ジャック・宿命のコメント

AJELC Newsletter No. 21
December 5, 2008
< 目 次 >
巻頭言
矢野 正剛 ……… 1
書評
第 20 回例会報告
平野 靖雄 ……… 3
第 21 回例会予告
……… 14
竹前 文夫 ……… 4
事務局便り
……… 15
〃
授業実践報告
外山
浅野
博 ……… 8
徹 ……… 5
田中 清美 ……… 6
〃
AJELC とは
“The Association for Japanese and English Language and Culture”
(日英言語文化学会)の略です。
日英の言語文化に関心のある方々が集まり、研究活動を行っています。
What’s in a name?
English by any other name would still be English
矢野 安剛
去る9月、国際応用言語学会(AILA)の世
International Corpus of English)を作り、
界大会でドイツのエッセンに行ってきた。
非母語話者英語を確立し、制度化し、コー
ヨーロッパの応用言語学者を中心に ELF
ド化しようと試みている。Native speaker
(English as a Lingua Franca)研究が大き
vs. nonnative speaker を monolingual
な流れになりつつあった。研究仲間の
speaker vs. bilingual speaker と読みかえ
Jennifer Jenkins (Univ. of Southampton)、
て、母語話者基準に従うのでなく、独自の
Barbara Seidlhofer (Univ. of Vienna),
基準の構築を目指している。今年3月、第
Anne Mauranen (Univ. of Helsinki)らが中
1回 ELF Forum (Univ. of Helsinki)を立ち
心 だ が 、 背 後 に は 大 御 所 の Henry G.
上げ、第2回は来年 Univ. of Southampton
Widdowson がいる。彼らはヨーロッパ知識
で開くことになっている。世界における英
階 級 の nonnative speaker English の
語コミュニケーションの 80 パーセントは
corpus
非母語話者同士だという今日、この流れは
(VOICE:
Vienna
Oxford
1
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December 5, 2008
(English for Specific Purposes)をなぞって、
止まらないだろう。
Ulrich
Ammon
教 授 (Univ.
of
EGC (English for General Cultures), ESC
Duisburg-Essen)は更に急進的で、名称を
(English for Specific Cultures)をいうアイ
Globalish(地球語)変えるべきだと主張す
デアを提案してみた。即ち、小中高では
る。私がタイトルのように名前を変えても
EGP と一緒に EGC を教え、大学及びその
本質的に英語は英語だと反論したので、論
後では ESP と ESC に主眼を置く。
争はメールで今も続いている。彼は、まだ
例えば、EGC では break the rule (law,
Habermas が示唆した post-national の時
one’s promise), blood freezes、warm color
代にはなってないが、既に trans-national
など日本語でも「規則(法、約束)を破る」
、
の時代であり、中立的な地球語という名称
「血が凍る」、「暖色」などと概念化を同じ
こそふさわしい。でないと、我々が必要と
く す る 表 現 か ら 教 え て い く 。 ま た 、 I’m
している人類共通の地球語が発展しないと
nervous や It’s not fair のような特定文化に
言う。だが、地球語になろうとなるまいと
特化しない表現を教える。そして、アメリ
所詮英語は英語であり、ドイツ語やフラン
カに赴任したり、アメリカ英語に特化した
ス語になるわけではない。名称にこだわら
仕事についた時に、I have butterflies in
ず、ヨーロッパ人はヨーロッパ風、アジア
my stomach などは学べばよい。イギリス
人はアジア風な英語を話せばよい。音韻、
に行ったり、イギリス英語が必要になった
形態、統語、語用は基本的に変わらない。
時に It’s not cricket などを学べばよい。
また、国際的に使われても、英語は完全
私達が英語を使うのは自分の専門分野で
に英語圏文化から自由になれるわけでもな
のことが主で、生活語を網羅した「全天候
い。AJELC Newsletter, No. 19 の巻頭言で
型戦闘機」のような運用力は目指す必要は
田口孝夫氏が触れておられるように
ない。ドイツ人の医者と日本人の医者が医
‘narrow one’s eyes’ は疑いや怒りの表現で
学の話をする際、門外漢のイギリス人が分
あるが、
「目を細める」は喜びの表現である。
からないのと同じである。アジア文化圏の
そんな日英の言語文化比較の必要性は英語
タイ人とマレーシア人が交わす Durian is
が国際化したから無くなるわけではない。
heaty. Don’t eat too much などの会話をフ
そこに本学会の存在があるのではないか。
ランス人が分かる必要もない。このような
昨年、ドイツのレーゲンスブルクで開か
教 育 で 、 日 本 人 が 陥 り が ち な native
れた World Englishes の大会で Jennifer
speaker syndrome が少しは軽減されない
Jenkins や Barbara Seidlhofer らとシンポ
だろうか。欧州連合の「複言語主義
