環境政策 昼 X36101

授
業
経済学部: 環境政策
Environmental Policy
科
名
昼 A31004,夜 A61004
工学部環境共生学科: 環境政策
Environmental Policy
教育機構: 環境政策
目
昼 T77320
昼 X36101
標準履修年次
単位数
期別
1・2年次
2
前期
3・4年次
4年次
2
前期
担当教員名
外岡
豊
Tonooka Yutaka
外岡
豊
Tonooka Yutaka
【テーマ】
環境政策では従来型の公害と地域環境問題についてローマ時代から現代に至る環境汚染の歴史をた
どりながら、環境問題の進展とそれに対応した対策行政の展開を日本の経験を中心に述べ、日本の環
境政策について大気保全行政を中心に最新の話題を含めて概説する。その目的は、多様な汚染現象の
背景にある起因の共通性、問題構造の類似性を多面的に考察して環境問題の本質を理解するとともに、
汚染の防止と被害者の救済に向けた政策の現状を知り、環境問題の根本的解決へ向けた社会改革の実
践について考察することである。環境問題は生産技術、貨幣経済、生活習慣、社会構造、国家体制、
地方自治、司法制度等々、社会の多様な側面と深くつながっており、その根本解決への考察は社会の
総体をあらためて考え直すことになり、その実践は社会状況と対峙することにならざるを得ない。多
様な汚染問題への多面的な考察は二つの問いに総括される。それは今なお被害者の救済が不十分であ
るという人権の問題が解決されていない社会状況<公害は終わっていない>と、20世紀型工業文
明・産業社会の異常性、その非持続可能性から来る環境とエネルギーと資源の問題をどう解決するの
か<産業社会は地球の限界に達した>である。後者は環境政策特講で地球環境問題として取り上げ、
21世紀と3千年紀の人類社会の方向性を地球環境の視点から展望し、持続可能社会へ向けて現代社
会を再考する基礎とする。
【授業の達成目標】
環境問題と社会、経済の関係を理解し、環境問題報道を正しく理解できる基礎を養い、地球市民と
しての素養を磨く。環境政策特講への基礎としても位置付けられている。環境問題という特殊な側面
から出発して社会全体への問いを受講生各自が持てるようになることが講義の達成目標である。
【授業内容とスケジュール】
11.水俣病特別講演 柳田耕一
1.ガイダンス、総論
12.水俣病2 認定患者問題、公害裁判
2.環境汚染史、4大文明とローマ時代
13.酸性雨と越境大気汚染 国際的取組
3.足尾鉱毒と明治時代の鉱業
中国の大気汚染 PM2.5、
4.イタイイタイ病
14.大気保全行政2
有害物質、PRTR
5.水俣病1 技術的、政治的要因
6. 四日市喘息、ロンドンスモッグと大気汚染史
15.環境政策・総括―被害者救済の視点、
7. 大気汚染基礎
工業文明・貨幣経済社会の問題点
8. 大気保全行政1 大気汚染防止法
→環境政策特講へ
9. 化学物質汚染と POPs、ダイオキシン汚染
(講義日程は変更する場合がある)
10. チェルノブイリ、福島原発事故
【テキスト・参考文献】
講義資料は Web Class 添付
環境省HP:http://www.env.go.jp とくに報道発表資料、参考文献は講義資料中に示す
【関連科目と履修条件】
履修条件特になし。全学部 1~4 年次受講可。引続き後期・環境政策特講(外岡)も受講してほしい。
【成績評価の方法と基準】
原則3分の2以上の出席とレポート提出が単位認定の要件。自主研究レポート提出歓迎(加点)。
.【その他(学生へのメッセージ)
】
本講義が、環境問題をきっかけに21世紀の人類社会と自分自身の生き方について真剣に考える出
発点になればよい。地震・津波に伴う原発事故とこれからの世界経済と日本、およびそのエネルギ
ー需給と環境問題について、常に自分なりに考えてほしい。オフィスアワー 昼)金曜日 12:10〜
