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VOL.251
2014.7.17 配信号
発行:株式会社ワールド•ワイズ•ジャパン
〒550-0015 大阪市西区南堀江 1-16-11RE008-5A TEL 06-6536-3488
パチンコは大衆娯楽であり続けられるのか
LOGOSプロジェクトインテリジェンスパートナー
シークエンス代表 三浦 健一
賞品買取りについて、表向きは「三店方式」という第
店方式の仕組みを模索するしかなくなる。賞品買取り
三者買取りで店が直接関与しないかたちで換金が運用
のより透明で健全なシステム構築に、ホールが口を出
されているが、行政は「換金」ではなくあくまでも「賞
すのも不適当ということでしかないからだ。それなら
品の買取り行為」であり、三店方式が正常に機能して運
換金そのものを切り捨てるか、行政もしくは公的第三
営されていれば「直ちに違法となるものではない」とい
者機関による統一三店方式運用しか考えられなくな
うレトリックで、換金がここまで生き延びてきたとい
る。
える。しかし法律上はともかく、実態・仕組み的に三店
方式が正常に機能して運営されていてもそれは「きわ
産経新聞が例の「パチンコ交換税」構想について報
めて白に近いグレー」でしかない。その県の都市部では
道。6月 22 日付のMSN産経《「パチンコ税」創設浮
正常に運用されていても、郡部などではまだ自家買い
上、1%で財源 2000 億円試算、政府・自民、法人税
や自家買いに近い(形だけの)三店方式である場合もあ
率下げ減収の穴埋め》と」題したニュース配信が先駆け
る。なべて統一された運用ではないわけだ。講話で警察
だ。しかし、交換税は無理筋の観が否めない。パチンコ
庁はここをまともに指摘した。
税=ギャンブル税という発想であり、あくまでカジノ
と同じ賭博であるとの前提で構想が練られていること
ぱちんこ営業が賭博と一線を劃すために、買取り行
にも合点がいかない。しかしこれが「国策」なら、無理
為の規制は非常に重要な規制で営業の根幹に関わるこ
筋でも導入する可能性は高い。PCSA提案も含めて
とだとするのが行政と法のスタンスだが、不作為責任
だが、業界ホール団体の意見提出と議論で新しい換金
とはいえ換金の切り捨て、もしくは社会情勢に合わせ
合法の仕組みを、警察庁と共に早急に模索していく時
たシステム改革の機会はいくどか行政にも用意された
期に来ているのではないか。
ことがあるのではないか。それを三店方式の厳正運用、
賞品の持ち帰り促進(品揃え)に固執、その行政指導と
パチンコ税(交換税)については週刊誌も報道しはじ
取締りに特化したためにグレーゾーンはあくまでグ
めた。
『週刊現代』7月 12 日号では《「パチンコ税」が
レーゾーンのままで推移してきてしまった。そのこと
急浮上してきた本当のワケ》という記事が掲載された。
がいま、カジノ法制化の議論の渦に、パチンコが相対的
「表向きは法人税減税の穴埋めという理由で議論され
に「換金」の部分で呑みこまれることを暗示している。
ているが、実はもっと隠された理由がうかがえる」とし
て、風営法による警察の所管で換金が刑法賭博的にグ
楠保安課長は講話文で次のようにも指摘している。
レーな運営がされており、こうしたパチンコ業界に対
「賞品買取りに違反しないにしてもホール営業者が買
して①警察官僚の管理下で容認する考え方と、②パチ
取り行為の仕組みを考えたり論じたりすること自体
ンコを賭博と位置づけ、代わりにカジノなどと共に法
が、風営法の趣旨に反する」というのだ。買取り行為に
規制下に置く考え方があると指摘。IR法の影響をパ
関与できない営業者が買取り行為やその仕組み(三店
チンコも受けざるを得ないと断定。
「 現状のシステムを
方式等)について物を言うのはお門違いもいいところ
見直し、店で換金する方向にかじを切るだろう」とし
で、もっと自分たちのポジションをよく考えろという
て、その際には一定の税金(パチンコ税)を導入する
わけだ。こうなると行政の自家撞着ともいえ、現実と理
か、もしくは景品交換所を公益法人が運営して一定の
論がさらに乖離していく。統一したまったく新しい三
パチンコ税相当の手数料を徴収するという案が考えら
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れると推測している。これが実現すれば脱税の温床と
を簡略に列記したもの。
