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PRESS RELEASE
160708
「TOKYO-LONDON-NEWYORK」展のご案内
左上<Why Not Hand Over a "Shelter" to hermit crabs? -Tokyo->
©AKI INOMATA / MAHO KUBOTA
GALLERY
左下<Halfpipe Park>
©Brian Alfred / MAHO KUBOTA GALLERY
右<Memory Niigata>
©Kentaro Kobuke / MAHO KUBOTA GALLERY
<展覧会について>
ラップトップとパスポートとわずかな荷物、あるいは iPhone たったひとつをポケットに入れ
て飛行機に乗れば次の瞬間にはまったく別の座標の中に身をおいている自分を発見する身軽さ。
ましてや物理的な移動さえ、今を生きる私たちの「ワープ」には必要ないのかもしれない。地
図や時間の制限を超えた高度で細密なコミュニケーションの中では、文化圏や思想背景の壁を
飛び超えた匿名性かつ普遍性をもった真実が、一瞬のうちに大きな数の人々の意思の共有を実
現することがある。
そう、今や「シェア(共有)」の感覚は、時差の壁さえ超えつつある。インスタグラムに毎秒
投稿される膨大な数のイメージは、地球上に繰り広げられるシームレスな時間軸を物語ってい
る。集められたイメージの中の価値観に多様性が見える一方、我々を乗せて物凄いスピードで
回転し突っ走る地球という乗り物は、パーソナルな言語や欲望を大きな潮流に変換していく。
私たちを巻き込む、大きなトレンドの渦の持つ磁場の強さと無関係に生きて行くことはもはや
不可能にも見える。
「東京̶ロンドンーニューヨーク」と題された本展は東京=AKI INOMATA 、ロンドン=古
武家賢太郎、ニューヨーク=ブライアン・アルフレッド、という大都市をホームグランドにす
るアーティストの作品を紹介することを目的としているものの、それはもしかしたら「ブエノ
スアイレスーテヘランーチェンマイ」でもあるかもしれないし、「ベオグラードーアデレイドー
ケープタウン」でもあったかもしれない。コンピュータをネットに繋ぐことで仮想世界のノマ
ドであり続ける私たちは「大きな物語」を生きているようで、同時にごくパーソナルな「小さ
な物語」の主人公でもある。本展では「シェア(共有)」という概念、そして「アノニマス(匿
名性)」、「ノイズ(雑音)」、さらに「コンフリクト(対立)」、「パーソナル(個人)」、「シンボル
(象徴)」といったキーワードをもとに、複雑でフラジャイルな世界を行き来する現代の表現の
行方を探っていきたいと思う。
<展覧会概要>
展覧会名
展覧会会期
「TOKYO-LONDON-NEWYORK」
2016 年 9 月 1 日(木)- 10 月 8 日(土)
12:00-7:00pm
会期中
会場
日・月および祝日は休廊
MAHO KUBOTA GALLERY
東京都渋谷区神宮前 2-4-7 1F
http://www.mahokubota.com
入場無料
広報お問合せ:info@mahokubota.com
tel 03-6434-7716
<Why Not Hand Over a "Shelter" to hermit crabs? -Tokyo->
2016 年
©AKI INOMATA / MAHO KUBOTA GALLERY
AKI INOMATA
1983 年東京都生まれ。2008 年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。
2012 年第 15 回岡本太郎現代芸術賞にて入選。2014 年 YouFab Global Creative Awards
にてグランプリを受賞。
移民・難民・国籍の交換可能性をテーマとし、3D プリンターで出力したプラスチック製の「や
ど」をヤドカリに渡す「Why Not Hand Over a Shelter to Hermit Crabs?」シリーズを始
め、飼犬の毛と作家自身の髪でケープを作ってお互いが着用する「I Wear the Dog s Hair, and
the Dog Wears My Hair」など、動物と共に制作した作品を多く発表。今回は東京をテーマに
したヤドカリの作品を展示する。
近年の主な展覧会に 2016 年「ECO EXPANDED CITY 」(WRO ArtCenter、ヴロツワフ、
ポーランド)、2015 年「エマージェンシーズ!025 『Inter-Nature Communication』AKI
INOMATA」(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、東京)、2015 年「第 4 回
デジタル・ショック -リアルのファクトリー」(アンスティチュ・フランセ東京)などがある。
<The Potter Niigata>
2015 年
©Kentaro Kobuke / MAHO KUBOTA GALLERY
古武家賢太郎
1975 年広島県生まれ。1998 年桑沢デザイン研究所卒業。2009 年ロンドン芸術大学 チェル
シーカレッジ ファインアート (MA) 修士課程修了。2012 年に文化庁進芸術家海外研修制度研
修員に選出。自然木の板に色鉛筆で直接描き込んでいく独特の手法で、神話や童話からの引用
をイメージさせる幻想的なペインティングを制作。トランスアヴァンギャルドの再来を思わせ
る表現の豊かさの中に象徴的なモチーフを潜り込ませた作風が評価されている。また、「手紙」
をテーマにした「Letters」のシリーズでは、封筒や紙といったメディアに宿るコミュニケーシ
ョンの形跡をポエティカルに綴っている。他分野との協働も多く、これまでに商業ビルのコミ
ッションワークやアパレルブランドとのコラボレーションなども手がけた。本展ではロンドン
のスタジオで制作中の新作ほか、現美新幹線のインスパイアペインティングなども展示。
近年の主な展覧会に、2015 年「17th DOMANI・明日展」
(国立新美術館)、2012 年「Letters」
(なかた美術館、尾道)、2011 年「MOKUME」
(Daiwa Foundation、ロンドン)、2010 年「The
Frank Suss Collection」(Phillips de Pury & Company/Saatchi Gallery、ロンドン)など
がある。
<Maritime>
2016 年
©Brian Alfred / MAHO KUBOTA GALLERY
ブライアン・アルフレッド
1974 年ピッツバーグ生まれ。ブライアン・アルフレッドの作品には私たちを取り巻く世界の現
状が強く反映されている。紛争や社会の混乱の問題から、自然の風景の美しさまで、そして相
反するその二つの間にあるすべてを扱いながらアルフレッドの興味は、私たち社会を生きる
人々がいかにして、あるいはどんな環境に身をおいているからこそ私たち自身であるかという
ことに注がれている。アルフレッドはペインティング、コラージュ、アニメーション映像とい
った複数のメディアによって現代社会を表現している。エドワード・ホッパーやチャールズ・
シーラーのようなアメリカの伝統的なペインターの影響を受ける一方、日本の浮世絵やポップ
カルチャーとの親和性も感じられる。アルフレッドの作品は世界各国の美術館やギャラリーで
展示されており、同様にアニメーション映像も国際的な映像祭等で発表されている。グッゲン
ハイム美術館、ホイットニー美術館、サンフランシスコ近代美術館、デンバー美術館等多数の
美術館に作品が収蔵されているほか、日本では 2011 年の文化庁メディア芸術祭のアート部門
で優秀賞を受賞している。