中部支部だより 第75号 2 0 1 5 . 1 2 新名神高速道路(四日市ジャンクション) 一般社団法人 日本建設機械施工協会中部支部 目 次 巻頭言 「道路整備による日本経済の再生」 中部地方整備局 道路部長 小野寺 誠一 …………………1 行政トピックス 「施工時期の平準化」 の取り組み 中部地方整備局 企画部 …………………3 建設技術フェア2015 in 中部 開催結果概要報告 建設技術フェアin中部実行委員会 …………………5 工事現場紹介 三遠南信自動車道 佐久間道路の事業紹介 中部地方整備局 浜松河川国道事務所 …………………7 梨子沢災害復旧工事の紹介 中部地方整備局 多治見砂防国道事務所 ………………9 新名神高速道路(三重県区間) の事業紹介 NEXCO中日本 名古屋支社 建設事業部 ………………11 平成26年度 優良工事の中から 平成26年度 矢作川西奥田護岸工事 石橋建設興業㈱ ………………13 平成25年度 飛島大橋左岸小川地区下部工事 平成25年度 木曽川源緑高潮堤防補強工事 鈴中工業㈱ ………………15 ㈱奥村組 名古屋支店 ………………17 平成25年度 19号鳥居トンネル修繕工事 吉川建設㈱ ………………19 平成26年度 木曽川上流管内水門設備工事 ㈱丸徳鉄工 ………………21 平成25年度 東海環状上切高架橋PC上部工事 三井住友建設㈱ ………………23 平成24年度 1号静清川合高架橋西地区PC上部工事 大日本土木㈱ 名古屋支店 ………………25 平成25年度 名二環小川1高架橋鋼橋脚工事 佐藤鉄工㈱ ………………27 平成25年度 1号吉田大橋橋梁補強工事 徳倉建設㈱ ………………29 平成26年度 名古屋港外港地区防波堤(堤頭部)改良堤工事 五洋建設㈱ ………………31 新技術紹介 CIMモデル活用による施工計画実施にあたって 若築建設㈱ 名古屋支店 伊勢大橋作業所 現場代理人 渡部 耕平 ………………33 災害現場におけるICT技術の活用 − 無人バックホウと無人飛行体の活用による崩落土砂掘削 − 中村建設㈱ 土木本部 土木部 工事グループ長 金田 学 ………………35 軟弱地盤における大径・高品質の深層混合処理工法 − 源緑防災ステーション基盤整備工事 − 髙田建設㈱ 富山 朋泰 ………………37 PC床版架設機によるPC床版架設 − PC床版架設機の可能性 − ㈱野田自動車工業所 野田クレーン 執行役員 安田 宏司 ………………41 降灰対策型路面清掃車の開発 − 道路上の火山灰除去へ、 ブラシ式路面清掃車で挑戦 − 豊和工業㈱ 特装車両事業部 営業課 鈴木 悟 ………………43 各部会事業報告……………………………………………………………………………………45 発行図書 ……………………………………………………………………………………………46 編集後記 ……………………………………………………………………………………………46 ■表紙の説明 新名神高速道路は、愛知県名古屋市から兵庫県神戸市を結ぶ約174kmの 高速自動車国道であり、 名神高速道路における冬期通行規制時の代替ルートや 伊勢湾岸自動車道との接続により交通量が大幅に増加した東名阪自動車道の 渋滞解消、 大規模災害時の緊急輸送路などの役割を期待されています。 写真は、 四日市ジャンクションの上空より伊勢平野から鈴鹿山脈に建設中の新 新名神高速道路(四日市ジャンクション) 名神高速道路及び四日市ジャンクションより下方へ向かう伊勢湾岸自動車道、 左 右に通過する東名阪自動車道を望んでいます。 ̶ 巻頭言 ̶ 道路整備による日本経済の再生 中部地方整備局 道路部長 小野寺 誠一 中部地方は、 自動車産業をはじめとした「もの 経済被害は約70兆円にのぼると試算され、国民 づくり」が他の地域と比べて卓越しており、製造 の安心・安全の確保並びに防災・減災対策の推 品出荷額が全国の25%を占めるなど、我が国の 進も重要な課題の一つとなっています。 経済を力強くけん引している地域です。 また、中 央アルプスをはじめとした急峻な山地や国内最 こうした中、新 東 名・新 名 神 高 速 道 路をはじ 大の海抜ゼロメートル地帯である濃尾平野等を め、東 海 環 状自動 車 道、名 古 屋 環 状 2 号 線、伊 後背地とした地域であり、 ここに人口と資産の多 豆縦貫自動車道、三遠南信自動車道及び近畿 くが集積しています。 自動車道紀勢線などにより構成される中部地方 観光に目を向ければ、富士山や白川郷、熊野 の高規格幹線道路は、 これまでに約1300kmの 古道といった世界遺産とあわせて、来年5月にサ ネットワークを形成し、沿線地域への企業進出や ミットが開催される伊勢志摩地域など、 自然豊か 周辺観光地における入込客数の増加等、様々な な観光資源に恵まれた地域でもあります。 ストック効果を発現しています。 一方、我が国では、 アジア諸国の急速な経済成 平成17年3月に東回り区間が開通した東海環 長に伴う国際競争の激化により、国際競争力の強 状自動車道では、全線着工後の沿線市町への 化と共に、経済再生に向けての取り組みが喫緊の 進出企業数が延べ122企業にのぼり、製造品出 課題となっております。 また、南海トラフ巨大地震 荷額が約1.4倍となったほか、海外進出していた の発生も危惧されており、中部圏における地震発 企業が沿線市に国内拠点を増設する等、道路 生時の被害想定では、人的被害は約17万5千人、 整 備が民 間 投 資を誘 発し、地 域の経 済を活 性 ‒1‒ ̶ 巻頭言 ̶ た技術者育成にも取り組んで参ります。更に、 イン 化させています。 また、平 成 2 4 年 4月までに開 通した新 東 名 高 フラ維持管理の効率化・高度化、災害時の被災 速 道 路の静岡県 区 間、三 遠 南 信自動 車 道( 鳳 状 況の把 握や応 急 対 応の迅 速 化を目的とした 来峡∼浜松いなさJCT)沿線では、津波の影響 「中部圏インフラ用ロボットコンソーシアム」を設 が小さく、地盤が強固な内陸部(東名以北)への 立し、 インフラ用ロボットに関する情報交換の場を 工業団地開発が進んだほか、長野・愛知県境付 提供するほか、橋梁点検を行う上で、その有効 近にある茶臼山高原への観光客数が約2割増 性が期待される橋梁点検ロボットの実用性評価 加するなどのストック効果も発現しています。 のための現場検証を実施し、橋梁点検業務の効 率性向上についても検討を進めて参ります。 更に、今年度は、新東名高速道路の愛知県区 間の開 通が予 定されており、本開通により静岡 今後も国民の安全・安心の確保はもとより、 ス 県の御殿場JCTから約200kmに及ぶ2本の高 トック効果が期待される道路整備や効率的な物 速道路ネットワークが形成されることで、高速道 流ネットワークの形成、現場における生産性の向 路の信頼性、安全性が向上し、物流交通の定時 上、 インフラの長寿命化を通して、中部地方の更 性の向上や災害時のリダンダンシーの確保に大 なる発展に向け、取り組んで参ります。 きく寄与することが期待されています。 現 在 、建 設 産 業では、担い手 不 足 が 問 題と なっており、建設現場における生産性の向上が ますます重要となっています。 このため、中部地方整備局では、建設ICT導 入普及研究会を組織し、官民連携を図りながら、 情報化施工等の普及を進めており、今後も引き 続き、現 場 への導 入について取り組んで参りま す。 また、橋梁等のインフラの老朽化対策が重要 な課題となっていることから、5年に1度の点検・診 断を義務化すると共に、地方自治体と一体となっ ‒2‒ ̶ 行政トピックス ̶ 「施工時期の平準化」の取り組み 中部地方整備局 企画部 3. 平準化に向けた対策メニュー 1. はじめに 国土交通省では、 施工時期の平準化を図るにあたり、 建設産業の現状は、 建設業者数及び建設業就業者 以下の対策を取り組んでいます。 の高齢化が進行していることで、 次世代の担い手確保・ 育成が大きな課題となっている。 ○工事・業務における柔軟な国債の活用・運用 また、公共工事の工事量は、第1四半期(4∼6月) に ・施工時期等の平準化も踏まえ当初予算にお 工事量(金額ベース)が少なく、下半期(10∼3月) は通 いて国債を設定。 して工事量が多く、年度内での工事量の偏りが激しい ・翌債等の明許繰越しの制度も適切に活用。 状況にあります。 ・適正な工期の設定を徹底。 そこで、 平成26年9月に改正された「公共工事の品質 ・業務についても品質確保の観点から同様の 確保の促進に関する法律」第22条に基づく (発注関係 取組みを推進。 事務の運用に関する指針) において、発注者が実施に ○工事着手時期の柔軟な運用 努める事項として、適切な工期を設定の上、発注・施工 ・「余裕工期の設定」により受注者に工事着手 時期等の平準化を図ると明文化されました。 時期の裁量を付与し、下請業者や技術者・技 能者も平準化。 ○計画的な事業の進捗管理等 ・工事発注計画の前提となる事業全体の工程 計画の検討。 ・計画的な事業の進捗管理と工事の計画的な 発注 4. 中部地方整備局における取り組み (参照:国土交通省 建設総合統計) (1)平成26年度の取り組み 中部地方整備局では、 出先機関が施工時期の平準化 の取り組みを推進するために、 下記内容を実施しました。 2. 施工時期等の平準化による効果 1)繰越事例集の充実 年度内の工事量の偏りを解消(施工時期等を平準 繰越制度を積極的に活用するために、繰越事 化) し、年間を通した工事量が安定することで、以下の 効果が期待され、建設生産システムの省力化・効率化・ 例集を充実(設計コンサル等の業務関係の事例を 高度化に寄与できる。 追加) し、 出先機関に周知を図った。 2)業務委託における繰越制度の活用 (1) 建設業の企業経営の健全化 →人材・機材の実働日数の向上 業務委託における適正工期確保の観点から、 (2) 労働者(技術者・技能者) の処遇改善 受注者の責によらない要因で工期内完了が困難 →特に日給等の労働者は年収に直接影響 な案件は、発注担当部局との協議を行うよう 「(一 (3) 稼働率の向上による建設業の機材保有等の促進 社)建設コンサルタンツ協会中部支部」から会員に →建設業の災害時の即応能力も向上 対し周知を行い、 繰越制度の活用を図った。 ‒3‒ ̶ 行政トピックス ̶ 3)平成26年度の繰越・国債の活用状況 なお、 中部地方整備局では翌債・繰越制度の更な る活用を図るべく、整備局内関係各部が一体となっ 上記の取り組みにより、 平成26年度の繰越・国債 て取り組みを進めているところであります。 の活用は、 発注件数に対し、 工事で約4割、 業務で 約1割の実績があり、 年度末の工事量等の集中に 改善が見られた。 5. おわりに 建設産業における次世代の担い手確保は、 喫緊な課 題であり、 品確法の運用指針にあるように、 施工時期の平 (2)平成27年度の取り組み方針(案) 準化は発注者として実施に努めるべき事項であります。 1)施工時期の平準化に向けた基本方針 (案) 工事における平成26年度末の施工時期の状況 国土交通省として、 翌債・制度制度の活用のほか、 次 は、 下図のとおり1月・2月から3月への工期延期が80 年度以降に向けて、 国債制度を積極的に活用する取り 件と多く、適正工期の確保、平準化を図るうえで改 組みも進めているところであります。 善が不可欠であります。 今後も、 年度末の工事量の偏りを解消するために、 施 そこで、平成27年度においては、適正工期の確 工時期の平準化に努めてまいりたい。 保の取り組みとして、 ①国債制度の活用 ②早期発注 を基本方針として、 施工時期の平準化に向けて 進めているところであります。 ‒4‒ ̶ 行政トピックス ̶ 建設技術フェア 2015 in 中部 開催結果概要報告 建設技術フェアin中部実行委員会 約14千人が来場(昨年比3千人増) 建設技術フェアは、 産・学・官の技術情報交流、 技術開発や新技術の導入、 学生・一般への建設技術の魅力と社会資 本整備の必要性の紹介を目的として開催し、 今年で19回目を迎えました。 今年は、 10月21日・22日に名古屋市の吹上ホールで開催し、 天候にも恵まれ、 13,881人(昨年比+2,927人) の方々に、 ご 来場いただきました。 技術フェアの開催にあたりご尽力をいただきました、 出展者・関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。 【昨年を上回る207技術/251社・団体が出展(昨年比+26技術/+76社・団体)】 出展分野 ロボット技術 防災・災害対策 維持管理・長寿命化 環境・リサイクル 設計・施工 その他 技 術 数 12 52 64 32 36 11 【開会式】 【講演会 ∼様々な可能性を秘めるドローンとその課題∼】 開会式には、 150名を超える方々にご臨席を賜り、 主催者 大同大学の橋口宏衛講師[博士(工学)] をお招きし、 を代表して茅野中部地方整備局長が挨拶を行いました。 ドローンの種類や仕組み、 どのようなビジネスで使用され、 どのような利用が可能になるか紹介していただきました。 ‒5‒ ̶ 行政トピックス ̶ 【学生交流広場】 【主催企画・ロボット技術の実機実演】 学生の皆さんが、建設業界の第一線で活躍する先 ロボット技術を備えた建設機械やドローンの実演を行 輩技術者に直接質問できる 「学生交流ひろば」 を開催。 い、 建設の施工現場での利活用を広く情報発信しました。 大勢の学生が集まり、建設業界の先輩技術者と交流し ました。 】 【オフィシャルサポーター “dela” 【継続出展者感謝状贈呈式】 名古屋のご当地アイドルグループ “dela” もオフィシャル 継続出展者15年・10年の方々へ感謝状を贈呈しま サポーターとして参加しました。 