「 パチンコは賭博ではなく、娯
警察官僚の利権状態の今よりは一歩前進になると述べ
楽遊技として」の1項があったと関係者が証言する。議
ている。いかにも週刊誌的視野といえるが、この指摘は
連はパチンコを賭博でなく大衆娯楽遊技として残し
存外、交換税導入の議連の思惑とさほど乖離している
て、そのうえで規制緩和も併せての交換税導入による
わけではないだろう。換金の合法的仕組みの論議は、業
風営法改正を目論んでいるのだろうか。
界内だけでなく外部から働いてくる要因のほうがはる
かに大きい。
以前、交換税はパチンコが賭博であることを前提に
した「ギャンブル税」を起点にしていると書いたが、こ
時代に適した風営法を求める議員連盟が画策する案
れは自民党税調の当時の太田誠一行革本部長から渡邊
だが、原案はまぎれもなく特別立法案なのである。週刊
弁護士に「公営ギャンブルの交付金を地方交付金特別
現代が指摘するように、パチンコがIR実施法のなか
会計の一般財源に移行することを考えており、新設が
で、カジノと同じ民間賭博としてゲーミング規制法令
予想されるカジノや現行のパチンコについてもその交
に組み込まれる可能性が皆無というわけではない。換
付金程度のギャンブル税を創設したいので意見を聞き
金をそのまま残して合法化するには手っ取り早いから
たい」と連絡があった。平成 13 年∼ 14 年の頃だと渡
だ。交換税を導入する代わりに規制緩和という甘い蜜
邊氏はいう。業界の大手の一部と協議した結果、ギャン
は、いざ合法化されるとどうなるかわからない。依存問
ブル税は無理だが換金に関する「交換税」なら受け容れ
題やセキュリティ、入場制限などカジノと同じような
られる余地があると回答している。
厳しい規制の枷が嵌められる確率のほうが高くなるだ
ろう。
加えてそこでは風営法ではなく「業法」を制定する必
要があると提案している。太田氏はその後落選して自
風 営 法 議 連 と 同 じ 秋 元 司 議 員 が 事 務 局 長 を 務 め る
民党行革本部顧問になったが、その太田氏は、公営ギャ
「ダンス文化推進議員連盟」
(平沢勝栄幹事長)がある。
ンブル、宝くじ、サッカーくじに続く新たな例外とし
こちらは超党派議連で、かねてからダンスを風営法の
て、パチンコの直接換金制度を認めるとすれば「交換税
規 制 対 象 か ら 除 外 す る こ と を 検 討 し て き た が、6 月
に上限を付けるなど、大衆娯楽としての健全性を確保
10 日にその風営法改正案の今国会提出を見送ること
するための新たな規制が必要」と言っていたそうだ。先
とした。深夜営業を許可する方針は合意されたが、未成
の議連の警察庁への要望事項の1項とも符合するが、
年の入場は厳しく規制すべきとの意見が相次いだた
「大衆娯楽の健全性」と公営ギャンブルと同じ程度の地
め、修正した改正案を秋の臨時国会に提出する。議員立
方交付特別会計財源として交換税を導入することとは
法だったが、事実は自民党内閣部会で慎重論が出たた
矛盾している。
めに、政府立法(内閣法)での提出に変更させられたか
ら。このダンス議連の法案提出が見送られたことで、風
とまれ、パチンコの換金合法化で公営ギャンブルと
営法議連の動きもトーンダウンしたかのように見える
の整合性がどうなるか、パチンコがそれでも大衆娯楽
が、ダンス議連幹事長の平沢議員が今回の先送り、政府
と言えるのかどうか。いずれにせよ、これが「国策」と
立法になったことで気勢をそがれたと見る関係者もい
はいえ、すんなり合法化されるとは思えない。
る。ダンスの議員立法に併せてパチンコの交換税を議
員立法にくるめこもうとしたのかどうか、風営法議連
で平沢氏に代わって表に出てきたのが野田毅議員だ。
◆ ◆
自民党税制調査会会長、元自治大臣・国家公安委員会
委員長。
先のコラムでも触れたが、風営法議連は2月∼ 4 月
に5回の会合、ヒアリングを行っており、当初の予定で
VOL.251
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は5月中に中間まとめを出すつもりだったが、これを
止めて6月 19 日に第6回目の会合で警察庁の2回目
のヒアリングを行った。事前に(4月)警察庁には議連
の要望事項を出しており、それに対して警察庁の意向
を聞いたようだが、その要望書はペラ1枚に項目だけ
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