www.moodys.co.jp Moody’s ͛ཆᗕ Corporate Finance 2010 ౫ 9 ሰ 30 ᅠ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ᬶᓎ 概要 1 格付け対象 2 業界の概観 4 本格付け手法について 7 9 格付け要因の検討 26 結論 28 付録 29 ኇ̸Ʒ ┶ ムーデ ィ ーズは世界のたば こ 会社 10 社に格付け を付与 し てお り 、 格付け 対象の債務お よ び ク レ ジ ッ ト フ ァ シ リ テ ィ ーの総額は約 420 億 ド ルに上 る。 3 ページの表に掲載 し た こ れ ら のたば こ 会社は、 紙巻たば こ の製造か ら 無煙たば こ や葉巻の製造ま で、多様なサブセグ メ ン ト に ま たが る 事業を 展開 し てい る。 葉たば こ 加工業者については、 ムーデ ィ ーズの 「ナチ ュ ラ ル ・ プ ロ ダ ク ツ加工業者の格付け手法」 に照 ら し て分析 し た方が適切であ る ため、 本格付け手法の対象か ら 除外 し た。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G ȻɻɇȷɐӞ ⾹ቊᄙǺ᧸ǨȚ͛ɏʀɇǾƸ2007 ౫ 11 ሰᥰࢀǽȑǽǶǑȚƹ Y 格付けに関するその他の検討項目 Global Tobacco Industry 03.5408.4100 谷本 伸介 03.5408.4027 SVP- チーム リ ーダー shinsuke.tanimoto@moodys.com 本格付け手法は、 ムーデ ィ ーズがたば こ 業界の発行体の信用 リ ス ク を ど の よ う に評価す る のか を、 発行体、 投資家、 その他の市場関係者に理解 し て 頂 く 一助 と な る こ と を目的 と し て い る。 ま た、 リ ス ク 要因を ど の よ う に ウ ェ イ ト 付け し 、 それ ら の要因 と 格付けが ど の よ う に対応 し てい る かを説 明す る も のであ る。 本格付け手法に よ っ て、 たば こ 会社を分析する 上での 主要 な 検討項目 な ら びに財務指標 を ご 理解い た だ け る で あ ろ う 。 ム ー デ ィ ーズは、本格付け手法に従っ て読者が投資適格等級発行体の無担保長 期債務格付け (ま たは投機的等級発行体の コ ーポ レ ー ト ・ フ ァ ミ リ ー ・ レ ーテ ィ ン グ) を推定 し た場合、 その格付け と 実際の格付け と の差が 2 ノ ッ チ以内 と な る こ と を目指 し てい る。 ムーデ ィ ーズの分析は、世界のたば こ 会社に格付け を付与する 際の中核 と な る次の基礎的な格付け要因に焦点を絞っ てい る。 規模 と 分散性 営業基盤 と 成長性 収益性 財務方針 と 流動性 レバレ ッ ジ と イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ 訴訟 リ ス ク の高い市場へのエ ク ス ポージ ャ ーが高いたば こ 会社につい て は、 上記に加えて次の第 6 の格付け要因を適用す る。 訴訟 リ ス ク の付加 こ れ ら の 6 要因は 17 のサブ要因か ら 構成 さ れ る。 本格付け手法では、 こ れ ら の各要因について詳細な分析を行 う 。 䛣䛾᱁ᡭἲ䛿䚸⌧⾜䛾䜒䛾䛷䛿䛺䛔䚹㻌 䝮䞊䝕䜱䞊䝈䞉䝆䝱䝟䞁䛜⌧ᅾ⏝䛧䛶䛔䜛᱁ ᡭἲ䛿䚸ᘢ♫䜴䜵䝤䝃䜲䝖䜢ཧ↷䛾䛣䛸䚹㻌 Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 全ての要因について、総合的な格付け と 要因別の格付けが必ず し も 一致する わけではない こ と を ムー デ ィ ーズは認識 し てい る 。 そのため、 「ア ウ ト ラ イ ヤー」 (特定の要因におけ る 格付け と 実際の格付け が大 き く 乖離す る 発行体) について検討する 。 ま た、 本レ ポー ト で特に重要な点は次の通 り であ る 。 セ ク タ ーの概観 と 主要な傾向の分析 ムーデ ィ ーズの格付け手法の説明お よ びセ ク タ ーの格付け を左右す る要因 格付けの枠組みの実際の適用例を示す表 格付け手法の適用結果の概要 付録には、 主要格付け要因な ら びにサブ要因に基づ く 格付け対象 10 社の詳細な格付け表な ら びに各 要因に基づ く 格付けの組み合わせか ら 得 ら れ る 数字付加記号付き 文字格付け を示す表を掲載 し た。発 行体の実際の格付けが、本格付け手法に基づ く 格付け と 完全に一致 し ない こ と にムーデ ィ ーズは留意 し てい る 。 格付け手法の趣旨は、 投資家、 発行体、 その他の格付け利用者がたば こ 業界の発行体の信 用プ ロ フ ァ イ ルを評価す る 際に使用で き る ツールを提供する こ と であ る 。 従っ て、 格付け手法はムー デ ィ ーズが格付け を付与す る 際に考慮する 全ての要因を網羅 し た も のではないが、格付けの決定にお いて ムーデ ィ ーズが検討す る 主要 リ ス ク 要因を理解する 一助 と な る はずであ る 。 ͛Ǡଓ⛅ O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 本レ ポー ト では、 紙巻たば こ 、 葉巻、 無煙たば こ 等の各種たば こ 製品のいずれか を製造 ・ 販売する 格 付け対象会社を扱 う 。 本格付け手法で検討 さ れ る 各付け対象会社 10 社の地域別内訳は、 北米 4 社、 欧州 4 社、 日本 1 社、 イ ン ド ネシア 1 社 と な っ てい る。 こ れ ら のたば こ 会社の格付けは大半が投資適 格等級であ る が、 格付けは広い範囲に分散 し てお り 、 Aa カ テ ゴ リ ーが 1 社、 シ ン グル A カ テ ゴ リ ー が 2 社、 Baa カ テ ゴ リ ーが 6 社、 Ba カ テ ゴ リ ーが 1 社 と な っ てい る 。 日本たば こ 産業株式会社 (格付け Aa3) は政府系発行体に分類 さ れ る。 従っ て、同社の格付けは、 ベー ス ラ イ ン信用 リ ス ク 評価 5 (1 か ら 21 ま での数字で評価、 5 の信用 リ ス ク 評価は格付け A1 に相当す る )、高位のデフ ォ ル ト 相互連関、中位のサポー ト 供与の可能性、お よ び日本の自国通貨建て預金シー リ ン グ を反映 し てい る 。 本格付け手法はベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評価の決定に使用 さ れ る ため、 こ こ に掲載 し た格付け表では同社の格付け を A1 と 表示する 。 大手たば こ 会社の Lorillard は Loews Corp. の重要な子会社で、 最 も 多 く のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを親会社 に提供 し てい る 。 Lorillard は Loews の格付けにおけ る重要な要因であ る が、 ムーデ ィ ーズは Loews を 少数の公営 ・ 私営企業の過半数ま たは 100% を保有する 投資持株会社 と みな し てい る。 Loews の信用 プ ロ フ ァ イ ルを評価す る ために、 同社の重要な子会社の単体ベース の信用プ ロ フ ァ イ ルを、 当該業界 の格付け手法に従っ て評価す る 。 ま た、 事業子会社への全ての投資 と 、 それ ら の子会社か ら の配当の 相対的な寄与度を考慮 し なが ら 、 持株会社のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー分析を行 う 。 従っ て、 本格付け手法は Loews ではな く Lorillard の信用 リ ス ク と 信用プ ロ フ ァ イ ルを評価す る ために用い ら れ る。 ムーデ ィ ー ズは Lorillard に格付け を付与 し ていない。 説明上、 本レ ポー ト の図表では Loews の格付け を A3 と 表 示す る が、 要因別ス コ アは Lorillard のたば こ 会社 と し ての特性に基づいてい る。 2 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕǽ͛Ǡ⿉ 10 ⒅ΧƸ⒅ؘ҆ἕⲥ 419 ҽɑɳƸ2007 ౫ 11 ሰ 1 ᅠᆣ᠊ ᰷۵ ɨʀɏȫʀɂǽ ɨʀɏȫʀɂǽ ⫧ቃ͛Ǡ ᮲ቃ͛Ǡ A1 NR Stable Japan ͛Ǡଓ⛅ؘ҆ ⾷100 ʽɑɳ⾸ $7,607 UST Inc. A3 P-2 Stable U.S. $840 Lorillard/Loews*** A3 NR Stable U.S. $900 Altria Group Inc.** Baa1 P-2 Stable U.S. $5,000 British American Tobacco PLC Baa1 P-2 Stable U.K. $11,946 Swedish Match AB Baa1 P-2 RUR/Down Sweden $588 Altadis S.A. Baa2 P-2 RUR/Down Spain $2,219 Sampoerna International Finance Company B.V. Baa2 NR Stable Indonesia - Imperial Tobacco Group PLC Baa3 NR RUR/Down U.K. $7,812 Reynolds American Inc.** Ba1 SGL-2 Positive U.S. ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * ͛Ǡ╀⢡Ǧ ཀࢀ࡛ $5,000 Total $41,912 * 日本たば こ産業の格付けは Aa3。上記の格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5(1 か ら 21 ま での数値で評価)に基づ く 格付け。 **Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだ結果、 2 ノ ッ チ修正 さ れている。 詳細は訴訟 リ ス クの付加 (23 ページ) を参照。 Y ***Lorillard は格付け対象 と な る債務を発行 し ていない。上記の格付け A3 は、親会社 Loews Corp. の無担保長期債務格付けであ る。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G 本レ ポー ト に掲載 し た公表格付けは、 投資適格等級発行体の場合は無担保長期債務格付け、 投機的等 級発行体の場合は コ ーポ レー ト ・ フ ァ ミ リ ー ・ レーテ ィ ン グであ る。 債務お よ び他の財務情報は、 米 国お よ び他の監督当局に提出 さ れた報告書あ る いは他の財務報告の数値を利用 し た。財務報告の日付 は発行体に よ り 異な る 。 世界のたば こ 業界 ‐ 格付け手法適用対象発行体の格付け 㪊 ⊒ⴕᢙ 㪉 㪈 㪇 㪘㪸㪊㪈 㪘㪈㪉 㪊 㪘㪉 㪋 㪘㪊 㪌 㪙㪸㪸㪈 㪍 㪙㪸㪸㪉 㪎 㪙㪸㪸㪊 㪏㪙㪸㪈 䈱ᩰઃ䈔 世界のたば こ 会社 10 社の内、 6 社が見通 し 安定的、 1 社が見通 し ポジテ ィ ブ、 3 社が引き 下げ方向で 見直 し 中 と な っ てい る 。 本格付け手法の利用法を説明する ため、 ムーデ ィ ーズの格付け対象 10 社に対 し 格付け手法を適用す る 。 会社別に各格付け要因 と サブ要因について検討 し 、 こ れ ら の要因に基づ く 評価が ど の よ う に格付 けに対応す る か を説明 し 、 ア ウ ト ラ イ ヤーについて分析する 。 3 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Ꮱᨕǽ╞ 本格付け手法で取 り 上げ る たば こ 会社は、 紙巻たば こ 、 手巻たば こ 、 葉巻、 噛みたば こ 、 嗅ぎ たば こ 、 パ イ プ用たば こ 、 無煙たば こ 製品等を含む多様なたば こ 製品の製造お よ び販売を手掛けてい る 。 次に、 格付けに影響を与え る 同業界の特徴をい く つか挙げ る 。 大半の先進国市場における継続的な販売数量の減少 たば こ セ ク タ ー最大のセグ メ ン ト であ る 紙巻たば こ の販売数量は、大半の先進国市場において年間 23% のペース で継続的に減少 し てい る。 葉巻、 無煙たば こ 等の他のサブセグ メ ン ト の販売数量は 1 桁 台前半のペース で増加 し てい る 。 紙巻たば こ の販売数量減少が加速する 可能性は、 たば こ 会社に と っ て最大の リ ス ク と な っ てい る 。 心 疾患や一部のがん等、 たば こ 製品の吸入に伴 う 健康 リ ス ク への消費者意識が高ま る中、 世界の全市場 で紙巻たば こ の消費は減少 し てい る 。 健康 リ ス ク に対す る意識は米国 ・ 西欧市場に浸透 し てお り 、 他 市場で も 高ま り つつあ る 。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 多 く の発展途上国市場では、 紙巻たば こ 消費の減少が人口増加に よ っ て相殺 さ れ、 全体の出荷量は年 間 1-2% 伸びてい る。 喫煙の規制や消費者意識の高ま り は世界的な広が り をみせてお り 、 新興市場で も 消費量の減少が加速す る 可能性があ る が、 ア メ リ カ ンブ レ ン ド の紙巻たば こ を好む消費者が増加 し てい る こ と か ら 、一部のたば こ メ ーカーには新興市場で販売数量を拡大する 機会が残 さ れてい る であ ろ う 。 一部のケース では、 発展途上国市場で脆弱な地元 メ ーカーのシ ェ ア を奪 う こ と がで き れば、 紙 巻たば こ カ テ ゴ リ ー全体の販売数量の減少傾向を相殺で き る 可能性があ る 。 米国市場全体は縮小傾向にあ る が、 高級品セグ メ ン ト と メ ン ソ ール ・ ブ ラ ン ド 等の一部の製品カ テ ゴ リ ーは他に比べ好調に推移 し てい る 。 こ れは主に、 高マージ ン製品に的を絞 る 大手 メ ーカーの戦略、 一般的に紙巻たば こ は需要の価格弾力性が低い こ と 、消費者の高級ブ ラ ン ド への こ だわ り が要因であ る 。 全体的な販売数量は今後 も 引き 続き 減少傾向を示す可能性が高い。 一方、 消費者は相対的な値ご ろ感 と 販促活動に反応す る ため、 高級品ブ ラ ン ド と 普及ブ ラ ン ド の相対的な販売数量の動向は、 今後 も 引 き 続 き 変動を示すであ ろ う 。 ただ し 、 コ ス ト 上昇 (たば こ 税を含む) を相殺する ための値上げに 伴い、 デ ィ ス カ ウ ン ト 品がシ ェ ア を奪回する 可能性があ る。 デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ブ ラ ン ド の製品 ラ イ ン ア ッ プ を拡張 し たたば こ 会社は、 販売数量の変動に比較的 う ま く 対処で き る と 見 ら れ る が、 デ ィ ス カ ウ ン ト 製品の利益率はブ ラ ン ド 品 よ り 大幅に低いため、 収益性は劣る であ ろ う 。 葉巻市場は米国 と 西欧を中心 と し てお り 、 成熟市場ではあ る が、 販売数量の微増が続いてい る。 サブ セ グ メ ン ト の無煙たば こ は市場規模が小 さ いなが ら も 、 従来のたば こ の喫煙者への浸透度が高 ま る 中、 販売数量は 1 桁台の増加率を示 し てい る 。 無煙たば こ は普及 し つつあ る が、 SNUS 等の一部の無 煙たば こ 製品は、 ス ウ ェ ーデン を除 く EU 諸国で販売が禁止 さ れてい る 。 EU での販売禁止に も かか わ ら ず、 無煙たば こ 製品の成長余地は依然大 き い。 実際、 大手紙巻たば こ メ ーカーは、 こ の事業分野 の事業機会を見込んで大規模な投資を し た り 、 無煙たば こ 製品の成長戦略を打ち出 し た り し てい る 。 紙巻たば こ 市場 (たば こ 製品総販売数量の 85% 以上を占め る) は継続的に縮小 し てお り 、 地域、 製 品、 サブセグ メ ン ト に よ っ てその傾向にはば ら つ き があ る ため、 分散性、 市場地位、 ブ ラ ン ド 力に対 す る 分析を重視す る 必要性が高ま っ てい る 。多様なたば こ 製品のサブセグ メ ン ト におけ る 製品 と 地理 面の分散性は、 販売数量の減少を最小限に と ど め る こ と に寄与す る可能性があ る。 高格付けの企業は 概 し て、 分散 し た収益源 と 高い消費者のブ ラ ン ド 認知度、 あ る いはキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの安定性の向上 に寄与す る 市場シ ェ ア を有 し てい る 。 4 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 低い需要の価格弾力性 紙巻たば こ が他の加工消費財 と 大き く 異な る 点は、小売価格の変動に対する 販売数量の弾力性が低い こ と であ る 。 あ る 市場で紙巻たば こ の小売価格が 1% 値上げ さ れて も 、 販売数量は 0.3-0.4% し か減少 し ない。 販売数量の減少幅が小 さ いのは、 ニ コ チンの習慣性 と 、 喫煙者の満足度に照 ら し た場合、 た ば こ 1 箱の価格が ま だ安い こ と に起因する と 見 ら れ る 。 価格弾力性が低いため、 こ れま で業界は販売 数量にマ イ ナ ス の影響が及んで も 値上げに踏み切っ て き た。 段階的な値上げは コ ス ト 上昇 (たば こ 税 の引 き 上げな ど) を相殺す る ために必要であ り 、 製品の習慣性 と それに代わ る 適当な代替品がない こ と を考慮す る と 、 値上げは受け入れ ら れ る と 見 ら れ る。 