OUTDATED METHODOLOGY

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Moody’s
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Corporate Finance
2010 ౫ 9 ሰ 30 ᅠ
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概要
1
格付け対象
2
業界の概観
4
本格付け手法について
7
9
格付け要因の検討
26
結論
28
付録
29
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ムーデ ィ ーズは世界のたば こ 会社 10 社に格付け を付与 し てお り 、 格付け
対象の債務お よ び ク レ ジ ッ ト フ ァ シ リ テ ィ ーの総額は約 420 億 ド ルに上
る。 3 ページの表に掲載 し た こ れ ら のたば こ 会社は、 紙巻たば こ の製造か
ら 無煙たば こ や葉巻の製造ま で、多様なサブセグ メ ン ト に ま たが る 事業を
展開 し てい る。 葉たば こ 加工業者については、 ムーデ ィ ーズの 「ナチ ュ ラ
ル ・ プ ロ ダ ク ツ加工業者の格付け手法」 に照 ら し て分析 し た方が適切であ
る ため、 本格付け手法の対象か ら 除外 し た。
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格付けに関するその他の検討項目
Global Tobacco Industry
03.5408.4100
谷本 伸介 03.5408.4027
SVP- チーム リ ーダー
shinsuke.tanimoto@moodys.com
本格付け手法は、 ムーデ ィ ーズがたば こ 業界の発行体の信用 リ ス ク を ど の
よ う に評価す る のか を、 発行体、 投資家、 その他の市場関係者に理解 し て
頂 く 一助 と な る こ と を目的 と し て い る。 ま た、 リ ス ク 要因を ど の よ う に
ウ ェ イ ト 付け し 、 それ ら の要因 と 格付けが ど の よ う に対応 し てい る かを説
明す る も のであ る。 本格付け手法に よ っ て、 たば こ 会社を分析する 上での
主要 な 検討項目 な ら びに財務指標 を ご 理解い た だ け る で あ ろ う 。 ム ー
デ ィ ーズは、本格付け手法に従っ て読者が投資適格等級発行体の無担保長
期債務格付け (ま たは投機的等級発行体の コ ーポ レ ー ト ・ フ ァ ミ リ ー ・
レ ーテ ィ ン グ) を推定 し た場合、 その格付け と 実際の格付け と の差が 2
ノ ッ チ以内 と な る こ と を目指 し てい る。
ムーデ ィ ーズの分析は、世界のたば こ 会社に格付け を付与する 際の中核 と
な る次の基礎的な格付け要因に焦点を絞っ てい る。
„
規模 と 分散性
„
営業基盤 と 成長性
„
収益性
„
財務方針 と 流動性
„
レバレ ッ ジ と イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ
訴訟 リ ス ク の高い市場へのエ ク ス ポージ ャ ーが高いたば こ 会社につい て
は、 上記に加えて次の第 6 の格付け要因を適用す る。
„
訴訟 リ ス ク の付加
こ れ ら の 6 要因は 17 のサブ要因か ら 構成 さ れ る。 本格付け手法では、 こ
れ ら の各要因について詳細な分析を行 う 。
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全ての要因について、総合的な格付け と 要因別の格付けが必ず し も 一致する わけではない こ と を ムー
デ ィ ーズは認識 し てい る 。 そのため、 「ア ウ ト ラ イ ヤー」 (特定の要因におけ る 格付け と 実際の格付け
が大 き く 乖離す る 発行体) について検討する 。 ま た、 本レ ポー ト で特に重要な点は次の通 り であ る 。
„
セ ク タ ーの概観 と 主要な傾向の分析
„
ムーデ ィ ーズの格付け手法の説明お よ びセ ク タ ーの格付け を左右す る要因
„
格付けの枠組みの実際の適用例を示す表
„
格付け手法の適用結果の概要
付録には、 主要格付け要因な ら びにサブ要因に基づ く 格付け対象 10 社の詳細な格付け表な ら びに各
要因に基づ く 格付けの組み合わせか ら 得 ら れ る 数字付加記号付き 文字格付け を示す表を掲載 し た。発
行体の実際の格付けが、本格付け手法に基づ く 格付け と 完全に一致 し ない こ と にムーデ ィ ーズは留意
し てい る 。 格付け手法の趣旨は、 投資家、 発行体、 その他の格付け利用者がたば こ 業界の発行体の信
用プ ロ フ ァ イ ルを評価す る 際に使用で き る ツールを提供する こ と であ る 。 従っ て、 格付け手法はムー
デ ィ ーズが格付け を付与す る 際に考慮する 全ての要因を網羅 し た も のではないが、格付けの決定にお
いて ムーデ ィ ーズが検討す る 主要 リ ス ク 要因を理解する 一助 と な る はずであ る 。
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本レ ポー ト では、 紙巻たば こ 、 葉巻、 無煙たば こ 等の各種たば こ 製品のいずれか を製造 ・ 販売する 格
付け対象会社を扱 う 。 本格付け手法で検討 さ れ る 各付け対象会社 10 社の地域別内訳は、 北米 4 社、
欧州 4 社、 日本 1 社、 イ ン ド ネシア 1 社 と な っ てい る。 こ れ ら のたば こ 会社の格付けは大半が投資適
格等級であ る が、 格付けは広い範囲に分散 し てお り 、 Aa カ テ ゴ リ ーが 1 社、 シ ン グル A カ テ ゴ リ ー
が 2 社、 Baa カ テ ゴ リ ーが 6 社、 Ba カ テ ゴ リ ーが 1 社 と な っ てい る 。
日本たば こ 産業株式会社 (格付け Aa3) は政府系発行体に分類 さ れ る。 従っ て、同社の格付けは、 ベー
ス ラ イ ン信用 リ ス ク 評価 5 (1 か ら 21 ま での数字で評価、 5 の信用 リ ス ク 評価は格付け A1 に相当す
る )、高位のデフ ォ ル ト 相互連関、中位のサポー ト 供与の可能性、お よ び日本の自国通貨建て預金シー
リ ン グ を反映 し てい る 。 本格付け手法はベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評価の決定に使用 さ れ る ため、 こ こ
に掲載 し た格付け表では同社の格付け を A1 と 表示する 。
大手たば こ 会社の Lorillard は Loews Corp. の重要な子会社で、 最 も 多 く のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを親会社
に提供 し てい る 。 Lorillard は Loews の格付けにおけ る重要な要因であ る が、 ムーデ ィ ーズは Loews を
少数の公営 ・ 私営企業の過半数ま たは 100% を保有する 投資持株会社 と みな し てい る。 Loews の信用
プ ロ フ ァ イ ルを評価す る ために、 同社の重要な子会社の単体ベース の信用プ ロ フ ァ イ ルを、 当該業界
の格付け手法に従っ て評価す る 。 ま た、 事業子会社への全ての投資 と 、 それ ら の子会社か ら の配当の
相対的な寄与度を考慮 し なが ら 、 持株会社のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー分析を行 う 。 従っ て、 本格付け手法は
Loews ではな く Lorillard の信用 リ ス ク と 信用プ ロ フ ァ イ ルを評価す る ために用い ら れ る。 ムーデ ィ ー
ズは Lorillard に格付け を付与 し ていない。 説明上、 本レ ポー ト の図表では Loews の格付け を A3 と 表
示す る が、 要因別ス コ アは Lorillard のたば こ 会社 と し ての特性に基づいてい る。
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Stable
Japan
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$7,607
UST Inc.
A3
P-2
Stable
U.S.
$840
Lorillard/Loews***
A3
NR
Stable
U.S.
$900
Altria Group Inc.**
Baa1
P-2
Stable
U.S.
$5,000
British American Tobacco PLC
Baa1
P-2
Stable
U.K.
$11,946
Swedish Match AB
Baa1
P-2
RUR/Down
Sweden
$588
Altadis S.A.
Baa2
P-2
RUR/Down
Spain
$2,219
Sampoerna International Finance
Company B.V.
Baa2
NR
Stable
Indonesia
-
Imperial Tobacco Group PLC
Baa3
NR
RUR/Down
U.K.
$7,812
Reynolds American Inc.**
Ba1
SGL-2
Positive
U.S.
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$5,000
Total
$41,912
* 日本たば こ産業の格付けは Aa3。上記の格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5(1 か ら 21 ま での数値で評価)に基づ く 格付け。
**Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだ結果、 2 ノ ッ チ修正 さ れている。 詳細は訴訟 リ ス クの付加 (23
ページ) を参照。
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***Lorillard は格付け対象 と な る債務を発行 し ていない。上記の格付け A3 は、親会社 Loews Corp. の無担保長期債務格付けであ る。
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本レ ポー ト に掲載 し た公表格付けは、 投資適格等級発行体の場合は無担保長期債務格付け、 投機的等
級発行体の場合は コ ーポ レー ト ・ フ ァ ミ リ ー ・ レーテ ィ ン グであ る。 債務お よ び他の財務情報は、 米
国お よ び他の監督当局に提出 さ れた報告書あ る いは他の財務報告の数値を利用 し た。財務報告の日付
は発行体に よ り 異な る 。
世界のたば こ 業界 ‐ 格付け手法適用対象発行体の格付け
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世界のたば こ 会社 10 社の内、 6 社が見通 し 安定的、 1 社が見通 し ポジテ ィ ブ、 3 社が引き 下げ方向で
見直 し 中 と な っ てい る 。
本格付け手法の利用法を説明する ため、 ムーデ ィ ーズの格付け対象 10 社に対 し 格付け手法を適用す
る 。 会社別に各格付け要因 と サブ要因について検討 し 、 こ れ ら の要因に基づ く 評価が ど の よ う に格付
けに対応す る か を説明 し 、 ア ウ ト ラ イ ヤーについて分析する 。
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本格付け手法で取 り 上げ る たば こ 会社は、 紙巻たば こ 、 手巻たば こ 、 葉巻、 噛みたば こ 、 嗅ぎ たば
こ 、 パ イ プ用たば こ 、 無煙たば こ 製品等を含む多様なたば こ 製品の製造お よ び販売を手掛けてい る 。
次に、 格付けに影響を与え る 同業界の特徴をい く つか挙げ る 。
大半の先進国市場における継続的な販売数量の減少
たば こ セ ク タ ー最大のセグ メ ン ト であ る 紙巻たば こ の販売数量は、大半の先進国市場において年間 23% のペース で継続的に減少 し てい る。 葉巻、 無煙たば こ 等の他のサブセグ メ ン ト の販売数量は 1 桁
台前半のペース で増加 し てい る 。
紙巻たば こ の販売数量減少が加速する 可能性は、 たば こ 会社に と っ て最大の リ ス ク と な っ てい る 。 心
疾患や一部のがん等、 たば こ 製品の吸入に伴 う 健康 リ ス ク への消費者意識が高ま る中、 世界の全市場
で紙巻たば こ の消費は減少 し てい る 。 健康 リ ス ク に対す る意識は米国 ・ 西欧市場に浸透 し てお り 、 他
市場で も 高ま り つつあ る 。
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多 く の発展途上国市場では、 紙巻たば こ 消費の減少が人口増加に よ っ て相殺 さ れ、 全体の出荷量は年
間 1-2% 伸びてい る。 喫煙の規制や消費者意識の高ま り は世界的な広が り をみせてお り 、 新興市場で
も 消費量の減少が加速す る 可能性があ る が、 ア メ リ カ ンブ レ ン ド の紙巻たば こ を好む消費者が増加 し
てい る こ と か ら 、一部のたば こ メ ーカーには新興市場で販売数量を拡大する 機会が残 さ れてい る であ
ろ う 。 一部のケース では、 発展途上国市場で脆弱な地元 メ ーカーのシ ェ ア を奪 う こ と がで き れば、 紙
巻たば こ カ テ ゴ リ ー全体の販売数量の減少傾向を相殺で き る 可能性があ る 。
米国市場全体は縮小傾向にあ る が、 高級品セグ メ ン ト と メ ン ソ ール ・ ブ ラ ン ド 等の一部の製品カ テ ゴ
リ ーは他に比べ好調に推移 し てい る 。 こ れは主に、 高マージ ン製品に的を絞 る 大手 メ ーカーの戦略、
一般的に紙巻たば こ は需要の価格弾力性が低い こ と 、消費者の高級ブ ラ ン ド への こ だわ り が要因であ
る 。 全体的な販売数量は今後 も 引き 続き 減少傾向を示す可能性が高い。 一方、 消費者は相対的な値ご
ろ感 と 販促活動に反応す る ため、 高級品ブ ラ ン ド と 普及ブ ラ ン ド の相対的な販売数量の動向は、 今後
も 引 き 続 き 変動を示すであ ろ う 。 ただ し 、 コ ス ト 上昇 (たば こ 税を含む) を相殺する ための値上げに
伴い、 デ ィ ス カ ウ ン ト 品がシ ェ ア を奪回する 可能性があ る。 デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ブ ラ ン ド の製品 ラ イ ン
