実務労働法要約 外国人投資企業のための 分かりやすい労務ガイド 2002.6. 外国人投資オンブズマン事務所 外国人投資オンブズマン事務所 韓国政府は外国人投資企業の隘路事項を解決・支援するためにオンブズマン制 度を導入しました。 韓国での経営活動における困難を解消し、企業経営活動をスムーズに定着させ るために外国人投資促進法第 15 条に基づき、1999 年 10 月 26 日にオンブズマ ン事務所が設立されました。 オンブズマン事務所は、政府と関係機関からの協力を得て苦情などを解決する 非営利機構として外国人投資企業が安定した投資環境の中で最大の経営成果を 収められるよう最善を尽くしています。 苦情を受付けると、オンブズマン事務所では金融、税務、労務、建築、通関等 関連分野の専門家を皆様のホームドクターに指定して効果的に手伝っています 。 [支援分野] * 金融:韓国内外金融、株式発行及び増資、外国為替送金等 * 税務及び会計:租税減免、国税及び地方税、会計手続等 * 建築:建築認許可、工場立地、不動産取得及び賃貸等 * 労務及び人事:労使関係、労働条件、雇用制度、福利厚生、労働法律等 * 法律:企業活動及び経営制度、投資手続、一般商法律等 * 関税及び通関:輸出入関税、通関及び保税制度、戻入、流通等 * 生活便宜:住宅、ビザ、医療及び保険、子女教育、文化等 Homepage : WWW.i-Ombudsman.or.kr はじめに 情報化、世界化を通じて持続的な経済成長を成し遂げている韓国は、世界で最 も投資しやすい国の一つとして認識されており、最近、外国人投資が大きく増 加しています。 韓国で企業経営を営もうとするのは、何よりも豊かな労働力と優れた技術力そ して市場の成長可能性があるためですが、その一方では複雑な行政手続と規制 、不安定な労使問題などは外国人の投資を迷わせる重要な要因となっています 。 外国人投資企業が韓国で抱えている苦情と問題を解決するため、「外国人投資 オンブズマン事務所」が設立・運営されており、約 2 年間にわたって 900 件余り の苦情を解決する成果を挙げています。 外国人の苦情のうち、多数を占めている分野が労務関連で、韓国の労働慣習と 慣行、国民情緒等が外国と異なる特性があるため、これに対する正しい理解と 労務関連実務知識が何よりも切実に求められています。 このような時期に外国人 CEO、人事労務担当役職員の皆様に韓国の労働法に対 する体系的な実務知識を伝えようと、「分かりやすい労務ガイド」を発刊するこ とになりました。何とぞこのガイドが外国投資企業が経営活動で抱える労務問 題の解決に多少なりとも役に立てればと思っています。 政府とオンブズマン事務所は参加と協力を通じた Win-Win の労使文化定着のた めに多角的に努力しており、その結果、今年度には外国投資企業の労使紛争件 数が多少減少しており、労働環境も漸次改善しています。 今後とも外国人投資オンブズマン事務所は韓国が世界で最も企業活動のしやす い国、最も投資したい国になれるよう最善の努力を尽くして行きます。 貴社の益々のご盛栄を祈願致します。 2002.6 外国人投資オンブズマン 金 完淳(キム・ワンスン) 目次 1.労働者を採用する場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2.現行労働時間制度と労働時間短縮論議 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 4 3.通常賃金と平均賃金の区分と適用 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 8 4.年俸制導入時の考慮事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 11 5.休日、休暇制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 6.女性労働者の労働条件保護 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 18 7.男女雇用平等及びセクハラ予防措置 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 23 8.派遣労働者を活用する場合 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 28 9.懲戒と解雇時の考慮事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 32 10.退職発令と金品清算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 37 11.営業譲渡と労働関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 40 12.労働組合の設立と効果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 44 13.労働組合専任者制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 49 14.団体交渉と団体協約 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 51 15.争議行為の正しい手続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 54 16.使用者の不当労働行為 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 58 17.使用者の争議行為手段(職場閉鎖) ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 63 18.労働争議調整制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 65 19.労使協議会の設置と運営 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 70 20.労働者福祉制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 74 1. 勤労者を採用する場合 □ 関連法令 「勤労基準法」、「男女雇用平等法」 □ 労働者の採用 ▶ 使用者は業務上の必要によって正規職、非正規職(日雇い、契約職、派 遣職等)労働者を自由に採用することができる。 ▶ 使用者は労働者の募集と採用において男女を平等に待遇しなければなら ない。 ▶ 雇用安定センター、市・郡・区就業情報センター、韓国産業人力公団、 職業案内所等を利用して企業に必要な人材を採用することができる。 □ 労働契約書の作成 ▶ 使用者は労働者を採用の際、賃金、労働時間、就業場所と従事しなけれ ばならない業務等を明示した労働契約書を作成しなければならない。 ▶ 労働契約期間は、期間の定められていないものと事業完了に必要な一定 期間を定めたものを除いては 1 年を超過することができない。 ▶ 労働契約締結時、労働契約不履行に対する違約金又は損害賠償額を予定 する契約を締結することができない。 ▶ 労働契約締結時、勤労基準法に達しない部分は無効となる。 1 見習い労働者 □ ▶ 使用者は労働者の業務能力、適性等を判断した後、正式採用を決定する ために見習い期間を定めることができる。 ▶ 見習い期間は 3 ヶ月を超過しないようにする。 ▶ 使用者は労働者の業務能力が足りないと判断される場合、見習い期間 中に採用を取り消すことができる。 . □ 契約職労働者 ▶ 契約職労働者とは、業務に必要な一定期間を定めて労働契約を締結す る労働者をいい、契約期間が終わると自動的に労働関係が終了する。 ▶ 契約職労働者であっても形式的な労働契約が数回にわたって繰り返さ れる場合、正当な事由なしに再契約を拒否することはできない。 □ 各種雇用義務 ▶ 障害者雇用義務 300 人以上の労働者を雇用する企業は使用労働者の 2%以上の障害 者を雇用しなければならず、これに達しない場合には負担金を納付し なければならない。 ▶ 300 人以上の労働者を使用する事業主は 3%以上の高齢者を雇用するよ うに努力しなければならず、一定割合以上の高齢者を雇用した場合、 或いは新しく雇用する場合、定年退職した中高齢者を 2 年以内に再雇 用する場合、奨励金を受取ることができる。 2 ▶ 国家有功者雇用義務 製造企業は常時 200 人以上の労働者を雇用する場合、一般企業は 1 日常時 20 人以上の労働者を雇用する場合、国家有功者を労働者数の一 定割合(3−8%)以上雇用するよう義務付けられています。 □ 採用禁止 ▶ 圧力容器、放射線等有害・危険作業には資格・免許又は機能のない者 を採用することができない。 ▶ 15 歳未満の年少者は採用することができないが、労動部長官の就職認 許証を所持した場合には採用することができる。 3 2. □ 現行勤労時間制度と勤労時間短縮 関連法令 「勤労基準法」 □ 法定労働時間制 区分 基準労働時間 1日 1週 延長労働 夜間・休日労働 8 時間 ▶原則:制限なし ▶原則: 当事者間の合意によって 週 12 時間まで延長労働可 ▶例外: ○ 妊娠中の女性: 能 本人の請求、労 動部長官の認可が ▶例外: 44 時間 ○ 妊娠中の女性:禁止 ある時は許容 ○ 産後 1 年が経過してい ○ 産後 1 年が経過し ていない女性: ない女性:1 日 2 時間 、週 6 時間、年 150 時 本人の同意、労動 部長官の認可があ 間に制限 る時は許容 年少 労働者 (18 歳 未満) 7 時間 当事者間の合意によって 1 本人の同意と労動部 42 時間 日 1 時間、週 6 時間まで可 長官の認可が必要 能 有害・ 危険作 業労働 者 6 時間 34 時間 成人 労働者 延長労働不可 4 - □ 休憩時間 ▶ 使用者は労働時間が 4 時間の場合には 30 分以上、8 時間の場合には 1 時 間以上の休憩時間を労働時間中に与えなければならない。 ▶ 休憩時間は労働者が自由に利用でき、労働時間に含まれない。 □ 弾力的労働時間制(フレックスタイム制) ▶ 使用者は就業規則が定めるところによって 2 週間以内の単位期間を平均 して週 44 時間、1 日 8 時間を超過して労働させることができる。しかし 、特定週の労働時間が 48 時間を超過することはできない。 ▶ 使用者は労働者代表との書面合意によって以下の事項を定める時には 1 ヶ月以内の単位期間を平均して週 44 時間、1 日 8 時間を超過して労働さ せることができる。但し、特定週の労働時間は 56 時間を、特定日の労働 時間は 12 時間を超過することはできない。 1. 対象労働者の範囲 2. 単位期間(1 ヶ月以内の一定期間) 3. 単位期間における労働日及び当該労働日別労働時間 4. 書面合意の有効期間 □ 選択的労働時間制 ▶ 使用者は就業規則によって始業及び終業時刻を労働者の決定に任せるこ とにした労働者に対して、労働者代表との書面合意によって以下の事項 を定める時には 1 ヶ月以内の精算期間を平均して週 44 時間、1 日 8 時間 5 を超過して労働させることができる。 6 1. 対象労働者の範囲(15 歳以上 18 未満の労働者を除く) 2. 精算期間(1 ヶ月以内の一定期間) 3. 精算期間の総労働時間 4. 必ず労働すべき労働時間帯を定める場合、その開始及び終了時刻 5. 労働者が本人の決定によって労働する時間帯を定める場合、その開始及 び終了時刻 6. 標準労働時間 □ 裁量労働時間制(所定労働時間の見なし制) ▶ 外勤職、専門職等業務の性質上、業務遂行方法を労働者に委任する必要 がある業務で、労働者代表と以下の事項について書面合意した場合には その時間を所定労働時間と見なす。 1. 対象業務 2. 