し か し 、 価格の上昇が続けば、 消費者は価格 に よ り 敏感にな る ため、 あ る 時点で価格弾力性が上昇 し 始め る であ ろ う 。 競争 Y 激 し い競争がたば こ 業界の特徴の一つで あ り 、 通常、 競争は価格 と ブ ラ ン ド 認知度を巡っ て行われ る 。 こ の業界は幾つかの世界的な大手たば こ 会社に よ っ て特徴づけ ら れ る が、 たば こ 事業は一般的 に、 あ る地域内におけ る熾烈な競争に晒 さ れ る地域ベース の事業であ る。 グ ロ ーバルブ ラ ン ド も 存在 し 、 それぞれの市場シ ェ アは世界各地で異な る が、 市場シ ェ ア を争 う 高級ブ ラ ン ド と デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ブ ラ ン ド の中に も 多数の小規模ブ ラ ン ド が林立 し てい る。 大手 メ ーカーは多数のブ ラ ン ド を擁す る 大規模な製品ポー ト フ ォ リ オ を維持 し 、 味、 価格、 品質、 ブ ラ ン ド の魅力 と いっ た分野で競争 し て いる。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G 競争が熾烈なため、 各社は継続的に新製品への投資を行 う か、 新たな地域に事業を拡張する 必要があ る 。 し か し 、 新製品投入の余地は限 ら れてい る ため、 既存製品を拡張 (新 し い風味を加え る な ど) す る 方が一般的であ る 。 ま た、 大半のたば こ 会社は、 健康に対す る 高い リ ス ク を低減 し 、 喫煙に関連づ け ら れ る ネガテ ィ ブな社会的 イ メ ージ を和 ら げ る ために、低 リ ス ク 製品 と よ ばれ る 新 し い タ イ プの紙 巻たば こ を開発中であ る 。 従っ て、 財務基盤が強固なたば こ 会社は新製品に投資す る こ と がで き 、 セ ク タ ーの競争的需要に対応す る 上で優位に立ち、業界が変化す る中で市場シ ェ ア を維持あ る いは拡大 す る こ と がで き る であ ろ う 。 たばこ 税 と 規制が販売数量を さ ら に圧迫 紙巻たば こ と たば こ の主要市場の大半で、 メ ーカーは高率かつ継続的に引き 上げ ら れ る たば こ 税か ら の圧力を受けてい る 。 こ れ ら のたば こ 税は高額に上 る こ と があ る。 たば こ 税引 き 上げの影響を相殺す る ために、 大半の地域で小売価格が引き 上げ ら れたため、 販売数量の伸び (い く ら かで も 伸びてい る と し て) は打撃を受けてい る。 ほ と ん ど全ての主要たば こ 市場には、 たば こ 税、 規制、 喫煙禁止の制 度があ る が、 ど の地域で も 一部の市場環境は異な る。 従っ て、 高格付けのたば こ 会社は、 あ る 地域の 規制環境か ら 受け る マ イ ナ ス の影響を緩和する ために、 地理上の分散性が高 く な る傾向があ る。 た と えば、 米国では食品医薬品局に よ る監督を含む規制の厳格化が予想 さ れ る ため、 同国市場へのエ ク ス ポージ ャ ーが高 く 、 地理的分散性が限定的なたば こ 会社の方が、 こ れに よ っ て深刻な打撃を受け る 可 能性が高い。 小規模店舗での販売能力が競争力を左右する要因 たば こ セ ク タ ーの も う 一つの特徴は、 特に他の加工消費財 メ ーカー と 比べ、 一般に小売業者に対 し 強 い価格交渉力を有す る こ と であ る 。 紙巻たば こ の小売業者が価格圧力をかけ る こ と は稀であ る。 紙巻 たば こ メ ーカーが集約 さ れてい る のに対 し 、 小売業者は通常、 小規模で分散 し てい る ためであ る 。 他 の加工消費財 と は対照的に、 大半の市場では、 スーパーマーケ ッ ト ではな く コ ン ビ ニ ま たは個人商店 に よ る 売上が、 紙巻たば こ と 無煙たば こ 製品の売上の大部分を占め る。 紙巻たば こ と たば こ の消費を 減少 さ せ る ために、 たば こ 広告に対す る規制が世界的に厳格化 さ れてい る こ と を考慮す る と 、 こ れ ら の小規模店舗で製品を販売す る 能力が競争力を左右する 不可欠かつ重要な要因であ る 。 5 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 安定性 と 高い収益性を示すキ ャ ッ シ ュ フ ロー たば こ 業界の特徴の一つ と し て、 極めて高い収益性があげ ら れ る 。 EBITDA マージ ンは伝統的な消費 財 メ ーカーを大幅に上回 る。 紙巻たば こ の製造 コ ス ト は基本的に ど の メ ーカー も 同 じ であ る 。 一方、 高級たば こ の製造 コ ス ト は若干高いが、 利益率 も 極めて高い。 加え て、 非常に高い市場シ ェ ア を有す る メ ーカーは、 高めの価格設定がで き る 。 製品ポー ト フ ォ リ オのブ ラ ン ド 力が比較的弱 く 、 デ ィ ス カ ウ ン ト 製品が高い比率を占め る よ う な メ ーカーであ っ て も 、 収益性は高い。 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの安定 性 と 限定的な季節要因に よ る 変動は、 消費量が多 く 、 比較的低価格で習慣性があ る と い う たば こ 製品 の一般的な特性を反映 し てい る 。 米国での訴訟問題よ り も販売数量への圧力が重要 米国におけ る 訴訟 リ ス ク は高 く 、 米国ほ ど ではないが カナダ、 オー ス ト ラ リ ア で も 訴訟 リ ス ク が あ る 。 こ れ ら の国では原告側に有利な判決が出 る訴訟環境があ り 、 原告が集団訴訟を起 こ す機会があ る ためであ る 。 こ れ ら の市場以外 (欧州、 ア ジ ア、 ア フ リ カ) では、 審理に至る 前に裁判官が原告側の 訴え を棄却す る のが一般的であ る ため、 訴訟 リ ス ク は大幅に低い。 さ ら に、 原告が敗訴 し た場合、 被 告の訴訟費用を支払 う よ う 求め ら れ る こ と が多い。 ま た、 原告は少額の損害賠償 し か得 ら れず、 個人 訴訟 し か起 こ せないため、 集団訴訟に伴 う 巨額の損害賠償の リ ス ク が低減 さ れてい る 。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 米国では、 対処不可能なほ ど巨額の損害賠償を負 う リ ス ク を低減す る い く つかの進展が見 ら れた。 集 団訴訟 と し て認め ら れた多数の大規模な訴訟が、 現在様々な段階で係争中であ る が、 ムーデ ィ ーズは 控訴手続 き におけ る 予測不可能性や、最高裁判所への上告を含む最終的な解決に至る ま でに長い時間 を要す る こ と を考慮 し てい る 。 訴訟環境は全体的に改善 し た と ムーデ ィ ーズは見てい る が、 米国のたば こ 会社は、 たば こ 訴訟が今後 も 続 く 可能性に直面 し てお り 、 将来新たな訴訟を起 こ さ れ る リ ス ク も 残っ てい る。 控訴に必要な担保 金の上限を定め る 法案が多数の州で可決 さ れた こ と や、 連邦法お よ び一部の判決に よ っ て、 潜在的 リ ス ク は低減 し た。 と はいえ、 裁判所は判決を下すにあ た っ て幅広い権限を有 し てお り 、 陪審員の評決 は予測で き ない こ と が多い。可能性は低いがマ イ ナ ス の影響は大 き い と い う 訴訟 リ ス ク の性質を鑑み る と 、 実際の格付けは、 極めて不利な判決が出た場合の影響に比 し て高すぎ る可能性があ る。 格付け 手法では訴訟 リ ス ク の調整幅を 3 ノ ッ チ ま で と し てい る が、 訴訟 リ ス ク が例外的に高い場合、 格付け 委員会は 3 ノ ッ チ以上の調整を行 う こ と があ る 。 その場合は、 本格付け手法が定め る 標準的アプ ロ ー チを逸脱 し てい る 旨を明記す る 。 6 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ቊ͛ǠཆᗕǺdzǓǵ 本レ ポー ト は、 世界のたば こ 会社に対する 格付け手法を幾つかの段階に分けて説明する も のであ る 。 1. 主要格付け要因の特定 ムーデ ィ ーズが世界のたば こ 業界の格付け を決定する 際に重視する 要因は次の通 り であ る 。各要因に は相対的な重要性に基づ き ウ ェ イ ト を付加する 。 規模 と 分散性 総合的な格付けの 24% 営業基盤 と 成長性 総合的な格付けの 21% 収益性 総合的な格付けの 10% 財務方針 と 流動性 総合的な格付けの 10% レ バレ ッ ジ と イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ 総体的な格付けの 35% 上記の 5 つの格付け要因別にサブ要因を列挙 し 、 各要因の評価方法を説明す る。 本格付け手法では合 計 13 のサブ要因 (訴訟 リ ス ク の付加のサブ要因 4 つを除 く 。 こ れ ら については次に説明する) が格 付けに織 り 込まれ る 。 Y 訴訟 リ ス クの付加 O M UT ET DA H T O ED DO LO G 訴訟 リ ス ク の付加は、 独立 し た分析項目 と し て扱い、 高いたば こ 訴訟 リ ス ク に晒 さ れてい る と 認め ら れ る たば こ 会社のみに適用す る (詳細は 23 ページ参照)。 現在、 こ の要因が適用 さ れ る たば こ 会社は Altria、 Reynolds、 Loews Corp. の Lorillard 部門、 British American Tobacco であ る。 2. 主要格付け要因の評価方法 こ こ では、 各要因のサブ要因の算出方法を説明す る。 ま た、 格付け要因の評価に用い る サブ要因、 こ れ ら のサブ要因を用い る 理由、 お よ び格付けの決定にあ た っ てそれ ら を適用す る方法 (ウ ェ イ ト を含 む) を説明す る 。 サブ要因の評価に用い ら れ る数値の多 く は各社の財務諸表に記載 さ れてい る か、 そ れ ら を基に算出 さ れ る が、 一部はムーデ ィ ーズのアナ リ ス ト の見解に基づ く 。 13 のサブ要因の内、 10 のサブ要因が財務諸表に、 3 つのサブ要因がアナ リ ス ト の分析に基づいてい る。 ムーデ ィ ーズの格付けは将来の見通 し に基づ く も のであ り 、将来の業績に対する ムーデ ィ ーズの予想 が織 り 込まれ る が、 格付けの過程において ムーデ ィ ーズは過去の財務デー タ を幅広 く 分析す る。 過去 の実績は企業の業績のパ タ ーン と 傾向を理解す る 一助 と な り 、 他社 と の比較を行 う ために用い ら れ る 。 格付けの過程では過去の業績 と 見通 し の両方を用い る が、 本格付け手法では過去デー タ のみを説 明目的のために用いてい る 。 本格付け手法で扱 う 格付け要因お よ びサブ要因の評価には、 各社が公表 し た直近 12 ヵ 月の財務諸表を用い る。 定量的な指標の大半は、 ムーデ ィ ーズの標準的調整を織 り 込 んだ も の と な っ てい る 。 こ の標準的調整 と は、 オ フバ ラ ン ス化 さ れた債権証券化プ ロ グ ラ ム、 年金基 金の積立不足、 経常的なオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース な ど について、 損益計算書、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計 算書、 お よ び賃借対照表を世界的に標準化 さ れた方法で調整する も のであ る 1。 3. 格付け カ テ ゴ リ ーへのマ ッ ピ ング 各要因の評価方法を特定 し た後、 13 のサブ要因ご と の評価結果を ムーデ ィ ーズの格付け カ テ ゴ リ ー (Aaa、 Aa、 A、 Baa、 Ba、 B、 Caa のいずれか) にマ ッ ピ ン グす る。 1. 2005 年 7 月発行の "Moody's Approach to Global Standard Adjustments in the Analysis of Financial Statements for Non-Financial Corporations" (米国お よ びカナダの GAAP に基づいて財務報告を行 う 発行体向けの も の。 日本語版 「事業会社の財務諸表分析 におけ る ムーデ ィ ーズの標準的調整アプ ロ ーチ第一部」 2006 年 7 月発行)、 2005 年 9 月発行の同 Part II (国際財務報告基準に 基づいて財務報告を行 う 発行体向けの も の。 日本語版 「事業会社の財務諸表分析におけ る ムーデ ィ ーズの標準的アプ ロ ーチ第 二部」 2006 年 5 月発行)、 2006 年 10 月発行の同 Part III (日本の GAAP に基づいて財務報告を行 う 発行体向けの も の。 日本語 版 「事業会社の財務諸表分析におけ る ムーデ ィ ーズの標準的アプ ロ ーチ第三部」 2006 年 10 月発行) を参照 さ れたい。 ま た、 2006 年 2 月発行の スペシ ャ ル ・ コ メ ン ト "Guideline Rent Expense Multiples for Use with Moody's Global Standard Adjustment to Capitalize Operating Leases" (日本語版 「オペレーテ ィ ン グ ・ リ ース の資産化のための標準的調整で用い る ムーデ ィ ーズの リ ー ス倍率のガ イ ド ラ イ ン」 2006 年 5 月発行) を参照 さ れたい。 7 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 4. 格付け手法の適用/アウ ト ラ イヤーについての議論 格付け要因お よ びサブ要因それぞれについて、 企業を格付け レ ン ジにマ ッ ピ ン グす る。 特定の要因お よ びサブ要因において、 あ る企業に対す る評価が実際の格付け水準を上回 る、 ま たは下回 る 場合があ る 。 その よ う な企業は、 その要因ま たはサブ要因におけ る ア ウ ト ラ イ ヤー と 認識 さ れ る。 特定のサブ 要因におけ る 評価が実際の格付け カ テ ゴ リ ー (文字格付け) を 2 カ テ ゴ リ ー以上上回 る企業は、 その サブ要因に関す る ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と さ れ る 。 同様に、 2 カ テ ゴ リ ー以上下回る 企業はネガ テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と さ れ る 。 ア ウ ト ラ イ ヤーを検討す る際、 訴訟 リ ス ク を付加 し たために格付け が 2 ノ ッ チ修正 さ れた企業 (Altria、 Loews、 Reynolds) については、 他社 と の比較のために訴訟 リ ス ク を考慮 し ない格付け を用い る (訴訟 リ ス ク を考慮 し た場合、 実際の格付は 1 ノ ッ チ以上引き 下げ ら れ る ) 。 ま た、 こ のセ ク シ ョ ンでは、 格付け要因お よ びサブ要因ご と にア ウ ト ラ イ ヤーについての一般 的な議論を提示す る 。 5. 最終格付けの決定 ムーデ ィ ーズは総合的な格付け を決定す る ために、 13 のサブ要因に基づ く 格付け を下の ス ケールに 従っ て数値に変換す る 。 Aa A Baa Ba B Caa 1 3 6 9 12 15 18 Y Aaa O M UT ET DA H T O ED DO LO G 各サブ要因の数値に ウ ェ イ ト を付加 し て加重平均を算出 し 、 それを当該格付け要因の ス コ ア と す る 。 次に、 各要因の ス コ ア を格付け表にマ ッ ピ ン グ し 、 ス コ アが ど の範囲に収ま る かに よ っ て要因格付け を決定す る 。 格付け要因 と サブ要因を次の表に示す。 ͛Ǡ┶ࡍ ╄ᑡǷոᄃම ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම ┶ࡍǽȮȯȬɐ 24% 21% Ƚɞ┶ࡍ ἕॹˀⶲ Ƚɞ┶ࡍǽȮȯȬɐ 8% ࢄᥴոᄃම 8% ⓯ݨǽոᄃම 8% లईȿȯȪ 8% ɞɱɻɑמ 5% ॹˀⶲǽԑ⤴༔⫧ 8% ہᬖම 10% EBITA ɦʀɀɻ 10% ⛥ؘᅀ⦠Ƿᘓؔම 10% ⛥ؘᅀ⦠ 5% ɴɘɴɋɀǷȬɻɇɴɁɐȳɘɴɋɀ 35% ᘓؔම 5% ɲɎȬɻɑȵɫɋȿɭɝɵʀ / ẗሱ⛤҆ 10% ɝɲʀȵɫɋȿɭɝɵʀ / ሱ⛤҆ 5% EBIT/ ნཌǓෲ 10% ሱ⛤҆ /EBITDA ۰╹ 100% 10% 100% 合計ス コ アは次の表に従っ て格付けにマ ッ ピ ン グ さ れ る 。 格付け手法に基づ く 格付けは、 こ の対応表 に よ っ て確定 さ れ る 。 8 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 䉴䉮䉝䈮ၮ䈨䈒ᩰઃ䈔 䉡䉢䉟䊃ઃ䈔䈚䈢ⷐ࿃䉴䉮䉝䈱ว⸘ Y "B õY "B "B " " " #BB #BB #BB #B #B #B # # # $BB õY õY õY õY õY õY õY õY õY õY õY õY õY õY õY $BB Y O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y "BB 世界のたば こ 会社 10 社のマ ッ ピ ン グの結果 と ス コ ア を付録に掲載 し た。 ͛Ǡ┶ࡍǽᎰ╿ 要因 1 : 規模 と 分散性 (ウ ェ イ ト 24%) こ の要因を重視する根拠 事業の規模 と 分散性は、 格付け ス ケール上に企業を位置付け る際の重要な検討項目であ る。 大規模な 企業は よ り 多 く の経営資源を有 し 、 小規模な企業 と 比べ事業の分散性 も 高い場合が多 く 、 こ れが収益 の変動性 と 信用 リ ス ク を低減 し てい る 。 ま た、 事業の規模は供給業者、 販売業者、 小売業者 と の価格 交渉力の強化につなが る 。 地理的分散性ま たは製品の分散性は リ ス ク を緩和す る。 こ の要因を評価す る ためのサブ要因は、 総売上高、 地理的分散性お よ び製品の分散性であ る 。 総売上高 (8%) 本格付け手法では、 総売上高か ら たば こ 税を差 し 引いた金額を規模の主要な測定基準 と す る。 たば こ 税はたば こ 会社の事業に大 き な影響を与え る 。 特に、 価格交渉力 と 売上数量の推移に与え る 影響は大 き い。 と はいえ、 たば こ 税は地域に よ っ て大 き く 異な る ため、 分析上は売上高か ら 控除する 必要があ る 。 ま た、 米国では州のたば こ 税は連邦たば こ 税 と 同様、 たば こ メ ーカーの損益計算書上の売上高に は反映 さ れず、 たば こ 販売業者か ら 直接納税 さ れ る。 Altadis と 日本たば こ 産業では、 こ こ での総売上 高に、 物流事業の売上高は含まれていない。 大規模企業は供給業者 と 消費者に対 し て大 き な影響力 を 持つ上、 効率性の高い技術、 製造、 調達、 マーケ テ ィ ン グ、 販売のための投資を行 う こ と がで き る。 こ れ ら は全てサービ ス の質 と 顧客サービ ス の向上につなが る 。 特に紙巻たば こ メ ーカーの場合、 投資を行 う こ と に よ っ て、 喫煙者が晒 さ れ る 健 康 リ ス ク の低い新世代製品を開発する 機会が増え る 。 9 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 地理的分散性 (8%) たば こ は市場に よ っ て販売数量や規制環境が大 き く 異な る こ と が多いため、 市場間の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーのバ ラ ン ス を と っ て収益を安定 さ せる 地理的分散性は、 たば こ 会社に と っ て重要であ る。 たば こ 事業の地域性を考慮す る と 、 地理的分散性が限 ら れてい る か ら と いっ て、 必ず し も 収益性が制約 さ れ る わけではない。 し か し 、 地理的分散性が高ければ、 成長機会 も 多 く な り 、 消費者行動や地域の規制 環境お よ び経済へのエ ク ス ポージ ャ ーか ら 受け る 影響を減殺する こ と がで き る 。 それぞれ異な る 地域市場を評価する ために、 米国を一つの国ま たは地域 と 見なす。 あ る たば こ 会社が 米国内の 5 地域 (北東部、 南東部、 中央部、 北西部、 南西部) の内のいずれか一地域で事業を展開 し てい る 場合、 全国で販売を行っ てい る と は見な さ れない。 米国以外の地域では通常、 各国をひ と つの 市場 と 考え る 。欧州市場は Marlboro 等のグ ロ ーバルブ ラ ン ド と 、地域の消費者に好まれ る 強力な ロ ー カルブ ラ ン ド の混在が特徴であ る。 ま た、 市場が地理的境界を ま たが り 、 2 ヶ 国以上を包含す る 場合 も あ る。 製品の分散性 (8%) O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 大半のたば こ 会社は、 製品の分散性が限定的であ る が、 こ の指標の重要性は高ま っ てい る。 たば こ 会 社は成長性の高い無煙たば こ 分野の製品を拡充 し つつあ り 、 こ れに よ っ て異な る 地域市場の景気動向 か ら 発生す る サ イ ク ル性の影響を相殺で き る 可能性があ る 。 ま た、 地域の消費者性向の変化、 小売業 者 と の関係 (通常はあ る地域内に限 ら れ る) の変化、 地域の規制、 製造物責任ま たは安全性の問題か ら 受け る 影響を減殺す る こ と がで き る 。 一般的にムーデ ィ ーズは、 総売上高の 10% 超を占め る製品を格付け上、 重要な製品 と 考え てい る 。 紙 巻たば こ の カ テ ゴ リ ーでは、 ラ イ ト たば こ 、 メ ン ソ ールたば こ 、 お よ びデ ィ ス カ ウ ン ト 品について は、 総売上高の 10% 以上 と い う 重要性の基準を満たす場合、 独立 し た カ テ ゴ リ ー と し て扱 う 。 製品ポー ト フ ォ リ オが高級ブ ラ ン ド と デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ブ ラ ン ド に分散 さ れていれば、 格付けにプ ラ ス の要因 と な る 。 ま た、 消費者の嗜好の変化に製品ポー ト フ ォ リ オを適合 さ せ る能力は、 特に世界市 場でオ リ エン タ ルブ レ ン ド か ら ア メ リ カ ンブ レ ン ド へ と 嗜好が変化 し 、中国市場が外国のたば こ メ ー カーに開放 さ れ る 可能性があ る 状況では、 重要な要因 と 見な さ れ る 。 製品の分散性ま たは地理的分散性に関する 情報が開示 さ れていない、 あ る いはム―デ ィ ーズがそれを 入手で き ない場合、 業界デー タ ま たは他の公的な情報源に基づいて製品別の売上高を推定する 。 評価方法 規模 (8%) 年間総売上高 (たば こ 税控除後) 地理的分散性 (8%) 1 主要国ま たは 1 主要地域におけ る売上高が総売上高に占め る比率、お よ び製品を販売する 主要国 ま たは主要地域の数 製品の分散性 (8%) 10 総売上高の 10% 以上を構成する 製品セグ メ ン ト の数 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ┶ࡍ 1 ǽ͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⿉╄ᑡǷոᄃම⾷24%⾸ Aaa Aa A Baa Ba B Ƚɞ┶ࡍǽ ȮȯȬɐ 8% 400 ҽɑ 200 ҽ - 100 ҽ - 40 ҽ 15 ҽ -40 5 ҽ -15 ɳ❞ 400 ҽɑ 200 ҽɑ 100 ҽɑ ҽɑɳ ҽɑɳ ɳ ɳ ɳ 8% ἕॹˀⶲ ࢄᥴոᄃම < 20% 1 ˩┶࡛ /1 ˩┶ࢄࣕǽॹ ˀⶲǽᕉ᤹ ǙȗȂ ॹˀǛ╹ˀǤțȚ࡛ / ˩┶ ࢄࣕǽᄋ ⓯ݨǽոᄃම⾷ॹˀⶲǽ 10% ͨˀȡڀȐȚɃȸɩ ɻɐ / ⓯⾸ݨ 8% 20% 40% 40% 60% 60% 75% ǙȗȂ ǙȗȂ ǙȗȂ ǙȗȂ ǙȗȂ 6 ͨˀǽ ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕ Ƕॹˀȡ ╹ˀ 5 ͨˀǽ ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕ Ƕॹˀȡ ╹ˀ 4 ͨˀǽ ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕ Ƕॹˀȡ ╹ˀ 3 ͨˀǽ ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕ Ƕॹˀȡ ╹ˀ 2 ͨˀǽ ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕ Ƕॹˀȡ ╹ˀ 5 ҽɑɳ ቈᛙ > 90% ǙȗȂ 1 dzǽ˩ 1 ȳ࡛ԑ ┶࡛ / ˩ ǽʶ⤴Ƕ ┶ࢄࣕǶ ǽȎ⛩ॹ ॹˀȡ╹ ˀ 8 ❞ǽ⓯ 7-8 ǽ⓯ 5-6 ǽ⓯ 3-4 ǽ⓯ 2 ⓯ݨɃ 2 ⓯ݨɃ 1 ⓯ݨɃ ݨɃȸɩ ݨɃȸɩ ݨɃȸɩ ݨɃȸɩ ȸɩɻɐ ȸɩɻ ȸɩɻɐ ɻɐ ɻɐ ɻɐ ɻɐ ɐƸǮǯ Ǧ 1 Ƀȸ ɩɻɐǺ ⮥˛ O M UT ET DA H T O ED DO LO G ┶ࡍ 1 ǽɦɋɜɻȸệእ⿉╄ᑡǷոᄃම ᰷۵ 75% 90% Caa Y ͛ǠȳɎȼɲʀ ɨʀɏȫʀɂǽ͛Ǡ ┶ࡍǺ࣠ǴǞ͛Ǡ ┶ࡍǽȮȯȬɐ ╄ᑡǷոᄃම ἕॹˀⶲ 8% ࢄᥴոᄃම 8% ⓯ݨǽոᄃම 8% ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * A1 Baa A Ba Baa UST Inc. A3 Ba Ba B Ba Altria Group Inc.** Baa1 Baa Aa A B BAT Baa1 Baa A Aa Ba Swedish Match Baa1 Baa Ba Baa Baa A3 Ba Ba B B Altadis Baa2 Baa Baa Baa Baa Sampoerna Baa2 Baa Ba B Ba Imperial Tobacco Baa3 Ba Baa Baa Ba Reynolds American** Ba1 Ba Baa B Baa Lorillard/Loews*** * 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け **Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ られている。 訴訟 リ ス ク の付加につい ては 23 ページ参照 ***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け ɥɀɎȫɞ ȪȮɐɱȬɬʀ ɕȴɎȫɞ ȪȮɐɱȬɬʀ 11 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー 規模では 2 社がネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー、 地理的分散性では 5 社がネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー、 製 品の分散性では 3 社がネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。地理的分散性では 1 社のみがポジテ ィ ブ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 総売上高 UST が売上高でネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 米国の無煙たば こ 市場のみで事業を 行っ てお り 、 市場シ ェ アが高いに も かかわ ら ず、 格付けが UST よ り 高いたば こ 会社に比べ売上高 が小 さ い こ と が要因であ る。 ワ イ ン事業を拡大す る な ど多角化に向けた取 り 組みが総体的な規模 の拡大に寄与 し 、 事業の 1 セグ メ ン ト への集中に よ る 収益の変動性を減殺 し てい る。 Lorillard が規模でネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、幅広い紙巻たば こ 市場におけ る ニ ッ チ カ テ ゴ リ ー、 特に高級 メ ン ソ ールたば こ で強固な市場地位にあ る こ と を反映 し てい る。 地理的分散性 日本たば こ 産業の販売地域は従来は日本に集中 し てお り 、 ア ジ ア と 欧州での販売は限定的であ っ た。 最近の Gallaher の買収に よ っ て、 今後同社の地理的集中は緩和 さ れ る であ ろ う 。 UST の販売地域は米国に限定 さ れてい る。 し か し 、同社の高級ブ ラ ン ド たば こ は利益率が高 く 、中 O M UT ET DA H T O ED DO LO G 核事業であ る 無煙たば こ 市場で極めて強い地位にあ る。 Y Lorillard の事業は米国市場に限定 さ れてお り 、メ ン ソ ールたば こ セグ メ ン ト で限 ら れた製品ポー ト フ ォ リ オ を有す る。 と はいえ、 メ ン ソ ールたば こ は最近成長 し てい る 分野であ り 、 同社の高級ブ ラ ン ド 品を重視す る 方針は高い収益性に寄与 し てい る。 Sampoerna の事業は イ ン ド ネシ アに集中 し てい る。 BAT の事業は世界的に広 く 分散 し てい る。 中核市場であ る 欧州への集中度は 36% 未満であ り 、 格 付け対象たば こ 会社の中で最 も 地理的分散性が高い。 製品の分散性 一般に、 米国のたば こ 会社は製品の分散性が低い傾向にあ る。 し か し 、 極めて高い市場シ ェ ア と 財務 力が こ の弱点を補っ てい る 。 UST は ワ イ ン事業に参入 し たが、 たば こ 事業は無煙たば こ に限定 さ れてい る。 グ ロ ーバルな規模の大き さ に も かかわ ら ず、 Altria は限定的な製品ポー ト フ ォ リ オ し か持たない。 同社は Marlboro ブ ラ ン ド に重点を置 き、 売上高の大半を高級たば こ カ テ ゴ リ ーが占め る 。 メ ン ソ ールたば こ が売上高の 13% と 高い比率を占め る。 Lorillard は無煙たば こ 市場に参入 し ていない米国のたば こ 会社であ る。 こ れが、 同社の格付け を 制約す る 要因 と な っ てい る 。 要因 2 : 営業基盤 と 成長性 (21%) こ の要因を重視する根拠 規模 と 分散性が売上高 と 収益の安定性を左右する のに対 し て、2 つ目の要因であ る 営業基盤の強 さ は、 主に成長性に関係 し てい る 。 売れ筋ブ ラ ン ド の数か ら みた営業基盤の強固 さ は、収益の持続可能な成長を示唆する プ ラ ス要因であ る 。 ま た、 強固な営業基盤は価格交渉力につなが る ため、 コ ス ト の上昇、 お よ び紙巻たば こ メ ーカー の場合は継続的な販売数量の伸びの鈍化への対応力を高め る こ と がで き る 。 ブ ラ ン ド イ メ ージは売上高 と 利益率を左右する ため、 たば こ 会社に と っ て特に重要であ る。 さ ら に重 要な点は、 たば こ 会社が消費者に情報を伝達す る方法に対す る規制が厳格化 さ れてい る ため、 ブ ラ ン ド の確立が ますます難 し く な っ てい る こ と であ る 。 複数ブ ラ ン ド で高い市場シ ェ ア を有 し ていれば、 12 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 価格交渉力 と 有利な コ ス ト ・ 利益率か ら の恩恵を受け る こ と がで き る。 ムーデ ィ ーズは各ブ ラ ン ド の 市場地位お よ び売上高を評価 し てい る ため、 こ の要因はブ ラ ン ド 力の評価に織 り 込まれてい る。 ムー デ ィ ーズは、 消費者が主に価格に よ っ て購買を決定 し 、 基本的にブ ラ ン ド には関心を払わない場合、 その よ う な製品は汎用品 と し ての性格を持つ と 考え る 。 主要市場における シ ェ ア (8%) たば こ 市場は競争が激 し く 、 特に地域市場での熾烈な競争を考慮す る と 、 特定の地域市場におけ る シ ェ アは重要な指標であ る 。 高い価格を設定 し 、 競合ブ ラ ン ド の宣伝攻勢を し のぎ、 新製品の投入ま たは既存製品 ラ イ ンの拡充に成功する 能力は、 主に市場シ ェ アに左右 さ れ る。 多 く のたば こ 会社の事 業が地理的に一部の地域に集中 し てお り 、 グ ロ ーバルなブ ラ ン ド 展開を行っ ていない こ と を考慮する と 、主要市場におけ る シ ェ アは上述 し た よ う な能力を評価す る明確な基準にな る と ム―デ ィ ーズは考 え てい る 。 ブ ラ ン ド 力 (5%) O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y ブ ラ ン ド 力は内部成長の重要な牽引役であ る 。 たば こ 分野のブ ラ ン ド 力は主に イ メ ージ と 味の 2 要因 に よ っ て左右 さ れ る 。 従っ て、 たば こ のブ ラ ン ド イ メ ージ を利用 し て個人的な レベルで消費者 と 製品 を関連付け る 能力は、 重要な格付け要因であ る。 こ れは、 世界的なたば こ 広告規制の厳格化に も かか わ ら ず、 消費者の大部分が依然 と し て自 ら の イ メ ージに通 じ る と 思え る ブ ラ ン ド を選択 し 、 そのため にプ レ ミ ア ム を支払 う 意思 さ え あ る こ と が大き な要因であ る 。 ま た、 消費者は競合他社に よ る 値引き や価格プ ロ モーシ ョ ン を提供 さ れて も 、 他のブ ラ ン ド にはなかなか乗 り 換え ない と い う 傾向があ る。 製造コ ス ト がほぼ等 し い高級ブ ラ ン ド 品 と デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ブ ラ ン ド 品の間には 40% に も 上る 価格 差が生 じ る こ と も あ る 。 強力なブ ラ ン ド 力に よ っ て、 たば こ 会社は消費者の嗜好の変化や耐久消費財 業界で よ く 見 ら れ る サ イ ク ル性や季節性か ら の影響を受けに く く な る 。 こ の意味で、 複数ブ ラ ン ド か ら 成 る 製品ポー ト フ ォ リ オ を有する たば こ 会社は、 個々のブ ラ ン ド の売上減少に対する 耐性が高い。 たば こ 分野の全体的な特性 と し て、 売上高の伸び率が比較的低い こ と があげ ら れ る。 こ れは、 成熟市 場で販売数量が継続的に減少 し 、 価格の柔軟性が制約 さ れてい る ためであ る。 国際市場では成長率が 比較的高い も のの、 こ れは人口増加率の高 さ と ア メ リ カ ンブ レ ン ド の紙巻たば こ への嗜好のシ フ ト が 要因であ る 。 