1. 営業力を極める 2. 受注力アップ実践スキル VOL.207 2013.12

VOL.207 2013.12
発行責任者:アルファヴォイスコンサルティング株式会社
代表取締役 若林 信孝
〒102-0074 東京都千代田区九段南3-9-14 TEL:03-5215-8711
INDEX
1.
営業力を極める
(19)巨匠の思想に触れる
2.
代表取締役社長
若林
信孝
若林
信孝
受注力アップ実践スキル
(9)敷地環境調査 ②お客様立会い
営業力を極める
(19)巨匠の思想に触れる
代表取締役社長
■水平視点でデザインを観る
水平視点で建物を見ることを顧客に提案して欲しい。建物のデザインは、私達の見る位置で変
わる。例えば、南面道路に建物が面しているのであれば、南東方向、正面、南西方向で表情が異
なる。どの方向から建物を見せたいのか、最も綺麗に見せたいのはどの位置からなのか、その位置
のことを水平視点と呼んでいる。(私の現役時代に尊敬する設計士から教わった考え方です)水平
視点でデザインを考えると、その建物を見る人々の視線の動きに敏感になる。住まい手なら、外出
先からの帰宅時に自分の家のデザインを意識する。だから、住まい手の視線を大切にしたいのなら、
帰宅する方向から見えるファサードデザインに重きを置く。通勤、通学、散歩、買い物などの用事で
家の前を通る人々からも評価されたいのなら、逆方向から見えるデザインにも気を抜けない。また、
日中だけでなく、夜の見せ方にも工夫を凝らしたい。夜は建物本体のデザインだけでなく、照明計
画が効果を発揮する。ダウンライトやアップライトを巧みに交差させ、壁面の素材を闇の中に照らせ
ば、幻想的な美しさを味わえる。さらに、ファサードデザインを装飾する植栽や花々、門塀やアプロ
ーチの佇まい、そして表札や郵便ポスト、インターホンなどの小物も大切な要素だ。落葉樹や常緑
樹を綺麗に絡ませると、季節による雰囲気の違いを楽しむことが出来る。四季の変化が感じられる
デザインは住む人の感性を豊かにする。しかし、建物のデザインの美しさは、駐車場や駐輪場の
ぶ す い さ
無粋さで台無しになることもあるので注意すべきだ。
さらに、敷地の道路幅と間口がファサードデザインの制約条件となることも忘れてはならない。道
路幅と間口に限界があれば、残念ながら屋根の形を楽しむことは難しい。また、袋小路ならば、建
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物の一部分だけ、つまりアプローチとエントランスだけが主たるファサードとなる。しかし、このような
制約が逆に味わい深いデザインになることもある。京都の神社、仏閣はその典型だ。
「弊社のデザインは、環境に好ましい影響を与えるように考えられています。近隣の様子や街並
みの雰囲気、回りの自然を壊さないように過度な主張を控えるようにしています。また、住まう人々
い
き
か
う
や行き交う人々の目の高さを基準に綺麗に見えるように配慮しています。例えば、仕事先からの帰
宅時に、自分の住まいの窓から零れ落ちる明かりを認めたときのご主人様のほっとする瞬間を大切
にしたいと思っています。お子様の勉強部屋の明かりなら、お子様が机に向かっている様子をイメ
ージし、居間やキッチンの明かりから奥様が準備している夕食に期待を寄せることもあるでしょう。弊
社がお客様の住まいをデザインするときは、お客様と一緒に現地で最も美しく魅せたい視点を決め
させて頂きます。その視点を私達は水平視点と呼んでいます。水平視点で考えれば…」
さて、前号と今回、紙面を割いてデザインコンセプトに関して述べてきたが、その理由は私自身
が前職でデザインに苦労したからである。展示場に来場する顧客は、切妻や寄棟の木造建築に目
が慣れている。そのような人達が平らな屋根と生まれて初めて見る縦目地と横目地の幾何学的な模
様の壁材に違和感を持つのは当前である。耐震性や耐火性、耐久性を納得しても、「デザインがね」
と言われると返す『ことば』がなかった。そこで、商談の開始時点で違和感を持たれたデザインの良