した。 【中部地方整備局も技術フェアに参加】 企画部 (学生交流ひろば) 災害対策車両の展示 災害対策車両の展示 河川部ブース 道路部ブース 企画部ブース 2016年の建設技術フェアは、 平成28年10月20日 (木) 、 21日 (金) に開催予定です。 来年もご来場をいただきますよう、 よろしくお願いします。 ‒6‒ ̶ 工事現場紹介 ̶ 三遠南信自動車道 佐久間道路の事業紹介 中部地方整備局 浜松河川国道事務所 1.はじめに 三遠南信自動車道は、長野県飯田市の中央 自動車道を起点として、静岡県浜松市北区引佐 町に至る延長約100kmの高規格幹線道路で、 中央道、新東名と連結し、三遠南信地域の交流 促進、 連携強化および奥三河・北遠州・南信州地 域への高速サービスの提供、 災害に強い道路網 の構築、 地域医療サービスの向上とともに、 これら 地域の秩序ある開発、 発展に寄与する重要な道 路です。 現在、 浜松河川国道事務所では佐久間道路・ 三遠道路(佐久間IC (仮称) から浜松いなさJCT 間:延長27.9km) の事業を進めており、平成24年 4月までに、鳳 来 峡 I Cから浜 松いなさJ C T 間 13.9kmが開通し、 佐久間ICから東栄ICまでの佐 久間道路(延長6.9km) は、 平成30年度の開通を 目指して事業を進めています。 図−1 位置図 (広域) 2.佐久間道路の概要 佐久間道路は佐久間IC、 浦川IC、 東栄ICの3つのICで地域と接続される道路で、 延長の約8割をトンネルが占めてい ます。 現在、 掘削作業を推進している2つのトンネルでは、 早期完成に向け工事を実施しています。 図−2 佐久間道路 (佐久間IC∼東栄IC間) 概略図 ‒7‒ ̶ 工事現場紹介 ̶ 1)佐久間第1トンネル 佐久間第1トンネル (延長約3.4km) は中央構造線の概ね600mから1200m北西側に併走した位置にあり、 主として領 家変成岩の泥質片岩、 砂質片岩、 珪質片岩と設楽層群堆積岩の砂岩、 泥岩、 礫岩の地質から形成されています。 一部箇所においては中央構造線の影響と思われる側壁部の変位も見受けられますが、 インバート閉合等よる変状対 策を行い、 掘削作業を進めています。 写真−1 佐久間第1トンネル 東栄IC側坑口 写真−2 インバート閉合等による変状対策 2)佐久間第2トンネル 佐久間第2トンネル (延長約2.4km) は、坑口近くに低土 被り部が約300mあることから、 地表部及びトンネル内部の 計測を行いながら、 長尺フォアパイリング等を実施すること で沈下の抑制対策を行い、 掘削作業を進めています。 3.おわりに 三遠南信自動車道は「交流の道、 命の道、 まもりの道」 と して重要な役割を果たす道路として地域より期待をされて います。 特に佐久間道路整備区間は、急峻な地形であり、現況 写真−3 佐久間第2トンネル 佐久間IC側坑口 道路は乗用車でもすれ違い困難な箇所が多い上、雨量 規制区間も複数存在することから、 雨が多い時期に小規模な法面崩壊が発生した場合には迂回路がない状況にあり、 早期の開通が期待されています。 今後も、 平成30年度の開通に向け安全第一で工事を推進してまいります。 ‒8‒ ̶ 工事現場紹介 ̶ 梨子沢災害復旧工事の紹介 中部地方整備局 多治見砂防国道事務所 1.はじめに 平成26年7月9日、長 な ぎ そ ま ち 野県南木曽町(図−1) なしざ わ を流れる梨子沢におい て大 規 模な土 石 流が 発生した。 この日、梨子 沢では台風8号からの 湿った空気と日本列島 にかかる前線の影響で 15時から18時までの3 み ど の 時間で112mm (三留野 図−1 位置図 観 測 所 )の 強 い 雨 が 図−2 気象の状況 降っていた。 (図−2) お お なしざ わ 大梨子沢) 梨子沢本川 (以下、 は、 標高1,679mの南木 こ な し ざ わ 発災3日後には、梨子沢の航空レーザー測量を実施 曽岳を源とし、 支川の小梨子沢が合流した後、 南木曽町 し、流出・堆積した土砂量を被災前と比較した結果、全 の市街地を流れ木曽川に合流する急流な河川である。 土石流は、 南木曽小学校付近の屈曲部で流路から溢 域で約131,000㎥もの土砂が流出・堆積したことがわ れて直進し、 市街地やJR、 また木曽川沿いを走る国道19 かった。 このうち梨子沢第2砂防堰堤(写真−2) は、平 号へ流出し、 死者1名を含む甚大な被害を発生させた。 成 2 6 年 3月に本 体が完 成したばかりであったが、約 54,000㎥もの土砂を捕捉した。 この捕捉した土砂のう ち、応急的に土砂約30,000㎥を除去する工事を実施 2.災害復旧工事 した。 発災直後、 当事務所 を含む国 土 交 通 省で また、今回の災害をうけて、再度の災害を防止するた は、TEC-FORCE(テッ め緊急的に砂防堰堤2基(梨子沢第3堰堤と梨子沢第 クフォース:緊急災害対 4堰堤) を新設並びに、土石流を捕捉する際に一部損 策派遣隊)による被災 傷した砂防堰堤1基(梨子沢第1堰堤)の復旧工事を 写真−1 ブロック堰堤 調 査や橋 梁 点 検 等を 実施することとなった。 これらの工事は、 平成26年8月5日 実施し、応急対策とし に砂防災害関連緊急事業及び河川等(砂防)災害復 て、下流部の市街地で 旧事業として災害採択され、現在、工事を実施している は、仮設橋の設置や再 ところである。 この他、長野県では大梨沢上流部の梨子沢砂防堰 度土石流が流下してき た場合に備え、民家や 堤及び市街地部の流路工、林野庁では大梨子沢及び 写真−2 梨子沢第2砂防堰堤 生活道路への越水防止のために根固めブロックや大型 小梨子沢上流部の谷止工、南木曽町では町道橋や頭 土のう等を設置し、 上流部では、 緊急ブロック堰堤(写真 首工等の施設の復旧工事が各施設管理者により実施 −1) や強靱ワイヤーネット工を設置した。 されている。 ‒9‒ ̶ 工事現場紹介 ̶ 図−3 梨子沢災害復旧工事の概要 屈曲部で越水した区間については、復旧工事に合わ 3.おわりに せて流路の線形を改良する工事も実施することとした。 災害対応にあたり、 南木曽町及び長野県の職員の皆 なお、 流路工や流路工に架かる橋の復旧工事において さんをはじめ各関係機関の方々のご協力に対し、 改めて は、一部長野県や南木曽町より国が受託して工事を実 御礼申し上げます。早期の災害復興のため、 今後も引き 施している。 (図−3) 続き災害復旧工事を進めて参ります。 ‒ 10 ‒ ̶ 工事現場紹介 ̶ 新名神高速道路(三重県区間)の事業紹介 NEXCO中日本 名古屋支社 建設事業部 1. はじめに NEXCO中日本 名古屋支社においては、東海エリア より交通量が大幅に増加した東名阪自動車道の渋滞解 における高速自動車国道・一般有料道路の延長約 消、大規模災害時の緊急輸送路として、産業・経済・文 838km、休憩施設60ヵ所の高速道路管理・運営及び約 化の発展に重要な役割を担っています。 そのうち、名古 207km(4車線化等を含む) の高速道路建設を行ってい 屋支社は三重県内の四日市JCT∼亀山西JCT間約 ます。 (延長は10月末時点) 28kmの建設を実施しており、 四日市JCTで東名阪自動 建設事業としては、 信頼性の高い高速道路ネットワー 車道、新四日市JCTで東海環状自動車道, 亀山西JCT クの早期整備に向け、愛知県区間の新東名高速道路 で供用中の新名神高速道路と接続する計画となってい や三重県区間の新名神高速道路の新設事業のほか、 ます (図1)。 国土交通省と共同で整備を進めている東海環状自動 車道(養老JCT∼新四日市JCT、関広見IC∼大垣西 2−1 四日市工事事務所 IC)や名古屋環状2号線(名古屋西JCT∼飛島JCT) 当該区間は四日市工事事務所が担当しており、土工 の新設事業、東海北陸自動車道の4車線化(白鳥IC∼ 15km、 トンネル5.5km、 橋梁7.5kmで構造物の割合が約 飛騨清見IC) 、 スマートICなどを実施しており、 地域の皆 5割を占める区間に、 インターチェンジ1ヵ所、 ジャンクショ さまのご協力を頂きながら事業を推進しています。 ン3ヵ所、 パーキングエリア1ヵ所を有しています。 現在の進捗状況としては、四日市JCT∼新四日市 2. 事業概要 JCT間の約4kmは、 舗装・施設工事を担当している東海 三重県で建設中の新名神高速道路は、愛知県名古 環状自動車道(新四日市JCT∼東員IC) とあわせて、 早 屋市から兵庫県神戸市を結ぶ約174kmの高速自動車 期の開通に向けて工事を全面展開中です。 また、 新四日 国道であり、新東名高速道路・伊勢湾岸自動車道ととも 市JCT∼亀山西JCT間の約23kmは平成30年度の開 に国土軸を貫く東名高速道路・名神高速道路の交通を 通を目指して事業を進めており、用地取得は9割、土工 分散し、東京・名古屋・大阪の三大都市圏を繋ぐ日本の 工事の全面展開を図っているところです。 (10月末時点) 「新しい大動脈」であり、名神高速道路における冬期通 (写真1) (写真2) 行規制時の代替ルートや伊勢湾岸自動車道との接続に 新名神高速道路 建設担当区間 ・四日市JCT∼新四日市JCT:約4km ・新四日市JCT∼亀山西JCT:約23km 図1 位置図 ‒ 11 ‒ ̶ 工事現場紹介 ̶ 至 名古屋 東名阪自動車道 伊勢湾岸自動車道 至 豊田 新名阪高速道路 至 亀山 写真1 四日市JCT付近の状況 写真3 地元の方を招いた見学会 写真2 亀山西JCT付近の橋梁下部工の施工状況 写真4 クローラークレーンによる一括架設の施工状況 あさけ が わ 3.事業の特色 また、 一級河川・朝明川および国道365号バイパスを跨 当該区間の特徴は鈴鹿山脈から伊勢平野へと広が ぐ朝明川橋(鋼・PC混合三径間連続アーチ補剛箱桁形 る山間、 渓谷、 丘陵、 田園、 茶畑といった自然豊かな地域 式) では平成27年3月に送り出し架設が完了しています。 を通過します。新名神高速道路の三重県区間は、最小 同橋の最大支間長は225mとなり、鋼単弦ローゼ (鋼重 曲線半径が1,800m、最急縦断勾配が2%と、従来の東 4,200t) としては国内最大規模です。 (写真5) 名神と比べて、急カーブや急坂が少なく、 これまで以上 に安全・安心・快適でエコな走行が可能です。 (図2) 図2 新名神高速道路三重県内の最小曲線半径と最急縦断勾配 事業を進めるにあたっては、地域との連携を大切にし ており、地元住民の方々や技術者を目指す学生等を対 象に現地見学会を開催し、地域と一体となって、建設事 写真5 朝明川橋付近の状況 業に取り組んでいます。 (写真3) 新名神高速道路より伊勢湾岸自動車道および東名阪 4. おわりに 自動車道と接続する四日市JCTでは、営業中の高速道 地域にお住まいの皆様や関係機関の皆様のご協力 路の上に橋を架けるため、 平成25年11月から平成27年7 を頂きながら一日も早い開通に向け努力していく所存で 月にかけて10回に及ぶ夜間通行止めを実施し、 送り出し すので、 ご理解とご協力の程よろしくお願いします。 架設や国内最大級の1,250t吊りのクローラ―クレーンに よる一括架設などを行い、 無事完了しました。 (写真4) ‒ 12 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成26年度 矢作川西奥田護岸工事 石橋建設興業株式会社 1. はじめに 本工事は、 愛知県中央部を貫流して三河湾に注ぐ幹 川流路延長118kmである矢作川の河口部(愛知県西 尾市西奥田地区) において低水護岸の補修を実施する 工事でした。 河口部であるため、波浪や潮の干満の影響を受ける 施工条件でありましたが、河床特性を十分考慮して仮 締切を行い、 施工しやすい現場環境を整備することによ 完成写真 (下流より上流を望む) り、 安全で品質の高い護岸を施工することができました。 また、既設基礎工を再利用してコスト縮減を図る等の工 3. 安全対策 夫も実施しました。 3−1 第三者安全対策 工事箇所へは地元生活道路として一般車両も通行 する堤防道路から工事用仮設坂路を下りる必要がある ため、工事車両出入口には注意喚起看板の他、 のぼり 旗を設置し、 堤防道路上には大型車両の通行を案内す る看板を設置して、 第三者事故防止に努めました。 矢作川流域位置図 本工事箇所 のぼり旗・大型車両通行の案内看板 2. 工事概要 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 豊橋河川事務所 3−2 架空障害物安全対策 工 事 名:平成26年度 矢作川西奥田護岸工事 工事車両が通行する堤防道路には、 アンダーパスが 工事場所:愛知県西尾市西奥田地先 あり、重機回送車やクレーン付トラックのブーム格納忘れ 工 期:自 平成26年6月20日 至 平成27年3月31日 による架空障害物への接触防止のため、 工事出入口に 工事規模:工事延長 L=220m 法長4.3m 赤旗を設置して、 事故防止に努めました。 ・河川土工 1式 ・護岸基礎工 1式 ・法覆護岸工 1式(プレキャスト法枠941㎡) ・付属物設置工 1式 ・構造物撤去工 1式 ・仮設工 1式 工事車両出入口 架空障害物接触防止対策 ‒ 13 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 3−3 過積載防止対策 6. 