成熟市場では一般的に価格の柔軟性が制約 さ れてい る に も かかわ ら ず、 製品に習慣性が あ る ため、 紙巻たば こ の需要の価格弾力性は比較的低 く 、 一般的にたば こ 会社は こ の点か ら 恩恵を受 けてい る 。 こ の要因が、 価格設定の柔軟性が小 さ い と い う 弱点を一部減殺 し てい る 。 最 も 高いブ ラ ン ド 力を持つブ ラ ン ド を特定する ために、ポー ト フ ォ リ オに含まれ る ブ ラ ン ド の数 と 各 ブ ラ ン ド が総売上高に占め る 比率に着目する 。 し か し 、 多数のブ ラ ン ド を有 し 、 一部のブ ラ ン ド が全 ブ ラ ン ド ポー ト フ ォ リ オに占め る 割合は比較的小 さ い場合 も あ る こ と を ムーデ ィ ーズは認識 し てい る 。 ブ ラ ン ド 別の売上高が開示 さ れていない場合は、 最 も 適切 と 見 ら れ る 推定値ま たは公的な情報源 か ら 得 ら れ る デー タ に基づいて、 ブ ラ ン ド 別売上高を推定する 。 多数のブ ラ ン ド か ら 成 る ブ ラ ン ド ポー ト フ ォ リ オ を展開する たば こ 会社があ る 一方で、支配的な 1 ブ ラ ン ド に集中 し たポー ト フ ォ フ ォ リ オ を有する 会社 も あ る 。 後者の例は、 Marlboro ブ ラ ン ド を販売す る Altria の子会社 Philip Morris USA お よ び Philip Morris International であ る 。 売上高が 10 億 ド ルを超 え る ブ ラ ン ド は、 消費者に充分に浸透 し てい る と 考え ら れ る 。 ま た、 売上高が 10 億 ド ルを超え る ブ ラ ン ド が複数あれば、 格付けにプ ラ ス要因 と な る 。 10 億 ド ル以下の閾値 と し て、 5 億 ド ル、 2.5 億 ド ル、 1 億 ド ルを設定す る 。 ブ ラ ン ド の幅の広 さ は格付けにプ ラ ス の要因であ る 。 複数ブ ラ ン ド 戦略を 追求す る たば こ 会社は、 大規模ブ ラ ン ド の ス ケール メ リ ッ ト を あ る程度失 う が、 ポー ト フ ォ リ オベー ス でブ ラ ン ド を管理す る こ と に よ っ て幅広い消費者お よ び小売業者に製品を提供 し 、 価格、 シ ェ ア、 販売数量のバ ラ ン ス を と り なが ら 、特定のブ ラ ン ド の売上が長期にわた っ て低下する リ ス ク を低減す る こ と がで き る 。 売上高の内部成長 (8%) 営業基盤 と 成長性の評価に用い る 3 番目の基準は、 あ る 企業 と 同業他社の絶対的な内部成長率であ る 。 こ の分析は、 事業 と 製品ポー ト フ ォ リ オの効率性 と 強固 さ を示す有用な指標であ る。 ま た、 企業 の市場シ ェ ア獲得能力を評価する 上で も 極めて有用な ツールであ る 。 13 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価方法 主要市場における シ ェ ア (8%) 当該企業が主に製品を販売する 国ま たは地域におけ る金額ベース の市場シ ェ ア ブ ラ ン ド 力 (5%) 主要な評価要因は、 製品ポー ト フ ォ リ オのブ ラ ン ド 数、 各ブ ラ ン ド の売上高、 汎用品ブ ラ ン ド か 否かであ る 。 売上高の内部成長 (8%) こ の指標は直近 12 ヶ 月の売上高の絶対的な内部成長率 と 、 競合他社 と の比較であ る 。 特定の格付 け カ テ ゴ リ ーに位置付け ら れ る ためには、 ど ち ら の指標 も その格付け カ テ ゴ リ ーに対応す る 基準 を満た さ な く てはな ら ない。 そ う でない場合は、 低い方の格付けカ テ ゴ リ ーに分類 さ れ る。 ┶ࡍ 2 ǽ͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⿉ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම⾷21%⾸ Aa A Baa Ba B Caa 30-50% 20-30% 15-20% 10-15% 5-10% 5% ቈᛙ ॹˀⶲ 10 ҽɑɳ❞ ǽ⅋᰷ɞ ɱɻɑᄋ Ǜ 3-4Ƹȍ ǮǾ 1 ɞ ɱɻɑǽ ॹˀⶲǛ 50 ҽɑɳ ȡ❞ǗȚ ॹˀⶲ 10 ҽɑɳ❞ ǽ⅋᰷ɞ ɱɻɑᄋ Ǜ 1-2 ॹˀⶲ 5 ҽɑɳ❞ ǽ⅋᰷ɞ ɱɻɑᄋ Ǜ 1 ͨˀ O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y Aaa Ƚɞ┶ࡍǽ ȮȯȬɐ 8% ˩┶లईǶǽȿȯȪ 50% ❞ ⾷⦘ⲥɡʀɁ⾸ 5% ɞɱɻɑמ ॹˀⶲ 10 ҽɑɳ❞ ǽ⅋᰷ɞ ɱɻɑᄋ Ǜ 5 ͨˀƸ ȍǮǾ 1 ɞɱɻɑ ǽॹˀⶲ Ǜ 100 ҽ ɑɳȡ❞ ǗȚ 8% ॹˀⶲǽԑ⤴༔⫧᤹ 6% ͨˀƸ ǚdz᰷͙ ȡửỮ ǺˀࡋȚ ͛ǠȳɎȼɲʀ 5% ͨˀƸ 4% ͨˀƸ 3% ͨˀƸ ǚdz᰷͙ ǚdz᰷͙ ǚdz᰷͙ ȡˀࡋȚ ȡ⇙౩ˀ Ƿ۴ᕮᛡ ࡋȚ ॹˀⶲ 2.5-5 ҽɑ ɳǽ⅋᰷ ɞɱɻɑ ᄋǛ 1 ͨ ˀ ॹˀⶲ 12.5 ҽɑɳ ǽ⅋᰷ɞ ɱɻɑᄋ Ǜ 1 ͨˀ ॹˀⶲ 1 ҽቈᛙǽ ᕸ᧸ݨɞ ɱɻɑ 3% ቈᛙƸ ǚdz᰷͙ ౪ࢍǷ۴ ᕮᛡǑȚ ǓǾǬț ȡˁࡋȚ 2% ቈᛙƸ 0% ቈᛙ ǚdz᰷͙ ౪ࢍȡˁ ࡋȚ ┶ࡍ 2 ǽɦɋɜɻȸệእ⿉ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම ᰷۵ ɨʀɏȫʀɂǽ͛Ǡ ┶ࡍǺ࣠ǴǞ͛Ǡ Factor Weightings ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම లईȿȯȪ ɞɱɻɑמ 8% 5% ॹˀⶲǽ ԑ⤴༔⫧ 8% ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * A1 A Aaa A Ba UST Inc. A3 A Aaa Baa Baa Altria Group Inc.** Baa1 Aa Aaa Aaa Ba BAT Baa1 A A A Aa Swedish Match Baa1 Baa A Baa Baa A3 Baa Ba A A Altadis Baa2 Baa A Baa B Sampoerna Baa2 A A Baa A Imperial Tobacco Baa3 Baa Aa Baa Ba Reynolds American** Ba1 Baa A A Ba Lorillard/Loews*** * 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け **Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ ら れてい る。 訴訟 リ ス ク の織 り 込みにつ いては 23 ページ参照 ***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け ɥɀɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ ɕȴɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ 14 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー 市場シ ェ アのポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 4 社、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社のみであ っ た。 ブ ラ ン ド 力のポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社のみであ っ た。 売上高の内部成長については、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーが 4 社、 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社のみであ っ た。 市場シ ェ ア 一部のたば こ 会社は主要市場において極めて高いシ ェ ア を有する 傾向があ り 、 こ の指標に基づいた場 合、 日本たば こ 産業、 UST、 Altria は Aaa、 Imperial Tobacco も Aa と い う 高い格付け と な る。 こ れは、 一般的にたば こ 市場は地域性が非常に強い こ と 、 すなわち、 こ れ ら のたば こ 会社の地域市場での支配 的な地位を反映 し てい る 。 日本たば こ 産業の高い地域市場シ ェ アは、 母国市場での独占的なシ ェ ア を反映 し てい る。 営業基 盤についての高い評価を、 地理的分散性の低 さ が減殺 し てい る。 UST は Skoal と Copenhagen ブ ラ ン ド に よ っ て米国の高級無煙たば こ 市場で ト ッ プシ ェ ア を握 り 、低 価格の無煙たば こ 市場で も Husky お よ び Red Seal ブ ラ ン ド に よ っ て市場地位を強化 し つつあ る 。 Altria は看板ブ ラ ン ド の Marlboro に よ っ て米国市場で支配的な地位にあ る こ と が要因で、ア ウ ト ラ Imperial Tobacco は英国の紙巻たば こ と 高級刻みたば こ 市場で極めて高いシ ェ ア を有する 。 こ のポ O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y イ ヤー と な る 。 し か し 、 同社の強固な営業基盤は極めて限定的な製品の分散性に よ っ て相殺 さ れ てい る 。 ジ テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーにつなが る 要因は、 全般的に比較的低い流動性お よ び リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー対純有利子負債比率の ス コ アに よ っ て相殺 さ れ る。 Lorillard が市場シ ェ アでネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、米国の他のたば こ メ ーカー と 比 較 し た同社のブ ラ ン ド 力の弱 さ を 反映 し て い る 。 し か し 、 メ ン ソ ールたば こ 市場では、 同社の Newport ブ ラ ン ド が極めて強固な ト ッ プシ ェ ア を握っ てい る 。 ブラン ド力 一般的に、 こ の指標 と 実際の格付け と の相関は高い。 こ の指標に基づ く 格付けが実際の格付け と 異な る のは Altria のみで、 同社の ス コ アは Aaa に位置付け ら れ る。 同社は支配的地位にあ る グ ロ ーバルブ ラ ン ド の Marlboro を有 し 、 同ブ ラ ン ド は世界で年間 100 億 ド ル以上の売上高を計上 し てい る。 同社 は紙巻たば こ 以外の製品を あ ま り 手掛けていないため、 製品の分散性の ス コ アが非常に低 く な り 、 ポ ジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な る 高いブ ラ ン ド 力の ス コ ア を相殺 し てい る 。 売上高の内部成長 一般的にたば こ 業界の内部成長率は非常に低 く 、 特に先進国市場ではその傾向が強い。 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 日本たば こ 産業、 Altria、 Altadis の 3 社であ る。 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは BAT のみであ っ た。 Reynoldsの成長率は無煙たば こ に よ っ て、ま たLorillardの成長率は メ ン ソ ールたば こ に よ っ て押 し 上げ ら れてい る 。 一方、 Altria の内部成長率に基づ く 格付けは Ba であ る。 Altadis の 2006年の売上高の内部成長率は、スペ イ ンでの売上低迷か ら マ イ ナ ス の影響を受けたが、 2007 年には回復す る と 見 ら れ る。 日本たば こ 産業は内部成長率の ス コ アではネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーであ る が、 流動性 と 財務指 標の ス コ アではポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な る こ と で、 こ れを相殺 し てい る。 BAT の高い内部成長率は、多数の成長率の高い発展途上国市場におけ る 強固なブ ラ ン ド 力が牽引 役 と な っ てい る 。 15 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 要因 3 : 収益性 (10%) こ の要因を重視する根拠 業績の安定性は、 事業戦略を計画通 り 実施 し 、 実効的な リ ス ク 管理を行 う 企業の能力を評価する も の で あ る ため、 信用力を示す重要な指標で あ る。 たば こ 業界は概 し て売上高の成長率が比較的低いた め、 売上高の伸び と 収益性は、 市場、 ブ ラ ン ド 、 相対的な シ ェ アに よ っ て左右 さ れ る 部分が大 き い。 そのため、 利益率を大幅に伸ばす こ と はなかなかで き ない。 たば こ 業界の総体的な EBITA マージ ンは、 他の加工消費財業界 よ り 高い。 こ れは、 たば こ 業界が高 い価格設定を行え る こ と 、 単価が比較的安い こ と 、 一般的に大半のたば こ 製品に習慣性があ る こ と を 反映 し てい る 。 ま た、 高級ブ ラ ン ド 品の コ ス ト 構造は低価格品 と 類似 し てい る が平均価格は高いた め、 さ ら に高い利益率を確保で き る 可能性があ る 。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 本格付け手法では過去 12 ヵ 月間の EBITDA マージ ン を用い、 あ る発行体の同マージ ンの推移 と 、 他 社 と の比較の両方に着目す る 。 たば こ 会社のグ ロ ーバルな特性を考慮する と 、 EBITA マージ ンの分析 では通貨お よ び会計基準が異な る 点を考慮する 必要があ る 。 た と えば、売上高の認識は米国 GAAP と 一部の欧州の会計基準 と で異な る 。 さ ら に、 様々な政府系機関か ら 徴収 さ れ る たば こ 税は、 市場に よ っ て扱い方が異な る 場合があ る 。 Altadis と 日本たば こ 産業の EBITA マージ ンは、 販売 ・ 物流事業 を除外す る よ う 調整 さ れてい る 。 ムーデ ィ ーズは比較分析を容易にす る ために、 必要に応 じ て調整を 行う。 EBITA マージ ン (10%) 利益率の水準は事業戦略の成否 と 事業の効率性を示す指標であ る 。 評価方法 EBITA マージ ン (10%) 利息 ・ 税 ・ 償却前利益を売上高で除 し た数字。 過去 12 ヵ 月間のデー タ に基づ く 。 ┶ࡍ 3 ǽ͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⾷10%⾸ ͛Ǡ ȳɎȼɲʀ EBITA ɦʀɀɻ Ƚɞ┶ࡍǽ ȮȯȬɐ 10% Aaa Aa A Baa Ba B Caa > 40% 30% - 40% 20% - 30% 15% - 20% 10% - 15% 5% - 10% <5% ┶ࡍ 3 ǽɦɋɜɻȸệእ⿉ہᬖම ᰷۵ Factor Weighting ɨʀɏȫʀɂǽ͛Ǡ EBITA ɦʀɀɻǺ࣠ǴǞ͛Ǡ 10% ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * A1 A UST Inc. A3 Aaa Altria Group Inc.** Baa1 Aa BAT Baa1 A Swedish Match Baa1 A A3 Aa Altadis Baa2 Baa Sampoerna Baa2 Baa Imperial Tobacco Baa3 Aaa Reynolds American** Ba1 A Lorillard/Loews*** * 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け **Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ られてい る。 訴訟 リ ス ク の織 り 込みに ついては 23 ページ参照 ***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け ɥɀɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ ɕȴɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ 16 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー 2 社がポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 EBITDA マージ ン 収益性でポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 UST と Imperial Tobacco の 2 社であ っ た。 