13p-A21-5 第62回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集 (2015 東海大学 湘南キャンパス) 強誘電体プローブデータストレージ用 PZT 薄膜媒体の表面層の XPS 測定 X-ray Photoelectron Spectroscopic Study on PZT Thin Film Recording Media for Ferroelectric Probe Data Storage ○ 東北大通研 RIEC Tohoku Univ., 平永 良臣,陳 一桐,長 康雄 ○ Yoshiomi Hiranaga, Yitong Chen, Yasuo Cho E-mail: hiranaga@riec.tohoku.ac.jp 【はじめに】強誘電体プローブデータストレージは [1] K. Tanaka and Y. Cho, Appl. Phys. Lett. 97, 092901 2 (2010). 1 Tbit/inch を超える記録密度での書き込みを可能と する次世代の記録方式として有望な記録方式である. [2] Y. Hiranaga and Y. Cho, Jpn. J. Appl. Phys. 52, 09KA08 (2013). 筆者らの研究グループでは LiTaO3 単結晶を記録媒体 として用い,記録密度 4 Tbit/inch2 のデータ記録が行 えることを報告してきた.[1] 一方,本方式の実用化 を目指す上では,薄膜記録媒体の開発が必須である. (a) as-deposited そこで現在は,大きな非線形誘電率を有しており, 目し,提案方式における記録媒体への応用に関する 検討を行っている.[2] 前回の講演会においてイオン ビームの照射による表面層の除去が,良好な記録媒 体の作製に有効であることを報告した.今回は表面 Pb 4f5/2 Intensity (arb. unit) 高速な記録再生が行えると期待される PZT 薄膜に着 Pb 4f7/2 層の起源をより詳細に調べるために X 線光電子分光 法(XPS)による測定を行ったので,これを報告する. 148 【実験と結果】PZT 薄膜は SrRuO3/SrTiO3 基板上に 146 144 RF スパッタ法によって作製した.この薄膜に対し, 142 140 138 136 Binding Energy (eV) 134 132 134 132 表面層を除去するために,電子サイクロトロン (ECR)型イオン銃を用い,アルゴン・酸素混合ガ (b) after ion beam irradiation (Ar + O2) Pb 4f7/2 ームの照射処理を行った. この薄膜の Pb 4f に対する XPS スペクトルを Fig. 1 に示す.イオンビーム照射前の薄膜においては, Pb 4f7/2 = 137.3 eV のピークの他に 137.8 eV にもピー クが存在しており,2 種類の状態の異なる鉛が混在し Intensity (arb. unit) スをイオン化ガスとして加速電圧 300 V でイオンビ Pb 4f5/2 ていることが分かった.137.8 eV のピークはイオン ビーム照射後の薄膜ではほぼ消失したことから,こ のピークはペロブスカイト格子内の鉛とは異なる状 態のものであり,かつ表面近傍にのみ偏在したもの 148 であることが分かる.アルゴンのみをイオン化ガス としてイオンビーム照射を行った際によく見られる 鉛の還元は,アルゴン・酸素混合ガスにおける処理 では見受けられず,良質な表面が得られたものと考 えられる. 【謝辞】本研究の一部は科学研究費補助金基盤研究 S (23226008)の補助を受けています. © 2015年 応用物理学会 05-271 146 144 142 140 138 136 Binding Energy (eV) Fig. 1 XPS spectra of PZT films (a) before and (b) after ion beam irradiation with ionized gas of Ar+O2.
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