品質向上に向けた取り組み 「ダンプトラックにどれほどの積載量だと過積載になら プレキャスト法枠及び中詰板のSL寸法を1箇所毎に ないか」 を一目でわかる 『写真付きシート』 をバックホウ毎 計画し、製作することにより、間詰コンクリートの現場打ち に配布し、積込時に重機オペレーターに確認させて過 を削減し、 且つ美観向上を図りました。 積載防止を図りました。 また、TS出来形同様に施工管理データを作成し、施 工途中の出来形測定の点検観測に活用し、出来形の 精度向上も実現できました。 過積載防止 写真付きシート 3−4 作業員への安全職場改善対策 プレキャスト製品寸法計画 女性社員も安全パトロールに参加し、女性ならではの 視点で意見をもらい、 職場の改善に反映させました。 出来形点検観測の実施 7. 地域とのコミュニケーション 三河地区の高校 新卒者のための現 場見学会を開催し、 若手技術者確保の 女性社員参加の安全パトロール実施 促進と就職支援協 その 力を図りました。 4. 環境対策 水替工にてノッチタンクによる汚濁防止対策だけでな く、排水するその先に沈砂池を設け、 さらなる汚濁の発 結果、 2名が入社し、 高校新卒者 現場見学会 現在明るく元気に働いています。 生の抑制を実施しました。 また、工種が変わる毎に水質 豊橋河川事務所の「矢作川アダプト活動」や西尾市 調査を実施し、 水質状況を把握して施工管理しました。 の「川と海のクリーン大作戦」、 碧南市の「秋のクリンピー ときれいな街づくり事業」など、矢作川周辺での清掃活 動に積極的に参加しました。 ノッチタンク・沈砂池・汚濁防止フェンス設置 水質調査実施 5. 発注者とのコミュニケーション 設 計 図 の 照 査において、 ICT技術を活用し、 3次元設計 データを作成し、 設計法線を可 視化することにより、 法線のうね りを発見し、発注者との打合せ に活用して、迅速な合意形成 矢作川周辺清掃活動への積極的参加 (上) 当初設計法線 8. おわりに を図り、手戻りなく設計変更を 豊橋河川事務所のご指導と地域の皆様の多大なる 効率的に行うことができました。 ご協力とご理解により、無事故・無災害で完成できました また、 若手技術者を交えて検 ことを厚く御礼申し上げます。 討しましたが、 ICT活用にとても 今後も顧客のニーズや新技術に積極的にチャレンジ 興味を示し、若手技術者育成 につなげることもできました。 (下) 設計変更法線 していきたいと考えています。 ‒ 14 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成25年度 飛島大橋左岸小川地区下部工事 鈴中工業株式会社 1.はじめに 本工事は、 名古屋環状2号線西南部 (名古屋西JCT∼ 国道23号梅ノ郷) のうち、 港区大西にて国道302号 (一般 部) 横断ボックス (車道・人道並列型) の延伸工事を1箇所、 飛島大橋 (日光川架橋) の北側において、 名古屋第二環 状自動車道 (専用部) の橋脚を1基構築する工事でした。 名古屋環状2号線は、 ①緊急輸送道路の機能確保お よび強化、 ②都心部に集中する交通を迂回・分散させ、 渋 写真−1 函渠工 (大西地区) 完成写真 滞緩和を図る等、 早期開通に向け凄まじい勢いで工事発 注が進められ、 当該施工区域においても、 他工事と輻輳 する時期があったり、 また進入路の切替えが必要となる 等、 工程調整には課題のある現場でした。 一方、構造物 構築に関しては、 コンクリートのひ 施工箇所 び割れ「0」 を目指 すことを課題とし、 写真−2 RC橋脚工 (小川地区) 完成写真 現場での温度解 析をはじめ様々な 3. 安全対策 創意工夫に取り 3−1 作業員の安全意識改善 組み施工した。 作業員の安全意識改善・向上を図るため、 当現場で 図−1 工事箇所 は足場入口に赤外線感知式トークナビ (メッセージ内容: 2. 工事概要 「安全帯使用エリアです、 安全帯を必ず使用して作業を 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 愛知国道事務所 行って下さい」) およびスイング標識を設置した。 工 事 名:平成25年度 飛島大橋左岸小川地区下部工事 トークナビとスイング標識を併用することで、視覚・聴 工事場所:名古屋市港区小川∼大西 覚・触覚に伝 工 期:自 平成26年1月21日 令されるため 至 平成27年3月27日(431日間) 意 識 改 善の 工事規模:・道路土工 1式 点で大 変 効 ・RC橋脚工 1式 果 的 で あっ 既製杭工(回転杭φ800 L=34.0m)18本 たと思われま 橋脚躯体工 した。 1基 写真−3 スイング標識及びトークナビ ・カルバート工 車道ボックス 1基 人道ボックス 1基 3−2 施工機械の工夫 ・排水構造物工 1式 ボックスの延伸工事を施工した大西地区は、 施工エリ ・舗装工、 縁石工 1式 アがウナギの寝床に例えられるほど狭いエリアであり、 重 ・道路付属施設工 1式 機と作業員の挟まれ・接触事故が懸念されたため、 オペ ・構造物撤去工 1式 レーターからの死角を取り除き、 より高いレベルでの周囲 ・監督員詰所造成工 1式 安全確保が可能であるフィールド・ビュー・モニターを搭 ・仮設工 1式 載したバックホウを採用した。 ‒ 15 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 5. 課題への取組について 5−1 3次元FEM解析による施工と検証 施工する構造物全てにおいて、3次元FEM解析を実 施し温度ひび割れの可能性について検証した。 予めコンクリート打設前に着目箇所へ熱電対を設置し ておき、所定期間コン クリート養 生 温 度を 計測し、 3次元FEM解 析による理 論 値と熱 電対による実測値に 問題となる差異が発 生していないか確認 写真−4 フィールド・ビュー・モニター搭載バックホウ した。 また、現場作業 4. 環境対策 所にてF E M 解 析を 4−1 騒音に配慮した施工 行っていたため、 継続 ボックスカルバートの延伸を施工する大西地区は民家 的に計測している実 が隣接していたため、 継手アンカー工の削孔作業による 測値により脱型時期 騒音を予め予測し (日本音響学会の予測式より)、①削 の延長および養生方 孔機の台数を制限する、 ②音源(削孔箇所) の廻りを全 法の改善等柔軟な対 面 防 音シートで 応を施すことで品質 覆う等、 騒音レベ 面のフォローアップが ルの低減を図り、 図れた。 写真−7 熱電対添加 (計測状況) 最近隣の民地 5−2 乾燥収縮によるひび割れ対策 境界地点におい て規制基準値内 脱型直後のコンクリート構造物表面に保水シートを貼 となるよう施工を 付し、 さらにその上からプチプチシートで覆い、 温度応力 コントロールした。 の緩和と併せ乾燥収縮による初期ひび割れの抑制を 写真−5 騒音対策および確認状況 図った。 4−2 環境負荷低減の工夫 コンクリートポンプ車打設において、 従来はコンクリート の圧送に先立ち、 ブーム配管内の潤滑剤として先行モ ルタルを0.5㎥程度購入・廃棄していたが、代替工法とし て原位置で容易に作成することができる 「スリックパワー プレミアム水溶液」を使用することで、①1/10程度の廃 棄 生コンしか 発生しない、 ② 写真−8 養生の構成および状況 アジテーター 6. おわりに 車による先 行 モルタルの 搬 工事期間中、大西地区では通行止めを伴う工事でし 入が必要ない たが、 地域の方々のご理解・ご協力により無事完成できま 等、 コスト縮減 した事、 深く感謝しております。 と併せ環境負 また、満足のいく構造物を提供できたこと、無事故・無 荷の低減が図 災害で竣工できたことは現場スタッフ全員が今後の励み れた。 写真−6 先行誘導剤 (水溶液) の使用状況 なると思っています。 ‒ 16 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成25年度 木曽川源緑高潮堤防補強工事 株式会社奥村組 名古屋支店 1.はじめに 工事規模:施工延長 L=343m ・海岸土工 1式 る一級河川です。木曽三川の下流一帯は、 日本最大の ・地盤改良工 1式 海抜ゼロメートル地帯を有しています。 砂圧入式静的締固め 木曽川は、長良川、揖斐川とともに木曽三川と呼ばれ 当地域は、昭和34年に発生した伊勢湾台風が猛威 杭長6.9m∼10.9m 1,338本 を振るい、甚大な被害をもたらした地域です。今後数十 ・仮設工 1式 年の内に起こる可能性が高いとされる南海トラフ地震に ・不発弾磁気探査 1式 おいても、木曽川の堤防が液状化等によって機能を失 SAVE-SP工法とは、従来工法(SCP工法) を狭隘な い、高潮等にともなう大規模水害を発生させるおそれが 空間でも施工が可能となるように開発されたものです。 あります。 材料砂に流動化剤と遅行性塑性化剤を添加することに 本工事は、国道23号線と木曽川左岸を並行する堤 より、流動性を持つ砂を製造し、地中の緩い砂層を対象 防道路との交差部で、 左岸川裏を仮設盛土上から砂圧 に小型機械によって圧入することで、透水性を確保しな 入式静的締固め (SAVE-SP工法) で、 堤防に耐震補強 がら周辺地盤の強度を高め、耐震性を向上させます を施すことにより、地震により発生する液状化に耐えうる (写真−1、 図−2)。 高潮堤防へと機能向上を図るものです。 (図−1) 3.工事状況 2.工事概要 本工事は、地質調査、仮設盛土、不発弾磁気探査を 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 施工した後に、地盤改良工事(SAVE-SP工法) を行い 木曽川下流河川事務所 ました。施工に際しては、 通過する一般車両等の安全性 工 事 名:平成25年度 確保と砂杭施工機器配置の両面から堤防道路延長 木曽川源緑高潮堤防補強工事 2kmの通行止めを避けられませんでした。通行止めによ 工事場所:三重県桑名郡木曽岬町源緑輪中地先 る道路利用者の不便さを軽減するため、地域の方々と 工 期:自 平成26年2月25日 密にコミュニケーションを図り、施工計画を逐次修正しな 至 平成27年1月30日 (229日間) がら施工を行いました。 揖斐川 長良川 木曽川 工事場所 国道23号線 図−1 工事場所 写真−1 SAVE-SP工法施工状況 ‒ 17 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 図−2 SAVE-SP工法 施工フロー図 4.地域の方々とのコミュニケーション の方々のご負担を和らげる努力を続けました (写真−2 地域の方々と日常的にコミュニケーションを図っている 参照)。 また、少しでも地域の方々に優しい環境をつくる と、工事に対するアドバイスを頂くこともあり、非常に参考 ため、 私たち男性とは異なる女性の感覚や視点で、 不快 になりました。 たとえば、学生の通学路へ迂回車両が増 を与えている状況はないか、 きめ細かな配慮ができてい えたことにより交通事故が懸念されていることや、 お年寄 るかなどをチェックする当社女性職員によるパトロールを りにとって迂回路は、 距離が長く疲れしてしまうことなどで 試行しました。整理、整頓、清掃、清潔(4S) に関する指 す。私たちが気付かなかったこれらの教えに、一つひと 摘や安全面・環境面に対する考え方が現場にとって非 つ丁寧に対応しながら施工計画を改善することで、 地域 常に参考となりました (写真−3参照)。 5.おわりに 木曽川下流河川事務所のご指導と地域の皆様のご 協力とご理解によって、無事堤防の耐震補強工事を完 成させることができました。 地域で生活をされる方々の生命と暮らしを守る意義 深い工事を担当させていただき、工事所員一同大きな 写真−2 地域交流状況 (通学路交通誘導) 誇りを感じています。 写真−3 女性技術者によるパトロール状況 写真−4 完成写真 ‒ 18 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成25年度 19号鳥居トンネル修繕工事 吉川建設株式会社 1.はじめに 天井板の撤去は、坑内プロテクター (一般車両防護 本工事は、国道19号の鳥居トンネル天井板を撤去す 作業車) を設置し、 その上部で人力によって天井板を撤 る工事であった。国道19号は18,033台/日と交通量が多 去し、 トラックに積み込み搬出するという方法で行った く、特に大型車両の通行が多い。 また、迂回路が無いた (図−1)。 その際、一般車両が坑内プロテクターに接触 め、24時間片側交互通行とし、 トンネル全線の天井版を すると、 撤去作業を行っている多くの作業員や第三者を 撤去した。 巻き込んだ大災害になることが懸念された。 2.工事概要 3−1 視認性向上による接触防止 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 坑内プロテクター材のリース材はサビ色(赤色) であ 飯田国道事務所 り、 トンネル内では視認性が悪い。 そこで、 すべての部材 工 事 名:平成25年度 19号鳥居トンネル修繕工事 をライトグリーンに塗装し、視認性を向上させた。 また、入 工事場所:長野県木曽郡木祖村藪原∼ り口にはチューブライトと反射テープ、 プロテクター内には 塩尻市奈良井 工 期:自 平成26年2月27日 LEDライトと反射テープを取り付けさらに視認性を高め た (写真−1)。 至 平成26年10月20日 工事規模:撤去延長 L=1,738m、 幅 7.510m ・トンネル工 1式(天井板撤去13,324㎡) ・構造物撤去工 1式 (コンクリート構造物取壊し1,332㎥) ・仮設工 1式 3.