オクタン価とは アジアクリーン燃料連盟 発行月刊誌 第6巻7号- 2008年10月 多くの消費者は、ガソリンと言うと真っ先に価格を気にします。消費者 のほとんどが購入するガソリンの性能に満足しているため、ガソリンの合 成成分に関してはほとんど関心がありません。 しかし、もっとよく考察す ると、消費者は使用するガソリンの性能品質に対して非常にシビアな 目を持っていることがわかるはずです。 • • • • • 低温でも簡単にエンジンがかかり、すぐに暖まり、かつ どのような状況下でも問題なく走行できる。 ノッキングせずに十分な動力を供給する。 満足のいく燃費と性能を実現し、排気ガスを抑える。 カーボンデポジットの生成、燃料システムの汚染、または 腐食を防止する。 エンジンの製造メーカーが定めたメンテナンス要件に悪影響 を与えない。 また、ガソリンは消費者の期待に沿うようにエンジンおよび自動車の 設計にも深く関わっています。燃料性能に不可欠な要素の一つは、 ノッキングまたはノック音の原因となる異常燃焼を防止するアンチノッ ク性です。ノッキングの防止はドライバビリティと同じくらい重要です。オ クタン価はガソリンのアンチノック性を示す指標で、エンジンの燃焼室 でのノッキングの起こしにくさを表しており、 燃料と同様のアンチノック 性であるイソオクタンとヘプタンの混合ガソリンに含まれるイソオクタン の割合を量で示しています。例えば、イソオクタン 90% とヘプタン 10% の混合ガソリンのオクタン価は 90 です。 燃料ポンプのオクタン価表示ラベル 本号の内容 オクタン価とは 専門家との対談: ハート・エネルギー・コンサルティン グ、 精製特別プロジェクト常任理事 テリー・ヒギンズ氏と の 対談 ヨルダン鉛廃止事後研究会 – サクセス・ストーリー ACFA 最新ニュース ガソリンのオクタン価を測定する方法には2種類あります。リサーチ・オ クタン価 (RON) 測定と、モーター・オクタン価 (MON) 測定です。 RON は低速度時の低ノッキング状態の測定に用いられ、MON は 高速時の高温度ノッキング状態の測定に適しています。 一定のガソ リンでは、RON は必ず MON よりも高くなります。 RON と MON の差をセンシティビティと呼んでいます。他にも、ロード・ オクタン価法のようにアンチノック性を測定する方法があります。ロード・ オクタン価は RON と MON の平均値 (R+M/2) で、アンチノック指数 と呼ばれています。特定の自動車 (新車) の要件であるアンチノック性 に関しては、自動車の使用説明書に記述されており、オクタン価が指 定されています。 エンジンを長期間使用したり、ノッキングが頻繁に発生すると、動力 の低下、エンジン部のオーバーヒート、またはエンジン破損の原因に なる恐れがあります。ノッキングは、ガソリンのアンチノック性 (数値) がエンジン要件よりも低く、主に急発進または傾斜走行中に発生し ます。1980年代中頃以降、ほとんどの大手自動車メーカーは、セン サーやコンピューターなど高度な制御装置を搭載した自動車を製造 し、ノッキング防止に努めてきました。 精製業者はさまざまな加工技術を導入し、原油からガソリン、軽油 (ディーゼル) 燃料、ジェット燃料、石油化学原料など、有用な製品 を生産しています。加工技術の中には、ガソリンに加工できる原油 量の増加に貢献しているものがあります。これらの加工技術は、1930 年代に、当時成長期にあった自動車業界でガソリンの需要が拡大 に対応するため開発されました。 (3ページに続く) お問い合わせはacfanews@acfa.org.sg まで。当機関のウェブサイトwww.acfa.org.sg。Copyright 2008. Asian Clean Fuels Association 免責条項:アジア•クリーン燃料連盟は、本ニュースレター(「コンテンツ」)に記載されている情報および資料の正確性、妥当性、または完全性に関する責任および保証を負わないものとし、コンテンツのいかなる誤字または脱字、 あるいはコンテンツに従って行なわれらた行為に対する一切の責任を放棄します。 