UST の高い収益性は、 米国の無煙たば こ 市場で極めて高いシ ェ ア を維持 し てい る こ と と 、 高い価 格設定を行え る 能力を反映 し てい る 。 Imperial Tobacco の収益性は、 高い市場シ ェ ア と それに よ っ て も た ら さ れ る価格の柔軟性 (特に英 国) を要因 と す る 優れた コ ス ト 効率 と 極めて高い営業利益率を反映 し てい る。 要因 4 : 財務方針 と 流動性 (10%) こ の要因を重視する根拠 O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 財務戦略は現在の財務指標お よ び目標値に照 ら し て分析する 必要があ る 。 たば こ 業界は一般的に売上 高 と キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが安定 し 、 かつ予想可能であ る と い う 特性を有す る が、 将来、 訴訟か ら マ イ ナ ス の影響を受け る 可能性のあ る 企業については、 不確実性が高 く な る。 過去の例か ら 見て、 訴訟関連 の支払いに備え て流動性を確保する 必要性を考慮 し なければ、企業はフ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを成長 機会の獲得ま たは株主への資金還元に用い る こ と がで き る 。 ど ち ら のシナ リ オ も 、 信用力指標の安定 性への影響は大 き く 、 格付けの変更につなが る 可能性があ る 。 企業は全般に事業環境や業況の悪化に対 し て脆弱性を持つ。 ま た、 あ る 企業特有の理由や市場環境全 般の事情か ら 、 市場か ら の資金調達が難 し く な る リ ス ク が あ る。 そのため、 企業の流動性の状態の ウ ォ ッ チは重要で あ る 。 たば こ 会社に関 し て言えば、 訴訟の動向や規制環境は急激に変化 し 得 る 上 に、 短期的な流動性 と 収益性に即座に影響する 。 こ の要因を測る 指標は以下の通 り であ る 。 財務方針 (5%) 適切な リ ス ク 水準の設定は、 企業の財務管理におけ る重要な要因であ る。 と は言え、 債権者 と 株主 と では適切な リ ス ク 水準についての見方が異な る と い う こ と を ムーデ ィ ーズは認識 し てい る 。 ムーデ ィ ―ズは財務方針を評価す る にあ た り 、 財務方針が債権者 と 株主の一方に有利 と な る度合い、 お よ びそ れか ら 生 じ る 信用力への影響を特定する こ と を目指 し てい る 。 訴訟で不利な判決が出 さ れ る リ ス ク が高い企業は、概 し て非常に保守的な財務方針 と 信用指標を維持 す る こ と を選択す る が、訴訟環境の変化に伴いその よ う な財務方針 も 徐々に変化する と ムーデ ィ ーズ は見てい る 。 流動性 (5%) 訴訟が大 き く 不利な方向に進ま ない限 り 、 大半のたば こ 会社の流動性は極めて高い。 通常の事業で必 要な運転資金お よ び資本を維持する ために適切な水準の現金を維持する こ と に加え、 たば こ 会社は訴 訟に伴 う イ ベン ト リ ス ク に備え て保守的な流動性管理を行っ て き た。 ムーデ ィ ーズはバ ラ ン ス シー ト 上の現金、 流動性の高い投資、 利用可能な銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンに よ っ て短期的な資金需要に 対応す る 能力に焦点を あ て る 。 訴訟に関す る懸念が後退すれば、 流動性指標は大幅に低下する と ムー デ ィ ーズは見てい る 。 たば こ 業界は一般的に安定 し てい る が、 たば こ 税や他の規制に伴 う 費用を相殺す る ために、 値上げが 必要にな っ た場合、 販売数量が短期的に落ち込む可能性があ る と ムーデ ィ ーズは考え てい る 。 ま た、 財務方針の積極化に伴い、 レバレ ッ ジが上昇 し 、 業績の変動性が高ま る可能性があ る。 さ ら に、 訴訟 リ ス ク の高いたば こ 会社は、 訴訟に関する 懸念が高まれば、 市場の信認を失 う 可能性があ る。 こ の よ う に、 最 も 資金を必要 と す る期間に資本市場か ら の調達が制約 さ れ る恐れがあ る ため、 流動性の低 さ は長期的に格付けへの下方圧力 と な る 可能性が高い。 17 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価方法 財務方針 (5%) 財務方針は、次の 2種類の イ ベン ト が現在お よ び将来ど の程度の水準で実施 さ れ る かを判断する こ と に よ っ て評価 さ れ る。 まず、 内部キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーま たは借入を原資 と す る 多額の配当支払い や自社株買いを含む大規模な株主への利益配分を分析す る。当然なが ら 、負債調達は全額を フ リ ー キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーで賄 う よ り も 積極的な財務方針であ る と 見な さ れ る 。 フ リ ―キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を上回 る 自社株買い ま たは株主への利益配分は、財務方針の変更の前触れ と 捉え る こ と がで き る 。 次に、 事業買収を詳細に検討す る。 買収価格が適切であ り 、 信用指標が大幅に悪化 し ない よ う に 債務 と 資本のバ ラ ン ス を と り なが ら 資金調達が行われ、 買収後の業績が計画通 り に推移 し てい る よ う な ケース は、 株主 と 債券保有者の利益のバ ラ ン ス を と ろ う と す る 意思を示す も の と 考え ら れ る 。 全額負債調達に よ る 買収、 ま たは事業統合の成功や充分な利益の達成が不確実な場合、 様々 な利害関係者の利益のバ ラ ン ス が取れてい る と は見な さ れない可能性があ る。 最後に、 信用力を一定の水準に維持す る こ と について経営陣が言明 し た コ ミ ッ ト メ ン ト を検討す る 。 一般的には、 投機的等級の企業はかな り 積極的な財務方針を と る 可能性が高い。 一方、 投資 適格等級の企業は、 財務指標が予め定め ら れたパ ラ メ ー タ ー内に収ま る よ う な財務方針を と る こ Y と が多 く 、 それが安心材料 と な っ てい る 。 経営陣が何を優先事項 と し てい る か を評価す る にあ た O M UT ET DA H T O ED DO LO G り 、 ト ッ プの経営陣に と っ て の財務上の イ ン セ ン テ ィ ブお よ び関連す る 具体的な目標 (株価パ フ ォーマ ン ス、 EPS 成長率、 収益性、 レバレ ッ ジ引 き下げな ど) を織 り 込む。 ムーデ ィ ーズは財 務方針の透明性が不足 し てい る 企業については、 よ り 慎重な姿勢で こ の格付け要因を評価す る。 流動性 (5%) 現金、有価証券、回転融資枠の合計を、短期債務 と 1 年以内に満期が到来する 長期債務の合計で除 し た数値 18 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ┶ࡍ 4 ǽ͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⿉⛥ؘᅀ⦠Ƿᘓؔම⾷10%⾸ ͛Ǡ ȳɎȼɲʀ ⛥ؘᅀ⦠ Ƚɞ┶ࡍ ǽȮȯȬɐ 5% ᘓؔම * Aaa Aa A Baa Ba B Caa ᏩȐǵЄમ ǹ⛥ؘᅀ ⦠ƹǃʶᆣ DŽǹংؔ ǛǹǓય ǹ⛥ؘ࿀ ᑙƹӋțǮ Ј᧸מǽỺ ྾Ǻ۹ǠǮ Ȼɧɋɐɩ ɻɐǛǑ Țƹ યǚdz Єમǹ⛥ ؘᅀ⦠ƹય ǹ⛥ؘ ࿀ᑙǽી ὧƹⰞǺ ⶲǓЈ᧸מ ǽỺ྾Ǻ۹ ǠǮȻɧɋ ɐɩɻɐǛ ǑȚƹ ጋ˩⦔╋ǽ ⛥ؘᅀ⦠ƹ ⛷ہȡۅǠ ǵ͛ǠǛ ংሠǤțǮ ીὧǛǑ Țƹഁࡘǹ Ј᧸מǽỺ ྾Ǻ۹ǠǮ Ȼɧɋɐɩ ɻɐǛǑ Țƹ ጋ˩ϢоǙ ȗȂ⛷ہȡ ӋӞǨȚ⛥ ؘᅀ⦠ƹ ⛤҆☈⣕Ǻ ȗȚጋ˩ȇ ǽᬖ⤅ә ǙȗȂ⛥ؘ ȷɋȿɯɻ ǚȘǽნཌ ǓીὧǛǑ Țƹ ҆ྒ⛤ؘǺ ଓඅǶǜ ǩƸؘ҆ɲ ɁɐɱǛർ ┶ǷǹȚ මǛǑ Țƹ 400% ❞ 200-400% ̔ᚬǹ ⛥ؘᅀ⦠Ƹ ጋ˩Ƿ҆ᑤ ǽᬖǽ ɘɱɻɁƸ ࿀ᑙǺগౙ ǹংؔǛǹ ǓƸ⛤҆☈ ⣕ǺȗȚ⛷ ہǺȗȚȬ ɡɻɐɲɁ ȷƹⶲǓЈ ᧸מǽỺ྾ Ǻ۹ǠǮȻ ɧɋɐɩɻ ɐǛǑȚƹ 150-200% 120-150% 100-120% 75-100% 75% ቈᛙ 5% O M UT ET DA H T O ED DO LO G ┶ࡍ 4 ǽɦɋɜɻȸệእ⿉⛥ؘᅀ⦠Ƿᘓؔම Y * 現金、 有価証券、 利用可能な銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計 / 短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計 ᰷۵ ⛥ؘᅀ⦠Ƿᘓؔම ɨʀɏȫʀɂǽ͛Ǡ ┶ࡍǺ࣠ǴǞ͛Ǡ ⛥ؘᅀ⦠ 5% ᘓؔම 5% ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * A1 Aa A Aaa UST Inc. A3 A A A Altria Group Inc.** Baa1 Aa A Aaa BAT Baa1 A Baa Aa Swedish Match Baa1 A Baa Aaa ┶ࡍǽȮȯȬɐ Lorillard/Loews*** A3 A A Aa Altadis Baa2 Baa Baa Baa Sampoerna Baa2 Baa Baa A Imperial Tobacco Baa3 Ba Ba B Reynolds American** Ba1 A Baa Aaa * 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け **Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ ら れている。 訴訟 リ ス クの織 り 込みに ついては 23 ページ参照 ***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け ɥɀɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ ɕȴɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ 19 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー ア ウ ト ラ イ ヤーは流動性に関する サブ要因に集中 し て発生 し た。 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 6 社、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 1 社であ る 。 財務方針の評価におけ る ア ウ ト ラ イ ヤーはない。 流動性 たば こ 業界は極めて潤沢な流動性を特徴 と し てい る 。 こ れは、 訴訟で不利な判決が出 さ れた場合に備 え て充分な流動性を維持す る 必要があ る こ と を一部反映 し てい る 。 ま た、 たば こ 事業の高い収益性 と 強力な キ ャ ッ シ ュ 生成力、お よ び高水準のキ ャ ッ シ ュ残高を維持す る と い う 長年の方針 も 反映 し てい る 。 と は言え、 訴訟環境の改善を考慮す る と 、 たば こ 会社の財務戦略の積極化に伴い、 流動性は現在 の水準か ら 引き 下げ ら れ る と 見 ら れ る 。 Y 現在、 4 社 (日本たば こ 産業、 Altria、 Swedish Match、 Reynolds) の ス コ アが Aaa、 2 社 (BAT、 Lorillard) の ス コ アが Aa と な っ てい る。 米国のたば こ 会社は従来か ら 極めて高い流動性を維持 し て き た。 こ れ は訴訟 リ ス ク を相殺す る 必要性が一部要因であ る が、 たば こ 事業の極めて高い収益性 と 強力な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー生成力 も 要因であ る 。 訴訟に対す る懸念の緩和に伴い、 たば こ 会社は財務方針を積極化 さ せ る と 見 ら れ る ため、 流動性の状態は今後変化 し てい く と ムーデ ィ ーズは予想 し てい る。 日本たば こ 産業は多額の現金 と 有価証券を保有 し てい る ため、 こ の要因のポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは Imperial Tobacco の 1 社であ る。 同社は米国の紙巻たば こ 会社 と は異な り 訴訟 リ ス ク に晒 さ れてお ら ず、 現金残高が少な く 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ン も 限定的であ る (た だ し 充分な枠を有す る ) な ど、 流動性を低めに維持 し てい る 。 要因 5 : レバレ ッ ジ と イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ (35%) こ の要因を重視する根拠 レバレ ッ ジ、 流動性、 イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジは信用 リ ス ク を判断す る上で重要な要因であ る。 高水 準の債務 ま たは重過ぎ る 金利負担を背負 う 企業は、 事業 ト レ ン ド の悪化か ら の影響を受けやす く な り 、 債務を遅滞な く 全額返済す る こ と が不可能にな る リ ス ク が高ま る要因 と な る。 たば こ 業界では市 場が継続的な縮小傾向にあ り 、 たば こ 会社の事業は 1 種類ない し 多 く て も 2 - 3 種類の製品に大き く 依存 し てい る こ と を考慮 し 、 たば こ 業界の リ ス ク の相対的な高 さ を反映 さ せ る ため、 個々の格付け水 準に適切 と さ れ る 指標は比較的高 く 設定 さ れてい る 。 こ の要因の主要指標は次の通 り であ る 。 リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロー/純有利子負債 (10%) こ の指標は配当支払い後のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを測定する も のであ る 。 たば こ 業界では、 配当は真の意 味で企業の裁量に ま か さ れてい る と はいえ ない。 こ れは、 成長率は低いが安定的かつ事業基盤が確立 さ れた事業か ら 、 株主に利益を還元する 必要があ る ためであ る。 たば こ 業界では、 配当支払いの裁量 性が完全ではない点を織 り 込むために、 配当支払い前 と 支払い後のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに着目する 。 フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロー/有利子負債 (5%) こ の比率は運転資本、 設備投資、 配当にキ ャ ッ シ ュ を充当 し た後に利用可能な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを反 映 し 、 迅速に債務を返済す る 能力を評価する も のであ る 。 EBIT /利息カバレ ッ ジ (10%) こ のカバレ ッ ジ比率は、 利息お よ び賃貸料な ど の他の固定費用を支払 う 能力を評価する も のであ る 。 有利子負債/ EBITDA(10%) こ の レバレ ッ ジ指標は、 債務返済に充当で き る利息支払い前の営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを反映 し 、 債務 返済額に対す る 利息支払い前キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの水準を示す指標であ る 。 20 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価方法 レバレ ッ ジ (25%) リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー/純有利子負債 (10%) フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー/有利子負債 (5%) 調整後有利子負債/ EBITDA(10%) イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ (10%) EBIT /支払い利息 (グ ロ ス) (10%) ┶ࡍ 5 ǽ͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⿉ɴɘɴɋɀǷȬɻɇɴɁɐȳɘɴɋɀ⾷35%⾸ Ƚɞ┶ࡍǽ ȮȯȬɐ 10% Aaa Aa A Baa Ba B 100% ❞ 50-100% 30-50% 18-30% 13-18% 8-13% 8% ቈᛙ FCF/ ሱ⛤҆ 5% 40% ❞ 25-40% 15-25% 10-15% 5-10% 0-5% ɦȬɒɁ о EBIT/ ෲ 10% 16.0 Ч❞ 11.0-16.0 Ч 8.0-11.0 Ч 4.5-8.0 Ч 2.5-4.5 Ч 1.5-2.5 Ч 1.5 Чቈᛙ ሱ⛤҆ /EBITDA 10% 0.3 Чቈᛙ 0.3-1.0 Ч 1.0-2.0 Ч 2.0-3.0 Ч 3.0-4.5 Ч 4.5-6.5 Ч ͛ǠȳɎȼɲʀ 6.5 Ч❞ Y RCF/ ẗሱ⛤҆ Caa O M UT ET DA H T O ED DO LO G ┶ࡍ 5 ǽɦɋɜɻȸệእ⿉ɴɘɴɋɀǷȬɻɇɴɁɐȳɘɴɋɀ ᰷۵ ɨʀɏȫʀɂǽ ┶ࡍǺ࣠ǴǞ ͛Ǡ ͛Ǡ ┶ࡍǽȮȯȬɐ ɴɘɴɋɀǷȬɻɇɴɁɐȳɘɴɋɀ RCF/ FCF/ EBIT/ ნཌෲ ሱ⛤҆ / EBITDA ẗሱ⛤҆ ሱ⛤҆ 10% 5% 10% 10% ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * A1 Aa Aaa Aaa Aaa UST Inc. A3 A Baa A Aaa A Altria Group Inc.