ア ッ プ を拡張 し たたば こ 会社は、 販売数量の変動に比較的 う ま く 対処で き る と 見 ら れ る が、 デ ィ ス カ
ウ ン ト 製品の利益率はブ ラ ン ド 品 よ り 大幅に低いため、 収益性は劣る であ ろ う 。
葉巻市場は米国 と 西欧を中心 と し てお り 、 成熟市場ではあ る が、 販売数量の微増が続いてい る。 サブ
セ グ メ ン ト の無煙たば こ は市場規模が小 さ いなが ら も 、 従来のたば こ の喫煙者への浸透度が高 ま る
中、 販売数量は 1 桁台の増加率を示 し てい る 。 無煙たば こ は普及 し つつあ る が、 SNUS 等の一部の無
煙たば こ 製品は、 ス ウ ェ ーデン を除 く EU 諸国で販売が禁止 さ れてい る 。 EU での販売禁止に も かか
わ ら ず、 無煙たば こ 製品の成長余地は依然大 き い。 実際、 大手紙巻たば こ メ ーカーは、 こ の事業分野
の事業機会を見込んで大規模な投資を し た り 、 無煙たば こ 製品の成長戦略を打ち出 し た り し てい る 。
紙巻たば こ 市場 (たば こ 製品総販売数量の 85% 以上を占め る) は継続的に縮小 し てお り 、 地域、 製
品、 サブセグ メ ン ト に よ っ てその傾向にはば ら つ き があ る ため、 分散性、 市場地位、 ブ ラ ン ド 力に対
す る 分析を重視す る 必要性が高ま っ てい る 。多様なたば こ 製品のサブセグ メ ン ト におけ る 製品 と 地理
面の分散性は、 販売数量の減少を最小限に と ど め る こ と に寄与す る可能性があ る。 高格付けの企業は
概 し て、 分散 し た収益源 と 高い消費者のブ ラ ン ド 認知度、 あ る いはキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの安定性の向上
に寄与す る 市場シ ェ ア を有 し てい る 。
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低い需要の価格弾力性
紙巻たば こ が他の加工消費財 と 大き く 異な る 点は、小売価格の変動に対する 販売数量の弾力性が低い
こ と であ る 。 あ る 市場で紙巻たば こ の小売価格が 1% 値上げ さ れて も 、 販売数量は 0.3-0.4% し か減少
し ない。 販売数量の減少幅が小 さ いのは、 ニ コ チンの習慣性 と 、 喫煙者の満足度に照 ら し た場合、 た
ば こ 1 箱の価格が ま だ安い こ と に起因する と 見 ら れ る 。 価格弾力性が低いため、 こ れま で業界は販売
数量にマ イ ナ ス の影響が及んで も 値上げに踏み切っ て き た。 段階的な値上げは コ ス ト 上昇 (たば こ 税
の引 き 上げな ど) を相殺す る ために必要であ り 、 製品の習慣性 と それに代わ る 適当な代替品がない こ
と を考慮す る と 、 値上げは受け入れ ら れ る と 見 ら れ る。 し か し 、 価格の上昇が続けば、 消費者は価格
に よ り 敏感にな る ため、 あ る 時点で価格弾力性が上昇 し 始め る であ ろ う 。
競争
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激 し い競争がたば こ 業界の特徴の一つで あ り 、 通常、 競争は価格 と ブ ラ ン ド 認知度を巡っ て行われ
る 。 こ の業界は幾つかの世界的な大手たば こ 会社に よ っ て特徴づけ ら れ る が、 たば こ 事業は一般的
に、 あ る地域内におけ る熾烈な競争に晒 さ れ る地域ベース の事業であ る。 グ ロ ーバルブ ラ ン ド も 存在
し 、 それぞれの市場シ ェ アは世界各地で異な る が、 市場シ ェ ア を争 う 高級ブ ラ ン ド と デ ィ ス カ ウ ン
ト ・ ブ ラ ン ド の中に も 多数の小規模ブ ラ ン ド が林立 し てい る。 大手 メ ーカーは多数のブ ラ ン ド を擁す
る 大規模な製品ポー ト フ ォ リ オ を維持 し 、 味、 価格、 品質、 ブ ラ ン ド の魅力 と いっ た分野で競争 し て
いる。
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競争が熾烈なため、 各社は継続的に新製品への投資を行 う か、 新たな地域に事業を拡張する 必要があ
る 。 し か し 、 新製品投入の余地は限 ら れてい る ため、 既存製品を拡張 (新 し い風味を加え る な ど) す
る 方が一般的であ る 。 ま た、 大半のたば こ 会社は、 健康に対す る 高い リ ス ク を低減 し 、 喫煙に関連づ
け ら れ る ネガテ ィ ブな社会的 イ メ ージ を和 ら げ る ために、低 リ ス ク 製品 と よ ばれ る 新 し い タ イ プの紙
巻たば こ を開発中であ る 。 従っ て、 財務基盤が強固なたば こ 会社は新製品に投資す る こ と がで き 、 セ
ク タ ーの競争的需要に対応す る 上で優位に立ち、業界が変化す る中で市場シ ェ ア を維持あ る いは拡大
す る こ と がで き る であ ろ う 。
たばこ 税 と 規制が販売数量を さ ら に圧迫
紙巻たば こ と たば こ の主要市場の大半で、 メ ーカーは高率かつ継続的に引き 上げ ら れ る たば こ 税か ら
の圧力を受けてい る 。 こ れ ら のたば こ 税は高額に上 る こ と があ る。 たば こ 税引 き 上げの影響を相殺す
る ために、 大半の地域で小売価格が引き 上げ ら れたため、 販売数量の伸び (い く ら かで も 伸びてい る
と し て) は打撃を受けてい る。 ほ と ん ど全ての主要たば こ 市場には、 たば こ 税、 規制、 喫煙禁止の制
度があ る が、 ど の地域で も 一部の市場環境は異な る。 従っ て、 高格付けのたば こ 会社は、 あ る 地域の
規制環境か ら 受け る マ イ ナ ス の影響を緩和する ために、 地理上の分散性が高 く な る傾向があ る。 た と
えば、 米国では食品医薬品局に よ る監督を含む規制の厳格化が予想 さ れ る ため、 同国市場へのエ ク ス
ポージ ャ ーが高 く 、 地理的分散性が限定的なたば こ 会社の方が、 こ れに よ っ て深刻な打撃を受け る 可
能性が高い。
小規模店舗での販売能力が競争力を左右する要因
たば こ セ ク タ ーの も う 一つの特徴は、 特に他の加工消費財 メ ーカー と 比べ、 一般に小売業者に対 し 強
い価格交渉力を有す る こ と であ る 。 紙巻たば こ の小売業者が価格圧力をかけ る こ と は稀であ る。 紙巻
たば こ メ ーカーが集約 さ れてい る のに対 し 、 小売業者は通常、 小規模で分散 し てい る ためであ る 。 他
の加工消費財 と は対照的に、 大半の市場では、 スーパーマーケ ッ ト ではな く コ ン ビ ニ ま たは個人商店
に よ る 売上が、 紙巻たば こ と 無煙たば こ 製品の売上の大部分を占め る。 紙巻たば こ と たば こ の消費を
減少 さ せ る ために、 たば こ 広告に対す る規制が世界的に厳格化 さ れてい る こ と を考慮す る と 、 こ れ ら
の小規模店舗で製品を販売す る 能力が競争力を左右する 不可欠かつ重要な要因であ る 。
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安定性 と 高い収益性を示すキ ャ ッ シ ュ フ ロー
たば こ 業界の特徴の一つ と し て、 極めて高い収益性があげ ら れ る 。 EBITDA マージ ンは伝統的な消費
財 メ ーカーを大幅に上回 る。 紙巻たば こ の製造 コ ス ト は基本的に ど の メ ーカー も 同 じ であ る 。 一方、
高級たば こ の製造 コ ス ト は若干高いが、 利益率 も 極めて高い。 加え て、 非常に高い市場シ ェ ア を有す
る メ ーカーは、 高めの価格設定がで き る 。 製品ポー ト フ ォ リ オのブ ラ ン ド 力が比較的弱 く 、 デ ィ ス カ
ウ ン ト 製品が高い比率を占め る よ う な メ ーカーであ っ て も 、 収益性は高い。 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの安定
性 と 限定的な季節要因に よ る 変動は、 消費量が多 く 、 比較的低価格で習慣性があ る と い う たば こ 製品
の一般的な特性を反映 し てい る 。
米国での訴訟問題よ り も販売数量への圧力が重要
米国におけ る 訴訟 リ ス ク は高 く 、 米国ほ ど ではないが カナダ、 オー ス ト ラ リ ア で も 訴訟 リ ス ク が あ
る 。 こ れ ら の国では原告側に有利な判決が出 る訴訟環境があ り 、 原告が集団訴訟を起 こ す機会があ る
ためであ る 。 こ れ ら の市場以外 (欧州、 ア ジ ア、 ア フ リ カ) では、 審理に至る 前に裁判官が原告側の
訴え を棄却す る のが一般的であ る ため、 訴訟 リ ス ク は大幅に低い。 さ ら に、 原告が敗訴 し た場合、 被
告の訴訟費用を支払 う よ う 求め ら れ る こ と が多い。 ま た、 原告は少額の損害賠償 し か得 ら れず、 個人
訴訟 し か起 こ せないため、 集団訴訟に伴 う 巨額の損害賠償の リ ス ク が低減 さ れてい る 。
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米国では、 対処不可能なほ ど巨額の損害賠償を負 う リ ス ク を低減す る い く つかの進展が見 ら れた。 集
団訴訟 と し て認め ら れた多数の大規模な訴訟が、 現在様々な段階で係争中であ る が、 ムーデ ィ ーズは
控訴手続 き におけ る 予測不可能性や、最高裁判所への上告を含む最終的な解決に至る ま でに長い時間
を要す る こ と を考慮 し てい る 。
訴訟環境は全体的に改善 し た と ムーデ ィ ーズは見てい る が、 米国のたば こ 会社は、 たば こ 訴訟が今後
も 続 く 可能性に直面 し てお り 、 将来新たな訴訟を起 こ さ れ る リ ス ク も 残っ てい る。 控訴に必要な担保
金の上限を定め る 法案が多数の州で可決 さ れた こ と や、 連邦法お よ び一部の判決に よ っ て、 潜在的 リ
ス ク は低減 し た。 と はいえ、 裁判所は判決を下すにあ た っ て幅広い権限を有 し てお り 、 陪審員の評決
は予測で き ない こ と が多い。可能性は低いがマ イ ナ ス の影響は大 き い と い う 訴訟 リ ス ク の性質を鑑み
る と 、 実際の格付けは、 極めて不利な判決が出た場合の影響に比 し て高すぎ る可能性があ る。 格付け
手法では訴訟 リ ス ク の調整幅を 3 ノ ッ チ ま で と し てい る が、 訴訟 リ ス ク が例外的に高い場合、 格付け
委員会は 3 ノ ッ チ以上の調整を行 う こ と があ る 。 その場合は、 本格付け手法が定め る 標準的アプ ロ ー
チを逸脱 し てい る 旨を明記す る 。
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本レ ポー ト は、 世界のたば こ 会社に対する 格付け手法を幾つかの段階に分けて説明する も のであ る 。
1. 主要格付け要因の特定
ムーデ ィ ーズが世界のたば こ 業界の格付け を決定する 際に重視する 要因は次の通 り であ る 。各要因に
は相対的な重要性に基づ き ウ ェ イ ト を付加する 。
„
規模 と 分散性
総合的な格付けの 24%
„
営業基盤 と 成長性
総合的な格付けの 21%
„
収益性
総合的な格付けの 10%
„
財務方針 と 流動性
総合的な格付けの 10%
„
レ バレ ッ ジ と イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ
総体的な格付けの 35%
上記の 5 つの格付け要因別にサブ要因を列挙 し 、 各要因の評価方法を説明す る。 本格付け手法では合
計 13 のサブ要因 (訴訟 リ ス ク の付加のサブ要因 4 つを除 く 。 こ れ ら については次に説明する) が格
付けに織 り 込まれ る 。
Y
訴訟 リ ス クの付加
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
訴訟 リ ス ク の付加は、 独立 し た分析項目 と し て扱い、 高いたば こ 訴訟 リ ス ク に晒 さ れてい る と 認め ら
れ る たば こ 会社のみに適用す る (詳細は 23 ページ参照)。 現在、 こ の要因が適用 さ れ る たば こ 会社は
Altria、 Reynolds、 Loews Corp. の Lorillard 部門、 British American Tobacco であ る。
2. 主要格付け要因の評価方法
こ こ では、 各要因のサブ要因の算出方法を説明す る。 ま た、 格付け要因の評価に用い る サブ要因、 こ
れ ら のサブ要因を用い る 理由、 お よ び格付けの決定にあ た っ てそれ ら を適用す る方法 (ウ ェ イ ト を含
む) を説明す る 。 サブ要因の評価に用い ら れ る数値の多 く は各社の財務諸表に記載 さ れてい る か、 そ
れ ら を基に算出 さ れ る が、 一部はムーデ ィ ーズのアナ リ ス ト の見解に基づ く 。 13 のサブ要因の内、 10
のサブ要因が財務諸表に、 3 つのサブ要因がアナ リ ス ト の分析に基づいてい る。
ムーデ ィ ーズの格付けは将来の見通 し に基づ く も のであ り 、将来の業績に対する ムーデ ィ ーズの予想
が織 り 込まれ る が、 格付けの過程において ムーデ ィ ーズは過去の財務デー タ を幅広 く 分析す る。 過去
の実績は企業の業績のパ タ ーン と 傾向を理解す る 一助 と な り 、 他社 と の比較を行 う ために用い ら れ
る 。 格付けの過程では過去の業績 と 見通 し の両方を用い る が、 本格付け手法では過去デー タ のみを説
明目的のために用いてい る 。 本格付け手法で扱 う 格付け要因お よ びサブ要因の評価には、 各社が公表
し た直近 12 ヵ 月の財務諸表を用い る。 定量的な指標の大半は、 ムーデ ィ ーズの標準的調整を織 り 込
んだ も の と な っ てい る 。 こ の標準的調整 と は、 オ フバ ラ ン ス化 さ れた債権証券化プ ロ グ ラ ム、 年金基
金の積立不足、 経常的なオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース な ど について、 損益計算書、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計
算書、 お よ び賃借対照表を世界的に標準化 さ れた方法で調整する も のであ る 1。
