□新たな森づくりへの挑戦 和メープルだより No.1 ◆お知らせ◆ 昨年 6 月から秩父市大滝地区の森林 50 ヘクタールを対象に 森林経営計画の策定を進めています。スギやヒノキの森林を適 切に管理しながら、20 年をかけて豊かなカエデの森を創る取り 2014.1.15 □ニッセイ緑の環境講座「持続可能な地域のプロデュース」 ∼森を活かして、地域をつなぎ、誇りを産み出すフロントランナー∼ 2 月 15 日 ( 土 )13:30 ∼ 16:00 新宿 NS ビル 30F 組みです。 「森林経営計画制度」は、平成 24 年 4 月の森林法の改正に伴い、 基調講演:島崎武重郎 パネルディスカッション: 森林にかかわる者は、一定のまとまった面積の森林に対して長 山中敬久(秩父樹液生産協同組合代表・大滝山林振興協議会会長) 期的な経営計画の策定と確実な実施が求められようになりまし 藤原隆司(埼玉大学科学分析支援センター准教授) た。幾世代をかけて育てられた日本の森林は、ようやく成熟し、 植村哲士(野村総合研究所主任コンサルタント) その利用と適切な管理が求められています。組合では、スギや 関根 修(横瀬町町議会議長) ヒノキの間伐を行いながら、カエデの森づくりに着手しました。 大山敏雄(GNH 工房(工場野菜研究開発)代表) 井上研史(秩父観光土産品組合専務理事) ほか 自然分布に依存したカエデの 樹液活用が、数十年後には美 □和メープルエコツアー しい景観と安定した樹液生産 2 月23日 ( 日 ) 9:00 ∼ 15:00 となることを構想していま 今年もカエデの幹が樹液で満たされる季節を迎えました。雪の残る す。 早春のカエデの森の散策と和メープル新作料理を楽しむエコツアーを 対象の森林は、三峰神社か 準備いたしました。 ら北に秩父市大滝総合支所 (旧 大 滝 村 役 場)の あ る 落 合 に至る 50 ヘクタールの山林 です。14 名の所有者の協力を 得ながら、平成 26 年度は約 7 あとがき 森林の新たな取組みであるカエデの樹液活用にご理解と ご支援をいただき、ありがとうございます。「和メープル だより」第 1 号をお届けします。和メープルが、お茶やお 酒のように多くの人に親しまれ、日本の食文化の一つにま で高められることを願がっています。そのことによって森 と地域が豊かで健やかに続くことを願っています。どうぞ、 これからもご支援くださいますようお願い申し上げます。 ヘクタール、平成 27 年度に は約 10 ヘクタールの間伐を 実施し、間伐の後には今年秋 にカエデの植林を行う計画で す。 春を待つ秩父中津川の木々たち 秩父樹液生産協同組合 〒369-1901 埼玉県秩父市大滝1805番1Tel/Fax:0494-55-0122 境界確認の立会い 確認された境界の杭打ち作業 e-mail:ChichibuMaple@gmail.com http://acermono.com/ 秩父樹液生産協同組合 造等々、新しいビジネスがイノベーションを背景に展開してい 夢を見過ぎ? 秩父樹液生産協同組合代表理事 秩父樹液生産協同組合へのエール 山 中 敬 久 株式会社GNH工房 代表取締役 大 山 敏 雄 くでしょう。それは、雇用を創出する活動でもあります。 この秩父森林ビジネスモデルが全国にひろがり、秩父の魅力 を高める事とともに、日本の豊かさを高め事に貢献し、さらに 一昨年6月20日に組合を設立して、2 回目の樹液採取の季 「文明の前には森林があり、文明の後には砂漠が残る」とい 節を迎えています。樹液利用という着眼点が新鮮だったのか、 言葉を残したのは、フランスの政治家・作家である、フランソワ・ いろいろんな方が興味を持ち応援して頂いております。建築材 ルネ・ド・シャトーブリアンです。われわれ日本人は自然との 料としてのスギ、ヒノキの林業が需要低迷で袋小路に入ってい 調和を大切にし、それを基に生活や産業を築いてきました。 る現状では尚更、樹液利用が一筋の光明に見えるのでしょう。 しかし、グローバル化が進み、経済至上主義が席巻する昨今、 樹液利用が樹液産業になるかどうかは私には何とも言えません 日本の林業は破綻の様相を呈しているように思います。金銭評 が、産業に持って行くというのが組合のメインテーマであり、 価が難しい豊かさの質を左右する公共財としての森林と水をど 長期に渉る悪戦苦闘の始まりであります。 の様に扱うのかが問われています。