ジ ウ ム を 組 ん だ 。 そ こ で 、 私 は EGP
(plurilingualism)」は参考になる。
(English for General Purposes) 、 ESP
(早稲田大学教授)
2
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第 20 回例会 報告
2008 年 10 月 11 日(土)於:明治大学駿河台校舎
研究発表
発表を終えて
平野 靖雄
生徒、学生の読解力を増すには、語彙力
親和力)を増すことにも気付いた。おそら
だけでなく、文全体への推測力が大切だと
く社会に出て presentation にも活用出来る
いつしか思うようになり、私は図解、図式
ことから一つのパワーを与えてやることに
による指導へと関心が移っていった。先行
なるのではないか。
研究を読んでいくうちに、William Grabe
若い研究者からは刺激を頂いたと伺い、
がこの点についてかなり commit しており、
嬉しかった。また浅野博先生からメーリン
私達に graphic representations の活用を
グリストで、私の研究に対しての批判的な
勧めている文に接し、心を強くした。だが
意見を細かに分析し、自信を持って研究す
research review ではその成果については
ることの大切さ説いて下さり、有難かった。
賛否両論あることを知り、自分で実験し研
また村田年先生から発表原稿の作り方、パ
究する必要性を感じ、その成果を過日発表
ワーポイントに何を盛り込むべきかについ
させて頂いた。結局 Chamot も learning
て手解きをして頂いた。また馬場千秋先生
strategies の説明で言っているように、メ
からは実験対象のバックグラウンドを明確
タ認知能力の活性化が読解力養成に力を貸
にすることの大切さを説明して下さり、お
してくれるわけであり、visual display の利
二人に感謝申し上げたいと思う。
用をもっと考えたいと思うのである。私の
このように発表後の感想を硬軟取り混ぜ
実験では低位の学生に有効だったことが自
て伺えることはこの学会での貴重な体験で
分にとって嬉しいことであった。学生にア
ある。研究者としては誠に遅まきの人間で
ンケートと面接の結果、「語でなくテキス
あるが、何かに取り組んでいる時の充実感
ト全体を見るようになった」、「アイディ
は大切にしたいと思っている。これから自
アの関係を考えるようになった」などの答
分が頂いた暖かいコメントを同じようにず
えを得ることが出来たのは励みになった。
っと若い研究者にしてあげたいと思ってい
学生達の peer evaluation が単に読解力の
る。
向上だけでなく、mutual affinity(互いの
(明海大学非常勤講師)
3
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講演
「ダール、小さん、山田洋次の三題話」
竹前 文夫
Roald Dahl の短編集を読んで、山田洋
がない。そこでなんとかしたいと、商売繁
次は数篇の新作落語を発表しました。その
盛を祈願するため成田の不動様へ出かけ
多くは演者として五代目小さんを念頭に
るという筋立てで噺を進めます。祈願の翌
おいて書かれたものであり、実際に小さん
日、帰り道の途中で弁当をつかうため立ち
と相談し、師匠の考えも取り入れながら書
寄った農家で、甚兵衛さんは大根を干して
かれたものもあります。今回取り上げる作
ある棒に、錆び付いた魚切丸という薙刀が
品はダールの『牧師の楽しみ』にヒントを
使われていることに気がつき、これを手に
得て、落語に仕上げた「真二つ」という作
入れようと農家の主人と交渉します。交渉
品です。
成立の後、どんでん返しがあるという筋の
Roald Dahl はブラックユーモアと呼
運びに仕上げてあります。こちらは日本の
べる分野の作品群を残していますが、『牧
秋の風景描写が入り、やはりゆったりした
師の楽しみ』もその一つです。ロンドンの
運びで前半は進みます。
骨董家具商が、牧師の姿に身を変えて、農
両方の作品で共通するところは、最後の
家をまわり歩き、骨董の名品家具を見つけ
どんでん返し場面にもってゆく手前で、骨
ては上手く買い叩き、チェルシーの店に持
董家具商や古道具屋が相手と交渉し、こち
ち帰っては顧客に高く売りつけています。
らの調子に相手を乗せてゆく場面の面白
この骨董家具商が、博物館入りするほどの
さです。どちらもこの場面だけは時間が濃
価値のある箪笥を見つけて、小躍りするの
密に流れます。そしてその後一気に最後の
ですが、それとなく、この箪笥の足だけが
クライマックスに突入するわけです。
欲しいと切り出すのです。何とか折り合う
小さんの落語は、山田洋次の作品を一字
値段で売ってもらうことに成功するので
一句そのまま演じているわけではありま
すが、車を取りに農家を出て、帰ってくる
せん。小さん流の噺の口調に合うように原
と、売り手は、車に入らないといけないか
作を織り戻し、自分のしゃべりのなかに昇
らと、足を切り取り、本体はばらしてしま
華させています。五代目小さんの『真二つ』
うというお話しです。イギリスの田舎の長
の録音は NHK でも残っていなかったの
閑な景色の描写や、家具に対する薀蓄など
ですが、別の場所での公演時の録音が見つ
を折り込んだ、のんびりした気分の小説で
かったので、持参しました。このCDを聞
す。
いていただく時間があまり取れずに講演
山田洋次は、神田錦町に住む甚兵衛さん
の時間が尽きてしまい、申し訳なく思って
を主人公にします。生まれながら小心者で
います。
嘘をつくのが下手な男ですが、親父譲りの
(目白大学教授)
商売が古道具屋ですから上手くいくわけ
4
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授
告
報告
践報
実践
業実
授業
「文のつながり」に視点を置いた英文読解指導の試み
外山
space probes.
