「シニア世代 仕事えらびの基準」

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「シニア世代 仕事えらびの基準」
2008年1月01日発行 NO.01
「シニア世代 仕事えらびの基準」
〈1〉シニア層が働きたい理由
〈2〉シニア層の仕事えらび重視点
〈3〉シニア層の希望する就業
〈4〉シニア層の抱える 働くことへの不安
【調査概要】
調査方法:インターネットアンケート
調査対象:首都圏の50-69歳男女、下記いずれかにあてはまる方
①現在非正規雇用に従事する男性・女性
②現在無職で、今後非正規雇用で働く意向がある男性・女性
③現在正規雇用に従事し、定年退職後非正規雇用で働く意向のある男性
調査期間:2007年6月
サンプル数:2325s
ウエイトバック:実際の人口構成比にあわせるため、
総務省統計局「平成14年就業構造基本統計調査」による非正規雇用就業人口に基づき、「性別・年代」ごとにウエイトをかけた
「anReport」では、求職者のライフスタイル、意識の変化、また人材採用・戦力化、等の各種アンケート調査を定期的に実施。労働統計等の資料と併せ、毎月一回「トレンドDATA」として発表をしています。
株式会社インテリジェンス an Report編集部 E-mail:an_report@inte.co.jp
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1 シニア層が働きたい理由
シニア層は、そもそもどうして働きたいのだろう。
現在の就業状況別に、働きたい理由をランキング化してみた。
(表1-1~1-3)
表1-1.現在正規雇用の男性の働きたい理由(定年退職後)(%)
(回答者数289名のうち 50代:75%/60代:25%)
現在正規雇用の男性(50代が75%を占める)が、定年退職後に働きた
い理由-それはずばり「生活費のため」。2位以下の「健康によい」「自分
自身のお小遣いを増やしたい」を大きく引き離してトップだ。
一方、現在無職の男性(60代が65%を占める)・現在無職の女性(50代
が61%を占める)では、ともに「自分自身のお小遣いを増やしたい」がトッ
プ。男性ではそのほか「健康によい」、女性では「社会との接点が欲し
い」が高いのが特徴的だ。現在正規雇用の男性と違って、現在無職の
男性では「生活費を補いたいから」がやや低いのが特徴的だ。
表1-2.現在無職の男性の働きたい理由 (%)
(回答者数188名のうち 50代:35%/60代:65%)
1位 生活費を補いたいので
67
2位
働いたほうが健康によいと思うので
58
3位
自分自身のおこづかいを増やしたいので
47
4位
社会との接点がほしいので
45
5位
時間を有効に使いたいので
29
6位
刺激がほしいので
28
7位
ローンや借金の返済に使いたいので
25
8位
今持っているスキルや資格を活かしたいので
23
9位
社会に貢献したいので
20
10位
視野を広げたいので
15
表1-3.現在無職の女性の働きたい理由 (%)
(回答者数376名のうち 50代:61%/60代:39%)
1位 自分自身のおこづかいを増やしたいので
55
1位 自分自身のおこづかいを増やしたいので
59
2位
働いたほうが健康によいと思うので
53
2位
社会との接点がほしいので
51
3位
生活費を補いたいので
46
3位
働いたほうが健康によいと思うので
43
4位
社会との接点がほしいので
40
4位
時間を有効に使いたいので
37
5位
時間を有効に使いたいので
28
5位
視野を広げたいので
30
6位
今持っているスキルや資格を活かしたいので
27
6位
生活費を補いたいので
29
7位
社会に貢献したいので
26
7位
貯金を増やしたいので
27
8位
刺激がほしいので
24
8位
自分自身のステップアップになると思うので
24
9位
視野を広げたいので
20
9位
社会に貢献したいので
20
10位
貯金を増やしたいので
17
10位
今持っているスキルや資格を活かしたいので
19
ここで、現在正規雇用で働く男性についてもう少し詳しくみてみよう。
(図1-4)は、(表1-1)でまとめた現在正規雇用で働く男性の働きたい理由を、現在の(家計の)経済的満足度別にみたものだ。
すると、「老後も生活費のために働きたい」という意識は、現在経済的に満足していない層で、より顕著であることがわかる。この層では、
ほかに「自分自身のお小遣いを増やしたい」「ローンや借金の返済に使いたい」も高い。
一方、経済的に満足している層では、「生活費」を「健康によい」が上回っている。また、満足していない層に比べて「社会との接点が欲し
い」「今もっているスキルをいかしたい」「社会に貢献したい」が高いことからも、必ずしも生活費のためだけでない、社会活動や自己管理
(健康)の観点からも、定年後に働きたいと希望していることがうかがえる。
同じ「団塊世代」の働く男性でも、現在の経済レベルによって、老後の就業意識が異なる様子が垣間見れる結果となった。
図1-4.現在正規雇用の男性の働きたい理由
現在の生活で経済的に満足している層と満足していない層の違い
現在正規雇用男性全体(N=289)
うち現在経済的に満足している(n=96)
うち現在経済的に満足していない(n=109)
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2 シニア層の希望の仕事内容、仕事えらびで重視する点
