No.474 - 塩ビ工業・環境協会

No.474
VEC
発 行 年 月 日 : 2 0 1 4 / 0 9 / 18
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■トピックス
◇PVC News No.90を発行しました
塩化ビニル環境対策協議会
■随想
◇カネカロンの用途開発に従事して(第5回)
大原 柊三
■編集後記
■トピックス
◇PVC News No.90を発行しました
塩化ビニル環境対策協議会
9月12日に塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)はPVC News No.90を発行しました。
今号の「さきがけびとにきく」は、プラスチックの専門商社の西 奈緒美さんをご紹介して
います。
No.90号の構成は以下の通りです。
○トップニュース
1.
「PVC Design Award 2014」キックオフ!
- 取り組みの成功を祈ってキックオフイベント。
デザイン提案の部は一次審査を終了 -
2.環境時代のビルディングエンベロープを考えるシンポジウム
- 住宅に関わる各界の識者を迎えて、省エネ・健康リフォーム普及の
課題と対策を議論 -
○シリーズインタビュー/さきがけびとにきく
女性起業家の10年
- 廃プラの売買・リサイクルから新素材開発まで。海外との連携も視野に -
(有)グリーンプラス 代表取締役
(一社)知的財産開発支援センター 事務局長 西 奈緒美 氏
○リサイクルの現場から
【特別寄稿】
- 東アジアを含めた硬質 PVC 建材の再資源化システム調査(韓国) -
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 清家研究室 磯部 孝行 氏
○インフォメーション
1.塩ビ管・継手の普及活動、2年目へ(塩化ビニル管・継手協会)
- 注目の3ヵ年計画、平成26年度の活動内容まとまる -
2.
「上田学園 コレクション プレタポルテ2014」の会場で
- 華やぐデザイン!今年も見つけた、ソフト PVC 素材のフレッシュな作品-
○塩ビ最前線
登場から80年。進化する「食品サンプル」
- 趣味・お土産用グッズとしてグローバルな人気。
(株)森野に見る最新動向 -
○ものづくりの現場から
ヒットサンク(株)のお仕事拝見
-塩ビレザーなど様々な椅子張り用資材を裁断・縫製 -
○広報だより
・長寿命で地震に強い塩ビ管をアピール。
「下水道展‘14 大阪」
掲載記事をいくつかご紹介いたします。
「さきがけびとにきく」は、
『女性起業家の10年』とし、有限会社グリーンプラス 代
表取締役の西 奈緒美 氏にインタビューしました。
西さんはプラスチックの専門商社として起業し、プラスチック原料の仕入れ、販売、再
生プラスチックに木くずを混ぜた製品の販売、次世代の素材など幅広い業務を行っていま
す。一方で西さんがプラスチック業界の連携を深めるために発足した「プラスチックみら
い研究会」にはプラスチックを扱う商社、原料メーカー、デザイナーなど様々な人が集ま
り意見交換を行っています。
「リサイクルの現場から」は、
『東アジアを含めた硬質 PVC 建材の再資源化システム調
査(韓国)
』と題し、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 清家研究室の磯部 孝行 氏に
ご寄稿頂きました。
韓国国内の塩ビ管とサッシのリサイクルの様子や、再資源化原料の利用を義務づけてい
る再資源化促進制度についてご紹介頂きました。
「塩ビ最前線」では、今回は、食品サンプルをご紹介しました。大阪市にある(株)森野。
食品サンプルの歴史は古く昭和 7 年から始まりました。当時の原料は蝋で、今は塩ビがほ
とんどです。取材させて頂いた森野サンプルさんは製造だけでなく、食品サンプルの製作
体験会を開催しており、子供だけでなく大人も楽しんで行かれるそうです。
『PVCニュース』はJPECのホームページから、最新号、バックナンバー共にご覧い
ただけます。
ご講読を希望される方は、こちらまで、送付先・TEL・希望部数などをご連絡下さい。
■随想
◇カネカロンの用途開発に従事して(第5回)
大原 柊三
14.1965年7月 カネカロン艶消し太デニール繊維完成
宇都宮かつら店や多くの美容師等から指
摘されていた光沢過剰の問題はカネカロン
繊維紡糸時にアセトン可溶の高分子物質を
少量混合する(ポリマーブレンド)ことに
より、繊維表面に皺を発生させたことで解
決出来た。皺により繊維表面が乱反射し、
光沢を減少させ、人形の髪のような光沢が
なくなった。さらに繊維表面の摩擦係数が
増加したので繊維のからみが増し髪の形態
保持性が向上した。手触りもより人毛に近
づいた。この特性は洗濯しても変化しない
のは無論である。ダイネルは酸化チタンの
ような微粒子分散液をかつらに付着させる
やり方で一時的に艶消しをしていたことを
後年知った。
カネカロン艶消し繊維はハイパイルにも
使用され、カネカロンをより獣毛らしくす
ることに貢献した。
このポリマーブレンドの発想は数年前
艶消しカネカロン側面
(1959年頃)当時研究所古閑課長の週
上:艶消し処理なし
下:艶消し処理品
報会議で聞いた近藤登氏の失敗報告をふと