安全対策 写真−1 坑内プロテクターの視認性向上状況 3−2 高さ管理による接触防止 坑内に進入できる車両の高さ制限は3.8m以内となる ため、 ①看板板及び横断幕による注意喚起、 ②高さセン サーによる回転灯警告、③高さセンサーと誘導員による 監視、④高さ制限バーによる強制停止の4段階の対策 を行った (図−2)。 これらの対策中で特に③の誘導員に よる制限を超える車両の通行禁止を重要視した。 ここで は高さセンサーに反応した車両や、 路肩に設置した高さ の目安バーを誘導員が目視で確認して、 怪しいと思われ 図−1 坑内プロテクター配置 断面図 る車両を停止させて再度測定し、制限を超える車両に ついてはすべて通行禁止とした (写真−2)。 ‒ 19 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 坑内プロテクター バーによる幅制限 写真−3 対策④ バーによる幅の規制 図−2 高さ制限のための接触防止対策図 4.おわりに 5月12日∼7月31日まで24時間片側交互通行で行った 天井板撤去工事は、一般車両が坑内プロテクターに接 触して災害になることは一度もなく、予定工程内で作業 を終了することができた。 ただ、 大型車両が多く通行する 道路であり、 かつ、 夜間の通行は大型車両が主であるた め、高さや幅の制限一杯での通過となる場合が多く、幾 度となくヒヤリとする場面もあった。 安全対策として、 看板や表示による注意喚起を実施し たが、最終的には人間による監視体制が事故を未然に 写真−2 対策③ 誘導員による高さ確認 防止する最も重要な対策となったと考える。 今回、施工前の段階で、 トンネル内で起こりうる事態を 3−3 幅の管理による接触防止 坑内に進入できる車両の制限幅を3.0m以内とした 可能な限り考え、対策を一つ一つシュミレーションした結 が、坑内プロテクターの内部を通行する際は、道路のセ 果、対策を講じるには大勢の誘導員、作業員の配置が ンターライン上を通行することになるため、 ラインを意識し 必要との結論に至った。経費は増大したが、 その配置を て通行する車両が接触する危険があった。 また、 大型車 実践することにより無理のない作業体制が整えられたこ 両により前方が見えない場合や、 前方不注意による接触 と、作業を常に監視できる十分な社員を配置できたこと も考えられたため、次の対策を講じた。①看板及び横断 がより良い安全管理につながったと考える。 幕による注意喚起、 ②誘導員による監視、 ③坑内看板に よる注意喚起、④坑内プロテクター手前のバーによる通 行車両の幅の規制(写真−3)。撤去作業に伴い坑内プ ロテクターを日々移動していくため、 ③④はその移動に伴 い設置し直すが、 パトロール車両から見え方を何度も確 認し、 最適位置に設置した。 ‒ 20 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成26年度 木曽川上流管内水門設備工事 株式会社丸徳鉄工 1.はじめに 工事内容:・塗替塗装 3門 ・ローラー整備 2門 ・シーブ取替 2門 ・水密ゴム取替 3門 今渡ダム潜孔式魚道のシャッターゲートの修繕を行うも ・バラスト取付 2門 のでした。 ・開閉装置取替 3台 ・点検歩廊取替 1基 は各排水機場の計画排水能力を損なわせてはならない ・角落し製作 3門 ことから、11月から3月にかけての低温時期に現場塗装 ・潜孔式シャッターゲート整備 9門 本工事は、 内水排除及び逆流防止を目的に建設され た早田川排水ひ管(表)1号ゲート、両満川排水ひ門 (表)1号ゲート、新大江ひ門№1ゲート設備の修繕及び 施工にあたっては、 出水期間中 (6月1日から10月31日) 工、 扉体整備工を4箇所行うという厳しい条件でありまし た。 また、河川上での修繕作業であることから環境にも 3.安全対策 工事施工箇所から離れた位置には階段があるが近 配慮し施工しました。 辺には無い為、特に雨天時については堤防法面は滑り やすく危険なので各所に法面階段を設置しました。 これ により作業員のみならず散歩をされてきた方にも安全に 迂回して頂くことができました。 早田川排水ひ管 両満川排水ひ門 新大江ひ門 今渡ダム 昇降階段設置 (両満川) 2.工事概要 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 木曽川上流河川事務所 工 事 名:平成26年度 木曽川上流管内 水門設備工事 工事場所:木曽川上流河川事務所管内 工 期:自 平成26年7月8日 至 平成27年3月30日 昇降階段設置 (早田川) ‒ 21 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 4.環境対策 5.困難等の克服 現場塗装の素地調整には、 循環式エコクリーンブラス 冬季の現場塗装において、塗装条件を満たすことは ト (NETIS CB-100047-V) を採用することにより、産業 困難であるが全周囲をコンパネとシート養生による密閉 廃棄物の発生を大幅に削減することができました。 構造にすることにより温湿度管理、強風および塵埃対策 を可能にすることができました。 また数箇所に採光窓を設けることにより作業視野を高 める工夫も取り入れました。 機器設置状況 この工法は研削材が加圧タンクからブラストホースを 経て加送され、 ノズルヘッドから噴射します。 ブラスト後に 温湿度管理状況 発生した研削材と塗料カスは回収ホースを経てホッパー タンクへ送られます。 ホッパータンクでは、 研削材と塗料カ ス、粉塵が分別され、 ダスト回収器のフィルターを透し産 業廃棄物を選別します。 ブラスト研削材は、再使用ができる金属系研削材 JISZ0311-1996「スチールグリッド」 を使用しているので 産業廃棄物として発生するのは塗料カスだけであること から、 処分量を軽減することができるという仕組みです。 採光窓を設けた板張り防護養生 6.おわりに 木曽川上流河川事務所の方々のご指導、 ならびに地 循環式エコクリーンブラスト工法 域の皆様のご理解とご協力により本工事を無事終えるこ とができましたことを感謝申し上げます。今後とも災害か ら地域を守るべく、確かな品質と環境への配慮をもって 社会へ貢献してまいります。 ‒ 22 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成25年度 東海環状上切高架橋PC上部工事 三井住友建設株式会社 1.はじめに 本工事は、岐阜県関市の東海環状自動車道東回り 区間(関広見IC∼土岐JCT)美濃関JCT部の4車線化 に伴う工事です。 工事箇所は、美濃関JCTの東側で、国道156号を跨 ぐ区間に架橋される橋梁である。 写真−2 完成写真 3.施工上の課題 本 工 事の施 工では、架 設 位 置 上 空に高 圧 電 線 (275,000V)が設置され、完成時橋面上から高圧線離 隔制限高さまでが5.0m以下となるため、 感電による災害 防止対策が課題となった。 写真−1 工事箇所 また、 西回り区間の東海環状自動車道が暫定供用中 であり、 施工箇所と近接することにより、 一般通行車両へ 2.工事概要 の災害防止対策検討も合わせて必要であった。 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所 4.安全対策 工 事 名:平成25年度 今回の課題克服にあたり、施工時では以下の対策を 東海環状上切高架橋PC上部工事 実施した。 工事場所:岐阜県関市下有知 ①高圧電線下での作業において、 GPSクレーンブーム 工 期:自 平成25年9月5日 監視システムによる離隔制限作業の実施 至 平成27年3月23日 ②レーザーバリアシステムによる、 危険区域指定 構造形式:9径間連続PC箱桁橋 橋 長:361.8 m 4−1.GPSクレーンブーム監視システムによる 支 間 長:38.95 + 7@40.20 + 38.95 m 高圧線近接作業 有効幅員:10.75 m クレーンやコンクリートポンプ車を使用した高圧線近傍 桁 高:2.5 m における作業の安全確保を目的としたGPSブーム監視 ・PC箱桁橋工 一式 システムを自社開発・導入し、 作業時のブーム位置を3次 ・橋梁付属物工 一式 元計測・モニター表示化することによって、高圧線離隔 ・コンクリート橋足場等設置工 一式 制限への接近を運転手・職員・作業員へ通知し安全に 作業を行うことができた。 ‒ 23 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 5.地域とのコミニュケーション 周辺地域住民とのコミニュケーションを図るため、 毎月 の工事予定の案内や行事等を記した広報紙を作成・配 布しました。 また、地域や発注者の皆様と協力し、現場見学会や 写真−3 GPS受信機取付状況 勉強会を定期的に開催することで、工事への理解を得 制限範囲のイメージと監視ソフトの作動状況 るとともに、 子供達が建設の仕事について、 興味をもつこ とができました。 資料−1 地元広報誌 図−1 GPS監視システム作動状況 4−2.レーザーバリアシステムによる、危険区域指定 供用中の東海環状自動車道の安全を確保するため、 写真−5 地元小学生による勉強会 施工中は供用線からの警戒ラインにレーザーバリアを設 置し、警告音の発信やパトライト点灯による視認確認に よって、 設定した危険区域内での作業を防止することが できた。 資料−2 勉強会感想文 6.おわりに 本工事の施工におきましては、発注者である岐阜国 道事務所をはじめ、 多くの皆様方に適切なご指導頂き立 派な構造物を完成させることができましたことを感謝い 写真−4 レーザーバリア設置状況 たします。 ‒ 24 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成24年度 1号静清川合高架橋西地区PC上部工事 大日本土木株式会社名古屋支店 1. はじめに 国道1号静清バイパスは、地域高規格道路「静岡東 西道路」の一部を構成し、静岡市清水区興津東町から 静岡市駿河区丸子二軒家に至る延長24.2kmの幹線 道路である。路線は、静岡市の環状道路の一部として、 交通混雑の緩和を図るとともに、道路交通の安全を確 保し、 さらには内陸部の地域の発展を促進することも目 指して計画された。 本工事は、 静岡市葵区の住宅街に位置し、 すでに供用 されている上り線に近接した下り線を施工する工事であ 写真−1 完成写真 る。 進入路は規制した側道を利用、 市道と交差する川合交 差点上での作業もあるため、 地域住民の生活環境への配 3. 安全対策 施工箇所は、第三者が頻繁に往来するため、第三者 慮及び第三者への安全対策が課題となる工事であった。 に対する災害がないように、 作業手順による安全教育お よび場内の整理整頓を徹底して工事を進めた。 3−1. 各工種別の詳細作業手順書の作成 川合高架橋西地区PC上部工事 L=270m 各工種別に現場の状況に即した作業手順書に作業 主任者が手書きでリスクアセスメントを取り込み、集合教 育で周知徹底後、 安全に作業を実施した。 (図−2) 図−1 工事場所 2. 工事概要 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 静岡国道事務所 工 事 名:平成24年度 1号静清川合高架橋 西地区PC上部工事 工事場所:静岡県静岡市葵区川合3丁目∼南沼上1丁目 工 期:自 平成25年3月5日 図−2 工種別作業手順書 至 平成26年5月30日 工事規模:道路規格:第1種第3級 3−2. 場内の作業エリア別の区分 (見える化) 形式:ポストテンション方式PC11径間 場内の整理整頓も含め、 現場の状況が誰でも視覚で 連続場所打ち中空床版橋 確認できるようにカラーコーンで色分けをした。 (緑色・・・ 橋長:269.750m(CL上) 安全通路、 黄色・・・作業場所、 青色・・・材料置場、 赤色 有効幅員:9.73m∼11.48m ・・・立入禁止箇所) (写真−2) ‒ 25 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 写真−2 カラーコーンによる場内の色分け 写真−4 納涼夏祭りへの参加 4−2. 現場見学会の開催 3−3. 大型昇降設備の設置 自治会行事への積極的な参加により、 当現場に興味 上部工橋面上への昇降設備は、 荷物を持った場合で も容易にすれ違いが可能な大型昇降設備を設置した。 を持って頂いた住民からの要望で、現場見学会を開催 (ワンタッチ組立式ドッキングタワーを8連積み上げ、 6段目 した。幼児から年配の方まで150名もの幅広い層の参加 に昇降口を設置。 最上段は展望台に利用。 ( )写真−3) 者が集まり、2部制で見学会を実施し、工事への理解を 深めて頂いた。 (写真―5) 写真−5 現場見学会 写真−3 大型昇降設備 5. おわりに 4. 地域とのコミュニケーション 当現場は、13の自治会が集合して組織された千代田 本工事は、静岡国道事務所のご指導と地域の皆様 東学区自治会連合会に所属し、工事期間中は、 当社職 のご協力とご理解により、和気あいあいと、楽しく仕事が 員及び作業員が地域とコミュニケーションを密にし、 地域 出来る中で、安全で品質の高い橋梁を完成することが と一体となり、 工事を進めるように心掛けた。 出来ました。 このような仕事が出来たことを誇りにして、 今 後も技術屋として満足のいく工事を引続き施工していき 4−1. 自治会行事への積極参加(納涼祭り・連合運動会) たいと考えます。 