専門家との対談 ハート・エネルギー・コンサルティング、精製特別プロジェクト 常任理事 テリー・ヒギンズ氏との対談 テレンス S・ヒギンズ氏は、米国のノートルダム 分析結果から、これら地域のオクタンレベルに違いが見られますか? 大学で化学工学の学士号を取得しました。ヒギ オクタンの需要および評価は地域によって明らかに異なります。現在お ンズ氏は、石油精製およびエネルギー産業におい よび将来的に、ヨーロッパでは、ユーロ-V 仕様による 91RON 等級ガ て35年の実績があります。また、ハート社の世界 ソリンの廃止に伴って、オクタンの需要がさらに拡大するでしょう。北アメ 精製および燃料会議の立案者で、精製および製 リカ以外のオクタンがさほど普及していない地域では、オクタンの普及が 品研究の技術開発および分析を監督しています。見込まれています。オクタンの普及が最も見込まれているのが、品質仕 ヒギンズ氏は、国家石油化学精製協会 (NPRA) 様が強化されたCIS諸国です。また、発展途上地域でも低オクタン価 の技術責任者を歴任し、米国エネルギー省、 ガソリンの入手が可能になったため、オクタンの普及が拡大するでしょう。 アメラダ・ヘス、およびテキサコでもその才能は認められています。 アジア太平洋地域のガソリン市場およびオクタン普及の動向をどうお考 貴社および精製燃料業界を対象としたコンサルティング事業について、 えですか? アジア太平洋地域のガソリン市場はそれぞれ異なっており、オクタンの 簡単に説明していただけますか? ハート・エネルギー・コンサルティングはテキサス州ヒューストンを拠点と 仕様および開発もさまざまです。加鉛ガソリンの廃止を実施する国々 するハート・エネルギー・パブリッシング社の子会社で、ニューヨーク、ロ の増加に伴い、精製オクタンの仕様強化も必要になってきます。硫黄 ンドン、ワシントン DC、ブリュッセル、シンガポールなど世界各国に展 低減への取り組みは、この仕様強化に大いに貢献しています。アジア 開しています。当社では、燃料、精製、および自動車関連問題への 太平洋地域で流通するガソリン量は、北アメリカに次いで世界第二 対応と、エネルギー業界のクライアントを対象としたコンサルティング・ 位です。アジア太平洋地域の発展途上国の経済成長は、今後もエ サービスを提供しています。出版部では、石油ガス業界の川上およ ネルギーおよび燃料の需要と成長に貢献していくことでしょう。高オクタ び川下企業を対象にした業界トップの出版物を発行しており、カスタ ン価ガソリンが普及する先進工業国以外の発展途上国では、最低 ム・パブリッシングのサービス提供、および技術ポリシー会議を実施し 等級の 91RON に移行すると考えられています。よって、アジア太平 洋地域のオクタンの需要は拡大し、世界的動向に多大な影響をお ています。 よぼすでしょう。 世界の石油製品市場は前例のない転換期を迎えています。ガソリン に含まれるオクタンの品質にどのような影響を与えますか? 近年のガソリン市場ではオクタンが値上がりし、ガソリン供給およびオ クタン生産を逼迫しています。オクタン市場の逼迫は、ガソリンに含ま れる硫黄含有量の低減、鉛添加剤廃止の最終段階、揮発度制 限、そして世界最大のガソリン消費国アメリカにおける特定の酸化燃 焼物質の非配合が原因です。将来的に、市場力学はオクタン市場 の変化とともに転換期を迎えることでしょう。主要地域における低オク タン価ガソリンの品質および品質要件の向上は、硫黄含有量の低 減拡大を実現したように、オクタンの需要量を拡大すると考えられま す。 最近、オクタン精製に関するマルチクライアント分析を実施されたようで すが、この調査の目的を説明していただけますか? 我々は、地域市場のオクタン要件を調査し、ガソリン等級の相違、 品質仕様および精製業界におけるバイオ燃料の拡大がもたらす影 響の査定を目的とし、2020年度までを視野に入れたグローバル・オク タン・アウトルック分析を最近完了しました。分析過程の一環として、 北アメリカ、中南米諸国、ヨーロッパ、ロシア/独立国家共同体(CIS)、 アジア太平洋地域、中東諸国、およびアフリカの地域別計画を作成 しました。また、市販用エテールやアルコールなどの非精製成分の効 力を活用して、精製オクタンの新たな要件を査定しました。