森林を守り育てるには、そ 今年からスギやヒノキの山を間伐してカエデを植林する事業 こでの生活が成りたつ(雇用)ことが前提となり、「日本の社 を開始します。そのため森林経営計画を樹立するのですが、そ 会の仕組み」の欠点に手を入れていかねばなりません。「日本 の事務作業、境界立ち会い、測量、間伐計画、植林、シカ除け柵、 の社会の仕組み」に踏み込むのは、今生きている我々自身が時 まだ雪深い 2 月。 「カエデの森」へ伺いました。初めてみるメー 更に間伐したスギやヒノキの有利な販売戦略の模索など重い事 代の変化に合わせて変えなければ、誰かがやってくれる、何処 プルシロップの現場に興奮し寒さも忘れるほど。樹液の出る時 業が幾つも控えています。 から降ってくるものではないからです。また、問題解決は、生 期、出る量、またその見極めなど詳細にご教授いただきました。 日本の林業が抱えている袋小路を打破し、針葉樹と広葉樹が の現場から得られた総意工夫でしか解決できません。机上の空 長年、足で樹のデータをとり、解析し次年へ活かしてくアナロ 美しく複層する森林を目指して、20年から30年後に採れる 論とは言いませんが、補助金や諸規則などの社会制度設計は本 グでデジタルな作業。腰を据えた自然との対話が必要な森の仕 予定のカエデの苗木を植える。その樹液は果たしてその時、採 質に触れているのでしょうか。 事と感じました。樹から出る澄んだ水のように無色透明な液体 算の合う値段で売れるかどうかは判りませんが、いまそのマ 二十一世紀に入り、地球規模での“パワーシフト”が起きて がメープルシロップになるとはこの時点では到底思えません。 ネージメントをやっておこうというのが、「欲の深い、夢を見 いる様に思います。パワーとは軍事力や経済力だけでなく、複 採取地から場所を移し、8 種類の樹液を試飲させていただき 過ぎ?」の組合です。私たちは、多くの皆様の励ましに支えら 合的で多次元的なものを総合してみた時の話しで、時代が大き ました。かすかなフレーバーとほのかな甘みがメープルシロッ れながら、夢のように素晴らしい森林を育てていきたいと考え く変わるときに起きると言われています。東北大震災から価値 プを感じさせます。 「楓からのうまい水」といった感じでしょ ています。どうぞ、今後ともご支援を賜りますようお願い申し 観のシフトが顕著になってきており、“経済至上主義で利益は うか?特別にいただき自宅で煮詰め、舐めてみるとまさにメー 上げます。 自分のポケットに入れるだけ”から“心の豊かさを重視する” プルシロップ!絶品でした!自家製ピザにかけて美味しくいた 価値観への転換が進んでいます。地方は疲弊し、劣化していま だきました。わずかな量になりましたが贅沢な山の恵みを堪能 す。わが国土のおよそ七割は森林です。これまできれいな空気 しました。その後のランチでは和メープル特別メニューをいた や水を頂けたのは、この森林のおかげです。 だき、デザートだけでなく肉や魚にも合うことに驚きました。 一方、GDP寄与率はわずか1%しかありません。秩父生産 雪山に縁がなかった私ですが、新たな山の食を発見する貴重で 協同組合の、理念とそれを支えるイノベーションの両輪に支え 素敵な 1 日を過ごすことができました。ありがとうございまし られている取組みは、まさにパワーシフトに合致し、文明を育 た。 み、心の豊かさと自然との調和を図り、自らで問題を解決しよ 私は野菜ソムリエとして食に携わる職についているので、こ うとする、時代の先端的な活動といえます。 の「和メープル」と野菜・果物がどうコラボできるか、どう活 樹液を通して森林と水を守り、しかも新しいビジネスの中心 かしていけるかを探求するのが今後の楽しみです。生産量が上 的な活動です。樹液からメープルシロップを作り、樹液を料理 がり森の仕事として、そして、和メープルとして認知され「秩 や加工食品の原料に、また、いわゆる第三のハチミツ、それを 父発のメープルシロップ」として手軽に購入できるようになる 原料とするハニーワインの製造、さらに蜜蝋からのローソク製 ことを希望します。 育て続けてきたスギの美林 イタヤカエデの大樹 親しまれる森の恵み 全世界に高齢社会の森林ビジネスモデルとして広がっていくと 確信しています。 和メープルを堪能!樹液から料理まで 野菜ソムリエ 牧 野 悦 子
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