各自治会の主催する納涼祭りや秋祭りにポップコーン や綿菓子の屋台を出し、子供達から大変喜ばれた。 ま た、上記の自治会が主催する運動会に参加をさせて頂 き、 地域住民と共に楽しい時間を過ごした。 (写真−4) ‒ 26 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成25年度 名二環小川1高架橋鋼橋脚工事 佐藤鉄工株式会社 1.はじめに 2.工事概要 本工事は、名古屋環状2号線の西南部(名古屋西∼ 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 飛島) に位置する鋼製橋脚を設置する工事です。名古 愛知国道事務所 屋環状2号線は名古屋周辺を取り囲み、名古屋市を中 工 事 名:平成25年度 心に放射状に伸びる幹線道路と主要地点で連結した 名二環小川1高架橋鋼橋脚工事 名古屋都市圏の道路網の骨格をなす延長約66kmの 工事場所:愛知県名古屋市港区小川三丁目 環状道路で、国道302号(一般部) と自動車専用道路 工 期:自 平成26年3月26日 (専用部) が立体的に並行した「複断面構造」で構成さ 至 平成27年3月27日 れます。名古屋都市圏をネットワークする主要幹線道路 工事内容:T形鋼製橋脚(角柱) のひとつとして、交通分散による渋滞解消や、 中部国際 ・工場製作工 1式 空港、 名古屋港など、 物流拠点とのアクセス強化が期待 ・工場塗装工 1式 されています。名古屋西JCT∼飛島JCT(仮称) は最後 ・工場製品輸送工 1式 の未開通区間であり、 この区間が開通することで全線 ・橋脚架設工 1式 がつながります。 ・現場継手工 1式 ・現場塗装工 1式 ・作業土工 1式 施工箇所 写真−1 完成写真 図−1 工事位置図 ‒ 27 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 4−2 戸田川クリーンキャンペーンへの参加 3.安全対策 現場は国道と市道との交差点に位置することから、 周 地域貢献の一環として、 当時 辺の通行を妨げることがないよう、車両安全対策・立入 10回目となる戸田川のクリーン 防護柵・安全看板等を適切な箇所に配置しました。 キャンペーンに参加しました。 資料−1 キャンペーンビラ 写真−2 工事車両出入口 写真−5 戸田川クリーンキャンペーン 4−3 見学会の開催 地域住民とのコミュニケーションの一環として、 橋脚架 設時に地域住民を対象とした見学会を開催しました。 写真−3 施工体系図等掲示 4.地域とのコミュニケーション 4−1 イメージ看板の設置 地域の皆様へのPRとして、隣接工事業者と協力し て、工事概要等を明示したデザイン看板を地域住民及 び道路利用者等の目に付くところで、 安全上支障のない 場所に設置しました。 写真−6 見学会写真 5.おわりに 本工事の施工に当たり、 ご指導ご協力を賜った愛知 国道事務所の方々をはじめ、 工事に携わった関係各位、 および、 ご理解・ご協力頂いた地域の皆様に深く感謝の 写真−4 デザイン工事看板 意を表します。 ‒ 28 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成25年度 1号吉田大橋橋梁補強工事 徳倉建設株式会社 1.はじめに 3.安全対策 本工事は、 愛知県豊橋市に流れる1級河川豊川に架 ①橋桁及び添架物への接触防止対策 かる国道1号吉田大橋の下部工 (P1、 P2橋脚) の橋脚補 橋桁には多数の添架物があり、 本工事では橋桁直 強を行う工事です。 吉田大橋は、 架設後約55年が経過し 下及び近接でのクレーン作業があったため、 事前に防 ており、 橋梁上部工及び下部工に様々な損傷が生じてい 護設備を設置し、 添架物の損傷防止に努めました。 ました。 その損傷箇所を補修・補強すると伴に下部工の耐 ②クレーン作業時の安全対策 震補強を行い既存構 本工事での作業ヤードは仮桟橋上の限られた範囲 造物の延命・維持が目 となるため、 クレーン作業時に玉掛けした吊荷に玉掛警 的です。 報器を取付け、 吊荷直下の人払いを確実に行いました。 河川内での作業と なるため、非出水期で の工事完了が求めら れました。図−1に工事 場所を示します。 図−1 工事場所 写真−2 添加物接触防止 写真−3 玉掛警報機 2.工事概要 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 名古屋国道事務所 4.困難克服 (仮設計画の事前照査によるリスク回避) 工 事 名:平成25年度 1号吉田大橋橋梁補強工事 ひとつの工程の遅れが、 全体工程に影響し工程遅延 工事場所:愛知県豊橋市関屋町∼下地町 が懸念されることから、工程把握が困難な作業や施工 工 期:自 平成25年8月20日 に手間がかかる作業を事前に精査しました。当現場の :至 平成26年9月30日 (406日間) 問題点と対策を以下に示します。 主要工種:・道路土工 1式 ・橋梁補修工 ・鋼桁工 1式 ・橋脚巻立て工 1式 ・根固め工 1式 ・仮設工 1式 ①仮桟橋工について 仮桟橋の支持杭打込み箇所に既設護岸・護床が 1式 あるため、撤去復旧が必要となり、工程遅延が懸念さ れました。既設護岸・護床が支障となる箇所は盛土構 造にして対策しました。 図−2 工事平面図 写真−4 工事用道路盛土 写真−5 仮桟橋 ②土留・仮締切工について 鋼矢板の施工は、橋桁下での施工となることから、 低空間での施工可能な上部障害クリア工法(WJ併 用油圧圧入工法)が採用されていましたが、既設護 床ブロック等の支障物により施工不可能となる可能性 がありました。支障物の有無は潜水調査により確認 し、 施工位置の再検討を行いました。 写真−1 完成写真 ‒ 29 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 認されたため、事前に鋼矢板の施工位置を変更する ③河床埋戻し及び根固め工について (P1橋脚) ことができ、 トラブルなく施工することができました。 河床埋戻し及び根固め工の当初設計(台船施工) ③河床埋戻し及び根固め工について の施工上の課題を示します。 洗掘範囲に仮締切施工位置を広げ、仮締切内で ・干満の影響により、台船施工の施工時間が制限さ 河床埋戻し及び根固め工を施工することで、工程把 れ、 工程遅延が懸念されました。 ・河床埋戻しの土砂投入時、 土砂が流され施工ロス 握が容易となり、 より確実な工程管理が可能となりまし が生じ、工程把握が困難となる。 また、河川の水質 た。 また、 陸上施工となることで出来形面においても向 汚濁が懸念されました。 上したと考えられます。 ロスがなくなったことより約30日 の工程短縮ができました。 ・河床埋戻し及び根固め袋材設置の作業が水中作 業となり、 工程の遅延が懸念されました。 河床埋戻し及び根固め工の施工範囲を鋼矢板で仮 締切を行い、 台船施工から締切内の陸上施工に変更 5.地域貢献 ①豊川クリーンアップ大作戦へ参加 現場周辺の清掃活動に参加することにより地域住 しました。 以下に施工フローの変化と写真を示します。 民とのコミュニケーションを図りました。 写真−10 清掃活動 写真−11 清掃活動 ②中学生の職場体験の実施 後継者育成取組の一環として、 中学生の職場体験 を行いました。 図−3 根固め工の当初および変更施工フロー 写真−12 職場体験 写真−6 鋼矢板圧入 写真−13 職場体験 6.おわりに 写真−7 河床埋戻し 想定される問題点を事前に抽出し検討し、 より確実性 の高い工法へ変更することで、工期内の完成が可能と なりました。本工事に限らず、土木工事には設計との現 場不一致は付き物です。そこで、受注者として検討・提 案を行い積極的に発注者へ働きかけることが、 重要であ 写真−8 板固め袋材設置 写真−9 根固め袋材完了 ることを実感しました。 また、 単年度工事の中で準備期間は、 非常に短く忙しい 【結果】 状況ではありますが、 今後の工事においても設計照査の重 ①仮桟橋工について 既設護岸・護床の撤去復旧作業を削減でき、当初 要性を念頭に置き工事を行っていきたいと考えております。 工程より約10日の工程短縮しました。 また、仮桟橋区 名古屋国道事務所のご指導と地域の皆様、関係各 間の一部をより安価な工事用盛土に変更することで、 所の皆様のご協力により、工事が完成しましたことを感 経済性の向上に繋がりました。 謝申し上げます。 また、 無事故で工事が完了できたことを 誇りに思い、良い施工をすることで社会に貢献していき ②土留・仮締切工について 潜水調査の結果、鋼矢板施工箇所に支障物が確 たいと思います。 ‒ 30 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 平成26年度 名古屋港外港地区防波堤(堤頭部)改良堤工事 五洋建設株式会社 表−1 工事数量総括表 1.はじめに 工 種 名 称 本工事は、名古屋港高潮防波堤堤頭部14函(知多 規格・形状寸法 単位 数量 堤5函、 中央堤東側5函、 中央堤西側4函) において構造 46 場所打ちコンクリート 21-8-20BB m3 物撤去工、 ケーブル移設工、 中詰改質工を施工した工 中詰改質 5N/mm2 m3 2,198 事である。 中詰改質工② 場所打ちコンクリート 21-8-20BB m3 中詰改質 5N/mm2 m3 2,744 5N/mm2 m3 2,195 中詰改質工は、 防波堤本体の耐波性維持、 向上を図 るため、上部工嵩上に先立ち老朽化したケーソンの補 摘 要 ( )参考数量 中詰改質工① 63 中詰改質工③ 強として、 中詰材を固化処理するものである。 ケーソン内 中詰改質 の中詰材を水中サンドポンプで一時撤去し、 プレミックス 構造物撤去工 式 1 付帯工① 式 1 仮設階段設置 付帯工② 式 1 高圧、 低圧 光ファイバー 高圧、 低圧 光ファイバー m 63 m 75 H=1.0m 式 1 船で固化処理し、 ケーソン隔室内へ打設する。固化処 理土施工時は一時的にケーソン中詰材を撤去した状態 ケーブル移設工① となり、 ケーソンの安定を確保するため、 バラスト水の水 ケーブル移設工② 位を管理しながら固化処理土を打設する必要がある。 汚濁防止膜設置・管理・撤去 コンクリート取壊し 鋼材撤去 渡橋設置 仮設階段設置 本稿では前例の少ない防波堤堤頭部ならではの施 工上の課題と対応を紹介する。 3.防波堤堤頭部での施工上の問題点 3−1【作業船の配置】 中詰改質工はケーソン内の中詰材を水中サンドポン プで一旦撤去・仮置し、 プレミックス船で中詰材にセメン トを添加・混練して、 ケーソン隔室内へ打設する手順で 行う。固化処理土を打設する際は、 ケーソン内のバラスト 水位を管理しながら打設する必要がある。 また、一連の 施工はケーソンから中詰材を撤去し、 バラスト水だけの 不安定な状態を解消するために、 早急かつ安定的に行 う必要がある。過去2年度に発注された5工事では、連 続したケーソン (14函∼54函) について改質するもので あり、 中詰材撤去から固化処理に関わる2船団が一定 図−1 施工位置図 の離隔を確保し、効率の良いサイクル (4函撤去⇒4函 打設) で施工することができた。 2.工事概要 図−2に中詰撤去船団と固化処理船団配置図を示す。 発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 工 事 名:平成26年度名古屋港外港地区 防波堤(堤頭部)改良工事 工 期:自 平成26年5月16日 至 平成26年11月21日 工事総括数量表を表−1に示す。 図−2 中詰撤去船団と固化処理船団配置図 ‒ 31 ‒ ̶ 平成26年度 優良工事の中から ̶ 本工事では、当初中詰材撤去船団と固化処理船団 が同時に稼働可能な施工サイクルを考えていたが、航 路近傍堤頭函については施工時期が台風時期となる ので、中詰材撤去後速やかに改質材打設を実施し、 ケーソンの安定を確保する必要があることから、2∼3函 毎のサイクルでの施工を余儀なくされた。 図−3に各波堤の中詰材撤去船団と固化処理船団 配置図を示す。 図−3 各波堤の中詰材撤去船団と固化処理船団配置図 3−2【管制信号の視認性】 施工場所である中央堤の東西両端は管制信号の前 図−4 西航路管制信号所視認性範囲図 面であること、航路に近接する防波堤堤頭部であること から工事作業船のブームが管制信号を遮蔽するおそれ 4.おわりに のあるエアドラフトの高いプレミックス船などは管制信号 の視認範囲を外して配置した。 また、 起重機船、 クレーン 本工事は知多堤、 中央堤東・西堤頭部の3箇所同時 付台船などのエアドラフトの低い船舶ではブームを短縮 進行、 且つ航行量が極めて多い航路近傍での作業にな し、管制信号板を遮蔽しないように配慮した。一部管制 ること、堤体の安定が低下する中詰改質工が台風時期 信号の視認性に影響する部分については、 影響範囲が と重複することから難易度の高い工事となることが想定 幅4∼6m×延長60∼250m程度であり航路内を航行す された。 また、 各港湾管理者の施設のケーブル移設工に る船舶には影響がないことを確認した。 ついては関係各所との詳細な打ち合わせが必要な工 事と考えられた。 そのため工事関係者らが検討を重ね、 また、 高潮防波堤東・西信号所に設置されている監視 カメラ (ITV) については、 カメラの視認に影響するブーム 綿密に計画を練って施工した。結果として大きなトラブル 長を有するクレーン付台船が中央堤西・東側施工区域 もなく竣工を迎えることができた。 