13:00(夜)木曜日 18:00〜19:00 随時、電話連絡の上、来てください。研究室 048-858-3336
080-5406-5963 mail: yutaka@eco.saitama-u.ac.jp
授
業
科
目
経済学部: 環境政策特殊講義昼
名
A33022
Special Lecture on Environmental Policy (後期)
単位数
2~4年次
2
2~4年次
2
期別
後期
担当教員名
外岡
豊
Tonooka Yutaka
工学部環境共生学科: 地球環境政策
教育機構: 環境政策特殊講義
昼 T77340
昼 X36102
標準履修年次
後期
外岡
豊
Tonooka Yutaka
【テーマ】
環境政策では公害と地域規模の環境問題について学んだが、本講義では地球規模の環境問題につい
て気候変動問題とオゾン層破壊を中心に扱う。多様な汚染現象の背景にある起因の共通性、問題構造
の類似性を多面的に考察する点は環境政策と共通であるが、本講義では折に触れて20世紀後半の工
業文明社会の根本的な問題点を考察し、環境問題を契機として、21世紀と3千年紀の人類社会が向
かうべき方向性を探る。地球環境問題は現代文明の諸問題と多側面において深くつながった根本的な
問題であり、本講義では地球科学的な現象とその危険性について理解し、根本原因としての貨幣経済
社会システムそのものを問い直すと同時に、対策技術、国内行政、国際条約による国際的取組等、最
新の話題を含めて多側面から概説する。地球環境問題は従来型の環境問題より現象が複雑で問題が見
えにくいが、それだけ影響も地球規模で超長期にわたり、対応策も広範な社会と深くつながっており、
世界的な全人類的対応なしには解決できない未曾有の課題である。気候変動問題については 2005 年
に京都議定書が発効したが、USA や発展途上国の今後の取り組みも大きな課題として注目されてい
る。産業、民生、交通各部門での対策、再生可能エネルギーの導入、資源の使い方を含めたLCA(ラ
イフサイクルアセスメント)等、多様な対策とその推進政策について国内事例を中心に概説する。こ
れら当面の地球環境問題への対応から出発して究極は持続可能社会への道筋を見通す人類史の将来展
望への考察へと発展させ、翻って、3千年紀の自然回復計画、21世紀の社会変革や地域のあり方に
立ち戻って、地球環境的認識に立ってこの時代を我々はどう生きるのかを自らに問いかける。
【授業の達成目標】
環境問題と社会の関係を理解し、環境問題報道を正しく理解できる基礎を養い、地球市民としての
素養をみがく。地球環境問題と人類史展望から自らの人生を問う、自問への出発点に立つことが目標。
【授業内容とスケジュール】
1 地球環境政策ガイダンス
2 地球環境問題概論、気候変動基礎
3 気候変動枠組条約と京都議定書
4 オゾン層破壊1 地球物理化学的現象、
モントリオール議定書
5 オゾン層破壊2
対策技術と行政
6 温室効果ガス対策1 対策の全体位置付、
省エネルギーと燃料転換
7 温室効果ガス対策2(民生部門と LCA)
8
9
10
11
12
13
14
15
エネルギー需給と温室効果ガス排出量
計算演習(永田豊 特別講師)
再生可能エネルギー1(総論、太陽光)
再生可能エネルギー2
(風力発電とバイオマス燃料)
ヒートアイランド問題と気候変動適応策
環境理想都市論
最新の話題1(特別講師予定)
最新の話題2(震災復興とエネルギー計画)
総括:持続可能社会へ
21世紀と3千年紀構想
【テキスト・参考文献】
講義資料は印刷製本 環境政策特講 実費 2000 円配布予定。参考文献は講義時に適宜紹介する。
参考書:IPCC 地球温暖化第 5 次報告(2014.5 英語版公開予定)
環境省HP:http://www.env.go.jp 他 web も活用せよ。
