ゼオライト資材給与で乳牛の体細胞数低減が期待

[平成22年度参考となる技術]
[技術名]ゼオライト資材給与で乳牛の体細胞数低減が期待できる
[要約]3種類の資材を乳牛に給与し、体細胞数低減効果を調べたところ、ゼオライト資材 1 日
1頭 200g の給与で、体細胞リニアスコア(体細胞数変換値)の改善が期待できる。
[キーワード]ゼオライト、乳汁、体細胞、リニアスコア
[担当]福井畜試・家畜研究部・酪農研究グループ
[連絡先]電話 0779-88-1973
電子メール f-morinaga-vd@pref.fukui.lg.jp
-------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい]
平成 19 年4月から生乳中の体細胞数が取引価格に反映されており、体細胞数が 40 万以上の
場合格差金の対象となる。このため、3種類の天然資材の持つ体細胞数低減効果について検討
する。
[技術の内容・特徴]
1 ステビア資材給与効果
分房乳の体細胞数が 30 万個/ml 以上または乳汁異常のある搾乳牛を用い、ステビア液
100ml と水 100ml の混合液を1日1回3日間連続経口投与する給与区5頭と、給与しない対
照区5頭とし、体細胞数および細菌検査を行う。
ステビア資材給与による体細胞リニアスコア(以下リニアスコア)、細菌数の推移に資材
給与による効果は認められない(図1)。
2
アスタキサンチン資材給与効果
分房乳の体細胞数が 30 万個/ml 以上または乳汁異常のある搾乳牛を用い、アスタキサンチ
ン含有ペレット 50g/頭を1日1回 54 日間連続給与する給与区7頭と、給与しない対照区6頭と
し、体細胞数および細菌検査を行う。
アスタキサンチン資材給与によるリニアスコア、細菌数の推移に資材給与による効果は認
められない(図2)。
3
ゼオライト資材給与効果
フリーストールの搾乳牛約 80 頭に、ゼオライト粉 200g/頭を1日1回(TMR 飼料に混合)
8か月間(平成 21 年4~12 月)連続給与し、月1回の牛群検定時に個体乳汁を採取し、体
細胞数を調査する。
ゼオライト資材給与により、リニアスコアは給与前(給与1ヵ月前、前年度の同時期)の
値に比べ低く推移する(図3)。リニアスコア5以上の月別頭数割合は、ゼオライト資材給
与開始以降低下し、前年度の同時期と比べても低く推移する(図4)
。
[技術の活用面・留意点]
1 ゼオライト資材を給与する場合、嗜好性のよくない牛もいるので、配合飼料に混ぜて給与
した方がよい。
2 体細胞数の高い牛は、搾乳衛生・環境衛生・飼養管理全般にわたる点検と改善が最も重要
であり、本技術は、これらが適切に実施された後で補助的に利用できるものである。
[具体的データ]
表1 リニアスコアと体細胞数の関係
リニアスコア
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
細菌数 給与区(n=10)
リニアスコア 給与区(n=10)
体細胞数(千/ml)
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
18
36
71
142
283
566
1132
2263
4526
細菌数 対照区(n=7)
リニアスコア 対照区(n=7)
目安
17
35 健康
70
141 要注意
282
565
1131
2262 乳房炎
4525
CFU/ml
20,000
8.0 細菌数 給与区(n=10)
細菌数 対照区(n=8)
リニアスコア 給与区(n=10)
リニアスコア 対照区(n=8)
CFU/ml
8,000
7.0 6,000
10,000
6.0 4,000
5,000
5.0 2,000
0
4.0 6.0 5.0 4.0 給与前
給与後3日
7日
リニアスコア
H21年(試験)
H20年(対照)
0
給与前
14日
図1 ステビア資材給与後のリニアスコアと細菌数の推移
6
リニアスコア
15,000
給与後14日
28日
42日
54日
図2 アスタキサンチン資材給与後のリニアスコアと細菌数の推移
H21年(試験)
%
H20年(対照)
70
60
5
50
40
4
30
3
1
月
2
月
3
月
4
月
5
月
6
月
7
月
8
月
9
1 月
0
1 月
1
1 月
2
月
20
図3 ゼオライト資材給与後の
月別リニアスコア平均値の推移
[その他]
研究課題名:体細胞数の少ない生乳生産技術の確立
研 究 期 間:2007~2009 年度
研究担当者:森永史昭、佐藤智之、笹木教隆
1
月
2
月
3
月
4
月
5
月
6
月
7
月
8
月
9
1 月
0
1 月
1
1 月
2
月
リニアスコア
7.0 図4 ゼオライト資材給与後のリニアスコア5以上の
月別頭数割合の推移