語と語のつながり、文と文のつながりに
徹
Now / there is a plan / to send
視点を置いた英文読解授業の一端を述べ
people to Mars / in May, 2018. The astronauts /
る。
will have been in space / for 180 days / when they
finally reach the Red Planet. They will stay / for
先ず語のかたまり同士のつながり、語順
571 days.
を意識させる読みの指導として、Phrase
Reading を行なう。
Phrase Reading とは、
意味のかたまりごとに斜線を入れ、書かれ
授業では、最初に How do we know
ている順序で、なるべくひっくり返らずに
about Mars?, What kind of plan do we
読んでいく方法である。英語は左から右に
have?, How long will the astronauts
叙述が進み、その順序で意味がつながり構
stay in space? などの質問をする。更に、
成されていく。だから、常日頃から語の配
英問英答が単に形式上のやりとりになっ
列の仕方、語順を身に付けることは、英語
ていないかを確認するために、日本語を用
を読む技能に止まらず、聞く、話す、書く
いて「火星についての情報はどこから寄せ
技能にもつながると考えられる。
られるか」、
「火星に関して、どんな計画が
初期段階では、下記のように、予め斜線
あるか」、「火星到着までにかかる日数は」
で区切ってあるハンドアウトを使用する
などの発問をする。生徒の実態に応じて、
が、最終的には、生徒が自ら斜線を入れ、
意味のかたまりごとに左から右へと和訳
読めるように段階的に指導していく。斜線
することもある。
次に、文と文とのつながり、結束性を生
を入れる場所の原則は、次の通りである。
1)ピリオド、コンマ、セミコロン、コロン
徒に意識させる。一文一文を別個に理解し
の後、2)ダッシュの前後、3)長い主語の後、
ようとするだけで、生徒は文と文との連結
4)目的語の前、5)前置詞句の前、6) to+原
には目が向かないことが多い。ここでは、
形の前、7)分詞句の前、8)接続詞の前、9)
次の3点――1)Mars が the Red Planet
疑問詞の前、10)関係詞の前。この原則を
と言い換えられていること、2)people to
折に触れて指導する。しかし、意味のかた
Mars が the astronauts と表現されている
まりを自分で認識できるようにするため
こと、2) They と代名詞にすることで、前
には、生徒に文法、構文、語彙をしっかり
文と内容がしっかりとつながっているこ
と学ばせていく必要がある。
と――を発問によって引き出していく。加
えて、文と文とのつながりが、内容上のつ
We know a lot / about Mars / from reports of
ながりをもたらすことを明確にするため
5
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に、下のように読み取った情報を一部空所
ながりもさることながら、教員と生徒との
にした図表に整理させる。
良好な信頼関係というつながり、更には、
同僚との円満なつながりが構築できなく
火星の情報
ては、授業もうまくいかない。授業を支え
( 火星探査機)の報告から
(2018)年
・火星に(人間を送る)計画
5月
・火星まで(180)日
る根幹は人間と人間のつながりであるこ
とも心していきたい。
(茨城県立並木高等学校・並木中等教育学校)
・宇宙滞在(571)日
しかし、語と語のつながり、文と文のつ
私の授業実践
田中 清美
現在の世界的なグローバル化の中にあ
大学の e-learning のシステムを使ってほ
っては、意思疎通のための共通言語の習得
とんど自宅で学習をさせ、こちらはコンピ
は非常に重要ですが、今のところ世界の第
ューター上で進度をチェックするという
一の共通語は英語と言われています。日本
方法を用いています。特にスコアの低いク
でも英語のコミュニケーション能力の向
ラスは伸びやすい Listening の学習に力
上の必要性が英語教育の中で盛んに言わ
を入れ確認テスト回数を多くし、先ずは少
れてきましたが、大学生が社会に出てから
しでもスコアを上げて自信を付けさせる
応用できる十分な英語の運用能力を4年
ようにしています。クラスでの授業は主に
間で習得しているかと言われれば首をひ
Reading Part に重点を置いて展開してい
ねらざるを得ません。
ます。現在は有志で作ったテキストと公式
このような英語教育の現状の中で最近
問題集の二つを使っています。先ずは手製
では多くの大学が一般公開テストの一つ
の教科書の Reading Part の基本問題を
である TOEIC のスコアの向上に力を入
学生に解いてもらいます。Reading Part
れているようです。私も今は大学で主に
は文法事項を扱った Part と読解問題の
TOEIC 対策講座の授業を担当しています。
Part から成り立っているので、チャイム
ご 存 じ の よ う に TOEIC テ ス ト は
が鳴ったからといって途中で中断するこ
Listening Part と Reading Part の二つの
とが出来ない読解問題から始めています。
セクションで成り立っています。が、私は