では実際、シニアたちはどのような仕事に就きたいと希望しているのだ
ろうか。(表2-1~2-3)でランキング化してみた。
表2-1.現在正規雇用の男性の希望する仕事(定年退職後)(%)
(回答者数289名のうち 50代:75%/60代:25%)
現在正規雇用の男性・無職の男性・無職の女性 すべての属性におい
て、「事務」が一番人気。特に無職の女性では圧倒的に高い(6割近くが
希望)。この層ではついで「スーパーなどのスタッフ」「医療福祉関連」も
人気だ。
現在正規雇用の男性では「事務」は3割程度。ついで「商品検査・仕分
け」「製造・組立作業」「営業」と オフィスワークでない仕事に分散してい
る。一方、現在無職の男性では、トップの「事務」以下、「商品検査・仕分
け」「製造・組立作業」のほか「web関連専門職」「医療・福祉関連」など、
ややオフィスワーク人気の傾向が見られる。おそらく、60代の比率が高
い現在無職の男性は、体力的なこともあって、座ってできる仕事を希望
する割合が高いのだろう。
表2-2.現在無職の男性の希望する仕事 (%)
(回答者数188名のうち 50代:35%/60代:65%)
31
2位
商品検査・仕分け
18
3位
製造・組立作業
18
4位
営業
15
5位
ドライバー、バイク便など運送関連の仕事・引越し
14
6位
塾講師・家庭教師・インストラクター
13
7位
ホテル・レジャー・スポーツ施設スタッフ
13
8位
警備
13
9位
医療・福祉関連
12
10位
WEB関連専門職
9
表2-3.現在無職の女性の希望する仕事 (%)
(回答者数376名のうち 50代:61%/60代:39%)
1位 事務(テレマーケティングは除く)
40
2位
24
商品検査・仕分け
1位 事務(テレマーケティングは除く)
3位
製造・組立作業
18
4位
WEB関連専門職
12
5位
医療・福祉関連
11
6位
塾講師・家庭教師・インストラクター
11
7位
ホテル・レジャー・スポーツ施設スタッフ
9
8位
警備
9
9位
営業
9
10位
ドライバー、バイク便など運送関連の仕事・引越し
7
1位 事務(テレマーケティングは除く)
56
2位
スーパー/デパート/量販店のスタッフ
17
3位
医療・福祉関連
17
4位
商品検査・仕分け
16
5位
塾講師・家庭教師・インストラクター
12
6位
ファッション・アパレル販売
7位
テレフォンアポインター
8
8位
キッチン
8
9位
ホテル・レジャー・スポーツ施設スタッフ
7
10位
コンビニスタッフ
7
8
次に、シニア層が仕事を選ぶ際に重視することを見てみよう(図2-4)。
現在正規雇用の男性では「仕事内容が自分にあっていること」がトップ。ついで「勤務地が自宅から近い」「仕事内容に興味が持てる」
「持っている技術や経験をいかせる」と続く。仕事内容に積極的に興味をもち、重視する姿勢がうかがえる。
それに対して無職の男性では、トップが「勤務地が自宅から近い」。また、「時間の融通がきく」「自分でもできそうな仕事である」「1週間あ
たりの勤務日数が少ない」「1日に働く時間が短い」も高い。
無職の女性でも、「勤務地が自宅から近い」がトップで、ついで「仕事内容が自分にあっている」「自分でもできそうな仕事」が続き、「時間
の融通がきく」「1週間あたりの勤務日数が少ない」「1日に働く時間が短い」も高い。
現在正規雇用の男性に比べ、現在無職の男女では、イエチカやシフトなどの条件を重視する傾向が強いといえそうだ。
図2-4.仕事えらびの際に重視すること(複数回答)(%)
正規雇用男性全体(n=289)
無職男性(n=188)
無職女性(n=376)
と勤
務
地
が
自
宅
か
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100 (%)
90
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0
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事
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仕
事
時
間
の
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通
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3 シニア層の希望の就業
では、シニアたちはどのような勤務日数や時間・給与で
働きたいと思っているのだろうか。
まずは希望の勤務日数から(表3-1)。
現在正規雇用の男性では、半数が「週5日」を希望。一
方現在無職の男性・女性ではともに約半数が「週3日」を
希望している。
続いて勤務時間数(1日あたり)を見てみると(表3-2)、
現在正規雇用の男性では、「7-8時間未満」が4割を占め
ている。
無職の男性は「4-5時間」「5-6時間」「7-8時間」に分散、
無職の女性では「4-5時間」がボリュームゾーンだ。
さきほど見た勤務日数もあわせると、現在正規雇用の
男性は、定年後も今とあまり変わらないペース(フルタイ
ム)での就業を希望していることが分かる。一方、無職の
男性は週3日程度で5-6時間、無職の女性では週3日程
度で4-5時間くらいを希望しているようだ。