分析によ って、2007年から2020年までを基準としたオクタン要件を考案するこ とができました。 2008年10月 アジア太平洋地域が、どのようにしてオクタンの需要に対応するとお考 えですか? この地域の精製所はそれぞれが独特で、品質仕様の変更などオクタ ン要件に反映される要因はさまざまです。大部分の精製所では、工 程の再構成の実施や異性化などに必要な高オクタン価用装置への 設備投資が必要となるでしょう。経済状態および供給の普及率から 考えると、場合によっては、MTBEなどの燃焼促進物のようなマーチャ ント製品が有用になり、ガソリンのオクタン含有量の増加につながると 考えています。また、バイオ燃料の普及拡大は、アジア太平洋地域の オクタン需要に大きく貢献することでしょう。 政府の要件および規制によって使用が義務付けられるバイオ燃料の 影響について、どのようにお考えですか? 確かに、政府の方針は輸送燃料としてのバイオ燃料の普及拡大に 移行しています。混合ガソリン用のバイオエタノールなどのバイオ燃料 は、非精製オクタンの成分にかつてないほどの影響をもたらしています。 いずれは、原料供給量とその持続可能性がこれらのイニシアチブの重 要な課題となるでしょう。 2ページ オクタンとは (1ページから続く) ゼネラル・モーターズの研究チームは、圧縮 比の上昇によるエンジン効率の向上は、現行ガソリンのオクタン質によ って制限されることを証明しました。また、四エチル鉛がガソリンのオクタ ン価を上げることも確認されました。加鉛ガソリンは一般に圧縮比を上 げ、燃費、動力、そして自動車性能を向上させました。 また、世界の自動車販売数の大幅増加の原動力でした。しかしなが ら、鉛添加剤は環境および公衆衛生に悪影響を及ぼし、高度な排 気ガス制御装置 (触媒式排気ガス浄化装置) の破損原因となり、 やがてほとんどの国々で燃料成分から除外されていきました。 ガソリン生産に用いられた精製技術によっ て、混合ガソリンに使用可能な原料の品 質および量が決まります。 また、精製所が 使用する原料は、ガソリン質とオクタン価を 左右します。ガソリン製造環境によっては、 ガソリンの硫黄含有量の低減により、ガソリ ンのオクタン価を低下させます。鉛の廃止に 伴い、精製業者はガソリンのオクタン価を 維持または向上させる代替方法の開発を 余儀なくされました。 ガソリンおよびオクタ ン混合成分の大幅な増量を目的とした、 接触分解、改良、およびアルキレーションな どの技術が開発され、効率が向上しました。 蓄積したエンジンには、ノッキングを防止するためにハイオクガソリンが 必要です。一部の新型エンジンには、エンジンのノッキング開始を検知 し、ノッキングを回避するようにエンジンを修正するノッキング・センサーが 装備されています。旧型エンジンの中にもハイオクガソリン仕様車もあれ ば、燃焼室の蓄積物が著しく増量し、のちにエンジンのノッキングを制 御するハイオクガソリンを必要とする可能性のある自動車もあります。 表2は主な国々の標準オクタン価を表にまとめたものです。 世界のオクタン市場は成長市場として注目を集めています。鉛廃止に 初めて着手して以降、燃料品質および市場要件は、常により高い オクタン価を要求してきました。鉛の廃止、 揮発性の低減、低硫黄、およびベンゼン 表1:ガソリン混合成分の平均オクタン価 /芳香族化合物の低減がオクタン要件に 追加されています。また、ガソリンの需要 無公害オクタン製品 RON MON 拡大は、精製業者だけにとどまらない、オ 118 101 MTBE クタン要件に関する認知度拡大を促して ETBE 119 103 います。 TAME 109 99 エタノール 129 100 メタノール 130 100 t-ブタノール 100 90 芳香族化合物 98 - 108 91 - 120 アルキレート 90 – 95 80 – 85 イソオクタン/イソオクテン ガソリン (標準混合) 100 100 90 – 100 80 – 90 原典:米国エネルギー情報曲、米国石油協会、 オクタンの需要および評価は地域によって 明らかに異なります。また、燃料品質スケ ジュールおよびオクタンの対象市場も同様 に地域によってかなり異なります。