学生は予習をしてくることが建前となっ
限られた授業時間を効果的に使えるよう
ていますが、してくる学生は少ないので、
に、Listening Part に関しては、最初に
先ず単語を全てこちらの方でアンダーラ
聞き取りのための要点を教えた後は
インを引かせて書き込ませています。続い
e-learning を扱っている教科書を使うか、
て扱われる文法事項の説明をします。後は
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自力で問題を解かせますが、問題を解いて
うです。
いる時は教室を回り、質問を受けたり、あ
授業中に説明をした単語、文法事項、
まり出来ていない学生には問題の解き方
また時には読解問題の重要な訳は必ず次
のコツを説明します。その後に公式問題集
回の授業で確認テストをするようにして
も同じように自力で解かせています。続い
います。確認テストをするのとしないので
て文法問題を扱った小問題に入りますが
はかなり学力に差が出るような気がしま
こちらは解き方を説明しながら一つずつ
す。また、実際のテスト形式に慣れさせる
一緒に考えていきます。穴埋め問題はカッ
ために学期ごとに一回は TOEIC の模擬
コの前後と選択肢に注目させ、語幹が一緒
試験も行なっています。
の選択肢であればカッコに入る品詞を先
概して、目標の点をクリアする学生が多
ずは決定させます。例えば This medicine
いのですが、問題を解くことに大部分が費
is quite (safe, safely, safety). などの選択
やされるので、授業としては面白いとはい
肢ではこのような構文の場合、カッコの中
えないかもしれません。専門が異文化コミ
の品詞は何かをまず学生に決定させます。
ュニケーションなので、何故今英語の運用
が、最近ではゆとり教育世代の子供たちが
能力が必要なのかとか異文化コミュニケ
ちょうど大学生になっているせいか、日本
ーション上における問題点はどのような
語の品詞が分からない学生も多く、国語の
ものなのかなどを考えさせるなどして英
品詞の説明を最初にしなければならない
語の学習に十分に興味を持たせてから授
場合が多々あります。穴埋め問題に関して
業に入りたいのですが、時間が限られてい
は、主語と動詞の一致など他にも重要なポ
るのでそれも難しい状況です。それでも
イントがあるのでポイントごとに文法事
時々「先生のおかげでスコアが上がりまし
項をまとめた手製のテキストに従って説
た。」などと言われると教員として大変嬉
明をしています。全てコピーして学生に配
しく思います。
っていましたが、出版社から出版されるこ
(明海大学非常勤講師)
とになり来年度からはその手間が省けそ
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書
評
書評
斎藤兆史『日本人と英語――もうひとつの百年史』(研究社、2008 年)
浅野 博
(1)これまでと違った著作
(2)副題の意味
斎藤兆史(さいとう・よしふみ)氏と言
この書物の副題は「もうひとつの英語百
えば、数多くの記事および単行本で、英語
年史」となっています。研究社の創立百周
教育への批判を続けておられる方です。そ
年に合わせると、明治 40 年(1908 年)
して、その批判の主な対象は、会話教材と
から平成 19 年(2007 年)の百年間にな
コミュニケーション目標の指導法とそれ
って、こういった区切り方で、日本人と英
を進める教育行政です。まだ氏の著作を読
語との関わりを書いた書物は他にないで
んでおられない方は、『英文法の論理』
あろう、という意味にとれるわけです。し
(NHK ブックス)か『これが正しい!英
かし、著者は読者の便宜を考えて、関ヶ原
語学習法』(ちくまプリマー新書)などを
の合戦の直前の 1600 年に来日したウイ
読まれることをお薦めします。または、本
リアム・アダムズ(後の三浦按人)のこと
書の最後に、「あとがきに代えて」という
や、英語教育史の始まりとされる「フェー
ことで、著者自身の英語学習歴などが具体
トン号事件(1808 年)」などにも触れて、
的に書かれていますから、そこから読まれ
この「百年史」に前史を付け加えてありま
るのもよいでしょう。
す。そうだとすると、著者の「もうひとつ
ところで、この書物が「これまでと違っ
の」の意図はまた別のところにあるのでは
た」と小見出しに書いた理由の一つは、研
ないか、と私には思えます。
究社創立百周年記念として出版され、その
同じように歴史的事実を語るにしても、
年数に合わせて、日本人と英語の関わりを
著者なりの視点があって、随所に著者の主
歴史的に記述しようという意図で書かれ
張がちりばめてあります。そういう場合は、
ているからです。もっとも、斎藤氏は歴史
とかく著者の主張に有利な事実だけを援
的な記述にも長けておられて、『英語達人
用しがちですが、この本はそうではなく、
列伝』(中央公論新社)とか『英語襲来と
事実は事実として淡々と語っています。そ
日本人』(講談社)といった本も書かれて
して、著者が言いたいことはきちんと書い
います。
てあります。それが、この本を独創的な、
8
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読ませる歴史書にしていると思います。そ
介した後で、次のように述べています。
のことを副題が語っていると私は解釈し
[( )内は引用者の補足、以下同じ。]
たのです。