3. 格付け カ テ ゴ リ ーへのマ ッ ピ ング
各要因の評価方法を特定 し た後、 13 のサブ要因ご と の評価結果を ムーデ ィ ーズの格付け カ テ ゴ リ ー
(Aaa、 Aa、 A、 Baa、 Ba、 B、 Caa のいずれか) にマ ッ ピ ン グす る。
1. 2005 年 7 月発行の "Moody's Approach to Global Standard Adjustments in the Analysis of Financial Statements for Non-Financial
Corporations" (米国お よ びカナダの GAAP に基づいて財務報告を行 う 発行体向けの も の。 日本語版 「事業会社の財務諸表分析
におけ る ムーデ ィ ーズの標準的調整アプ ロ ーチ第一部」 2006 年 7 月発行)、 2005 年 9 月発行の同 Part II (国際財務報告基準に
基づいて財務報告を行 う 発行体向けの も の。 日本語版 「事業会社の財務諸表分析におけ る ムーデ ィ ーズの標準的アプ ロ ーチ第
二部」 2006 年 5 月発行)、 2006 年 10 月発行の同 Part III (日本の GAAP に基づいて財務報告を行 う 発行体向けの も の。 日本語
版 「事業会社の財務諸表分析におけ る ムーデ ィ ーズの標準的アプ ロ ーチ第三部」 2006 年 10 月発行) を参照 さ れたい。 ま た、
2006 年 2 月発行の スペシ ャ ル ・ コ メ ン ト "Guideline Rent Expense Multiples for Use with Moody's Global Standard Adjustment to
Capitalize Operating Leases" (日本語版 「オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース の資産化のための標準的調整で用い る ムーデ ィ ーズの リ ー
ス倍率のガ イ ド ラ イ ン」 2006 年 5 月発行) を参照 さ れたい。
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4. 格付け手法の適用/アウ ト ラ イヤーについての議論
格付け要因お よ びサブ要因それぞれについて、 企業を格付け レ ン ジにマ ッ ピ ン グす る。 特定の要因お
よ びサブ要因において、 あ る企業に対す る評価が実際の格付け水準を上回 る、 ま たは下回 る 場合があ
る 。 その よ う な企業は、 その要因ま たはサブ要因におけ る ア ウ ト ラ イ ヤー と 認識 さ れ る。 特定のサブ
要因におけ る 評価が実際の格付け カ テ ゴ リ ー (文字格付け) を 2 カ テ ゴ リ ー以上上回 る企業は、 その
サブ要因に関す る ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と さ れ る 。 同様に、 2 カ テ ゴ リ ー以上下回る 企業はネガ
テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と さ れ る 。 ア ウ ト ラ イ ヤーを検討す る際、 訴訟 リ ス ク を付加 し たために格付け
が 2 ノ ッ チ修正 さ れた企業 (Altria、 Loews、 Reynolds) については、 他社 と の比較のために訴訟 リ ス ク
を考慮 し ない格付け を用い る (訴訟 リ ス ク を考慮 し た場合、 実際の格付は 1 ノ ッ チ以上引き 下げ ら れ
る ) 。 ま た、 こ のセ ク シ ョ ンでは、 格付け要因お よ びサブ要因ご と にア ウ ト ラ イ ヤーについての一般
的な議論を提示す る 。
5. 最終格付けの決定
ムーデ ィ ーズは総合的な格付け を決定す る ために、 13 のサブ要因に基づ く 格付け を下の ス ケールに
従っ て数値に変換す る 。
Aa
A
Baa
Ba
B
Caa
1
3
6
9
12
15
18
Y
Aaa
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
各サブ要因の数値に ウ ェ イ ト を付加 し て加重平均を算出 し 、 それを当該格付け要因の ス コ ア と す る 。
次に、 各要因の ス コ ア を格付け表にマ ッ ピ ン グ し 、 ス コ アが ど の範囲に収ま る かに よ っ て要因格付け
を決定す る 。 格付け要因 と サブ要因を次の表に示す。
጗͛Ǡ┶ࡍ
╄ᑡǷոᄃම
ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම
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21%
Ƚɞ┶ࡍ
ἕॹˀⶲ
Ƚɞ┶ࡍǽȮȯȬɐ
8%
ࢄᥴ᫢ոᄃම
8%
⓯‫ݨ‬ǽոᄃම
8%
లईȿȯȪ
8%
ɞɱɻɑ‫מ‬
5%
ॹˀⶲǽԑ⤴༔⫧
8%
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10%
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10%
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10%
⛥‫ؘ‬ᅀ⦠
5%
ɴɘɴɋɀǷȬɻɇɴɁɐȳɘɴɋɀ
35%
ᘓؔම
5%
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10%
ɝɲʀȵɫɋȿɭɝɵʀ /
ሱ֐੿⛤҆
5%
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10%
ሱ֐੿⛤҆ /EBITDA
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100%
10%
100%
合計ス コ アは次の表に従っ て格付けにマ ッ ピ ン グ さ れ る 。 格付け手法に基づ く 格付けは、 こ の対応表
に よ っ て確定 さ れ る 。
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世界のたば こ 会社 10 社のマ ッ ピ ン グの結果 と ス コ ア を付録に掲載 し た。
጗͛Ǡ┶ࡍǽᎰ╿
要因 1 : 規模 と 分散性 (ウ ェ イ ト 24%)
こ の要因を重視する根拠
事業の規模 と 分散性は、 格付け ス ケール上に企業を位置付け る際の重要な検討項目であ る。 大規模な
企業は よ り 多 く の経営資源を有 し 、 小規模な企業 と 比べ事業の分散性 も 高い場合が多 く 、 こ れが収益
の変動性 と 信用 リ ス ク を低減 し てい る 。 ま た、 事業の規模は供給業者、 販売業者、 小売業者 と の価格
交渉力の強化につなが る 。 地理的分散性ま たは製品の分散性は リ ス ク を緩和す る。 こ の要因を評価す
る ためのサブ要因は、 総売上高、 地理的分散性お よ び製品の分散性であ る 。
総売上高 (8%)
本格付け手法では、 総売上高か ら たば こ 税を差 し 引いた金額を規模の主要な測定基準 と す る。 たば こ
税はたば こ 会社の事業に大 き な影響を与え る 。 特に、 価格交渉力 と 売上数量の推移に与え る 影響は大
き い。 と はいえ、 たば こ 税は地域に よ っ て大 き く 異な る ため、 分析上は売上高か ら 控除する 必要があ
る 。 ま た、 米国では州のたば こ 税は連邦たば こ 税 と 同様、 たば こ メ ーカーの損益計算書上の売上高に
は反映 さ れず、 たば こ 販売業者か ら 直接納税 さ れ る。 Altadis と 日本たば こ 産業では、 こ こ での総売上
高に、 物流事業の売上高は含まれていない。
大規模企業は供給業者 と 消費者に対 し て大 き な影響力 を 持つ上、 効率性の高い技術、 製造、 調達、
マーケ テ ィ ン グ、 販売のための投資を行 う こ と がで き る。 こ れ ら は全てサービ ス の質 と 顧客サービ ス
の向上につなが る 。 特に紙巻たば こ メ ーカーの場合、 投資を行 う こ と に よ っ て、 喫煙者が晒 さ れ る 健
康 リ ス ク の低い新世代製品を開発する 機会が増え る 。
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地理的分散性 (8%)
たば こ は市場に よ っ て販売数量や規制環境が大 き く 異な る こ と が多いため、 市場間の キ ャ ッ シ ュ フ
ロ ーのバ ラ ン ス を と っ て収益を安定 さ せる 地理的分散性は、 たば こ 会社に と っ て重要であ る。 たば こ
事業の地域性を考慮す る と 、 地理的分散性が限 ら れてい る か ら と いっ て、 必ず し も 収益性が制約 さ れ
る わけではない。 し か し 、 地理的分散性が高ければ、 成長機会 も 多 く な り 、 消費者行動や地域の規制
環境お よ び経済へのエ ク ス ポージ ャ ーか ら 受け る 影響を減殺する こ と がで き る 。
それぞれ異な る 地域市場を評価する ために、 米国を一つの国ま たは地域 と 見なす。 あ る たば こ 会社が
米国内の 5 地域 (北東部、 南東部、 中央部、 北西部、 南西部) の内のいずれか一地域で事業を展開 し
てい る 場合、 全国で販売を行っ てい る と は見な さ れない。 米国以外の地域では通常、 各国をひ と つの
市場 と 考え る 。欧州市場は Marlboro 等のグ ロ ーバルブ ラ ン ド と 、地域の消費者に好まれ る 強力な ロ ー
カルブ ラ ン ド の混在が特徴であ る。 ま た、 市場が地理的境界を ま たが り 、 2 ヶ 国以上を包含す る 場合
も あ る。
製品の分散性 (8%)
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
大半のたば こ 会社は、 製品の分散性が限定的であ る が、 こ の指標の重要性は高ま っ てい る。 たば こ 会
社は成長性の高い無煙たば こ 分野の製品を拡充 し つつあ り 、 こ れに よ っ て異な る 地域市場の景気動向
か ら 発生す る サ イ ク ル性の影響を相殺で き る 可能性があ る 。 ま た、 地域の消費者性向の変化、 小売業
者 と の関係 (通常はあ る地域内に限 ら れ る) の変化、 地域の規制、 製造物責任ま たは安全性の問題か
ら 受け る 影響を減殺す る こ と がで き る 。
一般的にムーデ ィ ーズは、 総売上高の 10% 超を占め る製品を格付け上、 重要な製品 と 考え てい る 。 紙
巻たば こ の カ テ ゴ リ ーでは、 ラ イ ト たば こ 、 メ ン ソ ールたば こ 、 お よ びデ ィ ス カ ウ ン ト 品について
は、 総売上高の 10% 以上 と い う 重要性の基準を満たす場合、 独立 し た カ テ ゴ リ ー と し て扱 う 。
製品ポー ト フ ォ リ オが高級ブ ラ ン ド と デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ブ ラ ン ド に分散 さ れていれば、 格付けにプ ラ
ス の要因 と な る 。 ま た、 消費者の嗜好の変化に製品ポー ト フ ォ リ オを適合 さ せ る能力は、 特に世界市
場でオ リ エン タ ルブ レ ン ド か ら ア メ リ カ ンブ レ ン ド へ と 嗜好が変化 し 、中国市場が外国のたば こ メ ー
カーに開放 さ れ る 可能性があ る 状況では、 重要な要因 と 見な さ れ る 。
製品の分散性ま たは地理的分散性に関する 情報が開示 さ れていない、 あ る いはム―デ ィ ーズがそれを
入手で き ない場合、 業界デー タ ま たは他の公的な情報源に基づいて製品別の売上高を推定する 。
評価方法
規模 (8%)
„
年間総売上高 (たば こ 税控除後)
地理的分散性 (8%)
„
1 主要国ま たは 1 主要地域におけ る売上高が総売上高に占め る比率、お よ び製品を販売する 主要国
ま たは主要地域の数
製品の分散性 (8%)
„
10
総売上高の 10% 以上を構成する 製品セグ メ ン ト の数
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A
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8%
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8%
20% 40%
40% 60%
60% 75%
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ǙȗȂ
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ǙȗȂ
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˩┶࡛ /
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4 ͨˀǽ
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2 ͨˀǽ
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˩┶ࢄࣕ
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┶ࢄࣕǶ ǽȎ⛩ॹ
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8 ❞ǽ⓯ 7-8 ǽ⓯ 5-6 ǽ⓯ 3-4 ǽ⓯ 2 ⓯‫ݨ‬Ƀ 2 ⓯‫ݨ‬Ƀ 1 ⓯‫ݨ‬Ƀ
‫ݨ‬Ƀȸɩ ‫ݨ‬Ƀȸɩ ‫ݨ‬Ƀȸɩ ‫ݨ‬Ƀȸɩ ȸɩɻɐ ȸɩɻ
ȸɩɻɐ
ɻɐ
ɻɐ
ɻɐ
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75% 90%
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ɨʀɏȫʀɂǽ጗͛Ǡ ┶ࡍǺ࣠ǴǞ጗͛Ǡ
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8%
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8%
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8%
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Baa
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Baa
UST Inc.