** Baa1 Aa Aa Aa Aaa Aa BAT Baa1 Baa Baa Ba Baa Baa Swedish Match Baa1 A A B A Baa A3 Aa Aaa Aaa Aaa Aa Altadis Baa2 Ba Ba Baa Ba Ba Sampoerna Baa2 Aa Aa A Aaa Aa Imperial Tobacco Baa3 Ba B Baa Baa Ba Reynolds American** Ba1 Baa Baa A Baa A Lorillard/Loews*** A * 日本たば こ産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け **Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ られている。 訴訟 リ ス ク の織 り 込みにつ いては 23 ページ参照 ***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け ɥɀɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ ɕȴɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ 21 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー 要因 5 で測定 さ れ る 4 つの財務比率におけ る ア ウ ト ラ イ ヤーの大半は、ポジテ ィ ブ方向のア ウ ト ラ イ ヤーであ っ た。 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは FCF /有利子負債の 3 社のみであ っ た。 4 つのサブ要因 に関 し て、 合計 11 社がポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 比較的高い利益率を あげ る 能力、 安定的な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー生成、 総 じ て保守的な財務方針、 競争お よ び訴訟におけ る 不利な判決に備え て充分な財務の柔軟性を維持する と い う 長年の慣行に よ っ て、 た ば こ 業界の財務指標は概 し て強固な水準にあ る 。 最近、 負債調達に よ る買収が増加 し たが、 多 く の買 収案件が交渉段階にあ る (例 : Imperial に よ る Altadis の買収)、 あ る いは業績に ま だ反映 さ れていな いため (例 : 日本たば こ 産業に よ る Gallaher の買収)、 今後 6-12 ヶ 月でア ウ ト ラ イ ヤーのい く つかは 要因に基づ く 格付けが実際の格付け と 一致する よ う にな る と 予想 さ れ る 。本格付け手法で提示 し た分 析は、 全ての企業について過去 12 ヶ 月間の業績数値を用いてい る。 期末は会社に よ っ て異な る。 リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロー/純有利子負債 こ の レバレ ッ ジのサブ要因について、 日本たば こ 産業、 Lorillard、 Sampoerna の 3 社がポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは Imperial Tobacco の 1 社であ っ た。 日本たば こ 産業がポジ テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 現金お よ び有価証券の水準が高いた Lorillard は、 親会社の Loews Corp. が有利子負債 (グループ会社間の債務を除 く ) 全額を保有 し て O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y めであ る 。 い る ため、 ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 Sampoerna は、潤沢な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 同社を 98% 保有す る親会社Altria と の関係を背景 と し て、 レ バレ ッ ジが極めて低い。 Imperial Tobacco は高水準の配当支払いが要因で、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロー/有利子負債 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤーは 2 社 (日本たば こ 産業、 Lorillard)、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー も 2 社 (Swedish Match、 Altadis) であ っ た。 日本たば こ 産業は、有利子負債残高が低 く 、収益性の高いたば こ 事業か ら 生成 さ れ る 潤沢な フ リ ー キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが要因で、 ポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 Lorillard は親会社の Loews Corp. が有利子負債 (グループ会社間の債務を除 く ) 全額を保有 し てい る ため、 ポジ テ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 強力なブ ラ ン ド 力 と 高い収益性に よ っ て、 フ リ ー キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーは潤沢であ る 。 Swedish Match は、 過去 12 ヵ 月間の支払い税額が例外的に高かっ たため、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 Altadis は、 物流事業に必要な運転資本の変動性が高 く 、 それが フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを低減 さ せ る ため、 ネガテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 EBIT /支払利息 EBIT /支払利息カバレ ッ ジでは、 日本たば こ 産業、 UST、 Altria、 Lorillard、 Sampoerna がポジテ ィ ブ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 各社 と も ス コ アは Aaa であ る 。 各社の極めて高いカバレ ッ ジ比率は、 負債 残高が非常に低い こ と を直接的に反映 し てい る 。 各社の定性的な特性は異な る が、 一般的に強固な財 務構造を、 限定的な製品お よ び地理面での分散性 と 低い内部成長率が相殺 し てい る 。 有利子負債/ EBITDA Sampoerna は こ のサブ要因におけ る唯一のア ウ ト ラ イ ヤーであ る。 同社がポジテ ィ ブア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーが潤沢な上、 親会社の Altria か ら 資金を調達で き る ため、 外部調達 の必要性が低い こ と を反映 し てい る 。 22 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 要因 6 : 訴訟 リ ス クの付加 こ の要因を重視する根拠 たば こ 製品は広義の消費者製品の一部であ る が、 たば こ 業界は次にあげ る 3 つの重要な特性に よ っ て 他のセ ク タ ーか ら 明確に区別 さ れ る 。 1. 小売業者はたば こ 会社に対 し 、 限定的な交渉力 し か持たない。 2. 喫煙の禁止や規制が行われ る 中、 喫煙に伴 う 健康 リ ス ク への消費者意識が高ま っ てお り 、 たば こ 製品の需要は減少 し てい く と 見 ら れ る 。 3. 一部市場では訴訟 リ ス ク が高い。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y 従来、 たば こ 会社は細分化 さ れた販売チ ャ ネルや販売数量減少の可能性 と いっ た、 基礎的な信用力に かかわ る 問題を抱え てお り 、 こ れ ら はたば こ 会社の財務諸表に直接的な影響を与え る一方、 訴訟に伴 う イ ベン ト リ ス ク は、 定量化や評価が よ り 困難な問題であ る。 まず、 マ イ ナ ス の影響を与え る 訴訟関 連の イ ベン ト が発生す る 可能性を決定 し 、 潜在的な損失の規模を判断 し な く てはな ら ない。 訴訟で不 利な判決が出 さ れた結果、 多額の現金支払いが必要 と な る可能性は低いか も し れないが、 財務に極め て深刻な影響を与え る 上、 その よ う な判決が出 さ れ る リ ス ク を市場が意識す る こ と で、 特定のたば こ 会社に対す る 市場の信認が大 き く 損なわれ る 可能性があ る 。 そのため、 基礎的な信用力指標に基づけ ば同水準に格付け さ れ る 企業で も 、 訴訟 リ ス ク を考慮 し た場合、 格付けに数 ノ ッ チの差が生 じ る 可能 性があ る 。 格付けに対す る 影響を評価す る ために、訴訟 リ ス ク の付加 と い う 6 番目の要因を格付け手法に取 り 入 れ、 訴訟 リ ス ク に直面す る企業に適用 し た。 訴訟 リ ス ク の付加は、 米国、 カナダな ど の訴訟 リ ス ク の 高い市場で事業を展開す る 企業に適用 さ れ る。 こ の よ う な市場では、 原告に有利な訴訟環境があ り 、 集団訴訟を起 こ す機会が よ り 広 く 認め ら れてい る 。控訴に必要な担保金に上限を設定する 法案が多 く の州の議会を通過 し た こ と や、 一部の裁判所の判決や連邦法に よ っ て、 こ の リ ス ク は低減 し た。 と は 言え、 裁判所は判決を下すにあ た っ て強い権限を有 し てお り 、 陪審員の評決は予測がつかない こ と が 多い。 従っ て、 こ れ ら の市場での売上高が大半を占め る たば こ 会社については、 格付け手法に基づ く 総合的な格付けに最大 3 ノ ッ チの調整を織 り 込む。 上記 3 カ国以外の国で事業を行 う 企業については、 格付け要因に訴訟 リ ス ク は含まれない。 欧州、 ア フ リ カ、 ア ジ アでは、 審理に至 る前に裁判官が原告側の訴え を棄却す る こ と が多 く 、 原告側が敗訴 し た場合、 被告の訴訟費用 も 負担する よ う 求め ら れ る こ と が多い ( こ れが提訴を抑止 し てい る)。 ま た、 原告に支払われ る 損害賠償が少額であ り 、 原告は個人訴訟 し か起 こ せないため、 集団訴訟に伴 う 巨額 の損害賠償の リ ス ク が低減 さ れてい る 。 たば こ 会社発行体の地理的エ ク ス ポージ ャ ーを考慮する と 、 Altria、 Loews、 Reynolds は米国のたば こ 市場へのエ ク ス ポージ ャ ーが高いため、 要因 6 が適用 さ れ る。 カナダ と 米国で訴訟へのエ ク ス ポー ジ ャ ーを有す る BAT も こ れに含まれ る 。 訴訟 リ ス ク を付加 し て算出 し た BAT の格付けへの引き 下げ 幅は 1 ノ ッ チ強 (1.2) であ る が、 格付けに織 り 込む引 き下げ幅は 1 ノ ッ チ未満であ る。 こ れは、 B&W は米国事業に関連す る 現在お よ び将来のあ ら ゆ る 訴訟におけ る 損害賠償義務か ら 免責 さ れ る こ と が、 BAT と Reynolds American の事業統合で生まれた新会社に認め ら れてい る ため、 B&W の負 う 最終的 な リ ス ク があ る 程度緩和 さ れ る か ら であ る 。 し か し 、 B&W は Reynolds American か ら 財務上の保護を 受け る 被告の立場にあ る こ と にかわ り はな く 、 こ の保護は Reynolds American の財務力が限界 と な る。 さ ら に、BAT PLC は、B&W に金銭の支払いを命 じ る判決の影響か ら 引 き 続き 隔離 さ れ る と ムーデ ィ ー ズは想定 し てい る 。 ただ し 、 こ れは依然 と し て法解釈次第であ る 。 訴訟 リ ス ク の高い事業環境下にあ る 企業については、 訴訟 リ ス ク を 4 つの要因か ら 検討する 。 4 つの 指標の内、 3 指標に対 し 、 1 番目の指標 (認定 さ れた集団訴訟の数) と 比べた相対的な重要性に基づ く ウ ェ イ ト を付加す る 。 1 番目の指標の ウ ェ イ ト は、 総体的な評価におけ る 重要性を考慮 し て 40% と す る。 可能性は低いがマ イ ナ ス の影響は大 き い と い う 訴訟 リ ス ク の性質を鑑み る と 、 実際の格付け は、 極めて不利な判決が出た場合の影響に比 し て高すぎ る可能性があ る。 格付け手法では訴訟 リ ス ク の調整幅を 3 ノ ッ チ ま で と し てい る が、 訴訟 リ ス ク が例外的に高い場合、 格付け委員会は 3 ノ ッ チ以 23 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 上の調整を行 う 場合があ る。 その場合は、 本格付け手法が定め る 標準的ア プ ロ ーチ を逸脱 し てい る 旨、 明記す る。 ま た、 極めて厳 し い判決が出 さ れ る 可能性は非常に低 く 、 訴訟 リ ス ク の調整に織 り 込 まれていない場合があ る 。 そのため、 訴訟に よ っ ては不利な判決が出 さ れた結果、 格下げが行われ る 可能性があ る 。 例 と し て、 2003 年の Price-Miles 訴訟での イ リ ノ イ 州裁判所に よ る 一審判決があ る 。 こ の要因を評価す る 主要指標は次の通 り であ る 。 認定 さ れた集団訴訟の数 (40%) 集団訴訟は不利な判決が出 さ れた場合の財務への影響が大 き いため、 最 も 重要な訴訟 リ ス ク であ る。 喫煙関連の医療費返還訴訟や独禁法訴訟な ど、 様々な申 し 立て を含む多数の認定 さ れた集団訴訟が、 州お よ び連邦 レ ベルで現在審理中で あ る 。 認定済み も し く は今後認定 さ れ る 可能性の あ る 集団訴訟 は、 たば こ 会社に と っ て最大の リ ス ク と な る と ムーデ ィ ーズは見てい る 。 様々な段階にあ る 20 以上 の他の タ イ プの訴訟が、 最終的に集団訴訟 と し て認定 さ れ る 可能性があ る 。 Y 個人訴訟 も 同様に重要であ る ため、 各社が計上 し ていないエ ク ス ポージ ャ ー、 すなわち発行体の財務 諸表に反映 さ れない潜在的債務を評価する 際に、 個人訴訟の リ ス ク を織 り 込む。 たば こ 会社に対する 個人訴訟の数は 3,000 を超え、 今後増加す る可能性があ る が、 ムーデ ィ ーズは現在審理中の認定 さ れ た集団訴訟の数を重視す る 。 個人訴訟ではたば こ 会社に有利な判決が出 さ れた実績があ り 、 損害賠償 額 も 限定的 と 見 ら れ る 点を ムーデ ィ ーズは認識 し てい る 。 個人訴訟の潜在的 リ ス ク は、 次に述べる 未 計上のエ ク ス ポージ ャ ーの定義に よ っ て捕捉 さ れ る 。 O M UT ET DA H T O ED DO LO G 認定 さ れた集団訴訟で も 、 19 の州で約 60 件が棄却あ る いは逆転判決が出 さ れ る な ど、 たば こ 会社に と っ て有利な結果に終わ っ たが、 た と え 1 件で も 敗訴 と なればその影響は大 き かっ た と 考え ら れ る。 従っ て、 不利な判決が出 さ れた場合の リ ス ク の大 き さ を考慮 し 、 ムーデ ィ ーズは個々の集団訴訟を注 意深 く モニ タ ー し てい く 。 控訴手続 き には時間がかか る ため、 集団訴訟の解決には長期間を要す る。 集団訴訟 と し て認定 さ れれ ば、 リ ス ク は充分に高い と ムーデ ィ ーズは見てい る。 最高裁への控訴を含む全ての控訴が終了する ま では、 訴訟 リ ス ク が残 る と みな さ れ る。 た と えば、 フ ロ リ ダ州の Engle 集団訴訟はフ ロ リ ダ州最高裁 に よ っ て認定取 り 消 し と な り 、 原告の控訴は棄却 さ れたが、 原告が連邦最高裁に控訴す る 可能性は 残っ てい る 。 フ ロ リ ダ州最高裁が認定 し たい く つかの事項について、 たば こ 業界は現在、 連邦最高裁 に上告中であ る 。 