これは施工当初より、 数 へ入出域する場合に名古屋港海上交通センターへ連 多くの打ち合わせを重ね、助言などを頂いた名古屋港 絡するなど施工中における連絡体制を確立した。 湾事務所の皆様、工事事務所のみならず社内関係者 図−4に西航路管制信号所視認性範囲図を示す。 ならびに協力会社皆様の助言・協力があってこそであ る。 この場をお借りして、 心より御礼申し上げる。 ‒ 32 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ CIMモデル活用による施工計画実施にあたって 若築建設株式会社 名古屋支店 伊勢大橋作業所 現場代理人 渡部 耕平 1.はじめに 国土交通省中部地方整備局北勢国道事務所発注の平成26年度1号伊勢大橋長良川中堤下部工事(伊勢大橋架 替事業) において、 橋梁下部(鋼管矢板井筒基礎、 鋼管杭基礎)2基の施工を行う工事(工期:平成27年2月3日∼平成28 年5月31日) を受注した。橋梁下部工事施工にあたっては、 施工計画等においてCIMの活用を計画し、 河川内作業及び 施工計画の立案、 地元説明等の資料作成において導入効果の検討及び作成ソフトの改善点等について検討した。私 はCIMソフトの操作を実施し、 施工計画等へ反映させ、 発注者との協議にも活用した。 → 2.工事概要 本施工位置 工 事 名:平成26年度 1号伊勢大橋中堤長良川下部工事 長良川→ 発 注 者:中部地方整備局 北勢国道事務所 施 工 者:若築建設 株式会社 揖斐川→ 工 期:平成27年2月3日∼平成28年5月31日 施工場所:三重県桑名市福島地内 概 要:橋脚躯体工 2基 鋼管矢板基礎工φ1000 L=53.5m N=24本 (P8) 図−1 伊勢大橋完成イメージパース 鋼管杭φ800 L=49.0m N=17本 (P9) 1級河川長良川、 揖斐川を背割りする中堤において河川内での橋梁下部工事である。 至 四日市 3.導入目的 当工事の施工箇所は、河川区域内に位置しており、施工ヤードが限定されている上、既設の1号線伊勢大橋及び長 良川河口堰管理施設と近接した位置での施工となる。 また、 着工からH28.5月末までの非出水期間において河川内の橋脚下部構築を行う厳しい工程が求められている。 そ のため、 限られたヤード内において鋼管矢板基礎、 躯体構築工事などの複数の作業を並行して実施する必要がある。 これらより、 施工のイメージを関係者で共有し、 施工上の課題を事前に抽出して解決することで、 建設工事の生産性向 上を目的とし、CIMモデル作成を導入した。 また、 モデル作成においては、設計担当者等ではなく、現場従事する人間が 扱えるソフトを念頭にした。 4.CIMによる施工計画検討内容 1)仮設工 作業状況のモデル化、 防音シート設置モデル化(車道からの視距) 2)掘削工 作業状況のモデル化 3)橋脚躯体工 夜間作業のシュミレーション 5. 使用ソフトについて 今回のCIMモデル作成は現況不一致や発注者の要 求事項を即時に反映させることを目的としているため、 現 場代理人が実施することとした。 使用するソフトについて は、 福井コンピュータ㈱のTREND-COREを使用した。 写真−1 施工状況写真 福井コンピュータ カスタマーサポート (支援) [OJT] CIMモデル作成、 施工計画検討、 発注者協議、 地元説明資料作成 6. 導入後の流れについて 有用なソフト 「TREND-CORE」 を導入しても扱うスキル が無い技術者が使用しても無駄となるため、 以下の流れ でスキルを身につけることとした。以下によって現場技術 者が作成スキルを身につけ実施することが可能となった。 [OJT] 福井コンピュータによる操作指導 若築建設㈱名古屋支店5/19 [OFF-JT] 福井コンピュータ、 CTS主催 CIMセミナー6/2 ‒ 33 ‒ [OFF-JT] 福井コンピュータ、 CTS主催 CIM体験体感セミナー4/21 [OJT] CIMモデル作成 若築建設㈱伊勢大橋作業所 (現場) 図−1 CIM作成スキル修得イメージ ̶ 新技術紹介 ̶ 7. CIMモデル作成成果について 以下の通り、CIMモデルを作成 することが出来た。 これらを使用し、 各段階での施工 計画への反映を行った。 また、近接 する長良川河口堰が管理するアユ ふ化 場に対 する夜 間 作 業シュミ レーションを実施した。 図−2 仮設工 (作業ヤード達成) 図−3 掘削工作業状況 図−4 橋脚躯体工 図−5 防音シート設置モデル化(車道からの視距) 図−6 夜間作業シュミレーション (無灯火) 図−7 夜間作業シュミレーション (灯火) 8. 作成ソフトの問題点と課題について 1)TREND-COREについて (操作等) ・操作は直接講習してもらった (支店にて) ため、 すぐに取り組みことか可能であった。 ・3DPDFに出力できるソフトをダウンロードすると使い勝手が良く、 プレゼンにも使える ・基本の橋脚躯体モデルができれば、 その後は、 施工をイメージした重機を配置すれば容易に作成可能 2)具体的な効果について (発注者からの評価) ・夜間シュミレーションが可能なのは、 非常によい。 地元へ理解してもらうのにこれだけは言葉で伝わらないため、 非常に有 用である。 また、 河川内での工事では、 魚類の生態系への影響など、 専門家へ相談できる資料になるため、 非常に有用である。 3) ソフトの改善点について (福井コンピュータへ伝達済み) ・データ作成時の厚みや高さの整合性を取ることが非常にわかりにくい。 (構造物が増えるほど) →土木の現場図面は基本的にE.L管理であるため、 E.Lや寸法を入力して厚みを持たせるように替えてほしい。 ・挿入できる重機の種類が工種に応じて増加すれば様々な場面の施工イメージを作成することが可能。 ・クローラクレーンの吊りフックが上下することやバイブロ等を艤装できるようになれば、 現場で抱える問題や施工上の 干渉位置も再現可能である。 また、 3点杭打機など大型重機も必要である。 4)若手技術者への対応について 土木の現場は経験工学という一面があり、今回行ったイメージの作成は、 ベテラン技術者であれば、既に頭の中にイ メージされていることである。 それをCIMモデルを活用して若手技術者へ伝え伝承することは、 教育ツールとしても十分 価値があると思われる。 9. おわりに 本工事においてCIMを施工計画にて活用し、 建設工事の生産性向上に寄与できるかどうか検討した。 このCIMデー タ作成の過程において、 現場技術者へ大きな負担となっていては、 本末転倒であるが、 今回使用した福井コンピュータ㈱ のTREND-COREを活用し、 適切な操作指導を受ければ、 短期間で十分成果を上げることは可能であると感じた。 工事は現在、 渇水期に入りこれからピークを迎えて局面となるが、 様々な懸案事項を発注者へ協議する際や施工計画 を策定する上において、 このCIMモデルを活用してさらなる建設工事の生産性向上について検討していきたいと考える。 また、 施工者の立場として中部地方整備局が進める導入施策について微力ながら貢献できれば幸いと考えている。 ‒ 34 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ 災害現場におけるICT技術の活用 − 無人バックホウと無人飛行体の活用による崩落土砂掘削 − 中村建設株式会社 土木本部 土木部 工事グループ長 金田 学 1.はじめに 3.施工上の問題点 我が国は、 災害大国日本と称されており、 近年の災害 は大規模化、 多様化、 そして複雑化してきている。 そのよ (1)①安全に崩落土砂を撤去するため、事前調査とし て、土砂災害発生現場の全体像を正確に把握する うな状況で、 自然災害等が発生した場合に、 我々土木技 術者は、 緊急対策の第一線に立たなければならない。 そ 必要があった。 (2)作業内容は、高低差が約30mあり、勾配が急な崩 の中で、安全かつ早急に復旧工事を行なうため、新技 落土砂上での掘削作業である。 術の活用が求められている。 よって、以下に挙げるような危険性が事前に想定さ れ、 問題となった (図−1)。 2.工事概要 ②崩落土砂は重機足場が不安定で崩れ易く転倒の 本工事は、静岡県浜松市北区佐久間町地内で発生 可能性がある。 した、 土砂災害の復旧に関する工事である。 この自然災 ③上部工・構台など支障物が埋まっており、掘削の際 害により原田橋および新原田橋が崩落した。原田橋が にバケットへ過大な反発力が加わり、バックホウが転 架かる国道473号線は、 地域住民の生活道路である。 倒する危険性がある。 崩落により河川内に流出した土砂を早急に撤去する ④落石の危険性に加え、 崩落し堆積した土砂を撤去 ため、崩落土砂約11,000㎥を掘削処理することとなった すれば、 バランスが崩れ、 さらなる土砂崩壊をまねく可 (写真−1)。 能性がある。 このような環境条件の中、 安全を最優先とする施工が ④落石・崩落 関係機関から求められた。 䠄㻜㻚㻣ੑ⣭䠅 ②転倒 ③過大な反発力 崩落土砂 写真−1 土砂災害現場 ①危険箇所の全体把握 図−1 土砂撤去断面図 ‒ 35 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ 無人バックホウが、作業速度と適応可能作業で通常 4.問題点の解決 (1)①の問題である全体の把握は、上空からUAV(無 バックホウより劣る原因は、モニターにて操作するオペ 人飛行体) システムを活用することにより解決した (写 レーターの経験不足が大きく、経験を積み重ねる事に 真−2)。 よって改善されるものと考えられる。 価格は、使用頻度が低いため現在はかなり割高であ るが、 需要が増え、 一般化されていくことによって、 下がる 可能性がある。 写真−2 土砂崩落状況 現状の安全性を確保するため、 崩れた架設橋は先 行して撤去し、上部のり面は吹付け工を施す事で作 業の安全性を図った。 その他、 土砂によって構造物が 写真−3 施工完了状況 埋設されていると推定される箇所は、 慎重に作業を行 うこととした。 6.無人バックホウの今後の活用性 (2)②∼④の問題を解決するため、 バックホウによる無 今後、無人バックホウは、安全面が最優先となる場所 人化施工の技術を採用した。 これにより、遠隔操作に にて活用される事が期待される。 よる重機作業が可能となり。 オペレーターの安全を確 そして、 ICTによる技術は、今回におけるUAV(無人 保することができた。 飛行体) と無人バックホウのように複合的に活用すること によりその効果が増幅するため、 今後多方面にわたる技 5.技術的成果と今後の課題 危険度が高い作業であったが、UAV(無人飛行体) 術の習得が必要となる。 システムにて全体把握をしたことと、無人バックホウの活 7.おわりに 用により無事故にて工事を完了することができた (写真 無人バックホウの活用あたり、施工見学会を実施し、 −3)。 ただし、今後活用していく上での課題も分かってき 各方面に推奨した。 た (表−1)。 安全 作業速度 適応可能作業 今後、 我が国は気候変動等により自然災害が多発す 価格 無人バックホウ (0.7㎥) ◎ △ △ △ ると考えられる。今回得た経験を生かし、技術の進歩に 通常バックホウ (0.7㎥) △ ○ ○ ○ 繋がるよう積極的に採用していきたい。 そして、 その活用 表−1 無人と通常バックホウの比較 〈◎優れている、○普通、△劣る〉 推進には、産学官の協働が重要であり、 それが国土の 安全と技術革新をもたらすものと考える。 無人バックホウと通常バックホウを比較すると、 作業速 度、 適応可能作業、 価格の3点で問題があった。 ‒ 36 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ 軟弱地盤における大径・高品質の深層混合処理工法 ― 源緑防災ステーション基盤整備工事 ― 髙田建設株式会社 富山 朋泰 1.はじめに 近年、人口、資産等の河川氾濫区域内への集積が進み、 ひとたび洪水等により破堤した場合には、 その被害が拡大 する傾向にあり、 円滑な河川管理施設の保全活動や緊急復旧活動が必要になってきています。本事業は木曽三川下流 部のゼロメートル地帯に起因する被害リスクの高さや、 昭和34年に発生した伊勢湾台風に代表される過去からの水害履 歴を踏まえ、木曽川左岸高潮・津波等における河川管理施設保全活動及び災害時の緊急復旧活動・広域支援のため の防災拠点として防災ステーションを整備するものであります。今回、防災ステーションの基盤面整備のため使用した大 径・高品質の深層混合処理工法(CI-CMC工法) について紹介します。 2.工事概要 今回の工事では、 防災ステーションの盛土による隣接施設(国道23 号線及び水田、 家屋等) の引き込み沈下を抑制す るための沈下対策工として深層混合処理工法を用いて応力遮断壁を構築するもので、改良径φ1600mm、改良長L= 45.0mの改良杭を332本 (事業全体で614本)施工する工事でありました。 3.施工条件 当工事における施工条件の概要について以下に示します。 ・地盤改良を行う地盤は大きく分けて3層からなり、上部から沖積層砂質土(As-u、As-l) ・沖積層粘性土(Ac-u、 Ac-m、 Ac-l) ・濃尾層砂質土(Ns) と濃尾層粘性土(Nc) からなる互層となっており、 40m付近にはN値37と非常に締 まった層がある。 ・施工時期が6月初旬∼8月中旬であり夏季施工である。 ・応力遮断壁を目的としているため着底管理である。 