A3
Ba
Ba
B
Ba
Altria Group Inc.**
Baa1
Baa
Aa
A
B
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Baa1
Baa
A
Aa
Ba
Swedish Match
Baa1
Baa
Ba
Baa
Baa
A3
Ba
Ba
B
B
Altadis
Baa2
Baa
Baa
Baa
Baa
Sampoerna
Baa2
Baa
Ba
B
Ba
Imperial Tobacco
Baa3
Ba
Baa
Baa
Ba
Reynolds American**
Ba1
Ba
Baa
B
Baa
Lorillard/Loews***
* 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け
**Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ られている。 訴訟 リ ス ク の付加につい
ては 23 ページ参照
***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け
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評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
規模では 2 社がネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー、 地理的分散性では 5 社がネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー、 製
品の分散性では 3 社がネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。地理的分散性では 1 社のみがポジテ ィ ブ
ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。
総売上高
„
UST
が売上高でネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 米国の無煙たば こ 市場のみで事業を
行っ てお り 、 市場シ ェ アが高いに も かかわ ら ず、 格付けが UST よ り 高いたば こ 会社に比べ売上高
が小 さ い こ と が要因であ る。 ワ イ ン事業を拡大す る な ど多角化に向けた取 り 組みが総体的な規模
の拡大に寄与 し 、 事業の 1 セグ メ ン ト への集中に よ る 収益の変動性を減殺 し てい る。
„
Lorillard が規模でネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、幅広い紙巻たば こ 市場におけ る ニ ッ チ
カ テ ゴ リ ー、 特に高級 メ ン ソ ールたば こ で強固な市場地位にあ る こ と を反映 し てい る。
地理的分散性
„
日本たば こ 産業の販売地域は従来は日本に集中 し てお り 、 ア ジ ア と 欧州での販売は限定的であ っ
た。 最近の Gallaher の買収に よ っ て、 今後同社の地理的集中は緩和 さ れ る であ ろ う 。
UST の販売地域は米国に限定 さ れてい る。 し か し 、同社の高級ブ ラ ン ド たば こ は利益率が高 く 、中
O
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G
核事業であ る 無煙たば こ 市場で極めて強い地位にあ る。
Y
„
„
Lorillard の事業は米国市場に限定 さ れてお り 、メ ン ソ ールたば こ セグ メ ン ト で限 ら れた製品ポー ト
フ ォ リ オ を有す る。 と はいえ、 メ ン ソ ールたば こ は最近成長 し てい る 分野であ り 、 同社の高級ブ
ラ ン ド 品を重視す る 方針は高い収益性に寄与 し てい る。
„
Sampoerna の事業は イ ン ド ネシ アに集中 し てい る。
„
BAT の事業は世界的に広 く 分散 し てい る。 中核市場であ る 欧州への集中度は 36% 未満であ り 、 格
付け対象たば こ 会社の中で最 も 地理的分散性が高い。
製品の分散性
一般に、 米国のたば こ 会社は製品の分散性が低い傾向にあ る。 し か し 、 極めて高い市場シ ェ ア と 財務
力が こ の弱点を補っ てい る 。
„
UST は ワ イ ン事業に参入 し たが、 たば こ 事業は無煙たば こ に限定 さ れてい る。
„
グ ロ ーバルな規模の大き さ に も かかわ ら ず、 Altria は限定的な製品ポー ト フ ォ リ オ し か持たない。
同社は Marlboro ブ ラ ン ド に重点を置 き、 売上高の大半を高級たば こ カ テ ゴ リ ーが占め る 。 メ ン
ソ ールたば こ が売上高の 13% と 高い比率を占め る。
„
Lorillard は無煙たば こ 市場に参入 し ていない米国のたば こ 会社であ る。 こ れが、 同社の格付け を
制約す る 要因 と な っ てい る 。
要因 2 : 営業基盤 と 成長性 (21%)
こ の要因を重視する根拠
規模 と 分散性が売上高 と 収益の安定性を左右する のに対 し て、2 つ目の要因であ る 営業基盤の強 さ は、
主に成長性に関係 し てい る 。
売れ筋ブ ラ ン ド の数か ら みた営業基盤の強固 さ は、収益の持続可能な成長を示唆する プ ラ ス要因であ
る 。 ま た、 強固な営業基盤は価格交渉力につなが る ため、 コ ス ト の上昇、 お よ び紙巻たば こ メ ーカー
の場合は継続的な販売数量の伸びの鈍化への対応力を高め る こ と がで き る 。
ブ ラ ン ド イ メ ージは売上高 と 利益率を左右する ため、 たば こ 会社に と っ て特に重要であ る。 さ ら に重
要な点は、 たば こ 会社が消費者に情報を伝達す る方法に対す る規制が厳格化 さ れてい る ため、 ブ ラ ン
ド の確立が ますます難 し く な っ てい る こ と であ る 。 複数ブ ラ ン ド で高い市場シ ェ ア を有 し ていれば、
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価格交渉力 と 有利な コ ス ト ・ 利益率か ら の恩恵を受け る こ と がで き る。 ムーデ ィ ーズは各ブ ラ ン ド の
市場地位お よ び売上高を評価 し てい る ため、 こ の要因はブ ラ ン ド 力の評価に織 り 込まれてい る。 ムー
デ ィ ーズは、 消費者が主に価格に よ っ て購買を決定 し 、 基本的にブ ラ ン ド には関心を払わない場合、
その よ う な製品は汎用品 と し ての性格を持つ と 考え る 。
主要市場における シ ェ ア (8%)
たば こ 市場は競争が激 し く 、 特に地域市場での熾烈な競争を考慮す る と 、 特定の地域市場におけ る
シ ェ アは重要な指標であ る 。 高い価格を設定 し 、 競合ブ ラ ン ド の宣伝攻勢を し のぎ、 新製品の投入ま
たは既存製品 ラ イ ンの拡充に成功する 能力は、 主に市場シ ェ アに左右 さ れ る。 多 く のたば こ 会社の事
業が地理的に一部の地域に集中 し てお り 、 グ ロ ーバルなブ ラ ン ド 展開を行っ ていない こ と を考慮する
と 、主要市場におけ る シ ェ アは上述 し た よ う な能力を評価す る明確な基準にな る と ム―デ ィ ーズは考
え てい る 。
ブ ラ ン ド 力 (5%)
O
M UT
ET DA
H T
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DO
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G
Y
ブ ラ ン ド 力は内部成長の重要な牽引役であ る 。 たば こ 分野のブ ラ ン ド 力は主に イ メ ージ と 味の 2 要因
に よ っ て左右 さ れ る 。 従っ て、 たば こ のブ ラ ン ド イ メ ージ を利用 し て個人的な レベルで消費者 と 製品
を関連付け る 能力は、 重要な格付け要因であ る。 こ れは、 世界的なたば こ 広告規制の厳格化に も かか
わ ら ず、 消費者の大部分が依然 と し て自 ら の イ メ ージに通 じ る と 思え る ブ ラ ン ド を選択 し 、 そのため
にプ レ ミ ア ム を支払 う 意思 さ え あ る こ と が大き な要因であ る 。 ま た、 消費者は競合他社に よ る 値引き
や価格プ ロ モーシ ョ ン を提供 さ れて も 、 他のブ ラ ン ド にはなかなか乗 り 換え ない と い う 傾向があ る。
製造コ ス ト がほぼ等 し い高級ブ ラ ン ド 品 と デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ブ ラ ン ド 品の間には 40% に も 上る 価格
差が生 じ る こ と も あ る 。 強力なブ ラ ン ド 力に よ っ て、 たば こ 会社は消費者の嗜好の変化や耐久消費財
業界で よ く 見 ら れ る サ イ ク ル性や季節性か ら の影響を受けに く く な る 。 こ の意味で、 複数ブ ラ ン ド か
ら 成 る 製品ポー ト フ ォ リ オ を有する たば こ 会社は、 個々のブ ラ ン ド の売上減少に対する 耐性が高い。
たば こ 分野の全体的な特性 と し て、 売上高の伸び率が比較的低い こ と があげ ら れ る。 こ れは、 成熟市
場で販売数量が継続的に減少 し 、 価格の柔軟性が制約 さ れてい る ためであ る。 国際市場では成長率が
比較的高い も のの、 こ れは人口増加率の高 さ と ア メ リ カ ンブ レ ン ド の紙巻たば こ への嗜好のシ フ ト が
要因であ る 。 成熟市場では一般的に価格の柔軟性が制約 さ れてい る に も かかわ ら ず、 製品に習慣性が
あ る ため、 紙巻たば こ の需要の価格弾力性は比較的低 く 、 一般的にたば こ 会社は こ の点か ら 恩恵を受
けてい る 。 こ の要因が、 価格設定の柔軟性が小 さ い と い う 弱点を一部減殺 し てい る 。
最 も 高いブ ラ ン ド 力を持つブ ラ ン ド を特定する ために、ポー ト フ ォ リ オに含まれ る ブ ラ ン ド の数 と 各
ブ ラ ン ド が総売上高に占め る 比率に着目する 。 し か し 、 多数のブ ラ ン ド を有 し 、 一部のブ ラ ン ド が全
ブ ラ ン ド ポー ト フ ォ リ オに占め る 割合は比較的小 さ い場合 も あ る こ と を ムーデ ィ ーズは認識 し てい
る 。 ブ ラ ン ド 別の売上高が開示 さ れていない場合は、 最 も 適切 と 見 ら れ る 推定値ま たは公的な情報源
か ら 得 ら れ る デー タ に基づいて、 ブ ラ ン ド 別売上高を推定する 。
多数のブ ラ ン ド か ら 成 る ブ ラ ン ド ポー ト フ ォ リ オ を展開する たば こ 会社があ る 一方で、支配的な 1 ブ
ラ ン ド に集中 し たポー ト フ ォ フ ォ リ オ を有する 会社 も あ る 。 後者の例は、 Marlboro ブ ラ ン ド を販売す
る Altria の子会社 Philip Morris USA お よ び Philip Morris International であ る 。 売上高が 10 億 ド ルを超
え る ブ ラ ン ド は、 消費者に充分に浸透 し てい る と 考え ら れ る 。 ま た、 売上高が 10 億 ド ルを超え る ブ
ラ ン ド が複数あれば、 格付けにプ ラ ス要因 と な る 。 10 億 ド ル以下の閾値 と し て、 5 億 ド ル、 2.5 億 ド
ル、 1 億 ド ルを設定す る 。 ブ ラ ン ド の幅の広 さ は格付けにプ ラ ス の要因であ る 。 複数ブ ラ ン ド 戦略を
追求す る たば こ 会社は、 大規模ブ ラ ン ド の ス ケール メ リ ッ ト を あ る程度失 う が、 ポー ト フ ォ リ オベー
ス でブ ラ ン ド を管理す る こ と に よ っ て幅広い消費者お よ び小売業者に製品を提供 し 、 価格、 シ ェ ア、
販売数量のバ ラ ン ス を と り なが ら 、特定のブ ラ ン ド の売上が長期にわた っ て低下する リ ス ク を低減す
る こ と がで き る 。
売上高の内部成長 (8%)
営業基盤 と 成長性の評価に用い る 3 番目の基準は、 あ る 企業 と 同業他社の絶対的な内部成長率であ
る 。 こ の分析は、 事業 と 製品ポー ト フ ォ リ オの効率性 と 強固 さ を示す有用な指標であ る。 ま た、 企業
の市場シ ェ ア獲得能力を評価する 上で も 極めて有用な ツールであ る 。
13
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Moody’s Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ
評価方法
主要市場における シ ェ ア (8%)
„
当該企業が主に製品を販売する 国ま たは地域におけ る金額ベース の市場シ ェ ア
ブ ラ ン ド 力 (5%)
„
主要な評価要因は、 製品ポー ト フ ォ リ オのブ ラ ン ド 数、 各ブ ラ ン ド の売上高、 汎用品ブ ラ ン ド か
否かであ る 。
売上高の内部成長 (8%)
„
こ の指標は直近 12 ヶ 月の売上高の絶対的な内部成長率 と 、 競合他社 と の比較であ る 。 特定の格付
け カ テ ゴ リ ーに位置付け ら れ る ためには、 ど ち ら の指標 も その格付け カ テ ゴ リ ーに対応す る 基準
を満た さ な く てはな ら ない。 そ う でない場合は、 低い方の格付けカ テ ゴ リ ーに分類 さ れ る。
┶ࡍ 2 ǽ጗͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⿉ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම⾷21%⾸
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30-50%
20-30%
15-20%
10-15%
5-10%
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᰷۵
ɨʀɏȫʀɂǽ጗͛Ǡ
┶ࡍǺ࣠ǴǞ጗͛Ǡ
Factor Weightings
ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම
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5%
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8%
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A1
A
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Altria Group Inc.**
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Swedish Match
Baa1
Baa
A
Baa
Baa
A3
Baa
Ba
A
A
Altadis
Baa2
Baa
A
Baa
B
Sampoerna
Baa2
A
A
Baa
A
Imperial Tobacco
Baa3
Baa
Aa
Baa
Ba
Reynolds American**
Ba1
Baa
A
A
Ba
Lorillard/Loews***
* 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け
**Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ ら れてい る。 訴訟 リ ス ク の織 り 込みにつ
いては 23 ページ参照
***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け
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ɕȴɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ
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評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
市場シ ェ アのポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 4 社、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社のみであ っ た。 ブ