ガソリン 市場およびハイオク市場の動向は一般に 相関していますが、しばしば地域のニーズ、 品質、およびバランスの違いが地域間格 差の原因となります。一部の市場で規制 要件によってオクタン生産の増量を余儀 ハート・エネルギー・コンサルティング ガソリンハイドロカーボンのオクタン価および混合値は、分子の種類に 応じて異なります。データによると、MON 混合値は、分岐オレフィン、 芳香族イソパラフィン、および軽質ナフテンで最大値になります。また、 精製業者は、オクタン価を上げる方法として燃焼促進物 (エテールお よびアルコール) などを使用することも可能です。表1は、主なガソリン 混合成分のオクタン価の相対比較を表にしたものです。 なくされ、全体のガソリン生産能力が最大限に達したため、近年、オク タン市場は著しく不安定です。 ハート・エネルギー・コンサルティング (米国バージニア州マクリーン) が 実施した世界のオクタンに関する最近の研究では、地域別および世 界規模のガソリンオクタン動向と 2007年から2020年までの精製オク タンの必要量を調査しました。調査結果によると、世界のオクタン価 は次第に上昇し、2020年までにおよそ1.4オクタン価 (R+M/2) になる と考えられます。オクタン価が最も上昇するのは、発展途上地域およ び現在低オクタン価ガソリンが流通している地域です。 新型車は、91-92 RON ガソリン (およそ 87 R+M/2 ) で十分走行 91 RON ガソリンが廃止されたヨーロッパが 可能です。圧縮比が高かったり、燃焼室にかなりの量の燃焼物が 最もオクタン価が高い市場で、今後もオク タン価の上昇が見込まれています。やがて は、燃料品質の向上によって精製業 表 2: 主な国々の標準 RON および MON およびその拡大にさらなる要件が強いられ レギュラー」 「プレミアム」 ることになるでしょう。オクタンの必要成分と 2008 して、エテールやバイオ燃料などの混合成 RON RON+MON/2 MON RON RON+MON/2 MON 分が使用できるようになると考えられます。 必要なオクタン量を決定するには、特定の地域、国、あるいは市場 の自動車関連情報を把握する必要があります。無鉛ガソリン仕様の 91 -- 81 95 -- 85 中国 90 85 -- 93 88 -- インド 88 84 -- 93 88 -- 日本 89 -- -- 96 -- -- 韓国 91 - - 94 - - 91 - -87 81 82 95 - -91 85 - 欧州 オーストラリア 米国 世界の自動車台数の増加と近代化に伴 い、品質の良い輸送燃料および適切なオ クタン品質は、今後も性能と顧客満足度 を保証する主要素となることでしょう。 原典:国際燃料品質センター 2008年10月 3ページ ヨルダン鉛廃止事後研究会 – サクセス・ストーリー ヨルダン環境省は、国連環境プログラム (UNEP) の支援の下、最近 国家鉛廃止事後研究会を開催しました。研究会の主な目的は、国 内における無鉛ガソリンへの移行成果を調査し、中東および北アフリ カ地域諸国に加鉛ガソリンの廃止および環境保護の模範的体制を 提示することです。 2008年3月、ヨルダンは加鉛ガソリンの廃止および無鉛ガソリンへの移 行を完了しました。2006年に開始された移行計画は、まず加鉛および 無鉛ガソリンの両方を使用することから始まり、次に無鉛ガソリンのみを 流通させるという2段階方式で実施されました。 ヨルダン石油精製会 社 (JPRC) は2月に加鉛ガソリンの生産を終了し、無鉛ガソリンのみ の生産に踏み切りました。 現行のガソリンの鉛の最大含有量は 0.005 g/l ですが、RON 90 お よび RON 95 ガソリンの実際の鉛含有量は 0.003 mg/l 未満です。 また、燃料に含まれる硫黄含有量の仕様も最大 150 ppm に強化さ れました。 研究会は、ヨルダン環境相ハリド・アルイラニ閣下の歓迎の挨拶で始 まりました。 閣下は、加鉛ガソリン廃止計画の達成のために実施さ れたさまざまな偉業を紹介し、数年以内のディーゼル燃料の硫黄含 有量の低減実現に向けた決意を表明しました。また、UNEP 地域 統括官ファリード・ブシェーリ氏も開会の辞を述べました。 • • • • • 研究会は2日間の日程で4つのセッションに分かれて行われ、大気質 管理、ガソリン規格、燃料品質と自動車排気ガス、加鉛ガソリンの 廃止による健康上の効用、そしてクリーン燃料と無公害自動車に冠 する課題について話し合われました。実際のプレゼンテーションおよび 考察をまとめた主な提言内容: • 燃料品質計画は包括的プロセスであり、自動車、効率、 環境、および消費者の利益にもたらす影響のバランスを維 持する必要がある。 図1 加鉛ガソリンの廃止、燃料および自動車排気ガスの向上に よる成果を評価する上で大気質の監視が重要である。 燃料成分の抑制および環境保護では、地下燃料タンクの 適切な監視および管理など製品の安全管理が重要である。 移行および実施の成功には、地方自治体と政府の協力体 制が重要である。 品質の高い燃料を生産するには精製および燃料供給におけ る支援が必要である。 燃料品質、効率、自動車メンテナンス、および公衆衛生上 の効用に関する認知プログラムを促進する国際支援が可 能である。 以下は発表されたプレゼンテーションの一部です。 クリーン燃料および無公害車のための UNEP パートナーシップのメア リー・ムキンディア氏は大気質、地球温暖化、およびエネルギー 安全保障の相互関係について演説し、自動車技術とメンテナ ンス、燃料品質、交通管理、および大気質の監視がもたらす 効果に対する意見を述べました (図1)。ムキンディア氏によると、 国家的、地域的、世界的進展には、燃料品質改善と自動車 排気ガス低減技術の統一が重要です。 国立化学学会の大気質研究部門のファイサル・アナニ氏は、 無鉛ガソリンへの移行政策で重要な役割を果たした都市部の 加鉛ガソリンの大気質監視データを検証しました。 経済貿易省管轄の標準局のサラ・オベイダ氏は、燃料に関す る専門的条例の制定に向けた手続きについて演説し、5ページ の表1に示されているとおり、今年度実施されたガソリン仕様の 改訂を簡単に説明しました。 ヨルダン石油精製会社のマームド・スメラ氏は、無鉛ガソリン生産 の誘因となった精製施設の改正法を再検証しました。彼によると、 (5ページに続く) 2008年10月 4ページ ヨルダン鉛廃止事後研究会 – サクセス・ストーリー (4ページから続く) 加工装置の改良および 表1:ヨルダンのガソリン仕様 変更に加えて、オクタン価上昇および燃料品質の 属性 1998 改善を促進するメチル第3ブチルエーテル (MTBE) オクタン価 88 96 が混合されました。 RON --エネルギー鉱物資源省のコラウド・マハネ氏は、 加鉛ガソリン廃止のために、政府が実施した研究 および法律制定などの政策を再検証しました。マ ハネ氏は、エネルギー鉱物資源省が中心的役割 を果たしたディーゼル燃料の硫黄含有量低減計 画の概要を説明しました。 -0.83 2000 芳香族化合物vol % -エテール、vol % -MON 鉛, g/l, 硫黄、ppm -.83 2000 --- 2004 ---.83 2000 --- 87 87 87 0.15 150 42 15 --85 0.15 150 42 15 2008 95 95 82 0.15 150 42 15 原典: ヨルダン標準局 ハート・エネルギー・コンサルティング国際燃料品質センターのキャンデ ィー・ヴォナ氏は、中東地域の燃料品質の概観を述べました。 ヴォナ 氏によると、中東地域諸国は、燃料および自動車品質問題では個 別に政策を展開してきましたが、統一に向けて着実に進展していま す。また、ガソリンのオクタンと硫黄の性質を比較し、中東地域諸国 の多くが無鉛ガソリンの導入と硫黄含有量の低減を実現したと言及 しました (図2)。 95 90 95 90 報告済み 0.005 0.005 50 50 35 35 15 15 環境省のラファト・アッシ氏は、ガソリン品質、オクタン価、および環境の 相互関係を調査しました。アッシ氏は、今日のガソリンおよび最新型 エンジンの複雑性、精製業者がどのようにしてオクタン性能の要件に 適合しているか、そして混合原料の多様性が排気ガスにもたらす影 響を論証しました。また、他のプレゼンターが指摘したように、燃料と 自動車品質は一つのオペレーティングシステムとして考慮するべきだと 強調しました。 