総研」 を設立。著書に を設立。著書に 『実戦企業広 『実戦企業広 報マニュアル』 『会社を守る!もしものときのメディア対応策』 『広報・PR概論』 (共著)、 『広報・PR実務』 (監修)など。 22 〔経済広報〕2014年12月号 8 10 第29回 「企業広報賞」 受賞者インタビュー 社会には常に真実を伝え、社員には直接語り掛ける 1 稲盛和夫(日本航空) 第30回 「企業広報賞」 受賞者インタビュー 中身のある「森ビルらしい仕事」を粘り強く伝える11 辻 慎吾(森ビル) 「会社」を買っていただける広報活動を 12 松本 晃(カルビー) 企業広報研究 企業広報功労・奨励賞を受賞して 「偽らない」 「怠らない」 「諦めない」広報を目指して 薬師 晃(東日本旅客鉄道) 1 7 7 8 〜今すぐ取るべき3つの予防策〜 別井孝士(プラップジャパン) グローバルな視点で見る日本企業とPRの潮流 11 ペヤ・エミルソン(クレアブ・ギャビン・アンダーソン) 70%超の企業が、デジタル/ソーシャルメディア 11 専門家を採用 〜CC部門の責任者の35%がマーケティング業務を兼任〜 ウェーバー・シャンドウィック/スペンサー・スチュアート 「ガイアの夜明け」の作り方 野口雄史(テレビ東京) 塩田真弓(テレビ東京) 12 CC時代のインナーコミュニケーション 従業員の一体感を醸成するインナーコミュニケーション2 カルビー 社内SNS「Nexti」の活用による セクショナリズムの打破 3 NTTデータ インナーブランディングを重視 1 本社移転と働き方変革で新たな「キリン」ブランド確立へ4 再びオフラインの時代へ? 2 「明日は変えられる。」を軸に社員の行動変革を促す5 〜「コーポレートブランドに関する企業アンケート」調査結果〜 危機管理の局面でトップに直言 ているか、リーダーとして会社の将来を託す人物の 第30回「企業広報賞」受賞企業・受賞者決まる 第30回「企業広報賞」表彰式を開催 イベントを活用した インナーコミュニケーションの活性化 一色 顕(リンクイベントプロデュース) 日本の将来と広報の必要性 土井正己(クレアブ・ギャビン・アンダーソン) ソーシャルメディア危機管理 〜最先端、ソーシャルイベント・ムーブメント〜 庄司 望(Orinoco Peatix /コード・フォー・ジャパン) 顧客第一主義で“飛脚の精神(こころ)”を届ける 2 「佐川男子」 戦略的社内コミュニケーション活動で 企業競争力の強化を 相山大輔(産業編集センター) “自分ゴト化”で社員の行動と企業風土を変革 谷 昭輝(電通) 「商人(あきんど)」として情報を流通 〜キッコーマンのコーポレートコミュニケーション活動〜 臼井一起(キッコーマン) 誠実な情報公開への姿勢が M&Aコミュニケーションのカギ 豊田健一(ウィズワークス) 統合報告をめぐる最近の動き 伊藤邦雄(一橋大学大学院) 東証一部上場企業の「広報力調査2014」 企業広報戦略研究所 (電通パブリックリレーションズ内) 3 4 4 5 丸紅 新たな付加価値を生み出す インターナルコミュニケーション ソニー 7 グループ広報研究 JALのグループ一丸となった情報発信 8 多様性と一体感の両立を目指すグループ広報 9 日本航空 MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス ホールディングスへの権限集約でグループ間の 10 素早い情報連携を可能に セブン&アイ・ホールディングス 一元的な情報管理でシナジーを生み出す オリックスグループ 11 6 ホールディングスと事業会社が一体となった広報組織で 12 統一感ある社内外コミュニケーションを展開 6 マスコミ事情 米国企業は社員をどのように“エンゲージ”しているか 6 山村公一(メディアゲイン) クロスボーダーM&Aにおけるコミュニケーション戦略 6 ヨッヘン・レゲヴィー(CNC Japan) 加藤麻美(CNC Japan) M&Aと広報対応 永沢 徹(弁護士) アステラス製薬 “力強い丸紅”をつくるインナーコミュニケーション6 企業広報功労・奨励賞を受賞して SGホールディングス キリングループ 7 三菱ケミカルホールディングス 「3. 