【関連科目と履修条件】
関連科目は環境政策と同じ。できるだけ環境政策を先に受講。1年生も受講可。
【成績評価の方法と基準】
原則3分の2以上の出席とレポート提出が単位認定の要件。自主研究レポート提出歓迎(加点)。
【その他(学生へのメッセージ)】
本講義が、環境問題をきっかけに21世紀の人類社会と自分自身の生き方について真剣に考える出
発点になればよい。 オフィスアワー 昼)金曜日 12:10〜13:00(夜)木曜日 18:00〜19:00
随時、電話連絡の上、来てください。 048-858-3336 080-5406-5963
mail: yutaka@eco.saitama-u.ac.jp
環境政策-1
2014.4.10(木)
夜,4.11(金)昼
Yutaka Tonooka
環境政策 ガイダンス
1 履修について
対象年次の指定はない 1~4年次可
講義名称:環境政策 後期(2単位)経済学部・講義 昼 A31004, 夜 A61004
工学部環境共生学科
昼 T77320
教育機構(全学教育) 昼 X36101 4 年生以上
履修条件 : 特になし 学部を問わず先着順・教室の収容人員を越えたら打ち切ることがある
教科書:Web Class に添付
指定参考書 なし 教科書に参考文献多数あり
環境省ホームページ http://www.env.go.jp/ 他各種 web 等も見よ
成績評価の方法と基準
原則3分の2以上の出席とレポート提出が単位認定の要件 自主研究レポート提出歓迎(加点)
関連講義
経済学部の 1 年生へ:社会環境設計論入門は履修しましたか?(まだの人は次年度履修)
環境法(小島恵・非常勤講師、来年度は夜間主開講なし)経済学部 前期
引続き後期・環境政策特講(講義名、工学部環境共生学科科目は地球環境政策)
(外岡)を必ず受講してほ
しい。
環境政策を先に同・特講を後に両方履修することを勧める。
昼・環境政策演習(ゼミ)を希望する者はこの環境政策を履修すること。演習は他学部、夜間主も履修可能。
環境政策と環境政策特講の関係
環境問題の根底にあるもの=現代社会の矛盾は地域環境問題(公害)も地球環境問題も共通
人間の活動→環境汚染・破壊→人間を含む生態被害、同時に文化も含む社会破壊
環境政策:地域環境問題(公害)、日本の公害経験と環境行政(主として大気保全行政):日本の共通問題
典型公害、構造が単純、短期的課題:見えやすい汚染:理解しやすい
公害:特定発生源・局地(激甚)汚染→特定被汚染者深刻被害→不十分な救済
環境政策特講:地球環境問題、主に気候変動問題とオゾン層破壊、:主に先進国の共通問題
地球システムに関わる全球規模破壊、現象が複雑:地球科学から国際政治まで関係要素が幅広い
超長期的汚染:見えにくい汚染:理解困難
地球環境問題:全球規模・長期影響・地球システム自体の破壊:回復には要超長期
2.環境政策・講義構成
公害問題前史 文明の非持続可能性と世界の環境汚染、自然破壊史
日本の激甚公害史 足尾鉱毒と明治時代の鉱害,イタイイタイ病,水俣病,四日市ぜんそく,4大公害裁判
類する世界の汚染事件史 ロンドンの大気汚染、酸性化、チェルノブイリ原発事故、(福島原発事故)
環境問題の変遷 化学物質リスク、POPs(長期残留性有機化学物質汚染)、ダイオキシン、アスベスト
日本の環境政策 大気保全行政 煤煙公害から有害大気汚染、PRTR へ問題発展と行政対応発展史
水質保全行政(五井邦宏特別講師)
国際的な環境行政 欧州酸性化総合大気保全行政
この講義で扱わない課題:
土壌汚染、騒音振動、自然保護、景観、環境アセスメント(環境影響評価)、
廃棄物と資源循環、企業の環境経営、環境監査、環境会計、環境経済学、環境倫理
視点:汚染の多様性と起因の共通性―多様な汚染事件から根底にあるもの:現代社会の根本矛盾を考察
激甚公害間の共通性から公害、環境問題の一般性を抽出理解