使用者が業務の遂行手段及び時間配分等に関して労働者に具体的な指示 をしないという内容 3. 労働時間の算定は当該書面合意によるとの内容 □ 労働時間及び休憩時間の特例 ▶ 運輸業、物品販売業、映画製作及び興行業、通信業、医療及び衛生事業 、清掃業、理容業、社会福祉事業等は使用者が労働者代表と書面合意を する場合には週 12 時間を超過して延長労働させるか或いは休憩時間を 変更することができる。 □ 労働時間の短縮論議 ▶ 7 経済環境と労働市場の変化により新規雇用の創出、生活の質の向上、労 働生産性の向上を目指して労使政委員会で労働時間短縮問題について活 発に議論が行われている。 8 ▶ 法定労働時間を週 40 時間に短縮することを骨子とする週休二日制は、 年・月次休暇の問題、延長労働時の加算賃金率の調整問題等使用者側と 労働者側の立場が鋭く対立して導入が遅れているが、公共機関と金融機 関を始めに導入対象が大規模事業場から小規模事業場へと広がっており 、今後 5∼6 年以降には全企業に拡大される見込みである。 9 3. □ 通常賃金と平均賃金の区分と適 関連法令 「勤労基準法」 □ 通常賃金と平均賃金の相異 ▶ 通常賃金と平均賃金は労働者に実際支給される賃金ではなく、算定事由 が発生した時、支給の基礎になる賃金の単位をいう。 ▶ 通常賃金は勤務中に算定事由が発生した場合、賃金計算の基礎になり、 平均賃金は勤務ができない事由が発生した場合、労働者の生活を保障す るための賃金計算の基礎になる。 □ 通常賃金の概念と算定範囲 ▶ 通常賃金とは、定期的・一律的に所定労働又は総労働に対して労働者に 支給するように定められた時間給金額をいう。 ▶ 通常賃金は 1 賃金支給期に支給するように定められた固定給賃金をいい 、実際の勤務如何又は勤務実績によって支給及び支給金額が変動される 賃金は通常賃金の算定時に除外される。 □ 通常賃金の適用 10 o 時間外・夜間及び休日労働時の加算賃金算定 o 時間外及び休日労働に対する賃金算定 o 月次有給休暇手当、年次有給休暇手当算定 □ 平均賃金の概念と算定範囲 ▶ 平均賃金とは、これを算定しなければならない事由が発生した日までの 3 ヶ月間、その労働者に支給した賃金の総額をその期間の総日数で割っ た金額をいう。 ▶ 実費弁償的な性格の賃金或いは臨時に支給される賃金は、平均賃金算定 の際、「賃金の総額」から除外される。 ▶ 「3 ヶ月」は暦日上の日数であって、労働者が実際に勤務した日数ではな い。 ▶ 平均賃金算定時除外される期間 o 業務上又は傷病による休業期間 o 使用者の帰責事由による休業期間 o 見習い中の期間 o 争議行為期間 ※ 平均賃金が通常賃金より低額である場合には通常賃金を平均賃金として算 定する。 □ 平均賃金の適用 11 o 退職金算定 o 休業手当算定 o 年次有給休暇手当算定 o 災害補償金算定 o 減給の制裁時 □ 実務 Q&A Q :扶養家族の数によって家族手当が支給される場合、通常賃金の範囲に 家族手当が含まれますか。 A :家族手当が扶養家族の数と関係なく「一律」に支給される場合には通常 賃金の範囲に含まれます。しかし、扶養家族の数によって差等支給され る場合には通常賃金の範囲に含まれません。 Q :団体協約によって通常賃金に算入しなければならない手当を通常賃金 から除外することに合意した場合、このような団体協約は有効ですか。 A :判例は「通常賃金は時間外労働、夜間及び休日労働に対する加算手当、 解雇予告手当等を算定する基準となる賃金で、労使が団体協約によって 通常賃金算定手当を任意に外し、その水準を低下させることはできない」 とし、このような団体協約の効力を認めていません。 Q :労働者が退職願を提出したが、使用者がこれを受理しない場合、平均 賃金の 算定時期はどうなりますか。 A :任意辞職である場合、使用者が受理を拒否するか或いは遅延すると平 12 均賃金の算定時期は辞職の効力が発生する日、即ち、辞職書を提出した 日以降の 1 賃金支給期が経過した日が算定時期となります。 4.年俸制導入時の考慮事項 Q :冬期に勤務時間を 1 時間ずつ短縮する場合、これを時間給通常賃金算 定の基礎となる月所定労働時間数算定において考慮しなければなりませ んか。 A :冬期勤務時間短縮は政策的要因と季節的要因等を考慮した便宜的措置 であって、短縮された勤務時間を月所定労働時間数に反映すると、結果 的に時間給が高くなるため、このような事由の場合には月所定労働時間 数を算定するにおいて考慮しなくてもかまいません。 関連法令 □ 「勤労基準法」 □ 年俸制とは ▶ 年俸制とは、業績と能力によって 1 年単位で賃金を決定する制度をいう。 ▶ 年俸制を導入する場合には労働基準法の各種基準に違反しないように注 意しなければならない。 □ 年俸制導入対象労働者 13 ▶ 年俸制は能力と成果によって賃金が決まる制度であるため、専門職、管 理、事務職に適合し、成果測定が容易ではなく勤務時間によって成果が 決まる単純労務職、生産職等には適合しない。 ▶ 年俸制導入の際には導入目的と導入職種を考慮し、導入対象労働者を拡 大していくことが望ましい。 □ 年俸制と労働契約 ▶ 年俸制を導入する場合、労働時間、賃金の構成項目、支給方法等を規定 した労働契約書を毎年作成しなければならない。 ▶ 労働契約書を毎年作成しても、これは契約職労働者になることを意味す るのではなく、年俸額の更新契約をすることを意味する。 □ 年俸制と労働時間 ▶ 年俸制を実施する場合にも法定労働時間を超過して勤務させることはで きない。 ※ 基準労働時間と延長可能時間 区分 基準 労働時間 成人労働者 1日 週 8 時間 44 時間 14 年少者 7 時間 42 時間 延長可能時間 週 12 時間 1 日 1 時間 週 6 時間 ▶ 労働基準法の弾力的、選択的、裁量労働時間制を導入して労働時間を調 整することができる。 年俸制と法定諸手当 □ ▶ 時間外手当 使用者は労働者が年俸制労働契約書上の基本労働時間、約定延長労働 時間を超過して勤務する場合には延長労働手当を支給しなければならな い。 ▶ 年・月次手当 年・月次手当を年俸に含めて労働契約を締結しても労働者の休暇使用 権を奪わない限り、有効である。 □ 年俸制と解雇 ▶ 労働者にとっては年俸契約が更新締結されないと、解雇と同じくなるの で使用者は公正かつ合理的な年俸評価制度を設けなければならない。 ▶ 年俸評価が正当に行われていない状態で、翌年度の年俸契約を締結せず 労働者を解雇すると、使用者は不当解雇の責任を取ることになる。 □ 年俸制と退職金 ▶ 退職金を年俸に含めて支給する場合には年俸額に含まれた退職金額を 15 明確に定めなければならない。 5.休日・休暇制度 ▶ 退職金を年俸に含めて支給するためには労働者の請求がなければなら ず、含まれた退職金が法定退職金に達しなければならない。 □ 実務 Q&A Q :年俸制を実施する場合、退職金を月別に分割して支給してもいいです か。 A :行政解釈によると、「労働者の自由意志によって 1 年間の退職金額を約 定し、これを 12 回に分割して毎月賃金支払時に支給すると締結した労働 契約に従って支給した場合、予め支給した退職金として見なすことがで きる」とし、退職金分割支給を認めています。 ですから退職金を月別に分割支給する場合には年俸契約書に退職金を確 定して記載し、労働者の退職金中間精算要請書を受領すればいいです。 Q :年俸制を実施する場合、労働者の欠勤、遅刻、早退時減給の制裁をし てもいいですか。 A :労働者が欠勤、遅刻、早退時に労働をしなかった部分に対する減給は 可能ですが、減給の制裁は労働時間によって賃金を支給する時間給又は 日給制の場合に意味があるため、成果によって賃金を支給する年俸制を 実施する場合には即時の減給は望ましくなく、年俸評価時に反映する方 が望ましいです。 16 関連法令 □ 「勤労準法」、「勤労者の日制定に関する法律」 □ 休日・休暇制度の導入趣旨 労働基準法は所定労働日数を皆勤した労働者に週休日、月次・年次休暇を 、女性労働者には生理休暇、産前・後休暇を付与して、労働者が疲労を回 復して再び労働に復帰できるようにしており、「勤労者の日制定に関する法 律」によって 5 月 1 日を有給休日として付与している。 □ 週休日 ▶ 使用者は労働者が 1 週間所定労働日数を皆勤した場合、1 日以上の有給休 日を与えなければならない。 o 週休日は必ず日曜日である必要はないが、継続して 24 時間以上を与えな ければならない。 o 短時間労働者の場合には労働時間に比例して週休日を与えなければなら ない。 o 隔日制又は交代制労働者の場合も休務日を除いた他の勤務日に皆勤した 場合、1 日の有給休日を与えなければならない。 □ 年・月次有給休暇 17 ▶ 使用者は労働者が 1 ヶ月間所定労働日数を皆勤したら、1 日の月次有給休 暇を与えなければならない。 ▶ 使用者は労働者が 1 年間所定労働日数を皆勤すしたら 10 日、9 割以上出 勤したら 8 日の年次有給休暇を与えなければならない。 o 月次有給休暇は 1 年間積置き又は分割して使用することができる。 o 年次有給休暇は労働者の請求がある時期に与えなければならないが、事業 運営上支障がある場合にはその時期を変更することができる。 o 年次有給休暇は 2 年以上継続労働した場合、1 年を超過する継続労働 1 年 に対して 1 日の休暇を加算しなければならない。年次休暇日数が 20 日を超 過する場合には超過する日数に対して通常賃金を支給し、休暇を与えない ことができる。 o 年・月次休暇請求権は 1 年間使用しないと消滅し、年・月次有給休暇手当 請求権は 3 年が経過すると消滅する。 o 労働者代表と書面合意がある場合、特定日を年・月次休暇日に代替して休 暇として与えることができる。 ▶ 女性労働者には月 1 回の有給生理休暇を、妊娠中の女性労働者には産前 ・後 90 日間の有給休暇を与えなければならない。 18 □ 週休日規定適用除外労働者 ▶ 対象労働者 o 農林、水産、畜産業、養蚕業従事労働者 o 労動部長官の承認を受けた監視的労働者 ※監視することを主業務とする身体的、精神的疲労が少ない労働者 o 労動部長官の承認を受けた断続的労働者 ※間歇的・断続的勤務形態で休憩・待機時間が多い労働者 □ 実務 Q&A Q :就業規則に「1 ヶ月間に遅刻・早退・外出を何回以上すると欠勤処理す る」という規定があるが、この場合、遅刻と早退回数が多い場合、欠勤処 理し、週休日と月次休暇を付与しなくてもいいですか。 A :皆勤とは日数の意味であって、労働時間を意味するものではないため、 遅刻・早退・外出等で所定労働日の全ての労働時間に労働しなかったと しても所定労働日に出勤して労働を提供したとすれば、これは労働基準 法上の皆勤に該当します。従って、このような場合にも週休日と月次休 暇を有給で付与しなければならない。 Q :争議行為の手段として労働組合が集団的に年・月次休暇申請をした場合 、休暇の使用を拒否することができますか。 A :年次休暇の場合には使用者の時期変更権を使用して労働者の休暇請求を 一時的に拒否することができます。 しかし、月次休暇の場合、労働基準法に使用者の時期変更権について規定 した部分がないので、労働組合が遵法闘争の一環として集団的休暇使用を 申請した場合、これを拒否することができるかが問題となります。判例は 「月次休暇の使用が労働者の自由意志によるものではあるが、正当な事由 19 なしに単に業務妨害の手段としてこれを使用する場合、正当な休暇権の行 使として見なすことができない」と判示しているため、月次休暇の使用を 理由に労働者が出勤しない場合には、月次休暇を付与しないで欠勤処理を してもかまいません。 Q :監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外承認申請の際、必ず 労働者の同意を得なければなりませんか。 