(岡倉の主張する「自宅自修」は)これまた
悲しいまでに当たり前の真理ではないか。この
(3)歴史上の「出来事」から何を学ぶか
岡倉の論が通用しないほどまでに現代の教授
『英語教育』(大修館書店)は、1993
法が「科学的」進化をとげたと言い切れる人が、
果たしてどれだけいるだろうか。(p.51)
年8月号で、「英語教育史上の『事件』か
ら明日の英語教育を考える」という特集を
[浅野のコメント 1]
しています。執筆者は8名で、取り上げて
私はこの引用部分の言い方には少し異
いる「事件」は、それぞれ、「英学主義の
論があります。つまり「教授法が発達すれ
始まり」、「パーマーの来日」、「構造言
ば、自学自習は不要になる」という仮定が
語学とパタン・プラクティス」、「英会話
あるとすれば、それは少しおかしいのであ
ブームと英語放送」、「指導要領の変遷」
って、一般的に授業における教授法[指導
「週3時間問題」、「国際化と ALT」、
法] というものは、学習者による自学自
習を「当たり前」のこととしています(中
「教養か実用かの問題」です(実際のタイ
には予習などを前提にしない指導もあり
トルではなく、浅野が短くしました)。
『日
ますが、それは学習環境に大きく影響され
本人と英語』でも、大小の差はあってもこ
ます)。手元にある、英語科教育法の教科
れらの点は取り上げてあるのですが、斎藤
書になる書物を見ても、あまり該当する記
氏の大きな主眼点は「意見・論争」にある
述がありません。さらに、田崎清忠責任編
ように思いますので、そのうちの三つを取
集『現代英語教授法総覧』
(大修館書店、
り上げてみましょう。
1995 年)やジャック・リチャード他著;
アントニー・アルジェイミー、高見澤孟監
訳『世界の言語 教授・指導法』
(東京書籍、
①夏目漱石と岡倉由三郎の英語教育論
2007 年)などの各指導法でも「自学自習」
(pp. 44-51)
について触れているものはほとんどあり
この両巨頭は、英語の達人であるだけに、
ません。ただし、小川芳男他編『英語教授
明治末期における学生の英語力の低下を
法 辞 典 』( 三 省 堂 、 1982 年 ) に は 、
嘆き、改善策を探り提案もしています。こ
Homework(家庭学習)という項目があ
の書物でもかなり原文の引用があります
って、2ページ以上にわたって、そのあり
方や問題点を解説してあります。
が、さらに詳しくは『英語教育史資料』
(東
私が昭和 20 年代後半に教育実習の指導
京法令出版、1980 年)にあたられるとよ
を受けたときは、毎回教案 [指導案]を
いでしょう。著者は、この二人の主張を紹
書かされましたが、宿題のことやその点検
9
AJELC Newsletter No. 21
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の方法まで書くことを要求されました。当
時中、多くの英語・英文学者が沈黙するな
時の東京教育大附属高校は優秀な生徒が
か、中野だけが勇敢に時流に立ち向かって
多く、学習意欲も高いほうでしたが、「教
いたかのような印象を受けるが、その図式
師としては、それを普通のことと考えては
で認識すると、あとで紹介する論争を読み
いけない」ということでした。 その後、
違えてしまうだろう」と書いています。
一般的な公立高校に行って実習を続けた
[ 浅野のコメント 2]
ときに、その先生の指導の有難味がよくわ
第二次世界大戦中日本では、英語は「敵
かりました。
国語」でした。何しろ相手は「鬼畜米英」
現在の英語教師は、
「動機付け」や「学
習方法の指導」などから始めないと授業に
ですから、彼らの言葉は認めないというの
ならないことが多く、1980 年代頃から、
が、全体的な空気でした。英語の先生など
その傾向はますます強くなっています。予
はずいぶんと肩身の狭い思いをしたこと
習や復習の記述がある語学教育研究所編
を私は知っています。旧制中学の1年生
『英語指導技術再検討』
(大修館書店)が
(昭和 18 年)のときは、生徒は英語に興
出たのが 1988 年ですし、最近では、「英
味があり、先生も楽しく教えてくれました。
語教育」2006 年4月号が「指導の基礎・
しかし、その年の後半になると、各中学に
基本に立ち返ろう」という特集をしていて、
1名はいた配属将校という軍人が「英語な
そこには向後英明「宿題・復習の基礎・基
んか便所で読め」などと言い始めました。
本」という記事があります。
2年生になると勤労動員で授業も受けら
れなくなり、3年生になった夏に敗戦を迎
明治時代後期の英語学習者たちの雰囲
えました。
気を実感することは難しいですが、現在は、
「勉強する意欲のない」多数の生徒たちの
私は戦後間もなく英語専攻の学生とな
存在を実感している教師は少なくないは
っ て い た の で 、 英 語 雑 誌 The Youth’s
ずです。つまり英語教育は、教育全体の問
Companion 上で、中野好夫の「英語を学
題や社会問題と切り離しては論じられな
ぶ人々のために」を読んでいましたし、そ
い状態にあって、明治時代とは大きな違い
の後「英語青年」で市川三喜とのやり取り
があります。
も興味深く読んだ覚えがあります。ただし、
“英語の偉い先生方”という固定観念が崩
②「中野・市川論争」 (pp.150-160)
れて、英語の先生もこんなことで言い争う
斎藤氏は、中野好夫の戦時中からの発言
のか、と少しがっかりした気持ちになりま
を、その矛盾点を指摘しながら丁寧にたど
した。意見の中身ではなく、「下(しも)