純流動性/未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%) 訴訟で不利な判決が出 さ れ る リ ス ク があ る ため、 たば こ 会社は通常、 その よ う な判決に よ っ て短期的 に財務が圧迫 さ れ る 場合に備え、 極めて高い流動性を維持 し てい る。 多 く の州で控訴のための担保金 に上限が設け ら れ る な ど、 たば こ 会社に有利な展開がみ ら れ、 それに よ っ て対処不可能な多額の債務 を負 う リ ス ク は低減 し た も のの、その よ う な イ ベン ト の影響に対処す る 各社の能力を評価する こ と は 依然重要であ る 。 認定 さ れた集団訴訟で不利な判決が出 さ れ る 、 あ る いは控訴のための担保金が請求 さ れ る場合、 財務 負担は極めて重 く な る が、 こ の指標は集団訴訟以外の訴訟で考慮 さ れ る 未計上のエ ク ス ポージ ャ ーを 定量化す る も の で あ る 。 具体的には、 利用可能な与信枠 を 含む短期流動性が潜在的な エ ク ス ポー ジ ャ ーを カバーす る のに充分か ど う か を検討する 。 潜在的エ ク ス ポージ ャ ーを検討する 際に、 不利な判決が出 さ れ控訴中であ る が、 ま だ賠償金は支払わ れていない全ての訴訟の賠償金額か ら 、 控訴に必要な担保金を差 し 引いた金額を考慮に入れ る。 係争 中の個人訴訟か ら 発生す る 可能性のあ る 損失 も 推定 し 、 潜在的エ ク ス ポージ ャ ーの評価に織 り 込む。 その際に、 提訴の件数、 その中で審理 さ れた訴訟件数の割合、 被告に有利な判決が出 さ れた割合、 被 告が敗訴 し た場合に最終的に支払われた金額を検討す る。 最終的に敗訴 と な る 割合はかな り 低いが、 膨大な提訴件数 と 、 訴訟 リ ス ク に内在す る不確実性を鑑み る と 、 こ のアプ ロ ーチが訴訟件数を評価す る ための最良のアプ ロ ーチであ る 。 個人訴訟か ら 発生す る 可能性のあ る 損失については、 こ の指標では数量化で き ない。 従っ て、 こ の種 の訴訟に直面 し てい る 企業は、 極めて高い流動性を維持する 必要があ る 。 24 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ EBITDA /未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%) こ の指標はたば こ 業界に と っ てのキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの重要性を考慮に入れ、係争中の訴訟にかかわ る 財務 リ ス ク と 将来発生す る 可能性のあ る 損失の相対的な規模を示す も のであ る 。 訴訟環境の評価 (20%) こ のサブ要因は、 一般的な訴訟環境を定性的に評価 し 、 訴訟プ ロ セ ス の進展 と 、 特定の企業ま たは業 界に関連す る 地域で不利な判決が出 さ れ る リ ス ク が上昇 し てい る か低減 し てい る か を検討す る も の であ る 。 評価においては、 新たな訴訟案件が提訴 さ れ るペース、 原告の敗訴、 個人訴訟 と 集団訴訟に おけ る 裁判所の判決、 控訴に必要な担保金の変更な ど を考慮する 。 訴訟環境の指標は、 極めて良好、 中程度、 不確実、 厳 し い、 と い う 連続ス ケール上の ス コ アであ る。 たば こ 業界に と っ て、 現在の米国の訴訟環境は改善 し てい る と ムーデ ィ ーズは見てい る が、 不確実性 や予測不可能な要素 も 残 る 。 従っ て、 将来の訴訟 リ ス ク の主要な指標 と な り 、 今後の格付けア ク シ ョ ンの引 き 金 と な る こ の格付け要因には高い ウ ェ イ ト を付加する 。 評価方法 係争中の認定 さ れた集団訴訟の数 (40%) 原告が控訴す る 可能性のあ る 認定 さ れた集団訴訟の数。 連邦最高裁への上告を含む。 Y O M UT ET DA H T O ED DO LO G 純流動性/未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%) 純流動性 と は、現金 と 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計か ら 短期債務 と 1年以内に満期が到来す る 長期債務の合計を控除 し た数値を未計上のエ ク ス ポージ ャ ーで除 し た も の。 未計上のエ ク ス ポージ ャ ーは、 不利な判決に よ る 賠償金額 と 個人訴訟 と 集団訴訟以外の訴訟か ら 発生す る 可能性のあ る 損失の合計か ら 担保金残高を控除 し た も の。 EBITDA /未計上のエ ク スポージ ャ ー (20%) 訴訟環境の評価 (20%) 全体的な訴訟環境を主観的に評価 し 、 「良好」 か ら 「厳 し い」 ま での ス ケールで ス コ ア を付け る。 ┶ࡍ 6 ǽ͛Ǡɦɋɜɻȸ࣠ᛡ⿉□▐ɲɁȷ ˩┶Ꮀ╿ⱼᬶ ǜˁǡǹǦ 1 ɖɋɉǜˁǡ 2 ɖɋɉǜˁǡ 3 ɖɋɉͨˀ ǽǜˁǡ ◜ǤțǮϭ̕˛ǽ⮥ࡐ□▐ǽᄋ 40% ǹǦ 1-2 Ͳ 3-4 Ͳ 5 Ͳͨˀ ẗᘓؔම / ቈ╹ˀǽȰȷɁɥʀɀɫʀ * 20% 15 Ч❞ 5-15 Ч 1-5 Ч 1 Чቈᛙ EBITDA/ ቈ╹ˀǽȰȷɁɥʀɀɫʀ 20% 16 Ч❞ 8-16 Ч 1-8 Ч 1 Чቈᛙ □▐ᦹऴ 20% ↝ ˛Ρ ˃ી ڴǦǓ * 現金 と 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計か ら短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計を控除 し た数値を未計上の エ ク スポージ ャ ーで除 し た も の。 ┶ࡍ 6 ǽɦɋɜɻȸệእ⿉□▐ɲɁȷ ᰷۵ ☈ᄏɖɋɉᄋ ◜ǤțǮϭ̕˛ ǽ⮥ࡐ□▐ǽᄋ EBITDA/ ቈ╹ˀǽ □▐ᦹऴ ȰȷɁɥʀɀɫʀ 20% 20% 40% 20% 2 3 1 1 2 BAT 1.2 3 1 1 1 Lorillard/Loews 1.4 2 1 0 2 2 3 1 1 2 ┶ࡍǽȮȯȬɐ Altria Group Inc. Reynolds American 25 ẗᘓؔම / ቈ╹ˀǽ ȰȷɁɥʀɀɫʀ 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 評価結果 認定 さ れた係争中の集団訴訟の数 集団訴訟に よ る 債務へのエ ク ス ポージ ャ ーに関 し 、Reynolds と Altriaがそれぞれ3 ノ ッ チ以上の引き 下げの対象 と な る 。 両社は現在、 州お よ び連邦裁判所で係争中の認定 さ れた集団訴訟を 5 件以上 抱え る 。 Lorillardが抱え る訴訟件数は4件のみであ る ため、こ の指標に基づ く 引き 下げ幅は2 ノ ッ チに と ど ま る。 純流動性/未計上のエ ク スポージ ャ ー 3 社 と も に未計上のエ ク ス ポージ ャ ーに対 し 5 倍以上 と い う 極めて高い流動性を維持 し てい る。各 社 と も こ の指標に基づ く 引き 下げ幅は 1 ノ ッ チであ る 。 EBITA /未計上のエ ク スポージ ャ ー Lorillard の未計上のエ ク ス ポージ ャ ーは限定的であ る ため、 こ の指標の ス コ アは高い。 Altria と Reynolds は、 中位の未計上のエ ク ス ポージ ャ ー と 潤沢な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを有 し てお り 、 O M UT ET DA H T O ED DO LO G 訴訟環境の評価 Y 引 き 下げ幅は 1 ノ ッ チ と な る 。 米国の訴訟環境は予測が難 し いため、 全社が 2 ノ ッ チ引 き 下げ ら れ る 。 訴訟 リ ス ク に関する総合的な評価結果 サブ要因の ス コ ア と ウ ェ イ ト を総合する と 、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだ場合、 Altria と Reynolds は訴訟 リ ス ク の調整に よ る 引 き 下げ幅が 2 ノ ッ チ、 Lorillard は 1-2 ノ ッ チ と な る。 BAT の ウ ェ イ ト 付け し た 総合ス コ アに よ る 訴訟 リ ス ク の調整幅は 1 ノ ッ チ強であ る が、実際の格付けに織 り 込む引き 下げ幅は 1 ノ ッ チ未満であ る。 こ れは、 B&W は米国事業に関連す る現在お よ び将来のあ ら ゆ る 訴訟におけ る 損害賠償義務か ら 免責 さ れ る こ と が、 BAT と Reynolds American の事業統合で生まれた新会社に認め ら れてい る ため、 B&W の負 う 最終的な リ ス ク があ る程度緩和 さ れ る か ら であ る。 ただ し 、 B&W が Reynolds American か ら 受け ら れ る財務上の保護は、 Reynolds American の財務力が限界 と な る。 さ ら に、BAT PLC は B&W に金銭の支払いを命 じ る判決の影響か ら あ る程度隔離 さ れ る と ムーデ ィ ーズは 想定 し てい る 。 こ れは法解釈次第であ る が、 こ の リ ス ク は現在の と こ ろ極めて低い と ムーデ ィ ーズは 見てい る 。 ͛ǠǺ⬄ǨȚǬǽ͙ǽᎰ╿ⱼᬶ ムーデ ィ ーズが考慮す る 要因は上述 し た も の以外に も あ る が、本格付け手法に織 り 込まれてい る 要因 に基づいた評価は、 たば こ 業界の信用力に対す る ムーデ ィ ーズの見方に相当近い も の と な る 。 ムー デ ィ ーズは経営陣の質、 コーポ レー ト ガバナン ス、 財務管理、 買収戦略、 流動性管理、 イ ベン ト リ ス ク 、 季節性な ど他の要因 も 考慮する 。 こ れ ら の要因の分析 も 格付けプ ロ セ ス に不可欠な も のであ る 。 経営陣の質 経営陣の質は企業の信用力を支え る 重要な要因であ る。 ムーデ ィ ーズは通常、 上級経営陣 と 面会 し 、 事業戦略、 事業方針、 経営哲学を検討す る。 事業方針の一貫性が確立 さ れれば、 ムーデ ィ ーズはそれに基づいて、 経営陣が将来ス ト レ ス状況 下に置かれた際に ど の よ う な行動を と る か を予想す る こ と がで き る。 ま た、 経営チームの実績は、 経営陣が現在の経営哲学か ら 大き く 外れ る傾向が どれ く ら いあ る か を示す指標 と な る。 26 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ コ ーポレー ト ガバナン ス コ ーポ レー ト ガバナン ス で特に重視 さ れ る のは、 企業の監査委員会の財務に関す る 専門性、 幹部 の報酬制度に よ る イ ン セ ン テ ィ ブ、 関連当事者 と の取引、 外部監査役 と のや り と り 、 株主構成で あ る。 財務管理 ムーデ ィ ーズは格付けの付与お よ びモニ タ リ ン グにおいて、 監査済みの財務諸表は正確であ る と 考え てい る。 こ の よ う な正確性は、 業務の集中化、 上層部の適切な姿勢、 会計方針 と 手続 き の一 貫性を含む強力な内部統制があ っ て初めて可能 と な る。 サーベン ス ・ オ ク ス リ ー法 404 条に基づ き内部統制の認証が新たに要請 さ れ る よ う にな っ た こ と で、 大半の企業の財務プ ロ セ ス は改善 さ れた。 ムーデ ィ ーズはサーベン ス ・ オ ク ス リ ー法の遵守 に加え、 専門知識を有す る 内部監査部門お よ び内部統制に対す る 全社的な注力を検討す る 。 全社 的な財務報告プ ロ セ ス の弱点、 財務諸表の修正、 SEC への提出の遅延は、 内部統制が機能 し てい ない可能性を示す。 買収戦略 買収には戦略的な意義があ り 、 事業の強化につなが る 可能性があ る 。 特に、 規制が厳 し く 長期的 Y に縮小傾向にあ る たば こ 市場か ら 事業を分散 さ せ る と い う 重要な効果があ る。 現在の格付け水準 O M UT ET DA H T O ED DO LO G を維持 し なが ら 買収を行 う 企業の能力を評価す る にあ た り 、 ムーデ ィ ーズは経営陣の リ ス ク 選好 度を考慮す る。 こ れには、 中期的に新た な買収を行 う 可能性、 自社株買い、 具体的な レ バ レ ッ ジ 目標への コ ミ ッ ト メ ン ト 、 買収が全地域で充分な利益を生む可能性、 買収対象を含む基礎的な事 業の変動性が含まれ る 。 一般的に、 買収に よ っ て戦略上効果的な事業の組み合わせが期待で き る か ど う か、 買収後のプ ロ フ ォーマベース のキ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン/レ バレ ッ ジ、 信用指標が比較的短期間で回復す る と の 見方がで き る か ど う かに よ っ て、 格付けは買収後 も 維持 さ れ る 可能性があ る。 特に、 投資適格等 級の発行体の場合、 通常の許容可能な範囲を超え て レ バレ ッ ジが上昇 し た場合で も 、 上述の条件 次第で格付けは維持 さ れ る 。 流動性管理 流動性は全ての発行体に と っ て重要であ る が、 特にたば こ 業界では、 事業お よ び財務の柔軟性が 劣 る 投機的等級の発行体に と っ て不可欠であ る。 ま た、 CP 発行体に と っ て、 流動性は極めて重要 であ る 。 CP 市場は市場の信認か ら 影響を受けやす く 、 たば こ 会社が直面する 訴訟の判決次第で市 場の信認は大 き く 揺 ら ぐ ため、CP 発行体は充分なバ ッ ク ア ッ プ ラ イ ン を確保する こ と が必要であ る 。 要因 4 で示 し た流動性指標に加え、 ムーデ ィ ーズは必要 と さ れ る 短期流動性に関連す る 他の 側面について、 現金の流入お よ び支払い と い う 観点か ら 検討す る。 その一環 と し て、 業界サ イ ク ルの比較的緩やかな下降局面において も 企業が コ ベナン ツ の緩和を必要 と す る か ど う か を判断す る ため、 銀行 コ ベナン ツ と 猶予幅を注意深 く モニ タ リ ン グす る。 イ ベン ト リ ス ク 予想外の イ ベン ト に よ っ て企業の基礎的な信用力が突然大幅に悪化す る 可能性 も 考慮す る 。 その よ う な イ ベン ト の典型的な例 と し て、 M&A、 資本再編計画、 訴訟、 大規模な自社株買いが挙げ ら れる。 27 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ệ☟ たば こ 業界の格付けは大部分が投資適格等級で、 格付け平均は Baa1 であ る。 大半が投資適格等級で あ る と い う 特徴は、 格付け対象のたば こ 会社の多 く が大企業であ り 、 地理的に分散 さ れた事業で主導 的地位を維持 し てい る こ と を反映 し てい る 。 ま た、 多数のたば こ 会社に対する 定量的評価の高 さ も 織 り 込まれてお り 、 一般的に強力な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー、 比較的低い レバレ ッ ジ、 訴訟 リ ス ク の低減な ど がその背景 と な っ てい る 。 全体 と し て、 定量要因が全要因の ウ ェ イ ト の 66%、 定性要因が 34% を占め る。 要因ご と の ス コ ア を 格付けにマ ッ ピ ン グ し た結果、格付け手法に基づ く 格付け と 実際の格付け と の相関は相当高い こ と が 示 さ れた。 全てのサブ要因 と 要因に基づ く マ ッ ピ ン グ結果 と 、 格付け手法が示唆す る 数字付加記号付 き 格付け を、 各社の実際の格付け と 比較 し た も のを付録の表に示す。 格付け手法が示唆す る 9 社 (Lorillard を除 く ) の格付けは、 次の通 り であ る 。 5 社の格付けが実際の格付け と 一致 し た (UST、 Swedish Match、 Imperial Tobacco、 BAT、 日本た ば こ 産業) 2 社の格付けが実際の格付け を 1 ノ ッ チ上回っ た (Altria、 Reynolds) 1 社の格付けが実際の格付け を 1 ノ ッ チ下回っ た (Altadis) 1社の格付けが実際の格付け を 2 ノ ッ チ上回っ た(Sampoernaの格付けは イ ン ド ネシ アの自国通貨建 O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y て債務格付け Baa2 が上限 と な る )。 