A :行政解釈は「休日規定等の除外のために監視・断続労働者への適用除外 承認申請の際、必ずしも労働者の同意が必要ではない」と解釈しているた め、実質的に勤務形態が疲労の少ない業務であれば労働者の同意を得な くてもかまいません。 しかし、実務的に使用者の適用除外承認申請の際、該当労働者の労働契 約書と意見書を提出しなければならないため、労働契約締結時、適用除 外者であることを明確にして、労働契約を締結する方が望ましいです。 20 6.女性勤労者の勤労条件保護 □ 関連法令 「勤労基準法」、「男女雇用平等法」、「雇用保険法」等 □ 女性労働者の労働条件決定原則 女性労働者は肉体的、生理的な特性と母性の保護、家庭と職場生活の調和を 成すために保護されなければならない価値が認められるため、労働条件決 定時、この保護要件が保障されなければならない。 . □ 有害・危険な事業への使用制限 「妊娠中」或いは「産後 1 年が経過していない女性」と「18 歳未満の者」は倫理 上又は衛生上有害・危険な事業に使用することができない。 . ▶ 使用禁止職種は別途対象者別に規定されている(勤労基準法施行令) 。 □ 夜間労働、休日労働の制限 使用者は「18 歳以上の女性」を午後 10 時から午前 6 時までの間及び休日に労 働させる場合、当該労働者の同意を得なければならない。 ▶ 「妊産婦」と「18 歳未満の者」には午後 10 時から午前 6 時までの間及び休 日に労働させることができない(但し、労働者の同意又は請求と労動 部長官の認可を得た場合には例外的に労働が可能である)。 21 区分 夜間労働 18 歳未満の者(男、 女) 妊産婦 原則:禁止 例外:労働者の同意又は請求と労動部 休日労働 □ 長官の認可 一般女性 労働者の 同意 ※ 夜間労働:午後 10 時から午前 6 時までに労働する場合 ※ 休日労働:労働の義務のない休日に労働する場合 ※ 延長労働:所定労働時間を超過する時間外労働(Overtime) 延長労働の制限 使用者は「産後 1 年が経過していない女性労働者」に対しては団体協約があ る場合にも 1 日に 2 時間、1 週間に 6 時間、1 年に 150 時間を超過する時間 外労働をさせることができない。 区分 妊産婦 産後 1 年未満 一般女性 1 日に 2 時間 延長労働 禁止 1 週間に 6 時間 男性と同一 1 年に 150 時間 ▶ 従来は全ての女性労働者を対象に延長労働を一律的に制限したが、「産 後 1 年未満の女性」に範囲を縮小することにより、女性雇用を促進する 時代的環境変化を反映した。 □ 産前・後休暇付与 使用者は「妊娠中の女性」に対して産前・後を通じて 90 日の保護休暇を与え なけ ればならず、この場合、休暇は産後に 45 日以上でなければならない。 23 ▶ 妊娠中の女性が産前・後を通じて 90 日の保護休暇を使用した場合、最 初の 60 日は有給であるため、通常賃金を会社が支給しなければならな い。 ▶ 残りの 30 日については産前後休暇給与として雇用保険と政府財政から 支援される。 ▶ 産前後休暇給与は雇用保険に 6 ヶ月以上加入した後、勤労基準法による 90 日の産前後休暇を付与された場合、通常賃金 30 日分の給与を支給す る(但し、上限額:135 万ウォン、下限額:最低賃金)。 ▶ 使用者は産前休暇期間及び以降 30 日間は女性労働者を解雇することが できない。 ▶ 産前後休暇期間は暦月上の期間を意味する。従って法定休日及び約定休 日は全てこれに含まれるため、別途付与しなくてもいい。 □ 生理休暇付与 使用者は「女性労働者」に月 1 日の有給生理休暇を与えなければならない。 ▶ 職種、労働時間及び皆勤とは関係なく臨時職、日雇い、時間制等を含 む全ての女性労働者に、生理をする場合は付与しなければならない。 ▶ 女性労働者がこれを使用せず、恣意的に勤務した場合、付加給与は支給 しなくてもいい。 ▶ 妊娠、閉経等生理現象のない女性労働者には生理休暇を付与しなくても いい。 ▶ 生理休暇は 1 ヶ月内に使用しなくてはならず、1 ヶ月が過ぎると、使用 権利は消滅し、積置きはできない。 24 育児休職制度 □ 「生後 1 年未満の嬰児を有した労働者」がその嬰児の養育のために休職を申 請した場合、これを許容しなければならない。 ▶ 育児休職は男女労働者共に配偶者が労働者であるかどうかとは関係なく 、請求することができる。 ▶ 休職期間は 1 年以内であり、嬰児が生後 1 年になる日を経過することが できない。休職期間は勤続年数に算入される。 ▶ 休職期間中、雇用保険を通じて育児休職給与が 1 ヶ月当り 20 万ウォン支 給される(2001.11.1 以降育児休職を開始する者から適用)。 ▶ 育児休職給与は同一事業場で 1 年以上勤続した労働者が雇用保険に 6 ヶ 月以上加入してから、男女雇用平等法上の育児休職を 30 日以上付与さ れた場合に支給する。 ▶ 育児休職給与を受けるためには育児休職実施後、毎月育児休職支給申請 書を居住地管轄職業安定機関の長に提出(育児休職確認書添付)しなけ ればならない。 ※ □ 当月中実施した育児休職は翌月末までに申請 育児時間の付与 「生後 1 年未満の育児を有した女性労働者」の請求がある場合には 1 日 2 回 各々30 分以上の有給授乳時間を与えなければならない。 ▶ 生後 1 年未満の幼児については本人が出産したのか或いは養子縁組な のかを問わない。 25 ▶ 女性労働者については既婚か未婚かを問わない。 □ 坑内労働制限 女性労働者は坑内労働が原則的に禁止されているが、以下の職種の場合は 一時的な坑内労働が許容される。 1. 保健・医療及び福祉業務 2. 新聞・出版・放送番組を制作するための報道・取材業務 3. 学術研究のための調査業務 4. 管理・監督業務 5. 第 1 号ないし第 4 号の業務と関連した分野で行われる実習業務 26 7.男女雇用平等及びセクハラ予防措置 □ 関連法令 「男女雇用平等法」等 □ 男女雇用平等の目的 雇用において男女の平等な機会及び待遇を保障する一方、母性を保護し、 職業能力を開発して労働女性の地位向上と福利増進に寄与するために男女 雇用平等を法律として強調している。 □ 差別とは 事業主が労働者に性別、婚姻又は家族上の地位、妊娠等を事由に、合理的 な理由なしに採用又は労働条件を変えたり、その他不利益な措置を取るこ とをいい、この場合、女性又は男性の一方にとっては充足させることが顕 著に難しい人事に関する基準又は条件を適用することも差別に該当する。 □ 男女雇用平等 ① 募集と採用における平等機会の提供 事業主は労働者の募集及び採用において女性に男性と平等な機会を与え なければならず、女性労働者を募集・採用するにおいて募集・採用しよ うとする職務の遂行に必要のない容姿・身長・体重等の身体的条件、未 婚条件等の条件を提示又は要求してはいけない。 27 ② 賃金における差別待遇の禁止 事業主は同一事業内の同一価値の労働に対しては同一な賃金を支給しな ければならない。 ▶ 同一価値労働の基準は、職務遂行に要求される技術、努力、責任及び 作業条件等とし、事業主がその基準を定める時には労働者を代表する 者の意見を聞かなければならない。 ▶ 外形上同一又は類似した仕事をしても、学歴、経歴、勤続年数、階級等 に違いがあって、それが客観的で合理的な基準によって定立されてい る場合には賃金差等は問題にならない。 ③ 賃金外金品の差別待遇の禁止 事業主は賃金の他に労働者の生活を補助するための金品の支給又は資金 の融資において女性であることを理由に男性と差別待遇してはいけない 。 ▶ 住宅貸付、住宅手当、家族手当、交通手当等 ④ 教育、配置及び昇進における平等 事業主は労働者の教育・配置及び昇進において婚姻、妊娠、出産又は女性 であることを理由に男性と差別待遇してはいけない。 ⑤ 定年、退職及び解雇における平等 事業主は労働者の定年及び解雇に関して女性であることを理由に男性と 差別してはならず、労働女性の婚姻・妊娠又は出産を退職事由として予 定する労働契約を締結してはいけない。 28 ▶ 同一職種で合理的な理由なしに男女間の定年に差等を設けてはいけない。 . ▶ 結婚していること又は妊娠していることを理由に不当な異動又は解雇 をしてはいけない。 □ 職場内セクハラとは 事業主、上級者又は労働者が、職場内の地位を利用して或いは業務と関連 して他の労働者に性的な言語や行動などで性的屈辱感を誘発させたり、又 は性的な言動やその他の要求に応じなかったことを理由に雇用上の不利益 を与えることをいう。 ▶ セクハラ行為者は職場内事業主、上級者又は同僚労働者、部下社員等で あって取引先の役職員及び顧客等は該当しない。 ▶ セクハラ被害者は主に女性労働者であるが、男性労働者も被害対象とな る可能性がある。募集と採用過程での求職者も該当する。 ▶ セクハラの場所は職場の内外を問わず、業務と関連する或いは職場内で の地位を利用する全てのケースに該当する。 (例:部署会食場所、体育大会、取引先ミーティング、出張時等) ▶ セクハラの形態は性的な言語及び行動等が 1 次的に表出されるか或いは これを条件に相手に性的屈辱感又は雇用上の不利益を与える形で表れる のが一般的である。 29 ▶ セクハラの判断はたった 1 回だけの行為か又は数回にわたって繰り返し 行われたかという回数とは関係なく、加害者のセクハラ意思有無を問わ ず、社会通念上、合理的な水準の被害者が性的屈辱感又は不利益を感じ ることに基準を置く。 □ 職場内セクハラの事例 <肉体的行為> o 接吻や抱擁、後から抱き込む等の身体的接触行為 o 胸、臀部等特定の身体部位を触る行為 o 按摩や愛撫を強いる行為 <言語的行為> o 淫乱な冗談、通話をするか或いは猥談を話す行為 o 外貌に対する性的な比喩や評価をする行為 o 性的な事実関係を問うか或いは性的な内容の情報を意図的に流布する行為 o 性的な関係を強いるか或いは懐柔する行為 o 会食等で無理矢理に隣に座らせて酒を注ぐように強いる行為 <視覚的行為> o 淫乱な写真・絵・落書き・出版物等を掲示するか或いは見せる行為 (パソコン通信及びファクシミリ等を利用するケースも含む) o 性と関連のある自分の特定の身体部位を故意に露出するか触る行為 □ 事業主の職場内セクハラ防止措置 事業主は職場内セクハラを予防するために以下の措置を取らなければなら ない。 30 ① セクハラ予防教育(年 1 回以上)実施 ▶ 集合教育、部署別会議等で内部講師、外部講師又は視聴覚教材等で会 社の実情に合わせて実施する。 ▶ 派遣女性労働者を使用する場合、予防教育を実施しなければならない。 ② セクハラ加害者に対する部署転換、懲戒等措置 ▶ 明白なセクハラが発生した時、加害者に対して適切な措置を取らない 場合、5 百万ウォン以下の過怠金が賦課される。 ③ 事業主は被害者が相談・苦情の提起したことや、関係機関へ陳情、告訴 等をしたことを理由に被害労働者に雇用上の不利益措置をしてはいけな い。 ④ セクハラをした事業主には 1 千万ウォン以下の過怠金が賦課される。 □ 職場内セクハラが発生した場合 ▶ 事業主は苦情処理機構又は人事チーム、労務チームを通じてセクハラ 被害者の苦情を受付けて相談し、具体的な内容を調査してセクハラが 明白な場合、加害者に適切な措置を取り再発防止に努めることが望ま しい。 ※ 事業主の措置に満足できない場合、被害労働者は地方労働事務所 に陳情、申告するか或いは雇用平等委員会に調整を申請することがで きる。 31 8.派遣勤労者を活用する場合 関連法令 □ 「派遣労働者保護等に関する法律」(1998.7.1 施行) □ 労働者派遣とは 労働者派遣とは、派遣事業主が労働者を雇用した後、その雇用関係を維持 しながら、労働者派遣契約(派遣会社と会社間)の内容に従って使用事業 主(会社)の指揮・命令を受けて業務を遂行することをいう。 □ 派遣労働者を活用することができる業務 ▶ 無分別な派遣労働者の使用による雇用の不安定と労働条件の悪化を防 止するために一定の業務に限って活用することができる。 ① 原則 :製造業の直接生産工程業務を除き、専門知識・技術又は経験 等を必要とする業務として大統領令が定める業務(別表参照) ② 例外 :出産・疾病・負傷等で欠員が生じる場合 一時的・間歇的に人力を確保する必要がある場合 ※ 労働組合又は労働者代表との間で事前に誠実な協議 が必要 ▶ 活用禁止業務 o 建設工事現場業務 o 港湾・鉄道等の荷役業務(港湾運送事業法、鉄道運送法等) o 船員業務(船員法) o 有害・危険業務(産業安全保健法) 33 o リストラ以降一定期間 o 争議行為中、中断された業務 □ 派遣労働者を活用することができる期間 ① 原則 :派遣労働者は 1 年を超過して活用することができない。 ② 例外 :派遣事業主と使用事業主、派遣労働者間の合意がある場合、 最大 1 年間延長できる。 ※ 出産・疾病・負傷等 :客観的な事由解消期間まで活用可能 ※ 一時的・間歇的な人力 :3 ヶ月以内(三者合意で 3 ヶ月延長可能) □ 派遣労働者を 2 年を超過して使用する場合 ① 原則 :2 年を超過して継続的に派遣労働者を使用する場合には 2 年の 期間が満了する日の翌日から労働者を雇用したと見なす。 ※ 但し、派遣労働者が雇用されることに反対する場合は除く。 ② 例外 :派遣労働者を 2 年以上、労働者派遣の形式で活用することがで きる例外はない。 ▶ 派遣労働者を 2 年以上継続して活用する必要がある場合には o 正規職として採用する方法 o 契約職として採用する方法 o 日雇い、臨時職として採用する方法等を活用することができる。 □ 実務 Q&A Q :「甲」という派遣労働者を「A」という職務に 2 年間使用してから、派遣契 約を解除し、「乙」という派遣労働者を「A」という職務に派遣事業主から 派遣を受けて使用する場合、雇用義務が発生しますか。 A :「A」という職務に違う派遣労働者を 2 年未満の周期で交代して使用する 場合、使用事業主が派遣労働者を雇用しなければならない法律上の義務 はありません。但し、同一業務に派遣労働者を長時間使用する必要があ 34 る場合には、なるべく正規職労働者を採用する方が望ましいです。 Q :会社の生産ラインが A,B,C と 3 つある場合、A ラインに一時的・間歇 的事由によって派遣労働者を 2 ヶ月程度使用していたところ、B ライン にも事由が発生し、派遣労働者を使用し、その後、C ラインにも事由が 発生し、派遣労働者を使用した場合、派遣労働者の勤務可能期間は各ラ イン別に 6 ヶ月と見なしますか。それとも会社が派遣労働者を最初に使 用した日から 6 ヶ月と見なしますか。(その事由が解消されなかったた め 3 ヶ月延長した場合) A :派遣期間の算定は使用事業主が事業場に個別派遣労働者を最初に使用 した時点を基準に算定します。従って、派遣期間は各生産ライン別に、 派遣労働者個人別に算定しなければなりません。 Q :派遣労働者の所属派遣会社は変更されたが、同一労働者が同一事業場 で引き続き勤務するようになった場合、派遣期間算定起算日は最初の事 業場投入日となりますか。それとも派遣会社変更時新しく起算算定をし ますか。 A :派遣期間は使用事業主が派遣労働者を最初に使用した時点を基準に算 定し、使用事業主が派遣労働者を使用した後、派遣労働者の所属が変更 されてもこのような事実は派遣期間算定に何の影響も与えません。 Q :派遣対象業務を変更して同一労働者を使用する場合、派遣期間はいつ から算定されますか?即ち、使用会社である乙が派遣労働者である甲を A 業務で 1998.7.1 から 1999.6.30 まで派遣を受けて使用していたとこ ろ、業務を B に変更して 1999.7.1 から 2000.6.30 まで使用した場合、派遣 期間の算定はどのようになりますか。 A :派遣労働者の派遣期間算定は一つの使用会社でどのぐらい継続して労 働をしたかが基準となります。従って、派遣労働者甲が同一の使用会社 で A 業務を 1 年間、そして B 業務を 1 年間、総 2 年間同一の使用会社乙 35 で派遣労働したことになります。 【別表 1】 韓国標準 職業分類 労働者派遣対象業務 対象業務 備考 36 213 241 243 2444 31141 パソコン専門家の業務 事業専門家の業務 記録保管員、司書及び関連情報専門家の業務 言語学者、翻訳家及び通訳家の業務 電信・電話通信技術工の業務 3118 3121 31317 31325 33409 3431 347 411 図案家の業務 パソコン補助員の業務 補助業務に限る。 録画装備操作員の業務 補助業務に限る。 ラジオ及びテレビ放送装備操作員の業務 他に分類されていないその他教育準専門家の業務 管理秘書及び関連準専門家の業務 芸術、芸能及び競技準専門家の業務 資料入力機操作員(4113)と計 秘書、タイピスト及び関連事務員の業務 算機操作員(4114)の業務を除 外する。 図書、郵便及び関連事務員の業務 収金員及び関連労働者の業務 電話交換事務員の業務が当該 電話交換事務員の業務 事業の核心業務である場合を 除外する。 旅行案内要員の業務 観光振興法第 3 条の規定によ 調理師の業務 って観光宿泊業の調理師業務 を除外する。 414 4215 4223 5113 5122 5131 51321 51333 52204 832 保母の業務 看病人の業務 家庭個人保護労働者の業務 注油員の業務 自動車運転士の業務 91132 31321 91521 電話外販員の業務 建物清掃員の業務 警備業務 司書(24321)の業務を除く。 補助業務のうち、難聴地域の 受信状態を確認・点検する業 務に限る。 看護補助員の業務を除く。 第 2 条第 2 項第 5 号及び第 6 号の業務を除外する。 ※ 注:韓国標準職業分類は統計庁告示第 1992-1 号によるものである。 37 9.懲戒と解雇時の考慮事項 □ 関連法令 「勤労基準法」 □ 懲戒と解雇の基本原則 使用者は労働者に対して「正当な理由なしに」解雇、休職、停職、転職、減 給、その他懲罰をすることができない。 ▶ 懲戒の具体的な事由及び手続については団体協約又は就業規則等に規 定するのが一般的で、その正当性は社会通念に照らして具体的に判断 しなければならない。 ▶ 団体協約及び就業規則等に規定された懲戒手続がある場合、これに従 って懲戒をしなければならず、これを違反する場合は無効になるのが 原則である。 ▶ 懲戒手続が規定されていない場合には特別な懲戒手続を取らなくても 懲戒は無効にならない。 □ 懲戒の種類 ① 警告 :使用者が労働者に口頭又は文書で訓戒すること ② 譴責 :労働者が使用者に始末書又は反省文を提出すること 38 ③ 減給 :賃金の一部分を削減すること ▶ 但し、1 回の額が平均賃金の 1 日分の 50%を超過することができず 、数回にわたって懲戒されても総額が 1 賃金支給期の賃金総額の 1 0%を超過することはできない。 ④ 停職 :労働契約関係は存続しながら、一定期間労働提供を停止するこ と ▶ 停職期間中の賃金支給、勤続参入問題は団体協約、就業規則、会 社の慣行等によって決定することができる。 ⑤ 解雇 :事業主が労働者との労働契約を終了すること □ 懲戒の事由[例示] ① 労働者に帰責事由がある場合 o 無断欠勤、頻繁な早退、遅刻、勤務態度不良 o 故意に約定した労働提供を拒否するか或いは瑕疵のある労働を提供 o 不法争議行為の煽動、参加 o 会社の経営に損害惹起、名誉毀損 o 上司の正当な業務指示に不服従 o 会社機密、営業上の機密漏洩 o 労働者の犯法行為による会社の名誉毀損、労働提供不履行等 ※ 疾病、性格障害、職務能力の顕著な低下、アルコール中毒等で労働者 の職務遂行が困難な場合、解雇事由となる。 ② 経営上の理由による解雇 39 ▶ 緊迫な経営上の必要性に応じて使用者が労働者を解雇することをいい 、一定要件が満たされなければならない。 □ 経営上の理由による解雇 使用者は緊迫な経営上の必要性が認められる場合、以下の手続によって労 働者を解雇することができる。 ① 社会通念に照らして客観的かつ合理的であると認められる「緊迫な経 営上の必要性」がなければならない。 [例示] o 引き続く経営の悪化による経営危機 o 生産性向上のための構造調整、技術革新又は業種の転換 o 経営悪化防止のための事業譲受、譲渡、合併等 ② 労働者を解雇せず経営を正常化することができるように全力を尽くし 、誠実に履行しなければならない。 [例示] o 時間外労働の縮小、操業短縮 o 新規採用の中断、配置転換 o 一時的休職又は希望退職実施 o 資産売却、作業方式改善等 ③ 解雇対象者を選定する場合、合理的で公正な基準を適用しなければな らない。 40 [例示] ㅇ 正規職より日雇い職を優先的に解雇 ㅇ 年齢が低いか或いは勤続年数が低い労働者を優先解雇 ㅇ 常用職より短時間労働者を優先解雇 ㅇ 男性より女性を優先して解雇してはいけない。 ④ 労働者過半数を代表する労働組合又は労働者代表に、解雇しようとす る日の 60 日前まで通報し、誠実に協議しなければならない。 ⑤ 1ヶ月間に以下の一定規模以上の労働者を解雇する場合、最初に解雇 しようとする日の 30 日以前に労動部長官に申告しなければならない 。 o 99 人以下の事業又は事業場 :10 人以上 o 100 人以上 999 人以下の事業場 :常時労働者数の 10%以上 o 1000 人以上の事業場 :100 人以上 □ 解雇予告制度 予測しなかった突然の解雇による労働者の生活困難を防止するために、正当 な解雇をする場合、少なくとも 30 日前に予告しなければならない。 ▶ 30 日前に予告をしなかった場合には 30 日分以上の通常賃金を支給すれ ばいい。 ▶ 天災・事変その他やむを得ない事由で事業を続けることが不可能な場 合、又は労働者が故意に事業に莫大な支障をもたらしたか或いは財産 上損害を及ぼした場合には解雇予告なしに即時解雇することができる 。 41 [例示] o 納品会社からの金品又は饗応の提供を代価に不良品の納品を受け、 生産に蹉跌をもたらした場合 o 営業用車両を任意で他人に代理運転させ、交通事故を引き起こした 場合 o 事業の機密その他情報を競争関係にある他の事業者等に提供して事 業に支障をもたらした場合 o 虚偽事実を捏造・流布するか或いは不法集団行動を主導して事業に 莫大な支障をもたらした場合 o 営業用車両の運送収入金を不当に着服する等、職責を利用して公金 を着服・長期流用・横領又は背任した場合 o 製品又は原料等を窃取又は不法搬出した場合 o 人事・経理・会計担当社員が労働者の勤務状況実績を造作するか或 いは虚偽書類等を作成して事業に損害をもたらした場合 o 事業場の器物を故意に破損し、生産に莫大な支障をもたらした場合 o その他社会通念上故意に事業に莫大な支障をもたらしたか或いは財 産上損害を及ぼしたと認められる場合 ▶ 労働契約の形態が以下の通りである場合には 30 日前に解雇予告をしな くてもいい。 o 日雇い労働者として 3 ヶ月を継続勤務していない者 42 o 2 ヶ月以内の期間を定めて使用された者 o 月給労働者として 6 ヶ月にならない者 o 季節的業務に 6 ヶ月以内の期間を定めて使用された者 o 見習い使用中(3 ヶ月以内)の労働者 □ 懲戒処分に対する労働者の異議提起 正当な理由のない懲戒又は解雇である場合、労働者は労働委員会又は裁判 所に不当解雇救済申請をすることができる。 ▶ 救済申請は懲戒処分から 3 ヶ月以内に提起しなければならず、労働委 員会は適切な調査と関連当事者に対する審問を通じて懲戒処分の正当 性を判定することとなる。 ※ 正当な解雇の場合 :労働者請求の棄却決定 ※ 不当な解雇の場合 :救済命令(労働者復職及び同期間の給与支給) 43 10.退職発令と金品精算 □ 関連法令 「勤労基準法」、「賃金債権保障法」 □ 退職金制度 ▶ 使用者は退職する労働者に継続労働年数 1 年に対して 30 日分以上の平均 賃金を退職金として支給しなければならない。 ▶ 退職金算定方法 退職金 = 継続労働年数(在職日数/365 日) × 30 日分の平均賃金 ▶ 一つの会社内で労働者の地位、職種、部署及び作業場所によって異なっ た退職金の計算方式や累進率を適用してはいけない。 ▶ 使用者が労働者の退職時、一時金又は年金で労働者に支給する退職保険 その他これに準じる保険に加入した場合、退職金制度を設定したと見な す。 ▶ 退職金算定時、継続労働年数算入内容 算入 不算入 * 職業訓練期間と見習い期間 * 軍服務による休職期間 * 使用者の帰責事由による休業期間 * 労働者の帰責事由による休職期間と 停職期間 * 不当解雇期間 * 定年後再雇用期間 * 反復的労働契約更新期間 44 金品精算 □ ▶ 労働者が死亡又は退職した場合、その日から 14 日以内に賃金、災害補償金 、その他労働関係下で労働者に請求権が発生した一切の金品を支給しなけ ればならない。 ▶ 特別な事由がある場合には、退職後 14 日以内に労働者と合意してその支 給期日を延長することができる。 ▶ 賞与金支給日以降退職した労働者でも既に勤務した期間に該当する賞与金 は勤務期間に比例して支給しなければならない。 ▶ 労働者退職時、会社の労働者に対する損害賠償額と賃金を直接相殺するこ とはできないが、民事上損害賠償請求は可能である。 □ 賃金債権優先返済制度 ▶ 労働者が使用者から賃金又は退職金支給をまだ受け取っていない場合、国 が事業主の代わりに一定範囲の未払賃金及び退職金を支給する制度である 。 ▶ 賃金・退職金・災害補償金その他労働関係による債権は、使用者の総財産 に対して質権又は抵当権によって担保された債権を除いては、租税・公課 金及び他の債権に優先して返済されることができる。 ▶ 但し、最終 3 ヶ月分の賃金、最終 3 年間の退職金及び災害補償金は、使用 者の総財産に対して質権又は抵当権によって担保された債権、租税・公課 金及び他の債権に優先して返済されることができる。 □ 使用証明書の発給 45 ▶ 使用者は労働者が退社した以降にも使用期間、業務種類、地位と賃金そ の他必要な事項に関する証明書を請求した時には事実通りに記入して交 付しなければならない。 ▶ 使用証明書は労働者が要求する事実のみを記入しなければならない。 ▶ 継続して 30 日以上労働した場合にのみ、使用証明書を請求することがで き、請求期限は退社後 3 年以内である。 □ 就業妨害の禁止 ▶ いかなる者も労働者の就業を妨害する目的で、秘密記号又は名簿を作成 ・使用するか或いは通信をすることはできない。 □ 実務 Q&A Q :退職金制度を変更する場合、役員は累進制に、社員は法定制にとする等 差を置くことは労働基準法上違反になりますか。 A :労働者の職位、階級、職種別に異なる累進率を適用する等、退職金支給 条件が異なることは労働基準法上違反になりますが、業務代表権、業務 執行権がある法人の理事であれば会社から一定の事務処理の委任を受け ている事業経営担当者として労働基準法適用対象ではないため、退職金 制度を差等運営してもかまいません。 Q :就業規則に「採用した日から 3 ヶ月以下の見習い期間を経た後、正規職と して採用することが出来る」という規定がある場合、見習い期間が退職金 算定のための継続労働年数に含まれますか。 A :見習い期間とは、労働者の職業能力養成・教育等のために設けたもので 、見習い期間と言っても実質的に会社に編入され、業務を身に付けて遂 行することになるので、退職金計算のための継続労働年数に算入します 46 11.営業譲渡と労働関係 □ 関連法令 「勤労基準法」、「商法」、「民法」 □ 営業譲渡とは 営業譲渡とは、本来商法上の概念で当事者(譲渡人-譲受人)間の契約によっ て営業組織体をその同一性を維持したまま移転することをいう。 ▶ 譲渡の対象になる営業組織体とは、営業の目的によって組織された有機 的一体としての機能的財産、即ち、営業用財産を始め、営業機密、顧客 関係、経営組織等の事実関係を含む有機的組織体である。 ▶ 営業譲渡は合併とは異なって「包括承継」されず、「特定承継」されるため 、個々の財産に関して別途の移転手続を取らなければならない。 □ 営業譲渡と労働関係移転 イ.譲渡人と譲受人間の合意 営業譲渡の場合には企業の営業財産のみ移転されるのではなく、労働者 の労働関係も移転されるのが一般的であるため、当事者間に労働者の一部 又は全部を排除するという別途の合意がない限り、労働関係は包括的に承 継される。 ▶ 当事者が合意した場合、労働者の一部又は全部を承継の対象から除外 できると見なすべきであるが、このような合意は実質的には解雇に等 しいため、正当な理由がある場合に限って有効である。 48 ロ.労働者の同意 営業譲渡による労働関係の移転が有効に成立するためには、労働関係以 前に対する労働者の同意が必要であるかどうかが問題となるが、労働者の 同意がない場合でも労働関係は当然譲受人に移転すると見なす。 ▶ 労働者には譲受会社との労働関係を自ら解除する権利があるため、特 別な不利益は発生しない。 □ 営業譲渡と労働条件の変動 イ. 労働条件適用原則 労働関係の承継について譲渡人と譲受人が共に合意し、当該労働者がこれ に同意した場合、当該労働者の労働関係は譲受人との別途の労働契約締結 とは関係なくそのまま維持される。 ▶ 譲渡会社で労働者に適用された就業規則は譲受会社でも労働者にその まま適用され、年次有給休暇、退職金及び昇進・昇給の年限算定等を する場合、譲渡会社及び譲受会社での勤務期間は合算されることが原 則である。 ロ. 形式的な退職手続を経た場合 一般的に営業譲渡の場合、労働者を譲渡会社から退職させ譲受会社に再入 社させる形式を取ることが殆どであるため、この場合にも労働関係は譲受 会社から引き続き承継されると見なさなければならず、労働関係断絶後に 新たに開始されるものと見なしてはいけない。(下記の事例) ▶ 退職が労働者の恣意によるものではなく、退職金を縮小するための手 段である場合 ▶ 事業を譲渡・譲受する企業の一方的な決定により形式的な退職と再入 社を経たものに過ぎない場合 49 ▶ 書類上退職願を提出し、新たに入社する形式を取ったが、労働者が引 き続き同一業務に従事して来た場合等 ハ. 労働者の自由意思によって退職手続を経た場合 労働者の自由意思によって譲渡会社で退職金を受領し、譲受会社に再入 社する方を選択した場合には労働関係が断絶されたものと見なさなければ ならず、この場合労働には新しい譲受会社の労働条件を適用することがで き、又、勤続期間の計算も譲受会社に勤務した時から新たに起算される。 □ 営業譲渡と解雇 営業譲渡により労働関係が承継された場合、使用者は勤労基準法第 31 条に 規定されている経営悪化を防止するための場合に限って労働者を解雇するこ とができる。 ▶ 営業譲受人が譲受を受けた営業部分に対して経営合理化を理由に承継され た労働者を解雇する場合、これが単に経営拡張のための解雇であれば、不 当解雇と見なす。 ▶ 通常経営状況が厳しい場合に営業譲渡が行われるケースが多いため、正当 な理由がある場合、譲渡会社が予めリストラ又は希望退職等の手続を取る のが一般的である。 ▶ 営業譲渡人によって解雇された労働者が解雇の効力について争う場合、解 雇の効力について争う者は原則的に譲渡会社の責任となるが、営業の全部 譲渡の場合には譲受会社が承継しなければならない。 営業の一部譲渡において労働関係を承継するよう約定した場合、譲渡人 と労働者間の労働関係は原則的に譲受人に包括的に承継されるが、この際 、承継された労働関係は契約締結日現在、実際にその営業部分で勤務して いる労働者との労働関係のみを意味するもので、契約締結日以前に該当営 業部門で勤務していた時に解雇されてその効力について争う労働者との労 50 働関係まで承継されるものではない(中央裁判所判例)。 □ 営業譲渡と労働組合 イ. 一部労働組合員が承継される場合 既存譲渡会社労働組合の組合員のうち、一部が承継される場合には労働者 が譲渡会社労働組合員の資格を失うことになるため、このような組合員は 譲受会社に非労働組合員の形で残ることになり、この労働組合員が希望す る場合、譲受会社の労働組合に加入することができる。 ロ.労働組合員が全員承継される場合 この場合には事業主の変更にも拘わらず、労働組合の存続をそのまま認 めると、譲受会社には組織対象が異なる2つの労働組合が併存することに なるため、この場合、2 つの労働組合は合併手続を取るのが一般的である 。 □ 営業譲渡と団体協約 譲渡会社の労働組合が締結した団体協約に対して、譲受会社の事業主がその 効力を認める義務があるかどうかが重要な問題になるが、当事者間に別途の 特約がない限り、譲渡会社の債権・債務関係が譲受会社に承継されるため、 団体協約の効力もそのまま移転されると見なす。 □ 実務 Q&A Q :営業譲渡当事者間に労働関係の一部を承継から除外するか或いは既存 の勤務期間を算入しないという特約をすることができますか。 A :営業譲渡当事者が一部の人員だけを承継し、一部は除外することにな ると、これは実質的な解雇に該当するため、正当な事由がなければなら ず、営業譲渡そのものの事由だけでは正当な理由があると見なすことが できない。 51 退職 金算定、 12.労働組合の設立と効果 年次 等に 休暇算定 必要な勤 続年数の認定は、既存の労働条件に影響を及ぼすため、譲渡人と譲受人 間の合意によって決定される性質ではなく、該当労働者の同意が必要で ある。 □ 関連法令 「労働組合及び労働関係調整法」 □ 労働組合の設立要件 ① 労働組合は労働者が主体にならなければならず、労働者ではない者の加 入を許容してはいけない。 ② 労働組合は使用者のみならず、国家、政党、宗教団体、利益集団等、外 部からの支配及び干渉なしに独立して設立・運営されなければならない 。 ③ 労働組合は賃金、労働時間等の労働条件の維持、改善とこれらの向上を 目的として設立・運営されなければならない。 ④ 労働組合が以下の各項目に該当する場合には労働組合として見なさない (※設立申告の際、返戻の事由になる)。 イ.使用者又は常に使用者の利益を代表して行動する者の参加を許容す る場合 52 [例示]事業主、経営役員、人事チーム長、安全課長、専用秘書、 運転手等 ロ.経費の主な部分を使用者から援助してもらう場合 [例示]組合事務所の設備、備品、人件費及び手当、旅費等を一 切支援すること:不可 労組の運営費を援助すること:不可 労働時間中、使用者と交渉すること:可 労働者の厚生資金、災害扶助福利基金の支援:可 最小規模の労組事務室の提供:可 ハ.共済・修養その他福利事業のみを目的とする場合 [例示]慶弔事相互扶助のみ行う場合:不可 親睦、読書、音楽鑑賞等修養活動のみ行う場合:可 ニ.労働者ではない者の加入を許容する場合 但し、「解雇された者が労働委員会に不当労働行為の救済申請をした 場合」には中央労働委員会の再審判定があるまでは労働者ではない者 として解釈してはならない。 ▶ この場合、解雇の効力について争う者は、労働組合の設立、事業 場への出入り、役員出馬、団体交渉、争議行為等、労使関係では 制限的な活動が可能である。 ▶ その他に労働提供、賃金受領等の労働関係において解雇の効力に ついて争う者は当然退職者として見なす。 ホ.主に政治運動を目的とする場合 [例示]政党、特定の政治家に隷属化:不可 53 主な目的が政治活動の場合:不可 事業、事業場別に組織された単位労働組合の政治資金寄付 :不可 上記単位労働組合の政党後援会への会員加入:不可 労働組合の地位を利用した選挙運動:不可 公明選挙運動、候補者討論会の開催:可 労組委員長、労組員の個人資格での政党加入、選挙運動:可 特定政党或いは候補者を支持又は反対:可 □ 労働組合の設立申告 労働組合を設立しようとする場合、設立申告書と労働組合の規約を添付し て該当官庁に設立申告をしなければならない。 ▶ 連合団体である労働組合と 2 つ以上の特別市・広域市・道にわたる単 位労働組合→労動部長官に提出 ▶ その他の労働組合→特別市の市長・広域市の市長・道知事に提出 □ 行政官庁の審査 提出された設立申告書について行政官庁は労働組合の適法性を審査し、申 告証交付、補完要求、返戻等の決定をする。 ① 申告証交付 設立が適法な場合には申告書を受付てから 3 日以内に「設立申告証」を交 付しなければならない(労組設立日は申告書を受付けた時に遡及され る)。 ② 補完要求 54 規約の未添付、必須記載事項の漏れ、虚偽事実等がある場合、20 日以内 の期間内補完を要求する。 ③ 申告証返戻 労働組合が上記の欠格事由に該当するか或いは補完要求に応じない場合 、単位労働組合で組織対象が重複する場合等には、受付けた申告証は返 戻される。 □ 労働組合設立の効果 労働組合が設立要件を具備し、適法手続を経て設立申告証の交付を受けた 場合には正常的な労働組合としての活動が可能になる。 ① 労働組合という名称を使用することができる。 ② 労働委員会に労働争議調整を申請することができる。 ③ 労働委員会に不当労働行為の救済申請をすることができる。 ④ 管轄登記所に登記し、法人にすることができる。 ⑤ 労働組合の本来の目的に見合う活動をする場合、税法が定めるところに よって租税が賦課されない。但し、営利が目的の事業は除外される。 ⑥ 正当な争議行為である場合、民事・刑事上免責になる。 □ 設立申告証の交付を受けていない場合 労働組合が設立要件を備えたが、該当官庁に設立申告をしなかったため、 申告証の交付を受けていない労働組合の場合には、実質的な労働組合として の要件は備えたとしても労働法又は憲法上、保護を受けることができない。 ※ 多数の学者達はこの場合、「憲法労組」或いは「法外労組」として、団体交 渉権、団体協約締結権、民事、刑事上の免責特権等の憲法的な保護は認 められると主張している。 □ 労働組合の解散 55 労働組合は一定要件がある場合、任意に或いは強制的に消滅することになる 。 ① 労働組合規約で定めた解散事由が発生した場合 一般的に解散事由を定めないが、定める場合もある。 ② 既存の 2 つの労組が合併して吸収される労組が消滅するか或いは 1 つの 労組が分割することによって以前の労働組合が消滅する場合 ③ 総会又は代議員会の解散決議がある場合 ※ 在籍組合員過半数の出席と出席組合員 3 分の 2 以上の賛成が必要 ④ 労働組合に役員がおらず、労働組合としての活動を 1 年以上していない と認められる場合で、行政官庁が労働委員会の議決を得た場合 ▶ 労働組合が解散する時には、その代表者は解散した日から 15 日以内に 行政官庁にこれを申告しなければならない。 56 13.労働組合専任者制度 関連法令 □ 「労働組合及び労働関係調整法」 労働組合専任者制度とは □ ▶ 団体協約又は使用者の同意がある場合、労働組合員、特に労働組合の役 員に対して労働組合の業務に専念するよう許容する制度を労働組合専任 制度という。 ▶ 専任者は使用者との労働契約関係による従業員としての地位を維持しな がら、一定期間労務提供義務の全て又は一部を免除される。 労働組合専任者の賃金 □ ▶ 2006 年 12 月 31 日以降からは労働組合専任者は専任期間中、使用者から いかなる給与も支給されてはいけない。 ▶ 2006 年 12 月 31 日以降に使用者が労働組合専任者の専任期間中、賃金を 支給する場合、使用者は不当労働行為の責任を取るようになる。 ▶ 労働組合専任者に賃金を支給している事業場は、専任者に対する給与支 援規模を労使協議によって 2006 年末までに漸進的に縮小していかなけ ればならない。 労働組合専任者の地位 □ ▶ 労働組合専任者も従業員としての地位を維持するため、出・退勤の義務 を負うことになり、無断欠勤時には使用者がこれを理由に懲戒解雇する 57 ことができる。 ▶ 労働組合専任者が労働組合業務遂行中に災害を負った場合にも産業災害 補償を受けられるが、上部労働団体と関連した活動や不法的な労働組合 活動をした時或いは争議行為に突入した以降の災害については、これを 受けることができない。 ▶ 使用者は労働組合専任者の専任期間が満了すると、元職に復職させなけ ればならなず、これを拒否するか或いは復職後、他の労働者に比べて昇 進・昇給・賃金等の労働条件において差別待遇をする場合、不当労働行 為の責任を取られる。 □ 実務Q&A Q :団体協約上「労組専任者の賃金は使用者が負担する」と規定されている 場合、労組専任者に労組専任以前に受けた賃金全額を支給しなければな りませんか。労働を全く提供しないので賞与金、超過勤務手当等を除外 した賃金を支給してもいいですか。 A :労組専任者の給与は労働組合で支給することが原則ですが、労使が団 体協約で専任者の給与を使用者側が負担すると約定した場合には、その 内容に従わなければなりません。しかし、具体的な支給基準を定めてい ない場合には賞与金、超過勤務手当等を支給するといった別途の根拠規 定がない限り、使用者がこれを支給する義務はありません。 Q :労組専任者の専任期間中にも労組専任者に年・月次休暇が発生します か。又、発生する場合、年・月次休暇を使用しない場合に手当として支 給しなければなりませんか。 A :労組専任者の労組専任期間は労働契約関係が維持されている限り、勤 続年数には算入されるべきですが、労組専任者は使用者から始業及び終 業時刻、休日・休暇等労働条件において制約を受けず、実際に労働を提 供しないため専任期間の間、使用者に年・月次有給休暇の付与又は休暇 未実施による手当を支給しなければならない法的責任はありません。 58 14.団体交渉と団体協約 □ 関連法令 「労働組合及び労働関係調整法」 □ 団体交渉とは ▶ 団体交渉は使用者と労働者団体間の労働条件の維持・改善その他労働者 の社会的・経済的地位向上に関する集団的交渉をいう。 ▶ 使用者は団体交渉を正当な理由なしに拒否又は懈怠することができない。 ▶ 労働組合と使用者は団体交渉又は団体協約の締結に関する権限を委任す ることができ、受任者は委任された範囲内でその権限を行使することが できる。 □ 団体交渉の対象 ▶ 団体交渉の対象とは労働者側の団体交渉要求がある場合、使用者に交渉 の義務が賦課された交渉事項をいい、使用者がこれを拒否する場合には 不当労働行為が成立する。 ▶ 団体交渉の対象になるためには、労働条件に関係した事項、集団的性格 の事項、使用者の処分可能性のある事項でなければならず、使用者の固 59 有権限である人事・経営権に関する事項は交渉の対象にならない。 ※ 使用者の経営権の行使が労働条件に影響を及ぼすか或いはこれと密接 な関連がある場合には団体交渉の対象になり得る。 ▶ 使用者は労働者側が団体交渉の対象ではない事項に対して交渉を要求す る場合には交渉を拒否することができる。 □ 団体協約 ▶ 団体協約とは 団体協約は労働組合と使用者との間で労働条件その他労働者の経済的、 社会的地位に関して合意した文書である。 ▶ 団体協約の内容 団体協約は大きく分けて労働条件、その他労働者の待遇に関して規定した 部分と労働組合と使用者の権利・義務を規定した部分で構成される。 ▶ 団体協約の方式と申告 団体協約は必ず書面で作成し、書名・捺印しなければならず、締結日から 15 日以内に行政官庁に申告しなければならない。 ▶ 団体協約の有効期間 o 団体協約の有効期間は 2 年を超過することができず、交渉にも拘わら 60 ず新しい団体協約が締結されなかった場合には以前の団体協約の効力 が 3 ヶ月間維持される。 o 団体協約に有効期間が経過してからも新しい団体協約を締結するまで 従来の団体協約の効力を存続させるという規定がある場合には、有効 期間が経過してからも従来の団体協約の効力は維持される。 しかし、従来の団体協約を解除し、新しい団体協約を締結しようとす る場合には当事者の一方は解除しようとする日の 6 ヶ月以前まで相手 に解除の意志表示をしなければならない。 □ 実務Q&A Q :労働組合の下部団体である分会と支部に独自的な団体交渉及び団体協約 締結権限がありますか。 A :労働組合の下部団体である分会と支部が、独自的な規約及び執行機関を 持ち、独立した組織体として活動する場合、当該組織及びその組合員固有 の事項については独自に団体交渉をし、団体協約を締結することができる 。 Q :労働組合がリストラ自体を反対する事項を団体交渉対象として要求する 場合、このような事項が義務的団体交渉事項になりますか。又、これを貫 徹させるために行う争議行為は正当性がありますか。 A :緊迫な経営上の必要性によるリストラの実施は、使用者の経営上の措置 として見なすべきです。リストラに関する労働組合の要求内容が、使用者 はリストラをしてはいけないという趣旨であれば、これは使用者の経営権 を根本的に制約することになるため、原則的に団体交渉の対象になりませ ん。又、団体交渉対象にならない事項を達成しようとする争議行為には正 当性がありません。 61 Q :団体協約に定められた期間満了の際、一定期間内に団体協約の改正又は 廃棄の通告がなければ自動更新されるようにした場合、2 年の団体協約有 効期間を定めた法規定を違反することになりますか。 A :当事者が団体協約満了の際、協約の延長又は更新協定を締結することは 、従来の団体協約と同じ内容の団体協約を再び締結しようとすることに等 しく、当然有効です。団体協約満了の際、一定期間内に協約の改正又は廃 棄の通告がなければ自動更新されるので、予め規定することも当事者間の 有効期間満了後の団体協約締結権を予め制限するか或いは剥奪することで はないので有効です。但し、その新しい有効期間は 2 年に制限されます。 62 15.争議行為の正しい手続 □ 関連法令 「労働組合及び労働争議調整法」 □ 争議行為とは 「争議行為」とは、ストライキ・怠業・職場閉鎖その他労働関係当事者がそ の主張を貫徹させる目的で行う行為と、これに対抗する行為で、業務の正 常的な運営を阻害する行為をいう。 ▶ 労働者の争議行為としてはストライキ(Strike)、怠業(Slowdown)、 サボタージュ(Sabotage)、生産管理、ボイコット(Boycott)、ピケッ ティング(Picketing)等があり、 ▶ 使用者の争議行為としては職場閉鎖(Lock-out)がある。 □ 正当な争議行為の要件 ① 労働者の争議行為が正当性を備えるためには、その主体が団体交渉及び 団体協約を締結する能力のある者、即ち、労働組合でなければならない 。 ② 労働組合員は労働組合が主導しない争議行為をしてはいけない。従って 、労働者個人、一時的な労働者団体又は争議団は正当な争議行為の主体 になれない。 63 ③ 争議行為の目的は賃金、労働時間、厚生、解雇、その他の待遇等、労働 条件に関する当事者の主張を貫徹させる目的で行う行為でなければなら ない。 従って、政治的なストライキ及び同情ストライキ等、当事者ではない第 三者(国家又は他企業)のために行う争議行為は原則的に許容されない 。 ④ 争議行為はその目的を達成するために必要な最小限の水準で、また他の 方法では解決できない最後の手段として行使しなければならない。 ⑤ いかなる場合にも暴力、破壊行為は正当な行為として解釈できない。 ※ 但し、不可避に発生する一部組合員による暴行及び暴言等はその不 可避性の程度によって正当性が考慮されることもある。 ⑥ 争議行為は安全保護施設の正常的な維持、運営を停止、廃止又は妨害し てはいけない。 [例示]動力施設、変電施設、溶鉱炉施設、通信施設、落盤防止施設、 通気排水施設、義務施設等 □ 争議行為の手続 ① 労働争議の発生 労働争議とは、労働組合と使用者又は使用者団体間の賃金、労働時間、 福祉、解雇、その他の待遇等、労働条件の決定に関する主張の不一致に よる紛争状態をいい、当事者の間で合意のための努力がそれ以上進展し ない場合をいう。 ② 労働争議の書面通告 労働関係の当事者は労働争議が発生した場合、ある一方がこれを相手に 書面で通告しなければならない。 64 ▶ 労働争議発生を通報する前に、実質的な合意のための両者の努力が必要 であり、当事者間の合意が困難な場合、第三者の助け及び争議行為を通 じた解決のための後続手続が行われる。 ③ 労働争議調整の申請 争議行為は調整手続を経らないと、これを行うことができないため、ま ず、労働組合又は使用者の一方が労働委員会に調整を申請しなければな らない。 ④ 労働争議調整前置主義 調整期間中(一般事業の場合は 10 日、公益事業の場合は 15 日)に調整 が終了しなかった場合、或いは仲裁回付の際、15 日の争議行為禁止期間 中、仲裁裁定が行われなかった場合には、それ以降、争議行為をするこ とができ、調整期間中の争議行為は禁じられる。 ⑤ 労働組合員の争議行為賛否投票 労働組合が争議行為をする場合には組合員過半数による直接、秘密、無 記名賛否投票を必ず経なければならない。 [判例]労働組合長が客観的な事情がないにも拘わらず、組合員の賛否 投票なしに労組代議員の委任を受けて又は単独で争議行為の開始 を決議したとしたら、これは正当性を失った争議行為である。 ⑥ 争議行為の申告 労働組合が争議行為をしようとする場合、行政官庁と管轄労働委員会に 争議行為の日付、場所、参加人員及びその方法を予め書面で申告しなけ ればならない。 65 □ 使用者の争議行為:職場閉鎖 ① 職場閉鎖とは、労働組合の争議行為に対抗する使用者側の争議行為であ る。 [判例]労働者が適法な形で争議行為を開始して職場を占拠した場合に も、使用者が適法な形で職場を閉鎖し、労働者に退去要求をした 場合、労働者がこれに応じない時には刑法上の退去不応罪に処す る。 ② 職場閉鎖は労働組合が争議行為を開始した以降にのみ可能である。 ▶ 争議行為以前の職場閉鎖:不可 ▶ ストライキ終了以降の継続的な職場閉鎖:不可 ③ 職場閉鎖をしようとする場合には予め行政官庁と労働委員会に各々申告 しなければならない。 ④ 職場閉鎖においても暴力及び破壊行為を行うことはできず、安全保護施 設に対して正常的な維持・運営を停止・廃止又は妨害する行為を行うこ とはできない。 ⑤ 職場閉鎖が成立すると、使用者は労働者を生産手段から断絶し、労働の 提供を拒否することができ、これによって賃金支給の義務も免じられる 。 66 16.使用者の不当労働行為 □ 関連法令 「労働組合及び労働争議調整法」 □ 不当労働行為の救済とは 不当労働行為救済とは、使用者の不当な権利侵害から労働者又は労働者団 体の労働 3 権を保護するために明文化して強制しているもので、これを通 じて労働者の権利保障と労使自治主義を実現しようとする制度である。 □ 不当労働行為の主体 誰の不当労働行為を規律するかが問題であるが、韓国の場合は使用者の労 働者に対する不当労働行為のみを規律対象にしている。 従って、労働者又は労働組合は不当労働行為の主体になれない。 □ 不当労働行為の類型 イ.不利益な取扱 ① 労働者が労働組合に加入したこと、加入しようとすること、労働組合を 組織しようとしたこと、その他労働組合での正当な業務をしたことを理 由に解雇、懲戒等、不利益を与える取扱いをすることができない。 z 団体交渉及び団体行動 z 労組幹部の選出、会議出席及び発言、議決 67 z 労組業務のための出張 z 労働組合の脱退又はこれの勧誘 z 新しい労働組合の結成、労働組合幹部に対する批判及び反対勢力等 ② 労働者の正当な団体行動参加及び労働委員会への使用者の違反行為の申 告、証言その他証拠提出等を理由に不利益な処分をすることができない 。 ロ.卑劣契約(Yellow dog contract) 労働者がある労働組合に加入しないこと又は脱退することを雇用条件とす るか或いは特定労働組合の組合員になることを雇用条件にすることは、不 当労働行為として規制される。 z 但し、当該事業場労働者の 3 分の 2 以上を代表とする労働組合がある 場合には、労働者がその労働組合の組合員になることを雇用条件とす る団体協約を締結することができる。 z 卑劣契約は契約そのものが不当労働行為として成り立ち、契約内容は 司法上無効である。 ハ.団体交渉拒否 使用者が労働組合の代表者又は労働組合からの委任を受けた者との団体 協約締結、その他団体交渉を正当な理由なしに拒否するか或いは懈怠す ることは不当労働行為に該当する。 しかし、正当な事由がある場合には団体交渉要求に応じないこともで き、以下の場合には不当労働行為が成立しない。 z 労働者が団体交渉の正当な主体ではない場合 68 - 労働組合ではなく労働者団体に過ぎない場合 - 組合総会から交渉の権限を委任されなかった場合 - 交渉担当者が多過ぎる場合 ※ 労働組合員が少数である場合は該当しない。 z 労働者が要求する団体交渉の内容が、団体交渉の対象ではないこ とが明白な場合 - 政治的な解決の要求 - 解雇撤回等の明確な人事、経営事項 - 不法行為等禁止交渉対象の場合等 z 団体交渉の方法、手段、手続が法令、団体協約又は就業規則等に 定められた場合、これを違反するケース - 暴言、暴行等強圧的な交渉行為 - 正当な事由なしに長時間にわたる交渉要求 - プライベートを侵害する交渉行為 - 特定事項に対する即時可否回答要求等 z 使用者が団体交渉の権限を持っていない場合 ニ.支配、加入 使用者が、労働者が労働組合を組織又は運営することを支配するか或い はこれに介入する行為と労働組合の運営費を支援する行為は、不当労働 行為に該当して規制を受ける。 z 労働組合の組織、団体交渉、団体行動等一体的な活動に対する介 入 z 労働組合の自主性を害する程度の運営経費の支援 z 但し、労働時間中の団体交渉活動への参加、労働者の厚生資金又 は災害救済のための基金の寄付、労組活動のための最小規模の事 69 務所の提供等は不当労働行為に該当しない。 □ 不当労働行為の救済手続 イ.原状回復主義と刑罰主義 不当労働行為に対する労働者の救済は、原則的に労働委員会による行政 的な救済で原状回復主義を取っており、使用者がこれを履行しない場合 、刑罰主義を付け加えている。 ロ.救済の申請 権利を侵害された労働者又は労働組合は、使用者の不当労働行為があっ た日から 3 ヶ月以内に管轄労働委員会に救済を申請することができる。 ハ.労働委員会の初審判定 労働委員会は不当労働行為申請に対する事実調査を通じて、使用者に救 済命令(原状回復)又は申請の棄却又は却下の判定をする。 z 却下事由 - 申請した労働組合が労働法上の労働組合でない場合 - 除斥期間である発生日以降 3 ヶ月が過ぎた場合 - 不当労働行為でないことが明白な場合 - 救済の実益がないか或いは救済が不可能な場合等 ニ.中央労働委員会の再審判定 地方労働委員会又は特別労働委員会の救済命令若しくは棄却決定に不服 な使用者又は労働者は、判定結果の送付日から 10 日以内に中央労働委 員会に再審査を申請することができる。 70 ホ.行政訴訟の提議 中央労働委員会による再審判定に不服がある場合には、判定結果送付日 から 15 日以内に行政訴訟法による行政訴訟を提起することができる。 ヘ.裁判所による救済 労働委員会による救済手続とは別途、直接裁判所に訴訟を提起して不当 労働行為の無効確認、損害賠償請求等、侵害された権益の保護を請求す ることができる。 71 17.使用者の争議行為手段(職場閉 □ 関連法令 「労働組合及び労働関係調整法」 □ 職場閉鎖とは ▶ 職場閉鎖とは、労働組合の争議行為に対する対抗手段として、使用者が 一時的に労働者の労務提供を拒否し、企業施設及び経営権を労働組合の 争議行為から保護するために行う使用者の争議行為である。 □ 職場閉鎖の方法 ▶ 職場閉鎖は、職場閉鎖の実施を公告し、事業場での労務提供を拒否する 方式で行われる。 ▶ 使用者は職場閉鎖をする場合、予め行政官庁及び労働委員会に各々申告 しなければならない。 ▶ 職場閉鎖期間中にも労働組合の事務室と会社の寮等は閉鎖できない。 □ 職場閉鎖の正当性の要件 ▶ 使用者は労働組合が争議行為を開始した後にのみ職場を閉鎖すること ができ、その前に行われる場合は違法である。 ▶ 労働組合の争議行為が終了した後にも引き続き職場を閉鎖する場合、 攻撃的職場閉鎖となって正当性を失うことになる。 72 ▶ 使用者は違法性が明らかな争議行為の場合には他の法律的救済手段で 対応しなければならず、職場閉鎖を実施する場合にはその正当性を失 うことになる。 □ 職場閉鎖の範囲 ▶ 事業場全体が争議行為の対象となった場合には事業場全体を対象とし て職場閉鎖を実施することができるが、事業場の一部で争議行為が発 生した場合にはその一部だけを対象にした職場閉鎖は可能であるが、 攻撃的な全面的職場閉鎖は許容されない。 ▶ しかし、事業場の一部に対する争議行為によって事業場全体の操業が 不可能な場合には全面的職場閉鎖も可能である。 □ 職場閉鎖の効果 ▶ 正当な職場閉鎖の場合には使用者の賃金支給義務が免除されるが、正 当性を失った先制的・攻撃的職場閉鎖の場合には労働者に賃金を支給 しなければならない。 ▶ 職場閉鎖が正当に行われると、使用者は労働組合員に退去命令をする ことができ、これを拒否する場合には労働組合員に退去不応罪が適用 される。 73 18.労働争議調整制度 □ 関連法令 「労働組合及び労働争議調整法」 □ 労働争議調整制度とは 労働争議は、労使当事者が自主的に交渉し、その結果、合意を導出して解 決するのが原則である。 しかし、このような合意が円満に行われず、労働組合が争議行為に突入す ることが予想される場合、労働争議をより効率的で迅速に解決するために 、信頼性のある専門的な第三者が介入してこれを調整・仲裁する制度を労 働争議調整制度という。 □ 調整と仲裁 調整(Mediation)とは、第三者である調整者が紛争の当事者である労使双方に 紛争に対する解決案を提示し、当事者がこれを検討して合意に至るようにす ることを意味するが、当事者は必ずしもこの解決案に拘束される必要はない 。 仲裁(Arbitration)とは、裁判所ではない第三者の仲裁人が両当事者の紛争に対 する仲裁案を提示し、当事者はこの仲裁案に拘束されて合意に至らなければ ならないものである。労使間の自律的な合意及び第三者の調整が円満に行わ れない場合に例外的に適用される。 □ 私的調整と公的調整 74 労使の間で自律的な紛争解決が困難な場合、私的調整と公的調整制度によっ て第三者から調整を受けることができる。 私的調整は労使間の合意で公的調整に優先して適用することができる。公的 調整は私的調整がないか或いは私的調整によって紛争が解決しなかった場 合、補助的に適用することができる。 □ 私的調整制度 労働争議が発生した場合、労使双方の合意又は団体協約で定められた私的 調整人を選任して紛争を調整することができる。 私的調整は労働争議を解決するために随時可能である。 z 労働争議が発生する以前 z 労働争議が発生した以降、公的調整開始以前 z 労働争議が発生して公的調整手続が開始された以降 私的調整を開始した場合、管轄労働委員会に申告しなければならず、調整 の申請があった日から一般事業の場合は 10 日、公益事業の場合は 15 日以内 に終了しなければならない。 私的調整によって紛争が解決した場合はその内容は団体協約と同一の効力 を持つ。 私的調整によって労働争議が解決されない場合には、労働組合は争議行為を することができ、又公的調整による調整、仲裁を労働委員会に申請するこ とができる。 □ 公的調整制度 労使当事者間に私的調整手続が用意されていないか或いは私的調整によっ 75 て労働紛争が解決しなかった場合、当事者の申請によって、公的調整が行 われる。 z 調整前置主義:労働組合は労働争議に対する私的、又は公的な調整な しに 争議行為をすることはできない。 z 公的調整には調整制度と仲裁制度がある。 □ 公的調整(Mediation) イ. 調整の開始 労働争議を解決するために労使関係当事者のうち、一方又は両方が労働 委員会に調整を申請した場合、労働委員会は遅滞なく調整を実施しなけ ればばらず、関係当事者はこれに誠実に臨まなければならない。 ロ. 調整の期間 調整は申請があった日から一般事業の場合は 10 日、公益事業の場合は 15 日以内に終了しなければならない。