環境政策特講で地球環境問題に見え難く潜在している激甚公害との起因の共通性を理解
日本社会の問題(現前社会の特殊な側面)、先進諸国共通の問題、全世界的な問題(広範な共通の側面)を
重ね合わせて理解、環境問題と他の類似問題を共通の構造として理解する
1 –1
3. 日本の激甚公害史概論 (前半講義の構成と概要)
前史:世界の環境汚染史:明治時代以前の公害史
明治時代から戦前の鉱業汚染 生産量の増大-汚染の激化
(江戸時代にも公害と防止行政存在)
足尾鉱毒事件(水質カドミウム汚染+激甚大気汚染と被害住民弾圧)
別子銅山・新居浜・四阪島精錬所汚染(大気汚染・農業被害、工場移転も効果なし)
日立鉱山(大気汚染・最先端環境対策)
その他の鉱山(小坂・鉱山労働争議)
田中正造:足尾鉱毒被害住民救済運動-民権優先思想 没後 100 周年,12 月 10 日天皇直訴の日を記念日に
イタイイタイ病(足尾に類似のカドミウム汚染)-戦後問題が顕在化したが戦前型の汚染
水俣病
熊本水俣病(チッソ)-戦後型激甚公害の典型
新潟水俣病(昭和電工)-4大公害裁判先導-弁護士・板東克彦
その他の水銀汚染(日本国内・各地)-水銀パニック
海外の水俣病 水銀使用工場下流 紙パ、化学
アマゾン金採掘-汚染進行中
海外の水銀中毒事件 汚染種子誤食事件大量死 アラモゴルド事件(即対応)
激甚大気汚染-局地汚染
四日市ぜんそく
世界の大気汚染史
ロンドンスモッグ事件
その他の大気汚染事件エピソード
危険物放出事故汚染
セベソ 1976 イタリアICMESA 社TCP(2,4,5 トリクロロフェノール)反応炉 TCDD(ダイオキシン)
ボパール 1884 インドユニオンカーバイド社農薬工場 メチルイソシアネート(MIC)
4大公害裁判と日本の戦後環境行政の形成
新潟水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病、
(熊本)水俣病
公害裁判を裏で支えた推進者
板東克彦(元新潟水俣病裁判弁護団長)
、宇井純(元東京大学助手・公害原論主催):
故・宇井純・資料は当大学・共生社会研究センター所蔵であったが立教大学に移管
水俣病は終わっていない 小児・胎児水俣病研究者 原田正純(元熊本大)死去 2012.6.11、77 才
NO2 大気環境基準(1973)の達成困難と基準改訂(1978.7)-環境行政力後退のきっかけ
激甚公害から環境汚染恒久対策へ
有害大気汚染対策行政の開始
特定汚染物質局地汚染から多種源多様質広域汚染への状況変化と環境保全行政重点の変化
規制行政から自主的取り組みへ (特定汚染物質規制から多物質環境リスク総合管理へ)
自主的取組 : 正の効果 企業の積極的な環境対策取組の進展→環境経営の時代へ
: 負の効果 環境省の行政力後退-監視・命令や報告要求の権限弱体化
PRTR の導入:自主管理と市民監視へ 行政・企業・住民・専門家が参加する環境管理(萌芽段階)
VOC 発生源規制の開始 自主的取組時代の規制行政の困難性(20 年前に逸機)拙速行政
POPs 長期残留性有機化学物質汚染 レーチェル・カーソンの警告(沈黙の春)へ遅ればせの対応
20世紀の失敗(特に 1960-70 年代)
:工業技術の急激な発展-大きな環境リスク未認識-の尻ぬぐい
科学研究の蓄積+地球規模環境対応→汚染から約30年後の国際的取組開始
大陸規模広域汚染問題:地球環境問題との境界領域:欧州における国際的環境行政の仕組みと実績
酸性化、長距離輸送大気汚染問題、チェルノブイリ原発事故、POPs を含む化学物質汚染と廃棄物堆積
水俣病は終わっていない → 気候変動問題と福島第一原発事故問題を水俣病との連続性で考える
環境問題への視点(略) 社会環境設計論への招待改訂版(八千代出版)拙著 1章を読んで下さい
時代認識と世界観、21 世紀社会の大きな潮流の中で環境問題、地球環境問題の位置着けを考える
1-2