11」から3年、テレビ朝日の取り組み 3 久慈省平(テレビ朝日) 関西における経済報道 9 中西 満(毎日新聞大阪本社) 社説の役割は、読者の思考を引き出すきっかけづくり 11 〜中日新聞の社説ができるまで〜 飯尾 歩(中日新聞名古屋本社) 2014年12月号〔経済広報〕 23 2014年 (1 〜 12月号) 総目次 2014年 (1 〜 12月号) 総目次 メディアに聞く 無機質な印象を与えることのない広報マンに 1 石井 正(時事総合研究所) 100周年を迎えた読売新聞「くらし家庭面」 3 宮智 泉(読売新聞東京本社) 歴史や背景を踏まえた取材を心掛ける 5 関根秀行(産経新聞東京本社) 報道基準はノーベル賞までの距離 6 吉田 薫(東京新聞) 実用化に近いテーマを取材 7 藤元 正(日刊工業新聞社) 企業の技術・研究者を取り上げたい 8 長谷川聖治(読売新聞東京本社) 調査報道が新聞の信頼に繋がる 9 長尾真輔(毎日新聞東京本社) 先端技術の実用化を積極的に紹介 11 鹿児島昌樹(日本経済新聞社) 立体的な報道には社会部と科学部双方の要素が必要 12 三笠博志(産経新聞東京本社) 視点・観点 企業にとっての「思いやり」とは何か 小榑雅章(向社会性研究所) 7 最近の3つの事例から危機管理広報を考える 3 五十嵐 寛(ハーバーコミュニケーションズ) なぜ危機対応の標準化が必要か 3 清水正道(淑徳大学) 緊急時、経営者は「立ち位置」を明確にし、全体の舵取りを 4 川村秀樹(コミュニケーション・コンサルタント) 5 生活者の75%が、健康維持増進や疾病予防が 自己の医療費負担軽減につながると認識 12 −「健康維持増進に関するアンケート」調査結果− 民主導による成長モデルの構築が日本再興への道 1 欧州・ユーロ圏と英国 1 少子高齢化時代の社会保障と成長戦略 2 米国の行方 2 新大陸主義と日本への示唆 ケント・カルダー(ジョンズ・ホプキンス大学/ 2 ヨーロッパとドイツの現在と課題 ミャンマーは今 2 〜その目指す形と日本への示唆 〜多様な力を生かす〜 宮島香澄(日本テレビ放送網) エドウィン・ライシャワーセンター東アジア研究所) 〜最近のミャンマーの動きおよび東南アジアから見た日本 との関係〜 2 広報のベテランが12人、 「キャリア講座」 大学で連続授業 尾関謙一郎(明治学院大学) 広報担当者は情報参謀として コミュニケーション戦略の司令塔であれ 駒橋恵子(東京経済大学) 4 「グローバル化モデル」 共有と世界共通理解の 座標軸導入を 明日の日本を支える子どもたちのために 5 5 豊田次世代エネルギー・モビリティ都市 (とよたエコフルタウン) 広報にとってのステークホルダーとは 井上邦夫(東洋大学) 変動期こそ広報の神髄は、企業理念 江上節子(武蔵大学) 今どきの女子学生の就活事情 磯野彰彦(昭和女子大学) 就職事情今昔 宮㟢則行(杏林大学) 企業広報でもさらなる女性活用を 井上喜久栄(富士ソフト) カンボジア、ベトナムの日本語学習熱 北原賢三(神田外語大学) 「帝国ホテル」のブランド向上を目指して 風間 淳(帝国ホテル) 6 グローバル人事制度—企業再編と制度改革 5 6 ANGLE 3 3 資源の国際政治への影響および日本への示唆 女性の指導的地位での活躍推進 7 日本経済と地方経済の行方 8 7 8 〜税・財政・社会保障制度改革の観点から〜 岡田 晃(大阪経済大学/経済評論家) 9 「沖縄貨物ハブ」 プロジェクト現地報告 9 10 アセアンにおける日本企業の広報活動 9 11 12 〜“不祥事とその後の対応”が原因〜 −第17回 「生活者の“企業観”に関するアンケート」調査結果− 〔経済広報〕2014年12月号 〜第4回「未来都市モデルプロジェクト見学会」〜 —日独の状況と課題 〜未来都市モデルプロジェクト「沖縄物流拠点都市」〜 〜アセアンジャーナリストから見た日本企業の課題〜 海外メディア事情 世界の電子出版の最新事情 片山聖一(DIPPS) グローバルメディアとの 「いい関係」 