ラ ン ド 力のポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社のみであ っ た。 売上高の内部成長については、 ネガテ ィ
ブア ウ ト ラ イ ヤーが 4 社、 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社のみであ っ た。
市場シ ェ ア
一部のたば こ 会社は主要市場において極めて高いシ ェ ア を有する 傾向があ り 、 こ の指標に基づいた場
合、 日本たば こ 産業、 UST、 Altria は Aaa、 Imperial Tobacco も Aa と い う 高い格付け と な る。 こ れは、
一般的にたば こ 市場は地域性が非常に強い こ と 、 すなわち、 こ れ ら のたば こ 会社の地域市場での支配
的な地位を反映 し てい る 。
„
日本たば こ 産業の高い地域市場シ ェ アは、 母国市場での独占的なシ ェ ア を反映 し てい る。 営業基
盤についての高い評価を、 地理的分散性の低 さ が減殺 し てい る。
„
UST は Skoal と Copenhagen ブ ラ ン ド に よ っ て米国の高級無煙たば こ 市場で ト ッ プシ ェ ア を握 り 、低
価格の無煙たば こ 市場で も Husky お よ び Red Seal ブ ラ ン ド に よ っ て市場地位を強化 し つつあ る 。
„
Altria は看板ブ ラ ン ド の Marlboro に よ っ て米国市場で支配的な地位にあ る こ と が要因で、ア ウ ト ラ
Imperial Tobacco は英国の紙巻たば こ と 高級刻みたば こ 市場で極めて高いシ ェ ア を有する 。 こ のポ
O
M UT
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O ED
DO
LO
G
„
Y
イ ヤー と な る 。 し か し 、 同社の強固な営業基盤は極めて限定的な製品の分散性に よ っ て相殺 さ れ
てい る 。
ジ テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーにつなが る 要因は、 全般的に比較的低い流動性お よ び リ テ イ ン ド キ ャ ッ
シ ュ フ ロ ー対純有利子負債比率の ス コ アに よ っ て相殺 さ れ る。
„
Lorillard が市場シ ェ アでネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、米国の他のたば こ メ ーカー と 比
較 し た同社のブ ラ ン ド 力の弱 さ を 反映 し て い る 。 し か し 、 メ ン ソ ールたば こ 市場では、 同社の
Newport ブ ラ ン ド が極めて強固な ト ッ プシ ェ ア を握っ てい る 。
ブラン ド力
一般的に、 こ の指標 と 実際の格付け と の相関は高い。 こ の指標に基づ く 格付けが実際の格付け と 異な
る のは Altria のみで、 同社の ス コ アは Aaa に位置付け ら れ る。 同社は支配的地位にあ る グ ロ ーバルブ
ラ ン ド の Marlboro を有 し 、 同ブ ラ ン ド は世界で年間 100 億 ド ル以上の売上高を計上 し てい る。 同社
は紙巻たば こ 以外の製品を あ ま り 手掛けていないため、 製品の分散性の ス コ アが非常に低 く な り 、 ポ
ジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な る 高いブ ラ ン ド 力の ス コ ア を相殺 し てい る 。
売上高の内部成長
一般的にたば こ 業界の内部成長率は非常に低 く 、 特に先進国市場ではその傾向が強い。 ネガテ ィ ブア
ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 日本たば こ 産業、 Altria、 Altadis の 3 社であ る。 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ
ヤーは BAT のみであ っ た。
„
Reynoldsの成長率は無煙たば こ に よ っ て、ま たLorillardの成長率は メ ン ソ ールたば こ に よ っ て押 し
上げ ら れてい る 。 一方、 Altria の内部成長率に基づ く 格付けは Ba であ る。
„
Altadis の 2006年の売上高の内部成長率は、スペ イ ンでの売上低迷か ら マ イ ナ ス の影響を受けたが、
2007 年には回復す る と 見 ら れ る。
„
日本たば こ 産業は内部成長率の ス コ アではネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーであ る が、 流動性 と 財務指
標の ス コ アではポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な る こ と で、 こ れを相殺 し てい る。
„
BAT の高い内部成長率は、多数の成長率の高い発展途上国市場におけ る 強固なブ ラ ン ド 力が牽引
役 と な っ てい る 。
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要因 3 : 収益性 (10%)
こ の要因を重視する根拠
業績の安定性は、 事業戦略を計画通 り 実施 し 、 実効的な リ ス ク 管理を行 う 企業の能力を評価する も の
で あ る ため、 信用力を示す重要な指標で あ る。 たば こ 業界は概 し て売上高の成長率が比較的低いた
め、 売上高の伸び と 収益性は、 市場、 ブ ラ ン ド 、 相対的な シ ェ アに よ っ て左右 さ れ る 部分が大 き い。
そのため、 利益率を大幅に伸ばす こ と はなかなかで き ない。
たば こ 業界の総体的な EBITA マージ ンは、 他の加工消費財業界 よ り 高い。 こ れは、 たば こ 業界が高
い価格設定を行え る こ と 、 単価が比較的安い こ と 、 一般的に大半のたば こ 製品に習慣性があ る こ と を
反映 し てい る 。 ま た、 高級ブ ラ ン ド 品の コ ス ト 構造は低価格品 と 類似 し てい る が平均価格は高いた
め、 さ ら に高い利益率を確保で き る 可能性があ る 。
O
M UT
ET DA
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O ED
DO
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G
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本格付け手法では過去 12 ヵ 月間の EBITDA マージ ン を用い、 あ る発行体の同マージ ンの推移 と 、 他
社 と の比較の両方に着目す る 。 たば こ 会社のグ ロ ーバルな特性を考慮する と 、 EBITA マージ ンの分析
では通貨お よ び会計基準が異な る 点を考慮する 必要があ る 。 た と えば、売上高の認識は米国 GAAP と
一部の欧州の会計基準 と で異な る 。 さ ら に、 様々な政府系機関か ら 徴収 さ れ る たば こ 税は、 市場に
よ っ て扱い方が異な る 場合があ る 。 Altadis と 日本たば こ 産業の EBITA マージ ンは、 販売 ・ 物流事業
を除外す る よ う 調整 さ れてい る 。 ムーデ ィ ーズは比較分析を容易にす る ために、 必要に応 じ て調整を
行う。
EBITA マージ ン (10%)
利益率の水準は事業戦略の成否 と 事業の効率性を示す指標であ る 。
評価方法
EBITA マージ ン (10%)
利息 ・ 税 ・ 償却前利益を売上高で除 し た数字。 過去 12 ヵ 月間のデー タ に基づ く 。
┶ࡍ 3 ǽ጗͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⾷10%⾸
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᰷۵
Factor Weighting
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10%
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Imperial Tobacco
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Ba1
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Lorillard/Loews***
* 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け
**Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ られてい る。 訴訟 リ ス ク の織 り 込みに
ついては 23 ページ参照
***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け
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጗͛ཆᗕ
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評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
2 社がポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。
EBITDA マージ ン
収益性でポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 UST と Imperial Tobacco の 2 社であ っ た。
„
UST の高い収益性は、 米国の無煙たば こ 市場で極めて高いシ ェ ア を維持 し てい る こ と と 、 高い価
格設定を行え る 能力を反映 し てい る 。
„
Imperial Tobacco の収益性は、 高い市場シ ェ ア と それに よ っ て も た ら さ れ る価格の柔軟性 (特に英
国) を要因 と す る 優れた コ ス ト 効率 と 極めて高い営業利益率を反映 し てい る。
要因 4 : 財務方針 と 流動性 (10%)
こ の要因を重視する根拠
O
M UT
ET DA
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O ED
DO
LO
G
Y
財務戦略は現在の財務指標お よ び目標値に照 ら し て分析する 必要があ る 。 たば こ 業界は一般的に売上
高 と キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが安定 し 、 かつ予想可能であ る と い う 特性を有す る が、 将来、 訴訟か ら マ イ ナ
ス の影響を受け る 可能性のあ る 企業については、 不確実性が高 く な る。 過去の例か ら 見て、 訴訟関連
の支払いに備え て流動性を確保する 必要性を考慮 し なければ、企業はフ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを成長
機会の獲得ま たは株主への資金還元に用い る こ と がで き る 。 ど ち ら のシナ リ オ も 、 信用力指標の安定
性への影響は大 き く 、 格付けの変更につなが る 可能性があ る 。
企業は全般に事業環境や業況の悪化に対 し て脆弱性を持つ。 ま た、 あ る 企業特有の理由や市場環境全
般の事情か ら 、 市場か ら の資金調達が難 し く な る リ ス ク が あ る。 そのため、 企業の流動性の状態の
ウ ォ ッ チは重要で あ る 。 たば こ 会社に関 し て言えば、 訴訟の動向や規制環境は急激に変化 し 得 る 上
に、 短期的な流動性 と 収益性に即座に影響する 。 こ の要因を測る 指標は以下の通 り であ る 。
財務方針 (5%)
適切な リ ス ク 水準の設定は、 企業の財務管理におけ る重要な要因であ る。 と は言え、 債権者 と 株主 と
では適切な リ ス ク 水準についての見方が異な る と い う こ と を ムーデ ィ ーズは認識 し てい る 。 ムーデ ィ
―ズは財務方針を評価す る にあ た り 、 財務方針が債権者 と 株主の一方に有利 と な る度合い、 お よ びそ
れか ら 生 じ る 信用力への影響を特定する こ と を目指 し てい る 。
訴訟で不利な判決が出 さ れ る リ ス ク が高い企業は、概 し て非常に保守的な財務方針 と 信用指標を維持
す る こ と を選択す る が、訴訟環境の変化に伴いその よ う な財務方針 も 徐々に変化する と ムーデ ィ ーズ
は見てい る 。
流動性 (5%)
訴訟が大 き く 不利な方向に進ま ない限 り 、 大半のたば こ 会社の流動性は極めて高い。 通常の事業で必
要な運転資金お よ び資本を維持する ために適切な水準の現金を維持する こ と に加え、 たば こ 会社は訴
訟に伴 う イ ベン ト リ ス ク に備え て保守的な流動性管理を行っ て き た。 ムーデ ィ ーズはバ ラ ン ス シー ト
上の現金、 流動性の高い投資、 利用可能な銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンに よ っ て短期的な資金需要に
対応す る 能力に焦点を あ て る 。 訴訟に関す る懸念が後退すれば、 流動性指標は大幅に低下する と ムー
デ ィ ーズは見てい る 。
たば こ 業界は一般的に安定 し てい る が、 たば こ 税や他の規制に伴 う 費用を相殺す る ために、 値上げが
必要にな っ た場合、 販売数量が短期的に落ち込む可能性があ る と ムーデ ィ ーズは考え てい る 。 ま た、
財務方針の積極化に伴い、 レバレ ッ ジが上昇 し 、 業績の変動性が高ま る可能性があ る。 さ ら に、 訴訟
リ ス ク の高いたば こ 会社は、 訴訟に関する 懸念が高まれば、 市場の信認を失 う 可能性があ る。 こ の よ
う に、 最 も 資金を必要 と す る期間に資本市場か ら の調達が制約 さ れ る恐れがあ る ため、 流動性の低 さ
は長期的に格付けへの下方圧力 と な る 可能性が高い。
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጗͛ཆᗕ
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評価方法
財務方針 (5%)
„
財務方針は、次の 2種類の イ ベン ト が現在お よ び将来ど の程度の水準で実施 さ れ る かを判断する こ
と に よ っ て評価 さ れ る。 まず、 内部キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーま たは借入を原資 と す る 多額の配当支払い
や自社株買いを含む大規模な株主への利益配分を分析す る。当然なが ら 、負債調達は全額を フ リ ー
キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーで賄 う よ り も 積極的な財務方針であ る と 見な さ れ る 。 フ リ ―キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー
を上回 る 自社株買い ま たは株主への利益配分は、財務方針の変更の前触れ と 捉え る こ と がで き る 。
„
次に、 事業買収を詳細に検討す る。 買収価格が適切であ り 、 信用指標が大幅に悪化 し ない よ う に
債務 と 資本のバ ラ ン ス を と り なが ら 資金調達が行われ、 買収後の業績が計画通 り に推移 し てい る
よ う な ケース は、 株主 と 債券保有者の利益のバ ラ ン ス を と ろ う と す る 意思を示す も の と 考え ら れ
る 。 全額負債調達に よ る 買収、 ま たは事業統合の成功や充分な利益の達成が不確実な場合、 様々
な利害関係者の利益のバ ラ ン ス が取れてい る と は見な さ れない可能性があ る。
„
最後に、 信用力を一定の水準に維持す る こ と について経営陣が言明 し た コ ミ ッ ト メ ン ト を検討す
る 。 一般的には、 投機的等級の企業はかな り 積極的な財務方針を と る 可能性が高い。 一方、 投資
適格等級の企業は、 財務指標が予め定め ら れたパ ラ メ ー タ ー内に収ま る よ う な財務方針を と る こ
Y