り、戦後の市川三喜とのやり取りに至る経
がかった言い方がお好きなようで」
「下が
過を巧みに書いてくれています。例えば、
かっていて悪かったね」といった調子が印
昭和 17 年 10 月から翌年2月にかけて、
象に残ったからです。
「英語青年」誌上に中野の書いた「直言す
しかし、英語学や英文学をかじり始めた
る」という記事について、斎藤氏は「…戦
若造の皮相的な読みをこの斎藤氏の書物
10
AJELC Newsletter No. 21
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によって深めることができました。斎藤氏
ように述べています。
が、
「
『自分を含めて、戦時中の英文学者が
意気地なしであり、腰抜けであり、腑抜け
百家争鳴状態の近年の浅薄な英語教育論
であった』というのは中野のいつわらざる
から見れば、平泉と渡部の立場は意外なほど
本心だったのではないか」と指摘されてい
に近い。それもそのはず、平泉は外交官とし
る点には共感を覚えます。中野の戦時中の
て、渡部は英語学者として、それぞれ本格的
行動責任についての問題提起に対して、市
に外国語に取り組んできたのである。二人と
川三喜は、
「それは賢明なる読者の判断し
も語学の何たるかは痛いほどわかっている。
得るところであろう」と直接に答えること
そのため、特に英語の教授法や学習法に関し
を避けています。これは、今日でも、特に
てほとんど同じ認識をもっていると言って
政治家たちがよく用いる論法ですから、私
も過言ではない。(p.181)
は日本人の“議論の仕方”は少しも進歩し
[ 浅野のコメント 3]
ていないと思わざるを得ないのです。
両者に共通点があるという指摘は適切
と私は思います。当時、ある民放テレビ局
③「平泉・渡部論争」(pp. 177-182)
はこの問題で特別番組を放映しましたが、
この論争の始まりを斎藤氏は次のよう
そのタイトルは「ハローかシェイクスピア
に書いています。
か?」でした。つまり平泉案は「実用英会
話」、渡部の主張は「教養英語」といった
論争の発端は、昭和 49 年4月、参議院議員
レッテルで区別したのです。本になった題
の平泉渉が「外国語教育の現状と改革の方向」
名は『英語教育大論争』でしたが、私は二
と題する試案を自由民主党政務調査会に提出
人のやり取りは“論争”にもなっていない
したことにある。まず、実業界のみならず政治
と考えていました。最初はともかく、3回
家が英語政策の具体案を提出することになっ
目くらいからは、それぞれの主張を勝手に
たことに注目したい。これ以後、日本の英語政
述べているもので、議論ではないのです。
策は政治・行政主導で進められるようになる。
ここでも“議論下手”の伝統は守られてい
(p.178)
ます。
“下手”というよりも、
“議論を避け
る”と言うべきかも知れません。これは日
平泉の「外国語教育(実質的には英語教
本人の宿命でしょうか。
育)は成果が上がっておらず、長年実施し
平泉・渡部両氏の考え方で、私が見つけ
ても学習者は実用の域に達していない」と
た「共通点」の一つは、
「英会話ができる
いう趣旨の主張に対して、真っ向から反対
ようになるためには、ネイティブ・スピー
を唱えたのが渡部昇一(当時上智大教授)
カーに教わるに限る」という点でした。そ
で、
「平泉試案は、始めの現状分析から結
の後、AET(英語指導助手)の制度が文
論に至るまですべて誤解と誤謬からなっ
部省から出てきたときには、陰で平泉氏が
ている」と述べたのです。斎藤氏は、両者
動いているであろうと私は勘ぐりました
の意見をかなり詳しく紹介しながら、次の
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が、私の調べた限りではその確証は得られ
便性を重視する現実主義、そして言葉の怖さを
ませんでした。彼は試案を出した後では落
知らない「有識者」の軽率な政策提言の前に苦
選していますし、教育問題は選挙には不利
戦を強いられている。(p.197)
だということで、あまり発言しなくなった
のかも知れません。新提案はしましたが、
[浅野のコメント 4]
英語教員からは考え方が“非教育的”と非
①について
難され、無視される結果に終わりました。
「コミュニケーション重視の英語教育」
批判は斎藤氏の一貫した姿勢です。もちろ
(4)歴史的事実と現状との関係
ん、批判の対象になっているのは「コミュ
最後に斎藤兆史氏の現状認識を示す発
ニケーション重視」だけではありません。
言を二つだけ引用してコメントを加えた
その前のオーラル・アプローチとパター
いと思います。
ン・プラクティスについても、次のように
述べています。
①「迷走するコミュニケーション中心主
(パタン・プラクティスの長所を認めたあと
義」と題して
前節において「受験英語」との関連で触れた
で)日本人の悪い癖で、新しい教授法が紹介さ
文学・読解・文法・和訳忌避の傾向を決定的に
れると、それが特効薬であると信じて、それだ
したのは、昭和後期から「実用」
「英会話」
「生
けを使いつづける傾向にある。生徒の症状や体
きた英語」
「国際理解」
「異文化理解」など魅力
質も考えずに同じ薬だけを多量に投与するか
的な粉飾を施された「コミュニケーション」の
ら、当然副作用が強く出る。そして、これは駄
理念である。言語本来の機能がコミュニケーシ
目だとばかりに捨ててしまう。そんなことを繰
ョンである以上、「言語教育においてコミュニ