さを納得してもらおうとコンセプトを伝えたのだ。「都会の住宅地の限られた空間に大草原のような
広がりを感じてもらう」前号で紹介したライトの「大草原様式」を引き合いに出し、横に長く伸びた屋
根と庇の出、さらに、目地の深さを強調した。その時、人の感じ方は『ことば』の持つ力で変わる、と
いうことを実感した。電柱と電線だらけの道路を煩雑で見苦しいと感じていた人が、著名なデザイナ
ーの考えを知ってその景観を楽しめるようになることもあるのだ。
■思想に触れる
ところで、住まいに大きな夢を持っている顧客ほどプランや仕様に対し、たくさんの要求をするも
のである。特に昨今インターネットの普及により、瞬時にして世界中から豊富に情報を得ることが出
来るようになっているので、営業担当者以上に建築アイテムについて学習している顧客が多い。10
点の仕様を決定するために、100 点近い数のアイテムに関して施工上の検討と見積もりを依頼して
くる顧客もいる。そしてそのような顧客ほど資金的な制約が大きく、夢と現実の隔たりを埋めることに
担当者は苦労している。ところがその要求が絶対的か、というとそうでもない。こだわりは一過性で恒
常的なものではないようだ。要望は曖昧でうつろいやすく、矛盾に満ちている。昨日の想いは今日
になると変わる。明日もまた変わるかもしれない。顧客は新鮮で未知な情報に、より魅力を感じるか
らだ。だから、度重なる間取りの変更に振り舞わされ、結局、ファーストプランに戻ることも少なくない。
そのような顧客の要求にきちんと対応し、夢を実現することが顧客満足に繋がると思い込んでいる
担当者が多いのも事実だ。本当は、建築の基本を学習していない顧客の要望をそのまま実現する
ことは、不満足に繋がりやすいのに。これが「家は三回建てないと満足しない」と言われる由縁だ。
「あの時、きちんと説明してくれれば、窓の位置と大きさはあなたの提案通りにしたのに」「照明が明
るすぎるわ。私の要望が正しいのか正しくないのかなぜ、教えてくれなかったの」「素人の私の要望
など無視してくれればよかった。あなたはプロなのだから、私に納得出来るように丁寧に説明してく
れればよかったのよ」私が実際に受けたクレームだ。デザイン、プラン、インテリアへの自分の要求
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やこだわりが、夢を実現するためには正しいのか、的を射ているのか、本当に必要なのか、確認し
たいと顧客は潜在的に感じている、とそれらのクレームで悟った。
顧客の満足を本当に望むのなら、顧客の誤りを裏付ける建築理論に基づいたコンセプト、そして
それを指摘できる勇気と信念を持たなくてはいけない。そのために私達はデザイン、プランニング、
インテリアだけでなく、家具や小物、照明、そして、外部空間計画に至るまで、その思想と専門性に
磨きをかけなくてはならない。顧客の要望に振り回されるのは、私達に顧客を納得させるだけの力
量と知見が不足しているからである。本物を見る、その機能性や審美性をことばで表現する、著名
な建築家や巨匠と言われる人々の哲学や思想に触れるだけでなく、そのデザインや空間計画を模
写してみる。その上で、デザイン、プランニング、インテリアのコンセプトを深堀していく、このような自
学自習の習慣が、迷いの多い顧客に正しい方向性を示す道標になるように思う。
■プランニングコンセプトをまとめる
間取りや詳細な部位、住設アイテムへの顧客の要望の正否、必要性を測る物差しをプランニング
コンセプトとしてまとめておくといいだろう。プランニングを進める上で設計士が大切にしている思想
や哲学、考え方の手順である。顧客の要望が同じものであっても、設計士によりアウトプットは異な
る。設計士ごとに設計思想や設計工程が違うからだ。しかし、その設計思想や設計工程をファース
トプレゼンテーション前にことばで表現することはあまりない。ヒヤリング後のプレゼン時にその考え
方を軽く述べるか、顧客の要望通りに完成した間取りを顧客の要望に沿って説明するに過ぎない。