関係当事者間の合意がある場合には 同期間程度の調整期間の延長が可能である。 ハ.調整担当者 [労働委員会]管轄労働委員会に設置されている調整委員会が労働紛争 の調整を担当し、労働委員会の委員のうち、各々使用者を 代表する者、労働者を代表する者、公益を代表する者と 3 人の調整委員で構成される。 [単独調整人]労働委員会は労使両方の申請と同意がある場合、上記調 整委員会に代わって労働委員会の委員のうち、労使双方の 合意で選定した者を単独調整人として選任することができ 76 る。 ニ.調整活動 調整委員会又は単独調整人は、労使当事者の意見聴取及び調査後、調整 案を作成して両当事者に受諾を勧告する。 ホ.調整の効力 両方によって受諾された調整案は団体協約と同一な効力を持つ。 調整案が受諾されない場合、調整委員会は調整の終了を両方に通告し、 労使当事者は、仲裁することに合意した場合には仲裁手続を開始し、こ のような合意がない場合、労働組合は争議行為をすることができる。 □ 公的仲裁(Arbitration) イ.仲裁の開始 仲裁は当事者双方が仲裁申請をするか、団体協約に基づいて当事者の一方 が仲裁申請をするか、或いは必須公益事業において仲裁回付決定を下した 場合に開始することができる。 ロ.仲裁期間 仲裁手続が開始されると、その日から 15 日間は争議行為をすることがで きな い。 ハ.仲裁担当者 仲裁は管轄労働委員会に設置されている仲裁委員会が担当し、労働委員会 77 の公益委員のうち、当事者の合意によって選定された委員のうち、3 名で 構成される。 ニ.仲裁活動 仲裁委員会は関連当事者を出席させ、各主張の要点を聴取するか或いは 当事者を代表する労働委員会の委員から意見を聞くことができ、多様な 状況と関連資料をまとめて仲裁案を作成する。 仲裁の結果作成された仲裁案(仲裁裁定)は、書面で作成し、効力発生日 を定めて、当事者に通告する。 ホ.仲裁の効力 確定された仲裁裁定は団体協約と同一な効力を持つ。 ヘ.仲裁に対する不服手続 [再審手続]当事者が地方労働委員会又は特別労働委員会の仲裁裁定が 違法であるか或いは越権によるものであると認める場合には その仲裁裁定書を受けた日から 10 日以内に中央労働委員会 に再審を申請することができる。 [行政訴訟の提起]地方労働委員会又は特別労働委員会の仲裁裁定に対 する中央労働委員会の再審決定や中央労働委員会の仲 裁裁定が違法であるか或いは越権によるものであると 認める場合にはこれを送達された日から 15 日以内に行 政訴訟を提起することができる。 78 19.労使協議会の設置と運営 関連法令 □ 「勤労者参加及び協力増進に関する法律」 労使協議会制度の導入主旨 □ ▶ 労使協議会制度は過去の対立的労使関係を清算し、労働者の参加を通じ て協力的労使関係を構築し、労・使共同の利益を図るために導入された 制度である。 労使協議会の設置 □ ▶ 労働者 30 人以上の事業場は労使協議会を設置しなければならない。 ▶ 事業場が分散されていても全体の労働者数が 30 人以上の場合、その主な 事務所に労使協議会を設置しなければならない。 ▶ 労使協議会は 3 人以上 10 人以内の労働者委員と使用者委員の同数で構 成される。 ※ 労使協議会の設置手続 o 労働者過半数で組織された労働組合がある場合→労働組合と協議して設 置 79 o 労働者過半数で組織された労働組合がない場合 □ ①労使協議会設置関連公告 ②労使協議会設置準備委員会構成 ③労使協議会委員数決定 ④労働者委員選出関連事項決定 ⑤労働者委員立候補者受付 ⑥労働者委員投票人名簿作成 ⑦投票及び委員当選者確定 ⑧労使協議会設置完了 労使協議会の運営 ▶ 労使協議会は組織と運営に関する規定を制定し、これを労使協議会の設 置日から 15 日以内に労動部長官に提出しなければならない。 ▶ 労使協議会は 3 ヶ月ごとに定期的に開催しなければならず、会議結果を 記録した会議録を作成して備え付け、これを 3 年間保存しなければなら ない。 ▶ 会議は労働者委員と使用者委員の各過半数以上の出席で開催し、出席委 員 3 分の 2 以上の賛成で議決する。 □ 労使協議会の機能 ▶ 労使協議会は経営の合理化を図り、労働者の利益を増進する機能をし、 協議会の論議事項は労働者の参加程度によって議決事項、協議事項、報 告事項に分けられる。 ▶ 議決事項 事業主が必ず協議会の事前議決を経て施行しなければならず、労使共 にその結果に従わなければならない事項 o 労働者の教育訓練及び能力開発基本計画の樹立 80 o 福祉施設の設置と管理 o 社内労働福祉基金の設置 o 苦情処理委員会で解決されていない事項等 ▶ 協議事項 議決を強制するものではないが、協議会で議決した場合には労使共に守 らなければならない事項 o 生産性向上と成果配分 o 労働者の採用・配置及び教育訓練 o 労働争議の予防 o 労働者の苦情処理 o 労働者の福祉増進等 ▶ 報告事項 経営計画又は実績等、事業主が労働者側に報告しなければならない事項 として、労働者委員が事業主に資料提出を要求できる事項 o 経営計画・実績・展望・機構改編 o 四半期別生産計画と実績に関する事項 o 人事方針、人力受給、募集訓練 o 企業の経済的、財政的状況 o 協議会で報告するように議決された事項等 □ 苦情処理制度 ▶ 労働者が 30 人以上の事業場は苦情処理委員を設置しなければならない。 o 苦情処理委員は 3 人以内の委員で構成 o 労使協議会が設置されている場合には委員の中から選任し、設置されて いない場合には使用者が委嘱 ▶ 苦情処理対象 o 人事に関する事項 81 o 労働条件に関する事項 o 給与・昇給に関する事項 o 作業環境に関する事項等 ▶ 苦情処理手続 ① 苦情事項の申告 ② 苦情の処理 ③ 処理結果の通告→苦情聴取後 10 日以内に措置事項及び処理結果を通 告 ④ 台帳の備え付け→受付及び処理に関する台帳を 1 年間保存 □ 実務Q&A Q :労働契約・就業規則・団体協約で明示している労働条件を労使協議会 で変更することができますか。 A :一般的に賃金等労働条件に関する事項は、労使間の団体交渉で取扱わ なければならない事項であって、労使協議会で取扱うべき事項ではあり ません。しかし、労使協議会で労使協議事項ではない労働条件等を団体 協約から委任されて合議した結果を、団体協約の当事者である労使双方 が署名捺印した場合は、労使合意事項としての履行義務は発生せず、団 体協約としての効力が発生します。 Q :労使間団体協約を通じて、月給制実施のための労使実務協議会を構成 し、労使協議会を通じて月給制実施方案を論議することに合意したのに 、労働組合側が合意事項の無効を宣言して実施した団体交渉要求及び争 議行為は正当ですか。 A :労使が団体交渉を通じて労使協議会による問題解決に合意した場合 、労使は誠実に履行しなければならない義務があります。ある一方が一 方的に労使協議会を通じた協議努力を破棄し、団体交渉を通じて問題を 82 解決しようとすることは正当であるとはいえず、もし、これを貫徹する ために争議行為を行えば、労働関係法上の民・刑事上の保護を受けるこ とができなくなります。 83 20.労働者福祉制度 □ 関連法令 「勤労者福祉基本法」 □ 労働者福祉制度の導入趣旨 ▶ 労働者福祉制度は、労働者の住居安定、生活安定及び財産形成支援、自社 株制度を通じた労使協力の増進を通じて、労働者の生活の質を高めるため に導入された制度である。 ▶ 日雇い、契約職等、非正規職労働者も福祉事業の恵沢を受けることができる。 □ 生活安定及び財産形成支援 ▶ 労働者及びその家族は医療費・婚礼費・葬儀費等の融資支援を受けること ができる。 ▶ 未払賃金労働者は生活安定のために生計費の融資等、支援を受けることが できる。 ▶ 労働者は国家から子女の奨学金支給、学費融資、労働者優遇貯蓄等の支 援を受けることができる。 84 ▶ 事業主は職務発明に対する正当な補償が行われるよう、労使協議会を通 じて具体的な補償基準及び補償手続を設けなければならない。 住居安定支援 □ ▶ 住宅の購入、新築、賃貸時の必要資金について、低い利息率で支援を受 けることができる。 ▶ 職場関係で移住するか或いは家族と離れて生活するようになった労働者 は、移住費、住居施設等の支援を受けることができる。 □ 信用保証支援 ▶ 担保能力が脆弱な労働者も生活安定資金、学費等を勤労福祉公団の信用 保証を通じて貸付されることができる。 ※ 信用保証対象(予定):在職労働者生活安定資金貸付、賃金未払労 働者 生計費貸付、労働者大学学費貸付、 失業者家計 安定資金貸付、産業災害労働者生活 定着金、大学 学費貸付 ※ 保証限度(予定):貸付事業によって 1 人当り 500 万ウォン ないし 1、000 万ウォン 85 □ 自社株制度 ▶ 労働者に自社株組合を通じて自社株を取得・保有させることによって、 労働者の社会的・経済的地位の向上と労使間の協力を増進することがで きる。 ▶ 自社株組合と事業主を代表する同数の委員で構成される自社株運営委員 会を設置することができる。 ▶ 多様な自社株取得機会 企業の自社株出捐、利益出捐金、金融機関等からの借入金等で自社株を 取得することができる。 ▶ 自社株の換金性を支援するために、当該企業から換買収準備金を積み 立てることができる。また会社は自社株換金性を支援する目的で自社 株を取得することができる。 ▶ 企業の出捐、組合の借入金等を通じて購入する自社株は、一定期間に わたって又は借入金償還額範囲内で労働者に割り当てなければならな い。 □ 福祉施設等に対する支援 ▶ 労働者は国家が支援する労働者福祉施設を利用することができ、民間 福祉施設を利用する時も国家の支援を受けることができる。 86 外国人投資企業のための分かりやすい労務ガイド ( 実務労働法要約) 著 者・お問い合わせ : 金 基学(キム・ギハク)公認労務士 (電話 : 3460-7652/FAX : 3460-7944) 金 基虎(キム・ギホ)公認労務士 (電話 : 3460-7653/FAX : 3460-7949) 金 丞振(キム・スンジン)専門委員 (電話 : 3460-7658/FAX : 3460-7949) 発行人 : 金 完淳(キム・ワンスン) 発行日 : 2002 年 1 月 2 日 発行先 : 外国人投資オンブズマン事務所 ソウル特別市瑞草区廉谷洞 300-9 印 刷 : タウォン文化社(2273-0071) 協 賛 : KPMG 三晸会計法人日本事業本部 (電話: 2112-0253) 非売品 本書の無断転載を禁ずる。 労務関連苦情処理のご案内 「外国人投資オンブズマン事務所」は外国人投資促進法に基づき、権限を委任さ れた「外国人投資企業苦情処理担当機構」で、特に 2001 年 7 月から外国人投資企 業における労務問題と関連した隘路事項を重点的に支援するために「外国人投 資企業労務相談室」を設置・運営しています。 外国人投資企業の皆様が労務、人事と関連して苦情及び疑問をお持ちの際は、 「労務相談室」に支援をご要請ください(無料)。 * 雇用関連:役職員採用、労働契約、配置、人事移動、教育訓練、退職等 * 労務関連:懲戒・解雇、団体交渉、争議行為、労使協議会・労働組合関連 不当労働行為、労働事務所、労働委員会関連等 * 労働条件:就業規則、労働時間、休暇、産業災害、法定保険、母性保護等 * 賃金その他:賃金、手当、退職金、年俸制、派遣労働者、人事規定等 ◎ 受付及びお問い合わせ 「外国人投資企業労務相談室(Labor Desk)」 * 電話:02-3460-7652/7653/7658 * FAX:02-3460-7944/ 7949 * E-mail:khkim@kotra.or.kr/ksj@kotra.or.kr/kimkh@kotra.or.kr * 住所:ソウル市瑞草区廉谷洞 300-9(郵:137-170)KOTRA ビル 6 階
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