トムソン・ロイター・マーケッツ 社会広聴アンケート 企業に対する生活者の信頼感は3年連続で低下 〜『教員の民間企業研修レポート2013』 を発行〜 4 8 12 駐日特派員の眼 今日の日本を包括的視点で報道したい ケン・モリツグ(AP通信社) 10 富士フイルムが技術の会社であることをまず伝える 11 富士フイルム ホールディングス ドラッカー流コミュニケーション 「伝える」基本 卓越に着眼する 8 9 啓発の言語を使う——問いと比喩で世界が広がる 経験という宝——素材を分けてもらう 井坂康志(ドラッカー研究者) 10 11 危機管理Q&A 経済広報センター活動報告 「未来都市モデルプロジェクト・シンポジウム」を開催 日用品メーカーとして、伝統ある技術広報を 現代に繋ぐ 花王 企業が女性活用をするメリットは 5 佐々木かをり(イー・ウーマン) 生活者の85%が、東京オリンピック・パラリンピック 9 を日本の魅力発信のチャンスと捉える −「東京オリンピック・パラリンピックを契機とした 観光立国に関するアンケート」調査結果− 技術広報研究 4 −企業における女性の活躍推進に関するアンケート調査結果− 〜 10年後の米国の姿を占う〜 危機管理 24 「企業観アンケート」 は企業の羅針盤 中島 茂(中島経営法律事務所) 女性の活躍推進に必要な 「経営層・管理職層の意識改革」 2 広報担当者は「真人間」であれ 山見博康 1 (山見インテグレーター/広報・危機対応コンサルタント) マスコミとの付き合い方 経営トップとの直結が不可欠 危機対応で試される広報の実力 記者の反応を見て世間の反応を知る 岡田 晃(大阪経済大学/経済評論家) 1 2 3 GLOBAL PR グローバルPRに欠かせない2つのステップ グローバル広報人材とは 「レピュテーション」と「トラスト」 日本企業による国際的M&Aの成否 NGOへの企業の対応と広報の責任 アクティビストに狙われる日本企業 グローバルPRにおける広報の役割 ロス・ローブリー(エデルマン・ジャパン) 2 3 4 5 6 7 8 取材対応における注意点 4 訴訟に関する広報——法律的検討と戦略的検討 危機対応広報における法律家の活用法 6 会社や業界の論理に埋もれないために 名誉毀損と広報の対応 従業員の刑事事件と広報 ソーシャルメディアが危機管理広報を変えた 結城大輔(のぞみ総合法律事務所) 5 7 8 9 9 10 11 12 企業広報ニュース 「Book」 『危機管理と広報 事例に見るこの10年』 大槻 茂 編著 企業・団体のCSR活動 KIRIN Communication Space ココニワ 1 日清製粉グループの「製粉ミュージアム」 2 東京ガスの「キニナルプロジェクト」 3 東芝の「東芝未来科学館」 4 岩谷産業の「『住みよい地球』 全国小学生作文コンクール」 5 東武鉄道の「東武博物館」 6 キリン 日清製粉グループ 東芝 岩谷産業 東武博物館 住友生命の「未来を強くする子育てプロジェクト」7 〜女性研究者への支援〜 住友生命保険 パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館 8 大阪ガスの「ガス科学館」 9 パナソニック 広報管理職講座 広報管理職に必要な3つの知識 管理職と担当者の違い 広報管理職的メディアとの付き合い方 トップとの付き合い方 篠崎良一(PR総研/広報の学校) 『企業イメージを劇的にアップさせる 4 新しい広報ツールの作り方、考え方。』 シータス&ゼネラルプレス 監修、フレア 編 『情報メディア白書 2014』 5 電通総研 編 『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』 6 津田大介 著 7 『グローバル・ブランディング—モノづくりから ブランドづくりへ』 松浦祥子 編著 8 『広報が会社を強くする—広報実務のAtoZ』 髙雄宏政 著 『戦略PR代理店』 9 西江肇司 著 『コミュニティマネージャーの仕事』 10 中山 領 著 『最強のPRイノベーターが教える 11 新しい広報の教科書』 栗田朋一 著 