と が多 く 、 それが安心材料 と な っ てい る 。 経営陣が何を優先事項 と し てい る か を評価す る にあ た
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
り 、 ト ッ プの経営陣に と っ て の財務上の イ ン セ ン テ ィ ブお よ び関連す る 具体的な目標 (株価パ
フ ォーマ ン ス、 EPS 成長率、 収益性、 レバレ ッ ジ引 き下げな ど) を織 り 込む。 ムーデ ィ ーズは財
務方針の透明性が不足 し てい る 企業については、 よ り 慎重な姿勢で こ の格付け要因を評価す る。
流動性 (5%)
„
現金、有価証券、回転融資枠の合計を、短期債務 と 1 年以内に満期が到来する 長期債務の合計で除
し た数値
18
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጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ
┶ࡍ 4 ǽ጗͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⿉⛥‫ؘ‬ᅀ⦠Ƿᘓؔම⾷10%⾸
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ᘓؔම *
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྾Ǻ۹ǠǮ
Ȼɧɋɐɩ
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* 現金、 有価証券、 利用可能な銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計 / 短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計
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Lorillard/Loews***
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* 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け
**Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ ら れている。 訴訟 リ ス クの織 り 込みに
ついては 23 ページ参照
***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け
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評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
ア ウ ト ラ イ ヤーは流動性に関する サブ要因に集中 し て発生 し た。 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 6 社、
ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社であ る 。 財務方針の評価におけ る ア ウ ト ラ イ ヤーはない。
流動性
たば こ 業界は極めて潤沢な流動性を特徴 と し てい る 。 こ れは、 訴訟で不利な判決が出 さ れた場合に備
え て充分な流動性を維持す る 必要があ る こ と を一部反映 し てい る 。 ま た、 たば こ 事業の高い収益性 と
強力な キ ャ ッ シ ュ 生成力、お よ び高水準のキ ャ ッ シ ュ残高を維持す る と い う 長年の方針 も 反映 し てい
る 。 と は言え、 訴訟環境の改善を考慮す る と 、 たば こ 会社の財務戦略の積極化に伴い、 流動性は現在
の水準か ら 引き 下げ ら れ る と 見 ら れ る 。
Y
現在、 4 社 (日本たば こ 産業、 Altria、 Swedish Match、 Reynolds) の ス コ アが Aaa、 2 社 (BAT、 Lorillard)
の ス コ アが Aa と な っ てい る。 米国のたば こ 会社は従来か ら 極めて高い流動性を維持 し て き た。 こ れ
は訴訟 リ ス ク を相殺す る 必要性が一部要因であ る が、 たば こ 事業の極めて高い収益性 と 強力な キ ャ ッ
シ ュ フ ロ ー生成力 も 要因であ る 。 訴訟に対す る懸念の緩和に伴い、 たば こ 会社は財務方針を積極化 さ
せ る と 見 ら れ る ため、 流動性の状態は今後変化 し てい く と ムーデ ィ ーズは予想 し てい る。 日本たば こ
産業は多額の現金 と 有価証券を保有 し てい る ため、 こ の要因のポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい
る。
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ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは Imperial Tobacco の 1 社であ る。 同社は米国の紙巻たば こ 会社 と は異な
り 訴訟 リ ス ク に晒 さ れてお ら ず、 現金残高が少な く 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ン も 限定的であ る (た
だ し 充分な枠を有す る ) な ど、 流動性を低めに維持 し てい る 。
要因 5 : レバレ ッ ジ と イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ (35%)
こ の要因を重視する根拠
レバレ ッ ジ、 流動性、 イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジは信用 リ ス ク を判断す る上で重要な要因であ る。 高水
準の債務 ま たは重過ぎ る 金利負担を背負 う 企業は、 事業 ト レ ン ド の悪化か ら の影響を受けやす く な
り 、 債務を遅滞な く 全額返済す る こ と が不可能にな る リ ス ク が高ま る要因 と な る。 たば こ 業界では市
場が継続的な縮小傾向にあ り 、 たば こ 会社の事業は 1 種類ない し 多 く て も 2 - 3 種類の製品に大き く
依存 し てい る こ と を考慮 し 、 たば こ 業界の リ ス ク の相対的な高 さ を反映 さ せ る ため、 個々の格付け水
準に適切 と さ れ る 指標は比較的高 く 設定 さ れてい る 。
こ の要因の主要指標は次の通 り であ る 。
リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロー/純有利子負債 (10%)
こ の指標は配当支払い後のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを測定する も のであ る 。 たば こ 業界では、 配当は真の意
味で企業の裁量に ま か さ れてい る と はいえ ない。 こ れは、 成長率は低いが安定的かつ事業基盤が確立
さ れた事業か ら 、 株主に利益を還元する 必要があ る ためであ る。 たば こ 業界では、 配当支払いの裁量
性が完全ではない点を織 り 込むために、 配当支払い前 と 支払い後のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに着目する 。
フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロー/有利子負債 (5%)
こ の比率は運転資本、 設備投資、 配当にキ ャ ッ シ ュ を充当 し た後に利用可能な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを反
映 し 、 迅速に債務を返済す る 能力を評価する も のであ る 。
EBIT /利息カバレ ッ ジ (10%)
こ のカバレ ッ ジ比率は、 利息お よ び賃貸料な ど の他の固定費用を支払 う 能力を評価する も のであ る 。
有利子負債/ EBITDA(10%)
こ の レバレ ッ ジ指標は、 債務返済に充当で き る利息支払い前の営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを反映 し 、 債務
返済額に対す る 利息支払い前キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの水準を示す指標であ る 。
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評価方法
レバレ ッ ジ (25%)
„
リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー/純有利子負債 (10%)
„
フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー/有利子負債 (5%)
„
調整後有利子負債/ EBITDA(10%)
イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ (10%)
EBIT /支払い利息 (グ ロ ス) (10%)
„
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1.5-2.5 Ч 1.5 Чቈᛙ
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0.3-1.0 Ч
1.0-2.0 Ч
2.0-3.0 Ч
3.0-4.5 Ч
4.5-6.5 Ч
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Lorillard/Loews***
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* 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け
**Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ られている。 訴訟 リ ス ク の織 り 込みにつ
いては 23 ページ参照
***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け
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評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
要因 5 で測定 さ れ る 4 つの財務比率におけ る ア ウ ト ラ イ ヤーの大半は、ポジテ ィ ブ方向のア ウ ト ラ イ
ヤーであ っ た。 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは FCF /有利子負債の 3 社のみであ っ た。 4 つのサブ要因
に関 し て、 合計 11 社がポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。
比較的高い利益率を あげ る 能力、 安定的な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー生成、 総 じ て保守的な財務方針、 競争お
よ び訴訟におけ る 不利な判決に備え て充分な財務の柔軟性を維持する と い う 長年の慣行に よ っ て、 た
ば こ 業界の財務指標は概 し て強固な水準にあ る 。 最近、 負債調達に よ る買収が増加 し たが、 多 く の買
収案件が交渉段階にあ る (例 : Imperial に よ る Altadis の買収)、 あ る いは業績に ま だ反映 さ れていな
いため (例 : 日本たば こ 産業に よ る Gallaher の買収)、 今後 6-12 ヶ 月でア ウ ト ラ イ ヤーのい く つかは
要因に基づ く 格付けが実際の格付け と 一致する よ う にな る と 予想 さ れ る 。本格付け手法で提示 し た分
析は、 全ての企業について過去 12 ヶ 月間の業績数値を用いてい る。 期末は会社に よ っ て異な る。
リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロー/純有利子負債
こ の レバレ ッ ジのサブ要因について、 日本たば こ 産業、 Lorillard、 Sampoerna の 3 社がポジテ ィ ブア
ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは Imperial Tobacco の 1 社であ っ た。
„
日本たば こ 産業がポジ テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 現金お よ び有価証券の水準が高いた
Lorillard は、 親会社の Loews Corp. が有利子負債 (グループ会社間の債務を除 く ) 全額を保有 し て
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„
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めであ る 。
い る ため、 ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。
„
Sampoerna は、潤沢な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 同社を 98% 保有す る親会社Altria と の関係を背景 と し て、
レ バレ ッ ジが極めて低い。
„
Imperial Tobacco は高水準の配当支払いが要因で、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。
フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロー/有利子負債
ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 2 社 (日本たば こ 産業、 Lorillard)、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー も 2 社
(Swedish Match、 Altadis) であ っ た。
„
日本たば こ 産業は、有利子負債残高が低 く 、収益性の高いたば こ 事業か ら 生成 さ れ る 潤沢な フ リ ー
キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが要因で、 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。
„
Lorillard は親会社の Loews Corp. が有利子負債 (グループ会社間の債務を除 く ) 全額を保有 し てい
る ため、 ポジ テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 強力なブ ラ ン ド 力 と 高い収益性に よ っ て、 フ リ ー
キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーは潤沢であ る 。
„
Swedish Match は、 過去 12 ヵ 月間の支払い税額が例外的に高かっ たため、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ
ヤー と な っ た。
„
Altadis は、 物流事業に必要な運転資本の変動性が高 く 、 それが フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを低減 さ
せ る ため、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。
EBIT /支払利息
EBIT /支払利息カバレ ッ ジでは、 日本たば こ 産業、 UST、 Altria、 Lorillard、 Sampoerna がポジテ ィ ブ
ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 各社 と も ス コ アは Aaa であ る 。 各社の極めて高いカバレ ッ ジ比率は、 負債
残高が非常に低い こ と を直接的に反映 し てい る 。 各社の定性的な特性は異な る が、 一般的に強固な財
務構造を、 限定的な製品お よ び地理面での分散性 と 低い内部成長率が相殺 し てい る 。
有利子負債/ EBITDA