り返してきたのである。(p. 171)
ケーションが重要である」という理念自体は、
この見解は私も同感です。
「それだけを
まさに類語反復(トートロジー)とも言えるほ
ど自明であり、反駁することはできない。だが、
使いつづける」ことの他に、「拡大解釈を
昭和後期以降の「コミュニケーション」の問題
してしまう」こともあると思います。山家
点は、それが文法・読解学習を排斥する運動の
保氏はその典型的な例で、この指導法を広
スローガンとして用いられたということであ
めた功績は認めますが、私は「こだわり過
る。(p.188)
ぎて、誤解を招いた」と批判したいのです。
氏の没後、彼を尊敬する人たちが、
『あえ
て問う 英語教育の原点とは――オーラ
②「反英語帝国主義論」と題して
ル・アプローチと山家保』
(開拓社、2005
英語支配に対する問題提起は、英語偏重主義
年)という本を出しています。これは、
“原
に対する批判という形でいまだになされてい
点”はオーラル・アプローチのような、基
るものの、反英語帝国主義論は、なかなか具体
礎を鍛えることだとして、その後の流行的
的な政策に結びつきにくいという弱点のゆえ
なコミュニケーション中心の指導を批判
に、大衆の英語狂乱、共通語としての英語の利
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しています。そのこと自体は結構なことで
望する生徒を前に、「英語は侵略者の言葉
す。基本的な訓練の軽視または無視はかな
だから学ぶべきでない」とは言えないでし
り蔓延しているからです。でもフリーズ博
ょう。そうかといって、かつての産経新聞
士が語ったり、書いたりしているように、
の社説のように、
「英語帝国主義論」など
オーラル・アプローチは、その名称から言
問題にならない、と切り捨てることもでき
っても、
「入門期」のための指導法です。
ません。でも、中途半端な気持ちで教えて
このことは、彼の On the Oral Approach
いたのでは、生徒の反応もすっきりしない
(1958 年)に詳しく書いてあります。私
はずです。
は、1957 年にミシガン大学で直接教えを
私の一つの提案は次のようなものです。
受けたことがありますが、その時も「日本
英語は世界中で最もよく使われる言語に
人が最終的には reading や writing の力
なりつつあるという現実を認めた上で、英
を目標にするにしても、最初はこの方法で
語教員として取るべき態度があります。そ
訓練を受けておけば、そうでない場合より
れは、先ず第一に、どのような言語につい
も良い結果を得られるはずだ」と話してく
ても偏見を持たないことを基本的な姿勢
れました。
として教えることです。戦前、戦中はロシ
それから 20 年ほど経ったときに、ある
ア語を知っているだけで、
「あいつは赤だ」
地域で中学から短大・大学を含めた英語教
と警察に目をつけられるようなことがあ
育研究会が開かれました。短大の授業を見
りました。戦後でもそういう偏見から自由
学した中学の先生方が、
「短大でもやって
になったわけではありません。英語教員は、
いることは中学と同じだね」と話している
「正しい英語」を教えたい、それが最も通
のを私は耳にしました。確かに、日本では
じやすい英語だから、と考えるのは、単な
「英語を話すこと」は、挨拶と自己紹介ば
る現実への妥協ではなくて、妥協を超えた
かりで、それをいつまでもやっていたので
新しい取り組みとしてよいと思います。斎
す。これは教授法の責任ではなく、実践し
藤氏が、「文法訳読式で“正しい英語”を
ている私たち教員の責任だと思いました。
教えよ」と主張されるのもそういう姿勢と
考えます(訳読式には抵抗を感じる人も少
なくないでしょうが)。ただ、英米人の“標
②について
反英語帝国主義論を展開している人た
準的”英語を規範にすると、「正しくない
ち、特に大石俊一、中村敬、津田幸男の3
英語」には、
「黒人英語」
「ピジン英語」
「ア
名を著者は「反英語帝国主義三人組」と呼
ジア地域におけるもろもろの英語」が含ま
んでいますが、この3名はいずれも英語教
れてしまい、それらは「劣っている言語」
員であるという一見矛盾と見える現象に
という印象を与えてしまいます。そのこと
も明快な説明をしています。
を避ける工夫と配慮が必要となります。難
ところで、これは毎日英語を教えている
しい問題ですが、私達が避けて通れないこ
多くの教員にはとてもやっかいな問題で
とですから、真剣に取り組むべきだと思い
す。
「英語を話せるようになりたい」と希
ます。そのためにも、豊富な知識を与えて
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くれ、困難な問題の解決への多くのヒント
だということを結びの言葉にいたします。
を含む斎藤兆史氏のこの著作を読むべき
(筑波大学名誉教授)
第
告
予告
会予
例会
第 2200 回
回例
日時: 12 月 13 日(土) 14:00-17:00
(開始時刻が、通常より 30 分早くなります)
場所:明治大学駿河台校舎
リバティータワー 13 階 1135 教室
JR 中央線・総武線 御茶ノ水駅
御茶ノ水橋口下車 徒歩5分
内容:
会長挨拶 14:00-14:05
研究発表 14:10-15:00
「英語のストレスとリズムの理論と実際――大学生への認知的な音声指導のために――」
藤上 隆治
<発表要旨>
本発表は、英語のストレスとリズムに関
らかといえば「習うよりも慣れろ」方式で