『広報・PR論 12 パブリック・リレーションズの理論と実際』 伊吹勇亮・川北眞紀子・北見幸一・関谷直也・ 薗部靖史 著 東京ガス 法律と広報 〜“広報マター ”を見極める 消費生活用製品の重大製品事故に当たる場合 『CC時代のコーポレートブランド戦略』 2 経済広報センター 国内広報部 編 『TVニュースのタブー 特ダネ記者が見た報道現場の内幕』 3 田中周紀 著 1 大阪ガス 森永製菓・森永乳業の「森永リトルエンゼル育成 10 無人島探検隊」 森永製菓/森永乳業 トヨタ自動車の「トヨタ博物館」 11 竹中大工道具館 12 トヨタ自動車 竹中大工道具館 2014年12月号〔経済広報〕 25 2014 12 企業・団体のCSR活動 竹中大工道具館 (公財)竹中大工道具館 お問い合わせ先 竹中大工道具館 TEL:078-242-0216 FAX:078-241-4713 HP http://www.dougukan.jp/ http://www.kkc.or.jp/ 平成 昭和 年 月 日発行 (毎月 回 日発行) 第 年 月 日第 種郵便物認可 55 26 10 12 23 1 3 1 1 数寄屋造りの茶室のスケルトン。日本独特の建築方法で、自然 の丸太をそのまま組むという精緻な仕事が求められた 36 巻第 昭和10年代の大工道具の標準編成179点。世界では多くても60点 ほどで、日本では様々な道具で精緻な建物が造られていた証だ 「竹中大工道具館」は、竹中工務店が創立85周年 「名工の輝き」 「和の伝統美」 「棟梁に学ぶ」 「木を生か す」の7つのコーナーに分かれ、実物や復元資料、 を機に今年10月に新神戸駅前に移転した。 映像での解説や触れることができる道具、海外の道 具の展示などを通して、多角的に理解を深められ のみ やりがんな 手道具を使う大工が少なくなってきた。大工の精神 る。法隆寺に残る道具を復元した鑿や槍鉋、鎌倉時 とその道具を民族遺産として残し、ものづくりの心 代に大陸から伝来し日本独自の仕様に発達した鋸な を後世に伝えることを目的に、日本で唯一の大工道 ど、日本の歴史や風土と道具との関わりが興味深 具の博物館を設立した。今日までに収集した資料 い。また、シンボルである高さ7メートル超の「唐 は約3万500点。その中から約1000点を展示してい 招提寺金堂組物」の実物大の模型では、日本の堂宮 る。 大工が緻密な計算に基づく技で木を刻み、組んでい 新館は、地上1階、地下2階建てで周辺の樹木の 伐採も最低限にとどめ、自然と建物が調和したオア シスのような空間だ。 館内は 「歴史の旅へ」 「道具と手仕事」 「世界を巡る」 のこぎり たことが実感できる。 新たに設けられた木工室で、堂宮大工から道具の かんな 面白さを学べるのも同館の大きな特徴だ。鉋 削り の実演を見学したり実際に挑戦することで、大人か ら子どもまで大工道具の奥深さや面白さを体験でき る。また、多目的ホールでは、日中韓の棟梁の技を 紹介する企画展などを開催したり、各地の木工作家 の椅子を展示するなど、広く開かれたギャラリーの 役割を果たしている。 同館は、日本の建築文化や日本人が昔から大事に していたものづくりの心を受け継ぎ、未来に向けて 新たなものづくりや手づくりの発信の場となること を目指している。日本が世界に誇る伝統と革新を繋 ぐ役割が期待される。 大工道具が実際にどのように使われたかを分かりやすく立体的に 展示 発行:一般財団法人 経済広報センター k (国内広報部主任研究員 杉山佳子) Printed in Japan 発行人/中山 洋 編集人/佐桑 徹 [ ISSN 0918–4600 ] 東京都千代田区大手町一 三 (本体価格三〇〇円+税) - 二 - 経団連会館 電話〇三 六 - 七四一 〇 - 〇 二 一 〒一〇〇 〇 - 〇〇四 ( 送料別、賛助会員の購読料は会費に含む) 60数年前から日本では電動工具が出回り始め、 424 号 を記念して1984年神戸市の元町に設立し、30周年 号通巻 12
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