Sampoerna は こ のサブ要因におけ る唯一のア ウ ト ラ イ ヤーであ る。 同社がポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー
と な っ たのは、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが潤沢な上、 親会社の Altria か ら 資金を調達で き る ため、 外部調達
の必要性が低い こ と を反映 し てい る 。
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጗͛ཆᗕ
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要因 6 : 訴訟 リ ス クの付加
こ の要因を重視する根拠
たば こ 製品は広義の消費者製品の一部であ る が、 たば こ 業界は次にあげ る 3 つの重要な特性に よ っ て
他のセ ク タ ーか ら 明確に区別 さ れ る 。
1. 小売業者はたば こ 会社に対 し 、 限定的な交渉力 し か持たない。
2. 喫煙の禁止や規制が行われ る 中、 喫煙に伴 う 健康 リ ス ク への消費者意識が高ま っ てお り 、 たば こ
製品の需要は減少 し てい く と 見 ら れ る 。
3. 一部市場では訴訟 リ ス ク が高い。
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従来、 たば こ 会社は細分化 さ れた販売チ ャ ネルや販売数量減少の可能性 と いっ た、 基礎的な信用力に
かかわ る 問題を抱え てお り 、 こ れ ら はたば こ 会社の財務諸表に直接的な影響を与え る一方、 訴訟に伴
う イ ベン ト リ ス ク は、 定量化や評価が よ り 困難な問題であ る。 まず、 マ イ ナ ス の影響を与え る 訴訟関
連の イ ベン ト が発生す る 可能性を決定 し 、 潜在的な損失の規模を判断 し な く てはな ら ない。 訴訟で不
利な判決が出 さ れた結果、 多額の現金支払いが必要 と な る可能性は低いか も し れないが、 財務に極め
て深刻な影響を与え る 上、 その よ う な判決が出 さ れ る リ ス ク を市場が意識す る こ と で、 特定のたば こ
会社に対す る 市場の信認が大 き く 損なわれ る 可能性があ る 。 そのため、 基礎的な信用力指標に基づけ
ば同水準に格付け さ れ る 企業で も 、 訴訟 リ ス ク を考慮 し た場合、 格付けに数 ノ ッ チの差が生 じ る 可能
性があ る 。
格付けに対す る 影響を評価す る ために、訴訟 リ ス ク の付加 と い う 6 番目の要因を格付け手法に取 り 入
れ、 訴訟 リ ス ク に直面す る企業に適用 し た。 訴訟 リ ス ク の付加は、 米国、 カナダな ど の訴訟 リ ス ク の
高い市場で事業を展開す る 企業に適用 さ れ る。 こ の よ う な市場では、 原告に有利な訴訟環境があ り 、
集団訴訟を起 こ す機会が よ り 広 く 認め ら れてい る 。控訴に必要な担保金に上限を設定する 法案が多 く
の州の議会を通過 し た こ と や、 一部の裁判所の判決や連邦法に よ っ て、 こ の リ ス ク は低減 し た。 と は
言え、 裁判所は判決を下すにあ た っ て強い権限を有 し てお り 、 陪審員の評決は予測がつかない こ と が
多い。 従っ て、 こ れ ら の市場での売上高が大半を占め る たば こ 会社については、 格付け手法に基づ く
総合的な格付けに最大 3 ノ ッ チの調整を織 り 込む。
上記 3 カ国以外の国で事業を行 う 企業については、 格付け要因に訴訟 リ ス ク は含まれない。 欧州、 ア
フ リ カ、 ア ジ アでは、 審理に至 る前に裁判官が原告側の訴え を棄却す る こ と が多 く 、 原告側が敗訴 し
た場合、 被告の訴訟費用 も 負担する よ う 求め ら れ る こ と が多い ( こ れが提訴を抑止 し てい る)。 ま た、
原告に支払われ る 損害賠償が少額であ り 、 原告は個人訴訟 し か起 こ せないため、 集団訴訟に伴 う 巨額
の損害賠償の リ ス ク が低減 さ れてい る 。
たば こ 会社発行体の地理的エ ク ス ポージ ャ ーを考慮する と 、 Altria、 Loews、 Reynolds は米国のたば こ
市場へのエ ク ス ポージ ャ ーが高いため、 要因 6 が適用 さ れ る。 カナダ と 米国で訴訟へのエ ク ス ポー
ジ ャ ーを有す る BAT も こ れに含まれ る 。 訴訟 リ ス ク を付加 し て算出 し た BAT の格付けへの引き 下げ
幅は 1 ノ ッ チ強 (1.2) であ る が、 格付けに織 り 込む引 き下げ幅は 1 ノ ッ チ未満であ る。 こ れは、 B&W
は米国事業に関連す る 現在お よ び将来のあ ら ゆ る 訴訟におけ る 損害賠償義務か ら 免責 さ れ る こ と が、
BAT と Reynolds American の事業統合で生まれた新会社に認め ら れてい る ため、 B&W の負 う 最終的
な リ ス ク があ る 程度緩和 さ れ る か ら であ る 。 し か し 、 B&W は Reynolds American か ら 財務上の保護を
受け る 被告の立場にあ る こ と にかわ り はな く 、 こ の保護は Reynolds American の財務力が限界 と な る。
さ ら に、BAT PLC は、B&W に金銭の支払いを命 じ る判決の影響か ら 引 き 続き 隔離 さ れ る と ムーデ ィ ー
ズは想定 し てい る 。 ただ し 、 こ れは依然 と し て法解釈次第であ る 。
訴訟 リ ス ク の高い事業環境下にあ る 企業については、 訴訟 リ ス ク を 4 つの要因か ら 検討する 。 4 つの
指標の内、 3 指標に対 し 、 1 番目の指標 (認定 さ れた集団訴訟の数) と 比べた相対的な重要性に基づ
く ウ ェ イ ト を付加す る 。 1 番目の指標の ウ ェ イ ト は、 総体的な評価におけ る 重要性を考慮 し て 40% と
す る。 可能性は低いがマ イ ナ ス の影響は大 き い と い う 訴訟 リ ス ク の性質を鑑み る と 、 実際の格付け
は、 極めて不利な判決が出た場合の影響に比 し て高すぎ る可能性があ る。 格付け手法では訴訟 リ ス ク
の調整幅を 3 ノ ッ チ ま で と し てい る が、 訴訟 リ ス ク が例外的に高い場合、 格付け委員会は 3 ノ ッ チ以
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上の調整を行 う 場合があ る。 その場合は、 本格付け手法が定め る 標準的ア プ ロ ーチ を逸脱 し てい る
旨、 明記す る。 ま た、 極めて厳 し い判決が出 さ れ る 可能性は非常に低 く 、 訴訟 リ ス ク の調整に織 り 込
まれていない場合があ る 。 そのため、 訴訟に よ っ ては不利な判決が出 さ れた結果、 格下げが行われ る
可能性があ る 。 例 と し て、 2003 年の Price-Miles 訴訟での イ リ ノ イ 州裁判所に よ る 一審判決があ る 。
こ の要因を評価す る 主要指標は次の通 り であ る 。
認定 さ れた集団訴訟の数 (40%)
集団訴訟は不利な判決が出 さ れた場合の財務への影響が大 き いため、 最 も 重要な訴訟 リ ス ク であ る。
喫煙関連の医療費返還訴訟や独禁法訴訟な ど、 様々な申 し 立て を含む多数の認定 さ れた集団訴訟が、
州お よ び連邦 レ ベルで現在審理中で あ る 。 認定済み も し く は今後認定 さ れ る 可能性の あ る 集団訴訟
は、 たば こ 会社に と っ て最大の リ ス ク と な る と ムーデ ィ ーズは見てい る 。 様々な段階にあ る 20 以上
の他の タ イ プの訴訟が、 最終的に集団訴訟 と し て認定 さ れ る 可能性があ る 。
Y
個人訴訟 も 同様に重要であ る ため、 各社が計上 し ていないエ ク ス ポージ ャ ー、 すなわち発行体の財務
諸表に反映 さ れない潜在的債務を評価する 際に、 個人訴訟の リ ス ク を織 り 込む。 たば こ 会社に対する
個人訴訟の数は 3,000 を超え、 今後増加す る可能性があ る が、 ムーデ ィ ーズは現在審理中の認定 さ れ
た集団訴訟の数を重視す る 。 個人訴訟ではたば こ 会社に有利な判決が出 さ れた実績があ り 、 損害賠償
額 も 限定的 と 見 ら れ る 点を ムーデ ィ ーズは認識 し てい る 。 個人訴訟の潜在的 リ ス ク は、 次に述べる 未
計上のエ ク ス ポージ ャ ーの定義に よ っ て捕捉 さ れ る 。
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認定 さ れた集団訴訟で も 、 19 の州で約 60 件が棄却あ る いは逆転判決が出 さ れ る な ど、 たば こ 会社に
と っ て有利な結果に終わ っ たが、 た と え 1 件で も 敗訴 と なればその影響は大 き かっ た と 考え ら れ る。
従っ て、 不利な判決が出 さ れた場合の リ ス ク の大 き さ を考慮 し 、 ムーデ ィ ーズは個々の集団訴訟を注
意深 く モニ タ ー し てい く 。
控訴手続 き には時間がかか る ため、 集団訴訟の解決には長期間を要す る。 集団訴訟 と し て認定 さ れれ
ば、 リ ス ク は充分に高い と ムーデ ィ ーズは見てい る。 最高裁への控訴を含む全ての控訴が終了する ま
では、 訴訟 リ ス ク が残 る と みな さ れ る。 た と えば、 フ ロ リ ダ州の Engle 集団訴訟はフ ロ リ ダ州最高裁
に よ っ て認定取 り 消 し と な り 、 原告の控訴は棄却 さ れたが、 原告が連邦最高裁に控訴す る 可能性は
残っ てい る 。 フ ロ リ ダ州最高裁が認定 し たい く つかの事項について、 たば こ 業界は現在、 連邦最高裁
に上告中であ る 。
純流動性/未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%)
訴訟で不利な判決が出 さ れ る リ ス ク があ る ため、 たば こ 会社は通常、 その よ う な判決に よ っ て短期的
に財務が圧迫 さ れ る 場合に備え、 極めて高い流動性を維持 し てい る。 多 く の州で控訴のための担保金
に上限が設け ら れ る な ど、 たば こ 会社に有利な展開がみ ら れ、 それに よ っ て対処不可能な多額の債務
を負 う リ ス ク は低減 し た も のの、その よ う な イ ベン ト の影響に対処す る 各社の能力を評価する こ と は
依然重要であ る 。
認定 さ れた集団訴訟で不利な判決が出 さ れ る 、 あ る いは控訴のための担保金が請求 さ れ る場合、 財務
負担は極めて重 く な る が、 こ の指標は集団訴訟以外の訴訟で考慮 さ れ る 未計上のエ ク ス ポージ ャ ーを
定量化す る も の で あ る 。 具体的には、 利用可能な与信枠 を 含む短期流動性が潜在的な エ ク ス ポー
ジ ャ ーを カバーす る のに充分か ど う か を検討する 。
潜在的エ ク ス ポージ ャ ーを検討する 際に、 不利な判決が出 さ れ控訴中であ る が、 ま だ賠償金は支払わ
れていない全ての訴訟の賠償金額か ら 、 控訴に必要な担保金を差 し 引いた金額を考慮に入れ る。 係争
中の個人訴訟か ら 発生す る 可能性のあ る 損失 も 推定 し 、 潜在的エ ク ス ポージ ャ ーの評価に織 り 込む。
その際に、 提訴の件数、 その中で審理 さ れた訴訟件数の割合、 被告に有利な判決が出 さ れた割合、 被
告が敗訴 し た場合に最終的に支払われた金額を検討す る。 最終的に敗訴 と な る 割合はかな り 低いが、
膨大な提訴件数 と 、 訴訟 リ ス ク に内在す る不確実性を鑑み る と 、 こ のアプ ロ ーチが訴訟件数を評価す
る ための最良のアプ ロ ーチであ る 。
個人訴訟か ら 発生す る 可能性のあ る 損失については、 こ の指標では数量化で き ない。 従っ て、 こ の種
の訴訟に直面 し てい る 企業は、 極めて高い流動性を維持する 必要があ る 。
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EBITDA /未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%)
こ の指標はたば こ 業界に と っ てのキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの重要性を考慮に入れ、係争中の訴訟にかかわ る
財務 リ ス ク と 将来発生す る 可能性のあ る 損失の相対的な規模を示す も のであ る 。
訴訟環境の評価 (20%)
こ のサブ要因は、 一般的な訴訟環境を定性的に評価 し 、 訴訟プ ロ セ ス の進展 と 、 特定の企業ま たは業
界に関連す る 地域で不利な判決が出 さ れ る リ ス ク が上昇 し てい る か低減 し てい る か を検討す る も の
であ る 。 評価においては、 新たな訴訟案件が提訴 さ れ るペース、 原告の敗訴、 個人訴訟 と 集団訴訟に
おけ る 裁判所の判決、 控訴に必要な担保金の変更な ど を考慮する 。
訴訟環境の指標は、 極めて良好、 中程度、 不確実、 厳 し い、 と い う 連続ス ケール上の ス コ アであ る。
たば こ 業界に と っ て、 現在の米国の訴訟環境は改善 し てい る と ムーデ ィ ーズは見てい る が、 不確実性
や予測不可能な要素 も 残 る 。 従っ て、 将来の訴訟 リ ス ク の主要な指標 と な り 、 今後の格付けア ク シ ョ
ンの引 き 金 と な る こ の格付け要因には高い ウ ェ イ ト を付加する 。
評価方法
係争中の認定 さ れた集団訴訟の数 (40%)
原告が控訴す る 可能性のあ る 認定 さ れた集団訴訟の数。 連邦最高裁への上告を含む。
Y
„
O
M UT
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DO
LO
G
純流動性/未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%)
„
純流動性 と は、現金 と 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計か ら 短期債務 と 1年以内に満期が到来す
る 長期債務の合計を控除 し た数値を未計上のエ ク ス ポージ ャ ーで除 し た も の。
„
未計上のエ ク ス ポージ ャ ーは、 不利な判決に よ る 賠償金額 と 個人訴訟 と 集団訴訟以外の訴訟か ら
発生す る 可能性のあ る 損失の合計か ら 担保金残高を控除 し た も の。
EBITDA /未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%)
訴訟環境の評価 (20%)
„
全体的な訴訟環境を主観的に評価 し 、 「良好」 か ら 「厳 し い」 ま での ス ケールで ス コ ア を付け る。
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5-15 Ч
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EBITDA/ ቈ╹ˀǽȰȷɁɥʀɀɫʀ
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1-8 Ч
1 Чቈᛙ
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20%
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* 現金 と 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計か ら短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計を控除 し た数値を未計上の
エ ク スポージ ャ ーで除 し た も の。
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Lorillard/Loews
1.4
2
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0
2
2
3
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1
2
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Altria Group Inc.