すると、自分の要望が反映されていても、当たり障りのない平凡な間取りに満足しない顧客は自分
の不満足の理由がわからないままに、意図が不明確な変更を要求する。さらに残念なことだが、競
合他社にプランを依頼することになる。
(次号に続く)
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アルファヴォイスコンサルティング
受注力アップ実践スキル (9)
実践に役立つ営業スキルを、「アルファヴォイスコンサルティングオリジナルセールステキスト」より抜粋し、
解説します。住宅、土地活用、リノベーションなど、すべての建設営業に活用できるスキルです。
[今回のテーマ]
(9) 敷地環境調査 ②お客様立会い
お客様立会いの効果
お客様は図面による説明だけでは建物のイメージができません。土地を見ながら配置計画(玄
関位置・アプローチ・外構等)や建物のデザインについて説明を受けることで実感できるのです。
またお客様の土地はご自身が一番良く知っています。調査に立ち会って頂くことで、様々な情
報を収集することができ、屋外での打合せのため開放的になり話がしやすくなるのです。
>>>> Point
●敷地環境調査にお客様の家族が一緒に立ち会うと商談のスピードが加速する
●立会いが出来たお客様は、契約確率が高くなる
敷地環境調査立会いのポイント
立会いのアポイントは敷地環境調査のアポイントと同時に行います。
敷地環境調査の必要性を説明し、3段階クロージングでお客様立会いの理由を説明します。
敷地環境調査立会いの3段階クロージングのポイント
● 敷地境界・境界杭の確認のため
● 正確な見積り金額を出すため
● 敷地の持つ特性を最大限活かしたプランニングをするため
≫≫ トークキーワード
①敷地境界・境界杭の確認のため
「現地で一緒に杭の確認をしていただきたいので…」
②正確な見積り金額を出すために
「給排水工事、浄化槽などは大変費用がかかります。正確な見積りをお出しするために
現地で確認したいので…」
③敷地にあったプランニングをするために
「通風、採光、隣地などお土地にあったベストプランニングをするために…」
>>>> Point
●敷地環境調査立会いのアポイント取りをテストクロージングとして実施する
●お客様の立会いが先になる場合は、商談スピードを優先し立会い無しで実施する
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会社組織のPR
お客様が真剣に住宅計画を考えるにつれて、
『この営業マンに任せてよいのか?』という不安
が芽生えてきます。お客様の不安を解消するためには、
“お客様と営業担当者のお付き合い”か
ら、“お客様と会社のお付き合い”へ変えていくことが必要です。
敷地環境調査に営業部門以外の担当者を登場させることで、営業が1人でお客様と対応してい
るのではなく、会社全体でお客様に対応していることをPRすることができます。
この営業マンの後ろで、たくさんのス
タッフが動いているんだね。
非営業部門のよるテストクロージング
[営業担当者]
◎各部門担当者の紹介
◎敷地環境調査の指示を出す
◎配置計画の説明
◎お客様と話す
・土地のエピソード
・競合他社の情報
・建築イメージの引き出し
・家族の反応
など
[上 司]
◎営業担当者(部下)のPR
◎会社紹介
◎土地の賞賛
[設計担当者:プロの説明]
◎お客様の敷地が建築に適していること
◎建築に対してのアドバイス
◎建築するときに問題になる点(特殊な工事や特別な付帯設備)の説明
※あらかじめ建築に関する法的調査をしておいてください
[工事担当者(現場監督):プロの説明]
◎お客様の土地が工事に適していること
◎工事中の近隣対策や近隣配慮についての説明
>>>> Point
●上司、技術者など様々な部門の担当が立会うことで、会社全体で取り組む姿勢を見せる
●敷地環境調査をきっかけに「お客様と営業マン」から「お客様と会社」のお付き合いに
変える
以上
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