(カネカロン製造部提供)
想起しての閃きであった。それはポリマー
ブレンドが当時流行していたので近藤氏はカネカロンに適用することを考え、カネカロン
樹脂にカネカロンと同じ溶剤のアセトンに可溶の高分子物質を混合して紡糸した結果、脆
い白化したカネカロン繊維が出来たと実物を見せての報告であった。このことを思い出し
て混合樹脂の選定、添加量を加減すれば表面に適度な凹凸を作ることが出来るかもと考え
た。早速高砂工場の安本氏にお願いして紡糸研究を実施してもらったところ、目的のもの
が得られた。迅速に(発想から特許出願まで約2か月)
、ことが成功したのは安本氏らの奮
闘努力によるのは無論であるが、先人の失敗があったからでもある。これを改良・利用さ
せてもらったのである。
艶消し成功は第2の僥倖であったといえる。
15.1965年9月 ウイッグトレーナーの養成:1 期生 23 名誕生
カネカロン頭髪装飾品拡販にはカネカロンかつらの特性を理解した専門の美容師(ウイ
ッグトレーナー)の養成が必要である。特に人毛とカネカロンの取扱いに関する差異を理
解してもらうことに重点をおいて講習会を全国主要都市で開催した。
ウイッグトレーナーのいる有力美容店には温度管理のよい、セット・パーマ付与が容易
なウイッグドライヤーを貸与し、販売の促進を図った。
16.1966年5月20日 カネカロン事業部営業部フォンテーヌ課設置
フォンテーヌ課長は管理課長兼務の原田氏で私はフォンテーヌ課長代理を命じられ名実
ともに営業業務に励んだ。なお組織改定でカネカロン営業は販売、輸出、フォンテーヌの
三課となり、技術室は管理課に吸収となった。
17.1966年7月23日~8月26日 カネカロンかつらを米国販売するため出張
カネカロンかつらとスイッチ(かもじ)を米国ハリ
キャンプ社(帽子屋ルート・近藤商事)で販売するこ
とになり、内山輸出課長と現地で合流した。また初め
て米国で販売するのでウイッグドライヤーを変圧器と
共に空輸し、現地美容師を指導養成するため前川可知
子美容師と近藤社長が同行した。
かつら先進国米国で、現地の頭髪装飾品関係者との
面談・美容師の指導養成・シカゴのウィボールト百貨
店でのかつら販売(8/22~8/23)立ち合い等で多くの情
報が得られ、その後のカネカロン頭髪装飾品の発展に
大いに役だった。なお訪問地はサンフランシスコ、ニ
ューヨーク、シカゴであった。写真はシカゴで販売し
た時、シカゴトリビューン新聞に掲載したカネカロン
かつらの広告である。
カネカロンかつら(Qタイプ:頂部手植え)は75
ドルで販売した。顧客の希望スタイルに合わせて美容
師がカット、セットするサービスつきで2日間で20
個近く販売した。当時の日本では1日1個全かつらが
売れたらよいほうであったので非常に驚いた。
購入者は中高年層の他に黒人も多いことに関心を抱
いた。その理由は縮れ毛よりもストレートな頭髪を願
望・欲求しているからだと教えられた。フォンテーヌ発
売時、南アフリカ・ヨハネスブルクからも引き合いがあ
ったことを想起し、黒人市場も有望であると思った。
頭髪装飾品はドレスと一体で、ドレスに合わせたヘ
アスタイルが要求されている(トータルファッション)
ことを実感し、もっと軽量で簡単に着用出来るかつら
1966 年 8 月 21 日
も必要だと感じた。従来の日本髪かつら方式のみなら
シカゴトリビューン新聞に掲載した
米国で最初のカネカロンかつら広告
ず、プリスタイル式かつら、つまり美容師の手をわず
らわさずに自分で帽子のように簡単に着用できるかつ
らも量産することである。
ダイネル製かつらも150ドルした従来方式のファッションかつら以外に、近く50ド
ルのプリスタイルかつらを売り出す(R&M 社香港製)ことがわかった。合繊かつらはプリ
スタイルが似合うという。
スイッチ用カネカロントウ(24デニール・原液染とトウ染色品)2000ポンド輸出
したが残念ながら分繊不良で返品となった。現物をハリキャンプで見たが確かにダイネル
製品のほうがカネカロンより櫛どおりが良かった。
(つづく)
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■編集後記
この間何気なく東京の地下鉄路線図を眺めていたところ、駅名に“○丁目駅”という駅
がいくつかありますが、それが全て“奇数”であることに気がつき、不思議に思い調べて
みました。結論からするとどうもただの偶然だったようですが、調べているうちに大阪の
地下鉄の駅名では東京とは逆に“偶数”の多いこと(但し、奇数の駅もいくつかあり)が
分かりました。
江戸幕府を開いた徳川家康は「陰陽道」を積極的に政治に活用したと言われていますが、
その「陰陽道」には様々な事柄で東と西のバランスを取るといったことがあったそうです。
もしかしたら、この駅名も「陰陽道」が何か関係しているのでは?と期待しましたがどう
も違うようでした。
(鷹山)
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◆編集責任者 事務局長 高橋 満
■東京都中央区新川 1-4-1
■TEL 03-3297-5601 ■FAX 03-3297-5783
■URL http://www.vec.gr.jp ■E-MAIL info@vec.gr.jp