Reynolds American
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評価結果
認定 さ れた係争中の集団訴訟の数
„
集団訴訟に よ る 債務へのエ ク ス ポージ ャ ーに関 し 、Reynolds と Altriaがそれぞれ3 ノ ッ チ以上の引き
下げの対象 と な る 。 両社は現在、 州お よ び連邦裁判所で係争中の認定 さ れた集団訴訟を 5 件以上
抱え る 。
„
Lorillardが抱え る訴訟件数は4件のみであ る ため、こ の指標に基づ く 引き 下げ幅は2 ノ ッ チに と ど ま
る。
純流動性/未計上のエ ク スポージ ャ ー
„
3 社 と も に未計上のエ ク ス ポージ ャ ーに対 し 5 倍以上 と い う 極めて高い流動性を維持 し てい る。各
社 と も こ の指標に基づ く 引き 下げ幅は 1 ノ ッ チであ る 。
EBITA /未計上のエ ク スポージ ャ ー
„
Lorillard の未計上のエ ク ス ポージ ャ ーは限定的であ る ため、 こ の指標の ス コ アは高い。
„
Altria と Reynolds は、 中位の未計上のエ ク ス ポージ ャ ー と 潤沢な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを有 し てお り 、
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DO
LO
G
訴訟環境の評価
Y
引 き 下げ幅は 1 ノ ッ チ と な る 。
„
米国の訴訟環境は予測が難 し いため、 全社が 2 ノ ッ チ引 き 下げ ら れ る 。
訴訟 リ ス ク に関する総合的な評価結果
サブ要因の ス コ ア と ウ ェ イ ト を総合する と 、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだ場合、 Altria と Reynolds は訴訟
リ ス ク の調整に よ る 引 き 下げ幅が 2 ノ ッ チ、 Lorillard は 1-2 ノ ッ チ と な る。 BAT の ウ ェ イ ト 付け し た
総合ス コ アに よ る 訴訟 リ ス ク の調整幅は 1 ノ ッ チ強であ る が、実際の格付けに織 り 込む引き 下げ幅は
1 ノ ッ チ未満であ る。 こ れは、 B&W は米国事業に関連す る現在お よ び将来のあ ら ゆ る 訴訟におけ る
損害賠償義務か ら 免責 さ れ る こ と が、 BAT と Reynolds American の事業統合で生まれた新会社に認め
ら れてい る ため、 B&W の負 う 最終的な リ ス ク があ る程度緩和 さ れ る か ら であ る。 ただ し 、 B&W が
Reynolds American か ら 受け ら れ る財務上の保護は、 Reynolds American の財務力が限界 と な る。 さ ら
に、BAT PLC は B&W に金銭の支払いを命 じ る判決の影響か ら あ る程度隔離 さ れ る と ムーデ ィ ーズは
想定 し てい る 。 こ れは法解釈次第であ る が、 こ の リ ス ク は現在の と こ ろ極めて低い と ムーデ ィ ーズは
見てい る 。
጗͛ǠǺ⬄ǨȚǬǽ͙ǽᎰ╿ⱼᬶ
ムーデ ィ ーズが考慮す る 要因は上述 し た も の以外に も あ る が、本格付け手法に織 り 込まれてい る 要因
に基づいた評価は、 たば こ 業界の信用力に対す る ムーデ ィ ーズの見方に相当近い も の と な る 。 ムー
デ ィ ーズは経営陣の質、 コーポ レー ト ガバナン ス、 財務管理、 買収戦略、 流動性管理、 イ ベン ト リ ス
ク 、 季節性な ど他の要因 も 考慮する 。 こ れ ら の要因の分析 も 格付けプ ロ セ ス に不可欠な も のであ る 。
経営陣の質
„
経営陣の質は企業の信用力を支え る 重要な要因であ る。 ムーデ ィ ーズは通常、 上級経営陣 と 面会
し 、 事業戦略、 事業方針、 経営哲学を検討す る。
„
事業方針の一貫性が確立 さ れれば、 ムーデ ィ ーズはそれに基づいて、 経営陣が将来ス ト レ ス状況
下に置かれた際に ど の よ う な行動を と る か を予想す る こ と がで き る。 ま た、 経営チームの実績は、
経営陣が現在の経営哲学か ら 大き く 外れ る傾向が どれ く ら いあ る か を示す指標 と な る。
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コ ーポレー ト ガバナン ス
„
コ ーポ レー ト ガバナン ス で特に重視 さ れ る のは、 企業の監査委員会の財務に関す る 専門性、 幹部
の報酬制度に よ る イ ン セ ン テ ィ ブ、 関連当事者 と の取引、 外部監査役 と のや り と り 、 株主構成で
あ る。
財務管理
„
ムーデ ィ ーズは格付けの付与お よ びモニ タ リ ン グにおいて、 監査済みの財務諸表は正確であ る と
考え てい る。 こ の よ う な正確性は、 業務の集中化、 上層部の適切な姿勢、 会計方針 と 手続 き の一
貫性を含む強力な内部統制があ っ て初めて可能 と な る。
„
サーベン ス ・ オ ク ス リ ー法 404 条に基づ き内部統制の認証が新たに要請 さ れ る よ う にな っ た こ と
で、 大半の企業の財務プ ロ セ ス は改善 さ れた。 ムーデ ィ ーズはサーベン ス ・ オ ク ス リ ー法の遵守
に加え、 専門知識を有す る 内部監査部門お よ び内部統制に対す る 全社的な注力を検討す る 。 全社
的な財務報告プ ロ セ ス の弱点、 財務諸表の修正、 SEC への提出の遅延は、 内部統制が機能 し てい
ない可能性を示す。
買収戦略
買収には戦略的な意義があ り 、 事業の強化につなが る 可能性があ る 。 特に、 規制が厳 し く 長期的
Y
„
に縮小傾向にあ る たば こ 市場か ら 事業を分散 さ せ る と い う 重要な効果があ る。 現在の格付け水準
O
M UT
ET DA
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O ED
DO
LO
G
を維持 し なが ら 買収を行 う 企業の能力を評価す る にあ た り 、 ムーデ ィ ーズは経営陣の リ ス ク 選好
度を考慮す る。 こ れには、 中期的に新た な買収を行 う 可能性、 自社株買い、 具体的な レ バ レ ッ ジ
目標への コ ミ ッ ト メ ン ト 、 買収が全地域で充分な利益を生む可能性、 買収対象を含む基礎的な事
業の変動性が含まれ る 。
„
一般的に、 買収に よ っ て戦略上効果的な事業の組み合わせが期待で き る か ど う か、 買収後のプ ロ
フ ォーマベース のキ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン/レ バレ ッ ジ、 信用指標が比較的短期間で回復す る と の
見方がで き る か ど う かに よ っ て、 格付けは買収後 も 維持 さ れ る 可能性があ る。 特に、 投資適格等
級の発行体の場合、 通常の許容可能な範囲を超え て レ バレ ッ ジが上昇 し た場合で も 、 上述の条件
次第で格付けは維持 さ れ る 。
流動性管理
„
流動性は全ての発行体に と っ て重要であ る が、 特にたば こ 業界では、 事業お よ び財務の柔軟性が
劣 る 投機的等級の発行体に と っ て不可欠であ る。 ま た、 CP 発行体に と っ て、 流動性は極めて重要
であ る 。 CP 市場は市場の信認か ら 影響を受けやす く 、 たば こ 会社が直面する 訴訟の判決次第で市
場の信認は大 き く 揺 ら ぐ ため、CP 発行体は充分なバ ッ ク ア ッ プ ラ イ ン を確保する こ と が必要であ
る 。 要因 4 で示 し た流動性指標に加え、 ムーデ ィ ーズは必要 と さ れ る 短期流動性に関連す る 他の
側面について、 現金の流入お よ び支払い と い う 観点か ら 検討す る。 その一環 と し て、 業界サ イ ク
ルの比較的緩やかな下降局面において も 企業が コ ベナン ツ の緩和を必要 と す る か ど う か を判断す
る ため、 銀行 コ ベナン ツ と 猶予幅を注意深 く モニ タ リ ン グす る。
イ ベン ト リ ス ク
„
予想外の イ ベン ト に よ っ て企業の基礎的な信用力が突然大幅に悪化す る 可能性 も 考慮す る 。 その
よ う な イ ベン ト の典型的な例 と し て、 M&A、 資本再編計画、 訴訟、 大規模な自社株買いが挙げ ら
れる。
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たば こ 業界の格付けは大部分が投資適格等級で、 格付け平均は Baa1 であ る。 大半が投資適格等級で
あ る と い う 特徴は、 格付け対象のたば こ 会社の多 く が大企業であ り 、 地理的に分散 さ れた事業で主導
的地位を維持 し てい る こ と を反映 し てい る 。 ま た、 多数のたば こ 会社に対する 定量的評価の高 さ も 織
り 込まれてお り 、 一般的に強力な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー、 比較的低い レバレ ッ ジ、 訴訟 リ ス ク の低減な ど
がその背景 と な っ てい る 。
全体 と し て、 定量要因が全要因の ウ ェ イ ト の 66%、 定性要因が 34% を占め る。 要因ご と の ス コ ア を
格付けにマ ッ ピ ン グ し た結果、格付け手法に基づ く 格付け と 実際の格付け と の相関は相当高い こ と が
示 さ れた。
全てのサブ要因 と 要因に基づ く マ ッ ピ ン グ結果 と 、 格付け手法が示唆す る 数字付加記号付 き 格付け
を、 各社の実際の格付け と 比較 し た も のを付録の表に示す。
格付け手法が示唆す る 9 社 (Lorillard を除 く ) の格付けは、 次の通 り であ る 。
„
5 社の格付けが実際の格付け と 一致 し た (UST、 Swedish Match、 Imperial Tobacco、 BAT、 日本た
ば こ 産業)
2 社の格付けが実際の格付け を 1 ノ ッ チ上回っ た (Altria、 Reynolds)
„
1 社の格付けが実際の格付け を 1 ノ ッ チ下回っ た (Altadis)
„
1社の格付けが実際の格付け を 2 ノ ッ チ上回っ た(Sampoernaの格付けは イ ン ド ネシ アの自国通貨建
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„
て債務格付け Baa2 が上限 と な る )。
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付録 A
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ጋ˩ȇǽ֐ᬖ⤅
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30
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* 現金、 有価証券、 利用可能な銀行 コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計 / 短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計
Moody’s Corporate Finance
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* 現金 と 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計か ら 短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計を控除 し た数値を未計上のエ ク スポージ ャ ーで除 し た もの。
Moody’s Corporate Finance
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31
付録 B
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* 日本たば こ 産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け
**Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ ら れてい る。 訴訟 リ ス クの付加については 23 ページ参照
***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け
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Moody’s Corporate Finance
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付録 C
Moody’s Corporate Finance
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Report Number:SC646
Copyright 2010 Moodyæs Investors Service, Inc. ‫ڽ‬Ȃ / ‫ڻ‬Ǿ۴᰷ǽɱȬɃɻȽʀ‫ڽ‬Ȃ⬄⢪Ή᰷⾷ͨˁǃɨʀɏȫʀɂDŽǷἕᲠǦȍǨƹ⾸All rights reserved.
Ј᧸጗͛ǾƸ̗ᏡΧƸ˄ЈযẇƸ҆‫ڻؘ‬Ǿ҆‫Ⲳؘ‬Κ▩֟ǽଛቻǽᭀଓ᫢Ј᧸ɲɁȷǺdzǓǵǽƸɨʀɏȫʀɂɿɀɫəɻጋ೙Ή᰷⾷ͨˁǃMJKKDŽǷ
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Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy" ǷǓǕ⒙ⲤǶᕃ౫Ƹဢ⠅ǤțȍǨƹ
ቊሤǽȲʀɁɐɱɲȪǶǽӸ⫳ǾƸȲʀɁɐɱɲȪ⦘␯ȽʀɛɁ◜‫۝‬ᨯ‫ ۥ‬336969 ȡሱǨȚɨʀɏȫʀɂǽ⬄⢪Ή᰷ǶǑȚ Moodyæs Investors Service
Pty Limited ABN 61 003 399 657 ǺȗDzǵ⒅ȞțȍǨƹቊᄙሤǾ⾷2001 ౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽ઻ȐȚ๟‫ܬ‬ǺǙǠȚ⾸ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǽȎȇǽံϜ
ȡ๟ࡖǦǮȑǽǶǨƹȲʀɁɐɱɲȪ࡛ԑǚȘቊᄙሤǺửỮ᫢ǺȪȷɃɁǦǮई۰ƸɨʀɏȫʀɂǺଓǦǵƸ
ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǶǑȚǚ‫ڻ‬Ǿǃɣʀ
ɳɃʀɳⲵૃDŽǽͦ⒙‫‮‬ǷǦǵቊᄙሤǺȪȷɃɁǦǵǓȚǢǷƸ‫ڽ‬ȂƸ⛴ᔼ‫ڻ‬Ǿ⛴ᔼǛͦ⒙ǨȚᗕ͆ǛƸᬼယ‫ڻ‬Ǿ⫻ယǺƸቊሤ‫ڻ‬ǾǬǽԑ૓ȡ⾷2001
౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽ઻ȐȚ๟‫ܬ‬ǺǙǠȚ⾸ǃɲɎʀɳⲵૃDŽǺ⥎ళǦǹǓǢǷȡ⒙ᅽǦǮǢǷǺǹșȍǨƹ
ቊЈ᧸጗͛ǾƸ᫘⒅‫‮‬ǽЈ᧸‫ڻמ‬Ǿ҆‫ؘ‬ǺdzǓǵǽ๟╀ǶǑșƸ᫘⒅‫‮‬ǽȰȷȬɎȫ▩֟‫ڻ‬ǾɲɎʀɳཱུ✇ૐǛ‫ۄ‬ൡ‫⃆۝‬ǹǬǽ͙ǽബ೙ǽ▩֟Ǻdz
Ǔǵ๟╀ȡ⡻ȈȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹɲɎʀɳཱུ✇ૐǛƸቊЈ᧸጗͛Ǻ࣠ǴǓǵཱུ✇֋ᄺȡǨȚǽǾ‫⭨ڈ‬ǶǨƹȑǦƸᩐުǛǑȚई۰ǺǾƸɝȫ
ɒɻȿɫɳɿȪɑɘȬȾʀǬǽ͙ǽଗ⫨ૐǺᭀ☐ǨȚǢǷȡဝ৆ǦȍǨƹ
33
2010 ౫ 9 ሰ ƛ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