図3-1 希望の勤務日数(1週間あたり)(%)
希望勤務日数
週1日
正規雇用男性
0%
2%
(n=289)
正規雇用男性
2%1% 10%
(n=289)
無職男性
4% 3%
(n=188)
4%
11%
15%
41%
3時間
未満
希望勤務時間数
15%
19%
3%
9%
2.81.9
9.7
0.23.5
2%3%2.3
図3-4 希望の年収(自身が働いて得る金額) (%)
希望勤務日数
100
万円
未満
正規雇用男性
(n=289)
8%
無職男性
(n=188)
無職女性
(n=376)
100-300 300-400 400-500 500-600 600-700 700-800 800-900 900-1000 1000
万円
万円
万円
万円
万円
万円
万円
万円
万円
以上
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
32%
35%
27%
15%
50%
59%
1%
1%
27%
20%
23%
16%
29%
3-4時間 4-5時間 5-6時間 6-7時間 7-8時間
未満
未満
未満
未満
未満
24%
20.2
5.8 1.5
27%
24%
33%
週7日
11% 0%
0%
図3-2 希望の勤務時間数(1日あたり)(%)
1000円 1100円 1200円 1300円 1400円 1500円
台
台
台
台
台
台
34%
7%
無職女性
0% 5%
(n=376)
900円
台
週6日
53%
図3-3 希望の時給 (%)
800円
台
週5日
47%
47%
無職女性
1% 12%
(n=376)
無職女性
2%
(n=376)
700円
台
週4日
27%
無職男性
1%6%
(n=188)
無職男性
1% 13%
(n=188)
700円
未満
週3日
22%
正規雇用男性
0%
1% 10%
(n=289)
希望勤務日数
週2日
7% 2%2%0
4% 3%1%
6% 3%1%
0%
0.9
0.9
0
23%
22%
28%
35%
8時間
以上
39%
14%
29%
4%
22%
1%
8%
7% 0%
次に、希望の時給をみてみよう(図3-3)。
現在正規雇用の男性・無職の男性では、ともに
「1000円台がボリュームゾーン。ただし、正規雇用
の男性では2割が「1500円以上」を希望し、一方で
無職の男性では「800円台」が15%を占めるなど、
正規雇用の男性の方が高い時給を希望している
ことが分かる。
無職の女性では「時給800円台」が3分の1でもっ
とも高く、そのほか「900円台」「1000円台」も2-3割
という結果だ。
では、シニア層にとって希望の最低年収(自分で
働いて得る金額)とはどのくらいなのだろうか。ここ
でも、各属性で違いが見られた。
現在正規雇用の男性の、定年後の希望の最低
年収は「300-400万」がボリュームゾーン(35%)。
「100-300万」とあわせると7割近くにのぼる。
一方で無職の男性の希望最低年収は「100-300
万」が半数を占め、現在正規雇用の男性よりもや
や低い。さらに、無職の女性では「100万未満」が6
割近くにのぼる。これはおそらく、扶養手当を意識
してのことだろう。
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4 シニア層が抱える 働くことへの不安
最後に、シニア層が感じる「働くことへの不安材料」を見てみよう(図4-1)。
どの層でも、不安のトップは「自分の体力で続けられるかどうか」だ。
全体的に、男性よりも女性の方が不安が大きい傾向があり、特に「自分の能力で働けるか」「人間関係」で男女差が大きい。
一方で男性では「雇用形態が分からない」「仕事内容が分からない」など、働くにあたって不明な点があることが、
不安につながっている様子がうかがえる。
図4-1 働く際の不安点(複数回答)(%)
60
正規雇用男性全体(n=289)
50
無職男性(n=188)
無職女性(n=376)
40
30
20
10
0
配け自
だら分
かれの
ら る体
か力
がで
心続
かけ自
ら る分
かの
が能
心力
配で
だ働
だ人
か間
ら関
係
が
心
配
分雇
か用
ら形
な態
いが
のよ
でく
ら く仕
分事
かの
ら内
な容
いが
かよ
心い周
配な り
だいに
かの同
ら で年
は代
とが
特
に
不
安
は
な
い
【今月のまとめ】
●シニア層は、現在の状況や性別によって、働く目的や希望条件が明確に異なってくることがわかった。採用側から見れば、それを十分理解
することで、より効果的に採用が見込めることになる。ひとくくりに「高齢者」としてイメージすることは避けたい。
●シニアが働く目的としては、「自分のおこづかいを稼ぐ」か「生活費の補うため」といった収入面での理由がやはり高い。そけだけに、具体的
な希望時給は重要なポイントとなる。全体としては「1000円台」がひとつの目安になるだろう。
●勤務スタイルとしては、勤務日数「週3日」から「週5日」までの希望者が多い。勤務場所は「イエチカ」がやはり人気で、その点からも求人エ
リアは考慮したい。
●働くことの不安要素を払拭することも、シニア層活用のポイントだ。体力面と能力面での心配が多く、それゆえ事前の仕事の説明や、研修、
トレーニング制度などを通じた明確な説明も有効だろう。「分からない」と感じさせることをなくし、安心して働ける環境づくりがポイントのようだ。