図1 施工断面図と土質柱状図 ‒ 37 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ 4.CI-CMC 工法の概要 CI-CMC 工法( ) は、 従来の機械撹拌式深層混合処理工法 に特殊なスラリー吐出機構(エジェクター吐出機構) を組み入れることにより、 従来よりも品質を落とすことなく、 大径の改良 体を効率的に造成することによって大量施工を実現し、 昨今の社会的要請であるコスト縮減を可能にした機械撹拌式深 層混合処理工法です (NETIS 登録No.QS-980018-V) 。 4−1.CI-CMC 工法の特長 ①エジェクター吐出機構の概要 エジェクター吐出機構とは、撹拌翼吐出口でエアーと固化材液を混合さ せ、吐出口から広範囲に固化材液を霧状に勢いよく噴射する吐出方法で す。 これにより、 固化材液を均一かつ広範囲に散布可能になり、 土の破砕効 果により撹拌域内の流動性が向上し撹拌翼の回転負荷の低減を実現し、 大径の改良体を確実かつ効率的に造成することを可能にしています。 写真1 エジェクター吐出状況 ②優れた貫入能力 霧状の固化材液が土を破砕・土粒子の流動性 が向上するため、 貫入・撹拌の負担が低減し従来 工法では施工できない硬質地盤での施工も可能 となっています。図2に、従来工法とのオーガートル クの比較、表1にCI-CMC工法の適用地盤の目安 について示します。 図2 貫入能力の比較 表1 施工機械と適用地盤の目安 N 値 2軸 単軸 改良径 (m) 超小型機 小型機 標準機∼超大型機 砂質 粘性 標準機∼超大型機 砂質 粘性 砂質 粘性 砂質 粘性 1.0 15 (20) 3 (4) 20 (25) 4 (5) ↓ ↓ ↓ 8 (15) 1.2 10 (14) 2 (3) 15 (18) 3 (4) ↓ ↓ 35 (50) 7 (15) 1.3 9 (12) 2 (3) 12 (15) 2 (3) ↓ ↓ 30 (50) 6 (15) 1.5 − − − − ↓ ↓ 22 (40) 5 (14) 1.6 − − − − ↓ ↓ 20 (35) 4 (14) 2.0 − − − − 35 (50) 8 (15) − − 上段:標準的な施工速度の場合 (下段:支持層へ根入れを行う場合など) ‒ 38 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ ③高い品質の改良体 改良域全体への広範囲な固化材液の散布と 流動性の増加により撹拌効率が向上することか ら、大径でありながら強度のバラツキの小さい改 良体を造成することができます。図3に改良体中 心からの距離と改良強度の関係について示しま す。CI-CMC工法では、 平均改良強度が大きく、 か つバラツキが小さくなっていることが判ります。 ④周辺変位を大幅に低減 従来の深層混合処理工法では、 セメントスラ リーを地盤中に注入することにより地盤内の体積 が増加するため、 施工時に地盤変位が生じます。 図3 改良体中心位置からの距離と変動係数 CI-CMC工法では、 エジェクター吐出方式による 土構造の破砕効果により改良範囲内の流動性が向上することと、 エアリフト効果により撹拌域のみに限定した排土が可 能となり改良域周辺の変位は数mmと従来工法に比べて大幅に低減しています。 ⑤豊富な施工機のバリエーション 豊富な施工機のバリエーションをもち、 12t級の超小型施工機による狭隘地施工から、 220t級の超大型施工機による大 深度施工まで多種・多様な現場条件に適用することが可能です。 5.施工上の課題と対応策 今回の地盤改良工事で課題となったことは、深度45mにも及ぶ大深度施工であること、深度40m以浅の沖積粘性土 の粘着力が100kN/㎡を超え高粘性であること、 さらに深度40m以深にはN値37と非常に硬質な土層が存在すること、 な どが挙げられます。 また、 施工時期が夏季にあたることにより、 硬化に要する時間が短くなることが想定され、 施工中に上 部層の硬化により撹拌軸の引抜抵抗が大きくなり、最悪の場合は軸の引抜不能に陥る危険性などが考えられました。 こ れらの課題について、 次の対策を実施しました。 1)超大型施工機の適用 大深度に適用可能な施工機としては、 標準機または大型機による継打施工か超大型機による連続施工の2 つの方法 があります。本件では施工途中の硬化の影響を考慮すると施工時間をできるだけ短くすることが望ましいと考えられたた め、 連続施工が得策として超大型機を適用しました。 2)水セメント比の増大 当初設計の水セメント比はW:C=1:1.0となっていましたが、 監督職員との協議により、 W:C=1:1.2へと変更しました。水セ メント比増大の狙いは、 セメントスラリー中の水量が増加することによる初期の強度発現の抑制と、 同一セメント添加量に 対するセメントスラリーの量が増大することによる硬質層の流動性の促進です。 ‒ 39 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ 3)撹拌翼の変更 硬質部分に対応するため、従来型の撹拌翼に対して、硬質地盤用の撹拌翼を採用し、NcおよびNs層に対する貫入 能力の向上を図りました。通常タイプの撹拌翼との比較を写真2に示します。硬質地盤用の撹拌翼は最下段の撹拌翼と 先端ビットが特徴的な形状となっています。 (1) 通常タイプ (2) 硬質地盤タイプ 写真2 CIーCMC工法撹拌翼 6.おわりに 前述の対策を事前に講じ施工した結果、懸念していたようなトラブルの発生もなく工事を完成へと導くことができまし た。 このような経験を共有し継続することで工法選択の幅が広がり困難克服に寄与できれば幸いです。 ‒ 40 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ PC床版架設機によるPC床版架設 ― PC床版架設機の可能性 ― 株式会社野田自動車工業所 野田クレーン 執行役員 安田 宏司 1.はじめに プレキャストPC床版は、 幅2m、 長さ6m∼20m程度のPC床版を工場で量産し、 現場に運び架設する工法です。 工場生 産品なため、 量産やストックが可能で品質も安定、 早期施工に向いているため少主桁工法の目玉で多くの施工実績があ る。豊田JCTにおいて、 クレーンでのPC床版架設の不可能事例が発生した。 そこで我々は、 クレーンを使用しないプレキャ ストPC床版の架設工法を検討し、PC床版架設機を開発した。 (写真1) その後も、PC床版は全国各地の鋼製橋梁の現 場おいて次々に計画され、 その中には超高所作業や、上空障害・クレーン車の進入が出来ない河川など、 クレーンによる 単純架設が出来ない厳しい場所が多く発生している。 これによりPC床版架設機のニーズもひろがっている。 写真1 第二東名 豊田ジャンクション 写真2 クレーン架設工法 2.架設機の開発と形状 簡易門構形式の架設方法をベースとし、 自走台車等を組み合わせ移動式PC床版架設機として確立した。軽量型で 連続して架設できる。 (写真1 ・図1)架設の特徴として軽量で、 鋼桁に大きな反力を与えない。2号機は、 油圧式リフター工 法で、 動力を用いてもクレーンにならず、 スピード架設が可能であるため採用し開発した。 (図1、 2) 図1 1号機架設機 図2 油圧式2号機架設機 ‒ 41 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ 3.PC床版架設機を使用した工事例(早川橋) 旧橋の早川橋は、3径間単純ワーレントラス桁橋であり昭和9年に架設された。80年が経過、老朽化し架替えを必要と していた。架設位置一帯は河川の狭窄部で且つ河床変動が激しい場所であることから河川内に橋脚を設けない単径 間のバスケットハンドル型ニールセンローゼ橋となった。早期供用を目指す上で床版は工場生産が可能なプレキャストPC 床版施工。橋梁上部が塞がった形となるニールセンローゼとの相性は上空からの架設が必要なPC床版工法は相反す る施工方法であった。 「PC床版架設機」は橋台部からの施工のみで架設することができ、 尚且つ上空障害・側面障害に も対応できることから、 出水期中も施工可能。渇水期に鋼製桁の架設、渇水期に床版架設を行うことにより、大幅な工期 短縮、 仮設資材設備の軽減、 河床や道路規制などの地元住民の負担軽減など多くのメリットとともに無事竣工した。 (写 真3、 4) 写真3 早川橋架設風景1 写真4 旧橋 早川橋 (手前トラス橋) と架設中 新早川橋 (奥ニールセンローゼ橋) 4.業績の効果 通常の床版施工では渇水期を待って河川内に搬入路を設け作業するのに対してインターバルを置かず施工でき、 工 場製品のPC床版を利用する本工事は約10ヶ月の早期供用開始が可能となった。河川内を何度も触ることなく、 足場もそ のまま供用できるためコストダウンである。 その他の架設機を使用する長所を下記に記す。 ①河川内を利用せず架設が可能。 ②橋梁設計の自由度が増す。 ③出水期施工が可能である。 (工期短縮) ④河川内への搬入作業が減り、 道路付替え工事や瀬替え工事がなくなる。 ⑤上部工架設∼床版架設の連続作業が可能となり足場などの供用コストの削減に繋がる。 ⑥環境や自然に対するリスクの軽減。 (出水時のリスク無し) 5.おわりに この早川橋は、 平成24年12月に上部工の工期が始まり26年の12月には供用開始となり、 地元の皆様、 発注者様、 施主 様のご協力の下施工できた事を光栄に思っております。今後、 日本のインフラ整備は、社会資本の老朽化対策が多く発 生すると予想されます。特に床版工事は、 交通量の多い都市高速道や寒冷地の塩害地域を中心に床版の取替工事が 多数発注予想される。 また補修工事は、 交通規制下で行われるため現場は狭く、 工期や時間の制約が考えられるため、 今回紹介したPC床版への取替、 同架設機工法が上記の特徴からも有効と考えています。弊社も、 今後のインフラ建設に 貢献出来るよう、 さらなる開発等取り組んでいく所存である。 ‒ 42 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ 降灰対策型路面清掃車の開発 − 道路上の火山灰除去へ、ブラシ式路面清掃車で挑戦 − 豊和工業株式会社 特装車両事業部 営業課 鈴木 悟 1.はじめに 昨今、 全国的に火山活動が活発になっております。 道路上に降り積る火山灰は喘息等呼吸器系の健康被害や、 停止線や横断歩道が視認できなくなり車両のスリップ事 故を誘発する等、 非常に危険な存在です。 弊社では、 1979年に発生した鹿児島県桜島の噴火を契機に、 道路上の火山灰除去を目的として、 旧建設省九州地方建設 局と共同で降灰対策型ブラシ式路面清掃車の研究に取り掛かり1985年に開発を行い、 現在まで改良を重ねてまいりました。 今回は、 この最新式の降灰対策型ブラシ式路面清掃車について紹介させて頂きます。 2.ブラシ式路面清掃車の構造 降灰対策型ブラシ式路面清掃車について詳述するまえに、 まずはブラシ式路面清掃車とはどのようなものか、 説明させ ていただきます。 名前のとおり路面を清掃する機械ですが、 その構造は 【図−1】 のように機台側方にある側ブラシ・補助側ブラシにより、 路 肩に堆積した土砂やゴミを機台後方にある主ブラシへ集め、 コンベアへ積込、 ホッパまで搬送するものとなっております。 また、 機台前方および側ブラシ部分には、 ブラシ掃寄せ時に発生する埃を抑えるための散水ノズルが備えてあります。 そして、 ホッパには上方へ持ち上がり回収物の排出が行えるハイダンプ機構が備わっており、 満杯になると道路上で、 ダ ンプ車への積み替えが行えます。 弊社では、 このブラシ式路面清掃車を1968年より製造しております。 【図−1】 ブラシ式路面清掃車 【写真−1】 ハイダンプするブラシ式路面清掃車 3.開発の経緯 当初、 まずは現地へ標準タイプのブラシ式路面清掃車を持ち込んで実地検証を行いましたが、 年間降灰量が1平方m あたり約16kgに達するような過酷な環境を想定して設計したものではなかったため火山灰に対して回収能力が不足し、 満足のいく結果を残すことはできませんでした。 また、 乾燥すると非常に埃が立ち易い火山灰の特性もあり、 埃を立てずに火山灰を清掃する難しさを痛感しました。 4.開発上の課題と対策 標準タイプのブラシ式路面清掃車が火山灰清掃に対して足りなかった点は、 路面に10∼25mmも堆積する (1978年8月23 日R224にて測定、 累積堆積量) 火山灰を効率よく回収する能力と路面清掃時の埃立ちを可能な限り抑える工夫でした。 のように主ブラシ及び、 コンベアの回転数をアップさせる 度重なる清掃テストの結果、 弊社がたどり着いた答えが 【表1】 ことと、 埃立ちを抑えるために散水量を増加させることでした。 一見すると簡単に聞こえますが、火山灰の回収効率を高めるため作業用エンジンの回転数を上昇させ、主ブラシとコ ンベアの回転数を上げると、 油圧駆動のため側ブラシと補助側ブラシについても同時に回転数が上がって、 激しい埃立ち ‒ 43 ‒ ̶ 新技術紹介 ̶ を誘発してしまいました。 そこで、 側ブラシと補助側ブラシに使用する油圧モーターを変更し、 回転速度を抑える工夫をすることで埃立ちを抑え つつ、 火山灰の回収効率を高める事に成功しました。 埃立ちを抑えるための散水も、 ただ闇雲に水量を増加させるわけではなく、 水を吸いすぎるとコンクリ−トのように固まる 火山灰の特性や、 水タンク容量を考慮し検討する必要がありました。 最も効率的な追加散水ノズルの配置について試行錯誤した結果、 側ブラシから発生する埃を目掛けて散水するノズル を追加することが最適であるという結論に至りました。 