する理論を概観し、異言語として英語を学
はないという考え方があり、これは部分的
習する日本語母語話者に対する認知的な
には当を得ている。しかし、その対極にあ
指導内容の提示を試みるものである。本テ
る「慣れるよりも習え」方式、即ち認知的
ーマを設定した理由は次の2点である。一
な指導も必要である。なぜならば、音声の
つは、ストレスとリズムは、個々の発音に
仕組みが理解出来れば、練習する理由が分
勝るとも劣らず、音声英語の基礎という点
かり、結果として定着度も高くなると考え
である。この基礎が出来ていないと、個々
られるからである。今回は、大学生に対し
の発音が正しくても通じ難くなる。
ての実践をもとに発表する。
ある。その理由の根底には、言葉は理屈で
もう一つは、異言語教育における気づき
(実践女子大学非常勤講師)
(認知)は重要という点である。一般的に、
異言語教育としての英語音声指導は、どち
休憩・情報交換 15:00-15:20
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講演 15:20-16:50
「英語教員が備えるべき英語力をどう授業に生かすか
―英語力の目標値と教授力をめぐって―」
石田
雅近
<講演要旨>
ICT革命により、日本の内外の環境が
に、文科省が 2003 年に策定した「行動計
急激に変化し、わが国の英語教育は抜本的
わが国の英語教員が備えることが求めら
な見直しを迫られている。言語環境・教育
れている目標値が妥当であるかを研究課
条件が類似したアジア近隣諸国が着実に
題とした調査結果を踏まえ、中等教育段階
教育成果を上げている中で、日本の英語教
の英語教員が授業で英語力を生かすため
育は遅れをとっている。日本における「英
には実際の教室内活動においてどのよう
語教育」の実効が上がらない要因として
な点に留意すべきかを具体的に述べる予
「クラスサイズ」
、
「授業時数」
、
「言語使用
定である。わが国の英語教育が目指すべき
の必要性」
、
「教員の資質」
、
「教室内での言
方向性について私見を開陳したい。
画」のねらいや問題点を総括すると共に、
語使用」等が指摘されてきた。このような
(清泉女子大学教授)
状況の中で、日本の英語教育を変えるため
には何が必要であるかについて論ずる。特
諸連絡 16:50-17:00
忘年会 17:30-
※ 忘年会にご出席の方は、予約の関係がありますので、至急、事務局までメールにてご連
絡をお願い致します。
事務局:E-mail: ajelc@hotmail.co.jp
事
局便
務局
り
事務
便り
1.会費納入・名簿整理について
です。なお、例会時以外での払い込み方法
今年度会費につきましては、多くの会員
は次の通りです。
の方々より会費をお納めいただきました。
ありがとうございました。12 月例会でも受
(1) 郵便振替用紙を利用し、郵便局より所定
け付けますので、これからの方はどうぞよ
の口座に振り込む。
ろしくお願い申し上げます。
振替口座番号:00100-4-779450
2008 年度は前年度同様、一般会員 3,000
口座名:日英言語文化研究会
円、学生会員 2,000 円、賛助会員 10,000 円
☆郵便振替用紙をご入用の方は、例会の時に事務局担
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当者にお申し付けください。なお、郵便局に備え付け
した。ありがとうございました。これから
の郵便振替用紙のご利用も可能です。
審査委員による査読を行い、採否を決定い
(2) 銀行口座に振り込む。
たします。また、今回投稿されなかった方
銀行口座:三菱東京 UFJ 銀行
もぜひ来年度以降に投稿をしていただきた
国分寺支店
普通 1942561
口座名:日英言語文化研究会事務局
くお願い申し上げます。
馬場
千秋
3.3 月例会
3 月例会は 3 月 7 日(土)14 時 30 分より
なお、2008 年度会費の納入がない場合、
明治大学駿河台校舎アカデミーコモン(御
来年度年次大会での研究発表応募(審査が
茶ノ水駅から三省堂方向に向かって歩き、
2008 年度のため)ができなくなります。
信号を2つ超えた右側にある大きな近代的
また、現在、名簿整理をしておりますの
なガラス張りのビル)にて開催予定です。
で、2009 年 3 月 31 日までに会費納入がな
今回は研究発表の 2 本立てで、杉本一潤氏
い場合、会員資格がなくなりますので、ご
(東海大学望星高等学校教諭)と関根紳太郎
注意いただきたくお願い申し上げます。
氏(東京高等工業専門学校准教授)にお願
いしております。学年末のお忙しい時期に
2. 紀要について
なるかと思いますが、ぜひご参加いただき
11 月 30 日に原稿を締め切りました。多
たくお願い申し上げます。
くの会員の方から論文をお送りいただきま
AJELC Newsletter 第 21 号
2008 年 12 月5日
発行
発行人:奥津文夫
編集:日英言語文化学会(AJELC)広報通信委員会
久我雅紹、遠藤雪枝、大須賀直子、須釜幸男、真野千佳子
発行所:日英言語文化学会
〒191-8506
東京都日野市程久保 2-1-1 明星大学理工学部(一般教育・英語)馬場千秋研究室内
連絡先:Tel/Fax: 042-591-5035
E-mail: ajelc@hotmail.co.jp
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