28 2010 ౫ 9 ሰ ƛ ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ͛ཆᗕ 付録 A 1 - ╄ᑡǷոᄃම ⾷ȮȯȬɐ⿉24%⾸ ἕॹˀⶲ 8% ࢄᥴոᄃම 8% 1 ˩┶࡛ /1 ˩┶ࢄࣕ ǽॹˀⶲǽᕉ᤹ ǚdz ॹˀǛ╹ˀǤțȚ࡛ / ˩┶ࢄࣕǽᄋ ⓯ݨǽոᄃම⾷ॹˀ ⶲǽ 10% ͨˀȡᐦ ༔ǨȚɃȸɩɻɐ / ⓯⾸ݨ 2 - ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම ⾷ȮȯȬɐ⿉21%⾸ ˩┶లईǶǽȿȯȪ ⾷⦘ⲥɡʀɁ⾸ ɞɱɻɑמ ॹˀⶲǽԑ⤴༔⫧᤹ EBITA ɦʀɀɻ Aa A Baa Ba B Caa 400 ҽɑɳ❞ 200-400 ҽɑɳ 100-200 ҽɑɳ 40-100 ҽɑɳ 15-40 ҽɑɳ 5-15 ҽɑɳ 5 ҽɑɳቈᛙ 20% ቈᛙ 20-40% 40-60% 60-75% 75-90% 90% ❞ ǚdz ǚdz ǚdz ǚdz ǚdz ǚdz 6 ͨˀǽ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕǶॹ ˀȡ╹ˀ 5 ͨˀǽ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕǶॹ ˀȡ╹ˀ 4 ͨˀǽ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕǶॹ ˀȡ╹ˀ 3 ͨˀǽ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕǶॹ ˀȡ╹ˀ 2 ͨˀǽ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕǶॹ ˀȡ╹ˀ 1 dzǽ˩┶࡛ / ˩┶ࢄࣕǶॹˀ ȡ╹ˀ 8% 8 ❞ǽ⓯ݨɃȸ ɩɻɐ 7-8 ǽ⓯ݨɃȸ ɩɻɐ 5-6 ǽ⓯ݨɃȸ ɩɻɐ 3-4 ǽ⓯ݨɃȸ ɩɻɐ 2 ⓯ݨɃȸɩɻ ɐ 2 ⓯ݨɃȸɩɻ 1 ⓯ݨɃȸɩɻ ɐƸǮǯǦ 1 Ƀ ɐ ȸɩɻɐǺ⮥˛ 8% 50% ❞ 30-50% 20-30% 15-20% 10-15% 5% ॹˀⶲ 10 ҽɑ ɳ❞ǽ⅋᰷ɞɱ ɻɑᄋǛ 5 ͨ ˀƸȍǮǾ 1 ɞ ɱɻɑǽॹˀⶲ Ǜ 100 ҽɑɳȡ ❞ǗȚ ॹˀⶲ 10 ҽɑ ॹˀⶲ 10 ҽɑ ɳ❞ǽ⅋᰷ɞɱ ɳ❞ǽ⅋᰷ɞɱ ɻɑᄋǛ 3-4Ƹ ɻɑᄋǛ 1-2 ȍǮǾ 1 ɞɱɻ ɑǽॹˀⶲǛ 50 ҽɑɳȡ❞ ǗȚ ॹˀⶲ 5 ҽɑɳ ॹˀⶲ 2.5-5 ҽ ॹˀⶲ 1-2.5 ҽ ॹˀⶲ 1 ҽቈᛙ ❞ǽ⅋᰷ɞɱɻ ɑɳǽ⅋᰷ɞɱ ɑɳǽ⅋᰷ɞɱ ǽᕸ᧸ݨɞɱɻ ɑᄋǛ 1 ͨˀ ɻɑᄋǛ 1 ͨˀ ɻɑᄋǛ 1 ͨˀ ɑ 8% 6% ❞Ƹǚdz͙ ᰷ȡửỮǺˀ ࡋȚ 5% ❞Ƹǚdz͙ ᰷ȡˀࡋȚ 4% ❞Ƹǚdz͙ ᰷ȡ⇙౩ˀࡋȚ 3% ❞Ƹǚdz͙ ᰷Ƿ۴ᕮᛡ 10% 40% ❞ 30-40% 20-30% 15-20% 3% ቈᛙƸǚdz ᰷͙౪ࢍǷ۴ᕮ ᛡǑȚǓǾǬț ȡˁࡋȚ 10-15% 5-10% 2% ቈᛙƸǚdz ᰷͙౪ࢍȡˁࡋ Ț 5-10% 1 ȳ࡛ԑǽʶ⤴ ǶǽȎ⛩ॹ 5% ቈᛙ 0% ቈᛙ 5% ቈᛙ Moody’s Corporate Finance 3 - ہᬖම⾷ȮȯȬɐ⿉ 10%⾸ Aaa Y ͛ǠȳɎȼɲʀ O M UT ET DA H T O ED DO LO G 2010 ౫ 9 ሰ ƛ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 29 ͛⩜ ᘓؔම * 5 - ɴɘɴɋɀǷȬɻɇɴ RCF/ ẗሱ⛤҆ Ɂɐȳɘɴɋɀ⾷ȮȯȬ FCF/ ሱ⛤҆ ɐ⿉35%⾸ EBIT/ ෲ ሱ⛤҆ /EBITDA 5% ᏩȐǵЄમǹ ⛥ؘᅀ⦠ƹય ǹ⛥ؘ࿀ᑙƹ ǃʶᆣDŽǹং ؔǛǹǓƹӋț ǮЈ᧸מǽỺ྾ Ǻ۹ǠǮȻɧɋ ɐɩɻɐǛǑ Țƹ Baa Ba B Caa યǚdzЄમ ǹ⛥ؘᅀ⦠ƹ યǹ⛥ؘ࿀ ᑙǽીὧƹⰞ ǺⶲǓЈ᧸מǽ Ỻ྾Ǻ۹ǠǮȻ ɧɋɐɩɻɐǛ ǑȚƹ ጋ˩⦔╋ǽ⛥ؘ ᅀ⦠ƹ⛷ہȡۅ Ǡǵ͛ǠǛং ሠǤțǮીὧǛ ǑȚƹഁࡘǹЈ ᧸מǽỺ྾Ǻ۹ ǠǮȻɧɋɐɩ ɻɐǛǑȚƹ ጋ˩ϢоǙȗȂ ⛷ہȡӋӞǨȚ ⛥ؘᅀ⦠ƹ ⛤҆☈⣕ǺȗȚ ጋ˩ȇǽᬖ⤅ әǙȗȂ⛥ؘ ȷɋȿɯɻǚȘ ǽნཌǓીὧǛ ǑȚƹ ҆ྒ⛤ؘǺଓඅ ǶǜǩƸؘ҆ɲ ɁɐɱǛർ┶Ƿ ǹȚමǛǑ Țƹ 75% ቈᛙ 5% 400% ❞ 200-400% ̔ᚬǹ⛥ؘ ᅀ⦠Ƹጋ˩Ƿ҆ ᑤǽᬖǽɘ ɱɻɁƸ࿀ᑙǺ গౙǹংؔǛǹ ǓƸ⛤҆☈⣕Ǻ ȗȚ⛷ہǺȗDz ǵȬɡɻɐɲɁ ȷǛⶲȍȚ මƹⶲǓЈ᧸מ ǽỺ྾Ǻ۹ǠǮ Ȼɧɋɐɩɻɐ ǛǑȚƹ 150-200% 120-150% 100-120% 75-100% 10% 100% ❞ 50-100% 30-50% 18-30% 13-18% 8-13% 8% ቈᛙ 5% 40% ❞ 25-40% 15-25% 10-15% 5-10% 0-5% ɦȬɒɁо 10% 16.0 Ч❞ 11.0-16.0 Ч 8.0-11.0 Ч 4.5-8.0 Ч 2.5-4.5 Ч 1.5-2.5 Ч 1.5 Чቈᛙ 10% 0.3 Чቈᛙ 0.3-1.0 Ч 1.0-2.0 Ч 2.0-3.0 Ч 3.0-4.5 Ч 4.5-6.5 Ч 6.5 Ч❞ Y ⛥ؘᅀ⦠ A O M UT ET DA H T O ED DO LO G 4 - ⛥ؘᅀ⦠Ƿᘓؔම ⾷ȮȯȬɐ :10%) Aa ͛ཆᗕ 2010 ౫ 9 ሰ ƛ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 30 Aaa ͛ǠȳɎȼɲʀ * 現金、 有価証券、 利用可能な銀行 コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計 / 短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計 Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˩┶Ꮀ╿ⱼᬶ 1 ɖɋɉǜˁǡ 2 ɖɋɉǜˁǡ 3 ɖɋɉͨˀǽǜˁǡ 40% ǹǦ 1-2 Ͳ 3-4 Ͳ 5 Ͳͨˀ ẗᘓؔම / ቈ╹ˀǽȰȷɁɥʀɀɫʀ * 20% 15 Ч❞ 5-15 Ч 1-5 Ч 1 Чቈᛙ EBITDA/ ቈ╹ˀǽȰȷɁɥʀɀɫʀ 20% 16 Ч❞ 8-16 Ч 1-8 Ч 1 Чቈᛙ □▐ᦹऴ 20% ↝ ˛Ρ ˃ી ڴǦǓ Y ǜˁǡǹǦ ◜ǤțǮϭ̕˛ǽ⮥ࡐ□▐ǽᄋ * 現金 と 銀行の コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ンの合計か ら 短期債務 と 1 年以内に満期が到来する長期債務の合計を控除 し た数値を未計上のエ ク スポージ ャ ーで除 し た もの。 Moody’s Corporate Finance O M UT ET DA H T O ED DO LO G 2010 ౫ 9 ሰ ƛ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 31 付録 B ┶ࡍ 1⿉╄ᑡǷոᄃම ᰷۵ ɨʀɏȫʀɂ ͛ǠཆᗕǛᰳތǨȚ ǽ͛Ǡ ͛Ǡ ( □▐ɲɁȷ͛) ף ┶ࡍ 1 Ǻ࣠ǴǞ͛Ǡ ἕॹˀⶲ ȇǽɦɋɜɻȸ 24% 8% ┶ࡍ 2⿉ߙᏡ࣠ᬬǷ༔⫧ම ࢄᥴոᄃම ⓯ݨǽոᄃම ┶ࡍ 2 Ǻ࣠ǴǞ͛Ǡ లईȿȯȪ ɞɱɻɑॹ מˀⶲǽ ȇǽɦɋɜɻȸ ԑ⤴༔⫧ම 8% 8% 21% 8% 5% ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * A1 A1 Baa A Ba Baa A Aaa A Ba UST Inc. A3 A3 Baa Ba B Ba A Aaa Baa Baa 8% Baa1 A3 Baa Aa A B Aa Aaa Aaa Ba BAT Baa1 Baa1 Baa A Aa Ba A A A Aa Swedish Match Baa1 Baa1 Baa Ba Baa Baa Baa A Baa Baa A3 Baa1 Ba Ba B B Baa Ba A A Altadis Baa2 Baa3 Baa Baa Baa Baa Baa A Baa B Sampoerna Baa2 A3 Baa Ba B Ba A A Baa A Imperial Tobacco Baa3 Baa3 Ba Baa Baa Ba Baa Aa Baa Ba Reynolds American* *Ba1 Baa3 Ba Baa B Baa Baa A A Ba Lorillard/Loews*** ┶ࡍ 3⿉ہᬖම ᰷۵ ┶ࡍǽȮȯȬɐ ᅠቊǮǿǢ᧳Ꮱ * O M UT ET DA H T O ED DO LO G Altria Group Inc.** Y ┶ࡍǽȮȯȬɐ ┶ࡍ 4⿉⛥ؘᅀ⦠Ƿᘓؔම ┶ࡍ 5⿉ɴɘɴɋɀǷȬɻɇɴɁɐȳɘɴɋɀ ┶ࡍ 4 Ǻ࣠ǴǞ͛ Ǡȇǽɦɋɜɻȸ 10% ⛥ؘᅀ⦠ 5% 5% A Aa A Aaa Aa Aaa Aaa Aaa A A A A A Baa A Aaa Aa Aa A Aaa Aa Aa Aa Aaa Aa A Baa Aa Baa Baa Ba Baa Baa A Baa Aaa A A B A Baa A A Aa Aa Aaa Aaa Aaa Aa Baa Baa Baa Ba Ba Baa Ba Ba Baa Baa A Aa Aa A Aaa Aa Aaa Altria Group Inc.** Aa BAT A ᘓؔම ┶ࡍ 5 Ǻ࣠ǴǞ͛Ǡ RCF/ ẗሱ⛤҆ FCF/ ሱ⛤҆ EBIT/ ნཌǓෲ ሱ⛤҆ /EBITDA ȇǽɦɋɜɻȸ 35% 10% 5% 10% 10% Swedish Match A Lorillard/Loews*** Aa Altadis Baa Sampoerna Baa Imperial Tobacco Aaa B Ba B Ba B Baa Baa Ba A A Baa Aaa Baa Baa A Baa A Reynolds American* * 日本たば こ 産業の格付けは Aa3 ; 上記格付けはベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評価 5 (1-21 のスケールで評価) に対応する格付け **Altria、 Lorillard、 Reynolds の格付けは、 訴訟 リ ス ク を織 り 込んだため 2 ノ ッ チ引き下げ ら れてい る。 訴訟 リ ス クの付加については 23 ページ参照 ***Lorillard は各付け対象の債務を発行 し ていない。 上記格付け A3 は、 親会社 Loews Corp. のシ ニア無担保債務の格付け ɥɀɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ ɕȴɎȫɞȪȮɐɱȬɬʀ Moody’s Corporate Finance ┶ࡍ 3 Ǻ࣠ǴǞ͛ Ǡȇǽɦɋɜɻȸ 10% UST Inc. ͛ཆᗕ 2010 ౫ 9 ሰ ƛ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ 32 付録 C Moody’s Corporate Finance ͛ཆᗕ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ ɨʀɏȫʀɂɿɀɫəɻጋΉ᰷ lj 105-6220 ኇ̸⤹ᚯٚશ 2 ʷᬶ 5-1 શȸɲʀɻɚɳɂMORIɇɷʀƷ20F Report Number:SC646 Copyright 2010 Moodyæs Investors Service, Inc. ڽȂ / ڻǾ۴᰷ǽɱȬɃɻȽʀڽȂ⬄⢪Ή᰷⾷ͨˁǃɨʀɏȫʀɂDŽǷἕᲠǦȍǨƹ⾸All rights reserved. Ј᧸͛ǾƸ̗ᏡΧƸ˄ЈযẇƸ҆ڻؘǾ҆ⲲؘΚ▩֟ǽଛቻǽᭀଓЈ᧸ɲɁȷǺdzǓǵǽƸɨʀɏȫʀɂɿɀɫəɻጋΉ᰷⾷ͨˁǃMJKKDŽǷ ǓǓȍǨƹ⾸ǽᥰᆣ᠊ǽ╀ǶǨƹMJKK ǾƸЈ᧸ɲɁȷȡƸ̗ᏡΧǛযẇˀɿ⛥ؘˀǽῲؘȡቃᅠǺ୨⒅ǶǜǹǓɲɁȷڽȂɏɝȱɳɐ̗ᨁǛ᧯ ǦǮई۰Ǻ╀⡛ȍțȚǑȘȕȚᲷⲲǽ⛥᧳၏ডǷῲǦǵǓȍǨƹЈ᧸͛ǾƸᘓؔමɲɁȷƸలईϢоɲɁȷƸϢংؔමɲɁȷڽȂǬǽ͙ǽ ɲɁȷǺdzǓǵ╵ڽǨȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹЈ᧸͛ǾƸᥰࢀڻǾ⣏ڸǽ̗ીȡᰳǨȑǽǶǾǑșȍǪȢƹЈ᧸͛ǾƸཱུ✇ڻǾ⛥ؘǺ⬄ǨȚ ╵ȡᐦ༔ǨȚȑǽǶǾǹǞƸᣀǽ▩֟ǽ✱ӱƸॹڋƸڻǾЄሱȡဝǨȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹЈ᧸͛ǾƸᣀǽཱུ✇ૐǺǷDzǵǽཱུ✇ǽ⣪չ මǺdzǓǵ☟△ǨȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹMJKK ǾƸཱུ✇ૐǛƸ✱ӱƸЄሱƸڻǾॹڋȡᎰ╿ǨȚ۬▩֟ǺdzǓǵཱུ✇ૐ⅋⟘Ƕᮾ᳣ɿ△ϢǨȚǷǓǕ ቃ൏ڽȂᥴ╫ǽˁǶƸЈ᧸͛ȡ⒅ǦȍǨƹ O M UT ET DA H T O ED DO LO G Y ǢǢǺ▉⠅ǨȚษअǾǨȈǵƸ⊣ΰᑤᗕȡ܅ȏᗕൕǺȗșЄ⚘ǤțǵǙșƸǓǚǹȚȑƸǓǚǹȚബƸᅀᗕƸཆᔲǺȗDzǵȑƸǢțȘǽษअ⾷Ӵ ⤴ǚʶ⤴ǚȡުǓȍǪȢƹ⾸ȡƸɨʀɏȫʀɂǽ̗֭ǽሤⰢǺȗȚ۴ǹǞƸ⓹⓯Ǭǽ͙ǽᅀᗕǺȗșԙ⓯ƸɲəɋȹʀɀƸ⟵⢌Ƹ⚓ᚡƸⲉళƸ⥎ళƸ ⟵ॹǨȚǢǷǾǶǜǩƸȍǮƸǢțȘǽᬶǶԙπ᧸ǨȚǮȐǺЄᶩǨȚǢǷǾǶǜȍǪȢƹǢǢǺ▉⠅ǨȚษअǾƸǨȈǵɨʀɏȫʀɂǛᓺǚ dzЈⲠǦǕȚǷǗȚษअᛠǚȘӱཆǦǮȑǽǶǨƹǦǚǦƸ͆ڽȂᑿ፦◳șǛઇࢀǨȚමƸ˔ȂǺǬǽ͙ǽ̗ษǺȗșƸɨʀɏȫʀɂǾ ǢțȘǽษअȡǓǚǹȚᲷⲲǽЄ▩ȑdzǠȚǢǷǹǞǃᥰᣞሱਖDŽǶံϜǦǵǓȍǨƹɨʀɏȫʀɂǾƸЈ᧸͛ȡ͛˄ǨȚ⭾Ǻ᧸ǓȚษअǛ١ո ǹ✤ݨȡሱǦƸȍǮǬǽษअᛠǛɨʀɏȫʀɂǺǷDzǵЈⲠǶǜȚǷǗȘțȚȑǽǶǑȚǢǷ⾷ᴗǦǮᵥʿǛǢǽษअᛠǺ○ഝǨȚई۰ȑǑ Țƹ ⾸ȡЄǨȚǮȐƸӴǵǽർ┶ǹဟΈȡ♠ǧǵǓȍǨƹǦǚǦƸɨʀɏȫʀɂǾᬫዶȡ⒅ǕǶǾǹǞƸ͛ǽ⣏ᲦǶⲏۅǦǮษअǽᓺමڽȂ ሱමǺdzǓǵǺ⅋ǽᎰ▩ȡ⒅ǕǢǷǾǶǜȍǪȢƹɨʀɏȫʀɂǾǓǚǹȚᣞᗇǺǙǓǵȑƸȍǮǓǚǹȚڻǾᗕ͆ǺଓǦǵȑƸͨˁǽ (a) ڽȂ (b) ǺdzǓǵʶչ⛬ͷȡ⛤ǓȍǪȢƹ (a) ǢțȘǽษअǽӱཆƸ⮥ہƸἮᾘƸոኝƸ╫⦏ƸΌ⣕ƸӸ⒙ڻǾ⥎ళǺ⬄ǨȚ◳ș⾷⣏ডǺȗȚǚƸǬǽ͙ǽࡍڤǺȗȚǚȡުǓȍǪȢƹ⾸ڻǾǬ ǽ͙ǽᣞᗇ⇙ǦǞǾѫ̗⛅⾷ɨʀɏȫʀɂƸǑȚǓǾǬǽۄἦൃƸൃݲƸ൝ᏡݲǑȚǓǾͦᥴ͆ǽნ⥎מǛڽȅǚڽǿǹǓǚȡުǓȍǪȢƹ⾸Ǻ ⾷Ӵ⤴Ƹʶ⤴ȡުȞǩ⾸❙ࡍǦƸᨁቻǦƸ⇙ǦǞǾ⬄ϭǨȚ၏ডڻǾ၏્ƹ (b) ɨʀɏȫʀɂǛ̗֭Ǻഝ○၏્ǽමǺdzǓǵ╵ȡۅǠǵǓǮई۰ǺǙǓǵȑƸǢțȘǽษअǽπ᧸ǺȗșڻǾπ᧸Ǜ˃ǶǑȚǢǷǺȗ ș᧯ǨȚƸǑȘȕȚᲷⲲǽᬼယƸ⫻ယƸᣀƸ̘ᓎƸⓝӈƸڻǾ͛⭶၏્⾷⢹ডᬖȡ܅ȎȍǨǛǢțǺ⭈ǤțȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹ⾸ ƹ ǢǢǺ▉⠅ǤțȚษअǽʶ⤴ȡᐦ༔ǨȚ͛Ƹ⛥ؘअܝոኝƸ̔ᚬƸڽȂǬǽ͙ǽ╀╫⾷ȑǦǑțǿ⾸ǾƸɨʀɏȫʀɂǽ╀ǽ⒙ᅽǶǑșƸȍǮ ǬǽȗǕǹȑǽǷǦǵǽȎ╫⦏ǤțȚȈǜǶǑșƸǢțǺȗDzǵ̗ીȡ⒙ᅽǦƸڻǾ▩֟ǽ✱ӱƸॹ⇙ڋǦǞǾЄሱȡဝǨȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹ ǢǢǺ▉⠅ǨȚษअǽ۬᧸ǾƸ✱ӱƸЄሱڻǾॹڋȡᎰ╿ǨȚ۬▩֟ǺdzǓǵƸ⅋Șᮾ᳣ɿ△ϢǦǹǠțǿǹșȍǪȢƹɨʀɏȫʀɂǾƸǓǚ ǹȚബڻǾᅀᗕǺȗDzǵȑƸǢțȘǽ͛⇙ǦǞǾǬǽ͙ǽ╀ڻǾษअǽᓺමƸ⣪ᆣමƸલӴමƸަݨමڽȂᣀǽᬶȇǽ⣪۰මǺdzǓǵƸ ⾷ᅽᰳƸ⽄ᰳȡުȞǩ⾸ǓǚǹȚЄ▩ȑ⒅DzǵǓȍǪȢƹ MJKK ǾƸɨʀɏȫʀɂɿȸɳʀɟɿɀɫəɻ۰۴Ή᰷ǽલӴΉ᰷ǶǑșƸ۴᰷ǾƸMoodyæs Corporation ( ͨˁǃMCODŽǷǓǓȍǨƹ) ǽલӴ Ή᰷ǶǑȚ Moodyæs Overseas Holdings Inc. ǽલӴΉ᰷ǶǨƹ MJKK ǾƸMJKK Ǜ͛ȡ⒅DzǵǓȚ҆֟⾷᰷҆Ƹࢄᅀ҆Ƹ҆֟ƸཆബƸCP ȡ܅ȎȍǨƹ⾸ڽȂӋӞጋǽ⒅ǽগ⤴ոǛƸMJKK Ǜ⒅Ǖ△Ϣɿ ͛ȽʀɛɁǺଓǦǵƸMJKK ǺȗȚ͛ǽ͛˄ǺӞᴗǰƸ20 ʽԒǚȘẇ 3 ҽ 5,000 ʽԒǽཆᄋᄦȡ MJKK ǺნཌǕǢǷǺ۴ǦǵǓȚǢǷȡƸǢǢ Ǻ⫳ᰳǦȍǨƹȍǮƸMCO ڽȂ MJKK ǾƸMJKK ǽ͛ڽȂ͛⣏ᲦǽᴗමȡЄǨȚǮȐǽᅀ⦠ǷཆỮǜȡᄏѿǦǵǓȍǨƹMCO ǽۄἦൃǷ ͛ଓ⛅Ή᰷Ƿǽ⫻ǽΩȘǚǽ્⬄ϭǽઇࢀƸڽȂ MJKK ǚȘ͛ȡ͛˄ǤțƸǚdz MCO ǽጋǽ 5% ͨˀȡЄሱǦǵǓȚǢǷȡ SEC ǺӸǺ अܝǦǵǓȚΉ᰷⫻ǽΩȘǚǽ્⬄ϭǽઇࢀǺ⬄ǨȚษअǾƸɨʀɏȫʀɂǽȮȯɞȽȬɐ www.moodys.com ˀǺ "Shareholder Relations-Corporate Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy" ǷǓǕ⒙ⲤǶᕃ౫Ƹဢ⠅ǤțȍǨƹ ቊሤǽȲʀɁɐɱɲȪǶǽӸ⫳ǾƸȲʀɁɐɱɲȪ⦘ȽʀɛɁ◜ᨯ ۥ336969 ȡሱǨȚɨʀɏȫʀɂǽ⬄⢪Ή᰷ǶǑȚ Moodyæs Investors Service Pty Limited ABN 61 003 399 657 ǺȗDzǵ⒅ȞțȍǨƹቊᄙሤǾ⾷2001 ౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽȐȚܬǺǙǠȚ⾸ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǽȎȇǽံϜ ȡࡖǦǮȑǽǶǨƹȲʀɁɐɱɲȪ࡛ԑǚȘቊᄙሤǺửỮǺȪȷɃɁǦǮई۰ƸɨʀɏȫʀɂǺଓǦǵƸ ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǶǑȚǚڻǾǃɣʀ ɳɃʀɳⲵૃDŽǽͦ⒙ǷǦǵቊᄙሤǺȪȷɃɁǦǵǓȚǢǷƸڽȂƸ⛴ᔼڻǾ⛴ᔼǛͦ⒙ǨȚᗕ͆ǛƸᬼယڻǾ⫻ယǺƸቊሤڻǾǬǽԑȡ⾷2001 ౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽȐȚܬǺǙǠȚ⾸ǃɲɎʀɳⲵૃDŽǺ⥎ళǦǹǓǢǷȡ⒙ᅽǦǮǢǷǺǹșȍǨƹ ቊЈ᧸͛ǾƸ⒅ǽЈ᧸ڻמǾؘ҆ǺdzǓǵǽ╀ǶǑșƸ⒅ǽȰȷȬɎȫ▩֟ڻǾɲɎʀɳཱུ✇ૐǛۄൡǹǬǽ͙ǽബǽ▩֟Ǻdz Ǔǵ╀ȡ⡻ȈȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹɲɎʀɳཱུ✇ૐǛƸቊЈ᧸͛Ǻ࣠ǴǓǵཱུ✇ᄺȡǨȚǽǾ⭨ڈǶǨƹȑǦƸᩐުǛǑȚई۰ǺǾƸɝȫ ɒɻȿɫɳɿȪɑɘȬȾʀǬǽ͙ǽଗ⫨ૐǺᭀ☐ǨȚǢǷȡဝǦȍǨƹ 33 2010 ౫ 9 ሰ ƛ͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽǮǿǢᏡᨕ
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