通常、側ブラシで清掃する前に撒く水の量を増やしたほうが効率よく埃立ちを抑えることができますが、火山灰では先 述した水を吸うと固まる特性上、 火山灰が塊となって回収困難となります。 このようなノウハウは、 多くの失敗と苦労を積み重ねたからこそ、 得られたものでした。 降灰対策型ブラシ式路面清掃車開発テストのようす 【写真−2】 路面に堆積する火山灰 【写真−3】 散水不足による埃立ち 【写真−4】 散水テストのようす 【表1】 HF95H形 降灰対策型 (S) と標準車比較表 HF95H形 (標準車) 項 目 HF95H (S) 形 降灰対策型 作業用エンジン定格出力 34.6kw (2,600rpm) 29.7kw (2,200rpm) 主ブラシ回転速度 197rpm (作業用エンジン2,600rpm) 167rpm (作業用エンジン2,200rpm) 側ブラシ回転速度 180rpm (作業用エンジン2,600rpm) 180rpm (作業用エンジン2,200rpm) 補助側ブラシ回転速度 127rpm (作業用エンジン2,600rpm) 161rpm (作業用エンジン2,200rpm) コンベヤ回転速度 208rpm (作業用エンジン2,600rpm) 176rpm (作業用エンジン2,200rpm) 散水ポンプ個数 2個 1個 散水ノズル個数 32個 20個 5.おわりに これらの取り組みが実を結び、 1979年の開発開始から6年後の1985年に降灰対策型ブラシ式路面清掃車HF95H (S) 形 として、 旧建設省九州地方建設局へ1号機を納入しました。 その後も降灰の続く鹿児島エリアからの要望を取り入れ、 火山灰の除去により有効な路面清掃車となるようHF95H (S) 形 の改良を重ねてまいりました。 また、 その過程で得たノウハウを生かして、 HF95H(S)形より小型で小回り性に優れたHF80H(S)形等の新機種開発 も行ってまいりました。 ここで紹介させていただいた弊社の降灰対策型路面清掃車は、 今日でも鹿児島エリアを中心に地域の交通安全と住 環境の維持に、 日夜貢献しております。 火山灰除去に奮闘するブラシ式路面清掃車 【写真−5】 HF95H (S) 形1号機 【写真−6】 HF80H (S) 形 ‒ 44 ‒ ̶ 各部会事業報告 ̶ 各部会事業報告 ◆ 企 画 部 会 ◆ 施 工 部 会 「平成27年度建設機械優良技術員の表彰」 月 日:5月11日 (月) 会 場:ウイルあいち愛知県女性総合センター 表彰者:運転部門7名、 整備部門5名、 管理部門1名 「公共工事(機械関係)の諸課題に関する個別意見交換会」 月 日:9月14日 (月) ∼16日 (水) 、 10月6日 (水) 会 場:中部支部事務局 参加者:中部地方整備局 企画部施工企画課長他3名 中部支部 事務局長及び機械設備関係会員11社 ◆ 広 報 部 会 「工事現場見学会」 期 日:7月15日 (水) 場 所:三重県桑名郡木曽岬町源緑輪中地内 髙田建設㈱源緑作業所 参加者:40名 内 容:大径・高品質深層混合処理工法(CI-CMC工法)の現場見学会 「建設施工研修会(映画会)」 期 日:9月25日 (金) 会 場:名古屋市中小企業振興会館 (吹上ホール) 参加者:75名 内 容:「橋梁用舗装高さ自動制御システム(カメラアイシステム)」他12本 ◆ 技 術 ・ 調 査 部 会 「春季講演会」開催 期 日:5月11日 (月) 会 場:ウイルあいち愛知県女性総合センター 参加者:約110名 内容(演題):「国土交通行政をめぐる最近の話題」 講 師:国土交通省中部地方整備局 企画部長 森山 誠二 氏 「CIMセミナー」 期 日:6月2日 (火) 会 場:ウインクあいち 参加者:約150名 「技術講演会及び技術発表会」 期 日:11月27日 (金) 会 場:名古屋市中小企業振興会館 (吹上ホール) 参加者:約90名 技術講演会:「次世代社会インフラ用ロボット開発・導入の推進」 国土交通省総合政策局公共事業企画調整課 課長補佐 増 竜郎 氏 技術発表会:「CIMによる施工計画について」他4題 「建設機械施工技術検定試験(学科)の実施」 期 日:6月21日 (日) 会 場:愛知学院大学名城キャンパス 受験者:1級396名、 2級630名 「建設機械施工技術検定試験(実地)の実施」 期 日:8月28日 (金) ∼8月31日 (月) 会 場:刈谷市 「住友建機販売㈱住友建機教習所愛知教習センター」 受験者:1級211名、 2級294名 「除草作業安全講習会」 期 日:6月2日 (火) 会 場:名古屋市中小企業振興会館 (吹上ホール) 受講者:27名 「建設機械整備技能検定実技試験の実施」 期 日:7月2日 (木) ∼4日 (土) 会 場:愛知県立高浜高等技術専門校 受験者:1級39名、 2級76名 「外国人技能実習生を対象とする建設機械施工技能評価試験」 実施回数:23回 会 場:申込企業敷地内等 受験者:ベトナム人・中国人等60名 「出前講習会」 開催数:2回 会 場:各申込企業会議室等 受講者:45名 内 容:除草作業の安全に関する講習 「道路除雪講習会」 期 日:11月5日 (金) (高山) 、 11月25日 (水) (名古屋) 会 場:飛騨・世界生活文化センター、 名古屋市中小企業振興会館 (吹上ホール) 受講者:高山41名、 名古屋71名 ◆ 災 害 対 策 部 会 「平成27年度愛知県ブロック災害対策用機械操作訓練」 期 日:前期6月24日 (水) ・25日 (木) 後期11月17日 (火) ・18日 (水) 会 場:中部地方整備局中部技術事務所構内 参加者:前期・21社43名 後期・9社22名 「広域災害等における災害対策用機械等の運用支援に関する 協定書 (中部地方整備局中部技術事務所) に基づく出動」 作業名:関東東北豪雨災害支援 期 日:9月11日 (金) ∼14日 (月) 出動場所:茨城県常総市 出動会社:3社 内 容:常総市役所付近にて排水ポンプ車での排水作業等 ‒ 45 ‒ ̶ お知らせ ̶ 発行図書一覧 発行年月 H2 7 年0 5 月 H2 7 年0 5 月 H2 6 年0 6 月 H2 6 年0 5 月 H2 6 年0 5 月 H2 6 年0 3 月 H2 5 年0 6 月 H2 5 年0 3 月 H2 4 年0 5 月 H2 3 年0 4 月 H2 2 年0 7 月 H2 1 年 1 1 月 H2 1 年0 9 月 H2 0 年0 6 月 H1 9 年 1 2 月 H1 8 年0 2 月 H1 7 年0 9 月 H1 6 年 1 2 月 H1 5 年0 7 月 H1 5 年0 7 月 H1 5 年0 6 月 H1 5 年0 6 月 H1 5 年0 6 月 H1 3 年0 2 月 H1 2 年0 3 月 H1 1 年 1 0 月 H1 1 年0 5 月 H1 1 年0 4 月 H1 0 年0 3 月 H 09 年0 5 月 H 06 年0 4 月 H 06 年 08 月 H 03 年0 4 月 S 63年 0 3月 毎月25日 (平成27年11月現在) (単位:円 ) 図書名 一般価格(税込) 会員価格(税込) 平成27年度版 建設機械等損料表 橋梁架設工事の積算 平成27年度版 よくわかる建設機械と損料2014 平成26年度版 建設機械等損料表 大口径岩盤削孔工法の積算 平成26年度版 情報化施工デジタルガイドブック 【DVD版】 機械除草安全作業の手引き 日本建設機械要覧 2013年版 大口径岩盤削孔工法の積算 平成24年度版 建設機械施工ハンドブック (改訂4版) 情報化施工の実務 情報化施工ガイドブック2009 道路除雪オペレータの手引 写真でたどる建設機械200年 除雪機械技術ハンドブック 建設機械施工安全技術指針・指針本文とその解説 建設機械ポケットブック<除雪機械編> 2005「除雪・防雪ハンドブック」 (除雪編) 道路管理施設等設計指針(案) 道路管理施設等設計要領(案) 建設施工における地球温暖化対策の手引き 道路機械設備 遠隔操作監視技術マニュアル (案) 機械設備点検整備共通仕様書(案) 機械設備点検整備特記仕様書作成要領(案) 地球温暖化対策 省エネ運転マニュアル 建設工事に伴う騒音振動対策ハンドブック (第3版) 移動式クレーン、 杭打機等の支持地盤養生マニュアル (第2版) 機械工事施工ハンドブック 平成11年度版 建設機械化の50年 建設機械図鑑 大型建設機械の分解輸送マニュアル 建設機械用語集 建設作業振動対策マニュアル ジオスペースの開発と建設機械 最近の軟弱地盤工法と施工例 新編 防雪工学ハンドブック 【PDF版】 建設機械履歴簿 建設機械施工 【H25.6月号より図書名変更】 7,920 6,787 9,720 8,262 5,616 4,752 7,920 6,787 6,048 5,142 2,160 1,944 972 864 52,920 44,280 6,048 5,142 6,480 5,502 2,160 1,851 2,376 2,160 3,085 2,057 3,024 2,560 3,086 3,456 2,880 1,029 5,142 600 600 500 600 500 400 250 900 500 600 400 400 500 500 500 400 250 600 500 3,456 1,620 1,944 1,512 400 400 400 1,944 540 6,480 2,675 8,208 4,320 2,700 3,888 2,160 6,172 8,229 10,079 10,800 411 864 送料 250 500 400 600 500 400 500 400 500 500 600 500 250 400 6,048 2,366 3,456 1,944 5,544 7,714 9,565 9,720 777 ※ 価格には消費税(8 %)が含まれております。 ※送料は複数冊の場合変わります。 編 集 後 記 2014年5月、国民の祝日として8月11日を 「山の日」 として制定され、2016年から施行されます。 その趣旨は「山に親しむ機会を得 て、 山の恩恵に感謝する」 としています。 これで日本の祝日の数(16日) はインド、 コロンビア (18日) に次ぐ世界第2位の国となるようですが、 フランス、 スペインなどに代表さ れるように長期休暇 (バカンス) が認められている国もあり、 年間休日数(消化数?) からすればそんなに多い国でもなさそうです。 知らなかったのですが、 この「山の日」が祝日として制定される以前から幾つかの府県では独自に条例などで設けていました。 た とえば、 岐阜県の8月8日 「ぎふ山の日」、 静岡県の2月23日 「富士山の日」、 長野県の7月第4日曜日 「信州山の日」など。 兎にも角にも、 私など普段それほど気に留めることもない山ですが、 大気を創り、 水を湛え、 川を清め、 そして生命をも育む山の恩 恵に感謝し、 畏敬の気持ちをもってその日を迎えたいと思っています。 最後になりましたが、 ご多用中にも拘らず寄稿して頂きました関係各位には厚く御礼申し上げます。 ありがとうございました。 2016年が当協会会員及び関係者の皆様にとって、 幸多かりし1年となりますように。 広報部会一同 ‒ 46 ‒ 本 社:〠453-0018 名 古 屋 市 中 村 区 佐 古 前 町 14 番 51 号 TEL 052(482)6101 FAX 052(482)6102 E-mail:shisetsu@mint.ocn.ne.jp 静 岡 東 事 務 所 長 野 事 務 所 静 岡 西 事 務 所 津駐在員事務所 道路を守って、地域に貢献 ! 㐨㊰⥔ᣢ⟶⌮⯡䚸ಖᏳჾᮦタ⯡㈍ ୰㒊䝻䞊䝗䞉䝯䞁䝔䝘䞁䝇ᰴᘧ♫ ௦⾲ྲྀ⥾ᙺ ᕷ ᕝ ᩄ ኵ 䛈471Ͳ0833 ឡ▱┴㇏⏣ᕷᒣஅᡭ8┠124␒ᆅ 䝁䝇䝰䝇䝡䝹ᒣஅᡭ䠐䠌䠍 σ0565Ͳ42Ͳ4761 䠢䠝䠴0565Ͳ42Ͳ4762 ‒ 47 ‒ ‒ 48 ‒ 3Dモデル作成と施工情報を一元管理!土木施工業向け 3Dモデル作成と施工情報を 元管理!土木施工業向け“CIMソリューション” CIMコミュニケーションシステム【トレンドコア】 の第一 一歩 、現 一歩 現場の の「 「可視化 可 化(3D化) D化 」 か から! C の第一歩は、 CIM 3D にすることで 気づく! 気づく! 伝 伝わる! わる 数億点の高速処理を実現する 3D点群処理システム! 点群データからメッシュ土量! 断面作成! ●製品に関する お問い合わせは 3D点群処理システム【トレンド ポイント】 0570-550-291 ●製品の詳しい情報、 カタログのご請求は TREND-CORE 本社/〒910-0297 福井県坂井市丸岡町磯部福庄5-6 カスタマサポートセンター【受付時間】9:00∼12:00/13:00∼18:00 札幌・青森・盛岡・仙台・水戸・宇都宮・高崎・新潟・長野・埼玉・千葉・東京・横浜・静岡・名古屋・ 上記ナビダイヤルは福井県坂井市に着信し、着信地までの通話料はお客様のご負担となります。また、通話料金につきましてはマイラインの登録に 関わらず、 NTTコミュニケーションズからの請求となります。携帯電話からのご利用の場合は20秒ごとに10円の通話料がお客様のご負担となります。 岐阜・福井・京都・大阪・神戸・岡山・高松・松山・広島・山口・福岡・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄 ※土曜、 日曜、祝祭日、 弊社指定の休業日は除きます。 ‒ 49 ‒ http://const.fukuicompu.co.jp ‒ 50 ‒ ‒ 51 ‒
© Copyright 2024 Paperzz