研究会では、政府、業界、そして外部団体が協力し合うことにより、 より優れたガソリン品質プログラムを実施し、消費者および公衆衛生 に恩恵をもたらすことができると確認し合いました。 図2 ガソリンに含まれる硫黄とオクタンの比較 原典:国際燃料品質センター 近日開催予定の会議&イベント ACFA に関するご質問またはご感想は、 acfanews@acfa.org.sg にお問い合わせい ただくか、リリス•スサントまでお電話(+65 6236 0248)またはメールでご連絡ください ( lilis@acfa.org.sg)。 当機関のウェブサイト http://www.acfa.org.sg をご覧ください。 2008年10月 2008年度大気質改善会議、2008年11月12日 – 14日 バンコク PCFV 硫黄低減および無公害車に関する研究会、 2008年12月1日– 2日 ダマスカス、2008年12月4日– 5日 ベイルート 第15回 アジア燃料および潤滑油会議、2009年3月4日– 6日ハノイ 5ページ ACFA 最新ニュース 大気汚染がカリフォルニア住民 の健康を蝕む 今回の調査範囲は限られていましたが、この調査は、環境衛生追跡 データベースの範囲を広げたより詳細な研究の構想基盤となります。 米国カリフォルニア州立大学フラートン校が実施した研究によると、 カリフォルニア州ではスモッグ関連死および大気汚染が原因の疾 患により、年間280億ドルの損失を被っています。研究チームの推 定では、年間約3,000人がスモッグの影響で死亡し、その損失額 は250億ドルで、ぜんそくおよび呼吸困難などの疾患による損失額 が残りの30億ドルです。カリフォルニア州では、大気汚染が原因の 死亡者数が交通事故による死者数を上回っています。研究チー ムは、住民の健康を守るための連邦 (および国際) 大気質基準 に適合する必要性と有益性を訴えています。南カリフォルニアの大 気汚染およびスモッグ量は、アジア太平洋地域の主要都市の汚 染と同レベルです。 Health Perspectives 2008年10月号)」 に掲載されています。 今回の研究に関しては、専門誌「環境衛生の展望 (Environmental オーストラリアの自動車のCO2 排気低減計画 オーストラリア政府管轄のオーストラリア交通評議会および環境保 護文化遺産作業部会は、燃料効率の向上と自動車の炭素排気 の低減を実現可能にする方法を論じた公開討議論文を発表しまし た。この論文は、法令立案、規格および規範改訂、そして燃料効 率と国内の排気物質の約14%を占める自動車の CO2 排気に適 用する要件の通達を目的としており、オーストラリア政府間評議会 の依頼で作成されました。 オーストラリアの自動車台数はおよそ 1,500 万台で、そのうち 77% が乗用車です。自動車の台数増加 自動車が原因の大気汚染と小児ぜんそく 率は年間2.3%です。ガソリン仕様車の平均燃費は約11.2リットル 米国、イギリス、およびスペインの共同調査で、自動車が原因の大 /100 km、そして1人当たりの炭素排出量は世界第4位となっていま 気汚染はぜんそくを引き起こすことがわかっています。研究では、都 市の大気質、交通量、および小児ぜんそくの発症率に関するさま す。オーストラリア政府は、あらゆる手段を模索してCO2 排気の低 ざまなデータセットを検証し、症状/入院期間と大気質の相互関 減に取り組まなければなりません。下図は、CO 排気低減の目標 2 係を調査しました。その結果、小児ぜんそくの発症率と大気の汚 を表しています。最終報告および政府の政策実施は来年中に発表 染度は比例することが明らかになりました。 される予定です。 免責条項:アジア•クリーン燃料連盟は、本ニュースレター(「コンテンツ」)に記載されている情報および資料の正確性、妥当性、または完全性に関する責任および保証を負わないものとし、コンテンツのいかなる誤字または脱字、あるいはコンテ ンツに従って行なわれらた行為に対する一切の責任を放棄します。 2008年10月 6ページ
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